特許第5678270号(P5678270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678270
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】発電要素および二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20150205BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20150205BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20150205BHJP
   H01M 2/18 20060101ALI20150205BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M4/02 Z
   H01M10/0583
   H01M2/18 Z
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-166158(P2010-166158)
(22)【出願日】2010年7月23日
(65)【公開番号】特開2012-28187(P2012-28187A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2013年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】507317502
【氏名又は名称】エリーパワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】杉山 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】須田 裕一
【審査官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−117064(JP,U)
【文献】 特開2009−158406(JP,A)
【文献】 特開平07−335244(JP,A)
【文献】 特開2000−251923(JP,A)
【文献】 特開平10−223209(JP,A)
【文献】 特開2005−050681(JP,A)
【文献】 特開平09−017441(JP,A)
【文献】 特開昭58−206075(JP,A)
【文献】 特開2002−157997(JP,A)
【文献】 特開2009−140707(JP,A)
【文献】 特開2002−157990(JP,A)
【文献】 実開昭58−021964(JP,U)
【文献】 国際公開第2006/120959(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 2/18
H01M 4/02
H01M 10/0583
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇腹折りにより形成された折り目を含む折曲部を複数有するセパレータと、前記セパレータの各谷溝に配置され、かつ、前記セパレータを介して交互に配置されたそれぞれ少なくとも1枚以上の正極シートおよび負極シートとを備え、
前記正極シートは、シート状で方形状の正極集電体と、前記正極集電体の両面上にそれぞれ設けられた正極活物質層とを備え、
前記負極シートは、シート状で方形状の負極集電体と、前記負極集電体の両面上にそれぞれ設けられた負極活物質層とを備え、
前記正極集電体は、正極接続端子と接続するための正極接続部と、前記正極集電体の表面に前記正極活物質層が設けられていない正極活物質未塗工部と、を有し、
前記正極接続部は、前記正極集電体の第1の辺に設けられ、前記正極活物質未塗工部は、前記正極集電体の第2の辺に沿って設けられ、
前記負極集電体は、負極接続端子と接続するための負極接続部と、前記負極集電体の表面に前記負極活物質層が設けられていない負極活物質未塗工部と、を有し、
前記負極接続部は、前記負極集電体の第1の辺に設けられ、前記負極活物質未塗工部は、前記負極集電体の第2の辺に沿って設けられ、
前記正極活物質未塗工部は、前記正極シートの、前記折曲部に内包される端部および隣り合う2つの前記折曲部間に挟まれた端部のうち少なくとも一方に設けられ
前記負極活物質未塗工部は、前記負極シートの、前記折曲部に内包される端部および隣り合う2つの前記折曲部間に挟まれた端部のうち少なくとも一方に設けられたことを特徴とする発電要素。
【請求項2】
前記正極活物質未塗工部又は前記負極活物質未塗工部は、前記セパレータを挟んで対向する前記正極シートの面と前記負極シートの面のうち、少なくとも一方の面に設けられた請求項1に記載の発電要素。
【請求項3】
記セパレータを挟んで対向する前記正極シート及び前記負極シートの対向する端部の少なくとも一方に前記正極活物質未塗工部又は前記負極活物質未塗工部が形成された請求項1または2に記載の発電要素。
【請求項4】
前記正極活物質未塗工部又は前記負極活物質未塗工部は、前記正極集電体または前記負極集電体の端と、前記正極活物質層または前記負極活物質層の端との間隔が0.2mm以上3mm以下となるように設けられた請求項1〜3のいずれか1つに記載の発電要素。
【請求項5】
前記正極シートおよび前記負極シートは、方形状であり、
前記正極活物質未塗工部及び前記負極活物質未塗工部は、前記正極シートまたは前記負極シートの、前記折曲部に内包される端部と隣り合う2つの前記折曲部間に挟まれた端部との両方に設けられた請求項1〜4のいずれか1つに記載の発電要素。
【請求項6】
前記複数の折曲部は、折り目が実質的に平行になるように形成され、
前記正極シートおよび前記負極シートの長さは、セパレータの折り返し方向において実質的に同じである請求項1〜5のいずれか1つに記載の発電要素。
【請求項7】
前記正極シートおよび前記負極シートのうち少なくとも一方は、グラビア印刷、オフセット印刷またはスクリーン印刷により前記正極活物質層または前記負極活物質層が形成された長尺の金属箔を切断することにより形成された請求項1〜6のいずれか1つに記載の発電要素。
【請求項8】
前記正極集電体は、前記正極接続部が設けられた耳部を有し、
前記負極集電体は、前記負極接続部が設けられた耳部を有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の発電要素。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1つに記載の発電要素と、ケースと、正極接続端子と、負極接続端子と、有機電解液とを備え、
前記正極集電体は前記正極接続部で前記正極接続端子に接合し、前記負極集電体は前記負極接続部で前記負極接続端子に接合していることを特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電要素および二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウム二次電池などの二次電池は、様々な用途に用いられ、特に電気自動車用電源や電力貯蔵などの用途に用いられている。
二次電池の電池形態は、電極シートを渦巻状の状態でケースに収容した捲回構造を有するものと、方形状の電極シートを複数枚積層したスタック構造を有するものとに大別される。
一般的に、スタック構造を有する二次電池の発電要素は、正極シート、セパレータ、負極シートがこの順で積層されており、正極シートおよび負極シートは、それぞれ、正極接続端子および負極接続端子に接合されている。また、正極シートおよび負極シートは、金属箔などの両面に電極活物質層が形成されたものが用いられている。
正極シートおよび負極シートは、1枚の長尺の金属箔に電極活物質層を、金属箔と正極接続端子または負極接続端子を接続する部分を残して、それ以外の部分全面に塗工されたものを適宜必要な幅でカットして作成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−86731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のスタック構造を有する二次電池の発電要素では、電極活物質層が、正極接続端子または負極接続端子に接続するための接続部分以外の金属箔の全体に形成されているため、電極シートの端部にある電極活物質層の端部が製造過程の様々な応力により剥離・脱落しやすい。そして、電極活物質層が剥離・脱落することにより生じた微小破片が、セパレータと電極シートとの間に入り込み、電池の製造時や電池の充放電時に電極シートとセパレータとが圧接されるとセパレータは微小破片により傷つけられ、さらには貫通し正極シートと負極シートとの間に微少短絡電流が発生する原因となると考えられる。また、電極シートの端部がセパレータにより覆われている場合、この微小破片がセパレータと電極シートの間から排出されにくくなり、セパレータを傷つける可能性が高くなると考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、正極シートと負極シートとの間に短絡電流が流れることを抑制することができ、電気的特性が安定した発電要素を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、蛇腹折りにより形成された折り目を含む折曲部を複数有するセパレータと、前記セパレータの各谷溝に配置され、かつ、前記セパレータを介して交互に配置されたそれぞれ少なくとも1枚以上の正極シートおよび負極シートとを備え、前記正極シートは、正極集電体と、前記正極集電体の両面上にそれぞれ設けられた正極活物質層とを備え、前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の両面上にそれぞれ設けられた負極活物質層とを備え、前記正極集電体は、正極接続端子と接続するための接続部と、前記正極集電体の表面に前記正極活物質層が設けられていない活物質未塗工部と、を有し、前記負極集電体は、負極接続端子と接続するための接続部と、前記負極集電体の表面に前記負極活物質層が設けられていない活物質未塗工部と、を有し、前記活物質未塗工部は、前記正極シートもしくは前記負極シートの、前記折曲部に内包される端部および隣り合う2つの前記折曲部間に挟まれた端部のうち少なくとも一方に設けられたことを特徴とする発電要素を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、蛇腹折りにより折り目に形成された複数の折曲部を有するセパレータの各谷溝に正極シートまたは負極シート(以下、電極シートともいう)が配置されているため、正極シートと負極シートとの間に短絡電流が流れることをより確実に防止することができる。
本発明によれば、正極シートおよび負極シートのうち少なくとも一方は、正極集電体または負極集電体(以下、電極集電体ともいう)の表面に正極活物質層または負極活物質層(以下、電極活物質層ともいう)が形成されていない活物質未塗工部を有し、活物質未塗工部は、正極シートもしくは負極シートの前記折曲部に内包される端部、または正極シートもしくは負極シートの、隣り合う2つの前記折曲部間に挟まれた端部に設けられる。このため、活物質未塗工部を設けた電極シートは、製造工程における様々な応力がかかったとしても、端部において電極活物質層が剥離・脱落することを防止することができる。
【0007】
本発明によれば、電極シートは、電極集電体の表面に電極活物質層が形成されていない活物質未塗工部を有しているため、活物質未塗工部の電極集電体とセパレータとの間に空間を形成することができる。
活物質未塗工部を有しておらず、かつ、折曲部が電極シート端部を覆って存在する場合には、電極活物質層から生じた活物質の微小破片が電極シート端部からセパレータの外部に排出されにくく、微小破片が行き場を失い、電極活物質層とセパレータの間に入り込み留まるなどして微小短絡電流が流れる原因となっていた。しかし、この活物質未塗工部を設けた電極シートであれば、電極シートの端部がセパレータの折曲部により覆われていたとしても、この微小破片に対して電極シートとセパレータの間に形成された空間が緩衝領域として作用できるため、活物質の微小破片が電極シートとセパレータとの間に入り込み留まることを抑制し、活物質の微小破片がセパレータを傷つけることにより発生する微少短絡電流を抑制することができる。
【0008】
本発明によれば、活物質未塗工部を設けたことにより、電極集電体とセパレータとの間に空間を形成することができるため、この空間に電解液を溜める機能を有することができ、電極シートにおける有機電解液の枯渇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の二次電池の概略上面図である。
図2】本発明の一実施形態の二次電池の概略側面図である。
図3図1の点線A−Aにおける二次電池の概略断面図である。
図4】本発明の一実施形態の発電要素の構成を示した説明図である。
図5】(a)は本発明の一実施形態の発電要素に含まれる正極シートの概略平面図であり、(b)は(a)の点線C−Cの概略断面図である。
図6】(a)は本発明の一実施形態の発電要素に含まれる負極シートの概略平面図であり、(b)は(a)の点線D−Dの概略断面図である。
図7図2の点線B−Bにおける二次電池の概略断面図である。
図8】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図9図8の点線で囲んだ範囲Fにおける発電要素の概略断面図である。
図10図17の点線で囲んだ範囲Iにおける発電要素の概略断面図である。
図11】従来の発電要素の概略断面図である。
図12】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図13】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図14】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図15】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図16】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図17】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図18】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図19】本発明の一実施形態の発電要素の概略断面図である。
図20】サイクル寿命特性測定の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の発電要素は、蛇腹折りにより形成された折り目を含む折曲部を複数有するセパレータと、前記セパレータの各谷溝に配置され、かつ、前記セパレータを介して交互に配置されたそれぞれ少なくとも1枚以上の正極シートおよび負極シートとを備え、前記正極シートは、正極集電体と、前記正極集電体の両面上にそれぞれ設けられた正極活物質層とを備え、前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の両面上にそれぞれ設けられた負極活物質層とを備え、前記正極集電体は、正極接続端子と接続するための接続部と、前記正極集電体の表面に前記正極活物質層が設けられていない活物質未塗工部と、を有し、
前記負極集電体は、負極接続端子と接続するための接続部と、前記負極集電体の表面に前記負極活物質層が設けられていない活物質未塗工部と、を有し、前記活物質未塗工部は、前記正極シートもしくは前記負極シートの、前記折曲部に内包される端部および隣り合う2つの前記折曲部間に挟まれた端部のうち少なくとも一方に設けられたことを特徴とする。
【0011】
本発明の発電要素において、前記活物質未塗工部は、前記セパレータを挟んで対向する前記正極シートの面と前記負極シートの面のうち、少なくとも一方の面に設けられることが好ましい。
このような構成によれば、セパレータと電極シートとの間に空間を形成することができ、電極活物質層から生じた活物質の微小破片がセパレータと電極シートとの間に入り込み、セパレータを傷つけることを抑制することができる。
さらに、セパレータを挟んで対向する2つの電極シートの対向する端部の少なくとも一方に未塗工部が形成される。
このような構成によれば、セパレータと電極シートとの間に空間を形成することができ、該空間が緩衝領域としての作用を有することができ、セパレータを傷つけることを抑制することができる。
本発明の発電要素において、前記活物質未塗工部は、前記正極集電体または前記負極集電体の端と、前記正極活物質層または前記負極活物質層の端との間隔が0.2mm以上3mm以下となるように設けられることが好ましい。
このような構成によれば、電極活物質層から生じた活物質の微小破片がたまることができる十分な空間を電極集電体とセパレータとの間に設けることができる。
【0012】
本発明の発電要素において、前記正極シートおよび前記負極シートは、方形状であり、前記活物質未塗工部は、前記正極シートまたは前記負極シートの、前記折曲部に内包される端部と隣り合う2つの前記折曲部間に挟まれた端部との両方に設けられることが好ましい。
このような構成によれば、正極シートまたは負極シートの両端部において電極活物質層が剥離・脱落することを防止することができる。
本発明の発電要素において、前記複数の折曲部は、折り目が実質的に平行になるように形成され、前記正極シートおよび前記負極シートの長さは、セパレータの折り返し方向において実質的に同じであることが好ましい。
このような構成によれば、セパレータの折り返し方向の両端に整列具を押し当てることにより正極シートおよび負極シートを容易に整列させることができ、位置合わせが容易になる。
【0013】
本発明の発電要素において、前記正極シートおよび前記負極シートのうち少なくとも一方は、グラビア印刷、オフセット印刷またはスクリーン印刷により前記正極活物質層または前記負極活物質層が形成された長尺の金属箔を切断することにより形成されることが好ましい。
このような構成によれば、前記活物質未塗工部が設けられた電極シートを容易に形成することができる。
また、本発明は、本発明の発電要素と、ケースと、正極接続端子と、負極接続端子と、有機電解液とを備え、前記正極集電体および前記負極集電体は前記接続部で、それぞれ前記正極接続端子および前記負極接続端子と接合していることを特徴とする二次電池も提供する。
本発明の二次電池によれば、微少短絡電流の発生を抑制することができ、サイクル寿命をより長くすることができる。
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0015】
発電要素および二次電池の構成
本実施形態の発電要素12は、蛇腹折りにより折り目に形成された複数の折曲部30を有するセパレータ24と、セパレータ24の各谷溝に配置され、かつ、セパレータ24を介して交互に配置されたそれぞれ少なくとも1枚以上の正極シート21および負極シート22とを備え、正極シート21は、正極集電体27と、正極集電体27の両面上にそれぞれ設けられた正極活物質層25とを備え、負極シート22は、負極集電体28と、負極集電体28の両面上にそれぞれ設けられた負極活物質層26とを備え、正極集電体27および負極集電体28は、それぞれ正極接続端子3および負極接続端子4に接合するための接続部23と、正極集電体27または負極集電体28の表面に正極活物質層25または負極活物質層26が設けられていない活物質未塗工部29とを有し、活物質未塗工部29は、正極シート21もしくは負極シート22の折曲部30に内包される端部、または正極シート21もしくは負極シート22の、隣り合う2つの折曲部30間に挟まれた端部に設けられたことを特徴とする。
【0016】
本実施形態の二次電池20は、発電要素12と、ケース1と、正極接続端子3と、負極接続端子4と、有機電解液とを備え、正極集電体27および負極集電体28は接続部で、それぞれ前記正極接続端子および前記負極接続端子に接合していることを特徴とする。
以下、本実施形態の発電要素および二次電池について説明する。
【0017】
1.二次電池(図1、2参照)
本実施形態の二次電池20は、非水電解液を電解液とする二次電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池である。また、非水電解液は、たとえば、有機電解液である。
【0018】
2.発電要素(図3、4参照)
発電要素12は、ケース1内部に充填された有機電解液と共に電池反応をする。この電池反応により二次電池20は、放電、充電をすることができる。発電要素12は、蛇腹折りされたセパレータ24と、セパレータ24の各谷溝に配置され、かつ、セパレータ24を介して交互に配置された正極シート21および負極シート22とを備える。
発電要素12は、例えば、図4の説明図に示したような構造を有することができる。
【0019】
3.セパレータ(図4、7、8参照)
セパレータ24は、シート状であり、正極シート21と負極シート22との間に配置される。また、セパレータ24は、谷折りと山折りを交互に繰り返した蛇腹折りにより折り目に形成された複数の折曲部30を有する。また、セパレータ24は、図8に示すように一枚の方形のシートを蛇腹折りすることにより形成することができる。また、複数の折曲部30は、折り目が実質的に平行になるように形成することができる。
また、セパレータ24は、2つの折曲部30の間のセパレータ24の部分である分離部31を有する。分離部31は、正極シート21と負極シート22との間に設けられ、正極シート21および負極シート22と実質的に平行に配置することができる。また、複数の折曲部30は、折り目が実質的に平行になるように形成されている場合、分離部31のセパレータの折り返し方向の長さは実質的に同じであってもよい。なお、折り返し方向とは、セパレータ24を折り返した方向であり、折曲部30が形成された折り目に実質的に垂直な方向で前記セパレータの分離部31と実質的に平行な方向である。
セパレータ24の各谷溝には、正極シート21または負極シート22が配置され、前記分離部31の両側には、正極シート21および負極シート22がそれぞれ配置される。
セパレータ24は、正極シート21と負極シート22との間に短絡電流が流れることを防止することができ、電解質が透過可能なものであれば特に限定されないが、例えばポリオレフィンの微多孔性フィルムとすることができる。
【0020】
4.正極シートおよび負極シート(図5、6参照)
正極シート21は、正極集電体27と正極集電体27の両面上にそれぞれ設けられた正極活物質層25と備える。正極シート21は、例えば、図5(a)(b)のように形成することができ、方形の正極集電体27の両面に正極活物質層25を形成することにより形成することができる。そして、正極シート21は、正極接続端子3に接続するための接続部23を有することができ、図5(a)の接続部23は、正極シート21の端部の正極集電体27の両面上に正極活物質層25を形成しないことで設けることができる。また、正極集電体の1つの端部に耳部を形成し、該耳部に正極活物質層を形成しないことで接続部を設けることもできる。この接続部23は、折曲部30のセパレータの折り目と平行な方向の正極シート21の一方の端部に形成することができる。
【0021】
正極集電体27は、電気伝導性を有し、表面上に正極活物質層25を備えることができれば、特に限定されないが、例えば、金属箔である。好ましくはアルミニウム箔である。
正極活物質層25は、正極活物質に導電剤、結着剤などを添加し、塗布法などにより正極集電体27の上に形成することができる。正極活物質は、例えば、リチウム二次電池の場合、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24またはLiFePO4である。
【0022】
負極シート22は、負極集電体28と負極集電体28の両面上にそれぞれ設けられた負極活物質層26と備える。負極シート22は、例えば、図6(a)(b)のように形成することができ、方形の負極集電体28の両面に負極活物質層26を形成することにより形成することができる。そして、負極シート22は、負極接続端子4に接続するための接続部23を有することができ、図6(a)の接続部23は、負極シート22の端部の負極集電体27の両面上に負極活物質層26を形成しないことで設けることができる。また、負集電体の1つの端部に耳部を形成し、該耳部に負極活物質層を形成しないことで接続部を設けることもできる。また、接続部23は、折曲部30の折り目と平行な方向の負極シート22の一方の端部に形成することができる。
【0023】
負極集電体28は、電気伝導性を有し、表面上に負極活物質層26を備えることができれば、特に限定されないが、例えば、金属箔である。好ましくは銅箔である。
負極活物質層26は、負極活物質に導電剤、結着剤などを添加し、塗布法などにより負極集電体28の上に形成することができる。負極活物質は、例えば、リチウム二次電池の場合、グラファイト、部分黒鉛化した炭素、LiTiO4、Sn合金等である。
負極シート22の負極容量は、正極シート21の正極容量よりも大きくすることが好ましい。このことにより、負極におけるリチウム金属の析出を防止することができる。
また、正極容量および負極容量は、リチウム金属の析出等を考慮し容量比等を適切に設定することができる。
【0024】
正極シート21および負極シート22は、セパレータ24の各谷溝に配置され、セパレータ24を介して交互に配置される。このセパレータ24により正極シート21と負極シート22との間に短絡電流が流れることを防止することができる。また、正極シート21はセパレータ24の折曲部30が形成された折り目と平行な方向の一方の端に形成された接続部23で正極接続端子3に接合することができ、負極シート22は、セパレータ24の折曲部30が形成された折り目と平行な方向の他方の端に形成された接続部23で負極接続端子4に接合することができる。また、正極シート21および負極シート22がそれぞれ複数の場合、複数の正極シート21の接続部23を重ね合わせて正極接続端子3に接合することができ、複数の負極シート22接続部23を重ね合わせて負極接続端子4に接合することができる。
【0025】
また、セパレータ24の折曲部30が形成された折り目と平行な方向の一方の端に正極シート21および負極シート22の両方の接続部23を配置し、正極シート21および負極シート22それぞれの接続部23を正極接続端子3および負極接続端子4にそれぞれ接合することもできる。
【0026】
正極シート21および負極シート22のうち少なくとも一方は、活物質未塗工部29を有する。なお、接続部23は活物質未塗工部29には含まれない。
正極シート21に活物質未塗工部29を設ける場合、活物質未塗工部29は、正極集電体27の接続部23の設けられた端部以外の正極集電体27の端部近傍に正極活物質層25が存在しない部分を作ればよい。活物質未塗工部29は、正極集電体27の両面に設けられていてもよく、正極集電体27の片面にのみに設けられていてもよい。正極集電体27の両面に活物質未塗工部29を設ける場合は、活物質未塗工部29のセパレータ24の折り返し方向における幅は、正極集電体27の両面において同じであっても異なっていてもよい。
負極シート22に活物質未塗工部29を設ける場合、活物質未塗工部29は、負極集電体28の接続部23の設けられた端部以外の負極集電体28の端部近傍に負極活物質層25が存在しない部分を作ればよい。活物質未塗工部29は、負極集電体28の両面に設けられていてもよく、負極集電体28の片面にのみに設けられていてもよい。負極集電体28の両面に活物質未塗工部29を設ける場合は、活物質未塗工部29のセパレータの折り返し方向における幅は、負極集電体28の両面において同じであっても異なっていてもよい。
さらに、正極活物質層25と負極活物質層26のセパレータ24の折り返し方向における幅は、どちらも同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
例えば、図5に例示した正極シート21を用いて説明すると、長方形の正極集電体27の両面に正極活物質層25が形成されており、一方の短辺を含む端部と、それぞれ長辺を含む2つの端部との3箇所に正極活物質層25が形成されていない部分が形成されている。このうち、短辺を含む端部に形成された正極活物質層25が形成されていない部分は、正極接続端子3に接合するために形成された部分であり、接続部23となる。それぞれ長辺を含む2つの端部に形成された正極活物質層25が形成されていない部分は、活物質未塗工部29となる。
【0028】
正極シート21が活物質未塗工部29を有する場合、活物質未塗工部29は、正極シート21の両側のセパレータ24の間の折り目に形成された折曲部30に近接する端部に設けられる。ここで、「近接する」とは、セパレータの折曲部30に内包される部分と2つの折曲部間に挟まれている部分の両方を包含しているものである。さらに、セパレータ24の折曲部30に内包されるとは、正極シート21または負極シート22の端部がセパレータ24の谷溝内にあって折曲部30によって覆われている状態をいう。
負極シート22が活物質未塗工部29を有する場合、活物質未塗工部29は、負極シート22の両側のセパレータ24の間の折り目に形成された折曲部30に近接する端部に設けられる。
正極活物質層25および負極活物質層26が、正負極集電体全面に設けられている場合には、製造工程などにおいて端部が剥離・脱離しやすい。このため、正極シート21の端部または負極シート22の端部に活物質未塗工部29を形成することにより、正極集電体27から正極活物質層25の一部が脱離する確率、または負極集電体28から負極活物質層26の一部が脱離する確率を低くすることができる。このことにより、正極活物質層25または負極活物質層26が脱離することにより生じる微小破片32がセパレータ24と正極シート21または負極シート22との間に挟まれセパレータ24を傷つけることにより生じる正極シート21と負極シート22との間の微少短絡電流の発生確率を低くすることができる。
【0029】
そして、この端部に活物質未塗工部29を設けることにより、折曲部30に近接する空間を形成することができる。つまり、活物質未塗工部29における正極集電体27または負極集電体28とセパレータ24との間に空間を形成することができる。正極シート21や負極シート22の端部とセパレータ24の間に空間がある場合には、緩衝領域としての作用を有し、正極活物質層25の一部または負極活物質層26の一部が脱離することにより生じる微小破片32をこの空間に溜めることができ、微小破片32が正極活物質層21または負極活物質層22とセパレータ24との間に入り込み留まることを抑制することができる。また、この空間のセパレータ24を挟んで反対側の電極シートにおいて、微小破片32が発生しセパレータ24を押したとしても、この空間があることで電極シートがセパレータ24を空間側から圧迫することを防止することができる。その結果、電極シートを重ね合わせて固定する際や、電池を充放電することより電極シートが膨張する際に、電極シートとセパレータ24が圧接されたとしても、電極シートとセパレータ24との間に存在する空間が微小破片32の影響を防止することができるので、セパレータ24を傷つけ、貫通することによる微小短絡を防止することができる。
さらに、折曲部30に近接する空間を形成することができることにより、この空間を電解液の補液作用を有する電解液溜まりとすることができ、電解液の枯渇防止作用も有すると考えられる。
【0030】
図8は、発電要素12の概略断面図であり、図7の点線で囲んだ範囲Eに対応する。また、図9は、図8の点線で囲んだ範囲Fの拡大図であり、図10は、図17の点線で囲んだ範囲Iの拡大図であり、図11は、従来の発電要素の概略断面図であり、図9に対応する。また、図中には電極活物質層の端部などが剥離・脱離した際に生じる微小破片32の記載されている。なお、図12から図19は、各発電要素12の概略断面図であり、図8の発電要素12の概略断面図に対応する。
【0031】
図9のように電極シートのセパレータ24の折曲部30に内包されている端部に活物質未塗工部29を設けると、電極活物質層の一部が脱離することにより生じる微小破片32が活物質未塗工部29の電極集電体とセパレータ24との間に形成された空間G(点線で囲んだ範囲)に溜まることができる。このことにより、微小破片32が電極シートとセパレータ24との間に入り込み留まることを防止することができる。
また、図10のように電極シートの隣り合う2つの折曲部30間に挟まれている端部に活物質未塗工部29を設けると、電極活物質層の一部が脱離することにより生じる微小破片32が電極活物質層端部に溜まったとしても、活物質未塗工部29の電極集電体とセパレータ24との間に形成された空間H(点線で囲んだ範囲)があるためセパレータ24が空間H側に逃げることができ、セパレータ24が電極活物質層から圧接されることを防ぐことができる。
なお、図11のように活物質未塗工部29を設けない場合、電極シートとセパレータ24の間に空間ができない。そのため、微小破片32が発生すると、微小破片32は電極シートとセパレータ24との間に溜まり留まることになる。この微小破片32が電極シートとセパレータ24との間に挟まれた状態でセパレータ24と電極シートとが圧接すると、微小破片32がセパレータ24を傷つけまたは貫通しセパレータ24の内部に入り込むことがある。このようなセパレータ24の内部に入り込んだ微小破片32を介して隣り合う正極シート21と負極シート22との間に微少短絡電流が流れることがある。
【0032】
活物質未塗工部29は、例えば、図8、12、13、14、15のようにセパレータ24の折曲部30に内包される端部および隣り合う2つの折曲部30の間に挟まれている端部の両方に設けられてもよく、図16、18のようにセパレータ24の折曲部30に内包される端部のみに設けられてもよく、図17、19のようにセパレータ24の隣り合う2つの折曲部30の間に挟まれている端部のみに設けられてもよい。また、活物質未塗工部29は、例えば、図8、13、14、15、16、17のように正極シート21と負極シート22の両方に設けられてもよく、図12、18、19のように正極シート21と負極シート22のうちどちらか一方に設けられてもよい。また、活物質未塗工部29は、例えば、図8、12、13、16、17、18、19のように、正極集電体27または負極集電体28の両面に正極活物質層25または負極活物質層26が形成されていない部分であってもよく、図14、15のように正極集電体27または負極集電体28の片面のみに正極活物質層25または負極活物質層26が形成されていない部分であってもよい。また、活物質未塗工部29は、例えば、図13のようにセパレータの折曲部30に内包される端部およびセパレータ24の隣り合う2つの折曲部30の間に挟まれている端部で幅が異なってもよい。また、特に図示はされていないが、電極シートの折り返し方向における一方の端部と他方の端部の両方に活物質未塗工部29を設けた場合、この2つの活物質未塗工部の幅は同じであっても、異なっていてもよい。
色々な例示を行ったが、活物質未塗工部29については正極シート21または負極シート22のセパレータ24をはさんで対向する面の向かい合う端部の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0033】
活物質未塗工部29が形成される範囲は特に限定されないが、例えば、活物質未塗工部29は、活物質未塗工部29を含む正極シート21または負極シート22の一方または他方の端から0.2mm以上3mm以下の幅を有するように形成することができ、好ましくは、0.5mm以上2.5mm以下の幅を有するように形成することができる。さらに好ましくは、1mm以上2mm以下の幅を有するように形成することができる。
幅を0.2mm以上とする構成にすれば、製造工程中の応力等が活物質層端部に影響することが防止でき、0.5mm以上とすることで活物質未塗工部の電極集電体とセパレータとの間に活物質の微小破片や電解液を溜めることができる十分な空間を形成することができる。特に電解液を溜めておく観点からは、1mm以上とすることが好ましい。
また、幅を上記上限値以下とすることで、電池容量の減少を抑制することが可能となる。
【0034】
正極シート21(正極集電体27)および負極シート22(負極集電体28)は、折り返し方向の長さが実質的に同じであってもよい。このことにより、正極シート21と負極シート22を容易に揃えることができるため、電池の製造をより簡単にすることができる。
【0035】
また、このように正極シート21と負極シート22の折り返し方向の長さが実質的に同じであって、かつ、正極シート21および負極シート22に活物質未塗工部29が形成されている場合、正極シート21と負極シート22とを揃えるために正極シート21または負極シート22の活物質未塗工部29が形成された端部に整列具を押し当てて正極シート21および負極シート22を揃えることができる。この整列具を押し当てる端には、活物質未塗工部29が形成されているため、整列具を押し当てることによる正極活物質層25または負極活物質層26の脱離を抑制することができる。
【0036】
なお、セパレータ24の折り返し方向の、正極シート21および負極シート22の長さが実質的に同じとは、正極シート21と負極シート22の電極シートをこの方向の両端から押えた場合に、電極シートが整列する程度に等しければよく、多少の誤差を含んでいても良いものである。
また、電極シートを整列させるために用いる整列具は、正極シート21と負極シート22の電極シートをこの方向の両端の一部に当接するものがよいが、この方向の両端の全部に当接するものでもよい。
【0037】
セパレータ24を介して整列させた正極シート21および負極シート22は、図8のように最外部に当たる電極活物質層までをセパレータ24で覆い、絶縁テープで固定、絶縁フィルムで覆う、熱収縮フィルムにより固定する等により発電要素が完成する。
【0038】
正極シート21および負極シート22は、例えば、長尺の金属箔の両面上にグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、コーターを使用した間欠塗工により正極活物質層25または負極活物質層26を形成した後、長尺の金属箔を切断することにより形成することができる。このことにより、接続部23および活物質未塗工部29が形成された正極シート21および負極シート22を形成することができる。また、従来方式で作成した電極シートの端部を切断後削り落してもよい。
これらの正極活物質層25または負極活物質層26は、長尺の金属箔上に1つの電極シートに対応する電極活物質層が方形状に形成されてもよい。
なお、従来スタック方式の(リチウムイオン2次)電池の電極シートは、長い金属箔に電極活物質層を連続塗工した長尺電極箔を切断して作成しており、電極活物質層と電極集電体の切断方向に垂直な方向の幅は等しくなっていた。このため切断時や整列時に電極シート端部に衝撃が加わるため、電極活物質層の脱離が起こりやすくなっていた。
【0039】
5.有機電解液
有機電解液は、発電要素12を浸漬させ、電解質が有機溶媒に溶解したものであれば特に限定されないが、例えば電解質としてのLiCF3SO3、LiAsF6、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiBOB等のリチウム塩溶質を有機溶媒に溶解した溶液である。また、必要に応じてVC(ビニレンカーボネート)等の添加剤を配合してもよい。
【0040】
6.ケース
ケース1は、内部に発電要素12、正極接続端子3、負極接続端子4および有機電解液を収容するケースであり、蓋部材2と接合すれば特に限定されない。
ケース1の材料は、内部に発電要素12、正極接続端子3、負極接続端子4および有機電解液を収容しても大きく変形しない材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレス等の金属材料、該金属材料にニッケル、スズ、クロム、亜鉛等をメッキしたものや、硬質プラスチックなどである。
【0041】
7.蓋部材
蓋部材2は、ケース1と電解液が漏れないように接合すれば特に限定されない。
蓋部材2とケース1とを接合する方法は、特に限定されないが、例えばレーザ溶接、抵抗溶接、超音波溶接、接着剤などによる接合である。
蓋部材2の材料は、蓋部材2とケース1とを接合しても大きく変形しない材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレス等の金属材料、該金属材料にニッケル、スズ、クロム、亜鉛等をメッキしたものや、硬質プラスチックなどケースと同様の材料が挙げられる。
【0042】
8.正極接続端子および負極接続端子
正極接続端子3および負極接続端子4は、それぞれ正極集電体27の接続部23および負極集電体28の接続部23に接合する。また、正極接続端子3および負極接続端子4は、それぞれ異なる外部接続端子に電気的に接合することができる。このことにより、正極接続端子3、負極接続端子4を介して、二次電池21の充放電を行うことができる。
正極接続端子3、負極接続端子4の材料は特に限定されないが、例えば、正極接続端子3は、例えばアルミニウムとすることができ、負極接続端子4は、例えば銅とすることができる。
【0043】
9.外部接続端子、絶縁部材、ねじ部材
外部接続端子8は、蓋部材2の上部に設けることができ、正極外部接続端子および負極外部接続端子を含む。正極外部接続端子は、蓋部材2を貫通する正極接続端子3と接合することができ、負極外部接続端子は、蓋部材2を貫通する負極接続端子4と接合することができる。また、外部接続端子8と蓋部材2との間、正極接続端子3と蓋部材2との間、負極接続端子4と蓋部材2との間に絶縁部材を設けることができる。このことによりリーク電流を抑制することができる。また、外部接続端子8にねじ部材6を接合することができる。このことにより外部接続端子8と外部配線とをねじ部材6により接続することができる。
【0044】
電気的特性測定実験
活物質未塗工部29を形成した電極シート(正極シート21または負極シート22)を用いた3つのリチウム二次電池(実施例)、および活物質未塗工部29を形成していない電極シートを用いた1つのリチウム二次電池(比較例)を作製し、電気的特性の測定を行った。
【0045】
長尺のアルミニウム箔の両面にグラビア印刷により正極活物質層25を形成し、アルミニウム箔を切断することにより、約8cm×約17cmの正極シート21を作製した。なお、比較例では連続塗工により正極活物質層25を形成した。また、正極活物質には、リン酸鉄リチウムを用い、導電剤、結着剤などと混合したもので正極活物質層25を形成した。
【0046】
長尺の銅箔の両面にグラビア印刷により負極活物質層26を形成し、銅箔を切断することにより、約8cm×約17cmの負極シート22を作製した。なお、比較例では連続塗工により負極活物質層26を形成した。また、負極活物質には、グラファイトを用い、導電剤、結着剤などと混合したもので負極活物質層26を形成した。なお、負極シート22の短辺方向の幅は、正極シート21と実質的に同一とした。
【0047】
正極シート21および負極シート22には、それぞれ正極接続端子3および負極接続端子4に接合するための接続部23を図5、6のように一方の短辺を含む端部に形成した。
正極シート21および負極シート22には、セパレータ折り返し方向の端からの長さがそれぞれ表1に示すような長さを有する活物質未塗工部29をセパレータ折り返し方向の端部(図5、6の一方の長辺を含む端部)の両側に形成した。
【0048】
【表1】
【0049】
図8、12〜19のように蛇腹折りされた1枚のセパレータ24の各谷溝に11枚の正極シート21および12枚の負極シート22を配置し、正極シート21および負極シート22がセパレータ24を介して交互に配置した。その後、重ねた正極シート21と負極シート22の両方の長辺に整列具で押しつけることにより長辺を含む端が揃うように整列させ、該積層体がずれないように固定し発電要素12が完成した。なお、実施例1の発電要素の断面は、図12のようになり、実施例2の発電要素の断面は、図8のようになり、実施例3の発電要素の断面は、図13のようになるように作製した。なお、実施例1〜3と図12図8図13とは正極シート21および負極シート22の枚数が異なる。
【0050】
セパレータ24の折り目と平行な方向のうち一方において、11枚の正極シート21の接続部23を重ね合わせて蓋部材2に接合された正極接続端子3に超音波溶接し、他方において、12枚の負極シート21の接続部23を重ね合わせて蓋部材2に接合された負極接続端子4に超音波溶接した。この蓋部材2と一体となった発電要素12を、ケース1の内部に収容し、ケース1と蓋部材2をレーザ溶接により接合した。その後、6フッ化リン酸リチウムを電解質とする有機電解液をケース内に注入し、リチウム二次電池が完成した。
【0051】
実施例1〜3のリチウム二次電池および比較例のリチウム二次電池について電気的特性の測定を行った。
実施例1のリチウム二次電池を100個作製し調べた結果、電気的特性に異常は発生しなかった。実施例1の電池を分解して検査したところ、正極活物質層25のはがれはみられなかったが、負極活物質層26は長辺を含む端部に所々はがれがみられた。この理由を考察するに、実施例1の発電要素12は負極活物質層26が長辺を含む端部まで形成されているものの、セパレータを介して対面している正極シート21の端部に活物質未塗工部29が設けられているため、正極シート21の端部には、集電体とセパレータ24の間に空間ができており、負極シートの活物質層が崩れて破砕粉(微小破片)が発生したときに、この空間が緩衝領域として作用し、破砕粉によりセパレータ24が負極側から正極側に押されたとしても正極側から押されることがないため、破砕粉によりセパレータが圧接されることを防止する作用を有していると考えられる。このため、負極活物質層26の端部のはがれによる活物質の破砕粉が発生したとしても、発電要素12の固定時や充放電時に、セパレータ24に破砕粉が圧接されてしまうことが防止され、セパレータ24での微小短絡を防止することができたと考えられる。
【0052】
実施例2のリチウム二次電池を100個作製し調べた結果、電気的特性に異常は発生しなかった。実施例2の電池を分解して検査したところ、正負極電極板どちらの端部にも活物質層がないため活物質層のはがれはなかった。はがれが生じなかったため、微小短絡は発生しなかったと考えられる。
【0053】
実施例3のリチウム二次電池を100個作製し調べた結果、電気的特性に異常は発生しなかった。実施例3の電池を分解して検査したところ、正負極電極シートどちらの端部にも活物質層がないため活物質層のはがれはなかった。はがれが生じなかったため、微小短絡は発生しなかったと考えられる。
【0054】
実施例2、3においては活物質層のはがれは見られなかったが、はがれ等により破砕粉が発生したとしても、活物質層を設けたことによりできた空間が、破砕粉を溜めておく緩衝領域として作用することが可能なため、微小短絡は発生しなかったと考えられる。
【0055】
比較例のリチウム二次電池は、100個中3個に異常が発生した。該異常が発生した電池を分解して検査したところ、電極シートには所々、活物質層の端部のはがれがみられた。このはがれによる電極の破砕粉が原因となって、セパレータ24において微小短絡が生じたものと考えられる。
【0056】
また、実施例1、2の電池と比較例で異常のでなかった電池のサイクル寿命特性を測定した。この測定結果を図20に示す。図20からわかるように、実施例1、2の電池は比較例1の電池よりも寿命が長い結果となった。これは、電極シートの端部とセパレータ24との間に設けた空隙が電解液溜まりとなり、電極シート中の電解液が副反応によって消費されても、消費された分の電解液が電極シート近傍の電解液溜まりから供給されているためにドライアップすることなく、充放電を続けることができたためであると考えられる。
実施例3についても実施例1,2と同様な理由により同様な効果が期待することができる。
【符号の説明】
【0057】
1: ケース 2:蓋部材 3:正極接続端子 4:負極接続端子 6a、6b:ねじ部材 8a、8b:外部接続端子 10a、10b:外部絶縁部材 11a、11b:内部絶縁部材 12:発電要素 20:二次電池 21:正極シート 22:負極シート 23:接続部 24:セパレータ 25:正極活物質層 26:負極活物質層 27:正極集電体 28:負極集電体 29:活物質未塗工部 30:折曲部 31:分離部 32:微小破片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20