特許第5678251号(P5678251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678251
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】調節可能なトルクヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/12 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
   E05F1/12
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-523142(P2013-523142)
(86)(22)【出願日】2010年10月29日
(65)【公表番号】特表2013-535599(P2013-535599A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】US2010054696
(87)【国際公開番号】WO2012018361
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2013年6月10日
(31)【優先権主張番号】099126071
(32)【優先日】2010年8月5日
(33)【優先権主張国】TW
(31)【優先権主張番号】201010273481.5
(32)【優先日】2010年9月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513026595
【氏名又は名称】ウォーターソン コーポレイション
(73)【特許権者】
【識別番号】513026609
【氏名又は名称】チェン ウォーターソン
(73)【特許権者】
【識別番号】513026584
【氏名又は名称】ホイ−ファン, シャウ, フィー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウォーターソン
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−145975(JP,U)
【文献】 実開昭49−073240(JP,U)
【文献】 実開昭54−156935(JP,U)
【文献】 米国特許第04073038(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節可能なトルクヒンジにおいて、
第1ウィングプレート、第2ウィングプレート、第1スリーブおよび第2スリーブを有するヒンジ部と、
可動ピボットを有するトルク提供部と、
前記第1スリーブ内に可動トルク調節部材を有するトルク調節部と
を備え、
前記第1ウィングプレートは一組の第1スリーブナックルを含み、第2ウィングプレートは一組の第2スリーブナックルを含み、前記第1スリーブナックルおよび前記第2スリーブナックルは互いに結合され、前記第1スリーブは前記第1スリーブナックルおよび前記第2スリーブナックル内に挟み込まれ、前記第1スリーブの外周は第2スリーブナックルに共に動くように連結され、前記第1スリーブには第1カムが備えられ、
前記第1スリーブの外周には第2スリーブナックル内に結合される結合面が備えられ、前記トルクヒンジは、前記一対の第2スリーブナックルの一つを通して延長して前記第1スリーブを前記第2スリーブナックルに固定するストップピンを更に備え、
前記ピボットは前記第1および第2スリーブナックルを通して延長され、トルクスプリングが前記ピボットを囲んで配置され、前記ピボットの外周は前記第1ウィングプレートの第1スリーブナックルに共に動くように連結され、前記トルクスプリングの一端は前記ピボットに作用し、
前記トルク調節部材上にスプリングが配置され、前記トルク調節部材の外周は第2カムを含有し、前記スプリングが前記トルク調節部材を弾性的に押して前記第2カムが前記第1カムに結合されるようにし、前記トルク調節部材の外周端部には道具の駆動操作のための調節孔が形成され、前記トルクスプリングの他端が前記トルク調節部材に作用して、前記トルク調節部材が第1方向に回転する時には、前記第1カムと前記第2カムとが互いに結合されて共に回転し、前記調節孔を通じてトルク調節部材を駆動させた時には、前記第1カムと前記第2カムとが分離されて反対方向に回転することによってアイドル回転になることを特徴とする調節可能なトルクヒンジ。
【請求項2】
前記ピボットの外周には、前記一対の第1スリーブナックルの一つ内に装着される突起が備えられ、前記突起は前記スプリングの一端に挿入されるスロットを有することを特徴とする、請求項1に記載の調節可能なトルクヒンジ。
【請求項3】
前記第2スリーブにねじ切りで配置されている速度調節部材と、前記第2スリーブに配置され、前記速度調節部材によって加圧される弾性部材と、前記第2スリーブに可動的に配置され、前記弾性部材によって加圧されるカム部材とを含む速度調節部を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の調節可能なトルクヒンジ。
【請求項4】
前記ピボットはカム部分を備え、前記カム部材は前記弾性部材によって押されて前記ピボットの前記カム部分と接触することによって抵抗力を生成することを特徴とする、請求項3に記載の調節可能なトルクヒンジ。
【請求項5】
前記カム部材には、所定の角度位置に前記カム部分の挿入のための位置決めスロットが形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の調節可能なトルクヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒンジ型装置に関するものであって、より具体的にはピボット回転用途に使用される調節可能なトルクヒンジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大部分のピボット回転する物体は、一般に、固定された物体に装着されたヒンジ装置を使用して回転することによって開放および閉鎖動作を行う。ピボット回転する物体としては、例えば、ドアパネル、窓、キャビネットドアなどがある。図1の従来の復帰トルクヒンジ装置10を参照すれば、この装置は第1ウィングプレート(wing plate)11、第2ウィングプレート12、ワッシャー(washer)13、ピボット14、2つのねじセット15、トルクスプリング16、調節スリーブ17、および調節ピン18を含む第1および第2ウィングプレート11、12はドアパネルとフレーム(図示せず)にそれぞれ用いられ、各前記ウィングプレートの一側には相互対応するピン連結スリーブ部材111、121が形成されている。スリーブ部材111、121は相互作動するように重合され、その間にワッシャー13がピボット回転のためにスリーブ部材の間に挟まれる。ピボット14がピン連結スリーブ部材111、121の内に挿入されることによって、第1および第2ウィングプレート11、12が互いに合わせられてピン連結を形成する。2つのねじセット15は第1ウィングプレートのピン連結スリーブ部材111の外周表面にねじ結合されており、これによってピボット14堅固に引き締まって固定される。ピボット14は、ピボット14の底から延長されるベアリングロッド(bearing rod)141を含む。調節スリーブ17は第2ウィングプレート12のピン連結スリーブ部材121の内に回転可能に嵌め込むことができ、その中央の凹み領域はベアリングロッド14を嵌め込むことができるベアリングホール171からなる。トルクスプリング16がベアリングロッド141に設置され、トルクスプリング16の上端はピボット14に固定され、下端は調節スリーブ17に固定されることによって、トルクスプリング16が第1および第2ウィングプレート11、12を作動させることができる。ヒンジ装置10によって生成されるトルク力は自動的にドアを閉じる程度の力である。また、スライドスロット122が第2ウィングプレート12のピン連結スリーブ部材121の下部に周囲方向に配置され、調節スリーブ17の外周には多数の挿入孔172が対応するスライドスロット122の凹み位置に形成されている。調節ピン18は、スライドスロット122を通して所望の位置で複数の挿入孔172の一つに挿入される。調節ピン18調節スリーブ17の回転に従ってスライドして、スライドスロット122の内壁に隣接してから、トルクスプリング16がねじれながらエネルギーを蓄積し始める。結果的に、使用者は調節ピン18をの挿入孔172に挿入することによって、トルクスプリング16を調節して異なる値のトルク力を発生することができる。
【0003】
前述のヒンジ装置10は復帰するトルク作用を利用する特徴を有しているが、依然として短所を有している。従来のヒンジ装置10では、調節ピン18を用いて、先にスライドスロット122の内壁によって回転が制限された後に、調節スリーブ17がトルクスプリング16をねじれさせトルクを発生させ始める。しかし、スライドスロット122はその長さが短くて、調節可能なトルクの大きさも制約的になってしまう。また、ヒンジ装置10の調節は調節ピン18を相違した位置の挿入孔172に挿入することによって行われ、このような類型の挿入調節は操作に時間がかかって不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は順方向と逆方向の両方に圧力を蓄積して便利にトルクを調節することができる調節可能なトルクヒンジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、ヒンジ部、トルク提供部、およびトルク調節部から構成された調節可能なトルクヒンジが提供される。ヒンジ部は第1ウィングプレート、第2ウィングプレート、第1スリーブおよび第2スリーブを備える。第1ウィングプレートは一組の第1スリーブナックルを含み、第2ウィングプレートは一組の第2スリーブナックルを含む。第2スリーブナックルは第1スリーブナックルと結合する。第1スリーブと第2スリーブの結合によって可動的な連結が構成される。第1カムが第1スリーブ内に含有される。トルク提供部は第1スリーブナックルと第2スリーブナックルの間に配置された可動ピボットとそのピボットに装着されたトルクスプリングを備える。ピボットの外周は第1スリーブナックルに連結されて第1ウィングプレートと共に可動的な連結が構成される。トルクスプリングの一端はピボットに作用する。トルク調節部は、第1スリーブ内で可動されるトルク調節部材とトルク調節部材上のスプリングを備える。トルク調節部材の外周には第2カムが備えられ、第1カムと第2カムはトルク調節部材がスプリングによって弾性抵抗力を受けるように互いに結合される。トルクスプリングの他端がトルク調節部材に作用することによってトルク調節部材が特定の方向に回転するようになり、トルク調節部材の外側端部には凹部が形成され工具を使用して調節孔を駆動することによって結合された第1カムおよび第2カムを互いに反対方向に回転させて、結果的にアイドル回転を発生させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、トルク提供部のトルクスプリングを用いてトルク調節部材によって自由にトルクを調節することができる性能を有する。このような構成によってトルク調節を便利に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来のヒンジ装置の分解図である。
図2】好ましい実施形態による本発明の調節可能なトルクヒンジの正面図である。
図3】前記好ましい実施形態の分解図である。
図4】前記好ましい実施形態の分解図である。
図5】前記好ましい実施形態の切断図である。
図6】前記好ましい実施形態の分解図である。
図7】前記好ましい実施形態の斜視図である。
図8】前記好ましい実施形態の断面図である。
図9】前記好ましい実施形態の断面図である。
図10】前記好ましい実施形態の第1動作状態図である。
図11】前記好ましい実施形態の第2動作状態図である。
図12】前記好ましい実施形態の第3動作状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の追加的な特徴と長所は以下の詳細な説明、図面および請求範囲から明確になる。
【0009】
本発明は下記の詳細な説明と本発明の多様な実施形態を示した添付図面からよりよく理解されるが、詳細な説明および添付図面が本発明を特定実施形態に制限するために使用されてはならず、ただ本発明の説明と理解のためにのみ使用されなければならない。
【0010】
本発明に対する前述の説明とその他技術的な詳細、特徴、性能は好ましい実施形態の図面と共に詳細に記述される。
【0011】
通常の技術者であれば、本発明の実施形態に対する以下の詳細な説明が例示に過ぎず、本発明を限定するためのものではないことを認識できる。本開示の長所を有する本発明の他の実施形態が通常の技術者に自明である。添付図面に示されているように、本発明の実現のために以下の説明が参考にされる。
【0012】
明確さのために、実現例の通常の特徴が全てここに記述されるのではない。実際実現では応用および事業と関連した制約によって開発者の特定の目的を達成するために実現時には色々な具体的な事項が決定されなければならず、そのような特定の目的は実現例によって、そして開発者によって変わることができるのを認識しなければならない。また、そのような開発努力は複雑で時間を必要とすることもあるが、通常の技術者には通常のエンジニアリングによって本開示の長所をもってそのような開発が実現できるということを認識しなければならない。
【0013】
図2乃至4を参照すれば、例示的にドアパネルに使用されるものとして示された、本発明の好ましい実施形態における調節可能なトルクヒンジは、ヒンジ部20、トルク提供部30、トルク調節部40および速度調節部50を備える。本実施形態における部材および組立体の形態やパターンは以下でより詳細に記述される。
【0014】
ヒンジ部20は、第1ウィングプレート21、第2ウィングプレート22、第1スリーブ23、第2スリーブ24、および2つのストップピン25を含む。第1ウィングプレート21の一側には、第2ウィングプレート22の一側に配置された3つの第2スリーブナックル221と結合される大きいサイズおよび小さいサイズの第1スリーブナックル211が含有されている。第2スリーブナックル221の内壁は2つの結合部材222を含む。第1スリーブ23は第2スリーブナックル221の一端から第1スリーブナックル211内に挿入され、第2スリーブ24は第1スリーブナックル211の一端から第2スリーブナックル221内に挿入されている。第1および第2スリーブ23、24の外周には結合部材222と結合する2つのピン接触面231、241が含有されている。2つのストップピン25は第2スリーブナックル221を通して第1および第2スリーブ23、24の外周にねじ方式で挿入され、これによって第1および第2スリーブ23、24が第2スリーブナックル221内で制限的に固定される。
【0015】
図4および図7を参照すれば、トルク提供部30はピボット31およびトルクスプリング32を含む。ピボット31は移動可能であり第1スリーブ23内に配置され、ピボット31の外周辺の中央部から突出して所定の角度で離隔している一対の突起311を含む。突起311が第1ウィングプレート21の第1スリーブナックル211内に装着されることによって、ピボット31と第1ウィングプレート21の間に可動的な連結が構成される。突起311の上端にはスロット312が含有されており、ピボット31は突起311側に2つの対称するカム部313を有している。トルクスプリング32の両端はそれぞれスタンド321および第2スタンド322を有し、スタンド321がピボット31のスロット312に挿入されることによって、トルクスプリング32の一端がピボット31に作用できるようになる。
【0016】
図7および図8を参照すれば、トルク調節部40はトルク調節部材42とスプリング43を含む。第1スリーブ23はトルク調節部材42、スプリング43、トルクスプリング32、およびトルクスプリング内に挿入されたピボット31を内側に含む。第1スリーブ23の内壁はギヤ(gear)形状の第1カム233(図5に示される)によって囲まれている。それに相応するトルク調節部材42の外周にはギヤ形状の第2カム421が含有されており、第2カムは第1カムと互いに可動的に結合される。トルク調節部材42の外周端はスロット422が含有されており、トルクスプリング32は第2スタンド322が含有されており、第2スタンド322がこのスロット422に挿入されることによって、トルクスプリング32がトルク調節部材42に作用できるようになる。トルク調節部材42の外側端部は第1スリーブ23の外側に露出され、六角凹部形状の調節孔423が形成されている。調節孔423を通じて特定ツール(例えば六角キー)によってトルク調節部材42を駆動してトルクスプリング32をねじることができ、これによってトルク力を調節する機能を実現することができる。トルク調節部材42の内側にはスプリング43が挿入できる。このスプリング43はトルク調節部材42に対して弾性抵抗を有することによって、トルク調節部材42が回転した後に第1カム233と第2カム421がギヤ結合されてトルク調節部材42の回転後の角位置を維持させる。使用者がトルク調節部材42を加圧して押すと、第2カム421は第1カム233と分離され、トルクスプリング32の復帰作用によってトルクスプリング32は最も弛緩した状態で復帰する。
【0017】
図6乃至8を参照すれば、速度調節部50が速度調節部材52、多数の弾性部材53、およびカム54を備えている。速度調節部材52、弾性部材53およびカム54は第2スリーブ24内に挿入される。速度調節部材52の外側部には調節孔521が含有されて、工具を調節孔521に挿入して回すことができる。内側部の外周は第2スリーブ24との連結のためのねじ切り部522が含有されている。カム54の外周は2つのガイドブロック541が含有されており、第2スリーブ24の内壁は2つのスライドスロット242が含有されている。カム接触面542がピボット31に向かってカム部313と対面する位置に形成され、位置決めスロット543と第2位置決めスロット544が適切な角位置でカム接触面542の凹み箇所に形成されている。カム54はカム部313の頂上部によって押されて、弾性部材53側に移動する。そうすると、弾性部材53はカム部材54と接触してピボット31側に摩擦抵抗を生成し、これによってドアパネルの回転速度を制御する。本実施形態において、弾性部材53は多数の円錐型ワッシャーからなる(圧縮スプリングに代替可能)。調節部材52のねじ切り回転速度によってピボット31に対する弾性部材53の摩擦抵抗の大きさを変化させることが可能である。このようなメカニズムによってドアパネルの回転速度を調節することができる。
【0018】
以上では、本発明による調節可能なトルクヒンジにおける色々な部材と組立体について説明した。本発明によるトルクヒンジの動作について以下で説明する。
【0019】
使用者が本発明によるトルクヒンジが装着されたドアパネルを開けると、第1および第2ウィングプレート21、22が第1および第2スリーブナックル211、221に対して反時計回りにピボット回転する。この時、第1および第2カム233、421が互いに結合し、第1カム233が第2カム421を回転させ、これによってトルクスプリング32を回転させてエネルギーを蓄積する。
【0020】
ドアが開かれた後に、第1および第2ウィングプレート21、22はトルクスプリング32によって蓄積されたエネルギーによって、復帰トルクを発生させる。ドアをそのまま置けば、ドアパネルは復帰トルクによって自動的に閉じられる。
【0021】
一実施形態において、トルク調節部40はドアパネルを閉じる力を調節する。使用者はまず、工具(例えば六角キー)をトルク調節部材42の調節孔423に挿入して回す。トルク調節部材42が第2カムを反時計回りに回転させることによって、第1カム233は第2カム421を後に押し、これと共に第2カム421の回転によってトルクスプリング32を押して、トルクを増加させる。工具を抜けば、スプリング43による弾性抵抗によってトルク調節部材42は自動的に第2カム421を第1カム233にロック(lock)させる。その結果、トルクスプリング32を所望の角位置に位置させることができ、適切なトルク力を設定することができる。
【0022】
通常の場合、第1ウィングプレート21がドアパネルに固定されると、第2ウィングプレート22は固定プレートになり、第1ウィングプレート21と連結されたピボット31は回転ベアリングになる。第1ウィングプレート21が回転すれば、トルクスプリング32は第2スタンド322をピボットポイントとして使用し、スタンド321はドアパネルと共に回転しながら力を蓄積する。また、第1ウィングプレート21がドアフレームに固定されれば、第2ウィングプレート22は回転プレートとして動作し、第1スリーブ23と第2スリーブ24は第2ウィングプレート22の回転に対するピボット軸になる。トルクスプリング32のスタンド321は固定されたピボットポイントになり、第2スタンド322はドアパネルと共に回転しながら力を蓄積する。本発明によれば、順方向と逆方向の両方向の回転で力を蓄積することができ、従って本発明は左側に開けるドアおよび右側に開けるドアのどちら側にも適しており、どちら側に設置しても同一のヒンジ装置を使用することができる。
【0023】
図9を参照すれば、使用者がドアパネルをスムースに押してドアを閉じる時、ピボット31のカム部313はカム部材54のカム接触面542と角度方向に移動する。カム部材54は弾性部材53に加圧されて抵抗力を発生させ、これによってドアパネルの回転速度を制御する。図10を参照すれば、カム部313は位置決めスロット543から抜け出始め、カム部材54との傾斜接触がさらに緩やかになりながらピボット31に対する摩擦抵抗が減少することによって、ドアパネルの全般的な回転速度はさらに速くなる。ドアパネルが0〜30度範囲内に開かれた場合、摩擦力は最少になり(ほとんど摩擦がない)、ドアパネルは最も速い速度で閉じられる。図11および図12を参照すれば、ドアパネルの回転角が30〜45度範囲内である時、カム部材54のカム接触面542とピボット31のカム部313間の傾斜はさらに急になり、カム部材54に対する弾性部材53の弾性抵抗が増加することによってピボット31に対する摩擦抵抗がより大きくなることにより、ドアパネルは遅い速度で閉じられる。
【0024】
図7を再び参照すれば、使用者がドアパネルを押してドアを開ける時、ドアパネルの開かれた角度が適切な角度に到達すれば、カム部材54は弾性部材53から弾性抵抗を受け、位置決めスロット543または第2位置決めスロット544がカム部313をピボット31上にロック(lock)する。ドアパネルは特定の角度に開かれた後に固定され閉じられる動作を停止する。
【0025】
本発明による調節可能なトルクヒンジは従来のヒンジ装置10を使用する場合の問題点を解決する。本発明の主な技術的な手段と長所は下記と通りである。
【0026】
(1)自動開放および閉鎖動作:本発明はトルク提供部30のトルクスプリング32を用いて第1および第2ウィングプレート21、22に一定の出力のトルクを提供することによって、ドアパネルが自動的に閉じられることを可能にする。
【0027】
(2)制御可能な回転力:本発明によるトルク調節部40は、工具を挿入してトルク調節部材42を回すことによって、トルクスプリング32のトルク値を変更することができ、これによってドアパネルに対するトルク力を制御することができる。調節操作は迅速で便利である。さらに、トルク調節部材42は360度回転可能であり、トルクスプリング32のねじれが角度によって制限されない。したがって使用者は適切なトルクを発生させるためにトルクスプリング32を自由に調節することができる。
【0028】
(3)制御可能な回転速度:本発明はドアパネルの回転速度を調節するための速度調節部50を含む。速度調節部50内には弾性部材53が備えられ、この弾性部材が速度調節部材52に制動ダンパー作用を果たす。これによって、ドアパネルのピボット回転を遅くし、ドアパネルがドアフレームに強く衝突することを防止するのが可能になる。さらに、使用者は速度調節部材52に対して、工具を使って調節を実行するだけでよい。速度制御操作は迅速で便利に行われる。
【0029】
(4)スムーズな回転:ドアが回転して開かれる過程の間、本発明における2つのウィングプレート21、22は第1および第2スリーブ23、24の間にピン結合を採用しており、第1スリーブナックル211と第2スリーブナックル221によって内部の部材に負荷が加えられることを阻止する。その結果、2つのウィングプレート21、22はスムーズに回転する。
【0030】
以上の説明は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の権利範囲を制限してはならない。本発明の権利範囲および説明内での単純な均等置換や変更は本発明の権利範囲内にある。ヒンジ装置は、ドア、窓、キャビネットドア、ノートパソコン、モップ、その他の可動連結部に広範囲に応用することができる。
【符号の説明】
【0031】
20 ヒンジ部
21 第1ウィングプレート
211 第1スリーブナックル
22 第2ウィングプレート
221 第2スリーブナックル
222 結合部材
23 第1スリーブ
231 ピン接触面
233 第1カム
24 第2スリーブ
241 ピン接触面
242 スライドスロット
25 ストップピン
30 トルク提供部
31 ピボット
311 突起
312 スロット
313 カム部
32 トルクスプリング
321 スタンド
322 第2スタンド
40 トルク調節部
42 トルク調節部材
421 第2カム
422 スロット
423 調節孔
43 スプリング
50 速度調節部
52 速度調節部材
521 調節孔
522 ねじ切り部
53 弾性部材
54 カム部材
541 ガイドブロック
542 カム接触面
543 位置決めスロット
544 第2位置決めスロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12