(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5678282
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年2月25日
(54)【発明の名称】融雪機
(51)【国際特許分類】
E01H 5/10 20060101AFI20150205BHJP
【FI】
E01H5/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-109531(P2014-109531)
(22)【出願日】2014年5月9日
【審査請求日】2014年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511054868
【氏名又は名称】有限会社薄井建設
(72)【発明者】
【氏名】薄井 介
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−020808(JP,A)
【文献】
実開平03−046669(JP,U)
【文献】
特開平03−008911(JP,A)
【文献】
特開2005−256302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に、前方が開口したバケットを昇降自在に支持して設け、前記バケットの底盤及び上盤にヒーターを設けた融雪機において、前記上盤が上下に可動することで、上盤の自重により、バケット内部に取り込んだ雪に密着することを特徴とする融雪機。
【請求項2】
前記上盤の支点の位置を上下に移動できるように、スライド機構を設けることで、雪の量に応じて上盤が雪に密着するよう、高さ調節が可能であることを特徴とする請求項1に記載の融雪機。
【請求項3】
前記バケットの底盤先端部であって底面に、凸部を設けることで、バケット先端が突起物への衝突を防止することを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の融雪機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は降雪した雪を除雪する際、その場で融かしながら進行する融雪機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常降雪した雪は除雪などにより他の場所に排除するか、その近辺に集積されている。しかし、排除するのには集積場所の確保や、運搬車両が必要となりスムーズに除雪が進まず、手間とコストが掛かるという課題がある。
【0003】
この改善策として、融雪剤の散布があるが、塩化カルシウムは使用された後に、路面上に放置され車両の腐食や自然環境上好ましくなく、またコスト的にも割高なために特定の場所での使用となっているのが現状である。
【0004】
除雪に関しては例えば、特開2005−265302号には、雪を取り込むバケットの後方から火炎を放射し、融雪する融雪装置に関する技術が記載されているが、火気の使用は他の災害等に繋がる危険性がある。特開2005−009085号には、オーガハウジング内部に掻き込まれた雪を温風で融雪する技術が記載されているが、温風の熱量不足が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−265302号(明細書0006、
図4)
【特許文献2】特開2005−009085号(明細書0008、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、降雪した雪を道路脇への集積や仮置き場などに運搬させることなく除雪ができるように、除雪と同時に雪を融かすことのできる融雪機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両の前部に前方が開口したバケットを昇降自在に支持して設け、降雪した雪を除雪しながら、その場で融かして排除するために、雪を取り込むバケットの底盤と上盤にヒーターを設け、前記上盤が上下に可動することで、バケット内部に取り込まれた雪に対して、絶えず底盤と上盤を密着させることで、短時間に融雪をすることを特徴とする。また、両側盤にもヒーターを設けることで、更に融雪時間が短縮される。
【0008】
バケット内の底盤の後方部に窪みを設け、溶けた水が一時的に溜まるようにすることで、取り込まれた雪を融かす時間が短縮される。
【0009】
バケットの後部に排水口を設けることで、融けた雪が水となり、バケットに取り込まれた雪により押し出されることで排水され、排水された水が路上に残った雪を融かすことにもつながるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の融雪機械は、降雪状態の雪をその場で融かして排除できるため、従来のような仮置き場やそこまで運搬するための経費と時間の節約に大きく貢献ができる。
【0011】
融雪剤を用いないため、環境保全においても好ましい。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
本発明の融雪機械について、図面を引用して説明する。
【0014】
車両の前部に、底盤2、側面盤3、上盤4の融雪盤で構成され、前方が開口したバケットを昇降自在に支持して設け、前記バケットの底盤2及び上盤4にヒーター12を設け、前記上盤4が上下に可動することで、バケット内に取り込まれた雪が、絶えず上盤4と底盤2の間に挟み込まれ、密着された状態が保持されることにより、融雪が行われることを特徴としている。また、バケットの両側面盤3にもヒーター12を設けてもよい。
図3はバケットの一例の側面図、
図4はヒーターの一例の配置図である。
【0015】
上盤4はバケットの開口部を広げるため、先端部に向けて広がるよう曲線状に形成することで、降雪量に応じ雪をバケット内に取り込み易くしている。バケット内の底盤2には、前方又は後方に向けて勾配を設けることで、雪が融けた水を排水し易くなる。
【0016】
上盤4は、バケットの後部に支点を設け、前記支点を軸に上下に可動できる構造とする。上盤の天面に上盤の可動をするための駆動機構を設けてもよい。また、図示しないが前記支点の位置を上下に移動できるように、スライド機構を設けてもよい。上盤の可動をするための駆動機構や支点の位置を上下に移動するスライド機構には、油圧などが用いられる。
【0017】
上盤4は、バケットの後部の支点を軸に上下に可動できることで、上盤4の自重によりバケット内部に取り込んだ雪に密着することができ、前記支点の位置を上下に移動できるスライド機構により、雪の量に応じて上盤4が雪に密着するように高さを調節することが可能となる。
【0018】
バケット内の底盤3の後方部には、窪み8が設けられ、溶けた水が一時的に滞留し、融雪の効果を上げる構造としている。
また、バケットの底盤の先端部であって底面には凸部9を設け、マンホール等の突起物により、底盤3の先端が突起物に衝突することを防止するために、底盤底面と地面との間にスペースを確保することで、安全に作業ができるようにしている。凸部9の厚さは、雪を取り込む際の高さ設定や、マンホール等の路面からの高さ等を考慮して適宜選択すればよい。
【0019】
図示しないが、バケットの後部には排水口を設け、融けた雪が水となり、バケットに取り込まれた雪により押し出されることで排水口から排水される。更に、排水された水が路上に残った雪を融かすことにもつながる。排水口は複数設けてもよく、大きさは排水効果を考慮して適宜選択し、形状を網目状としてもよい。バケットの底盤に配するヒーターを、底盤の後方部に密に配置し熱量を大きくすることで、融雪を促進させ排水口からの排水効率を向上し、排水口の凍結防止にもつながる。
【0020】
底盤2、上盤4及び側面盤へのヒーターの配置は、金属製の板の間に挟み込むように設置し、防水構造とすることが望ましい。ヒーターの電源には発電機を用い、発電機を車両等に搭載する。
図5はヒーターを配した融雪盤の一例の断面図である。
【0021】
本融雪機は自走式であり、車両の走行にはタイヤ又はキャタピラを用いることができる。
図1は本融雪機の一例の平面図、
図2は本融雪機の一例の側面図である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の融雪機械は、工業生産が可能であり、降雪時の除雪作業にも利用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 融雪機 7 タイヤ
2 底盤 8 窪み
3 側面盤 9 凸部
4 上盤 10 勾配
5 雪 11 地面
6 発電機 12 ヒーター
【要約】
【課題】従来は降雪した雪は、除雪により仮置き場等に運搬されていた為に、置き場の確保または、運搬による作業の遅れなどが生じ、それに伴い経費の増加も余儀なくされていた。これは、その場で雪を融かす方法がないために起きていた現状である。
【解決の手段】本発明は、降雪した雪を除雪しながら、その場で融かして排除するために、雪を取り込むバケットの底盤と上盤にヒーターを設け、前記上盤が上下に可動することで、バケット内部に取り込まれた雪に対して、絶えず底盤と上盤が密着することで、短時間に融雪をすることを特徴とする。また、両側盤にもヒーターを設けることで、更に融雪時間が短縮される。
【選択図】
図2