特許第5678320号(P5678320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678320
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-92215(P2013-92215)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-212920(P2014-212920A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2013年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(72)【発明者】
【氏名】宮永 真
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−272254(JP,A)
【文献】 特開2010−68862(JP,A)
【文献】 特開2011−224096(JP,A)
【文献】 特開2011−147653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドの磁力により前記ソレノイド側に引き寄せられる一方、弾性部材の弾発力により前記ソレノイドから遠ざけられるプランジャに取り付けられて、始端位置と終端位置との間を移動する往復可動部品を含んだ可動装飾役物を有する遊技機において、
前記往復可動部品が前記始端位置に停止した状態で前記ソレノイドに通電して前記往復可動部品を前記終端位置まで移動した場合には、その通電を停止したときに前記弾性部材の弾発力にて前記終端位置側に移動する前記往復可動部品を、前記終端位置寄りの中間位置である終端寄中間位置に保持する一方、前記往復可動部品が前記終端寄中間位置に保持している状態で前記ソレノイドに通電して前記往復可動部品を前記終端位置まで移動した場合には、その通電を停止したときに前記往復可動部品が前記弾性部材の弾発力にて前記終端位置まで移動することを許容するオルタネイト機構を備え
前記往復可動部品として、前記始端位置と前記終端位置との間で直動しかつ演出用に装飾された直動部品と、前記直動部品の直動方向と直交する回転軸を中心にして前記始端位置と前記終端位置との間で回動しかつ演出用に装飾された回動部品とを有すると共に、前記直動部品と前記回動部品とを前記始端位置と前記終端位置との間で連動するように連結した連結機構を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記オルタネイト機構は、
前記プランジャの先端部に固定された直動リングと、
前記プランジャに直動可能に挿通されて、前記直動部品と共に直動しかつ前記弾性部材によって前記直動リング側に付勢された連結リングと、
前記プランジャのうち前記連結リングと前記直動リングとの間に直動可能かつ回転可能に挿通され、前記連結リングを介して前記弾性部材により前記直動リング側に付勢された回転リングと、
前記直動リング及び前記回転リングを直動可能に収容した固定スリーブと、
前記固定スリーブの内周面の周方向を均等分する位置に突出形成された複数のストッパ壁と、
複数の隣合った前記ストッパ壁同士の間に設けられて前記固定スリーブに軸方向に延びた複数の直動ガイド溝と、
前記回転リングに形成され、前記回転リングが第1回転位置に位置している状態で前記直動ガイド溝に進入して前記直動リングに突き当たることで前記直動部品を前記始端位置に位置決めし、前記回転リングが第2回転位置に位置している状態で前記ストッパ壁に突き当たることで前記直動部品を前記終端寄中間位置に位置決めするストッパ翼片と、
前記直動リングと前記ストッパ壁とに形成されて、前記プランジャが前記ソレノイド側に移動する度に前記ストッパ翼片と協働して前記回転リングの位置を前記第1回転位置と前記第2回転位置とに交互に切り替えるガイド部とを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記直動部品は、遊技機の前後方向において、前記始端位置としての後端位置と前記終端位置としての前端位置との間で直動し、
前記回動部品は、前記直動部品の前方を覆った前記始端位置としての閉位置と、前記直動部品の前方から退避した前記終端位置としての開位置との間で回動することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記回動部品は、遊技球が流下する遊技領域に配置されると共に、上下に対をなして設けられて、それら1対の回動部品がキャラクターの頭部おける上顎及び下顎を模した形状をなし、
前記直動部品は、遊技球を模した球面を有しかつその球面が透光性を有する金属調装飾膜で覆われた装飾用透光部材を前端部に備え、
前記装飾用透光部材の後方から前記装飾用透光部材に光を照射する発光源を備えたことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドを駆動源とする往復可動部品を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の遊技機としては、操作ボタンを覆うボタンカバーを往復可動部品として備え、操作ボタンの操作が必要になった場合に、ソレノイドに通電してボタンカバーを開放するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−550号公報(段落[0035]、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の遊技機では、ボタンカバーを開放状態に維持する場合、ソレノイドに通電し続ける必要があり、電力消費量が大きいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、往復可動部品の駆動源であるソレノイドの電力消費量を従来よりも抑えることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る遊技機は、ソレノイドの磁力によりソレノイド側に引き寄せられる一方、弾性部材の弾発力によりソレノイドから遠ざけられるプランジャに取り付けられて、始端位置と終端位置との間を移動する往復可動部品を含んだ可動装飾役物を有する遊技機において、往復可動部品が始端位置に停止した状態でソレノイドに通電して往復可動部品を終端位置まで移動した場合には、その通電を停止したときに弾性部材の弾発力にて終端位置側に移動する往復可動部品を、終端位置寄りの中間位置である終端寄中間位置に保持する一方、往復可動部品が終端寄中間位置に保持している状態でソレノイドに通電して往復可動部品を終端位置まで移動した場合には、その通電を停止したときに往復可動部品が弾性部材の弾発力にて終端位置まで移動することを許容するオルタネイト機構を備え、往復可動部品として、始端位置と終端位置との間で直動しかつ演出用に装飾された直動部品と、直動部品の直動方向と直交する回転軸を中心にして始端位置と終端位置との間で回動しかつ演出用に装飾された回動部品とを有すると共に、直動部品と回動部品とを始端位置と終端位置との間で連動するように連結した連結機構を備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項の発明は、請求項に記載の遊技機において、オルタネイト機構は、プランジャの先端部に固定された直動リングと、プランジャに直動可能に挿通されて、直動部品と共に直動しかつ弾性部材によって直動リング側に付勢された連結リングと、プランジャのうち連結リングと直動リングとの間に直動可能かつ回転可能に挿通され、連結リングを介して弾性部材により直動リング側に付勢された回転リングと、直動リング及び回転リングを直動可能に収容した固定スリーブと、固定スリーブの内周面の周方向を均等分する位置に突出形成された複数のストッパ壁と、複数の隣合ったストッパ壁同士の間に設けられて固定スリーブに軸方向に延びた複数の直動ガイド溝と、回転リングに形成され、回転リングが第1回転位置に位置している状態で直動ガイド溝に進入して直動リングに突き当たることで直動部品を始端位置に位置決めし、回転リングが第2回転位置に位置している状態でストッパ壁に突き当たることで直動部品を終端寄中間位置に位置決めするストッパ翼片と、直動リングとストッパ壁とに形成されて、プランジャがソレノイド側に移動する度にストッパ翼片と協働して回転リングの位置を第1回転位置と第2回転位置とに交互に切り替えるガイド部とを備えてなるところに特徴を有する。
【0009】
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、直動部品は、遊技機の前後方向において、始端位置としての後端位置と終端位置としての前端位置との間で直動し、回動部品は、直動部品の前方を覆った始端位置としての閉位置と、直動部品の前方から退避した前記終端位置としての開位置との間で回動するところに特徴を有する。
【0010】
請求項の発明は、請求項に記載の遊技機において、回動部品は、遊技球が流下する遊技領域に配置されると共に、上下に対をなして設けられ、それら1対の回動部品がキャラクターの頭部おける上顎及び下顎を模した形状をなし、直動部品は、遊技球を模した球面を有しかつその球面が透光性を有する金属調装飾膜で覆われた装飾用透光部材を前端部に備え、装飾用透光部材の後方から装飾用透光部材に光を照射する発光源を備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
[請求項1の発明]
請求項1の遊技機によれば、オルタネイト機構を備えたので、ソレノイドの通電を停止した状態でも、往復可動部品をその可動範囲における終端位置寄りの終端寄中間位置に停止させることができ、電力消費量を従来よりも抑えることが可能になる。また、本発明によれば、直動部品を直動させながら回動部品を回動させることができ、しかも、ソレノイドの通電を停止した状態で、直動部品をその直動範囲の一端寄り位置に停止させると共に、回動部品をその回動範囲の一端寄り位置に停止させることができるから、可動装飾役物による演出効果を高めることが可能になる。
【0012】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、往復可動部品としての直動部品と、ソレノイドと、オルタネイト機構とが、遊技機の前後方向に並んで配置されているから、遊技機の前後方向と直交する方向において、可動装飾役物をコンパクトにすることが可能になる。
【0014】
[請求項の発明]
請求項の発明によれば、回動部品を閉位置から開位置へと回動させると共に、その回動部品の後側から直動部品を遊技者側に向けて前進させるという演出動作を行うことができ、演出効果をさらに向上させることが可能になる。また、ソレノイドの通電を停止した状態で、直動部品をその前端寄り位置に停止させると共に、回動部品を開位置寄り位置に停止させて、直動部品が見える状態を維持することができるから、電力消費量を抑えながら、直動部品を見易くすることが可能になる。
【0015】
[請求項の発明]
請求項の発明によれば、上下1対の回動部品は、キャラクターの頭部おける上顎及び下顎を模した形状となっており、直動部品の前端部には、遊技球を模した装飾用透光部材を備えているから、あたかも、キャラクターの口の中から迫り出した球技球を上顎と下顎との間で銜えているかのような状態で回動部品及び直動部品を停止させることが可能になる。また、装飾用透光部材の後方に配置された発光源の光が、装飾用透光部材に照らされるから、あたかもキャラクターが口で銜えた遊技球が光り輝いているかのように見え、演出効果を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図
図2】遊技板の正面図
図3】可動装飾役物の正面図
図4】可動装飾役物の開閉カバーが(A)閉位置のときの正面図、(B)開位置のときの正面図、(C)開位置寄り位置のときの正面図
図5】可動装飾役物の開閉カバーが(A)閉位置のときの斜視図、(B)開位置のときの斜視図、(C)開位置寄り位置のときの斜視図
図6】可動装飾役物の開閉カバーが(A)閉位置のときの側面図、(B)開位置のときの側面図、(C)開位置寄り位置のときの側面図
図7】開閉カバーを取り除いた可動装飾役物の(A)閉位置のときの斜視図、(B)開位置のときの斜視図、(C)開位置寄り位置のときの斜視図
図8】開閉カバーを取り除いた可動装飾役物の(A)閉位置のときの側面図、(B)開位置のときの側面図、(C)ラッチ位置のときの側面図
図9】開閉カバーが閉位置のときのオルタネイト機構の展開図
図10】開閉カバーが開位置のときのオルタネイト機構の展開図
図11】開閉カバーが開位置寄り位置のときのオルタネイト機構の展開図
図12】ラッチ状態からソレノイドを通電したときのオルタネイト機構の展開図
図13】ラッチ解除状態に復帰したオルタネイト機構の展開図
図14】第2実施形態に係る可動装飾役物の側面図
図15】オルタネイト機構の展開図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10の第1実施形態を、図1図13に基づいて説明する。図1に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技球が流下可能な略円形の遊技領域R1を備え、その遊技領域R1をパチンコ遊技機10の前面から視認可能となっている。遊技領域R1には、液晶表示装置15が配置されており、液晶表示装置15の周囲には、入賞ゲート16、風車17及び複数の入賞部18,20,22,23が配置されている。
【0018】
遊技領域R1の下方には、遊技球を貯留可能な上皿12及び下皿13が上下二段にして設けられている。下皿13の右側方には、発射操作ノブ14が備えられ、この発射操作ノブ14を回動操作することで、図示しない発射装置から遊技領域R1に向かって遊技球が発射される。遊技領域R1を流下する遊技球が、遊技領域R1に配置された各種入賞部18,20,22,23に入球すると、賞球として所定数の遊技球が上皿12に払い出される。また、入賞部18,23への入球を契機として、液晶表示装置15では表示演出が行われる。
【0019】
図2には、遊技領域R1を前面に備えた遊技板11が示されている。液晶表示装置15は、遊技領域R1の向かって右上側に偏って配置されている。液晶表示装置15は、表示装飾枠15Wの奥側に液晶画面15Gを備えている。表示装飾枠15Wの上辺及び左右両側辺は、遊技板11の前面から突出しているのに対し、表示装飾枠15Wの下辺は遊技板11の前面より奥まっており、その上面は、遊技球が転動可能なステージ15Sとなっている。ステージ15Sは、左右両端部から中央部に向かって下り傾斜しており、表示装飾枠15Wの左側辺には、表示装飾枠15Wの側方を流下する遊技球を、ステージ15Sへと誘導するための誘導通路15Tが設けられている。誘導通路15Tから放出された遊技球は、ステージ15S上を左右に往復動した後、ステージ15Sの中央部から流下する。
【0020】
液晶表示装置15の右側方には入賞ゲート16が設けられている。入賞ゲート16は上下方向に貫通した門形構造をなし、遊技球が1つずつ通過可能となっている。
【0021】
液晶表示装置15におけるステージ15Sの中央部下方には、第1始動入賞部18が配置されている。第1始動入賞部18は上面が開放したポケット構造をなしている。
【0022】
第1始動入賞部18の右側方には、大入賞部20が設けられている。大入賞部20は、遊技板11の前面に開放した横長矩形の大入賞口20Aを有し、常には、その大入賞口20Aが横長の開閉扉21にて閉鎖されている。開閉扉21は、所定の条件が成立した場合(例えば、第1始動入賞部18又は後述する第2始動入賞部23への入賞時に行われた大当たり抽選で当選した場合)に前側に倒れて大入賞口20Aを開放し、その倒れた開閉扉21を案内にして、大入賞口20Aに遊技球が進入可能となっている。
【0023】
大入賞部20のさらに右側には、普通入賞部22が1つ設けられている。また、第1始動入賞部18を挟んで大入賞部20とは反対側には、複数(3つ)の普通入賞部22,22が並んで配置されている。これら普通入賞部22は、第1始動入賞部18と同様に上面が開放したポケット構造をなしている。
【0024】
第1始動入賞部18の下方には、第2始動入賞部23が設けられている。図3に示すように、第2始動入賞部23は、遊技板11の前面に開放した始動入賞口23Aを備え、常には、その始動入賞口23Aが矩形の開閉扉24にて閉鎖されている。開閉扉24は、所定の条件が成立した場合(例えば、入賞ゲート16への入賞時に行われた小当たり抽選で当選した場合)に前側に倒れて始動入賞口23Aが開放し、その倒れた開閉扉24を案内にして始動入賞口23Aに遊技球が進入可能となっている。
【0025】
図3に示すように、第2始動入賞部23の下方と左右両側には、それぞれ独立した3つのアウト口19が設けられている。上述した何れの入賞部18,20,22,23にも入らずに遊技領域R1の下端部まで達した遊技球は、これらアウト口19によって回収される。中央のアウト口19と左右のアウト口19,19は、それぞれ壁部19H,19Hによって区画されており、それら壁部19H,19Hの間には、第2始動入賞部23と中央のアウト口19とを連絡した縦孔19Aが形成されている。縦孔19Aの上端部には、開閉扉24の下端部が回動可能に軸支されている。縦孔19Aは、遊技球が通過可能な大きさとなっており、その上面開口が、前側に倒れた開閉扉24によって閉鎖可能となっている。
【0026】
さて、図3に示すように、第1始動入賞部18の真下かつ第2始動入賞部23の真上には、可動装飾役物30が設けられている。可動装飾役物30は、第1始動入賞部18及び第2始動入賞部23と共通の固定ベース25に組み付けられており、その固定ベース25を介して遊技板11に取り付けられている。
【0027】
可動装飾役物30は、パチンコ遊技機10の前後方向に直動可能な装飾用透光部材32(図7参照)と、その前方に配置された開閉カバー35,36(図5参照。本発明の「回動部品」及び「往復可動部品」に相当する)と、それら装飾用透光部材32の直動と開閉カバー35,36の開閉とを連動可能に連結した連結機構を備えている。
【0028】
図7(B)に示すように、装飾用透光部材32は、遊技球を模した球面を有しかつその球面が透光性を有する金属調装飾膜で覆われている。また、装飾用透光部材32の真後ろには、装飾用透光部材32に光を照射するLED33Aが固定配置されている。装飾用透光部材32のうち、LED33Aとの対向面は、球状に湾曲した凹面となっている。また、LED33Aは、固定ベース25に固定された回路基板34に実装されている。
【0029】
開閉カバー35,36は上下に対をなして設けられており、それら1対の開閉カバー35,36が互いに平行かつ水平な回転軸回りで回動可能となっている。1対の開閉カバー35,36は、図4(A),図5(A)及び図6(A)に示す閉位置において、装飾用透光部材32を前方から覆っており、その閉位置から互いに離れるように上下に回動する。そして、1対の開閉カバー35,36の開放動作に伴って、それら1対の開閉カバー35,36の間から装飾用透光部材32が徐々に現れると共に、装飾用透光部材32がパチンコ遊技機10の前方(遊技者側)に直動するようになっている。以下、パチンコ遊技機10の前方への直動を「前進」といい、パチンコ遊技機10の後方への直動を「後退」という。
【0030】
図4に示すように、1対の開閉カバー35,36は、パチンコ遊技機10の演出内容に対応した所定の立体形状となっている。本実施形態では、例えば、液晶画面15Gに登場するキャラクターの頭部を模した立体形状となっている。また、これら開閉カバー35,36は、「キャラクターの頭部」のうち「両眼」に相当する部分を除いた全体が、光を透過しない被膜(例えば、金属調被膜)で覆われており、「両眼」に相当する部分が、光を透過する透光窓35Aとなっている。また、回路基板34にはLED33Aとは別のLED33B(図7(B)及び同図(C)参照)が実装されており、そのLED33Bの光を、透光窓35A、即ち、キャラクターの両眼に相当する部分から外部に漏らすことができる。なお、本実施形態の透光窓35Aは透明又は半透明な透光部材で塞がれているが、透光窓35Aは、開閉カバー35を貫通した孔でもよい。
【0031】
1対の開閉カバー35,36のうち、上側の開閉カバー35は、キャラクターの頭部における上顎より上側の部分を模した立体形状となっており、下側の開閉カバー36は、キャラクターの顔面における下顎より下側の部分を模した立体形状になっている。以下、1対の開閉カバー35,36を区別する場合には、上側の開閉カバー35を「第1開閉カバー35」といい、下側の開閉カバーを「第2開閉カバー36」という。
【0032】
図8に示すように、可動装飾役物30は、固定ベース25に対してパチンコ遊技機10の前後方向に直動可能なプランジャ41と、プランジャ41をパチンコ遊技機10の後方に付勢する圧縮コイルバネ42(本発明の「弾性部材」に相当する)と、圧縮コイルバネ42に抗してプランジャ41を吸引する(前進させる)ソレノイド40とを備えている。ソレノイド40は、上述した装飾用透光部材32及び1対の開閉カバー35,36の後方に配置されて、固定ベース25に固定されている。
【0033】
また、可動装飾役物30は、プランジャ41の直動によって装飾用透光部材32を前後方向に直動させるための力伝達バー44を備えている。力伝達バー44は、ソレノイド40の下方で前後方向に延びており、その前端部には装飾用透光部材32が一体に設けられている。一方、力伝達バー44の後端部には、連結リング45が一体に設けられており、その連結リング45を、プランジャ41が直動可能かつ抜け止め状態で貫通している。連結リング45は、プランジャ41と直交した平板状をなしており、その連結リング45とソレノイド40の後端面との間に、圧縮コイルバネ42が突っ張り状態で配置されている。なお、装飾用透光部材32及び連結リング45を含む力伝達バー44の全体が本発明の「直動部品」及び「往復可動部品」に相当する。
【0034】
連結機構は、力伝達バー44の直動を1対の開閉カバー35,36の回動に変換することが可能となっており、装飾用透光部材32の前後方向への直動と、1対の開閉カバー35,36の開閉とを、共通のソレノイド40を駆動源にして行うことが可能となっている。具体的には、図8に示すように、力伝達バー44の前端寄り位置には、連結突壁46が一体に設けられている。連結突壁46は力伝達バー44の上面から直角に起立しており、その先端部が前後方向で二股に分かれた先割れ形状をなしている。そして、連結突壁46の先端部には、後述する第1カバー固定部材50が連結されている。
【0035】
図8に示すように、固定ベース25には、ソレノイド40の前方に突出した上下1対のヒンジ部26,27が備えられている。これら1対のヒンジ部26,27のうち、下側に配置された第2ヒンジ部27は、水平方向で対向した1対のヒンジ片27A,27A(図面には片方のヒンジ片27Aのみが示されている)によって構成され、それら1対のヒンジ片27A,27Aの間に第2カバー固定部材60が回動可能に支持されている。第2カバー固定部材60は、その回転軸を中心にして相反する方向、即ち、上方及び下方に張り出したシーソー状をなしている。第2カバー固定部材60のうち、1対のヒンジ片27A,27Aと対向した両側面には軸部61,61が突出形成されており、それら軸部61,61が1対のヒンジ片27A,27Aに形成された軸受孔に回転可能に支持されている。また、第2カバー固定部材60のうち、その回転軸より下側部分には、横長矩形の挿通孔60Aが貫通形成されており、その挿通孔60Aに力伝達バー44の先端寄り部分(詳細には、装飾用透光部材32と連結突壁46との中間部分)が遊嵌状態で挿通されている(図7参照)。なお、第2カバー固定部材60のうち、挿通孔60Aよりも下側には、第2開閉カバー36を取り付ける(螺子止めする)ための取付用孔60Bが形成されている。
【0036】
第2カバー固定部材60の上端部は、その回転軸方向(パチンコ遊技機10の左右方向)で二股に分かれており、その先割れ凹部を挟んで配置された1対の二股片同士の間には、第2カバー固定部材60の回転軸と平行な第2連結バー62が架け渡されている(図8参照)。
【0037】
1対のヒンジ部26,27のうち、上側に配置された第1ヒンジ部26は、水平方向で対向した1対のヒンジ片26A,26Aの間にヒンジピン26Bを抜け止め状態で架け渡してなり、そのヒンジピン26Bに、第1カバー固定部材50が回転可能に支持されている。
【0038】
第1カバー固定部材50は、ヒンジピン26Bの外側に嵌合した回転筒部51を備え(図7(A)参照)、その回転筒部51の外側面から第2カバー固定部材60に向かって連結アーム52が突出している。連結アーム52の下端部は、前後に二股に分かれた先割れ構造になっており、その先割れ凹部に、第2カバー固定部材60の第2連結バー62が受容されている。これにより、第1カバー固定部材50と第2カバー固定部材60とが、互いに逆向きに回転するように連結されている。なお、第2カバー固定部材60の回転軸(軸部61,61)は、第1カバー固定部材50の回転軸(ヒンジピン26B)よりも、パチンコ遊技機10の前方に配置されている。
【0039】
第1カバー固定部材50は、連結アーム52の後方に1対の固定板53,53を備えている(図5図8には、一方の固定板53のみが示されている)。また、これら固定板53,53と連結アーム52との間は、中間板54によって連結されている。1対の固定板53,53は、第1カバー固定部材50の回転軸方向(パチンコ遊技機10の左右方向)に離して配置されている。また、これら1対の固定板53,53には、第1開閉カバー35を螺子止めするための螺子挿通孔53A,53Aが形成されている(図7参照)。さらに、1対の固定板53,53同士の間には、第1連結バー55が架け渡されており(図7(A)及び同図(B)参照)、この第1連結バー55が、力伝達バー44から起立した連結突壁46の先割れ凹部に受容されている。
【0040】
これにより、力伝達バー44がパチンコ遊技機10の前後方向に直動すると、装飾用透光部材32が前後方向に直動すると共に、第1カバー固定部材50と第2カバー固定部材60とが、それぞれの回転軸を中心にして互いに相反する方向に回動して、上下1対の開閉カバー35,36が開閉動作をする。即ち、1対の開閉カバー35,36が互いに接近したり離れたり(接離)する。ここで、第1開閉カバー35は、閉位置において第1カバー固定部材50の回転軸(ヒンジピン26B)より下側に配置されているので、図6(A)から同図(B)への変化に示すように、閉位置から開位置に向かって開放動作する過程で、パチンコ遊技機10の前方に迫り出す。一方、第2開閉カバー36は、閉位置において第2カバー固定部材60の回転軸(軸部61,61)より下側に配置されているので、図6(A)から同図(B)への変化に示すように、閉位置から開位置に向かって開放動作する過程で、パチンコ遊技機10の後方に引き下がる。
【0041】
可動装飾役物30の後端部には、ソレノイド40が通電される度に、力伝達バー44が後端位置まで後退することを禁止するラッチ状態と、力伝達バー44が後端位置まで後退することを許容するラッチ解除状態とに交互に切り替わるオルタネイト機構70が備えられている。以下、オルタネイト機構70について説明する。
【0042】
オルタネイト機構70は、プランジャ41と同軸上に配置されてプランジャ41と共に直動可能な直動リング71及び回転リング74(図7及び図8参照。本発明の「可動ローラ」に相当する)と、固定ベース25に固定されて直動リング71及び回転リング74を直動可能に受容した固定スリーブ77(図5及び図6参照)とを備えている。
【0043】
直動リング71は、プランジャ41の先端部に抜け止め状態で取り付けられている。図8に示すように、直動リング71のうち、回転リング74側の端面の外縁部には環状カム面71Aが形成されている。環状カム面71Aは、直動リング71の全周に亘って連続した鋸歯状をなしている。また、直動リング71には、その外周面から径方向に張り出した複数のガイド翼片72が一体形成されている。ガイド翼片72は、プランジャ41の軸方向(パチンコ遊技機10の前後方向)と平行な平板状をなしている。
【0044】
回転リング74は、直動リング71と、力伝達バー44の連結リング45との間に挟まれており、プランジャ41に対して直動可能かつ回転可能に支持されている。回転リング74には、その外周面から径方向に張り出した複数のストッパ翼片75が一体形成されている。ストッパ翼片75は、回転リング74の外周面を均等分(具体的には、6等分)した位置に配置されている。また、ストッパ翼片75は、プランジャ41の軸方向(パチンコ遊技機10の前後方向)と平行な平板状をなしており、回転リング74における直動リング71側の端面から直動リング71に向かって突出している。さらに、ストッパ翼片75の先端部には、回転リング74の周方向の一方に向かうに従って後方に迫り出した先端傾斜面75Aが形成されており、その先端傾斜面75Aと環状カム面71Aとが当接可能となっている。
【0045】
図6に示すように、固定スリーブ77の内周面には、複数の直動ガイド溝77Mが形成されている。直動ガイド溝77Mは、回転リング74に形成された複数のストッパ翼片75に対応して、固定スリーブ77の内周面を均等分(具体的には、6等分)した位置に形成されており、固定スリーブ77の軸方向の中間部より後側で軸方向に延びている。これら直動ガイド溝77Mには、ストッパ翼片75と直動リング71のガイド翼片72とがスライド可能(直動可能)に凹凸係合している。
【0046】
固定スリーブ77の内周面のうち、周方向で隣り合った直動ガイド溝77M同士の間にはそれぞれストッパ壁78が形成されている。これらストッパ壁78は、直動ガイド溝77Mによって固定スリーブ77の周方向で互いに隔てられている。換言すれば、固定スリーブ77の内周面には、その周方向で均等配置された複数のストッパ壁78が形成されており、周方向で隣り合ったストッパ壁78同士の間が、それぞれ直動ガイド溝77Mとなっている。
【0047】
ストッパ壁78の前端面には、互いに不連続な1対の摺接面78A,78Bが形成されている。これら摺接面78A,78Bは、周方向の一方(回転リング74の回転方向)に向かうに従って後退するように傾斜している。また、これら摺接面78A,78Bの間には、周方向の他方を向いた段差面78Cが設けられている。以下、これら摺接面78A,78Bのうち、段差面78Cよりも周方向の一方側に配置された方を「第2傾斜面78B」とし、他方を「第1摺接面78A」とすると、第1摺接面78Aの終端部と第2摺接面78Bの始端部とが段差面78Cによって連絡している。
【0048】
例えば、図8(A)に示すように、プランジャ41、回転リング74、直動リング71及び力伝達バー44が後退端に位置する状態で、ソレノイド40が通電(励磁)されてプランジャ41が前進すると、図8(A)から同図(B)への変化に示すように、直動リング71が回転リング74を後方から押して、それら回転リング74及び直動リング71が、直動ガイド溝77Mを案内にして固定スリーブ77内を前進する。図8(B)に示すように、プランジャ41等が前進端に到達する直前に、回転リング74に備えた複数のストッパ翼片75がそれぞれ直動ガイド溝77Mから離脱して、直動ガイド溝77Mとストッパ翼片75との係合による回転リング74の回転規制が解除される。また、更なる前進により、図9から図10への変化に示すように、ストッパ翼片75の先端傾斜面75Aが、環状カム面71Aと摺接して、回転リング74が周方向の一方に回動し、ストッパ翼片75の先端がストッパ壁78における第1摺接面78Aの始端部と対峙する。
【0049】
プランジャ41等が前進端に位置する状態で、ソレノイド40の通電が停止(消磁)すると、図8(B)から同図(C)への変化に示すように、圧縮コイルバネ42の付勢力によって回転リング74、直動リング71及び力伝達バー44がプランジャ41と共に後退する。このとき、図11に示すように、ストッパ翼片75の先端はストッパ壁78の第1摺接面78Aと摺接して、回転リング74が周方向の一方に回動する。そして、ストッパ翼片75がストッパ壁78の段差面78Cと当接することで、回転リング74の回転と後退とが禁止される。これにより、回転リング74及び力伝達バー44は、圧縮コイルバネ42に抗して前端寄り位置で停止する。即ち、ソレノイド40の通電が停止(消磁)した状態で、装飾用透光部材32をその直動範囲の前端寄り位置(本発明の「終端寄中間位置」に相当する)で停止させかつ、1対の開閉カバー35,36を、図4(C),図5(C)及び図6(C)に示すように、装飾用透光部材32を前方に露出させた開位置寄り位置(本発明の「終端寄中間位置」に相当する)に停止させることができる。
【0050】
次に、再びソレノイド40が通電(励磁)されてプランジャ41が前進すると、直動リング71が直動ガイド溝77Mを案内にして前進すると共に、その直動リング71に押された回転リング74が段差面78Cを案内にして前進する。そして、プランジャ41が前進端に到達する直前に、図12に示すように、回転リング74のストッパ翼片75が段差面78Cを乗り越えて、段差面78Cとストッパ翼片75との係合による回転リング74の回転規制が解除される。また、更なる前進により、ストッパ翼片75の先端傾斜面75Aが、環状カム面71Aと摺接することで回転リング74が周方向の一方に回動し、ストッパ翼片75の先端がストッパ壁78における第2傾斜面78Bの始端部と対峙する。
【0051】
プランジャ41等が前進端に位置する状態で、再びソレノイド40の通電が停止(消磁)すると、圧縮コイルバネ42の付勢力によって回転リング74及び直動リング71がプランジャ41と共に後退する。このとき、ストッパ翼片75の先端が、ストッパ壁78の第2傾斜面78Bと摺接して回転リング74が周方向の一方に回動し、図13に示すように、ストッパ翼片75が第2傾斜面78Bの終端部から直動ガイド溝77M内に進入する。これにより、回転リング74及び力伝達バー44が後端位置まで押し戻される。即ち、装飾用透光部材32がその直動範囲の後端位置まで戻されると共に、1対の開閉カバー35,36が、図4(A),図5(A)及び図6(A)に示すように、装飾用透光部材32を前方から覆った閉位置に戻される。
【0052】
本実施形態の構成は以上である。次に本実施形態の作用を説明する。遊技領域R1に打ち込まれた遊技球は、遊技領域R1に配置された図示しない障害釘、表示装飾枠15W、風車17等に接触して、ランダムな経路で流下する。入賞ゲート16を遊技球が通過すると小当たり抽選が行われる。小当たり抽選に当選すると、第2始動入賞部23に備えた開閉扉24が前側に倒れて始動入賞口23Aが開放し、開閉扉24を案内にして始動入賞口23Aに遊技球が入賞可能となる。また、第1始動入賞部18又は第2始動入賞部23に遊技球が入賞すると、大当たり抽選が行わる。大当たり抽選に当選すると、大入賞部20に備えた開閉扉21が前側に倒れて大入賞口20Aが開放し、開閉扉21を案内にして大入賞口20Aに遊技球が入賞可能となる。
【0053】
ところで、第1始動入賞部18に遊技球が入賞すると、その下方に配置された可動装飾役物30が作動する。即ち、可動装飾役物30は、常には、図4(A),図5(A)及び図6(A)に示すように、1対の開閉カバー35,36が閉じた状態で停止している。遊技者側から見ると、「キャラクターの口」が閉じた状態で停止している。
【0054】
第1始動入賞部18に遊技球が入賞(検出)したことを起因に、ソレノイド40によってプランジャ41が吸引され、力伝達バー44が前進する。すると、力伝達バー44の前端部に固定された装飾用透光部材32が前進すると共に、1対の開閉カバー35,36が、それぞれの回転軸を中心にして、互いに離れるように上下に回動する。これを遊技者側から見ると、図4及び図5に示すように、キャラクターの上顎と下顎が徐々に開いて、その中から装飾用透光部材32が出現すると共に、装飾用透光部材32が徐々に遊技者側に接近してくるように見える。また、装飾用透光部材32は、遊技球を模した球面を有し、その球面が金属調装飾膜で覆われているから、あたかも、「キャラクターの口」の中から遊技球が出てきたかのように見える。また、図6(A)から同図(B)への変化に示すように、第1開閉カバー35は開放動作によって徐々に前方に迫り出し、第2開閉カバー36は開放動作によって徐々に後方に引き下がるから、装飾用透光部材32が遊技者側に迫り来る印象が強調される。
【0055】
1対の開閉カバー35,36が開放して装飾用透光部材32が前方に露出すると、その装飾用透光部材32の後方に固定配置されたLED33Aが点灯して、装飾用透光部材32に後方から光が照射される。これにより、「キャラクターの口」の中から出てきた遊技球が、内部から光り輝いているかのように見える。また、LED33Aの光を受けた状態で、装飾用透光部材32が前進することで、LED33Aと装飾用透光部材32との距離が変化し、装飾用透光部材32の点光を抑制可能となり、装飾用透光部材32に形状によっては、光を拡散・収束可能となり、装飾用透光部材32を透過した光の見え方を変化させることができる。なお、LED33Aの点灯開始のタイミングは、1対の開閉カバー35,36の開放動作の開始に合わせてもよいし、図4(B),図5(B)及び図6(B)に示すように開位置(全開)になった後でもよい。
【0056】
図4(B),図5(B)及び図6(B)に示すように、1対の開閉カバー35,36が開位置(全開)になりかつ、装飾用透光部材32が前端位置に到達した後、ソレノイド40に対する通電が停止(消磁)すると、オルタネイト機構70が、図11に示すようにラッチ状態になるので、力伝達バー44は、圧縮コイルバネ42の付勢力に抗してその直動範囲の前端寄り位置に係止され、それ以上の後退が禁止される。これにより、装飾用透光部材32は前端寄り位置で停止し、1対の開閉カバー35,36は、装飾用透光部材32を露出させた開位置寄り位置(図4(C),図5(C),図6(C)に示す位置)で停止する。即ち、1対の開閉カバー35,36が、ほぼ全開状態に維持されるから、装飾用透光部材32を遊技者にとって見易くすることができる。また、この状態では、光り輝く遊技球をキャラクターが口で銜えているかのように見える。
【0057】
その後、再びソレノイド40の励磁と消磁が繰り返されると、図11図13への変化に示すように、オルタネイト機構70が、ラッチ状態からラッチ解除状態に切り替わるので、力伝達バー44が圧縮コイルバネ42の付勢力によって後端位置に押し戻される。このとき、装飾用透光部材32が1対の開閉カバー35,36の奥の後端位置に向かって後退すると共に、その装飾用透光部材32を徐々に覆い隠すように1対の開閉カバー35,36が回動して閉位置(図4(A),図5(A),図6(A)に示す位置)に戻される。
【0058】
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、装飾用透光部材32をその直動範囲の前端寄り位置に停止させると共に、1対の開閉カバー35,36を開位置寄り位置に停止させるオルタネイト機構70を備えたので、これらの各位置に停止させるためにソレノイド40を通電し続けて励磁状態を維持する必要が無くなり、電力消費量を抑えることができる。
【0059】
また、往復可動部品としての装飾用透光部材32及び1対の開閉カバー35,36と、ソレノイド40と、オルタネイト機構70とが、パチンコ遊技機10の前後方向に並んで配置されているから、パチンコ遊技機10の前後方向と直交する方向において、可動装飾役物30をコンパクトにすることができ、配置スペースを容易に確保することができる。
【0060】
また、1対の開閉カバー35,36が上下に開きながら、装飾用透光部材32がそれら開閉カバー35,36の奥から遊技者側に向かって前進してくるという演出動作により、趣向性を向上させることができる。
【0061】
また、可動装飾役物30を、第1始動入賞部18の近傍に配置し、その第1始動入賞部18への遊技球の入賞を起因にして、1対の開閉カバー35,36が開放すると共に、その開放動作に合わせて装飾用透光部材32が前進し、さらに、装飾用透光部材32が光るので、第1始動入賞部18と可動装飾役物30の注目度を相互に高め合うことができ、第1始動入賞部18に遊技球が進入したときの遊技の雰囲気を、より盛り上げることができる。
【0062】
なお、オルタネイト機構70の構成を纏めると以下のようになる。即ち、オルタネイト機構70は、プランジャ41に対して回転可能に軸支されかつ、プランジャ41と共にソレノイド40に対して進退可能な回転リング74と、回転リング74を直動可能に受容した固定スリーブ77と、回転リング74を周方向で均等分した位置から側方に張り出した複数のストッパ翼片75と、固定スリーブ77の内周面を周方向に均等分した位置で軸方向に延び、複数の各ストッパ翼片75を直動可能に受容した複数の直動ガイド溝77Mと、周方向で隣り合った直動ガイド溝77M同士の間に設けられて、回転リング74の直動方向で複数の各ストッパ翼片75と当接可能な複数のストッパ壁78と、ソレノイド40が励磁と消磁を繰り返すたびに、複数のストッパ翼片75が複数のストッパ壁78と当接した状態と、複数のストッパ翼片75が複数の直動ガイド溝に受容された状態とに交互に切り替わるように、固定スリーブ77内で回転リング74を周方向の一方に間欠的に回転させる間欠回転機構を備えている。
【0063】
また、間欠回転機構は、プランジャ41のうち回転リング74よりも先端側に設けられて、プランジャ41と共にソレノイド40に対して進退可能な直動リング71と、直動リング71のうち回転リング74側の端面に形成されて、複数のストッパ翼片75と軸方向で対峙した鋸歯状の環状カム面71Aと、ストッパ翼片75の先端部に設けられて、周方向の一方に向かうに従って直動リング71側に迫り出した先端傾斜面75Aと、ストッパ壁78に設けられて、周方向の一方に向かうに従って回転リング74から離れるように傾斜した1対の摺接面78A,78Bと、それら1対の摺接面78A,78Bの始端部と終端部とを連絡して周方向の他方側を向いた段差面78Cとを備えている。
【0064】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図14及び図15に基づいて説明する。本実施形態は、オルタネイト機構70の構成が上記第1実施形態とは異なり、その他の構造に関しては、第1実施形態と同様であるから、同一部位については同一符号を付すことで重複した説明は省略する。
【0065】
図15には、固定スリーブ77の展開図が示されている。同図に示すように、固定スリーブ77の内側には、上記第1実施形態と同様な構成の直動ガイド溝77Mとストッパ壁78とが、周方向に交互に設けられている。これら直動ガイド溝77M及びストッパ壁78は、固定スリーブ77のうちソレノイド40から離れた端部側に配設されている。また、固定スリーブ77の内側には、鋸歯状の環状カム面79が設けられている。環状カム面79は、固定スリーブ77におけるソレノイド40側の端部寄り位置に形成されており、固定スリーブ77の軸方向でストッパ壁78と対峙している。
【0066】
図14に示すように、プランジャ41の外側には回転リング80(本発明の「可動リング」に相当する)が嵌合している。回転リング80は、プランジャ41の先端部から側方に張り出した抜止フランジ部41Fによって抜け止めされており、プランジャ41に対して直動可能かつ回転可能となっている。回転リング80と圧縮コイルバネ42との間で、力伝達バー44の基端部に備えた連結リング45が挟持されている。回転リング80の外周面には、複数のストッパ翼片81が設けられている。これらストッパ翼片81は、回転リング80の外周面から側方に突出して軸方向に延びており、直動ガイド溝77Mとスライド可能に凹凸係合する。また、ストッパ翼片81の軸方向の両端部のうち、ストッパ壁78と対峙し得る先端部には、周方向の一方(図15における左側方)に向かうに従って後方(図15における下方)に迫り出した先端傾斜面81Aが形成されており、環状カム面79と対峙する基端部には、周方向の一方に向かうに従って前方(図15における上方)に迫り出した基端傾斜面81Bが設けられている。
【0067】
図15を参照しながらオルタネイト機構70の動作を説明する。なお、同図には、回転リング80に備えた一のストッパ翼片81の移動軌跡が一点鎖線で示されている。例えば、プランジャ41、回転リング80及び力伝達バー44が後端位置に位置する状態で、ソレノイド40が通電(励磁)されてプランジャ41が前進すると、抜止フランジ41Fが回転リング80及び力伝達バー44を前方に押して、回転リング80がストッパ翼片81と直動ガイド溝77Mとを案内にして固定スリーブ77内を前進(図15における上方に移動)する。プランジャ41等が前進端に到達する直前に、複数のストッパ翼片81がそれぞれ直動ガイド溝77Mから離脱して、直動ガイド溝77Mとストッパ翼片81との係合による回転リング80の回転規制が解除される。また、さらなる前進により、ストッパ翼片81の基端部が環状カム面79と摺接して、回転リング80が周方向の一方(図15における左側方)に回動してから停止する。
【0068】
プランジャ41等が前進端に位置する状態で、ソレノイド40の通電が停止(消磁)すると、圧縮コイルバネ42の付勢力によって回転リング80がプランジャ41と共に後退(図15における下方に移動)する。このとき、ストッパ翼片81の先端部がストッパ壁78の第1摺接面78Aと摺接して、回転リング80が周方向の一方に回動する。そして、ストッパ翼片81がストッパ壁78の段差面78Cと当接することで、回転リング80の回転と後退とが禁止される。これにより、回転リング80及び力伝達バー44は、圧縮コイルバネ42に抗して前端寄り位置で停止する。即ち、ソレノイド40の通電が停止(消磁)した状態で、装飾用透光部材32をその直動範囲の前端寄り位置に停止させかつ、1対の開閉カバー35,36を、図4(C),図5(C)及び図6(C)に示すように、装飾用透光部材32を前方に露出させた開位置寄り位置に停止させることができる。
【0069】
次に、再びソレノイド40が通電(励磁)されてプランジャ41が前進すると、抜止フランジ41Fに押された回転リング80が段差面78Cを案内にして前進する。プランジャ41が前進端に到達する直前に、回転リング80のストッパ翼片81が段差面78Cを乗り越えて、段差面78Cとストッパ翼片81との係合による回転リング80の回転規制が解除される。また、さらなる前進により、ストッパ翼片81の基端部が、環状カム面71Aと摺接することで回転リング80が周方向の一方に回動する。
【0070】
プランジャ41等が前進端に位置する状態で、再びソレノイド40の通電が停止(消磁)すると、圧縮コイルバネ42の付勢力によって回転リング80がプランジャ41と共に後退する。このとき、ストッパ翼片81の先端部が、ストッパ壁78の第2傾斜面78Bと摺接して回転リング80が周方向の一方に回動し、ストッパ翼片81が第2傾斜面78Bの終端部から直動ガイド溝77Mに進入する。これにより、回転リング80及び力伝達バー44が後端位置まで押し戻される。即ち、装飾用透光部材32がその直動範囲の後端位置まで戻されると共に、1対の開閉カバー35,36が、図4(A),図5(A)及び図6(A)に示すように、装飾用透光部材32を前方から覆った閉位置に戻される。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。
【0071】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0072】
(1)上記実施形態では、本発明に係る「往復可動部品」として、直動部品(装飾用透光部材32)と回動部品(1対の開閉カバー35,36)とを備えていたが、直動部品と回動部品の何れか一方だけを備えていてもよい。また、開閉カバー35,36が対をなしていたが、開閉カバーは1つでもよい。また、1対の開閉カバー35,36は、上下に回動して開閉するように構成されていたが、左右に回動して開閉するようにしてもよい。さらに、開閉カバーは、上下、左右、斜めにスライドして開閉するようにしてもよい。
【0073】
(2)上記実施形態では、装飾用透光部材32が開閉カバー35,36の開閉に伴って前後方向に直動し、その後方にLED33Aが固定配置されていたが、装飾用透光部材32とLED33Aとが共に前後方向に直動するようにしてもよい。また、装飾用透光部材32を無くして、本発明の「直動部品」として備えたLED33Aだけが直動するようにしてもよい。
【0074】
(3)上記実施形態では、装飾用透光部材32が遊技球を模した立体形状となっていたが、その他の形状でもよい。また、開閉カバー35,36がキャラクターの頭部(上顎、下顎)を模した立体形状となっていたが、その他の形状でもよい。
【0075】
(4)上記実施形態では、可動装飾役物30が第1始動入賞部18及び第2始動入賞部23の近傍に配置されていたが、その他の入賞部20,22や入賞ゲート16の近傍に配置してもよい。
【0076】
(5)上記実施形態では、第1始動入賞部18への遊技球の入賞を起因にして、開閉カバー35,36が開放するように構成されていたが、その他の入賞部20,22,23又は入賞ゲート16への入賞や、小当たり抽選や大当たり抽選での当選を起因にして開閉カバー35,36を開放させてもよい。また、液晶表示装置15における演出内容に合わせて開閉カバー35,36が開放するようにしてもよい。
【0077】
(6)上記実施形態では、開閉カバー35,36の開放動作と装飾用透光部材32の前進動作とが、同時に開始しかつ同時に停止するように構成されていたが、それらの動作の開始又は停止のタイミングがずれていてもよい。
【0078】
(7)オルタネイト機構は、上記第1又は第2実施形態の構成に限定するものではなく、その他の構成でもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 パチンコ遊技機
30 可動装飾役物
32 装飾用透光部材
35 第1開閉カバー(往復可動部品、回動部品)
36 第2開閉カバー(往復可動部品、回動部品)
40 ソレノイド
41 プランジャ
44 力伝達バー(往復可動部品、直動部品)
70 オルタネイト機
74 回転リング(可動ローラ)
77 固定スリーブ
80 回転リング(可動ローラ)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15