(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の磁気センサ素子と、感度の絶対値が前記第一の磁気センサ素子と略等しい第二の磁気センサ素子とが、感度軸が互いに逆向きになるようにして直列に接続されてなる直列回路と、
前記直列回路の合成特性を算出する合成特性測定部と、
前記合成特性測定部において算出された合成特性が所定範囲から外れた場合に故障と判断する故障判定部と、を有し、
前記第一の磁気センサ素子、および前記第二の磁気センサ素子は磁気抵抗効果素子であり、
前記合成特性測定部は前記合成特性として前記直列回路の合成抵抗値を算出することを特徴とする電流センサ。
第一の磁気センサ素子と、感度の絶対値が前記第一の磁気センサ素子と略等しい第二の磁気センサ素子とが、感度軸が互いに逆向きになるようにして直列に接続されてなる直列回路と、
前記直列回路の合成特性を算出する合成特性測定部と、
前記合成特性測定部において算出された合成特性が所定範囲から外れた場合に故障と判断する故障判定部と、を有し、
前記第一の磁気センサ素子、および前記第二の磁気センサ素子はホール素子であり、
前記合成特性測定部は前記合成特性として前記直列回路の電圧値を算出することを特徴とする電流センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示される電流センサでは、コイルに検査電流を流すことで、検査電流に対応する誘導磁界を発生させ、検出される測定値を元に故障判定を行っている。このため、上述の電流センサでは、被測定電流が僅かでも流れると、被測定電流によって発生する誘導磁界の影響を受け、故障判定を正確に行うことができない。つまり、上述の電流センサにおいて、故障判定は、電流センサの測定対象である被測定電流が導通していない場合に限られるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、被測定電流の通流時においても故障判定が可能な、故障判定機能を有する電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電流センサは、第一の磁気センサ素子と、感度の絶対値が前記第一の磁気センサ素子と略等しい第二の磁気センサ素子とが、感度軸が互いに逆向きになるようにして直列に接続されてなる直列回路と、前記直列回路の合成特性を算出する合成特性測定部と、
前記合成特性測定部において算出された合成特性が所定範囲から外れた場合に故障と判断する故障判定部と、を有
し、前記第一の磁気センサ素子、および前記第二の磁気センサ素子は磁気抵抗効果素子であり、前記合成特性測定部は前記合成特性として前記直列回路の合成抵抗値を算出することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、電流センサを構成する第一の磁気センサ素子および第二の磁気センサ素子は、感度の絶対値が互いに等しく、また、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。これにより、第一の磁気センサ素子と第二の磁気センサ素子とが接続されてなる直列回路の合成特性は、被測定電流が通流しているか否かに関わらず略一定となる。このため、直列回路の合成特性を算出することで、リアルタイムに故障判定を行うことが可能である。つまり、被測定電流の通流時においても故障判定が可能な、故障判定機能を有する電流センサを提供することができる。
【0009】
本発明の電流センサにおいて、前記直列回路には定電圧源が接続され、前記合成特性測定部は、前記直列回路を流れる電流値から前記合成抵抗値を算出しても良い。また、本発明の電流センサにおいて、前記直列回路には定電流源が接続され、前記合成特性測定部は、前記直列回路に生じる電圧から前記合成抵抗値を算出しても良い。
【0010】
本発明の電流センサにおいて、前記第一の磁気センサ素子、および前記第二の磁気センサ素子はホール素子であり、前記合成特性測定部は前記合成特性として前記直列回路の電圧値を算出しても良い。
【0011】
本発明の電流センサは、第一の磁気センサ素子と、感度の絶対値が前記第一の磁気センサ素子と略等しい第二の磁気センサ素子とが、感度軸が互いに逆向きになるように配置され、第三の磁気センサ素子と、感度の絶対値が前記第三の磁気センサ素子と略等しい第四の磁気センサ素子とが、感度軸が互いに逆向きになるように配置され、前記第一の磁気センサ素子と、前記第三の磁気センサ素子とが、感度軸が互いに逆向きになるように配置され、前記第一の磁気センサ素子の一端と前記第二の磁気センサ素子の一端とが接続され、前記第三の磁気センサ素子の一端と前記第四の磁気センサ素子の一端とが接続され、前記第一の磁気センサ素子の他端と前記第三の磁気センサ素子の他端とが接続され、前記第二の磁気センサ素子の他端と前記第四の磁気センサ素子の他端とが接続されてなるブリッジ回路と、前記ブリッジ回路の合成特性を算出する合成特性測定部と、前記合成特性測定部において算出された合成特性が所定範囲から外れた場合に故障と判断する故障判定部と、を有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、電流センサを構成する第一の磁気センサ素子および第二の磁気センサは、感度の絶対値が互いに等しく、また、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。また、第三の磁気センサ素子および第四の磁気センサは、感度の絶対値が互いに等しく、また、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。また、第一の磁気センサ素子および第三の磁気センサ素子は、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。これにより、第一の磁気センサ素子、第二の磁気センサ素子、第三の磁気センサ素子、および第四の磁気センサ素子が接続されてなるブリッジ回路の合成特性は、被測定電流が通流しているか否かに関わらず略一定となる。このため、ブリッジ回路の合成特性を算出することで、リアルタイムに故障判定を行うことが可能である。つまり、被測定電流の通流時においても故障判定が可能な、故障判定機能を有する電流センサを提供することができる。
【0013】
本発明の電流センサにおいて、前記第一の磁気センサ素子、前記第二の磁気センサ素子、前記第三の磁気センサ素子、および前記第四の磁気センサ素子は磁気抵抗効果素子であり、前記合成特性測定部は前記合成特性として前記ブリッジ回路の合成抵抗値を算出しても良い。また、本発明の電流センサにおいて、前記ブリッジ回路には定電圧源が接続され、前記合成特性測定部は、前記ブリッジ回路を流れる電流値から前記合成抵抗値を算出しても良い。また、本発明の電流センサにおいて、前記ブリッジ回路には定電流源が接続され、前記合成特性測定部は、前記ブリッジ回路に生じる電圧から前記合成抵抗値を算出しても良い。
【0015】
本発明の電流センサにおいて、前記第一の磁気センサ素子、および前記第四の磁気センサ素子を、被測定電流が通流する略U字型の電流路の一端部に配置し、前記第二の磁気センサ素子、および前記第三の磁気センサ素子を、前記略U字型の電流路の他端部に配置しても良い。
【0016】
この構成によれば、略U字型の電流路の一端部と他端部とで誘導磁界の向きが逆向きになるため、第一〜第四の磁気センサ素子の感度軸を全て同じ方向にすることができる。これにより、製造工程上、磁気センサ素子は1種類でよいため、磁気センサ素子を配置する工程を簡便にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電流センサにおいて、電流センサを構成する少なくとも一対の磁気センサ素子は、感度の絶対値が互いに等しくなっており、また、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。これにより、これらの磁気センサ素子を含む回路の合成特性は、被測定電流が通流しているか否かに関わらず略一定となる。このため、当該回路の合成特性を故障判定に用いることで、リアルタイムに故障判定を行うことが可能である。つまり、被測定電流の通流時においても故障判定が可能な、故障判定機能を有する電流センサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る電流センサの構成例について示す回路図(回路ブロック図)である。
図1に示される電流センサ1は、磁気検出素子である2つの磁気センサ素子11aおよび11bを含む直列回路(ハーフブリッジ回路)11と、直列回路11の特性(磁気センサ素子11aおよび11bの合成特性)を測定し算出する合成特性測定部12と、合成特性測定部12において算出された合成特性を元に電流センサ1の故障の有無を判定する故障判定部13と、直列回路11に電力を供給する電源回路14と、を備えている。ここで、磁気センサ素子11aおよび11bに付された矢印は、各磁気センサ素子の感度軸の向きを表している。なお、電源回路14は、電流センサ1の外部に設けられ、電流センサ1の構成としては含まれない場合がある。
【0021】
直列回路11において、磁気センサ素子(第一の磁気センサ素子)11aの一端と磁気センサ素子(第二の磁気センサ素子)11bの一端とは電気的に接続されており、センサ出力Outの出力端となっている。また、磁気センサ素子11aの他端と磁気センサ素子11bの他端とは、直列回路11の外部接続端となっている。合成特性測定部12は直列回路11の合成特性を測定することができるように直列回路11と接続されている。なお、合成特性測定部12と直列回路11との接続関係は、
図1に示すものに限定されない。故障判定部13は、合成特性測定部12からの情報を元に故障判定を行うことができるように、合成特性測定部12と接続されている。また、直列回路11には、電力の供給源である電源回路14が接続されている。
【0022】
上記電流センサ1において、磁気センサ素子11aと磁気センサ素子11bとは、電流線(図示せず)を通流する被測定電流により発生する誘導磁界によって、その特性が変化する素子である。このような磁気センサ素子としては、例えば、磁気抵抗効果素子やホール素子などを挙げることができる。このような性質の磁気センサ素子を用いて上述のような直列回路11を構成する場合、磁気センサ素子11aの一端と磁気センサ素子11bの一端との接続点の電気的特性(例えば、電圧)は、被測定電流により発生する誘導磁界の大きさに応じて変動する。このため、当該接続点の電気的特性をセンサ出力Outとして取り出すことで、当該電気的特性の変動から、誘導磁界の大きさを算出し被測定電流の大きさを算出することができる。
【0023】
ここで、上記電流センサ1において、磁気センサ素子11aと磁気センサ素子11bとは、感度の絶対値が互いに等しくなっている。そして、磁気センサ素子11aと磁気センサ素子11bとは、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。このため、正常な状態にある磁気センサ素子11aおよび11bを含む直列回路11の合成特性は、被測定電流の値に依存せず、概ね一定となる。
【0024】
例えば、磁気センサ素子11aと磁気センサ素子11bとに、外部磁界に応じて電気抵抗(単に、抵抗という場合がある)が変化する磁気抵抗効果素子を用いることを考える。磁気抵抗効果素子は、外部磁界に応じて電気抵抗が変化するという性質を有するため、故障判定に用いる特性としては電気抵抗が適している。そこで、ここでは合成特性として合成抵抗を採用する。磁気センサ素子11aの電気抵抗の初期値(無磁界における値)、および磁気センサ素子11bの電気抵抗の初期値(無磁界における値)をそれぞれRとすると、これら二つの磁気センサ素子11a、11bを直列に接続した直列回路11の合成抵抗の初期値(無磁界における値)は2Rとなる。なお、磁気センサ素子11aと11bとは、感度の絶対値(ここでは、抵抗変化分の絶対値)が略等しいものであれば、その抵抗の初期値は等しくなくとも良い。
【0025】
被測定電流の誘導磁界によって、磁気センサ素子11aの抵抗がΔRだけ変化し、R+ΔRになったとする。磁気センサ素子11bは、感度の絶対値が磁気センサ素子11aと等しく、感度軸の向きが磁気センサ素子11aとは逆向きであるから、磁気センサ素子11bにおける抵抗の変化分は−ΔRとなる。つまり、このときの磁気センサ素子11bの抵抗はR−ΔRである。このため、合成抵抗は(R+ΔR)+(R−ΔR)=2Rとなり、初期値からの変化はない。なお、当該等式を成立させるためには、具体的には、同一の特性を持つ2つの素子を逆向きに配置すればよい。または、同一の誘導磁界に対して、抵抗の増減が逆(例えば、一方が+ΔRの場合に、他方が−ΔR)である2つの素子を同じ向きに配置しても良い。このように、電流センサ1においては、上記等式を成立させることができる条件であれば適切な故障判定が可能であるから、電流センサ1における磁気センサ素子11a、11bの具体的な配置は特に限定されない。また、上記等式を成立させる条件を総称して、「感度軸が逆向き」と表現することとする。なお、上述のように抵抗の増減が逆向きになる素子の例としては、ピン層の向きを逆向きにしたGMR素子などがあげられる。
【0026】
このように、磁気センサ素子11aと磁気センサ素子11bとは、感度の絶対値が互いに等しく、かつ感度軸が互いに逆向きになるように配置されているため、直列回路11の合成特性(磁気抵抗効果素子を用いる場合においては合成抵抗)は、通常、外部磁界に関わらず概ね一定となる。一方で、磁気センサ素子11aまたは11bに経年変化等による異常が発生し、磁気センサ素子11aまたは11bの感度が変化したとすると、磁気センサ素子11aと磁気センサ素子11bとのバランスが崩れ、直列回路11の合成特性は一定ではなくなる。このため、合成特性が所定の範囲内に存在するか否かを故障判定部13において判定することによって、磁気センサ素子11aまたは磁気センサ素子11bの異常を検知し、故障の有無を判定することができる。
【0027】
なお、故障判定部13における故障判定に用いられる「所定の範囲」は、測定誤差や素子特性ばらつきや測定電流レンジなどの要因を考慮して決定される。例えば、合成特性の基準値(初期値)に対して±2%程度の範囲を「所定の範囲」として故障判定を行うことができる。なお、上記「所定の範囲」を複数設け、他段階の判定を行っても良い。具体的には、「所定の範囲」として「広い所定の範囲」(例えば、合成特性の基準値に対して±3%程度の範囲)と「狭い所定の範囲」(例えば、合成特性の基準値に対して±1%程度の範囲)とを設定し、測定された合成特性が「狭い所定の範囲」を超えるものであった場合に「注意判定」を行い、「広い所定の範囲」を超えるものであった場合に「故障判定」を行う、といった構成としても良い。また、「所定の範囲」は範囲を有していることに限られない。例えば、「所定の範囲」を、合成特性の基準値のみの一点として設定し、合成特性の基準値から外れた場合に直ちに「故障判定」を行う構成としても良い。
【0028】
なお、上記電流センサ1において、合成特性としての合成抵抗の測定方法は、電源回路14が定電流源であるか定電圧源であるかによって異なってくる。例えば、電源回路14が定電流源である場合には、合成特性測定部12は直列回路11に加わる電圧を測定することで、合成抵抗を算出することができる。また、電源回路14が定電圧源である場合には、合成特性測定部12は直列回路11を流れる電流を測定することで、合成抵抗を算出することができる。このように、電源の種類などに応じて、合成特性測定部12が測定するパラメータは異なってくるから、直列回路11と合成特性測定部12との接続関係は、適切な測定によって合成抵抗を算出できるものであればよい。
【0029】
なお、磁気抵抗効果素子において、線形領域(出力が磁界に対して略線形に変化する測定領域)を超える磁界に対しては、抵抗変化が飽和して抵抗の変化量が小さくなる傾向にある。これを利用して、適切な電流測定が行われているか否かを検知することも可能である。例えば、2つの磁気センサ素子の線形領域をあらかじめ異ならせておく。この状態において、大きな被測定電流が通流して大きな誘導磁界が生じたとすると、磁気センサ素子のどちらか一方が先に飽和して抵抗変化が小さくなる。すると、2つの磁気センサ素子の合成特性(合成抵抗)のバランスが崩れる。このように、2つの磁気センサ素子の線形領域を異ならせておくことで、一方の磁気センサ素子が飽和し、適切な電流測定が困難な状態にあることを検知することができる。
【0030】
なお、上記電流センサ1の機能を実現できる構成であれば、合成特性測定部12や故障判定部13、電源回路14などの具体的な実装態様については特に限られない。例えば、これらを電流センサ外部に設けても良い。より具体的には、合成特性測定部12や故障判定部13、電源回路14などの各種回路を、電流センサ外部のIC内に設けても良い。このように、電流センサ外部のICで各種回路を実現することにより、コスト増を抑えつつ、優れた電流センサを実現できる。
【0031】
以上においては、磁気センサ素子11aおよび磁気センサ素子11bとして磁気抵抗効果素子を用いる場合を例に挙げて説明したが、磁気センサ素子11aおよび磁気センサ素子11bとして用いることができる磁気センサ素子はこれに限られない。例えば、磁気センサ素子11aおよび磁気センサ素子11bとして、ホール素子を用いることもできる。以下、磁気センサ素子11aおよび磁気センサ素子11bとして、ホール素子を用いる場合について簡単に説明する。
【0032】
ホール素子は、磁界中において素子を流れる荷電粒子にローレンツ力が働き、これによって起電力が生じる現象(ホール効果)を利用した素子である。ホール素子は、外部磁界に応じて起電力(電圧、または電位差)が変化するという性質を有するため、故障判定に用いる特性としては起電力(電圧、または電位差)が適している。そこで、磁気センサ素子11aおよび磁気センサ素子11bとしてホール素子を用いる場合には、合成特性として直列回路の起電力(電圧、または電位差)を採用する。なお、磁気センサ素子11aの起電力の初期値(無磁界における値)、および磁気センサ素子11bの起電力の初期値(無磁界における値)は、通常、ゼロである。このため、これら二つの磁気センサ素子11a、11bを直列に接続した直列回路11の起電力の初期値(無磁界における値)はゼロとなる。
【0033】
被測定電流の誘導磁界によって、磁気センサ素子11aの起電力がΔVだけ変化し、ΔVになったとする。磁気センサ素子11bは、感度の絶対値が磁気センサ素子11aと等しく、感度軸の向きが磁気センサ素子11aとは逆向きであるから、磁気センサ素子11bにおける起電力の変化分は−ΔVとなる。つまり、このときの磁気センサ素子11bの起電力は−ΔVである。このため、直列回路11の起電力はΔV+(−ΔV)=0となり、初期値からの変化はない。
【0034】
このように、磁気センサ素子11aおよび磁気センサ素子11bとして、ホール素子を用いる場合においても、直列回路11の合成特性(ここでは、起電力)は、通常、外部磁界に関わらず概ね一定となる。このため、合成特性が所定の範囲内に存在するか否かを故障判定部13において判定することによって、磁気センサ素子11aまたは磁気センサ素子11bの異常を検知し、故障の有無を判定することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態の電流センサ1では、電流センサ1を構成する第一の磁気センサ素子11aおよび第二の磁気センサ11bは、感度の絶対値が互いに等しく、また、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。これにより、第一の磁気センサ素子11aと第二の磁気センサ素子11bとが接続されてなる直列回路11の合成特性は、被測定電流が通流しているか否かに関わらず略一定となる。このため、合成特性測定部12において直列回路11の合成特性を算出することで、故障判定部13においてリアルタイムに故障判定を行うことが可能である。つまり、被測定電流の通流時においても故障判定が可能な、故障判定機能を有する電流センサを提供することができる。
【0036】
図2は、
図1とは異なる態様の電流センサの構成例について示す回路図(回路ブロック図)である。
図2に示される電流センサ2は、磁気検出素子である4つの磁気センサ素子21a、21b、21c、21dを含むブリッジ回路21と、ブリッジ回路21の特性(磁気センサ素子21a、21b、21c、21dの合成特性)を測定し算出する合成特性測定部22と、合成特性測定部22において算出された合成特性を元に電流センサ2の故障の有無を判定する故障判定部23と、ブリッジ回路21に電力を供給する電源回路24と、を備えている。ここで、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dに付された矢印は、各磁気センサ素子の感度軸の向きを表している。なお、電源回路24は、電流センサ2の外部に設けられ、電流センサ2の構成としては含まれない場合がある。
【0037】
ブリッジ回路21において、磁気センサ素子(第一の磁気センサ素子)21aの一端と磁気センサ素子(第二の磁気センサ素子)21bの一端とは電気的に接続されており、センサ出力Out1の出力端となっている。磁気センサ素子(第三の磁気センサ素子)21cの一端と磁気センサ素子(第四の磁気センサ素子)21dの一端とは電気的に接続されており、センサ出力Out2の出力端となっている。また、磁気センサ素子21aの他端と磁気センサ素子21cの他端とは電気的に接続され、磁気センサ素子21bの他端と磁気センサ素子21dの他端とは電気的に接続されて、ブリッジ回路21の外部接続端となっている。合成特性測定部22はブリッジ回路21の合成特性を測定することができるようにブリッジ回路21と接続されている。なお、合成特性測定部22とブリッジ回路21との接続関係は、
図2に示すものに限定されない。故障判定部23は、合成特性測定部22からの情報を元に故障判定を行うことができるように、合成特性測定部22と接続されている。また、ブリッジ回路21には、電力の供給源である電源回路24が接続されている。
【0038】
上記電流センサ2において、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dは、電流線(図示せず)を通流する被測定電流により発生する誘導磁界によって、その特性が変化する素子である。この点は、
図1における電流センサ1と同様である。
【0039】
電流センサ2において、磁気センサ素子21aと磁気センサ素子21bとは、感度の絶対値が互いに等しくなっており、磁気センサ素子21cと磁気センサ素子21dとは、感度の絶対値が互いに等しくなっている。そして、磁気センサ素子21aと磁気センサ素子21bとは、感度軸が互いに逆向きになるように配置されており、磁気センサ素子21cと磁気センサ素子21dとは、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。このため、正常な状態にある磁気センサ素子21a、21b、21c、21dを含むブリッジ回路21の合成特性は、被測定電流の値に依存せず、概ね一定となる。
【0040】
例えば、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dに、外部磁界に応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子を用い、合成特性として合成抵抗を採用することを考える。磁気センサ素子21a、21b、21c、21dの電気抵抗の初期値(無磁界における値)をRとすると、磁気センサ素子21a、21bを直列に接続した直列回路の合成抵抗の初期値(無磁界における値)は2Rとなり、磁気センサ素子21c、21dを直列に接続した直列回路の合成抵抗の初期値(無磁界における値)は2Rとなる。このため、二つの直列回路が並列に接続された構成のブリッジ回路21において、合成抵抗の初期値(無磁界における値)はRとなる。なお、磁気センサ素子21aと21b、または磁気センサ素子21cと21d、は、感度の絶対値(ここでは、抵抗変化分の絶対値)が略等しいものであれば、その抵抗の初期値は等しくなくとも良い。
【0041】
被測定電流の誘導磁界によって、磁気センサ素子21aの抵抗がΔR1だけ変化し、R+ΔR1になったとする。また、磁気センサ素子21cの抵抗が−ΔR2だけ変化し、R−ΔR2になったとする。磁気センサ素子21bは、感度の絶対値が磁気センサ素子21aと等しく、感度軸の向きが磁気センサ素子21aとは逆向きであるから、磁気センサ素子21bにおける抵抗の変化分は−ΔR1となる。このときの磁気センサ素子21bの抵抗はR−ΔR1である。このため、磁気センサ素子21a、21bを直列に接続した直列回路の合成抵抗は(R+ΔR1)+(R−ΔR1)=2Rとなる。同様に、磁気センサ素子21dは、感度の絶対値が磁気センサ素子21cと等しく、感度軸の向きが磁気センサ素子21cとは逆向きであるから、磁気センサ素子21dにおける抵抗の変化分はΔR2となる。このときの磁気センサ素子21dの抵抗はR+ΔR2である。このため、磁気センサ素子21c、21dを直列に接続した直列回路の合成抵抗は(R−ΔR2)+(R+ΔR2)=2Rとなる。つまり、二つの直列回路が並列に接続された構成のブリッジ回路21の合成抵抗はRとなり、初期値からの変化はない。
【0042】
このように、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dが、上述の関係を有しているため、ブリッジ回路21の合成特性(磁気抵抗効果素子を用いる場合においては合成抵抗)は、通常、外部磁界に関わらず概ね一定となる。一方で、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dに経年変化等による異常が発生し、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dの感度が変化したとすると、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dのバランスが崩れ、ブリッジ回路21の合成特性は一定ではなくなる。このため、合成特性が所定の範囲内に存在するか否かを故障判定部23において判定することによって、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dの異常を検知し、故障の有無を判定することができる。
【0043】
なお、電流センサ2において、磁気センサ素子21aの感度軸の向きと磁気センサ素子21cの感度軸の向きとが互いに逆向きになり、磁気センサ素子21bの感度軸の向きと磁気センサ素子21dの感度軸の向きとが互いに逆向きになるように、各磁気センサ素子が配置されている。このような構成を採用することで、センサ出力Out1とセンサ出力Out2の電圧の差が大きくなるため、電流測定の精度を高めることができる。
【0044】
なお、上記電流センサ2において、合成特性としての合成抵抗の測定方法は、電源回路24が定電流源であるか定電圧源であるかによって異なってくる。例えば、電源回路24が定電流源である場合には、合成特性測定部22はブリッジ回路21に加わる電圧を測定することで、合成抵抗を算出することができる。また、電源回路24が定電圧源である場合には、合成特性測定部22はブリッジ回路21を流れる電流を測定することで、合成抵抗を算出することができる。このように、電源の種類などに応じて、合成特性測定部22が測定するパラメータは異なってくるから、ブリッジ回路21と合成特性測定部22との接続関係は、適切な測定によって合成抵抗を算出できるものであればよい。
【0045】
以上においては、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dとして磁気抵抗効果素子を用いる場合を例に挙げて説明したが、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dとして用いることができる磁気センサ素子はこれに限られない。例えば、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dとして、ホール素子を用いることもできる。以下、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dとして、ホール素子を用い、合成特性としてブリッジ回路21の電圧を採用する場合について簡単に説明する。
【0046】
磁気センサ素子21a、21b、21c、21dとしてホール素子を用いる場合、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dとしての起電力の初期値(無磁界における値)は、通常、ゼロである。このため、磁気センサ素子21aと21bとを直列に接続した直列回路の起電力の初期値(無磁界における値)はゼロとなり、磁気センサ素子21cと21dとを直列に接続した直列回路の起電力の初期値(無磁界における値)もゼロとなる。つまり、これら二つの直列回路が並列に接続された構成のブリッジ回路21の起電力の初期値(無磁界における値)もゼロとなる。
【0047】
被測定電流の誘導磁界によって、磁気センサ素子21aの起電力がΔV1だけ変化し、ΔV1になったとする。また、磁気センサ素子21cの起電力が−ΔV2だけ変化し、−ΔV2になったとする。磁気センサ素子21bは、感度の絶対値が磁気センサ素子21aと等しく、感度軸の向きが磁気センサ素子21aとは逆向きであるから、磁気センサ素子21bにおける起電力の変化分は−ΔV1となる。このときの磁気センサ素子21bの起電力は−ΔV1である。このため、磁気センサ素子21a、21bを直列に接続した直列回路の起電力はΔV1+(−ΔV1)=0となる。同様に、磁気センサ素子21dは、感度の絶対値が磁気センサ素子21cと等しく、感度軸の向きが磁気センサ素子21cとは逆向きであるから、磁気センサ素子21dにおける起電力の変化分はΔV2となる。このときの磁気センサ素子21dの起電力はΔV2である。このため、磁気センサ素子21c、21dを直列に接続した直列回路の起電力は−ΔV2+(ΔV2)=0となる。つまり、二つの直列回路が並列に接続された構成のブリッジ回路21の起電力はゼロとなり、初期値からの変化はない。
【0048】
このように、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dとして、ホール素子を用いる場合においても、ブリッジ回路21の合成特性(ここでは、起電力)は、通常、外部磁界に関わらず概ね一定となる。このため、合成特性が所定の範囲内に存在するか否かを故障判定部23において判定することによって、磁気センサ素子21a、21b、21c、21dの異常を検知し、故障の有無を判定することができる。
【0049】
なお、電流センサ2では、ブリッジ回路21の合成特性を用いて故障判定を行うため、磁気センサ素子21aおよび磁気センサ素子21dの特性が同程度変化する故障モードや、磁気センサ素子21cおよび磁気センサ素子21bの特性が同程度変化する故障モードなどを検出することも可能である。例えば、磁気センサ素子に大電流が流れると、磁気ヒステリシスによって磁気センサ素子の特性が変化(劣化)してしまうことがある。そして、その変化の度合いは、感度軸の向きが同じ磁気センサ素子(電流センサ2では、磁気センサ素子21aと21d、または磁気センサ素子21bと21c)において同様に表れることがある。このような故障モードは、電流センサの出力波形からは検出が困難である。本実施の形態の電流センサ2では、ブリッジ回路21の合成特性を用いて故障判定を行うため、二つの磁気センサ素子に同様に表れる抵抗値変動を検出することが可能であり、比較的検出が困難な上述のような故障モードの検出が可能である。このため、このような検出結果に基づいて消磁などの対策を施すことにより、適切な電流測定を実現できる。
【0050】
図3は、電流センサ2のブリッジ回路21の具体的な構成例を示す模式図である。
図3に示されるように、電流センサ2において外来磁場の影響を排除するために、例えば、略U字型の電流路31の一端部31aに二つの磁気センサ素子21a、21dを配置し、他端部31bに別の二つの磁気センサ素子21b、21cを配置してブリッジ回路21を構成することがある。この場合、電流路31を通流する被測定電流により発生する誘導磁場Aと、外来磁場Bとの合成磁場は、電流路31の左右で異なる。そのため、4つの磁気センサ素子の感度軸を全て同じ方向に設置しても、
図2のように感度軸の向きを変えた場合と同様の作用が得られる。感度軸を全て同一にできるということは、製造工程上、素子の種類を1種類にすることができるということであり、素子を配置する工程が簡便になるという利点がある。
【0051】
例えば、
図3に示されるように、電流路31の左側においては誘導磁場Aと外来磁場Bとが同じ方向を向いているのに対して、電流路31の右側においては誘導磁場Aと外来磁場Bとが異なる方向を向いている。このため、
図3に示される場合には、磁気ヒステリシスの影響は、電流路31の左側において強く表れることがある。このように、磁気ヒステリシスの影響によっても合成特性のバランスが崩れることがあるため、このような状態を検出することもできる。なお、このような状態が検出された場合には、逆向きの大きな磁場を印加する方法や、減衰する交流磁場を印加する方法などにより消磁することができる。
【0052】
図4は、本実施の形態における電流センサ1の故障判定処理を示すフロー図である。なお、ここでは電流センサ1における故障判定処理のフローを説明するが、電流センサ2においても、同様の処理によって故障判定を行うことができる。
【0053】
故障判定処理が開始されると、ステップ101において、合成特性測定部12は、直列回路11の合成特性を測定、算出する。磁気センサ素子11aおよび11bが磁気抵抗効果素子である場合には、合成特性測定部12は、直列回路11に加わる電圧、または直列回路11を流れる電流を測定し、直列回路11の合成抵抗を算出する。磁気センサ素子11aおよび11bがホール素子である場合には、合成特性測定部12は、直列回路11の起電力(電圧、電位差)を測定する。
【0054】
その後、ステップ102において、故障判定部13は、合成特性測定部12において測定、算出された合成特性が、基準となる範囲に収まっているかどうかを判定する。基準となる範囲は、電流センサ1に求められる精度や信頼性などから適宜設定することができるが、例えば、基準値(例えば、無磁界における合成特性の初期値)の±3%を下限値および上限値として設定し、当該範囲内であるか否かによって判定することができる。
【0055】
ステップ102において合成特性が基準となる範囲内にある場合、ステップ103において、故障判定部13は、電流センサ1が正常である(故障はない)と判定する。一方、ステップ102において合成特性が基準となる範囲内にない場合、ステップ104において、故障判定部13は、電流センサ1に故障ありと判定する。当該判定がなされた段階で故障判定処理が終了する。
【0056】
なお、上述の故障判定処理によって、電流センサ1または電流センサ2が故障であるとの判定がなされた場合には、電流センサ1または電流センサ2に対して消磁などの対策をとることができる。また、電流センサ1または電流センサ2を含むシステムに警告を出すなどの処理を行っても良い。
【0057】
以上のように、本発明の電流センサにおいて、電流センサを構成する少なくとも一対の磁気センサ素子は、感度の絶対値が互いに等しくなっており、また、感度軸が互いに逆向きになるように配置されている。これにより、これらの磁気センサ素子を含む回路の合成特性は、被測定電流が通流しているか否かに関わらず略一定となる。このため、当該回路の合成特性を故障判定に用いることで、リアルタイムに故障判定を行うことが可能である。つまり、被測定電流の通流時においても故障判定が可能な、故障判定機能を有する電流センサを提供することができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における各素子の接続関係、大きさなどは、発明の趣旨を変更しない限りにおいて適宜変更することが可能である。また、上記実施の形態に示す構成、方法などは、適宜組み合わせて実施することが可能である。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。