(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配電線に対して直列に挿入される電磁スイッチと配電線の電圧または電流を計測する少なくとも一つのセンサとを含む複数の構成要素がケース内に収容され、前記ケース内の構成要素と開閉器子局との間をつなぐケーブルを接続するために設けられていて前記複数の構成要素のそれぞれの両端に接続された端子を含む端子群を有する開閉器側メタルコンセントが前記ケースに取り付けられている配電線用開閉器の前記複数の構成要素を検査対象物として前記ケースの外部から前記開閉器側メタルコンセントを通して検査を行う配電線用開閉器の検査装置であって、
前記開閉器側メタルコンセントの各端子に対応する端子からなる端子群を有して前記開閉器子局が外された状態で前記開閉器側メタルコンセントに検査用ケーブルを通して接続される検査側メタルコンセントと、
一対の測定端子を有して、測定モードを少なくとも電圧測定モードと抵抗値測定モードとに切換えることが可能なテスタと、
前記テスタの一対の測定端子と前記検査側メタルコンセントの端子群との間に設けられて、前記テスタの一対の測定端子を前記検査側メタルコンセントと前記検査用ケーブルと前記開閉器側メタルコンセントとを通して前記複数の検査対象物のそれぞれの両端に切換え接続するべく前記一対の測定端子と前記検査側メタルコンセントの端子群との間の接続を切り換える切換えスイッチと、
前記検査側メタルコンセントと前記テスタと前記切換えスイッチとを支持した共通のフレームと、
を具備し、
前記切換スイッチは、前記テスタと前記検査側メタルコンセントの端子群との間に設けられて前記テスタの一方の測定端子を前記検査用ケーブルと開閉器側メタルコンセントとを通して前記複数の検査対象物のそれぞれの一端に接続されることになる前記検査側メタルコンセントの複数の端子に切換え接続する第1の切換えスイッチエレメントと、前記テスタと前記検査側メタルコンセントの端子群との間に設けられて前記テスタの他方の測定端子を前記検査用ケーブルと開閉器側メタルコンセントとを通して前記複数の検査対象物のそれぞれの他端に接続されることになる前記検査側メタルコンセントの複数の端子に切換え接続する第2の切換えスイッチエレメントとからなり、
前記第1の切換えスイッチエレメント及び第2の切換えスイッチエレメントは、連動して動作するように設けられて、同じ切換え位置にあるときに前記テスタの一対の測定端子を前記検査側メタルコンセントと検査用ケーブルと開閉器側メタルコンセントとを通して同じ検査対象物の一端及び他端に電気的に接続するように構成されていること、
を特徴とする配電線用開閉器の検査装置。
【背景技術】
【0002】
配電系統においては、例えば特許文献1に示されているように、事故時や作業時の停電範囲を縮小したり、事故区間を健全区間から切り離したりするために、配電線に区分開閉器を接続して、配電線を複数の区間に区分している。また各区分開閉器の制御と、変電所等に設置された親局との間の通信とを行わせるため、各開閉器に対して開閉器子局を設けて、各開閉器と開閉器子局との間をケーブルにより接続している。開閉器子局は、電力会社の営業所に設置された親局等、上位の局から与えられる指令に応じてスイッチの投入及び開放を制御する他、開閉器の設置箇所における系統の情報を親局に送信したり、親局と他の開閉器子局との間で行われる通信の中継を行ったりする。
【0003】
配電用開閉器は、基本的には、配電線に対して直列に接続される電磁スイッチと該電磁スイッチの投入コイルに励磁電流を供給する操作回路とを備えた開閉器であるが、最近では、配電線用開閉器に事故検出機能を持たせるために、各種のセンサを内蔵することが多くなっている。
【0004】
例えば特許文献1に示された区分開閉器では、負荷電流を開閉するために配電線に対して直列に接続される電磁スイッチの他に、地絡事故発生時に流れる零相電流を検出する零相変流器(ZCT)と、地絡事故時に発生する零相電圧を検出する零相電圧変成器(ZPD)と、過電流を検出する変流器とを、配電線の状態を検出するセンサとしてケース内に収容している。
【0005】
配電系統においては、変電所等に設置された電力会社の営業所に設置された親局等の上位の局と各開閉器の設置箇所との間の通信と、上位の局からの指令に基づく各開閉器の制御とを行わせるため、各配電用開閉器に対して開閉器子局を設けて、各開閉器と開閉器子局との間を接続ケーブルにより接続している。開閉器子局は、上位の局から与えられる指令に応じて開閉器の投入及び開放を制御する他、開閉器の設置箇所における系統の情報を上位の局に送信したり、上位の局と他の開閉器子局との間で行われる通信の中継を行ったりする。
【0006】
配電線用開閉器を制御するためには、開閉器子局の電源電圧と、設置点(区分点)の両側の配電線電圧の情報とを得るために、設置点の両側の2相間の配電線電圧を取り込む第1及び第2の電源トランスを必要とする。特許文献1に示された区分開閉器では、これらの電源トランスを開閉器のケース外に設けているが、これらの電源トランスを開閉器のケース内に内蔵する場合もある。
【0007】
各区分開閉器に開閉器子局を接続するため、配電線用開閉器のケースには、該ケース内に収容された零相変流器や零相電圧変成器等の各種センサの出力を取り出すための複数の端子を有する計測用メタルコンセントと、電磁スイッチの操作回路につながる複数の端子を有する操作用メタルコンセントとが開閉器側メタルコンセントとして取り付けられ、開閉器子局に一端が接続された計測用ケーブル及び操作用ケーブルのそれぞれの他端に取り付けられたプラグが、上記操作用メタルコンセント及び計測用メタルコンセントに接続されることにより、開閉器と開閉器子局との間が接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
配電線用開閉器においては、電磁スイッチと共にケース内に収容された零相変流器や零相電圧変成器等のセンサの出力を子局側で測定して、開閉器の異常の有無を検出するようにしている。開閉器が正常に動作している場合には特に問題がないが、配電線に異常がない状態で、開閉器が異常動作をした場合には、その原因が開閉器側にあるのか、子局側にあるのかを特定する必要がある。また保守点検時には、開閉器の構成要素の状態を検査する必要がある。
【0010】
配電用開閉器の内部に異常があるか否かを検査する場合、従来は、開閉器から子局を外した後、作業者がテスタの一対の測定端子を手で持って、両測定端子を開閉器のケースに取り付けられたメタルコンセントの多数の端子群の中から選択した所定の端子に接触させることにより、センサの出力チェックや、構成要素の抵抗値の測定、或いは導通テストなどを行っていた。しかしながら、各種のセンサを内蔵した開閉器に設けられているメタルコンセントは、非常に多くの端子を有しているため、上記のような方法で開閉器の検査を行った場合、テスタの測定端子を当てる箇所を誤って、検査を正しく行うことができないおそれがあった。またテスタの測定端子を手で持ってメタルコンセントの端子に接触させた場合には、その接触抵抗が不安定であるため、抵抗値の測定や電圧の測定を正確に行うことができないおそれがあった。
【0011】
更に、メタルコンセントの多数の端子の中から選択した一対の端子に、テスタの一対の測定端子を当てる作業は、両手作業で行う必要があるため、開閉器の設置箇所によっては困難を伴うことがあった。特に開閉器が装柱されている場合には、高所での作業となるため、両手作業でテスタの測定端子を扱うことは危険であった。
【0012】
なお開閉器子局が、開閉器内のセンサの出力を測定する機能と、測定したデータを通信により外部に送信する機能とを有していて、子局が計測している計測値を通信により外部に取り出すことができる場合には、パソコンを用いて子局との間で通信を行って計測値のデータを取得することにより、異常が開閉器側にあるのか、子局側にあるのかを解析することが可能である。しかしながら、子局が計測データを外部に送信する機能を有していない場合にはこのような方法をとることができず、開閉器の検査は、メタルコンセントを通して直接行わざるを得ない。
【0013】
本発明の目的は、変流器や電圧変成器等のセンサの出力のチェックや、抵抗値の測定、導通チェック等の検査を、テスタの測定端子を手で持ってメタルコンタクトに接触させる作業を伴うことなく、かつ検査箇所を誤るおそれを生じさせることなく行うことができるようにした配電線用開閉器の検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、区分開閉器等として用いる配電線用開閉器の検査を行う検査装置に係わるものである。本発明に係わる検査装置により検査を行う開閉器は、配電線に対して直列に挿入される電磁スイッチと配電線の電圧または電流を計測する少なくとも一つのセンサとを含む複数の構成要素をケース内に収容した構成を有するものである。ケースには、その内部の構成要素と開閉器子局との間をつなぐケーブルを接続するために、複数の構成要素のそれぞれの両端に接続された端子を含む端子群を有する開閉器側メタルコンセントが取り付けられている。本発明に係わる検査装置は、上記のような配電線用開閉器のケース内の複数の構成要素を検査対象物として、これらの検査対象物のテスタによる検査を、ケースの外部から開閉器側メタルコンセントを通して行うものである。
【0015】
本発明においては、開閉器側メタルコンセントの各端子に対応する端子からなる端子群を有して開閉器子局が外された状態で開閉器側メタルコンセントに検査用ケーブルを通して接続される検査側メタルコンセントと、一対の測定端子を有して、測定モードを少なくとも電圧測定モードと抵抗値測定モードとに切換えることが可能なテスタと、テスタと検査側メタルコンセントの端子群との間に設けられて、テスタの一対の測定端子を検査側メタルコンセントと検査用ケーブルと開閉器側メタルコンセントとを通して複数の検査対象物のそれぞれの両端に切換え接続するべくテスタの一対の測定端子と検査側メタルコンセントの端子群との間の接続を切り換える切換えスイッチとを設けて、これら検査側メタルコンセント、テスタ及び切換えスイッチを共通のフレームに支持した。
【0016】
上記のように構成すると、テスタの測定端子を手で持って開閉器のメタルコンタクトの端子にいちいち接触させる作業を行うことなく、かつ検査箇所を誤るおそれを生じさせることなく、変流器や電圧変成器等のセンサの出力のチェックや、抵抗値の測定、導通チェック等の検査を行うことができる。
【0017】
また上記のように構成すると、テスタの測定端子はメタルコンセントを通して開閉器の各検査対象物に確実に接続されるので、測定端子を手で持ってメタルコンセントの端子に接触させる場合のように、測定端子と検査対象物との電気的な接続状態が不安定になって抵抗値の測定に誤差が生じたり、電圧の測定誤差が大きくなったりするのを防ぐことができ、検査を正確に行うことができる。
【0018】
本発明においてはまた、上記切換スイッチ
が、テスタと検査側メタルコンセントの端子群との間に設けられてテスタの一方の測定端子を検査用ケーブルと開閉器側メタルコンセントとを通して複数の検査対象物のそれぞれの一端に接続されることになる検査側メタルコンセントの複数の端子に切換え接続する第1の切換えスイッチエレメントと、テスタと検査側メタルコンセントの端子群との間に設けられてテスタの他方の測定端子を検査用ケーブルと開閉器側メタルコンセントとを通して複数の検査対象物のそれぞれの他端に接続されることになる検査側メタルコンセントの複数の端子に切換え接続する第2の切換えスイッチエレメントとにより構成
される。第1の切換えスイッチエレメント及び第2の切換えスイッチエレメントは、連動して動作するように設けられて、同じ切換え位置にあるときにテスタの一対の測定端子を検査側メタルコンセントと検査用ケーブルと開閉器側メタルコンセントとを通して同じ検査対象物の一端及び他端に電気的に接続するように構成される。
【0019】
本発明の好ましい態様では、検査の対象とする開閉器が、零相変流器と零相電圧変成器と過電流検出用変流器とをセンサとして備えている場合に、零相変流器、零相電圧変成器及び過電流検出用変流器をそれぞれ検査対象物とする際に一対の測定端子間に接続される負担抵抗が、切換えスイッチと前記検査側メタルコンセントの端子群との間に設けられている。
【0020】
上記のように負担抵抗を設けておくと、零相変流器、零相電圧変成器及び過電流検出用変流器の出力電圧のチェックを正確に行うことができる。
【0021】
本発明の好ましい態様では、切換スイッチを切換え操作する操作部の近傍に、切換えスイッチが各切換え位置にあるときにテスタの測定端子に接続されることになる検査対象物の種別を示す表示が設けられている。
【0022】
上記のような表示を設けておくと、テスタに接続されている検査対象物が何であるかを作業者に知らせることができるため、各検査対象物に対する検査項目を誤るおそれを無くすことができる。
【0023】
本発明の他の好ましい態様では、上記テスタが、フレームに着脱可能に取り付けられる。
【0024】
テスタをフレームに着脱可能に取り付けておくと、テスタをフレームから外して単独で使用することもできる。また検査の際に測定のレンジが異なる複数種類のテスタを必要とする際に、テスタの交換を容易に行うことができる。テスタとしては、所定の精度を有する汎用のテスタ(マルチメータ)を用いることができる。
【0025】
本発明が検査の対象とする開閉器のケース側に取り付けられている開閉器側メタルコンセントは、単一のメタルコンセントからなっていてもよく、複数のメタルコンセントからなっていてもよい。
【0026】
多くの場合、開閉器に開閉器子局を接続するために設けられる開閉器側メタルコンセントは、センサの出力を取り出して子局に与えるための端子群を有する開閉器側計測用メタルコンセントと、電磁スイッチの操作回路につながる端子群を有する開閉器側操作用メタルコンセントとの2つのメタルコンセントにより構成される。開閉器のケース内に、配電線の2相間の電圧を取り込む電源トランスが内蔵される場合には、開閉器側操作用メタルコンセントに、操作回路につながる端子と共に、電源トランスの出力端子につながる端子群が設けられる。上記のように、開閉器側メタルコンセントが、開閉器側計測用メタルコンセントと開閉器側操作用メタルコンセントとの2つのメタルコンセントからなる場合には、開閉器側計測用メタルコンセント及び開閉器側操作用メタルコンセントにそれぞれ対応する検査側計測用メタルコンセント及び検査側操作用メタルコンセントにより検査側メタルコンセントを構成するのが好ましい。
【0027】
また開閉器のケース内に電源トランスが内蔵される場合と内蔵されない場合との双方に対応し得るようにするために、検査装置側に設ける検査側操作用メタルコンセントとして、開閉器のケース内に電源トランスが内蔵される場合に対応する第1の検査側操作用メタルコンセントと、開閉器のケース内に電源トランスが内蔵されない場合に対応する第2の検査側操作用メタルコンセントとの2つの検査側操作用メタルコンセントを設けておくのが好ましい。このように構成しておくと、ケース内に電源トランスを内蔵した開閉器と、ケース内に電源トランスを設けない開閉器との双方の型式の開閉器の検査を同じ検査装置を用いて行うことができるため、検査装置の汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、変流器や電圧変成器等のセンサの出力のチェックや、抵抗値の測定、導通チェック等の検査を、テスタの測定端子をメタルコンタクトにいちいち接触させる作業を伴うことなく、かつ検査箇所を誤ったり検査項目を誤ったりするおそれを生じさせることなく行うことができる。
【0029】
また本発明によれば、テスタの測定端子をメタルコンセントを通して開閉器の各検査対象物に確実に接続することができるので、測定端子を手で持ってメタルコンセントの端子に接触させる場合のように、測定端子と検査対象物との電気的な接続状態が不安定になって抵抗値の測定に誤差が生じたり、電圧値の測定誤差が大きくなったりするのを防ぐことができ、検査を正確に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1ないし
図3は、本発明の一実施形態に係わる検査装置の外観と、同検査装置により検査を行う配電線用開閉器の外観の一例とを示している。
図1において、1は区分開閉器として用いることができるように構成された配電線用開閉器、2は本発明に係わる検査装置である。開閉器1は、配電線を流れる負荷電流を開閉する電磁スイッチと、この電磁スイッチの操作回路と、零相変流器、零相電圧変成器及び過電流検出用変流器等のセンサと、配電線電圧を取り込む電源変圧器とを含む構成要素を金属製のケース101内に収容した構造を有する。ケース101は下端が開口した上部ケース101Aと、上端が開口した下部ケース101Bとからなっていて、上部ケース101Aの下端に下部ケース101Bの上端を嵌合させて、両ケース101A,101Bを、ボルト及びナットからなる締結手段102で締結した連結部103により連結した構造を有する。このケース101は、その内圧が過度に上昇したときに、上部ケースと下部ケースとの連結部103を変形させて、両ケースの間に隙間を形成することにより、下部ケースを落下させることなく、内圧を開放する機能を有する。
【0032】
上部ケース101Aの相対する側壁には、区分点の両側の配電線が接続される3相のブッシング端子104u〜104w及び105u〜105wが取り付けられている。ブッシング端子104u〜104w及び105u〜105wは、、装柱された状態でそれぞれの軸線が水平方向に向くように配置されて、それぞれの基部が上部ケース101Aの相対する側壁を貫通した状態で、ケース101に取り付けられている。ブッシング端子104u〜104w及び105u〜105wの中心導体は、ケース101内で、
図1には示されていない電磁スイッチを通して相互に接続されている。
【0033】
上部ケース101Aの前面側の側壁の下部には、開閉器側メタルコンセントとして、開閉器側計測用メタルコンセント111と、開閉器側操作用メタルコンセント112とが取り付けられている。これらのメタルコンセントはいずれもレセプタクルからなっていて、金属製のコンセントハウジング内に、ケース101内に収容された構成要素につながる多数の端子(雄端子またな雌端子)からなる端子群を備えた構造を有している。開閉器側計測用メタルコンセント111及び開閉器側操作用メタルコンセント112にはそれぞれ、開閉器1の近傍に装柱された図示しない開閉器子局に一端が接続された計測用ケーブル及び操作用ケーブルの他端に接続されたメタルコンセントのプラグが接続され、これら計測用ケーブル及び操作用ケーブルを通して、開閉器1と図示しない開閉器子局との間が接続される。計測用ケーブルは、センサの信号を伝送するのに適したシールド被覆を有するケーブルであり、操作用ケーブルは、電源トランスから開閉器子局に供給する電流や、開閉器子局から操作回路に供給する電流を損失なく流すことができるケーブルである。
【0034】
開閉器側計測用メタルコンセント111は、ケース101内に収容されたセンサの出力を取り出して開閉器子局に与えるために設けられたものである。このメタルコンセント111に設けられた端子群には、ケース101内に収容された零相変流器、零相電圧変成器及び過電流検出用変流器のそれぞれの出力端子が、所定の配線を通して接続されている。
【0035】
開閉器側操作用メタルコンセント112は、電磁スイッチの投入コイルへの励磁電流の供給を制御する操作回路を開閉器子局に接続すると共に、区分点の両側の配電線の2相間の電圧を降圧して、子局に電源電圧と区分点の両側の配電線電圧の情報とを与える単相の第1及び第2の電源トランスの出力端子を開閉器子局に接続するために設けられたもので、このメタルコンセント112に設けられた端子群には、ケース101内に収容された操作回路と、第1及び第2の電源トランスの出力端子とが接続されている。
【0036】
本実施形態では、開閉器のケース101内に第1及び第2の電源トランスが収容されているが、開閉器によっては、これらの電源トランスが、ケース101の外部に配置される場合もある。電源トランスがケース101の外部に配置される場合には、開閉器側操作用メタルコンセント112として、電磁スイッチの操作回路が接続された端子群のみを備えたものが用いられる。即ち、開閉器のケース内に電源トランスが収容される場合と、収容されない場合とで、開閉器側操作用メタルコンセント112の端子数が相違する。
【0037】
上記のように、定常時には、開閉器1のケース101に取り付けられたメタルコンセント111及び112に開閉器子局につながる計測用ケーブル及び操作用ケーブルが接続されているが、開閉器1の検査を行う際には、開閉器1のメタルコンセント111及び112に、開閉器子局に代えて、本発明に係わる検査装置2を、第1及び第2の検査用ケーブル3及び4を通して接続する。
【0038】
第1の検査用ケーブル3は、開閉器1内のセンサと開閉器子局との間を接続するために用いる計測用ケーブルと同様に、センサの信号を伝送するのに適したケーブルであり、第2の検査用ケーブル4は、開閉器1内の電源トランス及び操作回路と開閉器子局との間を接続するために用いる操作用ケーブルと同様に、電源トランスから開閉器子局に供給する電流や、開閉器子局から操作回路に供給する電流を大きな損失を生じさせることなく流すのに適したケーブルである。検査装置2を開閉器1に接続する際に用いる第1及び第2の検査用ケーブル3及び4としては、開閉器1と開閉器子局との間を接続していた計測用ケーブル及び操作用ケーブルをそのまま用いるようにしてもよく、検査装置2を接続するために用意された専用のケーブルを用いるようにしてもよい。
【0039】
図1ないし
図3に示された検査装置2は、開閉器側メタルコンセント111及び112の各端子に対応する端子からなる端子群を有して、開閉器子局が外された状態で開閉器側メタルコンセント111及び112に検査用ケーブル3及び4を通して接続される検査側メタルコンセント201及び202と、ピン状の一対の測定端子211,212を有して、測定モードを少なくとも電圧測定モードと抵抗値測定モードとに切換えることが可能なテスタ210と、テスタ210の一対の測定端子211,212と検査側メタルコンセント201,202の端子群との間に設けられて、テスタ210の一対の測定端子211,212を検査側メタルコンセント201,202と検査用ケーブル3,4と開閉器側メタルコンセント111,112とを通して開閉器1のケース内の複数の検査対象物のそれぞれの両端に切換え接続するべく、一対の測定端子211,212と検査側メタルコンセント201,202の端子群との間の接続を切り換える切換えスイッチ220とを、共通のフレーム230に支持した構造を有する。
【0040】
検査装置2に設けられた検査側メタルコンセント201,202のうち、201は開閉器側計測用メタルコンセント111に対応する検査側計測用メタルコンセントであり、202は、開閉器側操作用メタルコンセント112に対応する及び検査側操作用メタルコンセントである。本実施形態では、検査側操作用メタルコンセント202として、検査の対象とする開閉器1のケース101内に、配電線の2相間の電圧を取り込む電源トランスが内蔵される場合に開閉器1のケースに取り付けられる開閉器側操作用メタルコンセント112に対応する第1の検査側操作用メタルコンセント202Aと、検査の対象とする開閉器1のケース101内に、配電線の2相間の電圧を取り込む電源トランスが内蔵されない場合に開閉器1のケース101に取り付けられる開閉器側操作用メタルコンセント112に対応する第2の検査側操作用メタルコンセント202Bとの2つの検査側操作用メタルコンセントが設けられている。開閉器1に電源トランスが内蔵されているか否かに応じて、第1及び第2の検査側操作用メタルコンセント202A及び202Bの何れかが使用される。本実施形態では、開閉器1のケース101内に電源トランスが内蔵されているので、第1の検査側操作用メタルコンセント202Aが使用される。使用しない方の検査側操作用メタルコンセント202Bには、端子群を保護するカバー205を取り付けておく。
【0041】
テスタ210は、直方体状のハウジング213内に測定回路を収容した汎用のテスタで、ハウジング213の表面には、測定モードを切換える際に操作される回転型の切換えレバー214と、計測値をデジタル表示する液晶ディスプレイパネル215とが設けられ、ハウジング213の長手方向の一端からコード216,217を通して一対の測定端子211,212が導出されている。
【0042】
図示のフレーム230は、直方体状を呈する第1の箱状部分230aと、この第1の箱状部分230aに隣接する位置に、該第1の箱状部分よりも大きな厚み寸法を持って形成された第2の箱状部分230bとを一体に有して、第1の箱状部分230aと第2の箱状部分230bとの間に段差230cを形成した中空の箱体からなっている。図示のフレーム230においては、第1の箱状部分230aと第2の箱状部分230bとの間にテスタ210を収容する凹所が形成されていて、この凹所にテスタ210が配置され、テスタ210に外嵌めされたコの字形の固定金具231の両端がネジ232によりフレーム230に締結されることにより、テスタ210がフレーム230に、着脱が可能な状態で固定されている。このようにテスタ210をフレームに取り付けた状態で、テスタ210のハウジングの表面とフレーム230の第2の部分230bの表面230b1とがほぼ面一をなすように、フレーム230の第1の部分230aと第2の部分230bとの間の段差230cの高さが設定されている。
【0043】
フレーム230の第1の箱状部分230aの端部には、テスタ210の一対の測定端子(ピン状の端子)211及び212が接続される一対の雌型のコネクタ(特に図示せず。)が取り付けられ、テスタの一対の測定端子211,212がこれらのコネクタを通して、フレーム230内で切換えスイッチ220に接続されるようになっている。
【0044】
フレーム230の第2の箱状部分230bの表面230b1側に検査側メタルコンセント201が取り付けられ、第2の箱状部分230bの第1の箱状部分230aと反対側の端面側に検査側操作用メタルコンセント202A及び202Bが取り付けられている。
【0045】
電柱上のような高所での点検作業を行う際には、作業者の両手を空けるために、点検装置2を作業者の首から吊下げておくのが好ましい。そのため、図示の例では、フレーム230の第2の箱状部分230b側の端部に、作業者が検査装置2を首から吊下げる際に用いる吊り紐240が取り付けられている。
【0046】
切換えスイッチ220は、カムの回転に伴って多数の接点を開閉する手動操作型のカムスイッチからなっていて、カムの操作軸をフレーム230の第2の箱状部分230bの表面から外部に突出させた状態でフレーム230に取り付けられ、その操作軸に操作レバー221が取り付けられている。切換えスイッチ220の操作レバー(操作部)221の近傍には、切換えスイッチ220が各切換え位置にあるときにテスタ210の測定端子に接続されることになる検査対象物の種別を示す表示が設けられている。図示の例では、フレーム230の第2の箱状部分230bの表面に表示パネル222が貼り付けられていて、操作レバー221が各切換え位置にあるときに操作レバー221の先端が指し示す位置に位置させて、表示パネル222上に、各切換え位置でテスタの測定端子に接続されることになる検査対象物の種別を示す表示(ZCT,ZPD、CT等の表示)が印刷されている。
【0047】
後述するように、本実施形態では、切換えスイッチ220が、テスタの一方の測定端子211を検査側メタルコンセント201及び202Aの端子群に切換え接続する第1の切換えスイッチエレメントと、テスタの他方の測定端子212を検査側メタルコンセント201及び202Aの端子群に切換え接続する第2の切換えスイッチエレメントとからなっていて、これらのスイッチエレメントが連動して切換え動作を行うことにより、テスタ210の一対の測定端子211,212を、検査側メタルコンセント201,202と検査用ケーブル3,4と開閉器側メタルコンセント111,112とを通して開閉器のケース内の複数の検査対象物のそれぞれの両端に切換え接続するべく、一対の測定端子211,212と、検査側メタルコンセント201,202の端子群との間の接続を切り換える。
【0048】
次に
図4を参照して、開閉器1の電気的な構成と、切換えスイッチ220と、該切換スイッチの接点をテスタ210の測定端子211,212が接続されるコネクタと検査側メタルコンセントの端子群とに接続する配線とにより、フレーム230の内側に構成される切換え回路の構成を説明する。
【0049】
図4に示された開閉器1は、負荷電流を開閉するスイッチとして、三相の電磁スイッチ10u,10v及び10wを備えている。これらのスイッチはケース101内に配置されていて、それぞれの一端は、配線11u、11v及び11wとブッシング端子104u,104v及び104wとを通して区分点の両側の配電線のうちの一方の配電線に接続される。また電磁スイッチ10u,10v及び10wの他端は、配線12u、12v及び12wとブッシング端子105u,105v及び105wとを通して区分点の両側の配電線のうちの他方の配電線に接続される。
【0050】
配線11u〜11wには、零相変流器ZCTが取り付けられ、このZCTの一端はケース101内に設けられたアースライン13に接続されている。また配線12u〜12wには、零相電圧変成器ZPDが接続され手いる。ZPDは、一端が配線12u〜12wに接続され、他端が共通接続されたコンデンサCu,Cv,Cwと、コンデンサCuないしCwの共通接続点とアースライン13との間に接続されたコンデンサC1とからなるコンデンサ分圧回路と、コンデンサC1の両端に一次コイルが接続された計器用電圧変成器PTとからなっていて、その二次コイルの一端はアースライン13に接続されている。
【0051】
過電流を検出するため、U相及びW相の配電線を流れる電流を検出する過電流検出用変流器CTu及びCTwが配線12u及び12wに装着され、これらの変流器の一端は、アースライン13に接続されている。
【0052】
ケース101内にはまた、電磁スイッチ10uないし10wの両側で、配電線の2相間の電圧を取り込む第1の電源トランスTR1及び第2の電源トランスTR2と、電磁スイッチ10uないし10wを投入する際に励磁される投入コイル42Cと、電磁スイッチ10uないし10wの投入が完了した時に励磁される保持コイル42Hと、電磁スイッチ10uないし10wがオン状態にされたとき及びオフ状態にされたときにそれぞれ機械的にオン状態及びオフ状態にされる常開形の補助接点42aと、電磁スイッチ10uないし10wがオン状態にされたとき及びオフ状態にされたときにそれぞれ機械的にオフ状態及びオン状態にされる常閉形の補助接点42bとが収容されている。補助接点42aは、常に電磁スイッチ10u〜10wと同じ状態をとる接点で、電磁スイッチ10u〜10wの状態を検出するために設けられている。
【0053】
第1の電源トランスTR1の一次コイルは、U相及びW相の配電線につながる配線11u及び11wに接続され、第2の電源トランスTR2の一次コイルは、U相及びW相の配電線につながる配線12u及び12wに接続されている。第1の電源トランスTR1及び第2の電源トランスTR2の二次コイルの一端はアースライン13に接続されている。
【0054】
図示の例ではまた、ケース101内に、配線11uないし11wとアースライ13との間、及び配線12uないし12wとアースライン13との間に接続された避雷器LAが収容されている。アースライン13は、アース線14を通して接地される。
【0055】
開閉器のケース101には、開閉器側計測用メタルコンセント111と、開閉器側操作用メタルコンセント112とが取り付けられている。開閉器側計測用メタルコンセント111は、丸数字の1ないし7で端子番号を付して示した1番から7番までの7個の端子からなる端子群を備えていて、この開閉器側計測用メタルコンセント111の1番の端子がアースライン13に接続され、2番の端子及び3番の端子がそれぞれ変流器CTwの非接地側の端子及び変流器CTuの非接地側端子に接続されている。また開閉器側計測用メタルコンセント111の4番の端子及び5番の端子はそれぞれ、ZCTの非接地側端子及びZPTの非接地側出力端子に接続され、開閉器側計測用メタルコンセント111の6番の端子及び7番の端子は、アースライン13に接続されている。
【0056】
開閉器側操作用メタルコンセント112は、丸数字の1ないし7で端子番号を付して示した1番から7番までの7個の端子からなる端子群を備えていて、このメタルコンセントの1番の端子には保持コイル42Hと接点42bとの並列回路の一端が接続され、2番の端子には接点42aの一端が接続されている。メタルコンセント112の3番の端子には、投入コイル42Cの保持コイル42Hと反対側の端子が接続され、4番の端子に接点42aの他端が接続されている。即ち、1番の端子ないし4番の端子に電磁スイッチの操作回路が接続されている。
【0057】
開閉器側操作用メタルコンセント112の5番の端子及び6番の端子はそれぞれ、電源トランスTR1の二次コイルの非接地側端子及び電源トランスTR2の二次コイルの非接地側端子に接続され、7番の端子は、アースライン13に接続されている。
【0058】
図4に示されたメタルコンセント112′は、ケース101内に電源トランスTR1及びTR2が設けられない場合に、メタルコンセント112に代えてケース101に取り付けられる開閉器側操作用メタルコンセントである。このメタルコンセント112′は、電源トランスTR1及びTR2に接続される5番ないし7番の端子を必要としないため、1番の端子ないし4番の端子のみを有している。メタルコンセント112に代えてメタルコンセント112′がケース101に取り付けられる場合、メタルコンセント112′の1番の端子ないし4番の端子は、
図4においてメタルコンセント112の1番の端子ないし4番の端子が接続されている箇所と同じ箇所に接続される。
【0059】
検査装置2のフレーム230には、検査側計測用メタルコンセント201と、検査側操作用メタルコンセント202Aと、第2の検査側操作用メタルコンセント202Bとが取り付けられている。検査側計測用メタルコンセント201は、開閉器側計測用メタルコンセント111の1番の端子から6番の端子にそれぞれ対応する1番から6番の端子を有しており、第1の検査側操作用メタルコンセント202Aは、開閉器側操作用メタルコンセント112の1番から7番の端子にそれぞれ対応する1番ないし7番の端子を有している。また開閉器のケール内に電源トランスTR1及びTR2が内蔵されない場合に使用される第2の検査側操作用メタルコンセント202Bは、電源トランスTR1及びTR2に接続される端子群を必要としないため、1番ないし4番の端子のみを有している。
【0060】
切換えスイッチ220は、互いに連動して切換え動作を行う第1の切換えスイッチエレメント220Aと、第2の切換えスイッチエレメント220Bとを有している。各切換えスイッチエレメントは、図において1番の番号が付された可動接点と、2ないし9の番号が付された2番ないし9番の固定接点とを有していて、操作レバー221を回転させることにより、可動接点を2番ないし9番の固定接点に接触させることができるようになっており、操作レバー221が各切換え位置にあるときに、テスタの一対の測定端子211及び212が、検査側メタルコンセント201,202と検査用ケーブル3,4と開閉器側メタルコンセントと111,112とを通して同じ検査対象物の一端及び他端に電気的に接続されるようになっている。
【0061】
第1及び第2の切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点はそれぞれテスタの測定端子211及び212に接続されている。第1の切換えスイッチエレメント220Aの2番ないし4番の固定接点は検査側計測用メタルコンセント201の1番の端子に共通接続され、第1の切換えスイッチエレメント220Aの5番の固定接点は検査側計測用メタルコンセント201の6番の端子に接続されている。また第1の切換えスイッチエレメント220Aの6番の固定接点及び7番の固定接点はそれぞれ、第1の検査側操作用メタルコンセント202Aの3番の端子及び4番の端子に接続され、8番及び9番の固定接点は、第1の検査側操作用メタルコンセント202Aの7番の端子に共通接続されている。
【0062】
また第2の切換えスイッチエレメント220Bの2番ないし5番の固定接点はそれぞれ、検査側計測用メタルコンセント201の2番ないし5番の端子に接続され、第2の切換えスイッチエレメント220Bの6番の固定接点及び7番の固定接点はそれぞれ第1の検査側操作用メタルコンセント202Aの1番の端子及び2番の端子に接続されている。第2の切換えスイッチエレメント202Aの8番の固定接点及び9番の固定接点はそれぞれ第1の検査側操作用メタルコンセント202Aの5番の端子及び6番の端子に接続されている。
【0063】
第2の検査側メタルコンセント202Bの1番の端子ないし4番の端子はそれぞれ第1の検査側メタルコンセント202Aの1番の端子ないし4番の端子に接続されている。
【0064】
開閉器側計測用メタルコンセント111と、検査側計測用メタルコンセント201との間を接続する検査用ケーブル3は、絶縁被覆された6本の線心をシールド被覆したケーブルからなっていて、検査用ケーブル3の一端及び他端にはそれぞれ開閉器側計測用メタルコンセント111及び検査側計測用メタルコンセント201に接続されるプラグ301及び302が接続されている。プラグ301は、開閉器側計測用メタルコンセント111の1番ないし7番の端子にそれぞれ対応する1番ないし7番の端子を有し、プラグ302は、検査側計測用メタルコンセント201の1番ないし6番の端子に対応する1番ないし6番の端子を備えている。プラグ301の1番ないし6番の端子はそれぞれ検査用ケーブル3の6本の線心を通してプラグ302の1番ないし6番の端子に接続され、プラグ301の7番の端子はケーブル3のシールド被覆に接続されている。
【0065】
開閉器側操作用メタルコンセント112と、第1の検査側操作用メタルコンセント202Aとの間を接続する検査用ケーブル4は、絶縁被覆された7本の線心を有するケーブルからなっていて、検査用ケーブル4の一端及び他端にはそれぞれ開閉器側操作用メタルコンセント112及び第1の検査側操作用メタルコンセント202Aに接続されるプラグ401及び402が接続されている。プラグ401は、開閉器側操作用メタルコンセント112の1番ないし7番の端子にそれぞれ対応する1番ないし7番の端子を備え、プラグ402は、検査側操作用メタルコンセント202Aの1番ないし7番の端子にそれぞれ対応する1番ないし7番の端子を備えている。プラグ401の1番ないし7番の端子はそれぞれ検査用ケーブル4の7本の線心を通してプラグ402の1番ないし7番の端子に接続されている。
【0066】
検査対象とする開閉器が、電源トランスTR1及びTR2を内蔵していないために、1番ないし7番の端子を有する開閉器側操作用メタルコンセント112に代えて、1番ないし4番の端子を有する開閉器側操作用メタルコンセント112′が開閉器のケース101に取り付けられている場合には、メタルコンセント112′の1番ないし4番の端子にそれぞれ対応する1番ないし4番の端子を有するプラグ401′を一端に接続し、第2の検査側操作用メタルコンセント202Bの1番ないし4番の端子にそれぞれ対応する1番ないし4番の端子を有するプラグ402′を他端に接続した4心の検査用ケーブル4′を用いて、プラグ401′及び402′をそれぞれメタルコンセント112′及び202Bに接続することにより、開閉器内の操作回路を検査装置2に接続する。
【0067】
検査側計測用メタルコンセント201の1番の端子と2番の端子との間及び1番の端子と3番の端子との間にはそれぞれ開閉器側メタルコンセント111と検査側計測用メタルコンセント201との間を検査用ケーブル3により接続した際に変流器CTw及びCTuの出力端子間にそれぞれ接続される負担抵抗R1及びR2が接続され、検査側計測用メタルコンセント201の1番の端子と4番の端子との間には、開閉器側メタルコンセント111と検査側計測用メタルコンセント201との間を検査用ケーブル3により接続した際にZCTの出力端子間に接続される負担抵抗R3が接続されている。また検査側計測用メタルコンセント201の5番の端子と6番の端子との間には、開閉器側メタルコンセント111と検査側計測用メタルコンセント201との間を検査用ケーブル3により接続した際に零相電圧変成器ZPDの2次コイル間に接続される負担抵抗R4が接続されている。上記負担抵抗R1ないしR4の抵抗値の一例を挙げると、R1=R2=5Ω、R3=100Ω、R4=630Ωである。
【0068】
本実施形態では、開閉器1のケース101内に収容された構成要素のうち、零相変流器ZCTと、零相電圧変成器ZPDと、変流器CTu,CTwと、第1及び第2の電源トランスTR1及びTR2と、接点42a,42b、投入コイル42C及び保持コイル42Hにより構成される操作回路とを検査対象物として、これらの検査対象物を切換えスイッチ220によりテスタ210の測定端子211,212の間に接続することにより検査を行う。
【0069】
変流器CTwを検査対象物とする場合には、切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点を2番の固定接点に接触させて、変流器CTwの出力端子をテスタ210の測定端子間に接続し、テスタの測定モードを電圧測定モードとして、変流器CTwの出力電圧(負担抵抗R1の両端の電圧)を測定する。また変流器CTuを検査対象物とする場合には、切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点を3番の固定接点に接触させて、変流器CTuの出力端子をテスタ210の測定端子間に接続し、テスタの測定モードを電圧測定モードとして、変流器CTuの出力電圧(負担抵抗R2の両端の電圧)を測定する。
【0070】
零相変流器ZCTを検査対象物とする場合には、切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点を4番の固定接点に接触させて、零相変流器の出力端子をテスタ210の測定端子間に接続し、テスタの測定モードを電圧測定モードとして、零相変流器の出力電圧(負担抵抗R3の両端の電圧)を測定する。
【0071】
零相電圧変成器ZPDを検査対象物とする場合には、切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点を5番の固定接点に接触させて、零相電圧変成器に出力端子をテスタの測定端子間に接続し、テスタの測定モードを電圧測定モードとして、零相電圧変成器の出力電圧(負担抵抗R4の両端の電圧)を測定する。
【0072】
配電線が停電状態にある場合には、変流器CTu,CTw、零相変流器ZCT及び零相電圧変成器ZPDをそれぞれ検査する際に、テスタの測定モードを抵抗測定モードとして、それぞれの巻線抵抗をそれぞれの負担抵抗との合成抵抗として測定することもできる。
【0073】
操作回路の検査を行う場合には、配電線の停電時に切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点を6番の固定接点に接触させて、保持コイル42H及び接点42bの並列回路と投入コイル42Cとの直列回路をテスタの測定端子間に接続し、接点42bを閉じた状態と開いた状態とで抵抗値の測定を行うことにより、接点42b、投入コイル42C及び保持コイル42Hの状態をチェックする。また切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点を7番の固定接点に接触させて接点42aをテスタの測定端子間に接続した状態で抵抗値の測定を行うことにより接点42aの状態をチェックする。配電線に電圧が印加されている状態でも、接点42aの両端の電圧を測定することにより、接点42aの状態をチェックすることができ、投入コイル42Cと保持コイル42Hの両端の電圧を測定することにより、これらのコイルの状態をチェックすることができる。なお接点42a,42bのオンオフは、配電線が停電している状態にあれば、開閉器に設けられている手動操作ハンドル106を操作することにより強制的に行わせることができる。
【0074】
第1の電源トランスTR1を検査する場合には、切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点を8番の固定接点に接触させて、トランスTR1の2次巻線をテスタの測定端子間に接続し、テスタの測定モードを電圧測定モードとして、トランスTR1の出力電圧をチェックする。第2の電源トランスTR2を検査する場合には、切換えスイッチエレメント220A及び220Bの可動接点を9番の固定接点に接触させて、トランスTR2の2次巻線をテスタの測定端子間に接続し、テスタの測定モードを電圧測定モードとして、トランスTR2の出力電圧をチェックする。
【0075】
電源トランスが内蔵されていない開閉器の検査を行う場合には、当該開閉器のケースに取り付けられている開閉器側計測用メタルコンセント301及び開閉器側操作用メタルコンセント112′をそれぞれ検査装置2に設けられている検査側計測用メタルコンセント201及び検査側操作用メタルコンセント202Bに検査用ケーブル3及び4′を通して接続することにより、電源トランスのチェック以外の検査を行う。
【0076】
上記のように、検査側操作用メタルコンセント202としては、第1及び第2の検査側操作用メタルコンセント202A及び202Bを設けることが好ましいが、本発明は、検査側操作用メタルコンセント202として、第1及び第2の検査側操作用メタルコンセント202A及び202Bの双方を設ける場合に限定されるものではなく、第1の検査側操作用メタルコンセント202Aまたは第2の検査側操作用メタルコンセント202Bのいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0077】
上記の実施形態では、検査側メタルコンセントをフレーム230に直接支持しているが検査側メタルコンセントをケーブルを介してフレーム230に支持する(フレーム230内の回路から引き出されたケーブルの端部に検査側メタルコンセントを取り付ける)ようにしてもよい。
【0078】
上記の実施形態では、切換えスイッチとして回転操作型のものを用いたが、各検査対象物に対応する押ボタンを備えた押ボタン式の切換えスイッチを用いることもできる。