(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678314
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】アンテナにおいて円偏光を生成するための小型励起組立品、及びそのような小型励起組立品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01P 1/16 20060101AFI20150212BHJP
H01P 5/22 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
H01P1/16
H01P5/22 B
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2009-285280(P2009-285280)
(22)【出願日】2009年12月16日
(65)【公開番号】特開2010-148109(P2010-148109A)
(43)【公開日】2010年7月1日
【審査請求日】2012年12月14日
(31)【優先権主張番号】0807063
(32)【優先日】2008年12月16日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ボッシャー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ルペルティエ
(72)【発明者】
【氏名】アラン、ラセール
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー、ヴェルラック
【審査官】
富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07408427(US,B1)
【文献】
独国特許出願公開第03111106(DE,A1)
【文献】
特開平11−145701(JP,A)
【文献】
特開平08−237002(JP,A)
【文献】
特開昭53−105158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/16
H01P 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単向二路通信のオルソモード変換器及び分岐したカプラーを含むアンテナにおいて、円偏波を生成するための小型励起組立品であって、OMTと呼ばれる前記オルソモード変換器(21)は、四角形又は円形の横断面及び長手軸ZZ’を有する主要導波管(22)を備え、2つの分枝がそれぞれ2つの並列の連結スロット(25、26)によって前記主要導波管(22)に連結され、前記2つの連結スロット(25、26)が前記導波管の2つの直交する壁の中に作られており、
前記OMTの前記2つの分枝が、分岐したカプラー(40)の2つの導波管(35、36)にそれぞれつながれ、前記分岐されたカプラー(40)が、前記2つの連結スロット(25、26)で生み出される電界直交ノイズ成分(δy、δx)を補償するように前記分岐したカプラー(40)の2つの異なる分割係数(α、β)が選ばれ、当該2つの異なる分割係数(α、β)に応じて、前記分岐されたカプラー(40)の分岐の幅が定義されていることを特徴とする小型励起組立品。
【請求項2】
前記OMTの前記主要導波管(22)は、円錐につながる第1端および第2の出力端を有し、
前記連結スロット(25、26)が前記主要導波管(22)に連結された位置よりも前記第2の出力端側にある前記主要導波管(22)の断面が、前記連結スロット(25、26)が前記主要導波管(22)に連結された位置よりも前記第1端側にある前記主要導波管(22)の断面よりも小さくなっており、この断面の減少が、低周波数帯域のための短絡面を形成することを特徴とする、請求項1に記載の励起組立品。
【請求項3】
長さL1及び幅L2を有する前記OMT(21)の前記連結スロット(25、26)が、前記連結スロット(25、26)からD1の距離に置かれた2つのスタブフィルター(27、28)を通じて、前記分岐されたカプラー(40)につながれ、かつ前記距離D1、前記長さL1、及び前記幅L2が、前記OMTの非対称性により生み出される電界直交ノイズ成分(δy、δx)間に直交性を生み出すような方法で選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の励起組立品。
【請求項4】
前記分岐されるカプラー(40)の前記分割係数(α、β)が次の3つの関係式:
【数1】
に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の励起組立品。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの小型励起組立品を備えることを特徴とするアンテナ。
【請求項6】
アンテナにおいて円偏波を生成するための小型の励起組立品を作り上げる方法であって、2つに分枝したOMTオルソモード変換器(21)と、2つの異なる分割係数(α、β)を含む分岐したカプラー(40)とを、それぞれ2つの並列の連結スロット(25、26)によって連結し、前記2つの連結スロット(25、26)で生じる2つの電界ノイズ成分(δy、δx)の間に矩象を確立するような方法で前記OMT(21)の寸法を決定し、かつ前記2つの連結スロット(25、26)で生み出される電界直交ノイズ成分(δy、δx)を補償するように前記分岐したカプラー(40)の2つの異なる分割係数(α、β)が選ばれ、当該2つの異なる分割係数(α、β)に応じて、前記分岐されたカプラー(40)の分岐の幅が定義されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記OMTの寸法決定が、前記OMT(21)の前記連結スロット(25、26)の長さL1及び幅L2を決定することと、前記連結スロットの下流にある前記OMTの前記主要導波管内に短絡面を置くことと、前記連結スロットと前記分岐したカプラー(40)との間に置かれた2つのスタブフィルター(27、28)から前記連結スロット(25、26)を隔てる距離D1を決定することとにあり、前記距離D1、前記長さL1、及び前記幅L2が、前記OMTの非対称性により生じる前記電界ノイズ成分(δy、δx)間に直交性を生み出すような方法で選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分岐したカプラー(40)の前記分割係数(α、β)が、次の3つの関係式:
【数2】
に基づいて決定されることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナにおいて円偏光を生成するための小型励起組立品、このような小型励起組立品を備えたアンテナ、及びこのような小型励起組立品の製造方法に関する。それは特に送信及び/又は受信アンテナ、更に詳しくは、例えばマルチビームアンテナのような、カプラーと関連するオルソモードの導入装置に連結された、基礎的な放射要素のアレーを含むアンテナの分野に適用される。
【背景技術】
【0002】
多数の隣接する光線の作成は、パラボラ反射鏡の焦点面に置かれ、間隔が光線間の角度間隔に直接依存する、多数の基礎的な放射要素を備えるアンテナの製作を含む。円形二重偏光の下での送信及び受信機能の確保を受け持つ、無線周波数RFチェーンを設置するために割り当てられる体積は、マルチビームの用途の場合に、放射要素の放射面によって境界を定められる。
【0003】
無線周波数チェーンにつながれた放射要素から成る各光源が、スポットとも呼ばれる光線を作り上げる最も一般的な構成において、形成された各光線は、基礎的な放射要素を構成する専用の円錐により送られ、そして無線周波数チェーンは各光線に対して、ユーザー及び/又はオペレーターの要求に応じて選ばれた周波数帯域内で、単一偏光又は二重偏光で送信/受信機能を実行する。一般に、無線周波数チェーンは主として励磁器及び、無線周波数ハードウェア構成要素との接続を可能にする、再結合回路とも呼ばれる導波管路を含む。円偏光を作り上げるために、例えば円錐タイプの基礎的な放射要素に接続された、頭字語OMT(オルソモード変換器を表わす)、オルソモード変換器を備える励磁器を用いることが知られている。OMTは、第1の偏光を示す第1の電磁モード、あるいは第1に対して直交する第2の偏光を示す第2の電磁モードのいずれかで選択的に(送信において)円錐に供給するか、又は(受信において)円錐により供給される。2つの電界成分がそれらに関連する第1及び第2の偏光は直線であり、それぞれ水平偏光H及び垂直偏光Vと呼ばれる。円偏光は、電界成分H及びVを矩象に置くことを受け持つ、(分岐線カプラーとしても知られる)分岐したカプラーとOMTを組み合わせることにより作られる。小型化の解決策の探求は、例えば下記に記述される
図1a及び1bに表されるような、無線周波数ハードウェア構成要素のグループ化と、積み重ねられる幾つかのレベルに対する無線周波数チェーンの再結合回路へと導く。しかしながら、光線の数が多いほど無線周波数チェーンの複雑さ、質量、及び費用が大きくなる。さらに無線周波数チェーンの質量を低減しかつ費用を削減するためには、従ってその電気的構成を変更することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、何ら調整を必要とせず、無線周波数チェーンを単純化し、それをより小型にし、従ってその質量を低減しかつ費用を削減することを可能にする、二重偏光の下で動作する新規の励起組立品を提案することにより、この問題を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、単向二路通信のオルソモード変換器及び分岐したカプラーを含むアンテナにおいて、円偏光を生成するための小型励起組立品であって、OMTと呼ばれるオルソモード変換器が非対称であり、四角形又は円形の横断面及び長手軸ZZ’を有する主要導波管を備え、2つの分枝が、それぞれ2つの並列の連結スロットによって主要導波管に連結され、2つの連結スロットが、導波管の2つの直交する壁の中に作られ、OMTの2つの分枝が不均衡に分岐したカプラーの2つの導波管にそれぞれつながれ、分岐されたカプラーがOMTの非対称性により生み出される電界直交ノイズ成分を補償するような方法で最適化された2つの異なる分割係数を有することを特徴とする小型励起組立品に関する。
【0006】
有利なことに、連結スロットの下流側にあるOMTの主要導波管の断面は、連結スロットの上流側にあるOMTの主要導波管の断面よりも小さく、断面図中の切断部分は短絡面を形成する。
【0007】
有利なことに、長さL1及び幅L2を有するOMTの連結スロットは、連結スロットからD1の距離に置かれた2つのスタブフィルターを通じて、分岐されたカプラーにつながれ、距離D1、長さL1、及び幅L2は、OMTの非対称性により生み出される電界直交ノイズ成分間に直交性を生み出すような方法で選ばれる。
【0008】
有利なことに、分岐したカプラーの分割係数は次の3つの関係式に基づいて決定される:
【数1】
【0009】
本発明はまた、少なくとも1つの、そのような小型の励起組立品を備えることを特徴とするアンテナにも関する。
【0010】
最後に、本発明は又、アンテナにおいて円偏光を生成するための、小型の励起組立品を作り上げる方法であって、2つに分枝した非対称のOMTオルソモード変換器と、2つの異なる分割係数を含む不均衡な分岐したカプラーとを連結し、OMTの非対称性により生じる2つの電界ノイズ成分の間に矩象を確立するような方法でOMTの寸法を決定し、かつ2つの電界ノイズ成分を補償するように、分岐したカプラーの分割係数を最適化することにあるのを特徴とする方法にも関する。
【0011】
有利なことに、OMTの寸法決定は、OMTの連結スロットの長さL1及び幅L2を決定することと、連結スロットと分岐したカプラーとの間に置かれた2つのスタブフィルターから連結スロットを隔てる距離D1を決定することと、連結スロットの下流にあるOMTの主要導波管内に短絡面を置くことにあり、距離D1、長さL1、及び幅L2は、OMTの非対称性により生じる電界ノイズ成分間に直交性を生み出すような方法で選ばれる。
【0012】
有利なことに、分岐したカプラーの分割係数は、次の3つの関係式に基づいて決定される:
【数2】
【0013】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付の概略図に関連して、純粋に例示的で制限されない例のために与えられる、以下に続く説明の中で更にはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1a】先行技術による、例示的な単向二路通信OMTの平面図である。
【
図1b】
図1aの単向二路通信OMTを含む例示的なRFチェーンの斜視図である。
【
図2】本発明による、小型の励起組立品を備えるRFチェーンの例示的な単純化された構造の断面図である。
【
図3a】本発明による、例示的な非対称の単向二路通信OMTの斜視図である。
【
図3b】本発明による、例示的な非対称の単向二路通信OMTの平面図である。
【
図4】本発明による、OMTの形状を最適化する前の非対称OMTで得られる、連結及び分離された2つのポート間の例示的カップリングである。
【
図5】本発明による、OMTの形状を最適化する前のOMTの、連結及び分離されたポート間の例示的な位相分散である。
【
図6】本発明による、OMTの形状パラメータを最適化した後のOMTの、連結及び分離されたポート間の例示的な位相分散である。
【
図7】本発明による、OMTの形状パラメータを最適化した後の電界ノイズ成分を示す、OMTの概略平面図である。
【
図8a】本発明による、例示的な不均衡に分岐したカプラーの斜視図である。
【
図8b】本発明による、例示的な不均衡に分岐したカプラーの長手方向断面図である。
【
図9a】本発明による、小型の励起組立品を形成するために、OMTを2つの分枝及び1つの不均衡に分岐したカプラーと組み合わせることによって得られる、楕円率を示す一例である。
【
図9b】本発明による、小型の励起組立品を形成するために、OMTを2つの分枝及び1つの不均衡に分岐したカプラーと組み合わせることによって得られる、楕円率を示す一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1aに表わされる4つに分岐したオルソモード変換器5は、例えば、円錐につながれることを目的とする第1端(図示せず)、及び第2の出力端を有し、2つの端部が主要導波管本体の長手方向軸に位置している、四角形又は円形の断面を伴う、長手方向軸ZZ’を持つ主要導波管10を備える。並列の4つの長手方向又は横方向の連結スロット11、12、13、14のグループは、主要導波管の4つの側面の各々の壁に作られ、対として正反対に対向して配置される。円錐と連結スロットとの間で、送信及び受信周波数帯域における主要導波管のH及びV電界成分に関連する基礎電磁気学モードの伝播に対して、主要導波管10の寸法は適応させられる。連結スロットの先では主要導波管の断面が減少し、従って低周波帯域のための短絡面を生み出す。遮断周波数において、導波管は、高周波帯域だけを通すことを許容する高域フィルターとして機能する。四角形の断面を有する導波管のTE01及びTE10基礎電磁気学モード、又は円形の断面を有する導波管のTE11H及びTE11Vモードと関連するH及びV電界成分は、4つの並列の連結スロット11、12、13、14によって低周波数帯域、例えば送信帯域において連結される。高周波数帯域、例えば受信帯域は、4つの並列の入力スロットにつながれた4つのスタブフィルター15、16、17、18により排除され、主要導波管内でその出力端まで伝播する。単向二路通信OMTと呼ばれるOMT組立品及びフィルターは、従って6つの物理的ポートを示し、その動作は直線偏光又は円偏光における用途に適合する。低周波数帯域は、例えば無線周波数RF信号の送信用に割り当てられ、高周波数帯域はRF信号の受信用に割り当てられ得る。
図1bに表わされているように、送信において、円偏光の作成は、4つの連結スロット11、12、13、14に矩象で対として供給する、3dBに均衡した分岐カプラー19により確実にされる。反対のスロットは位相再結合回路20を通じて同相で供給される。単向二路通信OMT及び分岐したカプラーから成る励起組立品の様々なハードウェア構成要素は別々に最適化され、全体の転送機能は各ハードウェア構成要素の固有の性能からもたらされる。4つの分岐を伴うOMT5の形状は、連結スロットの位置においてOMT内で伝播する電界の対称面を課し、それによって電界の交差成分の振幅を最小化する。従って円偏光の純度はOMT5に依存せず、分岐したカプラー19と、連結スロット間に出力分割及び矩象を生じる再結合回路20にのみ依存する。セプタム偏光子(図示せず)はOMTの主要導波管の出力端に接続され、セプタム偏光子は受信に対して円偏光の作成を行なう。
【0016】
無線周波数のハードウェア構成要素及び、無線周波数チェーンの再結合回路は幾つかのレベルに積み重ねられ、2つのレベル1、2は
図1bに表わされているが、しかし一般的には他のレベルの下に配置されて3つのレベルが存在する。ハードウェア構成要素の集積はそのとき最大であり、無線周波数チェーンの質量、体積、及び費用をさらに減らすためには、その構造を変更することが必要である。
【0017】
図2は、本発明による小型の励起組立品を備えるRFチェーンの、単純化された例示的構造を表わす。RFチェーンは基本的に、
図3a及び3bに表わされている2つに分岐した単向二路通信のオルソモード変換器21、及び不均衡な分岐したカプラー40を含む。OMT21は、例えば四角形又は円形の断面で、2つの端部23、24を備える長手方向軸ZZ’を有する主要導波管22を含み、円形の入口31に連結された第1端23は、円錐(図示せず)につながれるよう意図され、主要導波管の壁に作られた2つの並列の入力連結スロット25、26を備え、そしてOMTの2つの各分岐に通じる。2つの並列の入力スロット25、26は、主要導波管の2つの直交する側壁に作られ、例えばそして望ましくは、主要導波管の二端23、24に対して同一の高さに配置される。低周波数帯域は、例えばRF信号の送信用に割り当てられ、高周波数帯域はRF信号の受信用に割り当てられ得る。送信の際、2つの連結スロット25、26の各々は、スタブフィルター27、28及び再結合回路29、30を通じて、分岐したカプラー40につながれる。円形の入口31は、送信及び受信の際に伝播する2つの直角に偏光した電磁モードに対応する、それぞれ水平H及び垂直Vの2つの電界成分に共通の、入力及び出力ポートを構成する。スタブフィルターに関連する各々並列の入口スロットは、その成分用の連結したポートと呼ばれる、電界成分の1つのための入力及び出力ポートを構成し、その他のポートは分離したポートと呼ばれる。例として、
図3aにおいて、垂直の電界成分Hは連結したポート32を通り、ポート33はこの成分Hに対して分離したポートである。垂直の電界成分Vに対しては、連結したポートはポート33であり、分離したポートはポート32である。分岐したカプラー40はそれぞれ、第1端によりOMTのポート32、33のうちの1つにつながれ、第2端によりそれぞれの供給入口37、38につながれた、2つの主要分岐を形成する2つの矩形の導波管35、36を備え、供給入口37、38は同一の電気的長さを有する。各供給入口は、電界でそれに供給するために、分岐したカプラー40の2つの主要分枝35、36の各々につながれる。分岐したカプラーの2つの主要分枝は、横断する分枝を構成する少なくとも1つの横断する導波管39に通じる、連結スロット(図示せず)を通じて共に連結される。例えば
図2において3つに等しい、予め定められた数の横断する導波管39の長さは、分岐したカプラー40の出力において2つの電界成分間に90°の位相ずれを生じるように、λ
g/4に等しく、λ
gはカプラー40の主要分枝35、36において伝播する基礎モードの、ガイドされた波長である。
【0018】
受信の際、セプタム偏光子(図示せず)は、OMTの主要導波管の第2端24に接続され得る。
【0019】
幾何学的観点からは、2つに分岐した単向二路通信OMTは、連結スロット25、26の位置における対称性の欠如の理由で、水平H及び垂直Vの電界成分の自然な減結合を許容しない。共通ポート31と電界成分の1つに対応する連結したポート32との間、次に共通ポートと電界の同じ成分の分離したポート33との間の、エネルギーに対する共分散行列のパラメータ解析は、
図4及び5に表わされているように、連結したポートと分離したポートとの間に−20dBのオーダーのエネルギーの連結があり、そして2つのポート間に周波数の分散的位相差が存在し、物理的に共通ポート31から、連結したポート及び分離したポート32、33の2つのポート迄の長さは同一ではあるが、矩象は特定の周波数に対してのみ得られることを示す。これはOMTの非対称性のために、主要導波管において伝播する基礎モードのエネルギーが、連結したポートに全部は入らず、部分的に分離したポートに入ることを意味する。2つのポート間のエネルギー分配は、TE10基礎モードの−20dBの連結とは別に、連結したポートと分離したポートとの間にTE20モード(あるいは、電界のH又はV成分が考慮されるかどうかによってはTE02モード)の−20dBの連結が存在するという事実に起因する。TE20(又はTE02)モードは出力の分割に干渉し、分離したポートとの関連で、連結したポートに対して電界の異なる位相の挿入を引き起こす。
【0020】
本発明によれば、2つに分岐したOMTは、それが連結スロット間の均等な出力分割及び矩象を実現する、3dBに均衡した分岐のカプラーと関連するとき、電界の2成分の完全な減結合を可能にしないため、円偏光を得ることは不可能である。得られる偏光は、1.7dBに等しい放射領域の楕円率を有する楕円である。
【0021】
しかしながら、連結スロット25、26の長さL1及び幅L2、スロットと主要導波管の断面変化に対応する低周波数帯域用の短絡面との間の距離、スロット25、26とスタブフィルター27、28の始まりとの間の距離D1のような、OMTの形状パラメータに対して作用することにより、
図6の例に表わされているように、分離したポートにおける電界成分を、連結したポートにおける電界成分に対して矩象に置くことが可能であり、そしてこれらの連結及び分離した2つの電界成分間に、完全な低周波数帯域よりも7%上の帯域幅に対し、非周期的な位相の差別的な挙動を与えることが可能である。距離D1は、分離したポートにおけるノイズの電界交差成分に関して、連結したポートにおける主要電界成分の位相の周波数分散に対し作用する。長さL1及び幅L2は、連結したポートにおける電界成分と分離したポートにおけるノイズの電界成分との間で、絶対位相を−90°に調整することを可能にする。スロットと短絡面との間の距離は、例えばゼロであり得る。しかしながら、OMTの形状パラメータの最適化は、それに対して他のパラメータが二次的に作用し、例えば無線周波数の断続の間にエネルギーのビートを作り出し、連続的な反復及び伝播する電磁モードの解析による以外には最適化出来ない、多変数の最適化である。
【0022】
図7は、電界が入口ポート32、33における供給からそれぞれ水平偏光H、垂直偏光Vに関して生じ、次に−90°移相した2つの成分に分解することを示す。従って、電界Eyの垂直成分V用の入口ポート33に関して、Eyに対し−90°移相したノイズの水平成分δyが加えられており、電界Exの水平成分H用の入口ポート32に関して、Exに対し−90°移相したノイズの垂直成分δxが加えられている。ノイズ成分δy及びδxは、Ex及びEyの振幅に対して20dBだけ減衰している。
【0023】
不均衡に分岐したカプラーに関連する、本発明による非対称OMTは、OMTの非対称性によって引き起こされる欠陥に対する補償と、偏光の優れた純度を有する単一偏光の下、及び二重偏光の下でのアンテナ動作を可能にする。
【0024】
円偏波の良好な純度を達成するため、電界のH及びV成分は同じ振幅を持ち、そして矩象でなければならない。
図8a及び8bは、本発明による一つの例示的な、不均衡に分岐したカプラー40の斜視図及び長手方向断面図を示す。分岐したカプラー40は、2つの主要分岐の4つの端部にある4つのポート1〜4を含む。ポート1〜4は2つの供給口につながれるよう意図され、2つのポート2及び3はそれぞれ、OMTの連結したポート及び分離したポートにつながれるよう意図されている。分岐したカプラーは、ポート2と3との間で絶対値において90°の移相を伴って、ポート2あるいは3の間で、そのポート1又は4の中の1つに加えられる電界のエネルギーを分配する役目を果たす、2つの分割係数α及びβ
【数3】
を含む。従って、電界がポート1に加えられる場合、それは連結係数αでポート1からポート2までつながれた、カプラー分岐内を伝播し、そして連結係数βで連結スロット及び様々な横断導波管を通り、ポート3まで対角線上を伝播する。ポート2及び3での分岐したカプラーの出力における、2つの電界成分間の90°位相遅れは、波長の1/4であるλ
g/4に等しい横方向導波管の長さに対応する。各横方向導波管は同一の長さであるが異なる幅を有する。横方向の分枝の数は、帯域幅の要求に応じて選ばれる。横方向の分枝の幅は、実現されるべき連結係数の値α及びβの関数として定義される。反対に、電界がポート4に加えられるとき、それは連結係数αでポート4へ、そしてポート3までつながれた、カプラーの主要分岐内を伝播し、そして連結係数β及び−90°の移相で連結スロット及び様々な横断導波管を通り、ポート2まで対角線上を伝播する。
【0025】
本発明によれば、分割係数α及びβは、OMTの非対称性に関連するノイズ欠陥を補償するような方法で選ばれる。従って、係数α及びβは、4つに分岐したOMTで通例として使用される均衡したカプラーにおける場合のようには、もはや等しくなく、異なるであろう。
【0026】
分割係数はOMTの存在下で最適化され、各出力ポート2及び3において入力ポート1で受け取る出力の半分を得るような方法で、水平及び垂直のノイズ成分δy及びδxを補償する。
【0027】
カプラーの動作は受信及び送信において対称であり、分割係数の最適化は、OMTの非対称性に関連する水平及び垂直のノイズ成分δy及びδxを補償するような方法で、受信において実施され得る。
【0028】
従って受信において、カプラーを通過する際に、電界成分はポート2に入り、Ex及びδy・e
−j90°はそれぞれポート1の出力において:α・Ex及びα・δx・e
−j90°となる。
【0029】
同様に、ポート3に入る電界成分、Ey及びδy・e
−j90°はそれぞれポート1の出力において:β・Ey・e
−j90°及びβ・δy・e
−j180°となる。
【0030】
直交軸XとYに沿ったこれらの電界成分の投影は、そのとき次のようになる:
X軸に沿って:α・Ex+β・δy・e
−j180°
Y軸に沿って:β・Ey・e
−j90°+α・δx・e
−j90°
【0031】
X軸に沿っては、電界成分Ex及びδyは逆位相で和を求め、その補償は破壊的である。Y軸に沿っては、電界成分Ey及びδxは同相で和を求め、その補償は建設的である。補償が各出力ポート2及び3において、入力ポート1で受け取る出力の半分を得ることが出来るようにするため、分割係数α及びβは、次の3つの関係式が満足されるようなものである:
【数4】
【0032】
図9a及び9bは、本発明による2つに分岐したOMTと不均衡に分岐したカプラーとを組み合わせることによって得られる楕円率が、19.7GHzと20.2GHzの間にあるKa帯域において0.1dB未満であることを示す。楕円率は1.5GHzの帯域幅に対して0.4dB未満であり、それによって周波数帯域にかかわらず、この構造がユーザーの任務及びまた他の用途にも用いられることを可能にする。
【0033】
この新規の構造は非常に小型であるという利点を示し、RFチェーン及び送信及び受信の円錐から成る、このように作られた光源のプロポーションは直径60mmで高さが100mmである。比較のために、先行技術による等価な光源の集合は高さが150mmで直径が72mmのプロポーションを示す。製造コストはハードウェア構成要素の数に対して最適である。実際、機械部品数の減少は準備時間の節約を可能にする。RFチェーンから円錐を差し引いた質量は60%だけ低減される。構造は単純化され、OMT、分岐したカプラー、及び再結合回路が同一のレベル上にあるため、電気層の数は3つの代わりに1つのみにまで減らされる。導波管の通路長さは50%低減され、従って抵抗損が0.25dBである4つに分岐したOMTを伴う先行技術に対して、抵抗損において0.1dBの低減を可能にする。
【0034】
本発明は特定の実施形態に関して記述されているが、決してそれには制限されず、記述されている手段の技術的に等価な全てのもの、ならびにそれが本発明の範囲に入るならば、それらの組合せも含むことは明らかである。
【符号の説明】
【0035】
1 レベル
2 レベル
5 オルソモード変換器
10 主要導波管
11 連結スロット
12 連結スロット
13 連結スロット
14 連結スロット
15 スタブフィルター
16 スタブフィルター
17 スタブフィルター
18 スタブフィルター
19 分岐したカプラー
20 位相再結合回路
21 オルソモード変換器
22 主要導波管
23 第1端
24 第2端
25 連結スロット
26 連結スロット
27 スタブフィルター
28 スタブフィルター
29 再結合回路
30 再結合回路
31 共通ポート
32 ポート
33 ポート
35 導波管
36 導波管
37 供給入口
38 供給入口
39 横断する導波管
40 分岐したカプラー