(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Sr−含有化合物及びM−含有化合物のうち少なくとも1つの化合物、Eu−含有化合物、Si−含有酸化物及びSi−含有窒化物を含む原料物質を混合して混合物を作成するステップと、
前記混合物を焼成して、(Sr,M)2SiO4−xNy:Euの組成式で表される無機化合物を得るステップと、を含み、前記Mは、Mg、Ga、Ba、Li、Na、K、Rb及びCsで構成されるグループから選択された少なくとも1種の元素を含み、0<x<4、y=2x/3であることを特徴とする赤色蛍光体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
蛍光物質は多様な光源の特定波長光を所定の波長光に変換させる物質として使用されている。特に、多様な光源のうち、LEDは、低電力駆動及び優れた光効率により、液晶ディスプレーのバックライトと街路灯、自動車照明及び家庭用照明装置として適用されている傾向にあり、これによって蛍光物質は、白色LEDを製造するための核心技術として注目されている。また、蛍光物質の効率はディスプレーの駆動に必須な要素であると共に、ディスプレーを含む光源製品の効率と直接連関する主要変数として作用している。最近は、CIE色調表で定義された自然光に近い白色光を具現する技術が開発されており、このような白色光を放出するための白色LED素子に対する研究が活発に行われている。
【0027】
前者の場合、その構造が簡単かつ製造が容易で、高輝度の白色光を得ることができることから、現在最も広く研究されている方法である。この場合は、黄色蛍光体として、YAG(Y
3Al
5O
12)系またはTAG系黄色蛍光体が使用されるが、赤色成分の不足で青味がかった白色発光となるため演色性(color rendering)が低く、長時間使用して作動温度が増加すると、黄変現象(yellowing)が発生するという問題がある。後者の場合、紫外線を三原色蛍光物質に透過させて三波長白色光を作り上げる方法であって、黄変現象を緩和させると共に、演色指数(color rendering index:CRI)に優れており、さらに、幅広い色分布を具現することができるという長所がある。
【0028】
以下に、添付された図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態のみに限定されるものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0029】
本発明の一実施形態による赤色蛍光体は、(Sr,M)
2SiO
4−xN
yの組成式を有する無機結晶を母体とし、赤色エネルギー準位を作る活性剤としてEuを使用することにより約600nm以上700nm以下の範囲の発光ピークを有する長波長の赤色光を発光することができる。ここで、母体を構成する主な金属元素はストロンチウム(Sr)であり、ストロンチウムに代わることができる金属元素Mは、1価及び2価の元素のうち少なくとも1つ以上の元素である。そして、発光中心元素Euの周囲の電子状態によって発光色の輝度が変化するため、無機結晶母体の組成を変化させることで赤色蛍光体の発光特性及び物理的な特性に変化を与えることができる。
【0030】
このような赤色蛍光体は、(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を含み、上記のMは、少なくとも1つの金属元素であり、xは、0<x<4の条件を満たす範囲で選択され、Sr
2SiO
4−xN
yの総電荷が0にならなければならないので、yはy=2x/3を満たさなければならないということが分かる。好ましくは、高輝度の赤色光を得ることを目的として、xは0.15≦x≦3を満たすことができ、xが0.15以下、または、3以上であると、所定の輝度と発光ピークを有する赤色光を得ることが困難である。
【0031】
ここで、Mは、Li、Na、K、Rb及びCsで構成される第1族元素グループまたはMg、Ca、Sr及びBaで構成される第2族元素グループから選択された少なくとも1種の元素を含むことによって赤色蛍光体の発光ピークを調節することができる。そして、上記の組成式においてSiの一部は、B、Al、Ga及びInで構成されたグループまたはTi、Zr、Gf、Sn及びPbで構成されたグループから選択された少なくとも1種の元素に置換することによって赤色蛍光体の発光ピークを調節することができ、上記のSiが上記の元素に置換される比は、1/10であることができる。
【0032】
即ち、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化物とは異なる結晶を母体としており、このような結晶を母体として赤色波長、例えば、約600nm〜700nmの波長範囲の発光ピークを有する長波長の赤色蛍光体を得ることができる。好ましくは、上記の組成式において、適切な範囲で酸素を窒素に置換することによって、約600nm〜650nm、さらに好ましくは約600nm〜620nmの波長範囲の発光ピークを有する高輝度の赤色蛍光体を得ることができる。
【0033】
また、赤色蛍光体は、酸化物蛍光物質に比べて高い発光特性と、優れた熱的・化学的安定性を有し、これは、酸素に比べて窒素の高い共有結合性に起因するものであり、より堅い(stiff)結晶構造を通じて優れた熱的安定性を有することができる。このような窒素による堅い結晶構造により、ランタン元素の結晶内のエネルギー準位の分裂(splitting)を増加させ、酸化物蛍光物質よりも長波長の光を発散することができる。即ち、赤色蛍光体は、高い発光特性と、優れた熱的・化学的安定性を有することによって、高出力/高信頼性の白色発光素子パッケージを製造することができる。
【0034】
一方、上述した赤色蛍光体の製造方法は、原料物質としてSr−含有化合物及びM−含有化合物のうち少なくとも1つの化合物と、Eu−含有化合物と、Si−含有酸化物と、Si−含有窒化物を用意し、各原料物質を所定の化学量論に合わせて秤量して混合する原料物質を用意する。原料物質の混合は、乾式と湿式の2個の方法のうちいずれかを使用することができる。
【0035】
先ず、湿式混合方式によると、上記の秤量された混合物と、原料物質の混合過程及び粉砕を手伝うボール(ball)と溶媒を入れて混合する。この際、ボールは酸化ケイ素(Si
3N
4)、またはジルコニア(ZrO
2)材質、あるいは原料混合時に一般的に使用されるボールを使用する。溶媒は、D.I.Water、エタノール等のアルコール類、またはn−Hexane等の有機溶媒のいずれも使用できる。即ち、原料物質と溶媒及びボールを入れた後に容器を密閉させ、ミラー(miller)等の装置を用いて約1〜24時間原料物質を均質に混合させる。混合過程が完了した後、混合された原料物質とボールを分離させ、乾燥炉(oven)で約1〜48時間の乾燥過程を通じて溶媒を殆んど乾燥させる。乾燥が完了した粉末は、金属あるいはポリマー材質のふるい(sieve)を用いて100μmのサイズ以下に均一に分給する。
【0036】
一方、乾式混合方式によると、溶媒を使用せずに容器に原料物質を入れてミリングマシン(milling machine)を用いて上記の原料物質を均質に混合する。混合時間は約1〜24時間であり、このときボールを原料物質と共に入れて、混合をより容易にして混合時間を短縮させることができる。このような乾式混合方式は、湿式に比べて溶媒の乾燥過程を必要としないので、全体の工程時間を低減することができるという長所がある。原料物質の混合が完了すると、湿式混合と同様に混合過程が完了した粉末を金属あるいはポリマー材質のふるいを用いて100μmのサイズ以下に均一に分給する。
【0037】
最終的に分給された混合粉末を窒化ホウ素(BN)のるつぼに充填させて焼成工程を行う。この際、焼成工程は、加熱炉を用いて1000〜1800℃の温度で約1〜24時間行われる。焼成過程中の雰囲気は窒素(N2)100%あるいは水素1〜10%が含まれた混合窒素ガスを用いる。合成された蛍光体粉末を誘発または粉砕機を用いて均質に粉砕した後、上述した合成工程に類似した後熱処理工程を1回〜3回繰り返して実施することによって、蛍光体の輝度を向上させることができる。
【0038】
このような工程を通じて、(Sr,M)
2SiO
4−xN
yの組成式で表される無機化合物を含む最終赤色蛍光体が製造される。ここで、Mは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3の条件を満たす。
【0039】
最終的に焼成された蛍光体粉末を誘発あるいは粉砕機を用いて粉砕し、最適な粒度を具現するために分給工程を通じて粒度を制御する。この際、代表的に16μmのサイズのふるいを用いて16μm以下の均質な大きさの赤色蛍光体を得る。ここで得られた蛍光体粉末をD.I.Water、無機酸、有機酸、塩基を用いて後処理することによって、蛍光体に含まれている余分なガラス相、未反応金属物質等の不純物を除去することができる。例えば、0.1〜60%濃度の硝酸を加え、1〜10時間攪拌することによって余分な不純物を溶出及び除去することができる。無機酸としては、硝酸以外に、硫酸、塩酸、フッ素酸、またはこれら無機酸の混合溶液を使用する。一方、酸処理を通じて除去できなかった不純物は塩基を用いて除去することができる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基またはこれら無機塩基の混合溶液を使用することができる。このような酸処理及び塩処理後の蛍光体スラリーは、残存する酸または塩をD.I.waterを用いて洗浄し、湿式分給、濾過、乾燥を施して蛍光体粉末を得る。この際、乾燥は、50〜150℃で十分に施す。
【0040】
一実施例において、Sr−含有化合物はSrCO
3で、Eu−含有化合物は酸化ユーロピウム(Eu
2O
3)であることができ、Si−含有酸化物は酸化ケイ素(SiO
2)であることができ、Si−含有窒化物は窒化ケイ素(Si
3N
4)であることができる。この場合、赤色蛍光体は、SrCO
3−SiO
2−Si
3N
4の組成にEu
2O
3を添加してEu
zSr
2−zSiO
4−xN
yの組成式で表される無機化合物を得る。この際、zは、0.01≦z≦0.2の条件を満たす値から選択される。z値が0.2以上の濃度では濃度消光現象によって、0.01以下の濃度では発光中心元素として作用する活性剤の濃度不足によって発光の強さが減少する。
【0041】
以下に、多様な実施例を通じてさらに詳しく説明する。
【0042】
実施例1として、原料物質としてSrCO
3、SiO
2、Eu
2O
3、Si
3N
4を、化学量論比でボールミルを用いてエタノール溶媒と混合する。その後、乾燥器を使用して原料混合物のエタノール溶媒を揮発させ、乾燥した原料混合物を窒化ホウ素るつぼに充填する。原料混合物が充填された窒化ホウ素るつぼを加熱炉に入れ、1600℃のN
2雰囲気のガス状態で10時間焼成して(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの蛍光体を製造した。この際、(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの蛍光体のベース結晶構造はストロンチウムシリケート(Sr
2SiO
4)であって、ストロンチウムを金属元素Mに代えて母体の組成を変化させることができる。このように製造された(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの蛍光体の発光スペクトル、XRDスペクトル及びEDX成分分析の結果を
図1、
図2及び
図3に夫々示した。赤色蛍光体は、200nm以上500nm以下の波長領域を励起源として613nmの発光ピークを有する赤色発光特性(1)を見せ、従来のストロンチウムシリケート(Sr
2SiO
4)蛍光体と同一の斜方晶系(Orthorhombic)の結晶構造を有する。そして、EDX成分分析の結果、酸素原子と窒素原子が44.91At%:04.58At%の比で含有されており、酸素原子が窒素原子に一部置換されていることを確認することができる。
【0043】
実施例2及び実施例3として、窒素の添加量を変化させたことを除いては、実施例1と同様の方法で(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの蛍光体を製造した。このように製造された(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Eu蛍光体に対し、200nm〜500nm以下の波長領域の励起光源を用いて測定した発光スペクトル及びEDX成分分析の結果を
図4及び
図5に示した。
図4及び
図5から分かるように、2は、酸素:窒素のAt%が56.82:4.58(x=0.43)である場合(実施例2)、3は、酸素:窒素のAt%が42.91:25(x=1.86)である場合(実施例3)の発光スペクトルを示したもので、酸素が窒素に置換される値がx=0.43の場合である実施例2の発光ピークは610nmであり、酸素が窒素に置換される値がx=1.86である実施例3の発光ピークは620nmである。即ち、製造された(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Eu蛍光体は、窒素の添加量が増加するほど発光ピークがさらに長波長化されることが分かる。
【0044】
実施例4、実施例5及び実施例6として、ユーロピウムの添加量(z)を0.04から0.06まで0.01単位で増加させながら変化させたことを除いて、実施例1と同様の方法で(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Eu蛍光体を製造した。この際、赤色蛍光体はEu
zSr
2−zSiO
4−xN
yの組成式で表され、ユーロピウムがストロンチウムに代えて置換され、発光中心元素として作用する。このように製造された(Sr,M)
2−zSiO
4−xN
y:Eu
z蛍光体に対し、200nm〜500nm以下の波長領域を励起光源として測定した発光スペクトルを
図6に示した。
図6から分かるように、4は、z=0.04(実施例4)、5は、z=0.05(実施例5)、6は、z=0.06(実施例6)である場合の発光スペクトルを示し、実施例4の発光ピークは610nmであり、実施例5の発光ピークは612nmであり、実施例6の発光ピークは614nmである。即ち、赤色蛍光体はユーロピウムの添加量が増加するほど長波長化されることが分かる。
【0045】
実施例7及び実施例8として、Ba、Ca等の2価金属元素を含有する化合物のうち少なくとも1つを選択してさらに添加したことを除いて、実施例1と同様の方法で(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Eu蛍光体を製造した。これによって、SrをBa、Caの2価金属元素に一部置換させることができ、その置換の程度をSr:(Ba,Ca)の添加比が9:1の割合になる。
【0046】
このように製造された(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Eu蛍光体に対し、200nm〜500nm以下の波長領域の励起光源を用いて測定した発光スペクトルを
図7(a)に示した。
図7(a)から分かるように、Srが100%である場合(1)に613nmの発光ピークを有し、Sr:Baが夫々90%:10%で添加された場合(7)に610nmの発光ピークを有し、Si:Caが90%:10%で添加された場合(8)に615nmの発光ピークを有することが分かる。
【0047】
実施例9及び実施例10として、Al、Ga等の3価金属元素を含む化合物のうち少なくとも1つを選択してさらに添加したことを除いて、実施例1と同様の方法で(Sr,M)
2SiO
4−xNy:Eu蛍光体を製造した。これによって、SiをAl、Gaの3価金属元素に一部置換させることができ、その置換の程度をSi:(Al,Ga)の添加比が9:1の割合とする。
【0048】
このように製造された(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Eu蛍光体に対し、200nm〜500nm以下の波長領域の励起光源を用いて測定した発光スペクトルを
図7(b)に示した。
図7(b)から分かるように、Si:Gaが夫々90%:10%で添加された場合(9)に610nmの発光ピークを有し、Si:Alが90%:10%で添加された場合(10)に615nmの発光ピークを有することが分かる。
【0049】
従って、実施例7から10から分かるように、ユーロピウム元素の周りに原子半径の小さい元素であるCa及びAlが置換されると長波長化され、原子半径の大きい元素であるBa及びGaが置換されると短波長化されることが分かる。
【0050】
実施例11として、ユーロピウムと共にマンガン(Mn)をさらに添加したことを除いて、実施例1と同様の方法で(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Eu蛍光体を製造した。この際、ユーロピウムの添加量(z)は0.05に固定され、Mnの添加量は0.1とする。このように製造された(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Eu蛍光体に対し、200nm〜500nm以下の波長帯域の励起光源を用いて測定した発光スペクトルを
図8に示した。
図8から分かるように、5は、ユーロピウムの添加量がz=0.05で、Mnが添加されていない場合、11は、ユーロピウムの添加量がz=0.05であるのに対し、Mn添加量が0.1である場合で、いずれも613nmの発光ピークを有するが、Mnが添加された場合(11)の発光の強さが、ユーロピウムのみを添加した場合(5)より向上されたことが分かる。
【0051】
次いで、実施例1から実施例11による赤色蛍光体を用いた発光素子パッケージ、面光源装置及び照明装置に対して以下の図面を参照して説明する。
【0052】
図9は、第1の実施形態の発光素子パッケージを示した側断面図である。
図9に示したように、発光素子パッケージ900は、パッケージ本体910と、パッケージ本体910にモールディングされて互いに離隔されたリードフレーム920と、少なくとも1つのリードフレーム上に実装された発光素子930と、発光素子930とリードフレーム920を電気的に連結するボンディングワイヤー940と、発光素子930を封止する樹脂包装部950と、を含む。そして、発光素子パッケージ900は、発光素子930を取り囲むように溝部が形成された反射コップ970がリードフレームの位置を基準としてパッケージ本体の上部に形成されることができる。この際、反射コップ970は、パッケージ本体上に環状に形成され、反射コップの溝部によって発光素子930の実装領域が定義され、少なくとも1つのリードフレームが溝部の底に露出して実装領域を提供する。また、反射コップの側壁は、発光素子930から放出された光を所定の方向に反射させるために傾いた反射面で形成されることができる。ここで、パッケージ本体910は反射コップ970と一体に形成されてもよい。
【0053】
そして、発光素子930は、接着剤等によってリードフレーム920上にボンディングされることができ、ボンディングワイヤー940によって外部電源から電流が入力され、予め定められた波長の光を放出する。このような発光素子930は、200nm〜500nmの波長の光を放出することができ、例えば、青色光または紫外線を放出する半導体積層構造を有する青色発光ダイオードまたは紫外線発光ダイオードであることができる。このような発光素子の半導体積層構造に対する多様な実施形態に対し、次の
図10〜
図19を参照して説明する。
【0054】
そして、樹脂包装部950は、反射コップの内側に発光素子930と、ボンディングワイヤー940と、リードフレーム920とを覆うように満たされる。また、樹脂包装部950は、発光素子が放出する光の波長を他の波長に変換して光を放出する蛍光体960が含まれてもよい。このような蛍光体960は、白色光を放出するよう、赤色蛍光体と緑色、青色及び黄色のうち少なくとも1つ以上の蛍光体が混合して使用されてもよい。即ち、樹脂包装部950は、蛍光体混合物と、エポキシ樹脂、シリコン樹脂またはシリコンエポキシ混合樹脂のような硬化性透明樹脂を適切に混合して使用される。
【0055】
ここで、白色光出力のための赤色蛍光体として、実施例1から11で合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物のいずれかを備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3を満たすNを含む窒化物(Nitride)系蛍光体を使用することができる。このような窒化物系赤色蛍光体は硫化物(Sulfide)系蛍光体より熱、水分等の外部環境に対する信頼性に優れただけでなく、変色の危険も少ない。特に、高色再現性を得るために特定の範囲(430nm〜465nm)に限定した青色LEDチップの主波長において蛍光体の励起効率が高い。
【0056】
そして、青色蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca)
5(PO
4)
3Cl:(Eu
2+,Mn
2+)またはY
2O
3:(Bi
3+,Eu
2+)のうちいずれかを選択して使用することができる。緑色蛍光体は、シリケート系、サルファイド系及びナイトライド系のうちいずれか1つを含むことができる。上記のシリケート系緑色蛍光体としては、2,1,4の組成を有するA
2SiO
4または3,1,5の組成を有するA
3SiO
5シリケート系、またはSrGa
2S
4:Eu組成のサルファイド系またはBeta−SiAlON組成のナイトライド系のうちいずれか1つを含むことができる。ここで、AはSr、Ba、Ca、Mgであってもよく、Srは必須成分であり、Ba、Ca、Mgは必要によって選択的に含まれてもよい(0≦Ba,Ca,Mg≦1)。ナイトライド系の緑色蛍光体としては、β型Si
3N
4結晶構造を有する結晶のうち、Euが固溶された窒化物または酸窒化物の結晶を含み、Si
6−zAl
zO
zN
8−z:Euy,Srx(0.009<x<0.011,0.018<y<0.025,0.23<z<0.35)またはSi
6−zAl
zO
zN
8−z(0.24≦y≦0.42,Eu含有量は0.05at%〜0.25at%)で表される蛍光体を含むことができる。そして、黄色蛍光体としては、YAGまたはTAG系列のガーネット系蛍光体または2,1,4の組成を有するA
2SiO
4または3,1,5の組成を有するA
3SiO
5シリケート系、またはアルファ−SiAlON組成のナイトライド系のうちいずれか1つを含むことができる(ここで、AはSr、Ba、Ca、Mgであってもよく、Srは必須成分であり、Ba、Ca、Mgは必要によって選択的に含まれてもよい(0≦Ba,Ca,Mg≦1))。上記のナイトライド系蛍光体は、Ca
XSi
12−(m+2)Al
(m+n)O
nN
16−n:Eu
yで表されるCa−α−サイアロン蛍光体(0.01<y<0.7,0.6<m<3.0、0≦n<1.5)を使用してもよい。
【0057】
以下、
図10から
図19を参照し、本発明による発光素子の多様な実施形態について説明する。
【0058】
先ず、
図10に示したように、第1の実施例による発光素子100の半導体積層構造は、下記のような構造を有することができる。Si−Al合金からなるSi−Al合金基板101及びSi−Al合金基板101の上面及び下面に形成された保護層120、保護層120上に接合金属層102、反射金属層103、p型半導体層104、活性層105及びn型半導体層106が順に積層されている。p型半導体層104、n型半導体層106及び活性層105は、GaN系半導体、即ち、AlxGayIn(1−x−y)N(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)半導体材料等からなることができ、発光構造物を形成する。
【0059】
そして、n型半導体層106上にはn側電極107が形成されている。接合金属層102とp型半導体層104との間に介在された反射金属層103は、半導体層から入射された光を上方向に反射させることによって発光素子の輝度をさらに増加させる。反射金属層103は、高反射率の金属、例えば、Au、Ag、Al、Rh及びこれらのうち2個以上の合金で構成されたグループから選択された金属等からなることができる。しかし、このような反射金属層103は、必要によって形成されなくてもよい。接合金属層102は、Si−Al合金基板101を発光構造物に接合させる役割をし、Au等が使用されてもよい。ここで、本実施例の発光素子100が接合金属層102を含んでいるが、このような接合金属層102なしにSi−Al合金基板101がp型半導体層104上に直接接合されてもよい。よって、本実施例の発光素子100は、Si−Al合金基板101を導電性基板として使用する。
【0060】
このようなSi−Al合金は、熱膨張係数、熱伝導度、機械的加工性及び値段の側面で有利な長所を有する。即ち、Si−Al合金基板101の熱膨張係数は、サファイア基板の熱膨張係数に類似している。従って、Si−Al合金基板101を使用して発光素子100を製造する場合、既存のSiからなる導電性基板の接合工程とレーザ照射によるサファイア基板の分離工程時に発生した基板の曲げ現象と、発光構造物でのクラックの発生現象とを大きく減少させることにより、欠陥の少ない高品質の発光素子100を得ることができる。
【0061】
また、Si−Al合金基板101の熱伝導度は約120〜180W/m・Kと熱放出の特性に優れている。それだけでなく、高圧でSiとAlを溶融させることによってSi−Al合金基板101を容易に製造することができ、Si−Al合金基板を低費用で容易に得ることができる。
【0062】
特に、本実施例の発光素子100は、Si−Al合金基板101の上下面に、Si−Al合金基板101へのクリーニング(cleaning)工程時にケミカル浸透を防ぐ保護層120がさらに形成されている。ここで、保護層120は金属または伝導性誘電体等からなることができる。この際、保護層120が金属からなる場合、Ni、Au、Cu、W、Cr、Mo,Pt、Ru、Rh、Ti及びTaのうちいずれか1つ、または、金属群のうち少なくとも2個以上の合金からなることができる。この場合、保護層120は、無電解めっき方式、金属蒸着、スパッタ(sputter)またはCVD等により形成されたものであってもよく、この際、Si−Al合金基板101と金属材質の保護層120との間には、保護層120のめっき工程においてシード(seed)の役割をするシード金属層110がさらに形成されてもよい。シード金属層110はTi/Au等からなることができる。また、保護層120が伝導性誘電体からなる場合、上記の伝導性誘電体は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)またはCIO(Copper Indium Oxide)等からなることができる。この場合、保護層120は、蒸着またはスパッタ方式等により形成されたものであってもよい。このような保護層120は、0.01μm以上20μm以下の厚さに形成されることが好ましく、1μm以上10μm以下の厚さに形成されることが好ましい。
【0063】
以下に、
図11から
図18を参照し、第1の実施例による発光素子の製造方法について詳しく説明する。
図11から
図18は、第1の実施例による発光素子の製造方法を説明するために順に示した工程断面図である。
【0064】
先ず、
図11に示したように、成長用基板としてサファイア基板150を用意した後、
図12に示したように、上記のサファイア基板150上に、n型半導体層106、活性層105及びp型半導体層104を順に形成する。次いで、
図13に示したように、上記のp型半導体層104上に高反射率の金属材料、例えば、Au、Al、AgまたはRh等を用いて反射金属層103を形成する。ここで、上記の反射金属層103は必要によって形成されなくてもよい。その後、
図14に示したように、Si−Al合金基板101の表面に保護層120を形成する。上記の保護層120は金属または伝導性誘電体を用いて形成することができる。
【0065】
ここで、上記の保護層120が金属で形成される場合、上記の保護層120は、Ni、Au、Cu、W、Cr、Mo、Pt、Ru、Rh、Ti及びTaのうちいずれか1つ、または上記の金属群のうち少なくとも2個以上の合金からなることができ、無電解めっき、金属蒸着、スパッタまたはCVD等の方式で形成することができる。この際、上記の金属材質の保護層120を無電解めっき方式で形成する場合、上記のSi−Al合金基板101の表面に保護層120を形成する以前に上記の保護層120のめっき工程においてシード役割をするシード金属層110をさらに形成してもよい。
【0066】
また、上記の保護層120が伝導性誘電体に形成される場合は、上記の保護層120はITO、IZO、またはCIO等からなることができ、蒸着またはスパッタ方式等で形成することができる。上記の保護層120は、上記のSi−Al合金基板101の表面全体にかけて0.01μm以上20μm以下の厚さで形成することが好ましく、1μm以上10μm以下の厚さで形成することがより好ましい。上記の保護層120の厚さが0.01μmより薄く形成される場合、上記の保護層120が後述するHCl、HF、KOH等のケミカル浸透を防ぐ役割を確実に果たすことが難しく、20μmより厚く形成される場合、上記のSi−Al合金基板101の熱膨張係数が変わる可能性があるので、上記の保護層120は上記のした範囲の厚さで形成することが好ましい。
【0067】
この際、図面に示してはいないが、上記の保護層120を形成した後、上記の保護層120の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理して表面を平坦化して、照度を改善させてもよい。
【0068】
上述したように、保護層120が表面に形成されたSi−Al合金基板101を用意した後、
図15に示したように接合金属層102を用いて上記の反射金属層103上に、上記の保護層120が表面に形成された上記のSi−Al合金基板101を接合する。ここで、上述したように、上記の接合金属層102を用いてSi−Al合金基板101を接合してもよいが、上記の接合金属層102を用いることなく、上記の保護層120が表面に形成されたSi−Al合金基板101を上記の反射金属層103上に直接接合してもよい。
【0069】
その後、
図16に示したように、レーザリフトオフ(Laser Lift Offと,LLO)工程により上記のサファイア基板150を上記のn型半導体層106から分離する。上記のサファイア基板150の分離後には、HCl、HF及びKOH等のケミカルを使用したクリーニング工程が行われることができる。
【0070】
次いで、
図17に示したように、上記のサファイア基板150の分離により露出した上記のn型半導体層106上に、複数のn側電極107を形成する。ここで、上記のn側電極107を形成する以前に、素子の光抽出効率を向上させるために上記のn型半導体層106の表面にKOH等を使用したテクスチャリング(texturing)工程を行ってもよい。
【0071】
その次に、
図18に示したように、上記のn側電極107の間のn型半導体層106、活性層105、p型半導体層104、反射金属層103、接合金属層102、保護層120、シード金属層110及びSi−Al合金基板101をダイシング(dicing)してチップ単位で分離する。これによって、第1の実施例による発光素子100が得られるようになる。
【0072】
このように、第1の実施例による発光素子は、上記のSi−Al合金基板101の表面にNiのような保護層120をさらに形成することによって、上記のサファイア基板150の分離後に行われるクリーニング工程で使用されるHCl、HF、KOH等のケミカル、またはn型半導体層106の表面テクスチャリング工程で使用されるKOH等により、上記のSi−Al合金基板101のAl金属がエッチングされるのを防止できるという効果がある。よって、第1の実施例による発光素子は、上記のSi−Al合金基板101の表面に凹凸が形成されるのを防ぎ、上記のSi−Al合金基板101上に接合される発光構造物が外れてしまう不良の発生が防止できるという効果がある。
【0073】
また、上記の保護層120としてNi等のような金属を使用する場合、Si−Al合金基板101の表面を平坦化して、上記のSi−Al合金基板101と発光構造物との接合を堅固にすることができるという利点がある。即ち、従来は、Si−Al合金基板101が接合金属層102が形成される以前に自然酸化膜を除去するための酸(acid)等の化学物質を用いたクリーニング工程を経る過程で、Si−Al合金基板101の表面のAl金属がエッチングされながら平均200nm〜500nmの表面凹凸が形成されたが、第1の実施例のように、Si−Al合金基板101の表面に、保護層120としてNi等の金属を形成した後、Ni CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うと、表面凹凸が5nm以下に減少して鏡面のように表面が平坦化されることができる。
【0074】
このように、Si−Al合金基板101の表面が平坦化されることによって、上記のSi−Al合金基板と発光構造物との接合を堅固にし、接合歩留まりを向上させることができるという効果がある。
【0075】
次いで、第2の実施例による発光素子として、
図19に示したように、本発光素子100は第1の実施例による発光素子と大部分の構成が同一であり、但し、保護層120がSi−Al合金基板101の上面及び下面の全体に形成されず、Si−Al合金基板101の上面にSi−Al合金基板101の一部を露出するように形成されており、保護層120及び保護層により露出したSi−Al合金基板101の上面には導電層122がさらに形成されており、Si−Al合金基板101の下面にはコンタクト金属層123が形成されていることのみが第1の実施例と異なる点である。特に、上記の保護層120は、金属または伝導性誘電体でない絶縁材からなることが好ましい。即ち、第2の実施例による発光素子は、上記の保護層120が、金属または伝導性誘電体でない絶縁材により構成される代りに、保護層120が形成されたSi−Al合金基板101と保護層120の上部の発光構造物との通電を目的として、上記の保護層120が上記のSi−Al合金基板101の上面の一部を露出するように形成され、上記の保護層120を含む上記のSi−Al合金基板101の上面に導電層122がさらに形成される。ここで、上記の導電層122は金属等からなることができる。
【0076】
以下、第2の実施例による化合物半導体発光素子の製造方法について詳しく説明する。但し、第2の実施例の構成において、第1の実施例と同一の部分の説明は省略し、第2の実施例で変わる構成のみを詳述する。
【0077】
先ず、上述した
図11から
図13に示したように、サファイア基板150上に、n型半導体層106と、活性層105と、p型半導体層104と、反射金属層103と、を順に形成する。ここで、上記の反射金属層103は必要によって形成されなくてもよい。
【0078】
その後、
図20に示したように、Si−Al合金基板101の表面全体に保護層120を形成する。ここで、上記の保護層120は絶縁材からなることができる。上記の絶縁材からなる保護層120は、CVDまたはコーティング方式等によって0.01μm以上1μm以下の厚さで形成することができる。この際、図面に示してはいないが、上記の保護層120を形成した後、上記の保護層120の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理してもよい。
【0079】
次いで、
図21に示したように、上記の保護層120の一部をエッチング方式等により除去し、上記のSi−Al合金基板101の上面の一部を露出する。その後、
図22に示したように、上記の保護層120を含む上記のSi−Al合金基板101の上面に導電層122を形成する。そして、
図23に示したように、接合金属層102を用いて上記の反射金属層103上に、上記のSi−Al合金基板101の上面に形成された上記の導電層122を接合する。
【0080】
その後、
図24に示したように、レーザリフトオフ工程により上記のサファイア基板150を上記のn型半導体層106から分離する。ここで、上記のサファイア基板150の分離後には、HCl、HF及びKOH等のケミカルを使用したクリーニング工程が行われることができる。この際、第2の実施例による発光素子は、上記のSi−Al合金基板101の表面に上記の保護層120及び上記の導電層122が形成されているので、上記のクリーニング工程において使用されるケミカルによって上記のSi−Al合金基板101のAl金属がエッチングされることを防止することができる。
【0081】
その後、
図25に示したように、上記のサファイア基板150の分離により露出した上記のn型半導体層106上に複数のn側電極107を形成する。ここで、上記のn側電極107を形成する以前に、素子の光抽出効率を向上させることを目的として、上記のn型半導体層106の表面にKOH等を使用したテクスチャリング工程を行ってもよい。この際、本実施例によると、上記のSi−Al合金基板101の表面に保護層120及び導電層122が形成されているので、上記のテクスチャリング工程において使用されるケミカルにより、上記のSi−Al合金基板101のAl金属がエッチングされることを防止することができる。
【0082】
次いで、
図26に示したように、ラッピング(lapping)工程を行って、上記の保護層120を含む上記のSi−Al合金基板101の下面を一定の厚さだけ除去する。その後、
図27に示したように、上記のラッピング工程により露出した上記のSi−Al合金基板101の下面にコンタクト金属層123を形成する。
【0083】
その後、
図28に示したように、上記のn側電極107の間のn型半導体層106、活性層105、p型半導体層104、反射金属層103、接合金属層102、導電層122、保護層120、Si−Al合金基板101及びコンタクト金属層123をダイシングしてチップ単位で分離する。これによって、第2の実施例による発光素子100が得られるようになる。
【0084】
一方、本実施例は、第1及び第2の実施例の垂直構造の発光素子とは異なり、電極の配置構造を変更して高電流動作が可能な垂直水平構造の発光素子であってもよい。
図29及び
図30は第3の実施例であって、垂直水平構造の発光素子を示した平面図及び断面図である。この際、上記の
図30は、上記の
図29のI−I'線に沿って切り取った断面図である。
【0085】
図29及び
図30を参照して説明すると、第3の実施例による発光素子200は、導電性基板210、第1電極層220、絶縁層230、第2電極層240、第2半導体層250、活性層260及び第1半導体層270を含み、上記のした各層は順に積層されて備えられている。
【0086】
上記の導電性基板210は、電気が流れ得る物質で構成されることができる。例えば、上記の導電性基板210は、Au、Ni、Cu及びWのうちいずれか1つの金属を含む金属性基板、または、Si、Ge及びGaAsのうちいずれか1つを含む半導体基板であることが好ましい。上記の導電性基板210上には上記の第1電極層220が積層されて備えられているが、上記の第1電極層220は、上記の導電性基板210及び活性層260と電気的に連結されるので、上記の導電性基板210と活性層260との接触抵抗が最小化される物質で構成されることが好ましい。
【0087】
上記の第1電極層220は、上記の導電性基板210上に積層されて備えられており、それだけではなく、
図30に示すように、その一部の領域が上記の絶縁層230、第2電極層240、第2半導体層250及び活性層260を貫通し、上記の第1半導体層270の一定の領域まで貫通したコンタクトホール280を通じて延長されて上記の第1半導体層270と接触し、上記の導電性基板210と第1半導体層270が電気的に連結されるように備えられている。即ち、上記の第1電極層220は、上記の導電性基板210と第1半導体層270を電気的に連結するが、上記のコンタクトホール280を通じて電気的に連結することによって、上記のコンタクトホール280の大きさ、さらに正確には、上記のコンタクトホール280を通じて上記の第1電極層220と第1半導体層270が接触する面積である接触領域290を通じて電気的に連結される。
【0088】
一方、上記の第1電極層220上には、上記の第1電極層220が上記の導電性基板210及び第1半導体層270を除いた他の層とは電気的に絶縁させるための絶縁層230が備えられる。即ち、上記の絶縁層230は、上記の第1電極層220と第2電極層240の間だけではなく、上記のコンタクトホール280により露出する上記の第2電極層240、第2半導体層250及び活性層260の側面と上記の第1電極層220の間にも備えられる。また、上記のコンタクトホール280が貫通した上記の第1半導体層270の一定の領域の側面にも、上記の絶縁層230を備えて絶縁することが好ましい。
【0089】
上記の第2電極層240は、上記の絶縁層230上に備えられる。勿論、上記の上述したように、上記のコンタクトホール280が貫通する一定の領域には上記の第2電極層240が存在していない。この際、上記の第2電極層240は、
図30に示すように、上記の第2半導体層250と接触する界面の一部が露出した領域、即ち、露出領域245を少なくとも1つ以上備えている。上記の露出領域245上には、外部電源を上記の第2電極層240に連結するための電極パッド部247を備えることができる。一方、上記の露出領域245上には、後述する上記の第2半導体層250、活性層260及び第1半導体層270が備えられていない。また、上記の露出領域245は、
図29に示すように、上記の半導体発光素子200の角に形成することが好ましいが、これは、上記の半導体発光素子200の発光面積を最大化するためである。一方、上記の第2電極層240は、Ag、Al及びPtのうちいずれか1つの金属を含んでなることが好ましいが、これは、上記の第2電極層240が上記の第2半導体層250と電気的に接触するために、上記の第2半導体層250の接触抵抗を最小化する特性を有すると共に、上記の活性層260で生成された光を反射させて外部に向けることで発光効率を高める機能を有する層により備えられることが好ましいためである。
【0090】
上記の第2半導体層250は上記の第2電極層240上に備えられ、上記の活性層260は上記の第2半導体層250上に備えられ、上記の第1半導体層270は上記の活性層260上に備えられる。この際、上記の第1半導体層270はn型窒化物半導体であり、上記の第2半導体層250はp型窒化物半導体であることが好ましい。一方、上記の活性層260は上記の第1半導体層270及び第2半導体層250を成す物質によって他の物質を選択して形成することができる。即ち、上記の活性層260は、電子/正孔の再結合によるエネルギーを光に変化して放出する層であるから、上記の第1半導体層270及び第2半導体層250のエネルギーバンドギャップよりも少ないエネルギーバンドギャップを有する物質で形成することが好ましい。
【0091】
一方、第4の実施例の発光素子は、上記の第3の実施例の発光素子と同様の構造で変形されて、コンタクトホールと連結された第1電極層が外部に露出してもよい。
【0092】
図31は、第4の実施例による発光素子を示した断面図である。本第4の実施例による発光素子300は、導電性基板310上に第2半導体層350、活性層360及び第1半導体層370が形成される。この場合、第2半導体層350と導電性基板310との間には第2電極層340が配置されてもよく、上述した実施形態とは異なり、第2電極層340は省略してもよい。本実施形態の場合、第1半導体層370と接触される接触領域390を有するコンタクトホール380は第1電極層320と連結され、第1電極層320は外部に露出して電気連結部345を有する。電気連結部345には電極パッド部347が形成されることができる。第1電極層320は、絶縁層330により活性層360、第2半導体層350、第2電極層340、導電性基板310と電気的に分離されることができる。上述した第3の実施形態において、コンタクトホールが導電性基板と連結されたことに対し、第4の実施形態の場合、コンタクトホール380は導電性基板310と電気的に分離され、コンタクトホール380と連結された第1電極層320が外部に露出する。これによって、導電性基板310は第2半導体層350と電気的に連結され、上述した第3の実施形態との極性が異になる。
【0093】
よって、このような垂直水平構造の発光素子は、第1電極を発光面上に一部形成し、残りの一部は活性層の下部に配置させることで発光面積を最大に確保することができ、発光面上に配置された電極を均一に配置することで高い動作電流を印加しても電流の均一な分布が可能となり、高電流動作において電流が集中する現象を緩和することができる。
【0094】
一方、上述した第1の実施例から第4の実施例のいずれかによる発光素子の外部面を、蛍光体を含む樹脂材で均一に覆って、波長変換部を形成してもよい。樹脂材で覆われた発光素子をチップコーティング型発光素子とすることができる。ここで、上記の樹脂材に含まれる蛍光体には、発光素子で発生した光を白色光に変換させることができる蛍光体が含まれる。蛍光体として、上述のような、青色蛍光体、緑色蛍光体、及び赤色蛍光体に係る実施例の1から11の赤色蛍光体の、一部または全部を用いることができる。具体的には、YAG系、TAG系、Silicate系のうちいずれか1つ以上の、波長変換手段である蛍光物質であってよい。また、赤色蛍光体は、赤色蛍光体に係る実施例1から11の、組成式(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euで表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光体を使用することができる。
【0095】
図32及び
図33は、第5の実施例及び第6の実施例による発光素子を製造する方法を説明するための工程別断面図である。
【0096】
先ず、
図32を参照すると、発光素子410の上部面にはボンディングワイヤー425と電気的に連結されるボンディングパッド402を備え、このようなボンディングパッド402は、水平型または垂直型に備えられるチップダイ401の構造によって単独または2個備えられることができる。即ち、上記のボンディングパッド402は、上記のチップダイ401の構造によってその形成個数が変更されるが、上記のチップダイ401が、P極とN極が各々上、下部面に形成された垂直型構造または垂直水平構造として備えられる場合、上記のボンディングパッド402は上記のチップダイ401の上部面に形成されたP極と電気的に連結されるように単独に備えられる。
【0097】
また、上記のチップダイ401が、P極とN極とも上部面に形成される水平型構造または垂直水平構造として備えられる場合、上記のボンディングパッド402は上記のチップダイ401の上部面に形成されたP極及びN極と各々電気的に連結されるように2個が具備されなければならない。また、上記の波長変換部403は、上記のサブマウント404上にダイアタッチングされたチップダイ401の外部面を一定に覆うようにエポキシ、シリコン及びレジン等のような透明な樹脂材に蛍光体が混合してなる。この際、波長変換部403は、蛍光体が混合したシリコン、エポキシ等のような透明性樹脂を一定の厚さにプリンティングする方式で形成され、チップダイ401全体を覆うように形成されてもよい。透明樹脂は、人為的に提供される熱あるいはUV光によって硬化される、熱硬化樹脂あるいはUV硬化樹脂であって良い。
【0098】
ここで、上記の波長変換部403には、上記のチップダイで発生した光を白色光に変換させることができる蛍光体が含まれる。蛍光体として、上述のような、青色蛍光体、緑色蛍光体、及び赤色蛍光体に係る実施例の1から11の赤色蛍光体の、一部または全部を用いることができる。具体的には、YAG系、TAG系、Silicate系のうちいずれか1つ以上の、波長変換手段である蛍光物質であってよい。また、赤色蛍光体は、実施例1から11で合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光体を使用することができる。そして、上記のリードフレーム420は、上記の波長変換部403の上部面を通じて外部に露出する少なくとも1つのボンディングパッド402とボンディングワイヤー425を媒介として電気的に連結される。
【0099】
次いで、
図33を参照すると、第6の実施例による発光素子はチップダイ401'の上部面のみに波長変換部403'が形成される。
【0100】
よって、
図32(g)のように、第2の実施形態による発光素子パッケージは、樹脂物として射出成形される樹脂構造物であるパッケージ本体(不図示)の内部に一体に備えられるリードフレーム421と、第5の実施例の発光素子410のボンディングパッド402と一端がワイヤーボンディングされ、上記のリードフレーム421と他端がワイヤーボンディングされるボンディングワイヤー425で備えられることができる。また、
図33(f)に示したように、本発明の第3の実施形態による発光素子パッケージは、第6実施例の発光素子410'が、陰極リードと陽極リードを有するリードフレーム421の上部面に搭載され、上記のリードフレーム421は、上部に開放されたキャビティを形成するよう、樹脂材に射出成形されるパッケージ本体(不図示)に一体に備えられ、上記のパッケージ本体のキャビティを通じて外部に露出する発光素子410'は、ボンディングパッド402'に一端がボンディングされたボンディングワイヤー425を媒介としてリードフレーム421と電気的に連結されて発光素子パッケージを構成するようになる。波長変換部403'には、上記のチップダイで発生した光を白色光に変換させることができるYAG系、TAG系、Silicate系のうちいずれか1つの波長変換手段である蛍光物質が含まれ、特に、赤色蛍光体は、実施例1から11で合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光体を使用することができる。
【0101】
このように、垂直構造または垂直水平構造の発光素子が、高出力用発光素子パッケージに利用される場合、垂直構造または垂直水平構造の発光素子では、光放出面に直接蛍光体層が接触して、発光素子から発生する熱が上記の蛍光体に伝わりやすい。窒化物系赤色蛍光体は、従来の硫化物系蛍光体よりも化学的に安定して熱、水分等の外部環境に対する信頼性に優れているだけでなく、温度上昇による蛍光体が発する光の波長変化が小さく、発光色変化も小さい。従って、赤色蛍光体は、発光素子の光放出面に直接波長変換部を形成することができ、また、高出力/高信頼性の白色発光素子パッケージを製造することができる。
【0102】
図34は、第7の実施例による発光素子を概略的に示した断面図である。
図34を参照すると、本第7の実施例による発光素子500は、発光ダイオードチップ501とその表面を覆うように形成され、発光ダイオードチップ501から放出された光の波長を変換する波長変換部502を備えて構成される。波長変換部502は、透明樹脂部内に蛍光体Pが分散した構造で採用されることができる。波長変換部502により変換された光と、発光ダイオードチップ501から放出された光とが混合され、発光素子500は白色光を放出することができる。発光ダイオードチップ501は、n型半導体層、発光層及びp型半導体層が積層された構造であることができ、一面には第1及び第2電極503a、503bが形成されている。
【0103】
図34に示したように、波長変換部502は、発光ダイオードチップ501において第1及び第2電極503a、503bが形成された面を第1面とし、これに対向する面を第2面とし、上記の第1及び第2面の間に位置した面を側面と定義する時、発光ダイオードチップ501の第1面(電極形成面)及び側面を覆うように形成されることができる。これは、発光ダイオードチップ501の光が
図34を基準として上部方向と側方向に放出されることを意図する。本第7実施例の場合、波長変換部502が発光ダイオードチップ501の表面に沿って薄くコーティングされる形状で提供され、パッケージ本体のコップ内部に蛍光体を注入する方式に比べて全体的に均一な光を得ることができる。また、発光ダイオードチップ501の表面にそのまま波長変換部502を適用して、パッケージ本体を別途に具備しない点から素子のサイズを減らすことができる。
【0104】
発光ダイオードチップ501の電気連結をするための構造として、本実施形態では、リードフレームの代わりにめっき層を備える第1及び第2電気連結部504a、504bを使用する。具体的に、第1及び第2電極503a、503bと接続されるように第1及び第2電気連結部504a、504bが形成され、第1及び第2電気連結部504a、504bは夫々めっき層を備える。第1及び第2電気連結部504a、504bは波長変換部502を通じて外部に露出し、ワイヤーボンディング等のための領域として提供される。このように、発光素子500は、従来の通常のパッケージに比べて簡素化された構造を有し、COB(Chip On Board)やパッケージ形態等の発光装置において多様に利用されることができる。
【0105】
図35は、
図34の第7の実施例の発光素子を使用した第4の実施形態の発光素子パッケージを示した概略的な断面図である。
図35の第4の実施形態の発光素子パッケージは、基板505上に上述した第7の実施例の発光素子が実装されて具現されることができる。この場合、
図35では発光素子を示す図面番号の記載を省略した。基板505は、絶縁基材上に回路パターンが形成された回路基板を使用することができ、発光素子と上記の回路パターンを連結するようにワイヤーWが形成される。上述したように、発光素子は、上記の第1面及び側面を通じて光が放出される点から、発光素子の実装方向は発光ダイオードチップの第2面が基板505に向かう方向になる。基板505に発光素子が実装される方式以外に別途に図示してはいないが、発光素子はリードフレーム上に実装され、通常のパッケージに利用されることができる。このように発光素子をパッケージングして使用する場合、パッケージ本体のコップに蛍光体を別途に注入する必要がなく、全体的な光放出方向に対して均一な色温度を得ることができる。
【0106】
図36及び
図37は、夫々、第8及び第9の実施例による発光素子を概略的に示した断面図である。先ず、
図36を参照すると、発光素子600は、第7の実施例のように、第1及び第2電極603a、603bを有する発光ダイオードチップ601、波長変換部602、第1及び第2電気連結部604a、604bを備えて構成される。
図34に示された構造と異なる点は、発光ダイオードチップ601の側面に形成された樹脂部607は、蛍光体が除外された透明樹脂で構成されているということである。これは、発光ダイオードチップ601の側面に放出される光は、第1面に放出される光に比べて強度が低いことを考慮した。
【0107】
次いで、
図37に示された発光素子700は、第7の実施例のように、第1及び第2電極703a、703bを有する発光ダイオードチップ701、波長変換部702、第1及び第2電気連結部704a、704bを備えて構成される。
図34に示された構造と異なる点は、発光ダイオードチップ701の第1面に位置して第1及び第2電極703a、703bの側面を取り囲む領域に形成されたアンダーフィル樹脂部706は、蛍光体が除外された透明樹脂で構成されているということである。
【0108】
一方、
図38から
図41を参照し、UV発光ダイオードチップまたは青色発光ダイオードチップ上に蛍光体層が多層状に積層される波長変換部の構造に対し、多様な実施形態を通じて説明する。
【0109】
先ず、
図38及び
図39は、夫々ランプ状とチップ状に具現された本発明の第2及び第3の実施形態による発光素子パッケージの構造を示した断面図である。
【0110】
図38のように、ランプ状に具現された本発明の第5の実施形態による発光素子パッケージは、略410nm以下の波長を有するUV発光ダイオードチップ810は、紫外線により励起されて互いに異なる色相の光を放出する3種類の蛍光体が夫々含有された第1、第2及び第3蛍光層821、822、823からなる多層蛍光層820により覆われることができる。
【0111】
そして、
図39のように、チップ状に具現された本発明の第6の実施形態による発光素子パッケージは、UV発光ダイオードチップ1010が基板1005上にケーシング1006の溝の内部に設けられる。上記のケーシング1006の溝の内部には3種類の蛍光物質が夫々含有された第1、第2及び第3蛍光層1021、1022、1023が形成され、これらは上記のUV発光ダイオードチップ1010を覆う多層蛍光層1020を成すようになる。UV発光ダイオードチップ1010のn電極とp電極は、ワイヤー1003によって基板1005に形成された金属導線1007に電気的に連結される。
【0112】
具体的に、上記の第1蛍光層は、UV発光ダイオードチップ上に形成され、赤色光Rを放出する蛍光体と樹脂が混合してなることができる。上記の赤色光Rを放出する蛍光体としては、紫外線により励起され、約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する蛍光物質、即ち、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光体を使用する。
【0113】
上記の第2蛍光層は、上記の第1蛍光層上に積層され、緑色光Gを放出する蛍光体と樹脂が混合してなることができる。上記の緑色光を放出する蛍光体としては、紫外線により励起され、500nm〜550nmの範囲の波長を有する光を放出する蛍光物質が使用されることができる。上記の第3蛍光層は、上記の第2蛍光層上に積層され、青色光Bを放出する蛍光体と樹脂が混合してなることができる。上記の青色光を放出する蛍光体としては、紫外線により励起され、420nm〜480nmの範囲の波長を有する光を放出する蛍光物質が使用されることができる。
【0114】
上記のした構成を通じてUV発光ダイオードチップから放出された紫外線は、第1、第2及び第3蛍光層内に含有された互いに異なる種類の蛍光体を励起させるようになる。これによって、第1、第2及び第3蛍光層から赤色光R、緑色光G及び青色光Bが夫々放出され、このような3つの色相の光が組み合わされて白色光Wを形成するようになる。
【0115】
特に、紫外線を蛍光転換するための蛍光層を多層、即ち、3層に形成するが、最も長い波長の光、即ち、赤色光Rを放出する第1蛍光層をUV発光ダイオードチップ上に先に積層し、その上に、より短い波長の光、即ち、緑色光Gと青色光Bを放出する第2及び第3蛍光層を順に積層する。このように光転換効率が最も低い赤色光Rを放出する蛍光体が含有された第1蛍光層がUV発光ダイオードチップに最も近く位置することで、第1蛍光層での光転換効率が相対的に高くなり、これによって発光ダイオードチップの全体的な光転換効率が向上できる。
【0116】
次いで、
図40及び
図41には、本発明の第7及び第8の実施形態による発光素子パッケージの部分的な構造が図示されている。この図面には発光ダイオードチップと多層蛍光層の構造のみが図示されており、他の部分の構成は
図38及び
図39と同一である。即ち、本発明の第7及び第8の実施形態による発光素子パッケージもランプ状またはチップ状に具現されることができる。
【0117】
図40に示された第7の実施形態による発光素子パッケージは、410nm以下の波長を有するUV発光ダイオードチップ1110を覆うように形成される多層蛍光層1120を備え、この場合、上記の多層蛍光層1120は2層の蛍光層で構成される。具体的に、上記のUV発光ダイオードチップ1110上に形成される第1蛍光層1121は、赤色光Rを放出する蛍光体と樹脂が混合してなる。この際、上記の赤色光Rを放出する蛍光体としては、紫外線により励起され、約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する蛍光物質、即ち、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光体を使用する。そして、上記の第1蛍光層1121上に積層される第2蛍光層1122は、樹脂に緑色光Gを放出する蛍光体と、青色光Bを放出する蛍光体とが共に混合してなる。
【0118】
このような構成により、上記のUV発光ダイオードチップから放出された紫外線は、第1蛍光層1121内に含有された蛍光体を励起させて赤色光Rを放出させ、第2蛍光層1122内に混合した2種類の蛍光体を励起させて緑色光G及び青色光Bを放出させる。このような3つの色相の光が組み合わされることによって、人間の目には白色光Wとして見えるようになる。上記のしたように、紫外線を蛍光転換するための蛍光層を2層に形成するが、最も長い波長の赤色光Rを放出する第1蛍光層1121をUV発光ダイオードチップ1110上に先に積層し、その上に、より短い波長の緑色光Gと青色光Bを共に放出する第2蛍光層1122を積層する。このような多層蛍光層の積層構造によっても、前述した実施例と同様に、光転換効率が高くなる効果を得ることができる。
【0119】
図41に示された第8の実施形態による発光素子パッケージは、励起光として420nm〜480nmの範囲の波長を有する青色光Bを放出する発光ダイオードチップ1210を覆うように形成される多層蛍光層1220が2層で構成され、この場合、発光ダイオードチップ1210上に形成される第1蛍光層1221は赤色光Rを放出する蛍光体と樹脂が混合してなる。この際、上記の赤色光Rを放出する蛍光体としては、青色光により励起され、約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する蛍光物質、即ち、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光体を使用する。そして、上記の第1蛍光層1221上に積層される第2蛍光層1222は、樹脂に緑色光Gまたは黄色光Yを放出する蛍光体が混合してなる。
【0120】
このような構成により、上記の発光ダイオードチップから放出された青色光Bは、第1蛍光層内に含有された蛍光体を励起させて赤色光Rを放出させ、第2蛍光層内に含有された蛍光体を励起させて緑色光Gまたは黄色光Yを放出させる。このように多層蛍光層から放出される赤色光Rと、緑色光G(または黄色光Y)と、発光ダイオードチップで発生する青色光Bと、が組み合わされて白色光Wが形成される。
【0121】
ここで、
図41に開示された本発明の第8の実施形態による発光素子パッケージの白色発光原理についてさらに詳しく説明する。
【0122】
図42は、
図41に示された本発明の第8の実施形態による発光素子パッケージを概略的に示した概念図である。
図42を参照すると、青色光源から青色光が放出される。上記の青色光源は、420nm〜480nmのピーク放出波長を有する。特に、上記の青色光源としては、420nm〜480nmのピーク放出波長を有する青色LEDを使用することができる。緑色及び赤色蛍光体は、青色光源から放出された青色光により励起され、夫々緑色及び赤色の可視光を放出する。放出された緑色及び赤色の可視光線は、上記の蛍光体を透過した青色光(上記の青色光源の放出光)と混色され、白色光を出力するようになる。
【0123】
緑色蛍光体は、490nm〜550nmのピーク放出波長(peak emission wavelength)を有し、赤色蛍光体は青色光により励起され、約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する蛍光物質、即ち、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光体を使用する。好ましくは、上記の蛍光体は青色光源の特定放出波長において高い光子効率を有する。また、好ましくは、各蛍光体は、他の蛍光体により放出された可視光に対して相当な透光性を有する。赤色蛍光体は、青色光源により放出される青色光によって励起され、それだけでなく、緑色蛍光体の放出光(緑色光)によっても励起されて赤色光を放出する。好ましくは、青色光及び緑色光により十分効率的に励起されることができるよう、上記の赤色蛍光体は420nm〜500nmの範囲でピーク励起波長(peak excitation wavelength)を有する。また、赤色蛍光体は、青色光源だけではなく、緑色蛍光体によっても励起される(即ち、赤色蛍光体は2重励起される)ので、赤色蛍光体の量子収率が向上される。このような赤色蛍光体の量子収率の向上により、全体的な発光効率、輝度及び演色指数も改善される。さらに、従来無駄に捨てられた緑色光(例えば、出射面の後方に抜け出る緑色放出光)が赤色蛍光体の励起に使用されれば、全体的な発光効率はさらに大きくなる。このような量子収率の増加により、白色発光装置の全体の輝度及び演色指数が向上できる。
【0124】
図43は、第8の実施形態による発光素子パッケージの動作原理をさらに詳しく説明するために示した模式図である。
図43を参照すると、青色LEDのような青色光源1301により青色光1302が放出されて蛍光体1330、即ち、第1蛍光体1331と第2蛍光体1332に入射される。この蛍光体1330は、互いに分離された層構造を形成することが好ましい。これは、蛍光体の混合物を用いることよりも、夫々分離した層構造の蛍光体を用いることが、出射面の後方に放出される放出光を効率的に用いるのにさらに適するためである。
【0125】
青色光源1301から放出される青色光1302は、肉眼で感知でき、例えば、420nm〜480nmの波長を有することができる。好ましくは、上記の青色光源1301は、420nm〜480nmのピーク放出波長を有する青色LEDである。第1蛍光体1331は、上記の青色光1302を吸収した後、490nm〜550nmのピーク放出波長を有する緑色光1304、1305を放出する。第2蛍光体1332は、上記の青色光1302と第1蛍光体1331の放出光(緑色光1305)とを吸収した後、約600nm〜700nmの発光ピークを有する赤色光1306、1307を放出する。特に、第2蛍光体1332は、420nm〜500nmの範囲でピーク励起波長を有する場合、上記の青色光1302と緑色光1305とを効果的に吸収することができる(即ち、上記の青色光1302と緑色光1305によって効果的に励起されることができる)。赤色光1306は、第1蛍光体1331の放出する緑色光1305の吸収によって、第2蛍光体1332により放出される赤色光である。赤色光1307は、青色光源1301の放出する青色光1302の吸収によって、第2蛍光体1332により放出される赤色光である。観察者1309は、緑色光1304、青色光1302及び赤色光1306、1307の組合せを白色光1308で感知するようになる。
【0126】
以上、説明したように、第2蛍光体1332は、青色光源1301及び第1蛍光体1331により2重励起されて赤色光を放出する。従って、赤色蛍光体(第2蛍光体1332)の量子収率が向上される。これによって、発光装置の全体的な輝度が増加し、演色指数が改善される。上記の第1蛍光体1331は、青色光源1301の放出する青色光1302に応じて490nm〜550nmのピーク放出波長を有する緑色光を放出する如何なる蛍光体であってもよい。青色光源1301として、420nm〜480nmのピーク放出波長を有する青色LEDを使用する場合、上記の第1蛍光体1331としては、490nm〜550nmのピーク放出波長を有し、かつ上記の青色LEDの放出光(420nm〜480nmのピーク放出波長を有する青色光)に対する高い量子効率(quantum efficiency)を有する蛍光体を使用することができる。
【0127】
上記の第2蛍光体1332は、青色光源1301の放出する青色光1302及び第1蛍光体1331の放出する緑色光1305に応じて約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する蛍光物質、即ち、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光体を使用する。好ましくは、上記の第2蛍光体1332は、420nm〜480nmの青色LED光だけでなく、490nm〜550nmの第1蛍光体1331の放出光も共に吸収することで、約600nm〜700nmの発光ピークを有する赤色光を放出することができる。これら蛍光体は、青色光1302と緑色光1305によって2重励起されることができる。これによって、赤色蛍光体(第2蛍光体1332)の量子収率が高くなり、全体的な発光効率、輝度及び演色指数が改善される。
【0128】
図44は、第8の実施形態の発光素子パッケージに使用される緑色蛍光体(第1蛍光体)と赤色蛍光体(第2蛍光体)間のエネルギー転移を概略的に示した模式図である。
図44を参照すると、第1蛍光体は、460nm程度の青色光により励起され、530nm程度の緑色光を放出する。また、第1蛍光体は、460nm程度の青色光だけではなく、第2蛍光体の放出光(緑色光)の一部を吸収して620nm程度の赤色光を放出する。このように、第1蛍光体は、2重励起によって赤色光を放出する。即ち、第2蛍光体1332は、青色LED等の青色光源1301上に配置され、第1蛍光体1331は第2蛍光体1332上に配置される。第1蛍光体1331から後方に放出された緑色光1305は、第2蛍光体1332によって容易に吸収されて赤色光1306を放出する。これによって、第2蛍光体1332の放出する赤色光1306は、発光装置の全体の輝度をさらに高め、演色指数もさらに向上させるようになる。また、後方に放出される緑色光1305は、第2蛍光体1332によって効果的に利用される。このような層構造の蛍光体の配置は、夫々の蛍光体が分散されているモールディング樹脂の層を形成することによって容易に具現されることができる。
【0129】
図45は、第9の実施形態による発光素子パッケージを示した断面図である。
図45を参照すると、上記の発光素子パッケージ1400は、パッケージ基板1431と、上記のパッケージ基板1431に実装された発光ダイオードチップ1435と、を含む。上記のパッケージ基板1431は、2個のリードフレーム1432a、1432bが形成された下部パッケージ基板1431aと、上記のキャビティが設けられた上部パッケージ基板1431bと、からなることができる。上記のキャビティ領域内には発光ダイオードチップ1435が実装される。上記の発光ダイオードチップ1435の両電極(不図示)は、夫々上記のリードフレーム1432a、1432bの上端にワイヤーで連結される。
【0130】
上記の発光ダイオードチップ1435を取り囲むように低屈折率領域1436が提供される。上記の低屈折率領域1436は、空き空間であってもよいが、比較的低い屈折率を有する透明樹脂で充填された領域であってもよい。低屈折率領域1436が空き空間である場合は、大気に類似した屈折率(n=1)を有する。また、透明樹脂で低屈折率領域1436を形成する場合は、通常のエポキシ、シリコンまたはその混合樹脂を使用することができる。この場合、低屈折率領域1436の屈折率は略1.7程度であってもよい。
【0131】
上記の低屈折率領域1436上には高屈折率層1437が形成される。上記の高屈折率層1437は、少なくとも上記の低屈折率領域1436よりも高い屈折率を有し、上面には1437aの凹凸パターンが形成される。また、上記の高屈折率層1437上には、上記の発光ダイオードチップ1435から放出される光の波長を変換させるための蛍光体1439が含有された波長変換層1438が形成される。上記の波長変換層1438は、蛍光体が含有された樹脂層であって、少なくとも上記の高屈折率層1437の屈折率よりも低い屈折率を有する。
【0132】
上記の波長変換層1438は、上述の青色蛍光体、緑色蛍光体、及び赤色蛍光体の一部または全部を含む。赤色蛍光体は、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3を満たし、発光ダイオードチップから放出された光を吸収して約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する赤色蛍光体の一種以上を、少なくとも含む。
【0133】
高屈折率層1437は、それ自体が高屈折率を有する樹脂で形成されてもよく、または、高屈折率粒子が含有された通常の透明樹脂層として具現されてもよい。この場合、上記の高屈折率粒子は、GaP、Si、TiO
2、SrTiO
3、SiC、キュービックまたは非晶質カーボン、カーボンナノチューブ、AlGaInP、AlGaAs、SiN、SiON、ITO、SiGe、AlN及びGaNで構成されたグループから選択されることができる。
【0134】
上記の高屈折率層1437は、蛍光体1439により散乱された光子が、上記の低屈折率領域1436との界面で全反射されるように高い屈折率を有する。上記の高屈折率層1437は、1.8以上の屈折率を有するように形成することが好ましいが、低屈折率領域1436を、特定屈折率を有する樹脂で形成する場合は、上記の特定の樹脂との十分な屈折率差を有するよう、さらに高い屈折率を有する物質で高屈折率層1437を形成してもよい。
【0135】
上記の波長変換層1438との界面で比較的高い光抽出臨界角を有するとしても、上記の高屈折率層1437上に形成された1437aの凹凸パターンによって波長変換層1438への光抽出がさらに容易に実現される。好ましく、1437aの凹凸パターンの形成周期は約0.001μm〜500μmの範囲であることができる。また、高屈折率層1437と波長変換層1438の屈折率差が大き過ぎる場合は、1437aの凹凸パターンによっても十分な光抽出が期待し難いので、上記の高屈折率層1437の屈折率は10以下であることが好ましい。
【0136】
図46は、
図45に示された第9の実施形態による発光素子パッケージにおいて光抽出メカニズムを説明する概路図である。
図45と共に
図46を参照すると、発光ダイオードチップ1435から放出される光(1)は、低屈折率領域1436と高屈折率層1437を経て波長変換層1438に進行する。通常、低屈折率領域1436は発光ダイオードチップ1435を構成する窒化物よりも低い屈折率を有するが、LED表面に凹凸パターン(不図示)が形成されるので、発光ダイオードチップ1435から発生した光は低屈折率領域1436で効果的に抽出されることができる。また、低屈折率領域1436から高屈折率層1437に向かう光は高屈折率物質で進行されるので、効果的に抽出されることができる。波長変換層1438は、高屈折率層よりも低い屈折率を有するため、制限された光抽出臨界角を有するが、高屈折率層の上面に形成された凹凸によって効果的に抽出されることができる。
【0137】
次いで、LEDの放出光(1)は、蛍光体1439で励起され、その励起された一部光(2)は、所定の方向、即ち、パッケージ上部に向かって抽出されることができる。これに対し、他の一部の励起光(3)は、パッケージ内部に向って波長変換層1438から高屈折率層1437に進行することができる。上記の波長変換層1438は、高屈折率層1437よりも低い屈折率を有するため、パッケージ内部に向かう光(3)は殆んど消失されることなく、高屈折率層1437に進入されることができる。高屈折率層に進入された光(3)は、低屈折率領域1436との界面の大きな屈折率差により殆んど全反射される。全反射された光(4)は、高屈折率層1437の上部に進行され、高屈折率層1437と波長変換層1438の界面を通過して所定の方向に抽出されることができる。上述したように、高屈折率層1437と波長変換層1438は、屈折率差によってその界面で制限された光抽出臨界角を有するが、高屈折率層1437の上面に形成された、1437aの凹凸パターンによって容易に抽出されることができる。
【0138】
このように、蛍光体1439により散乱されてパッケージの内部に進行される光(3)は、上面に1437aの凹凸パターンが形成された高屈折率層1437と低屈折率領域1436とによって、所定の上部方向に効果的に全反射させることができる。
【0139】
蛍光体粒子を含有した波長変換層を上部に配置し、その下部に凹凸面を有する高屈折率層と低屈折率領域とからなる光学的構造を導入することによって、蛍光体粒子で全反射により散乱された光の進行方向を、光抽出効率が改善されるように上部方向に再調整することができる。
【0140】
一方、
図47から
図49は、本発明の第10から第12の実施形態による発光素子パッケージを示した断面図である。
図47は、
図45の第9の実施形態の発光素子パッケージにおいて波長変換層を改善した構造であり、
図48は、パッケージ基板の構造を改善した構造であり、
図49は、高屈折率層を改善した構造であって、具体的に凹凸パターンを形成する方式を通常のモールディング工程あるいはエッチング工程を利用することなく、高屈折率粒子自体の形状のみを利用して形成した構造である。
【0141】
先ず、
図47に示された発光素子パッケージ1540は、
図45に類似して、パッケージ基板1541と、上記のパッケージ基板1541に実装された発光ダイオードチップ1545と、を含む。上記のパッケージ基板1541は、2個のリードフレーム1542a、1542bが形成された下部パッケージ基板1541aと、上記のキャビティが設けられた上部パッケージ基板1541bと、からなることができる。上記の発光ダイオードチップ1545の両電極(不図示)は、夫々上記のリードフレーム1542a、1542bの上端にワイヤーで連結される。
【0142】
低屈折率領域1546は、上記の発光ダイオードチップ1545を取り囲むように提供される。上記の低屈折率領域1546は、空き空間またはエポキシまたはシリコン樹脂のような、比較的低い屈折率を有する透明樹脂で充填された領域であってもよい。また、低屈折率領域1546を空き空間領域で形成するが、その空き空間領域に、低い屈折率を有する樹脂で形成されたレンズ(不図示)が発光ダイオードチップ1545を取り囲むように配置する方式で低屈折率領域1546を提供してもよい。
【0143】
上記の低屈折率領域1546上には高屈折率層1547が形成される。上記の高屈折率層1547は、少なくとも上記の低屈折率領域1546よりも高い屈折率を有し、上面には1547aの凹凸パターンが形成される。上記の高屈折率層1547上に形成された1547aの凹凸パターンは、比較的低い波長変換層1548への光抽出をさらに容易にすることができる。好ましく、1547aの凹凸パターン形成周期は、約0.001μm〜500μmの範囲であることができる。
【0144】
また、本実施形態のように、高屈折率層1547の下面、即ち、高屈折率層1547と低屈折率領域1546の界面に、1547bの無反射層がさらに形成されることができる。1547bの無反射層は、発光ダイオードチップ1545の光波長帯域において無反射性を有する物質からなり、発光ダイオードチップ1545から生成された光の高屈折率層1547へのより効果的に進行を図ることができる。
【0145】
上記の高屈折率層1547上には、上記の発光ダイオードチップ1545から放出される光の波長を変換させるための蛍光体1549が含有された波長変換層1548が形成される。上記の波長変換層1548は、少なくとも上記の高屈折率層1547の屈折率よりも低い屈折率を有する。
【0146】
本実施形態において波長変換層1548は、通常の透明樹脂領域を形成した後、その上面に蛍光体1549を塗布する方式により形成された例である。このような構造においても、蛍光体1549からなる層が高屈折率層1547及び低屈折率領域1546からなる光学構造上に位置するため、光抽出効率の改善効果が十分に期待できる。蛍光体1549は、上述の青色蛍光体、緑色蛍光体、及び赤色蛍光体の一部または全部を含む。赤色蛍光体は、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3を満たし、発光ダイオードチップから放出された光を吸収して約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する赤色蛍光体の一種以上を、少なくとも含む。
【0147】
また、上記の高屈折率層1547は、それ自体が高い屈折率を有する樹脂で形成されてもよく、または、高い屈折率を有する粒子が含有された通常の透明樹脂で形成されてもよい。この場合、上記の高屈折率粒子は、GaP、Si、TiO
2、SrTiO
3、SiC、キュービックまたは非晶質カーボン、カーボンナノチューブ、AlGaInP、AlGaAs、SiN、SiON、ITO、SiGe、AlN及びGaNで構成されたグループから選択されることができる。上記の高屈折率層1547は、蛍光体1549により散乱された光子が上記の低屈折率領域1546との界面で全反射されることができるように少なくとも1.8以上の屈折率を有し、波長変換層1548へ容易に光抽出することができるように10以下の屈折率を有することが好ましい。
【0148】
本実施形態によるパッケージの製造工程はこれに限定されないが、低屈折率領域1546をエポキシまたはシリコン樹脂のような透明樹脂で形成する場合は、高屈折率層1547と波長変換層1548を連続的な塗布及び硬化工程を通じて形成されてもよい。但し、上記の高屈折率層1547上に形成された1547aの凹凸パターンは、硬化工程後に機械的または化学的エッチングを適用したり、硬化前にモールディングフレームを用いて形成されることができる。
【0149】
次いで、
図48に示された発光素子パッケージ1600は、パッケージ基板1651と、上記のパッケージ基板1651上に実装された発光ダイオード1655と、を含む。上記のパッケージ基板1651はこれに限定されないが、その上面に形成された2個のリードフレーム1652a、1652bと、その下面に形成された2個の接続パッド1654a、1654bと、夫々を連結する導電性ビアホール1653a、1653bと、を含む。
【0150】
上記の発光素子パッケージ1600は、他の実施形態に類似して、上記の発光ダイオード1655を取り囲む半球型の低屈折率領域1656と、上記の低屈折率領域1656上に形成された高屈折率層1657と、上記の高屈折率層1657上に形成された波長変換層1658と、を含む。上記の高屈折率層1657は、少なくとも上記の低屈折率領域1656よりも高い屈折率を有し、上面には1657aの凹凸パターンが形成される。上記の波長変換層1658は、少なくとも上記の高屈折率層1657の屈折率よりも低い屈折率を有する。波長変換層1658は、上記の発光ダイオード1655から放出される光の波長を変換させるための蛍光体1659が含有される。波長変換層1658は、蛍光体が含有された樹脂層であって、少なくとも上記の高屈折率層1657の屈折率よりも低い屈折率を有する。蛍光体1659は、上述の青色蛍光体、緑色蛍光体、及び赤色蛍光体の一部または全部を含む。赤色蛍光体は、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3を満たし、発光ダイオードチップから放出された光を吸収して約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する赤色蛍光体の一種以上を、少なくとも含む。高屈折率層1657は、それ自体が高屈折率を有する樹脂で形成されてもよく、または、高屈折率粒子が含有された通常の透明樹脂層として具現されてもよい。この場合、上記の高屈折率粒子は、GaP、Si、TiO
2、SrTiO
3、SiC、キュービックまたは非晶質カーボン、カーボンナノチューブ、AlGaInP、AlGaAs、SiN、SiON、ITO、SiGe、AlN及びGaNで構成されたグループから選択されることができる。
【0151】
本実施形態において、半球型の低屈折率領域1656を透明樹脂層として形成する場合は、トランスファーモールディング工程のような従来のモールディング工程を用いて容易に形成することができる。この場合、他の層である高屈折率層1657及び波長変換層1658の工程も類似したモールディング工程を通じて形成することができる。また、上記の低屈折率領域1656は、空き空間として提供する場合、高屈折率層1657及び/または波長変換層1658を、別途のモールディング工程を通じて製造した後、パッケージ基板1651上に付着させる方式で具現されることができる。高屈折率層1657及び波長変換層1658は半球型に例示されているが、断面が四角形または三角形といった多様な形状に製造されてもよい。
【0152】
このような形状の多様性は、
図47の構造においても類似して適用できる。例えば、
図47の実施形態では、高屈折率層1447が平坦な形状を有するように図示されているが、
図48に類似して半球型または他の形状を有するように変形されてもよい。
【0153】
一方、
図49を参照すると、上記の発光素子パッケージ1700は、
図45に示された実施形態に類似して、パッケージ基板1761と、上記のパッケージ基板1761に実装された発光ダイオードチップ1765と、を含み、上記のパッケージ基板1761は、2個のリードフレーム1762a及び1762bが形成された下部パッケージ基板1761aと、上記のキャビティが設けられた上部パッケージ基板1761bと、からなることができる。
【0154】
上記のキャビティ領域内には発光ダイオードチップ1765が実装される。上記の発光ダイオードチップ1765の両電極(不図示)は夫々上記のリードフレーム1762a及び1762bの上端にワイヤーで連結される。上記の発光ダイオードチップ1765を取り囲むように低屈折率領域1766が提供される。
【0155】
上記の低屈折率領域1766は空き空間であってもよいが、比較的低い屈折率を有する透明樹脂で充填された領域であってもよい。低屈折率領域1766が空き空間である場合は大気に類似した屈折率(n=1)を有する。また、透明樹脂で低屈折率領域1766を形成する場合は、通常のエポキシ、シリコンまたはその混合樹脂を使用することができる。この場合、低屈折率領域1766の屈折率は略1.7程度であってもよい。
【0156】
上記の低屈折率領域1766上には高屈折率層1767が形成される。上記の高屈折率層1767は、少なくとも上記の低屈折率領域1766よりも高い屈折率を有する高屈折率粒子で形成され、その上面の1767aの凹凸パターンは、上記の粒子の形状によって形成される。従って、本実施形態において、1767aの凹凸パターンの形状及び周期は、上記の高屈折率粒子の粒径及び形状によって決定される。上記の高屈折率の粒子は、GaP、Si、TiO
2、SrTiO
3、SiC、キュービックまたは非晶質カーボン、カーボンナノチューブ、AlGaInP、AlGaAs、SiN、SiON、ITO、SiGe、AlN及びGaNで構成されたグループから選択されることができる。
【0157】
本実施形態に採用された高屈折率層1767は、別途の工程において少なくとも上部の表面が上記のした高屈折率粒子で配列された膜構造で形成して、上記のキャビティ領域に配置する方式で形成することができる。これと異なって、低屈折率領域1766を特定の樹脂で形成する場合は、その樹脂の上部面に上記のした高屈折率粒子を稠密に塗布して形成してもよい。
【0158】
上記の高屈折率層1767上には、上記の発光ダイオードチップ1765から放出される光の波長を変換させるための蛍光体1769が含有された波長変換層1768が形成される。上記の波長変換層1768は、少なくとも上記の高屈折率層1767の屈折率よりも低い屈折率を有する。蛍光体1769は、上述の青色蛍光体、緑色蛍光体、及び赤色蛍光体の一部または全部を含む。赤色蛍光体は、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3を満たし、発光ダイオードチップから放出された光を吸収して約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する赤色蛍光体の一種以上を、少なくとも含む。
【0159】
上記の高屈折率層1767上に形成された1767aの凹凸パターンは、比較的低い屈折率を有する波長変換層への光抽出をより容易にする。また、高屈折率層1767と波長変換層1768の屈折率差が大き過ぎる場合に、1767aの凹凸パターンによっても十分な光抽出が期待し難いので、上記の高屈折率層1767の屈折率は10以下であることが好ましい。
【0160】
図50は、本発明の第13の実施形態による発光素子パッケージを概略的に示した断面図であり、
図51は、
図50に示した発光素子パッケージにおいて波長変換部及び制御部を概略的に示した斜視図である。
【0161】
先ず、
図50及び
図51を参照すると、本発明の第13の実施形態による発光素子パッケージ1800は、本体1810と、発光素子1820と、波長変換部1830と、制御部1840と、を含んで構成される。上記の本体1810は、プラスチック、樹脂、またはセラミックス材質で形成されることができ、前面が開放されたキャビティ1811を備え、後述する発光素子1820をその内部に収容して備える。上記のキャビティ1811は、発光素子1820から発生する光の拡散のために内周面が前方に向かって傾いた構造を形成し、内側よりも前面の外側に行くほど内周面の大きさが拡張するように構成される。
【0162】
よって、図面のように上記のキャビティ1811が筒状の構造で形成されて円形または楕円形の水平断面を有する場合、上記のキャビティ1811は、内側の内径よりも外側の内径がさらに広い円錐状を有する。しかし、これに限定されず、上記のキャビティ1811が四角形の水平断面を有することもでき、この場合、上記のキャビティ1811は、内側の断面よりも外側の断面がさらに広いピラミッド状の構造で形成されることができる。
【0163】
上記の本体1810は、上記のキャビティ1811が開放される前面(上端)に、後述する波長変換部1830を装着するための段差構造を有する装着部1812を備える。上記の装着部1812は、上記の本体1810の前面である上端から下方に段差をなして形成され、上記の波長変換部1830が装着されるように設けられる。上記の装着部1812は、上記のキャビティ1811の外側周りに沿って形成されることが好ましい。
【0164】
そして、上記の本体1810は、一端が上記のキャビティ1811の底面に露出して上記の本体1810上に実装される発光素子1820と電気的に連結され、他端が上記の本体の外部に露出する1対のメイン端子1814、1815を備える。上記の発光素子1820は、外部で印加される電源によって所定の波長の光を放射する半導体素子の一種であり、本発明による第13の実施形態に従う発光素子パッケージは、色温度を可変するために複数の発光素子が使用される従来とは異なり、単一の発光素子が備えられるという構造的な特徴がある。上記の発光素子1820は、上記のキャビティ1811内に収容され、上記の本体1810の内部に備えられる上記の1対のメイン端子1814、1815と電気的に連結されるように上記の本体1810上に実装される。
【0165】
一方、上記の波長変換部1830は、上記のキャビティ1811を覆うように上記の本体1810の装着部1812に装着され、上記の発光素子1820から放出される光の波長を変換させる。上記の波長変換部1830は、上記の発光素子1820から放出される光の経路上に配置される流体収容部1831と、上記の流体収容部1831内に流入された透明流体1832と、上記の透明流体1832内に分散された蛍光物質1833と、を備える。そして、上記の波長変換部1830は、蛍光物質1833を含有して上記の流体収容部1831内に流入された透明流体1832の容量を変化させることによって、上記の流体収容部1831の容積を調節して色温度を制御する。上記の波長変換部1830に含まれる蛍光物質1833は、青色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体の一部または全部を含むことができる。青色蛍光体及び赤色蛍光体には、上述の材料を用いることができる。赤色蛍光体には、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3を満たし、発光ダイオードチップから放出された光を吸収して約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する赤色蛍光体の一種以上を少なくとも含む。
【0166】
上記の流体収容部1831は弾性を有する弾性材料で形成することができる。一例として流体収容部1831を、収縮及び膨張等の変形と、これによる復元力に優れた弾性を有するシリコンまたはラバー材質で形成されてもよく、色温度に対する影響を及ぼさないよう光透過性を有することが好ましい。また、上記の流体収容部1831は、内部に流入される上記の透明流体1832を収容するように所定の大きさの容積を有する中空型チューブ構造で形成されてもよい。図面においては、上記の流体収容部1831が円盤状の構造を有するように示されているが、これに限定されず、上記のキャビティ1811の外側断面の形状によって四角形等の多角形構造を有してもよい。上記の流体収容部1831内に流入される上記の透明流体1832は、流動性を有するように水、オイルまたは樹脂等が含まれることができ、均一に分散された蛍光物質1833を内部に含有する。
【0167】
一方、上記の制御部1840は上記の波長変換部1830と連結され、上記の透明流体の容量を変化させて上記の流体収容部1831の容積を調節することによって上記の光の色温度を制御する。上記の制御部1840は、上記の流体収容部1831と連通して上記の透明流体1832を収容するリザーバ1841と、上記のリザーバ1841と連結され、上記の流体収容部1831内の上記の透明流体1832の容量を調節するアクチュエータ1842と、を備える。上記のリザーバ1841は、上記の流体収容部1831と連結され、上記の流体収容部1831内に満たされる上記の透明流体1832を一部収容する。従って、流動性を有する上記の透明流体1832は、上記の流体収容部1831内に満たされた状態で固定されるものではなく、上記の流体収容部1831と上記のリザーバ1841との間を移動することができ、これによって、上記の流体収容部1831内の上記の透明流体1832の容量を可変させることができる。上記のリザーバ1841は、上記の流体収容部1831と同材質からなり、上記の流体収容部1831と一体に形成されることが好ましい。
【0168】
上記のアクチュエータ1842は、上記のリザーバ1841と連結され、上記の流体収容部1831内に満たされる上記の透明流体1832の容量を調節する。即ち、上記のアクチュエータ1842の膨張または収縮作用によって上記のアクチュエータ1842と連結される上記のリザーバ1841内の透明流体1832を上記の流体収容部1831側に移動させたり、上記の流体収容部1831から上記のリザーバ1841側に移動させることによって、上記の流体収容部1831内の透明流体1832の容量を調節する。上記のアクチュエータ1842としては、ピエゾアクチュエータ(PZT)、MEMS素子等が含まれることができるが、これに限定するものではない。上記のアクチュエータ1842を、外部から印加される電源を通じて駆動するため、一端が上記のアクチュエータ1842と電気的に連結され、他端が上記の本体10の外部に露出する1対の補助端子1844、1845を備えてよい。
【0169】
そして、上記のアクチュエータ1842の作動を制御する電子装置(不図示)をさらに備えることができる。上記のアクチュエータ1842と上記の補助端子1844、1845との具体的な連結構造は省略し、図面においては上記の補助端子1844、1845が上記の本体1810の下端に露出するように図示しているが、これに限定されず、上記の本体1810の側面に露出してもよい。上記のリザーバ1841と上記のアクチュエータ1842は、上記のキャビティ1811と隣接して上記の本体1810の内部に埋め込まれて備えられてもよい。この際、上記の本体1810には、上記のリザーバ1841と上記のアクチュエータ1842を内部に収容することができる収容溝(不図示)を陥没形成して備えることが好ましい。従って、上記のリザーバ1841と上記のアクチュエータ1842が、上記の収容溝に挿入されて装着される。
【0170】
そして、本第13の実施形態による発光素子パッケージでは、上記のリザーバ1841と上記のアクチュエータ1842とが上記の本体1810の短軸方向に沿って光軸と並んで配置されるように図示している。しかし、上記の本体1810の長軸方向に沿って光軸と垂直を成すように配置されてもよく、この場合、上記の本体1810の厚さを減らすことだけではなく、上記のリザーバ1841とアクチュエータ1842をより効率的に装着することができる。
【0171】
上記の流体収容部1831は、上記の装着部1812の段差面上に装着されて上記のキャビティ1811を覆うように装着されるが、この際、上記の本体1810の上記のキャビティ1811には透明樹脂が満たされ、上記のキャビティ1811内に配置される上記の発光素子1820を密封するようにことができる。また、上記のキャビティ1811は空気で満たされ、上記のキャビティ1811内に配置される上記の発光素子20を取り囲むこともでき、この場合、上記の発光素子は上記のキャビティ1811を覆うように装着される上記の流体収容部1831により密封される。
【0172】
一方、
図52及び
図53を参照し、波長変換部1830と制御部1840の作動によって色温度を可変させる方法について説明する。先ず、
図52に示したように、1対の補助端子1844、1845を通じて外部電源が印加されて上記のアクチュエータ1842が膨張作用をするようになると、上記のアクチュエータ1842と連結される上記のリザーバ1841は、上記のアクチュエータ1842により収縮され、上記のリザーバ1841の容積は小くなる。この際、上記のリザーバ1841内に保存されていた透明流体1832は上記の流体収容部1831に移動し、上記の流体収容部1831を満たす上記の透明流体1832の流量は増加するようになる。従って、上記の流体収容部1831は、流入された透明流体1832によって膨張して容積が増加するようになり、光軸上に配置される蛍光流体層の厚さはその分増加するようになる。この結果、上記の発光素子1820から発生する光は、厚さが厚くなった蛍光流体層を通過するようになり、放出される光の色温度は低くなる。
【0173】
次いで、
図53に示したように、上記のアクチュエータ1842が逆に収縮作用をするようになると、上記のアクチュエータ1842と連結される上記のリザーバ1841は、上記のアクチュエータ1842により膨張され、上記のリザーバ1841の容積は増加するようになる。この際、上記の流体収容部1831内に保存されていた上記の透明流体1832は、上記のリザーバ1841に移動し、上記の流体収容部1831を満たす上記の透明流体1832の流量は減少するようになる。よって、上記の流体収容部1831は、上記のリザーバ1841に移動された透明流体1832により収縮して容積が減少するようになり、その分、光軸上に配置される蛍光流体層の厚さは減少するようになる。この結果、上記の発光素子1820から発生する光は、厚さが薄くなった蛍光流体層を通過するようになり、放出される光の色温度は高くなる。
【0174】
図面においては、上記の流体収容部1831の前面(上面)が平らな状態で膨張及び収縮するものと示しているが、これに限定されず、ドーム状に中心部が突出された状態に変化してもよい。このような色温度の可変は、上記のアクチュエータ1842を制御する不図示の電子装置によってさらに精密に調節することができる。よって、既存のものとは異なり、単一の発光素子のみで効果的で容易に色温度を調節することができ、色混合のための距離の確保が不要となって、光源の小型化できる。ここで、発光素子1820は、光の波長を変換する蛍光体を含有する樹脂層、あるいは、蛍光体膜を有して良い。蛍光体は、青色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体の全部または一部であってよい。この場合、発光素子1820に含まれる半導体素子が発する光の全部または一部の波長を蛍光体が変換する。発光素子1820が発する光は、白色光あるいは所定の色の光とすることができる。発光素子1820が発する光は、波長変換部1830で、波長が変換されて、外部に放出される。制御部1840が、波長変換部1830に含まれる蛍光物質1833の量を制御することによって、発光素子パッケージ1800から放出される光の色を制御することができる。
【0175】
以下に、多様な実施形態を通じて、発光素子パッケージを備える面光源装置について説明する。本実施形態による面光源装置は、上述した第1から第13の実施形態に従う発光素子パッケージを備える。そして、本実施形態による半導体発光素子を実装する発光素子パッケージは、バックライト装置のような面光源装置の外、照明装置、車両用ヘッドライト等の他の多様な装置の光源としても応用されることができる。
【0176】
図54は、本発明の第1の実施形態による面光源装置において発光モジュールの配列構造を概略的に示した平面図であり、
図55は、
図54において発光モジュールの回転配置方式を示した。
【0177】
先ず、
図54を参照すると、この第1の実施形態による面光源装置1900は、第1から第4の発光モジュール1901a〜1901dを備える。第1から第4の発光モジュール1901a〜1901dは、夫々複数の発光素子1903及びコネクター1904a〜1904dを備えて構成される。複数の発光素子1903は、行と列として2次元配列されることによって発光領域を成すことができ、特に、白色光を発光することができるLEDを使用する場合、上記の面光源装置1900は、バックライトユニット、照明装置等に使用できる。第1から第4の発光モジュール1901a〜1901dは、正方形構造で、互いに同一の形状を有することができ、夫々は絶縁性基板上に複数の発光素子1903及びコネクター1904a〜1904dが配置された構造に該当する。
【0178】
第1の発光モジュール1901aに含まれたコネクター1904aは、第1の発光モジュール1901aの一頂点に隣接して配置される。この場合、第1の発光モジュール1901aの上記の頂点は、
図54において第1から第4の発光モジュールが成す正方形、即ち、全体の面光源装置1900の中心点(中心点という場合がある)に該当する。また、「隣接」とは、上記のコネクター1904aが第1の発光モジュール1901aを成す4個の頂点のうち特定の頂点に最も近く配置されたことを示していると理解され、後述するように、上記の特定の頂点は、発光モジュールの回転中心点となる。
【0179】
第2から第4の発光モジュール1901b〜1901dは、第1の発光モジュール1901aが回転中心点を回転軸として90゜の角度で順に回転された構造である。即ち、第2の発光モジュール1901bに含まれた複数の発光素子1903及びコネクター1904bは、第1の発光モジュール1901aに含まれた複数の発光素子1903及びコネクター1904aが時計方向に90゜回転された配列構造を有する。同様に、第3の発光モジュール1901cに含まれた複数の発光素子1903及びコネクター1904cは、第2の発光モジュール1901bに含まれた複数の発光素子1903及びコネクター1904bが時計方向に90゜回転された配列構造を有し、第4の発光モジュール1901dも同様な方式で配列されることができる。このような回転配置方式は、
図55(a)に示されたものと同様である。但し、回転方向は、時計方向でない
図55(b)のように反時計方向であってもよい。
【0180】
第1から第4の発光モジュール1901a〜1901dの夫々に含まれたコネクター1904a〜1904dは、
図54に示したように、上記の中心点に隣接して配置され、相互間の距離も非常に近くなる。これによって、電源連結のための配線構造が簡潔になることができる。また、上記の第1から第4の発光モジュール1901a〜1901dが順に90゜回転配置構造を有することによって、本実施形態による面光源装置1900は1種類の発光モジュールで構成されることができる。回転配置構造を利用しない場合、上記のコネクター1904a〜1904dが中心点に隣接して配置されるためには、上記の第1から第4の発光モジュール1901a〜1901dは互いに異なる構造を有する必要がある。即ち、本第1の実施形態とは異なり、4種類の発光モジュールが要求される。このように、本第1の実施形態の面光源装置の場合、コネクター1904a〜1904d間の距離が短くなって、電気配線構造が簡潔ながらも、1つの発光モジュールが要求され、発光モジュールの規格化及び生産性の向上による費用節減の効果を得ることができる。
【0181】
図56は、第2の実施形態による面光源装置において発光モジュールの配列構造を概略的に示した平面図である。
【0182】
図56を参照すると、本第2の実施形態による面光源装置2000は、以前の実施形態と同様に、第1から第4発光モジュール2001a〜2001dを備え、上記の第1から第4発光モジュール2001a〜2001dは夫々複数の発光素子2003及びコネクター2004a〜2004dを備えて構成される。この第2の実施形態の面光源装置の場合、
図54の第1の実施形態とは異なり、上記のコネクター2004a〜2004dが上記の発光素子2003と別個の領域に形成される。即ち、
図56は、面光源装置2000をコネクター2004a〜2004dが配置された方向から見たものであって、上記のコネクター2004a〜2004dは、上記の第1から第4発光モジュール2001a〜2001dにおいて上記の発光素子2003の反対側に形成されてもよく、これによって、上記の発光素子2003をコネクター2004a〜2004dに制約を受けることなく配置することができる。
【0183】
図57は、本発明の第3の実施形態による面光源装置において発光モジュールの配列構造を概略的に示した平面図である。
【0184】
図57を参照すると、本第3の実施形態による面光源装置2100は、第1から第3の発光モジュール2101a〜2101cを備え、第1から第3の発光モジュール2101a〜2101cの外部境界線が成す形状、即ち、発光領域は円形を成す。
図54の第1の実施形態と同様に、第1から第3の発光モジュール2101a〜2101cは、互いに同一の形状を有し、互いに共有する頂点、即ち、回転中心点と成す角度が120゜(即ち、360゜/3)である扇状を有する。第1の発光モジュール2101aに含まれた複数の発光素子2103は、第1及び第2方向に2次元配列され、上記の第1及び第2方向は120゜を成す。この場合、上記の第1方向は、第1の発光モジュール2101aと第2の発光モジュール2101bの境界線と同一の方向であり、上記の第2方向は、第1の発光モジュール2101aと第3の発光モジュール2101cの境界線と同一の方向に該当する。
【0185】
第2の発光モジュール2101bに含まれた複数の発光素子2103及びコネクター2104bは、第1の発光モジュール2101aに含まれた複数の発光素子2103及びコネクター2104aが上記の中心点を回転軸として時計方向に120゜回転された構造を有し、第3の発光モジュール2101cに含まれた複数の発光素子2103及びコネクター2104cは、第2の発光モジュール2101bに含まれた複数の発光素子2103及びコネクター2104bが上記の中心点を回転軸として時計方向に120゜回転された構造を有する。本第3の実施形態では、円形の面光源装置2100の3等分された構造について説明したが、実施形態によって、面光源装置の形状は、正三角形、正五角形等のような正n角形(nは、3以上の自然数)であってもよく、この場合、n個の発光モジュールは、1/n×360゜の回転角度で配列されることができる。
【0186】
図58は、本発明の第4の実施形態による面光源装置において発光モジュールの配列構造を概略的に示した平面図である。
【0187】
図58を参照すると、この第4の実施形態による面光源装置2200は、
図54で説明した面光源装置1900に類似した構造であって、第1から第4の発光モジュール2201a〜2201dを備える。第1から第4の発光モジュール2201a〜2201dは、夫々複数の発光素子2203及びコネクター2204a〜2204dを備えて構成され、第2から第4の発光モジュール2201b〜2201dは、第1の発光モジュール2201aを90゜ずつ順に回転して得られる。
【0188】
本第4の実施形態の場合、第1の発光モジュール2201aに含まれた複数の発光素子2203は、行と列、即ち、x及びy方向に配列されるが、x方向のピッチ(x)とy方向のピッチ(y)は互いに相異する。本実施形態では、y方向のピッチ(y)を、一般的に採用できる大きさに該当するx方向のピッチ(x)より大きくすることによって、全体に使用される発光素子2203の数を減らすことができる。具体的に、上記のx方向のピッチ(x)は、約26〜27mm程度になり、上記のy方向のピッチ(y)は、約29〜37mm程度になる。但し、本実施形態では、y方向のピッチ(y)をx方向のピッチ(x)より大きくしたが、実施形態によっては、x方向のピッチ(x)をy方向のピッチ(y)よりさらに大きくしてもよい。即ち、x方向のピッチ(x)とy方向のピッチ(y)とが互いに異なってさえいればよい。一方、本明細書で使用されるピッチは、一方向に離隔した隣接した発光素子2203の中心間の距離に該当する。
【0189】
本実施形態のように、x及びy方向のピッチが互いに異なる発光素子配列構造である場合、y方向のピッチが大きくなることによって輝度のばらつきを最小化することができる。第1の発光モジュール2201aにおいては、y方向のピッチ(y)がx方向のピッチ(x)よりも大きいが、第2の発光モジュール2201bにおいてはこれと逆になり、第3の発光モジュール2201cは第2の発光モジュール2201bと逆になる。また、第3の発光モジュール2201cが時計方向に90゜回転されて形成された第4の発光モジュール2201dは、第2の発光モジュール2201bと同一のピッチ構造を有する。このように、隣接した発光モジュールと逆になる配列構造を有することによって、x方向及びy方向ピッチが相異するために引き起こされる輝度のばらつきを最小化することができ、つまり、上記の面光源装置2200は、輝度分布の均一性を維持しながらも、発光素子2203の個数を減らすことができる。
【0190】
この場合、発光素子2203の個数が減少しながら発生する輝度の低下の問題は、注入電流を増加させることによって解決することができる。このように、第1の発光モジュール2201aの配置方式と全体発光領域で占める領域が決定されると、第1の発光モジュール2201aを時計または反時計方向に回転して残りの発光モジュールの配置方式を決定することができ、いずれの方向に回転しても輝度の均一度及び発光素子個数の減少を得ることができる。
【0191】
上記の第1から第4の実施形態では、面光源装置の全体の形象が正方形、円形である場合について説明したが、
図59に示したように、長方形面光源装置にも応用することができる。
【0192】
図59は、第5の実施形態による面光源装置を示した平面図である。本実施形態の場合、面光源装置2300は長方形の形状を有し、
図54の実施形態の面光源装置1900を横に4個連結して付着することで製造することができる。このように、本実施形態により提供される面光源装置は、300×300、600×600のサイズの外、300×1200、600×1200等のサイズにも適用することができる。ひいては、上述した構造を有する面光源装置は、LCDパネルの後面から光を照射するバックライトユニット等に採用されることができる。
【0193】
上述した第1から第5の実施形態による面光源装置は、第1から第13の実施例による発光素子パッケージを採用しており、各発光素子パッケージは、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3を満たし、発光ダイオードチップから放出された光を吸収して約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する赤色蛍光体を少なくとも含む波長変換部を備える。
【0194】
図60は、上述した本発明の第1から第5の実施形態による面光源装置を採用した第1の実施形態のバックライトユニットを示した断面図である。
【0195】
図60を参照すると、この第1の実施形態によるバックライトユニット2400は、上述した構造の第1から第5の実施形態の面光源装置を備えることができるが、このうち1つの実施形態を挙げて説明する。上記の面光源装置は、基板2401上に配置された複数の発光素子2402を備え、上記の発光素子2402は互いに異なるピッチ(P1,P2)で配列されている。また、詳しく図示してはいないが、上記の面光源装置の発光領域は、n等分されて形成された第1から第n発光モジュールを備え、上記の第1発光モジュールから時計または反時計方向に360゜/nの角度で順に回転されて第2から第n発光モジュールが形成される。ひいては、図示してはいないが、上記の複数の発光素子2402に電源を供給するためのコネクターは、上記の第1から第n発光モジュールの回転中心に隣接して配置されることで電源配線の効率性を図ることができる。
【0196】
上記の面光源装置の上部には、入射された光を均一に拡散させる拡散シート、または、拡散板と上記の拡散シートまたは拡散板の上部に配置されて入射された光を垂直方向に集光する集光シート等を含む光学シート2414が配置される。上記の光学シート2414は、上記の集光シート上部に配置され、下部の光学構造物を保護するための保護シートをさらに含むことができる。上記の基板2401の上面縁には上記の発光素子2402を取り囲むように形成され、上記の発光素子2402が配置された方向に傾斜面を有する側壁2413が形成される。また、上記の基板2401の上面には、上記の発光素子2402から放出された光を上部に反射させることができる反射層2411が備えられてもよい。一方、上記の発光素子2402の配列間隔であるピッチ(P1,P2)は、光学距離(l)よりも小さいことが好ましい。本条件を満たさない場合、面光源装置の輝度の均一度が低下したり、ホットスポット(hot spot)が見える恐れがある。ここで、上記の光学距離(l)は、発光素子801の光放出面から上記の光学シート2414までの距離、即ち、垂直方向に光が進行した距離と理解することができる。
【0197】
図61は、本発明の第6の実施形態による面光源装置を示した斜視図である。
図61に示したように、面光源装置2500は、下部フレーム2510と、発光素子パッケージ2520と、導光板2530と、光学シート2540と、を含む。この際、面光源装置2500は、光の透過率を調節して映像を表示す液晶パネル2550と共に液晶表示装置に使用されることができる。そして、光学シート2540は、導光板2530の上部に装着され、拡散板、拡散シート、プリズムシート及び保護シートを含むことができる。
【0198】
導光板2530は、複数に分割されており、複数の導光板が下部フレーム2510の収納空間に並列的に配置され、発光素子パッケージ2520は導光板2530の側面に配置される。ここで、導光板2530は、複数個が個別的に配置されてもよいが、複数個が一体化されるよう、連結されて配置されてもよい。
【0199】
そして、発光素子パッケージ2520は、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である赤色蛍光体と、青色蛍光体、緑色蛍光体及び黄色蛍光体が樹脂材に適切に混合された波長変換部を備える。そして、図示してはいないが、導光板2530の下部に反射板をさらに備えてもよく、本面光源装置は、下部フレーム2510の内部空間に装着されて固定されてもよい。
【0200】
そして、
図62は、第7の実施形態による面光源装置を説明するための概略的な断面図である。
【0201】
図62(a)に示したように、本実施形態による面光源装置は、タンデム型面光源装置であって、n個のLED光源と、n個の平板型導光板を有する。LED光源は、基板2600上に複数のLEDパッケージ2601が一列に配列され、このように構成されたn個のLED光源が互いに平行に配列される。これらn個のLED光源に沿って一側に夫々配列設置される平板型導光板2602及び2605を備える。
【0202】
また、面光源装置は、LEDパッケージ2601及び2604の下部、並びに、平板型導光板2602及び2605の下部に配置され、LED光源から出光された光を反射させる反射部材(不図示)を備えて構成される。また、上記の平板型導光板の上部には、反射部材で反射され、平板型導光板で屈折して液晶パネル側に出射される光を複数の方向に拡散させる拡散シート、及び拡散シートを通過した光を正面視野角内に集める役割をする、プリズムシートのような光学シートを備える。
【0203】
具体的に、LED光源はトップビュー(Top View)LEDが夫々実装された複数のLEDパッケージからなる。そして、平板型導光板2632、2635は、平板型(plate−type)であり、LED光源から光が放出される方向に配置され、光を通過させることができるように透明な素材からなる。平板型導光板は、ウェッジ型導光板に比べてその形状が簡単で、量産が容易であり、さらに、LED光源上に導光板の位置を合わせることも容易である。
【0204】
また、平板型導光板2602及び2605は、LED光源から出た光が入射される入光部、均一な厚さを有する平板型で形成され、LED光源から入射された光を照明光として液晶パネル側に出射する出射面を有する出射部、及び上記の出射部を基準として入光部の対向側に形成され、入光部の厚さよりも小さい厚さの先端部先端部を備え、平板型導光板2602の先端部がLEDパッケージ2604上を覆うように配置される。即ち、n番目の平板型導光板の先端部の下部にn+1番目のLED光源が位置する。そして、平板型導光板2602の先端部は下面にプリズム状を有する。
【0205】
図62(b)に示したように、LEDパッケージ2604から出た光は平板型導光板2602に直接出射されずに、平板型導光板2602の先端部の下面に備えられたプリズム状により散乱して分散される。これによって、LED光源上の導光板に生じるホットスポットを除去することができる。
【0206】
図63は、
図62に示された平板型導光板を説明するための概略的な斜視図である。
図63に示したように、平板型導光板2700は、複数のLEDパッケージからなるLED光源から出た光が入射される入光部2701と、均一な厚さの平板型で形成され、入光部2701に入射された光を照明光として液晶パネル側に出射する出射面2704を有する出射部と、出射部を基準として入光部2701の対向側に形成され、入光部2701の入射端面よりも狭い厚さの端面を有する先端部2702と、を備える。
【0207】
先端部2702は、自身の下部に配列されるLEDパッケージから出た光の一部を分散するためにプリズム状2703を備える。このようなプリズム状2703は、入射された光を分散及び散乱させることができる三角形プリズム、円錐型プリズム及び半球型プリズムのうち少なくともいずれか1つであることができる。また、先端部2702のプリズム状は、先端部2702の全体に形成されてもよく、または、LEDパッケージ上部のみに一部形成されてもよい。このようなプリズム状により、LEDパッケージ上の導光板に発生するホットスポットが除去できる。
【0208】
よって、本実施形態は、平板型導光板において、先端部の下面にプリズム状を加工することによって、LEDパッケージから出た光の一部によりLEDパッケージ上の導光板に発生するホットスポットを分散させるためにLEDパッケージと導光板との間に別途の拡散シート及びプリズムシートを加工する工程が不要となり、製造工程が簡単になる効果がある。
【0209】
図64は、本発明の第2の実施形態によるバックライト装置の分解斜視図であり、
図65は、
図64に示されたバックライト装置の積層後のI−I'線に沿って見た切断面図である。ここで、バックライト装置は、多数の導光板を備えることができるが、説明の便宜上、2個の導光板のみを示した。
【0210】
図64及び
図65を参照すると、バックライト装置は、下部カバー2810と、導光板2820と、光源装置2830と、固定手段2840と、を含む。上記の下部カバー2810は収納空間を有する。例えば、上記の収納空間は、上記の下部カバー2810の底面を成すプレート(plate)及び上記のプレートの縁で折曲された側壁により形成されることができる。上記の下部カバー2810は、後述する固定手段2840が締結される締結具あるいは締結部2811を備えることができる。ここで、上記の締結具あるいは締結部2811は後述する固定手段2840が貫通される貫通ホール部または上記の固定手段が挿入されるための溝部であってもよい。
【0211】
上記の導光板2820は多数個に分割されている。多数に分割された上記の導光板2820は、上記の下部カバー2810の収納空間に並列的に配置されている。上記の夫々の導光板2820は胴体を貫通する貫通ホール2821を備える。上記の貫通ホール2821は上記の導光板2820のエッジに配置されている。しかし、本発明の実施形態では、上記の貫通ホール2821の位置及び個数に対して限定するものではない。上記の貫通ホール2821は上記の締結部2811と対応するように配置される。上記の導光板2820の形態は四角形状に示したが、これに限定されず、三角形、六角形といった多様な形態を有してもよい。
【0212】
上記の各導光板2820の一側には、上記の導光板2820に光を提供する複数の光源装置2830が配置されている。上記の夫々の光源装置2830は、光を形成する光源、即ちLEDパッケージ2831及び上記のLEDパッケージ2831の駆動電圧を印加するための多数の回路パターンを備える基板2832を含むことができる。例えば、上記のLEDパッケージ2831は、青色、緑色及び赤色を夫々具現するサブ発光ダイオードを含む。この際、上記のサブ発光ダイオードは、青色発光ダイオード及び上記の青色発光ダイオードから放出された青色光の一部を、赤色及び緑色に変換させる蛍光体を含んでもよい。この際、上記の青色と上記の赤色及び緑色が混色され、白色光を具現することができる。ここで、赤色蛍光体は、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光物質である。
【0213】
上記の光源装置2830で形成された光は上記の導光板2820の側面に入射され、上記の導光板2820の内部全反射により上部に出射される。上記の固定手段2840は、上記の導光板2820の流動を防止するために、上記の導光板2820を上記の下部カバー2810に固定する役割をする。上記の固定手段2840は、上記の導光板2820の貫通ホール2821に挿入され、上記の導光板2820を上記の下部カバー2810上に固定させる。加えて、上記の固定手段2840は、上記の導光板2820の貫通ホール2821を経由して上記の導光板2820の締結部2811、例えば、上記の貫通ホール部を貫通したり、上記の挿入溝に挿入することができる。上記の固定手段2840は、胴部2842及び上記の胴部2842から延長された頭部2841を含む。
【0214】
上記の胴部2842は、上記の導光板2820の貫通ホールを貫通し、上記の締結部2811に締結される。即ち、上記の胴部2842は、上記の導光板2820と上記の下部カバー2810とを互いに結合させ、上記の導光板2820を上記の下部カバー2810上に固定させる役割をする。上記の頭部2841は、上記の胴部2842よりも広い幅を有することによって、上記の固定手段2840が上記の導光板2820の貫通ホール2821を通して完全に抜け出ることを防止する。上記の頭部2841は、様々な形態、例えば、半円形、反楕円形、四角形及び三角形のうちいずれか1つの断面形態を有することができる。ここで、上記の頭部2841が三角形の断面形態を有する場合、上記の固定手段2840と後述する光学部材2860間の接触を最小化することができ、上記の固定手段2840による黒点の発生を最小化することができる。
【0215】
上記の導光板2820と上記の光学部材2860は、一定の間隔を有することによって、上記の導光板2820から出射された光は上記の光学部材2860上に均一に提供されることができる。ここで、上記の頭部2841は、上記の光学部材2860を支持することによって、上記の導光板2820と後述する光学部材2860間の間隔を維持する役割をするようになる。ここで、上記の導光板2820と上記の光学部材2860との間隔は上記の頭部2841の高さを調節することによって調整されることができる。固定手段2840は、画質に及ぶ影響を最小化するため、光を透過する材質、例えば、透明なプラスチックからなることができる。
【0216】
これに加えて、上記の各導光板2820の下部に反射部材2850が配置されてもよい。上記の反射部材2850は、導光板2820の下部に出射される光を反射して上記の導光板2820に再入射させることによって、バックライト装置の光効率を向上させる。上記の反射部材2850は、上記の貫通ホール2821及び上記の締結部2811と対応される貫通部2851を備えることができる。上記の固定手段2840は、上記の貫通ホール2821及び上記の貫通部2851を経由して上記の締結部2811に締結されることができる。これによって、上記の反射部材2850が上記の導光板2820のように多数に分割される場合、上記の固定手段2840により上記の下部カバー2810上に固定されることができる。
【0217】
加えて、上記のバックライト装置は、上記の導光板2820上に配置された光学部材2860をさらに含むことができる。上記の光学部材2860の例としては、導光板2820に配置された拡散板、拡散シート、プリズムシート及び保護シートを含むことができる。従って、本発明の実施形態において、バックライト装置は、多数個に分割された導光板を備えることによって、部分駆動によるローカルディミング効果をさらに向上させることができる。また、多数個に分割された上記の導光板は、固定手段を用いて下部カバー上に固定させることによって、上記の導光板の流動による不良を防止することができる。また、上記の固定手段によって上記の導光板と上記の光学部材間の間隔を一定に維持することができ、均一な光を液晶パネルに提供することができる。
【0218】
図66は、第3の実施形態によるLEDバックライト装置を示した平面図であり、
図67は、
図66に示したA領域の基板締結前の断面斜視図であり、
図68は、
図66に示したA領域の基板締結後の断面斜視図である。また、
図69は、
図68の切断線II−II'に沿って見た切断面図である。
【0219】
図66から
図69に示したように、第3の実施形態によるLEDバックライト装置は、2910aの第1貫通ホール、あるいは溝等からなる締結具あるいは締結部を有する下部カバー2910と、上記の下部カバー2910上に配置される複数の導光板2920と、上記の各導光板2920の一側で下部カバー2910の底面に水平に備えられ、外部から電圧が印加される配線が形成され、下部カバー2910に設けられた、2910aの第1貫通ホールに対応(あるいは対面)する、2931aの第2貫通ホールを有する基板2931と、上記の導光板2920の一側に備えられる基板2931上に実装されて光を提供する多数のLEDパッケージ2932と、上記の基板2931に設けられた、2931aの第2貫通ホール及び/あるいは上記の下部カバー2910に設けられた、2910aの第1貫通ホールに締結され、隣接する導光板2920の一側縁領域を圧迫する固定手段2940と、を含んでいる。
【0220】
ここで、収納空間を形成して底面を成すプレートを貫通して円形、長方形あるいは楕円形といった形態を成す2910aの第1貫通ホール(あるいはプレート上に凹状に形成された(締結)溝)を有する下部カバー2910は、鉄(Fe)あるいは電気亜鉛めっき鋼板(EGI)等を材質として下部フレームを成し、さらに、下部カバー2910は、底面を成すプレート縁領域で上側方向に垂直に延長して形成された側壁、即ち、側面フレームを有することができる。この際、下部フレームの底面は、分割型バックライト装置の構成のために一列に形成される複数の領域に区分できるが、この際、その複数の領域は、例えば一側領域に形成された凹状の溝により境界を成すことができる。勿論、ここで複数の領域を区分する凹状の溝は、後述する基板2931の収納溝に該当する。
【0221】
また、下部カバー2910上の、2910aの第1貫通ホールは、円形、楕円形あるいは長方形以外にも多様な形態を成すことができるが、長手方向の幅を有する貫通ホール、さらに正確には、互いに並んだ2個の長辺と、その2個の長辺の両端で所定の曲率をもって互いに連結されるように形成された2個の短辺を有する貫通ホールの形態を示すことができ、この際、2910aの第1貫通ホールの長軸方向(Y軸)が光の進行方向と同一の方向を成すよう、下部カバー2910上に形成されることがさらに好ましい。(締結)溝の場合も上記のと同様な構造的特徴を有する。
【0222】
そして、下部カバー2910の全底面、あるいは基板2931が収納される凹状の収納溝が形成される場合は、その凹状の溝を除いた複数の底面上に反射板(不図示)が付着されている。このような反射板は、普通、白色ポリエステルフィルムあるいは金属(Ag,Al)等がコーティングされたフィルムを使用するようになるが、反射板での可視光の光反射率は90〜97%程度であり、コーティングされたフィルムが厚いほど反射率は高くなる。
【0223】
この際、下部カバー2910の底面において複数個備えられる反射板は、夫々光が提供されるLEDパッケージ2932と、そのLEDパッケージ2932の背面に隣接して位置する導光板2920の間に位置するように延長して形成されてもよい。このような場合、導光板2920の一側から提供されて誘導された光が、導光板2920の他側に配置されたLEDパッケージ2932の干渉を受けることなく反射板により再び反射された後、上側に備えられる光学部材(不図示)の方向に提供されることができ、光の反射効率が増大できる。
【0224】
上記の下部カバー2910の凹状の収納溝あるいは導光板2920の一側にはLED光源2930が備えられている。この際、LED光源2930は、例えば凹状の収納溝に備えられて下部カバー2910の底面に水平を成して備えられ、外部から電圧が印加されるように配線が形成され、下部カバー2910に設けられた、2910aの第1貫通ホールに対応する、2931aの第2貫通ホールを有する基板2931、即ち、PCBと、その基板2931上に実装されたLEDパッケージ2932で構成されている。
【0225】
ここで、基板2931は、LEDパッケージ2932とLEDパッケージ2932との間に形成された、2931aの第2貫通ホールを有するようになるが、このように2931aの第2貫通ホールを有する基板2931は、下部カバー2910に設けられた、2910aの第1貫通ホールに対応(あるいは対面)されるようにしてその下部カバー2910の底面に備えられており、また、その基板2931上に形成された、2931aの第2貫通ホールは、下部カバー2910に設けられた、2910aの第1貫通ホールと同様に円形あるいは楕円形等を成すことができるが、本実施形態では長手方向の幅を有する貫通ホール、即ち、互いに並んだ2個の長辺と、その2個の長辺の両端で所定の曲率をもって互いに連結されるように形成された2個の短辺を有する貫通ホールの形態を示すが、2931aの第2貫通ホールの長軸方向(X軸)が光の進行方向と垂直を成すように形成されることによって、結局、基板2931に設けられた2931aの第2貫通ホールはその長軸方向(X軸)が下部カバー2910に設けられた、2910aの第1貫通ホールの長軸方向(Y軸)と互いに交差するように形成されている。
【0226】
この際、基板2931上に形成された2931aの第2貫通ホールの大きさ、さらに正確には、両長辺間の間隔(あるいは距離)はネジ山が形成された固定手段2940の胴体の直径に関係し得るが、2931aの第2貫通ホールの大きさは、光を提供するLEDパッケージ2932とそのLEDパッケージ2932から提供された光が入射されて誘導される導光板2920との間隔に影響を及ぼし得るためである。これについては、後でさらに説明する。
【0227】
また、LEDパッケージ2932は、上記の基板2931上に再び固定され、外部フレームを形成して収納溝を有するパッケージ本体2933と、パッケージ本体2933の収納溝に実装されて光を提供するLEDチップ2935と、上記の収納溝に露出するように形成されてLEDチップ2935が搭載され、基板2931上の配線と電気的に接続される1対の第1及び第2電極構造(不図示)と、で構成されている。
【0228】
この際、LEDパッケージ2932は、LEDチップ2935が青色の発光ダイオードチップである場合、白色光を提供するために収納溝に形成された樹脂包装部2936を追加的に備えることができるが、この際、樹脂包装部2936は赤色及び緑色蛍光体を含むことができる。例えば、その樹脂包装部2936は、赤色及び緑色蛍光体を含むジェル形態のエポキシ樹脂あるいはシリコン樹脂をパッケージ本体2933の収納溝に注入した後、UV(ultraviolet)硬化あるいは熱硬化を通じて形成されることができる。
【0229】
勿論、ここでも青色発光ダイオードチップと黄色蛍光体からなるLEDパッケージ2932に対して限定しようとするわけではなく、たとえ、近紫外線チップと該近紫外線チップ上に備えられる赤色、緑色、及び青色の蛍光体が混合された樹脂包装部、あるいは、赤色、緑色、及び青色の蛍光体が夫々含まれて順に積層して形成された樹脂包装部からなってもよい。ここで、赤色蛍光体は、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3である蛍光物質である。
【0230】
複数の領域に区分される下部カバー2910の底面には複数の導光板2920が夫々備えられている。この際、導光板2920の側面はパッケージ本体2933の収納溝内に実装されたLEDチップ2935から提供された光が損失を受けることなく導光板2920に入射するようにパッケージ本体2933と密着するように備えられることが好ましい。このような導光板2920は、PMMAの材質で形成され、可視光線領域で光に対する吸水性が高分子材料のうち最も少なくので、透明性及びつやが非常に大きい。これは、機械的な強度が高いため割れたり変形されず、軽くて耐化学性が強い。また、可視光線の透過率が90〜91%程度と高く、内部損失が非常に少なく、引張強度、曲げ強度、伸長強度等の機械的性質と化学性、耐性等にも強い。
【0231】
そして、導光板2920と導光板2920と間の基板2931には固定手段2940が締結されている。このような固定手段2940は、透明な材質からなるネジのような形態であって、LEDパッケージ2932の両側、即ち、光が出射される前面と、その前面の反対側に位置する後面に夫々備えられる導光板2920の間隔を一定に維持させながら、その隣接する導光板2920を同時に固定することを目的として基板2931に設けられた2931aの第2貫通ホール、及び2931aの第2貫通ホールに対応する下部カバー2910に設けられた2910aの第1貫通ホールを貫通して締結されている。この際、本実施形態での固定手段2940は、導光板2920内から誘導される光が、干渉を受けることなく、上側に配置された光学部材に提供されるように透明な材質を成すが、導光板2920と同材質からなることが好ましい。
【0232】
そして、本実施形態の固定手段2940は、実質的に円形あるいは四角形状といった多様な形状を有する頭部と、その頭部に延長されて形成された円筒形あるいは円柱形態の胴体部と、からなり、その固定手段2940の胴体部の外部面に形成されたネジ山を通じて基板2931に設けられた2931aの第2貫通ホール及び/あるいは下部カバー2910に設けられた2910aの第1貫通ホールに固定されることができる。勿論、ここでの固定手段2940の胴体部は、四角柱の形態を成してもよい。この際、頭部の大きさは導光板2920と導光板2920との間の間隔と導光板2920の一側縁領域を一部覆うように設計され、導光板2920と導光板2920との間の間隔によって少し変更されてもよく、また、胴体部の直径は基板2931に設けられた2931aの第2貫通ホール及び/あるいは下部カバー2910に設けられた2910aの第1貫通ホールで互い並んだ2個の長辺間の間隔あるいは距離と同様に形成されることが好ましい。
【0233】
さらに、固定手段2940は、上述したように、基板2931に設けられた2931aの第2貫通ホールの大きさに関しても頭部の大きさや胴体部の直径の長さが少し変更し得るが、基板2931に設けられた2931aの第2貫通ホールの大きさが小さいというのは、固定手段2940の胴体部の直径が小くなることであり、LEDパッケージ2932と導光板2920間の間隔を狭めることができるということを意味する。このような固定手段2940は、基板2931及び/あるいは下部カバー2910にネジ方式で締結する時、LEDパッケージ2932が固定されている基板2931上に隣接して配置されている導光板2920の上側の角領域をヘッド部位で圧迫するようになることで、外部の衝撃が発生しても導光板2920の流動が防止できる。この際、さらに、固定手段2940は、下部カバー2910に設けられた2910aの第1貫通ホールを貫通して外部に露出した部位には追加的にナットが締結されることでその力の強度が補強できる。
【0234】
つまり、基板2931上に締結される固定手段2940は、LEDパッケージ2932と導光板2920間にスペーサ(spacer)の役割をすることができるので、LEDパッケージ2932と導光板2920間の間隔を一定に維持させ、導光板2920の収縮及び/あるいは膨張にも対応できるようになる。勿論、上記の固定手段2940がネジ山の形態である必要はない。例えば、上述したように、
図65のように、ネジの頭部と対応する端部位に形成された鉤部によって基板2931に設けられた2931aの第2貫通ホールと下部カバー2910に設けられた2910aの第1貫通ホールを貫通して締結された後、下部カバー2910により固定されてもよい。
【0235】
そして、複数の導光板2920の上側には、導光板2920を介して提供された光の光学的特性を補うための光学部材(不図示)が備えられている。この際、光学部材は、例えば、導光板2920を透過して出た光のバラツキを緩和させるための拡散パターンが形成された拡散板と、光の正面輝度を高めるための集光パターンが形成されたプリズムシート等を含むことができる。上記の構成により、本実施形態は、導光板2920と導光板2920との間に備えられた固定手段2940によって一定の間隔を維持させて導光板2920を固定することで、外部の衝撃等による導光板2920の流動を防止することができ、光の進行方向と垂直した方向(X軸)への導光板2920の収縮に対応することができるようになる。また、長軸方向と短軸方向を有するように形成された基板2931に設けられた2931aの第2貫通ホールによって、2931aの第2貫通ホールの長軸方向(X軸)に基板2931の収縮が発生してもこれに対応することができる。
【0236】
さらに、光の進行方向に沿って形成された長軸方向(Y軸)を有する下部カバー2910に設けられた2910aの第1貫通ホールと、2910aの第1貫通ホールに締結された固定手段2940によっては、導光板2920の膨張及び/あるいは収縮が発生する時に下部カバー2910に設けられた2910aの第1貫通ホールの長軸方向(Y軸)に沿って導光板2920と固定手段2940及び/あるいは基板2931が共に移動することができるので、結局、導光板2920とLEDパッケージ2932間の一定の間隔がそのまま維持され、(従来に比べて)輝点及び輝線現象が改善できる。
【0237】
一方、本実施形態による液晶表示装置は、上記の第2及び第3の実施形態によるLEDバックライト装置を備えると共に、上記の光学部材上に備えられた液晶パネル(不図示)をさらに含んでいる。この際、液晶表示装置は外部の衝撃等から表示装置の歪みを防止するためにメインサポート(main support)というモールド構造物をさらに備えることができるが、そのメインサポートの下側にはバックライト装置が備えられ、上側には液晶パネルが積載される。上記の液晶パネルは薄膜トランジスターアレイ基板及びカラーフィルター基板が合着されたもので、その2個の基板を介して注入された液晶層を含んで構成されている。
【0238】
この際、薄膜トランジスターアレイ基板上にはゲートラインとデータライン等の信号配線が互いに交差して形成され、データラインとゲートラインの交差部に薄膜トランジスター(TFT)が形成されている。このようなTFTは、ゲートラインを通じて提供されたスキャン信号に応答して、データラインから液晶層の液晶セルに伝送されるビデオ信号、即ち、赤色R、緑色G、及び青色Bのデータ信号を切り換えるようにしている。また、データラインとゲートラインとの間の画素領域には画素電極が形成されている。
【0239】
上記のカラーフィルター基板上には、薄膜トランジスターアレイ基板のゲート及びデータラインに対応して形成されたブラックマトリックスと、ブラックマトリックスにより区画される領域に形成され、赤色R、緑色G、青色Bのカラーを提供するカラーフィルターと、そして上記のブラックマトリックスとカラーフィルター上に備えられている共通電極等が形成されている。
【0240】
このようなカラーフィルター基板が付着されている薄膜トランジスターアレイ基板の縁領域には、データラインから延長して形成されたデータパッドと、ゲートラインから延長して形成されたゲートパッドとが形成されているが、このようなデータパッド及びゲートパッドに夫々接続されて信号を印加するゲート駆動部及びデータ駆動部が備えられている。また、液晶パネル上には、その液晶パネルの4面の縁領域を覆うと共に、下部カバー2910あるいはメインサポートの側壁に固定される上部カバーが備えられる。勿論、上部カバーも下部カバー2910と同材質からなる。
【0241】
図70は、本発明の第4の実施形態によるバックライトユニットを概略的に示した平面図であり、
図71は、
図70に示されたLEDモジュールに実装されるLEDの組合せを実施例別に示した斜視図であり、
図72は、順方向電圧によるLEDの分布を示したグラフである。
【0242】
図70から
図72を参照すると、本発明の第4の実施形態によるバックライトユニット3000は、複数のLED3020を備える複数のLEDモジュール3010と、上記の複数のLEDモジュール3010に備えられる複数のLED3020の明るさを調節する1つ以上の駆動ドライバ3030で構成される。図面に示したように、本実施例ではフレーム3040の内側面に沿って導光板3050の一側面または複数の側面と向い合う線光源で採用されるLEDモジュール3010を配置させるエッジ(edge)方式を基準として説明する。しかし、これに限らず、直下(direct)方式でもよいが、LEDモジュールの配置位置での差があるだけであるから、これに対する具体的な説明は省略する。
【0243】
上記のLEDモジュール3010は、複数のLED3020を含んで白色光を放出することによって、それ自体として一定面積を有する面光源または線光源で採用できる単位となり、基板のようなサブマウントとその上に実装される複数のLED3020を含むことができる。ここで、上記の複数のLED3020は白色LEDであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0244】
図71のように、上記のLEDモジュール3010の夫々に含まれる上記の複数のLED3020は、基板上に実装されて互いに電気的に連結され、この際、各LEDモジュール3010に備えられる上記の複数のLED3020は互いに直列連結されたLEDアレイを形成する。本実施形態の特徴は、各LEDモジュール3010に備えられるLEDアレイを形成するに当たって、LEDの特性を所定の区間に細分化してこれを組み合わせる方式により上記のLEDアレイを形成することにある。一般的に、LEDチップをパッケージングして製造されるLED単品は、特定の範囲の区間に該当する色座標、輝度、順方向電圧(V
f:Forward Voltage)、波長等の特性を有し、各特性の有する値は全体のLED単品において完全には一致せずに、若干の差のある分布を示す。即ち、夫々のLED単品が有する色座標の範囲区間と順方向電圧の範囲区間はすべてのLED単品において全部一致するものではなく、上限値または下限値において差を有することがある。よって、LED3020を複数個実装してLEDアレイを形成するに当たって、特定の範囲区間のみに該当する特性を有するLEDのみを実装する場合、例えば、順方向電圧(V
f)の高いLEDのみを実装したLEDモジュールとは逆に、低いLEDのみを実装したLEDモジュールとの間には電圧差(ΔV)が大きく発生して輝度の均一度に不良が生じ、画面上にむらが発生する問題を引き起こす。
【0245】
そこで、本実施形態は、LEDの特性のうち複数のLEDが有する順方向電圧(V
f)をLED分布によって複数の区間に細分化し、各区間に該当する順方向電圧を有するLEDを区間別に交互に実装してLEDアレイを形成する。ここで順方向電圧(V
f)とは、順方向に連結されたLED端子の両端にかかる電圧を意味する。
【0246】
これに対し、
図72を参照してさらに詳しく説明する。
図72(a)及び
図72(b)は、順方向電圧によるLEDの分布を示したグラフである。
図72(a)のように、LED3020が有する順方向電圧(V
f)の範囲が狭い場合は、分布度の中心を基準として2個の区間(A区間、B区間)に範囲区間を細分化することができる。この場合、実装されるLED3020の種類は、A区間に該当する順方向電圧を有する種類と、B区間に該当する順方向電圧を有する種類との2種類に分類され、夫々交互に実装されてLEDアレイを形成する。
図71(a)では、ABAB...の順に組み合わされるアレイに対して示しているが、これに限定されず、AABB、ABBA等の多様な組合せで実装されてアレイを形成してもよい。
【0247】
一方、
図72(b)のように、LEDが有する順方向電圧(V
f)の範囲が広い場合は、3個の区間(A区間、B区間、C区間)に範囲区間を細分化することができる。この場合、実装されるLED3020の種類は、A区間に該当する順方向電圧を有する種類と、B区間に該当する順方向電圧を有する種類と、C区間に該当する順方向電圧を有する種類との3種類に分類され、夫々交互に実装されてLEDアレイを形成する。
図71(b)では、ABCABC...の順に組み合わされるアレイに対して示しているが、これに限定されず、ABAC、ABBC等の多様な組合せで実装されてアレイを形成してもよい。
図71及び
図72では、順方向電圧(V
f)を2個または3個の範囲区間に細分化して説明しているが、これに限らず、多様な範囲区間に細分化してもよい。
【0248】
このように、各区間に該当する順方向電圧(V
f)を有するLED3020を交互に実装することによって、これらを含むLEDモジュール3010の順方向電圧の平均値を予測することができ、それだけでなく、特定の範囲値を有するように散布を減らして設定することもできる。そして、モジュール内で直列連結されるLED3020間の順方向電圧(V
f)の偏差を減らすことによって、各LEDモジュール3010の間の電圧差(ΔV)が減るようになり、全体的に均一な輝度を得ることができる。
【0249】
上記の駆動ドライバ3030は、上記の複数のLEDモジュール3010に夫々備えられる複数のLED3020の明るさを調節するために少なくとも1つ以上備えられ、上記の複数のLEDモジュール3010と電気的に連結される。また、図面に示してはいないが、LEDから発光された光を感知するセンサーを備えて予め定められた輝度及び色感と、感知された輝度及び色感とを比較して償うようにLEDの明るさを調節する。また、上記の駆動ドライバ3030と連結され、上記の駆動ドライバ3030を制御する制御部をさらに含むことができる。図面のように、上記の駆動ドライバ3030と連結される上記のLEDモジュール3010は夫々1つの駆動ドライバ3030と連結され、上記の駆動ドライバ夫々は少なくとも2個以上のLEDモジュール3010と連結される。この際、同一の駆動ドライバ3030と連結されるLEDモジュール3010は、互いの電圧差が小さいか、または、実質的に同一の範囲の順方向電圧を有する。これは上述した各LEDモジュール3010に実装される複数のLED3020に対する順方向電圧の細分化によるLED3020の組合せによって調節することができる。よって、上記の各LEDモジュール3010は、同一の駆動ドライバ3030と連結される他のLEDモジュール3010との間に並列連結を成す連結構造を有する。
【0250】
図70を参照すると、電圧差の小さい第1LEDモジュール3010aと第2LEDモジュール3010bは、第1駆動ドライバ3030aと連結されて1つの連結構造を成し、第3LEDモジュール3010cと第4LEDモジュール3010dは、第3駆動ドライバ3030cと連結されて1つの連結構造を成し、第5LEDモジュール3010eと第6LEDモジュール3010fは、第2駆動ドライバ3030bと連結されて1つの連結構造を成す。即ち、互いの電圧差が小さい、少なくとも2個以上のLEDモジュール3010は、共通の1つの駆動ドライバ3030によって一体に駆動されることができる。このように、本実施例によると、各LEDモジュール別に夫々駆動ドライバを備えてLEDを駆動する従来のバックライトユニットに比べて、駆動ドライバの全体の個数を減少させることができ、全体的なバックライトユニットの小型化及びスリム化が可能なだけでなく、バックライトユニットに要する電機電子部品の数を減少させることができる。さらに、駆動ドライバの個数が減少することによって、バックライトユニットの光特性を償うための全体の駆動ドライバの制御がより容易になり、画質が改善される効果を有する。
【0251】
一方、
図73及び
図74では、LEDモジュール3010と駆動ドライバ3030の多様な連結構造に対する実施例を示している。
図73のように、第1駆動ドライバ3030aは、第1LEDモジュール3010a及び第5LEDモジュール3010eと連結されて1つの連結構造を成し、第2駆動ドライバ3030bは、第2LEDモジュール3010b及び第6LEDモジュール3010fと連結されて1つの連結構造を成し、第3駆動ドライバ3030cは、第3LEDモジュール3010c及び第4LEDモジュール3010dと連結されて1つの連結構造を成す。
【0252】
図74で示す実施例では、第1LEDモジュール3010aと第4LEDモジュール3010dが第1駆動ドライバ3030aと連結されて1つの連結構造を成し、第5LEDモジュール3010eと第6LEDモジュール3010fが第2駆動ドライバ3030bと連結されて1つの連結構造を成し、第2LEDモジュール3010bと第3LEDモジュール3010cが第3駆動ドライバ3030cと連結されて1つの連結構造を成す。各駆動ドライバ3030と電気的に連結されるLEDモジュール3010は、他にも多様な組合せの連結構造を有することができ、これに限るものではない。そして、複数のLEDモジュール3010は、駆動ドライバ3030を共通にするLEDモジュール3010の間のみで電気的な連結を成し、他の駆動ドライバ3030と連結されるLEDモジュール3010とは電気的な連結を成していない。
【0253】
上述した本実施形態による面光源装置及びバックライトユニットは、DC電源に変換させるコンバージョン装置なしに、AC電源で直接使用可能なLED駆動回路を含むことができ、このようなLED駆動回路によって具現されたLEDアレイ装置を含むことができる。このようなLED駆動回路及びLEDアレイ装置に対して
図75から
図79を参照し、詳しく説明する。
【0254】
先ず、
図75は、本発明の一実施形態によるLED駆動回路を示す。
図75に示されたLED駆動回路は梯子形網LED回路を含む。即ち、本実施形態による梯子形網LED回路は、第1及び第2接点(a,b)の間で第1中間接点(c1,c2)により連結された3個の第1ブランチと、第1及び第2接点(a,b)の間で第2中間接点(d1,d2)により連結された3個の第2ブランチと、を含み、上記のLED駆動回路は、順に第1及び第2中間接点(c1とd1、c2とd2)の間に連結された2個の中間ブランチを有する。ここで、上記の第1及び第2ブランチと中間ブランチには夫々LED素子(3108,3109,3110,3111,3112,3113,3114,3115)が配置される。
【0255】
上記のLED駆動回路は、交流電圧の互いに異なる半周期で駆動されるように2個の電流ルーフ(L1,L2)を有する。第1電流ルーフ(L1)は、交流電圧の第1半周期で駆動されるように直列連結されたLED素子(3108,3109,3110,3111,3112)を含む。第2電流ルーフ(L2)は、交流電圧の第2半周期で駆動されるように直列連結されたLED素子(3113,3111,3114,3109,3115)を含む。このように、AC電圧が印加された状態での回路動作は、LED素子3109、3111が両方向に全て駆動されることができる。
【0256】
このような梯子形網回路でのLED配列は、上記の第1接点(a)から上記の第1及び第2ブランチと上記の中間ブランチの順序をmと定義する時、下記のように説明することができる。上記のLED素子(3108,3109,3110,3111,3112,3113,3114,3115)は、駆動可能な交流電圧の周期によって第1及び第2LEDグループに区分できる。上記の第1LEDグループは奇数である(2m−1)番目の第1ブランチとすべての中間ブランチ及び偶数である2m番目の第2ブランチに属するLED(3108,3109,3110,3111,3112)で構成されて、互いに直列に連結される。上記の第2LEDグループは偶数である2m番目の第1ブランチとすべての中間ブランチと奇数である(2m−1)番目の第2ブランチに属するLED(3113,3111,3114,3109,3115)で構成され、上記の第1LEDグループと逆極性方向になるように互いに直列連結される。
【0257】
従って、上記の第1LEDグループは交流電圧の第1半周期で駆動される第1電流ルーフ(L1)を形成し、上記の第2LEDグループは交流電圧の第2半周期で駆動される第2電流ルーフ(L2)を形成することができる。このような駆動によると、中間ブランチに位置して第1及び第2LEDグループに共通的に属するLED素子3109、3111は、交流電圧の全周期において連続的に動作することができる。
【0258】
このように、8個のLED素子(3108,3109,3110,3111,3112,3113,3114,3115)で構成されたLED駆動回路において2個のLED素子3110、3114が交流電圧の全周期で駆動されることができるので、実際の梯子形網回路で連続的に発光されるLED素子を5個(使用LED個数に対比した駆動LED個数:62.5%)確保することができる。これは、従来のAC駆動型LED配列である逆極性配列50%またはブリッジ配列(通常は60%)より向上された数値である。
【0259】
本実施形態によるLED駆動回路は、LED素子3109とLED素子3111が並列連結でない直列連結である点からブリッジ構造と大きな差がある。即ち、本実施形態によるLED駆動回路では、LED素子3109とLED素子3111の間にLED素子3110、3114を挿入した配列であるので、LED素子3109とLED素子3111は直列連結され、このような点からブリッジ構造とは根本的に異なる梯子形網構造になる。
【0260】
本実施形態によるLED駆動回路では、交流電圧の全周期、即ち、両方向で全て駆動されるLEDの連結はLED素子3110、3114を挿入して4個の中間接点(c1,c2,d1,d2)を連結し、並列でない直列に構成する。このようなLED配列連結の構造上1つのルーフを形成するが、実際の駆動では、上述したように中間接点で構成されたルーフ内ではLED夫々の電位差が異なるために電流ルーフを形成することなく、1つの直列形態で動作するようになる。
【0261】
本発明の他の実施形態では、
図75に示された梯子形網構造において第1及び第2中間接点を連結するルーフを1つの束(stack)とする時、複数の束で連続的に連結して多様なLED駆動回路を提供することができる。即ち、第1及び第2中間接点は夫々3個以上の同数で構成されてもよく、第1及び第2ブランチは4個以上の同数であってもよい。
【0262】
図76(a)には、本発明の他の実施形態の例として、第1及び第2中間接点(c1,c2,c3,c4とd1,d2,d3,d4)が夫々4個であるLED駆動回路が示されている。
図76(a)に示されたLED駆動回路は上記の第1及び第2中間接点を順に連結する4個の中間ブランチを含む。このような駆動回路は3個の束を有する梯子形網回路として理解できる。
図76(a)では、各ブランチにはLED素子が1個ずつ配置される。このようなLED素子の配列は、交流電圧の他の半周期で駆動される第1及び第2電流ルーフを有するように配列される。即ち、交流電圧の第1半周期において、A1−C1−B2−C2−A3−C3−B4−C4−A5に沿って第1電流ルーフを有するように該LED素子が直列に配列され、交流電圧の第2半周期において、B1−C1−A2−C2−B3−C3−A4−C4−B5に沿って第2電流ルーフを有するように該LED素子が直列に配列される。
【0263】
本実施形態によるLED駆動回路においては、中間ブランチに位置して、第1及び第2電流ルーフに共通的に加わる4個のLED素子(C1,C2,C3,C4)は、交流電圧の全周期で連続的に動作することができる。このように、総14個のLED素子で構成されたLED駆動回路において、4個のLED素子(C1,C2,C3,C4)が交流電圧の全周期で駆動されることができるので、実際の梯子形網回路で連続的に発光されるLED素子を9個(LED使用効率:約64%)確保することができる。本実施形態では、上述した実施形態よりLED使用個数の節減効果が大きく期待できる。
【0264】
図75及び
図76(a)に示された駆動回路で、上記の第1及び第2ブランチと上記の中間ブランチは夫々1つのLED素子を含んだ形態で例示したが、これに対し、上記の第1及び第2ブランチと上記の中間ブランチは夫々複数のLED素子を含むことができる。但し、この場合も同一のブランチに属した複数のLED素子は互いに直列連結されなければならない。特に、中間ブランチのLED数を増加させる場合に、両方向で駆動されるLED数が相対的に増加するため、使用LED個数に対する発光效率を大きく向上させることができ、結果的に、交流電圧で所定の発光水準を得るために消耗するLEDの個数を減少させることができる。
【0265】
図76(b)に示されたLED駆動回路は、
図76(a)に示されたLED駆動回路において、各中間ブランチに直列に連結された2個のLED素子を配置した形態である。交流電圧の第1半周期において、A1−C1−C1'−B2−C2−C2'−A3−C3−C3'−B4−C4−C4'−A5に沿って第1電流ルーフを有するように該LED素子が直列に配列され、交流電圧の第2半周期において、B1−C1−C1'−A2−C2−C2'−B3−C3−C3'−A4−C4−C4'−B5に沿って第2電流ルーフを有するように該LED素子が直列に配列される。本実施形態によるLED駆動回路では、中間ブランチに属するLED素子(C1,C1',C2,C2',C3,C3',C4,C4')は8個である。即ち、交流電圧の全周期で連続的に動作するように第1及び第2電流ルーフに共通的に加わるLED素子(C1,C1',C2,C2',C3,C3',C4,C4')は
図76(a)に示されたLED駆動回路より2倍増加する。結果的に、総18個のLED素子で構成されたLED駆動回路において、8個のLED素子(C1,C1',C2,C2',C3,C3',C4,C4')が交流電圧の全周期で駆動されることができるので、実際の梯子形網回路で連続的に発光されるLED素子を13個(LED使用効率:約72%)確保することができる。本実施形態では、上述した実施形態に比べてかなり向上したLED使用個数の節減効果が期待できる。
【0266】
図76(c)に示されたLED駆動回路は、
図76(a)に示されたLED駆動回路において、一番目の第1ブランチと、二番目の第2ブランチと、三番目の中間ブランチに夫々並列に連結されたLED素子(A1',B2',C3')を配置した形態である。交流電圧の第1半周期において、(A1,A1')−C1−(B2,B2')−C2−A3−(C3,C3')−B4−C4−A5に沿って第1電流ルーフを有するように該LED素子が直列に配列され、交流電圧の第2半周期において、B1−C1−−A2−C2−−B3−(C3,C3')−A4−C4−C4'−B5に沿って第2電流ルーフを有するように該LED素子が直列に配列される(但し、カッコで表示された素子は互いに並列連結される)。中間ブランチに位置したLED素子の数字が増加することは両方向で駆動される素子の数を増加させるので、LED使用効率を向上させるという側面で有利である。しかしながら、中間ブランチに位置したLED素子の数字のみを増加させる場合に、第1及び第2ブランチに属するLED素子に印加される逆方向電圧が増加されるので、夫々のLED素子が同一規格の素子である場合に、中間ブランチに位置したLED数は2個または3個のLED素子として選択することが好ましい。
【0267】
本発明の特定実施形態では、上記の梯子形網回路は複数であり、複数の梯子形網回路は、一梯子形網回路の第2接点と他の梯子形網回路の第1接点とが接続されて直列連結されることができる。このような実施形態は
図77に示されている。
【0268】
図77を参照すると、LED駆動回路は、2個の梯子形網回が直列に連結された構造を有する。即ち、第1梯子形網回路の第2接点(b1)と第2梯子形網回路の第1接点(a2)が連結され、第1梯子形網回路の第1接点(a1)と第2梯子形網回路の第2接点とはAC電源端に連結される構造である。また、本実施形態では、第1ブランチ、第2ブランチ及び中間ブランチに夫々直列連結された2個のLED素子が配置された形態である。
【0269】
図77に示されたLED駆動回路の場合、交流電圧の第1半周期において、A1−A1'−C1−C1'−B2−B2'−C2−C2'−A3−A3'(以上、第1梯子形網回路)−B4−B4'−C3−C3'−A5−A5'−C4−C4'−B6−B6'(以上、第2梯子形網回路)に沿って第1電流ルーフを有するように該LED素子が直列に配列され、交流電圧の第2半周期において、B1−B1'−C1−C1'−A2−A2'−C2−C2'−B3−B3'(以上、第1梯子形網回路)−A4−A4'−C3−C3'−B5−B5'−C4−C4'−A6−A6'(以上、第2梯子形網回路)に沿って第2電流ルーフを有するように該LED素子が直列に配列される。
【0270】
本実施形態によるLED駆動回路では、中間ブランチに属するLED素子(C1,C1',C2,C2',C3,C3',C4,C4')は8個である。即ち、交流電圧の全周期で連続的に動作するように第1及び第2電流ルーフに共通的に加わるLED素子(C1,C1',C2,C2',C3,C3',C4,C4')は
図76(a)に示されたLED駆動回路より2倍増加する。このように、梯子形網構造のAC駆動のためのLED配列は多様な形態で応用できる。
【0271】
本実施形態の他の側面では、上述された多様な梯子形網構造のLED駆動回路が具現された複数のLED素子を有するLEDアレイ装置として実現できる。即ち、本実施形態のLEDアレイ装置では、K(ここで、Kは、K≧3である整数)個の第1LED素子が第1接点と第2接点の間に同極性の電極が接続されたn(ここで、nは、n≧2である整数)個の第1中間接点を有するように並んで連結される。L(ここで、Lは、L≧3である整数)個の第2LED素子は上記の第1及び第2接点の間に同極性の電極が接続されたn個の第2中間接点を有するように並んで連結され、上記の第1及び第2接点に連結された第1LED素子の電極極性と逆になる極性の電極が上記の第1及び第2接点に連結される。
【0272】
また、上記のした回路の中間ブランチに該当するM(ここで、Mは、M≧nである整数)個の第3LED素子は、同一のm番目(ここで、mは、上記の第1接点から上記のn個の第1及び第2中間接点の手順を定義する陽の整数)の第1及び第2中間接点に夫々上記の第1及び第2LED素子の電極と逆になる極性の電極が連結される。上記の第1及び第2LED素子は夫々中間接点の間に1個ずつ位置することができる。これに類似して、上記の第3LED素子は上記の第1及び第2中間接点の間に夫々1個ずつ連結されることができる。
【0273】
必要によって、上記の第3LED素子は少なくとも1つの第1及び第2中間接点の間に夫々複数に連結され、上記の少なくとも1つの第1及び第2中間接点の間の第3LED素子は互いに直列または並列に連結されることができる(
図76(b)または
図76(c)参照)。
【0274】
本実施形態による梯子形網LED駆動回路のLED使用個数の節減効果を説明するため、同一のLED素子を用いて特定の出力条件を満たすために要求されるLED素子個数の差を、他の従来のAC駆動型LED回路(両極性回路、ブリッジ網回路)と比較した。
【0275】
図78(a)は、従来の一例によるLED駆動回路を、
図78(b)及び
図78(c)は、本発明の一例によるLED駆動回路を示す。
【0276】
図78(a)に示されたLED駆動回路は、通常のAC駆動のための逆並列回路であって、逆並列に配列されたLED素子3130A、3130Bを複数の束Sを有するように直列に連結した構造である。表1に示したように、全体的に束数を増加させても、使用個数に対比して、連続的に駆動されるLED数の割合(LED使用効率)は50%である。
【0277】
図78(b)に示されたLED駆動回路はブリッジ回路であって、各ブランチに1つのLED素子を配置した構造である。1つの束は、いずれも5個のLED素子(3140A,3140B,3140C,3140D,3140E)で構成され、所定の出力を有するように複数の束で連結されることができる。このようなブリッジ網LED回路の使用効率は、表1に示したように、束数に関らず60%になる。これは、
図78(a)の逆並列配列とは異なり、中間ブランチに配置されたLED素子3140Eが両方向で連続的に駆動されることができるためである。
【0278】
図78(c)に示された梯子形網LED駆動回路の場合は、
図76(a)に説明されたように、2個の束を有する梯子形網回路では使用LEDの総個数が8個、連続的に駆動されるLED個数は5個で、62.5%の高い使用効率を有する。また、表1に示したように、梯子形網LED駆動回路は束数の増加によって両方向で駆動されるLED数のの割合が増加される構造であるので、LED使用効率は次第に増加する。
【0280】
従って、9個のLED素子の出力が要求される場合に、
図78(a)に示された逆並列LED回路は総18個のLED素子が要求され、ブリッジ網LED回路は3束を連結して総15個のLED素子が要求される。これに対し、本実施形態による梯子形網LED回路では、3束を連結して総14個のLEDで所定の光量(9個のLED素子)を提供することができるので、ブリッジLED回路よりもLED素子の使用個数を大きく節減させることができる。
【0281】
このような向上効果は、出力仕様が大きい場合にさらに増加する。即ち、63個のLED素子の出力が要求される場合に、逆並列回路とブリッジ回路は、そのAC駆動回路の構成に夫々126個、105個が要求されるが、梯子形網LED回路は95個のみが使用されるので、従来に備えて31個、10個のLED素子を節減させることができる。
【0282】
このような理由は、ブリッジLED回路の場合は両方向共通に駆動されるLEDの間の電流ルーフにおいて最小2個以上のLED素子が位置する一方、梯子形網の場合は共通に使用されるLED素子の間に最小1つのLED素子で十分であるためである。即ち、両方向共通に使用されるLEDの間において必要LEDの最小個数は、梯子形網がブリッジ網回路に比べて少ない個数が必要であるので、梯子形網がブリッジ構造に比べて全体的により多い個数を両方向共通に使用可能な構造になるためである。
【0283】
図79(a)は、従来の他の例によるLED駆動回路を、
図79(b)は、他の例によるLED駆動回路を示した。
【0284】
図79(a)及び
図79(b)は、夫々
図78(b)及び
図78(c)に類似しているが、中間ブランチに夫々互いに直列連結された2個のLED素子を配置した形態である。即ち、単一束において、連続的に駆動されるLED素子の数を同水準に増加させた場合である。
図79(b)に示された梯子形網LED駆動回路は、
図76(b)に示された形態を参照して理解することができる。
【0286】
従って、16個のLED素子の出力が要求される場合に、
図78(a)に示された逆並列LED回路は総32個のLED素子が要求され、
図79(a)に示されたブリッジ網LED回路は4束を連結して総24個のLED素子が要求される。これに対し、本実施形態による梯子形網LED回路では、総22個のLED素子で所定の光量(16個のLED素子)を提供することができるので、ブリッジLED回路よりもLED素子の使用個数を大きく節減させることができる。
【0287】
このような向上効果は、出力仕様が大きい場合にさらに増加する。即ち、52個のLED素子の出力が要求される場合に、逆並列回路とブリッジ回路は、そのAC駆動回路の構成のために夫々104個、78個が要求されるが、梯子形網LED回路は70個のみが使用されるので、従来に比べて34個、8個のLED素子を節減させることができる。
【0288】
このように、梯子形網LED駆動回路によると、AC駆動をするための条件において既存の逆並列構造だけではなく、ブリッジ構造よりも、同一の出力に対するLED使用個数を大きく節減させることができる。
【0289】
本発明の多様な実施形態による発光素子パッケージが採用された面光源装置及びバックライトユニットにおいてLEDの明るさを周辺明るさによって自動的に調節することで、消費電力を低めることができるLED自動照光装置について説明する。
【0290】
図80は、LED自動照光装置の構成図である。
図80を参照すると、本実施形態によるLED自動照光装置は、周辺明るさを検出する周辺明るさ検出部3200と、上記の周辺明るさ検出部3200の検出により発生する検出電圧(Vd)の大きさによって駆動を制御する照光制御部3300と、上記の照光制御部3300の駆動制御によるLED駆動電流を生成する照光駆動部3400と、を含む。また、上記のLED自動照光装置は、複数のLEDを含み、上記の照光駆動部3400からの駆動電流によって駆動されるLED部3500を含むことができる。
【0291】
上記の周辺明るさ検出部3200は、周辺明るさ検出用の検出感度を設定するための感度設定部3210と、上記の感度設定部3210により設定された検出感度で外部光を受光して周辺明るさを検出するフォトセンサー部3220と、を含むことができる。上記のフォトセンサー部3220は、上記の動作電源(Vcc)の供給を受ける電源端に連結されたコレクターと、外部光の受光を受けるベースと、上記の感度設定部3210に連結されたエミッタを有するフォトトランジスター(PT)とを含むことができる。上記の感度設定部3210は、上記のフォトトランジスター(PT)のエミッタに連結され、ユーザが調節可能な可変抵抗と、可変抵抗と直列に連結される抵抗と、を含むことができる。
【0292】
具体的な動作を説明すると、周辺明るさ検出部3200は、周辺明るさを検出して検出電圧(Vd)を照光制御部3300に出力する。例えば、上記の周辺明るさ検出部3200は、感度設定部3210とフォトセンサー部3220を含む場合、上記の感度設定部3210は、上記のフォトセンサー部3220に対して周辺明るさ検出用検出感度を設定することができる。上記のフォトセンサー部3220は、上記の感度設定部3210により設定された検出感度で、外部光を受光して周辺明るさを検出することができる。この際、上記のフォトセンサー部3220は、上記の動作電源(Vcc)の供給を受ける電源端に連結されたコレクターと、外部光を受光受けるベースと、上記の感度設定部3210に連結されたエミッタを有するフォトトランジスター(PT)と、からなることができ、この場合、上記のフォトトランジスター(PT)が外部光を受けるときに道通され、電流(I)が上記の動作電源(Vcc)から上記のフォトトランジスター(PT)及び感度設定部3210を通じて流れるようになる。即ち、上記の感度設定部3210によって上記の電流(I)が検出電圧(Vd)として検出されるが、この際、上記の感度設定部3210が上記のフォトトランジスター(PT)のエミッタに連結され、ユーザが調節可能な可変抵抗及び抵抗からなる場合、可変抵抗の抵抗値によって流れる電流(I)による検出電圧(Vd)の傾きが変化することがある。
【0293】
上記の照光制御部3300は、上記の周辺明るさ検出部3200の検出によって発生するアナログ形態の検出電圧(Vd)をデジタル形態の検出電圧に変換するA/Dコンバータ3310と、上記のA/Dコンバータ3310からのデジタル形態の検出電圧(Vd)の大きさによって駆動を制御するマイコン3320を含むことができる。上記のマイコン3320は、上記のA/Dコンバータ3310からのデジタル形態の検出電圧(Vd)が既設定された第1基準電圧よりも小さい場合は、上記の第1基準電圧と上記のデジタル形態の検出電圧(Vd)との差電圧の大きさに既設定された駆動電流を生成し、上記のデジタル形態の検出電圧(Vd)が既設定された第1基準電圧よりも小さくない場合は、照明駆動を停止させることができる。
【0294】
具体的な照光制御部3300の動作を説明すると、上記の照光制御部3300は、上記の周辺明るさ検出部3200の検出により発生する検出電圧(Vd)の大きさによって照光駆動部3400に駆動を制御する。例えば、上記の照光制御部3300は、A/Dコンバータ3310とマイコン3320を含む場合、上記のA/Dコンバータ3310は、上記の周辺明るさ検出部3200の検出により発生するアナログ形態の検出電圧(Vd)をデジタル形態の検出電圧に変換してマイコン3320に出力する。上記のマイコン3320は、上記のA/Dコンバータ3310からのデジタル形態の検出電圧(Vd)の大きさによって駆動を制御することができる。
【0295】
上記の照光駆動部3400は、上記の照光制御部3300の駆動制御によるLED駆動電流を生成してLED部3500に供給する。結局、上記の照光駆動部3400からの駆動電流は、外部光量が多い場合は小さい駆動電流が生成され、これと異なって、外部光量が小さい場合は大きい駆動電流が生成される。これによって、上記のLED部3500は、複数のLEDを含むことができ、この複数のLEDは上記の照光駆動部3400からの駆動電流によって駆動される。前述したように、本実施形態で、外部光量によってLEDの明るさを自動的に調節することができ、電力消費を最小限に減らすことができるという長所がある。
【0296】
図81は本実施形態のLED自動照光装置の動作フローチャートである。
図81において、S1は、検出電圧(Vd)の入力を受けるステップである。S2は、デジタル形態の検出電圧(Vd)と既設定された第1基準電圧とを比較するステップである。S3は、デジタル形態の検出電圧(Vd)が既設定された第1基準電圧よりも小さい場合は上記の第1基準電圧と上記のデジタル形態の検出電圧(Vd)の差電圧の大きさに既設定された駆動電流を生成して照明の明るさを制御するステップである。S4は、上記のデジタル形態の検出電圧(Vd)が既設定された第1基準電圧よりも小さくない場合は、照明駆動を停止させることができる。S5は、動作停止の可否を判断するステップであって、このステップで動作停止でない場合は上記のS1からS3までの過程を繰り返して行い、動作停止である場合は全体の過程を終了する。
【0297】
ここで、
図80及び
図81を参照すると、上記のマイコン3320は、上記のA/Dコンバータ3310からのデジタル形態の検出電圧(Vd)の入力を受けて(S1)、上記のA/Dコンバータ3310からのデジタル形態の検出電圧(Vd)が既設定された第1基準電圧を比較して(S2)、上記のA/Dコンバータ3310からのデジタル形態の検出電圧(Vd)が既設定された第1基準電圧よりも小さい場合は、上記の第1基準電圧と上記のデジタル形態の検出電圧(Vd)との差電圧の大きさに既設定された駆動電流を生成して照明の明るさを制御し(S3)、上記のデジタル形態の検出電圧(Vd)が既設定された第1基準電圧よりも小さくない場合は、照明駆動を停止させることができる(S4)。一方、上記のマイコン3320は、動作停止の可否を判断して、動作停止でない場合は上記のS1からS3までの過程を繰り返して行い、動作停止である場合は全体の過程を終了する(S5)。
【0298】
図82は本実施形態による外部照度−検出電圧の関係グラフである。
図82では、本実施形態の周辺明るさ検出部3200における動作説明のための外部照度−検出電圧の関係グラフを示しており、この外部照度−検出電圧の関係グラフは、検出電圧が外部照度が高いほど高くなる関係を示している。
図82に示された外部照度−検出電圧の関係グラフを参照すると、上記の周辺明るさ検出部3200における検出電圧は、外部照度が高いほど高く検出されることが分かる。
【0299】
図83は、感度設定による多様な外部照度−検出電圧の関係グラフである。
図83では、周辺明るさ検出部3200の感度設定部3210における感度設定によって、外部照度−検出電圧の関係グラフの傾きが互いに変わる例を示しており、
図83に示された3個のグラフのうち、G1は中間の傾きを有する外部照度−検出電圧の関係グラフであり、G2は最も大きい傾きを有する外部照度−検出電圧の関係グラフであり、G3は最も小さい傾きを有する外部照度−検出電圧の関係グラフである。
【0300】
図83を参照すると、本実施形態の周辺明るさ検出部3200の感度設定部3210で可変抵抗を調節して感度を互いに異なるように設定すると、
図83に示したG1、G2及びG3のように、外部照度−検出電圧の関係グラフの傾きが互いに変わる。例えば、通常の一般的な場合はG1のグラフに当たる感度で設定し、外部光量が多く変化が大きい場合はG2のグラフに当たる感度で設定し、外部光量が少なく変化が小さい場合はG3のグラフに当たる感度で設定することができる。
【0301】
上述した本実施形態による発光素子及びこれを備えた発光素子パッケージを光源として備える車両用ヘッドライトを
図84から
図89を参照して説明する。
【0302】
図84は、一実施形態による車両用ヘッドライトを示した分解斜視図であり、
図85は、
図84に示された車両用ヘッドライトを組み立てた構造の断面図である。
【0303】
図84に示したように、本発明の一実施例による車両用ヘッドライト3600は、発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)、反射部3620、レンズ部3630、放熱部3640を含んで構成される。上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)は、放熱部3640の上部に装着され、外部電源(不図示)と電気的に連結されて、電源供給時に光を発光する光源機能を行う。
【0304】
図86から
図89を参照して上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)の多様な構造についてさらに詳しく説明する。先ず、
図86及び
図88を参照し、樹脂層が蛍光体を含有する構造に関する発光素子パッケージについて説明する。
【0305】
図86(a)は、発光素子パッケージの一実施例を示した平面図であり、
図86(b)は、
図86(a)の発光素子パッケージを示した断面図であり、
図86(c)は、
図86(d)は
図86(a)の発光素子パッケージにおいて発光素子チップが実装された状態の変形例を示した平面図である。
【0306】
そして、
図87(a)は、上記の発光素子パッケージの他の実施例を示した平面図であり、
図87(b)は、
図87(a)の発光素子パッケージを示した断面図であり、
図87(c)と
図87(d)は、
図87(a)の発光素子パッケージにおいて発光素子チップが実装された状態の変形例を示した平面図である。
【0307】
図86及び
図87に示したように、上記の発光素子パッケージ3610、及び3610−1は、少なくとも1つの発光素子チップ3612と、上記の発光素子チップ3612を実装して電気的に連結される1つ以上の連結端子3613を備える基板3611と、蛍光体が含有されており、上記の発光素子チップ3612と上記の連結端子3613を覆って密封する樹脂層3614と、からなる。上記の発光素子チップ3612は、上記の基板3611の上部面に実装され、外部で印加される電源によって所定の波長の光を出射する半導体素子の一種であり、
図86(a)と
図86(b)、及び
図87(a)と
図87(b)のように複数の発光素子チップ3612が上記の基板3611の中心部に備えられることができる。この場合、上記の発光素子チップ3612は青色LED、赤色LED及び緑色LEDの組合せからなってアレイされることで白色光を出射することが好ましい。しかし、これに限らず、
図86(c)及び
図87(c)のように単一の発光素子チップ3612'が上記の基板3611の中心部に備えられることもできる。この際、上記の発光素子チップ3612'は、青色LEDまたはUV LEDであることが好ましく、後述する樹脂層3614の蛍光体を通じて白色光を出射する。
【0308】
また、
図86(d)及び
図87(d)のように上記の基板3611の中心部に備えられる長さの長い発光素子チップ3612''を中心に、その両側にさらに短い長さの発光素子チップ3612が対称構造で備えられることもできる。この場合、上記の中心部に備えられる発光素子チップ3612''は、その両側に備えられる発光素子チップ3612よりも1.5倍〜2倍の長さを有することができ、緑色LEDであることが好ましいが、これに限定するものではない。上記の発光素子チップ3612は、金属ワイヤー3619を通じてワイヤーボンディング方式で上記の基板3611の上部面にパターニングされる上記の連結端子3613と電気的に連結される。
【0309】
本発明の一実施例による発光素子パッケージ3610を示す
図86(a)及び
図86(b)のように、上記の基板3611は、その上部面に上記の発光素子チップ3612及び連結端子3613が内部に実装され、上記の発光素子チップ3612及び連結端子3613に向けて下向きに傾斜される内周面に沿って反射面3616を成すキャビティ3618を備える。上記のキャビティ3618は、レーザあるいはエッチング(etching)を通じて上記の基板3611の上部面を所定の大きさで陥没形成して備えられたり、上記の基板3611の上部面の縁に沿って樹脂3617を所定の高さでモールディングすることによって、上記の反射面3616を突出形成して備えられることができる。好ましくは、上記の反射面3616の反射率を高くすることを目的として、上記の反射面3616の表面に高反射率を有する反射膜がさらに備えられてもよい。
【0310】
そして、上記のキャビティ3618は、蛍光体を含有する樹脂層3614により充填されて、上記の発光素子チップ3612、金属ワイヤー3619、連結端子3613と共に上記の基板3611の上部面を一体に覆って密封することによって、上記のキャビティ3618内に配置される上記の発光素子チップ3612等を保護する。この際、上記の発光素子パッケージ3610は、上記の発光素子チップ3612間の間隔を含んで上記の発光素子チップ3612の上部面と側面が上記の樹脂層3614により密封される。
【0311】
従って、従来の発光素子パッケージで連続的に配置される発光素子チップの上部面のみに蛍光体を塗布することによって、チップ間の間隔により照射される光が連続的ではなく不連続的に分離されて見える問題を解決することができる。
【0312】
一方、他の実施例による発光素子パッケージ3600−1を示す
図87(a)及び
図87(b)のように、上記の基板3611の平らな上部面には上記の樹脂層3614が所定の大きさ及び高さでモールディングされ、上記の発光素子チップ3612と上記の連結端子3613を一体に覆って密封する。この場合も、同様に、上記の発光素子パッケージ3600−1は上記の発光素子チップ3612間の間隔を含んで上記の発光素子チップ3612の上部面と側面が上記の樹脂層3614により密封される。
【0313】
次いで、
図88及び
図89を参照して樹脂層上部に形成され、蛍光体を含有して上記の発光素子チップから放出された光の波長を変換する蛍光層を備える構造に関する発光素子パッケージについて説明する。
図88(a)は、
図86(a)で示す発光素子パッケージの他の実施例を示した平面図であり、
図88(b)は、
図88(a)の発光素子パッケージを示した断面図であり、
図88(c)は、
図88(b)の変形例を示した断面図である。
【0314】
図88で示す発光素子パッケージ3610−2は、その構成が
図86の実施例と実質的に同一である。但し、蛍光体を含有する蛍光層が上記の樹脂層の上部に備えられる点で差があるので、
図86の実施例と同一の部分に対する説明は省略し、
図88の実施例と異なる構成についてのみ詳述する。
【0315】
図88に示したように、上記のキャビティ3618に充填され、上記の発光素子チップ3612、金属ワイヤー3619、連結端子3613と共に上記の基板3611の上部面を一体に覆って密封する上記の樹脂層3614は蛍光体を含有していない。但し、上記の樹脂層3614は、
図86の実施例と同様に、上記の発光素子チップ3612間の間隔を含んで上記の発光素子チップ3612の上部面と側面を上記の連結端子3613と共に一体に密封する点では同一である。上記の樹脂層3614は、上部に蛍光体を含有して上記の発光素子チップ3612から放出された光の波長を変換する蛍光層3615を備える。上記の蛍光層3615は、上記の樹脂層3614の上部に備えられるが、上記の樹脂層3614の外側面に塗布されて備えられてもよく、上記の樹脂層3614の外側面にレイヤー形態で付着して備えられてもよい。この場合、上記の蛍光層3615は、1つ以上のレイヤーが積層されて備えられるのが好ましい。
【0316】
図88(b)に示したように、上記の蛍光層3615内には光の波長を変換するために蛍光体が分散されて含有されるが、上記の蛍光体は、青色、緑色、赤色及び黄色蛍光体のうち少なくとも1つ以上の蛍光体が混合して含有されてもよい。また、
図88(c)のように、多層構造(図面では3個階で積層される構造を示しているが、これに限るものではない)で積層される場合、上記の積層される蛍光層3615は全て同一の蛍光体を含有したり、各層毎に異なる蛍光体を含有することができる。そして、上記の積層される蛍光層3615は、短波長の蛍光層が上部に位置し、長波長の蛍光層が下部に位置するよう、波長の長さによって順に積層されることが好ましい。
【0317】
例えば、上記の発光素子チップ3612がUV発光素子チップである場合、上記の発光素子チップ3612上に形成される第1の蛍光層3615'−1は、赤色光Rを放出する蛍光体と樹脂が混合してなることができる。上記の赤色光Rを放出する蛍光体としては、紫外線により励起され、約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する蛍光物質が使用されることができる。第2の蛍光層3615'−2は、第1の蛍光層3615'−1上に積層され、緑色光Gを放出する蛍光体と樹脂が混合してなることができる。上記の緑色光を放出する蛍光体としては、紫外線により励起され、500nm〜550nmの範囲の波長を有する光を放出する蛍光物質が使用されることができる。第3の蛍光層3615'−3は、第2の蛍光層3615'−2上に積層され、青色光Bを放出する蛍光体と樹脂が混合してなることができる。上記の青色光を放出する蛍光体としては、紫外線により励起され、420nm〜480nmの範囲の波長を有する光を放出する蛍光物質が使用されることができる。
【0318】
上記のした構成によってUV発光素子チップから放出された紫外線は、第1の蛍光層3615'−1、第2の蛍光層3615'−2及び第3の蛍光層3615'−3内に含有された互いに異なる種類の蛍光体を励起させるようになる。これによって各蛍光層から赤色光R、緑色光G及び青色光Bが夫々放出され、このような3つの色相の光が組み合わされて白色光Wを形成するようになる。特に、紫外線を蛍光転換するための蛍光層を多層、即ち、3層で形成するが、最も長い波長の光、即ち、赤色光Rを放出する第1の蛍光層3615'−1を発光素子チップ3612上に先に積層し、その上により短い波長の光、即ち、緑色光Gと青色光Bを放出する第2の蛍光層3615'−2及び第3の蛍光層3615'−3を順に積層する。
【0319】
このように光転換効率が最も低い赤色光Rを放出する蛍光体が含有された第1の蛍光層3615'−1が発光素子チップ3612に最も近く位置することで、第1蛍光層での光転換効率が相対的に高くなり、これによって発光素子チップ3612の全体的な光転換効率が向上できる。
【0320】
若し、上記の発光素子チップ3612が励起光として420nm〜480nmの範囲の波長を有する青色光Bを放出する発光素子チップである場合、上記の発光素子チップ3612上に形成される第1の蛍光層3615'−1は赤色光Rを放出する蛍光体と樹脂が混合してなり、第1の蛍光層3615'−1上に積層される第2の蛍光層3615'−2及び第3の蛍光層3615'−3は樹脂に緑色光Gまたは黄色光Yを放出する蛍光体が混合してなる。
【0321】
このような構成によって上記の発光素子チップ3612から放出された青色光Bは、第1の蛍光層3615'−1内に含有された蛍光体を励起させて赤色光Rを放出させ、第2の蛍光層3615'−2と第3の蛍光層3615'−3内に含有された蛍光体を励起させて緑色光Gまたは黄色光Yを放出させる。このように多層蛍光層から放出される赤色光Rと緑色光G(または黄色光Y)と発光素子チップ3612で発生する青色光Bが組み合わされて白色光Wが形成される。
【0322】
一方、
図89(a)は、
図87(a)に図示した発光素子パッケージの他の実施例を示した平面図であり、
図89(b)は、
図89(a)の発光素子パッケージを示した断面図であり、
図89(c)は、
図89(b)の変形例を示した断面図である。
【0323】
図89で図示す発光素子パッケージ3610−3は、その構成が
図87の実施例と実質的に同一である。但し、蛍光体を含む蛍光層が上記の樹脂層の外側面に備えられる点で差があるので、
図87の実施例と同一の部分に対する説明は省略し、
図89の実施例で異なる構成についてのみ詳述する。
【0324】
図89に示したように、上記の基板3611の平らな上部面に備えられ、上記の発光素子チップ3612、金属ワイヤー3619、連結端子3613と共に上記の基板3611の上部面を一体に覆って密封する上記の樹脂層3614は蛍光体を含有していない。そして、このような樹脂層3614は蛍光体を含有せずに上記の樹脂層3614の上部に備えられる蛍光層3615内に上記の蛍光体が含有される点で
図75の実施例と同一である。
【0325】
即ち、
図89(b)のように、上記の蛍光層3615内に含有される蛍光体は、青色、緑色、赤色及び黄色蛍光体のうち少なくとも1つ以上の蛍光体が混合して含有されることができる。また、
図89(c)のように多層構造(図面では3個階で積層される構造を示しているが、これに限定するものではない)で積層される場合、上記の積層される蛍光層3615は全て同一の蛍光体を含有したり、各層毎に異なる蛍光体を含有することができる。
【0326】
そして、上記の積層される蛍光層3615は、短波長の蛍光層が上部に位置し、長波長の蛍光層が下部に位置するよう、波長の長さによって順に積層されることができる。上記の蛍光層3615の具体的な構造は
図88(b)及び
図88(c)の蛍光層3615と実質的に同一であるので、これに対する具体的な説明は省略する。
【0327】
上記の放熱部3640は、ヒートシンク3641と冷却ファン3642を含み、上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)が上部側に備えられ、上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)で発生する熱を外部に放出する。
【0328】
具体的に、上記のヒートシンク3641は、上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)を上部面に実装し、上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)で発生する高温の熱を外部に放出する。この際、広い表面積を有するように下部面に複数の溝を形成することができる。そして、上記の冷却ファン3642は、上記のヒートシンク3641の下部側に装着されて上記のヒートシンク3641の熱放出の効率を増加させることができる。
【0329】
上記の反射部3620は、上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)及び放熱部3640の上部側に備えられ、上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)から出射される光を誘導して反射させる。
図84及び
図85のように、上記の反射部3620は、断面がドーム状に形成され、上記の発光素子チップ3612で発光される光を自動車の前方に向かうように案内し、前方が開放された形状に形成されて上記の反射した光が外部に出射される。
【0330】
実施例による車両用ヘッドライト3600は、上記の放熱部3640及び上記の反射部3620を固定させて支持するハウジング3650をさらに含む。具体的に、上記のハウジング3650は、一面に上記の放熱部3640が結合して装着されるための中央ホール3653を貫通して形成し、上記の面と一体に連結されて直角方向に折曲される他面に上記の反射部3620が上記の発光素子パッケージ(3610,3610−1,3610−2,3610−3)の上部側に位置するように固定させる前方ホール3652を貫通して形成する。
【0331】
従って、上記の反射部3620の開放された前方が上記の前方ホール3652と対応されるように上記の反射部3620が上記のハウジング3650に固定され、上記の反射部3620を通じて反射した光が上記の前方ホール3652を通して外部に出射される。
【0332】
上記のレンズ部3630は、上記の反射部3620を通じて反射して出射される光を外部に発散させ、中空型のガイド3632及びレンズ3361を含む。具体的に上記のガイド3632は、上記のハウジング3650の前方ホール3652に沿って装着され、上記の反射部3620を通じて反射して上記の前方ホール3652を通す光を前方に案内する。上記のガイド3632は、上記のレンズ3631を内部に収容するように中空型の円筒の構造を有し、射出成形を通じて形成されるプラスチック射出物である。
【0333】
そして、上記のレンズ3631は、上記のガイド3632の前方に装着され、光を自動車の前方に向かうように屈折させて分散させ、透明な材質で形成されることが好ましい。
【0334】
上述した実施形態のバックライトユニット、車両用ヘッドライトのような照明装置は、第1から第13の実施例による発光素子パッケージを採用しており、各発光素子パッケージは、実施例1から実施例11によって合成した(Sr,M)
2SiO
4−xN
y:Euの組成式で表される無機化合物を備え、上記のMは、少なくとも1つの1価及び2価の元素であり、0<x<4、y=2x/3を満たし、発光ダイオードチップから放出された光を吸収して約600nm〜700nmの範囲の発光ピークを有する光を放出する赤色蛍光体を少なくとも含む波長変換部または樹脂包装部を備える。
【0335】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された請求範囲によって限定される。従って、請求範囲に記載の技術的思想を外れない範囲内において様々な形態の置換、変形及び変更ができることは当技術分野において通常の知識を有する者には自明であり、これも添付された請求範囲に記載された技術的思想に属する。
【0336】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0337】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。