特許第5678311号(P5678311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678311
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】通信テスト装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/28 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
   G06F11/28 310A
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-538616(P2013-538616)
(86)(22)【出願日】2011年3月15日
(65)【公表番号】特表2013-542539(P2013-542539A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】KR2011001805
(87)【国際公開番号】WO2012124841
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2013年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】512297583
【氏名又は名称】ヒョンダイ モーター カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】512297594
【氏名又は名称】キアモータース コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】510054603
【氏名又は名称】イファ ユニーバーシティ−インダストリー コラボレーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チォエ,ビョン−ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ジュ−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,スン−ワン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン−スウ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヘ−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ジョン−ソク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,スン−ヨン
【審査官】 多胡 滋
(56)【参考文献】
【文献】 Mark Russinovich,Windows NTのシステムコールをフックする,DDJ,日本,株式会社翔泳社,1997年 5月 1日,第6巻,第6号,pp.39-44
【文献】 Tim Bird,民生家電用に最適化されたCE Linuxの全容(後編),Interface,日本,CQ出版株式会社,2005年 8月 1日,第31巻,第8号,pp.165-174
【文献】 秋田英行,第10回 各種トレースツールの利用,オープンソースマガジン,日本,ソフトバンククリエイティブ株式会社,2006年 9月 1日,第15巻,第9号,pp.109-118
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/28
G06F 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロセス、及び前記複数のプロセスに対するランタイム実行情報を含むプロセス制御ブロックを含むシステムに対する通信テスト装置において、
前記プロセス制御ブロックにテストエージェントによりテストコードのアドレス情報を挿入する挿入モジュールと、
前記複数のプロセス間に通信関連イベントが発生したとき、前記テストエージェントを利用してテスト対象をテストコードにフッキングするフッキングモジュールと、
前記テストコードがフッキングされたとき、前記複数のプロセス間の通信に対するテスト情報を収集するスキャニングモジュールと、
前記スキャニングモジュールにより収集されたテスト情報を格納するロギングモジュールと
を含んでなることを特徴とする通信テスト装置。
【請求項2】
前記プロセス制御ブロックは、前記複数のプロセスに対する資源使用状態、プロセス状態、優先順位及び関数テーブルのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の通信テスト装置。
【請求項3】
前記通信関連イベントは、前記複数のプロセス間のメッセージ送信、共有データ送信、共有メモリ使用、メッセージキュー使用、同期化オブジェクト使用のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の通信テスト装置。
【請求項4】
前記テストコードは、前記複数のプロセス間のメッセージ送信、メッセージキュー、共有メモリ及び同期化オブジェクトのうち少なくとも1つの欠陥の類型を確認するためのコードであることを特徴とする請求項1に記載の通信テスト装置。
【請求項5】
前記テスト情報は、前記複数のプロセスのコールスタック情報、前記複数のプロセス間に送受信される通信類型、通信アイディー、通信データ及び前記複数のプロセス間の通信で発生した遅延時間のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の通信テスト装置。
【請求項6】
前記テスト情報は、システム動的状態情報、プロセス状態情報、及び前記複数のプロセス間の通信情報を含むことを特徴にする請求項1に記載の通信テスト装置。
【請求項7】
前記テストコードは、テストしようとする欠陥の類型に従い定義されることを特徴とする請求項1に記載の通信テスト装置。
【請求項8】
前記システムは、マルチプロセスが通信するエンベデッドシステム及びコンピュータシステムであることを特徴とする請求項1に記載の通信テスト装置。
【請求項9】
複数のプロセス、及び前記複数のプロセスに対するランタイム実行情報を含むプロセス制御ブロックを含むシステムに対する通信テスト方法において、
前記プロセス制御ブロックにテストエージェントによりテストコードのアドレス情報を挿入する挿入段階と、
前記複数のプロセス間に通信関連イベントが発生したとき、前記テストエージェントを利用してテスト対象をテストコードにフッキングするフッキング段階と、
前記テストコードがフッキングされたとき、前記複数のプロセス間の通信に対するテスト情報を収集するスキャニング段階と、
収集されたテスト情報を格納するロギング段階と、
を含んでなることを特徴とする通信テスト方法。
【請求項10】
前記プロセス制御ブロックは、前記複数のプロセスに対する資源使用状態、プロセス状態、優先順位及び関数テーブルのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9に記載の通信テスト方法。
【請求項11】
前記通信関連イベントは、前記複数のプロセス間のメッセージ送信、共有データ送信、共有メモリ使用、メッセージキュー使用、同期化オブジェクト使用のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項9に記載の通信テスト方法。
【請求項12】
前記テストコードは、前記複数のプロセス間のメッセージ送信、メッセージキュー、共有メモリ及び同期化オブジェクトのうち少なくとも1つの欠陥の類型を確認するためのコードであることを特徴とする請求項9に記載の通信テスト方法。
【請求項13】
前記テスト情報は、前記複数のプロセスのコールスタック情報、前記複数のプロセス間に送受信される通信類型、通信アイディー、通信データ及び前記複数のプロセス間の通信で発生した遅延時間のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項9に記載の通信テスト方法。
【請求項14】
前記システムは、マルチプロセスが通信するエンベデッドシステム及びコンピュータシステムであることを特徴とする請求項9に記載の通信テスト方法。
【請求項15】
複数のプロセス、及び前記複数のプロセスに対するランタイム実行情報を含むプロセス制御ブロックを含むシステムに対する通信テストシステムにおいて、
前記システムを駆動させるための信号の入力を受ける入力装置と、
前記入力装置を介し入力された信号により前記システムが動作するあいだ、前記プロセス制御ブロックにテストエージェントによりテストコードのアドレス情報を挿入し、前記テストエージェントを利用してテスト対象をテストコードにフッキングし、前記複数のプロセス間の通信に対するテスト情報を収集する通信テスト装置と、
前記通信テスト装置により収集されたテスト情報を分析する分析装置と、
を含んでなることを特徴とする通信テストシステム。
【請求項16】
前記通信テスト装置は、収集されたテスト情報を格納するロギングモジュールを含む請求項15に記載の通信テストシステム。
【請求項17】
前記プロセス制御ブロックは、前記複数のプロセスに対する資源使用状態、プロセス状態、優先順位及び関数テーブルのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項15に記載の通信テストシステム。
【請求項18】
前記テストコードがフッキングされるテスト位置は、欠陥の類型に従い変更されることを特徴とする請求項15に記載の通信テストシステム。
【請求項19】
前記テスト情報は、前記複数のプロセスのコールスタック情報、前記複数のプロセス間に送受信される通信類型、通信アイディー、通信データ及び前記複数のプロセス間の通信で発生した遅延時間のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項15に記載の通信テストシステム。
【請求項20】
前記分析装置により分析されたテスト結果を画像又は音声で出力する出力装置をさらに含む請求項15に記載の通信テストシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信テスト装置及び方法に係わり、より詳しくは、複数のプロセス間の通信が誤りなく行われているかを判断するためテスト情報を収集する通信テスト装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多様なソフトウェア及びハードウェアを含むエンベデッドシステムにおいて、システムが稼動する環境で相互作用する動作が重要である。したがって、ソフトウェアのみで構成されたテストのための仮想データでない、システムが実際に使用される環境での実際データを利用する動作が重要なので、システムをテストしようとする場合にも、実際の運用データを利用してシステムテストを行って潜在的欠陥、又は実際の運用上で発生する欠陥を効果的に探し出すことができる方法が求められる。
【0003】
さらに、システムを構成するソフトウェアそれぞれを別途独立的にテストするためには、連結される相対コンポーネントを代替するための装備を備えなければならないなど、テスト資源と費用が多く要するため、システムに含まれた全てのプロセスを実時間でテストすることができ、メモリ空間のオーバーヘッド又は当該コード遂行による性能オーバーヘッドを最小にするテスト装置が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フッキング技術を利用しシステムに含まれたプロセス間の通信に対するテストを行うことにより、実際に使用しているシステムに対するテストが可能であり、システムのランタイム状態でも動的テストを行うことができ、システムに含まれる全てのプロセスが通信を行う間に発生する欠陥を確認することができる通信テスト装置及び方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は通信テスト装置であって、プロセス制御ブロックにテストエージェントを挿入する挿入モジュールと、複数のプロセス間に通信関連イベントが発生したときに、テストエージェントを利用してテスト対象をテストコードにフッキングするフッキングモジュールと、テストコードがフッキングされたとき、複数のプロセス間の通信に対するテスト情報を収集するスキャニングモジュールと、スキャニングモジュールにより収集されたテスト情報を格納するロギングモジュールとを含んで構成される。
【0006】
また、本発明は通信テスト方法であって、プロセス制御ブロックにテストエージェントを挿入する挿入段階と、複数のプロセス間に通信関連イベントが発生したとき、テストエージェントを利用してテスト対象をテストコードにフッキングするフッキング段階と、テストコードがフッキングされたとき、複数のプロセス間の通信に対するテスト情報を収集するスキャニング段階と、収集されたテスト情報を格納するロギング段階とを含んで構成される。
【0007】
さらに、本発明は通信テストシステムであって、システムを駆動させるための信号の入力を受ける入力装置と、入力装置を介し入力された信号によりシステムが動作する間、プロセス制御ブロックにテストエージェントを挿入し、テストエージェントを利用してテスト対象をテストコードにフッキングし、複数のプロセス間の通信に対するテスト情報を収集する通信テスト装置と、通信テスト装置により収集されたテスト情報を分析する分析装置とを含んで構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ソースコードでない実際に使用するコードを対象とするので、システムが実際に運用される間にもシステムに対する通信テストを行うことができる。
さらに、それぞれのプロセスに対する個別的なコード挿入でなく、プロセス制御ブロックに含まれた情報を活用したフッキング方法を利用するので、システムオーバーヘッドを最小にすることができ、動作するシステムを妨ぐことなくシステムに対するテストを行うことができる。
さらに、プロセス間の共有資源が制限された場合にも、実時間でテスト情報を収集しテスト結果を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る通信テスト装置が利用される一実施形態の全体システムを示す図である。
図2】本発明に係る通信テスト装置の一実施形態の構成を示す図である。
図3】本発明に係る通信テスト方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、システムが実際に使用される環境でのテストであり、システムが開始され終了されるまでの動的状態でシステムをテストすることができる装置及び方法に関する。本発明は、フッキング技法を利用して、システム内で動作する全てのプロセスに対するテストを行うことができる。より詳しくは、システム内で動作する全てのプロセス間の通信に対するテストを行うことができる。
【0011】
図1は、本発明に係る通信テスト装置が利用される一実施形態の全体システムを示す図である。図1に示すように、全体システムは、通信テスト装置100、システム200、入力装置300、分析装置400及び出力装置500を含む構成である。
【0012】
通信テスト装置100は、システム200に含まれた2つ以上のプロセス間の通信をテストするための装置である。通信テスト装置100は、システム200に含まれた全てのプロセス間の資源共有及び意思伝達が正確になされたかを判断することができるテスト情報を収集することができる。通信テスト装置100は、図1に示すようにシステム200と独立に備えられてもよく、システム200内部に含まれた形態であってもよい。
【0013】
システム200は、通信テスト装置100のテスト対象になるシステムであって、多様なソフトウェア及びハードウェアが統合されたエンベデッドシステムである。通信テスト装置100のテスト対象になるシステムは、複数のプロセスを含む1つ以上のシステムを意味する。したがって、1つのシステムに含まれる複数のプロセス間の通信だけでなく、互いに異なるシステムに含まれたプロセス間の通信も通信テスト装置100のテスト対象になり得る。
【0014】
システム200は、マルチプロセスが通信する全てのエンベデッドシステム及びコンピュータシステムであって、インフォテインメントシステム、マルチメディアシステム、有無線ネットワークシステムなどがある。例えば、システム200が車両インフォテインメントシステムである場合、システム200は、オディオ・ビデオ・ナビゲーション(AVN;Audio Video Navigation)機能を中心に地上デジタルメディア放送(TDMB;Terrestrial Digital Multimedia Broadcasting)、交通情報エキスパートグループ(TPEG;Transport Protocol Expert Group)、アイポッド(登録商標)(IPOD)、USB、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、音声認識(VR;Voice Recognition)、パーキング・ガイダンス・システム(PGS;Parking Guidance System)、ラジオ・データ・システム(RDS;Radio Data System)、自動車団体(VCDC;Vehicle CDC)、ドライバー情報システム(DIS;Driver Information System)、リアシート・エンターティメント(RSE;Rear Seat Entertainment)、ハイブリッド電気車両ディスプレー(Hybrid Electric Vehicle Display)、エアー・ハンドリング・ユニット・ディスプレー(Air Handling Unit Display)などがある。
【0015】
入力装置300は、通信テスト装置100及びシステム200を駆動させるための使用者入力装置である。入力装置300は、キーボード又はタッチスクリーンで行われてもよく、入力装置300を介して入力された信号に応じてシステム200が駆動する。さらに、入力装置300を介し入力された信号に応じて通信テスト装置100が通信テストのための動作を行う。
【0016】
分析装置400は、通信テスト装置100により収集されたテスト情報を分析し、システム200に含まれた複数のプロセス間の通信に発生した誤りを確認する。通信テスト装置100は、分析装置400と1つの装置となって、テスト情報を収集すると共に収集されたテスト情報を分析しテスト結果を確認することもできる。
【0017】
出力装置500は、通信テスト装置100により収集されたテスト情報、又は分析装置400により分析されたテスト結果を、画像又は音声で出力する装置である。出力装置500を介し、使用者は通信テスト結果を確認することができる。
【0018】
図2は、本発明に係る通信テスト装置の一実施形態の構成を示す図である。図2に示すように、通信テスト装置100は、挿入モジュール101、フッキングモジュール103、スキャニングモジュール105及びロギングモジュール107を含んで構成される。図2では、通信テスト装置100と連結されテスト対象となるシステム200は、2つ以上のプロセスを含む1つのシステムとして描いている。
【0019】
システム200は、プロセス制御ブロック201を含んでいる。プロセス制御ブロック201は、システム200に含まれた全てのプロセスに対するランタイム実行情報を有する。ここで、ランタイム実行情報とは、システム200が動作しているときの全てのプロセス間の実行情報を意味する。したがって、プロセス制御ブロック201は、システム200に含まれた全てのプロセスに対する資源使用状態、プロセス状態、優先順位、関数テーブルなどを含むことができる。より詳しくは、プロセスID、プロセス名、現行プロセス、現行スレッド、システムで行われているプロセスリスト、モジュールリスト、システムページサイズ、使用可能な物理メモリサイズ、CPU使用量、使用中の資源リスト、要請中のI/Oデバイス状態、オープンされたファイル情報、レジスタ情報などを含むことができる。したがって、全てのシステム内での情報を含むデータ構造又は装置は、本発明で意味するプロセス制御ブロックに該当する。
【0020】
挿入モジュール101は、プロセス制御ブロック201にテストエージェントを挿入する。テストエージェントは、プロセス制御ブロック201に含まれた情報に基づきテストコードをフッキングし、テスト情報を収集することができる。テストコードがフッキングされるテスト位置は、欠陥の類型に従い定義される。本発明では、テストエージェントがプロセス制御ブロック201に挿入される前に、先ずシステム200が正常に動作しており、システム200は通信テスト装置100の動作により影響を受けずに正常に動作する。
【0021】
さらに、挿入モジュール101は、システム200で動作しているプロセスリストを確認し、プロセスリスト中の2以上のプロセスをテスト対象に選定し、選定されたプロセス間の通信をテストするためのテストエージェントを挿入することもできる。
【0022】
フッキングモジュール103は、挿入モジュール101により挿入されたテストエージェントを利用してテスト対象をテストコードにフッキングする。本発明では、テストコードにフッキングされるテスト対象は、プロセスに含まれたコード中の通信関連イベントを発生させるコードであることができる。テストコードは、テストしようとする欠陥の類型に従い変更される。さらに、フッキングモジュール103は、テストコードがフッキングされるテスト位置を変更することができる。
【0023】
テストコードがフッキングされることは、動作しているシステム200内で複数のプロセス間に通信関連イベントが発生したとき、挿入されたテストエージェントが原本コードの動作を含むテストコードが行われるようOSのプロセス制御ブロックをフッキングすることを意味する。プロセス制御ブロックに含まれる情報から、フッキングモジュール103は、如何なるプロセスの間に如何なる類型の通信関連イベントが発生するのかを確認することができる。ここで、通信関連イベントとは、複数のプロセス間にメッセージ送信、共有データ送信、共有メモリ使用、メッセージキュー使用、同期化オブジェクト使用などを意味する。
【0024】
テストコードは、複数のプロセス間のメッセージ送信、メッセージキュー、共有メモリ又は同期化オブジェクトと関連する欠陥の類型を確認するためのコードである。テストコードの欠陥類型は、下記の図3の説明で詳しく述べる。
【0025】
例えば、テストコードは、送信メッセージ(Send−Message)、送信済みメッセージ(Post−Message)のような第1の関数、及びテストしようとする欠陥の類型に従い必要な第2の関数を含み、システムに含まれたプロセスはそれぞれ第1の関数を含む。したがって、第1のプロセス及び第2のプロセスの間に通信関連イベントが発生したとき、フッキングモジュール103は、挿入された通信エージェントを利用して第1のプロセス及び第2のプロセスで第1の関数が行われる段階で、第1のプロセス及び第2のプロセスの第1の関数に代えてテストコードを行わせることにより、テスト対象をテストコードにフッキングする。第1のプロセス及び第2のプロセスで第1の関数が行われる段階は、プロセス制御ブロックに含まれた情報から確認される。
【0026】
一方、テスト対象が複数のプロセス間の通信であるので、テストしようとする欠陥の類型に従い送信側又は受信側に該当する一方のプロセスにのみテストコードがフッキングされてもよい。
【0027】
スキャニングモジュール105は、テスト対象がテストコードにフッキングされたとき、通信関連イベントが発生した複数のプロセス間の通信に対するテスト情報を収集する(S172)。ここで、複数のプロセス間の通信とは、既に発生した通信関連イベントだけでなく、テストコードフッキングに従い発生する通信関連イベントまで含むことができる。収集されたテスト情報は、テスト段階、テスト目的、テストしようとする欠陥の類型に従い変化する。
【0028】
したがって、スキャニングモジュール105は、複数のプロセス間の通信に対し欠陥の判定に要するシステム動的状態情報、例えば、関数パラメータ及び返還値、性能測定値、共有資源使用リストなどを収集する。
【0029】
テスト情報は、複数のプロセスのコールスタック情報、複数のプロセス間に送受信される通信類型、通信ID、通信データ、複数のプロセス間の通信で発生した遅延時間などを含むことができる。
【0030】
ロギングモジュール107は、スキャニングモジュール105により収集されたテスト情報を格納空間に格納する。格納空間は、ロギングモジュール107に備えられてもよく、ロギングモジュール107と別個の装置であってもよい。図1に示した分析装置400では、スキャニングモジュール105により収集されたテスト情報又はロギングモジュール107により格納されたテスト情報を分析することができる。
【0031】
図3は、本発明に係る通信テスト方法の一実施形態のフローチャートである。ここでは、複数のプロセス間の通信に対するテストを行うための通信テスト方法を示す図である。先ず、欠陥モデルが定義される(S110)。ここで、欠陥モデルとは、欠陥の類型に従いテストされなければならないプロセス間の通信位置及び欠陥の発見/復旧のためのテスト情報を意味する。定義された欠陥モデルに従い、システム200が正常に動作している間テスト情報を収集することのできるテストコードが生成される。
【0032】
先ず、テスト対象となるシステム200のプロセス制御ブロック201にテストエージェントが挿入される(S120)。システム200は、テストエージェントが挿入される前から正常に動作している。
【0033】
次に、複数のプロセス間に通信関連イベントが発生すると、挿入されたテストエージェントを利用しテスト対象がテストコードにフッキングされる(S130)。テストコードがフッキングされることにより、通信関連イベントが発生したプロセスに代えてテストコードが行われ得る。
【0034】
次に、テストコードがフッキングされたとき、通信関連イベントが発生した複数のプロセス間の通信に対するテスト情報が収集される(S140)。次に、収集されたテスト情報は格納される(S150)。ここで、テスト情報は、テストコードがフッキングされている間にのみ収集され、テストコードがフッキングされたあと、システムが動作する間に全て収集されることもある。
【0035】
本発明に係るテストコードは、プロセス間のメッセージ送信、メッセージキュー、共有メモリ又は同期化オブジェクトと関連する欠陥の類型を確認するためのコードである。
【0036】
メッセージ送信(Message Passing)と関連する欠陥の類型は、指定時間内メッセージ送信失敗(同期)、メッセージデッドロック(同期)、メッセージ処理遅延(同期)、メッセージ損失(同期)、メッセージ変更(同期)、メッセージキューへの挿入失敗(非同期)、メッセージ処理遅延(非同期)、メッセージ損失(非同期)、又はメッセージ変更(非同期)に分類することができる。
【0037】
メッセージキュー(Message Queue)と関連する欠陥の類型は、メッセージキュー生成失敗、メッセージキュー閉じ失敗、メッセージキューからの読取り失敗、又はメッセージキューへの書込み失敗に分類することができる。
共有メモリ(Shares Memory)と関連する欠陥の類型は、共有メモリ生成失敗もある。
【0038】
【0038】
同期化オブジェクト(Synchronization Object)と関連する欠陥の類型は、生成していない同期化オブジェクト使用、生成した同期化オブジェクト使用しない、又は使用した同期化オブジェクト解除しないに分類することができる。
したがって、各欠陥の類型に従いテストコードが変更される。
【0039】
上記したように、本発明に係る通信テスト装置100は、動作しているシステム200に影響を与えずにテストエージェント挿入、テストコードフッキング、テスト情報収集を実施することができ、システムテスト装置100による通信テストは、システムに含まれたプロセス制御ブロックに含まれた情報に基づき実施される。
【0040】
本発明は、プロセッサが読取り可能な記録媒体にプロセッサが読取り可能なコードとして実現することが可能である。プロセッサが読取り可能な記録媒体は、プロセッサにより読み取られたデータが格納される全ての種類の記録装置を含む。プロセッサが読取り可能な記録媒体の例には、ROM、RAM、CD−ROM、エムティー、フロッピー(登録商標)、光データ格納装置などがある。さらに、プロセッサが読取り可能な記録媒体はネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でプロセッサが読取り可能なコードが格納され行われる。
【0041】
本発明は、上記した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載した本発明の範囲を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野で通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であり、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、システムが実際に使用されている間にもシステムに対する通信テストを行うことができる。
図1
図2
図3