【発明の効果】
【0006】
特に明記しない限り、「取り扱う」または「取扱い」は内部セルの内部に置かれた放射性物質の取扱いおよび/または処理を意味し、「取扱手段」は、これに対応して、上記の取扱いを実施するための手段を意味する。同様に、「格納/取扱室」は、内部セルに形成されて、内部セルが外部ハウジングの内部に設置された状態にある時に、放射性物質の格納と当該放射性物質の上記取扱いとが実施される室のことを指す。
【0007】
「主に」とは、前記外部ハウジングおよび内部セルのうちの少なくとも一方の全ての主要な構成要素(壁など)が、放射能を通さない遮蔽材から成ることを意味する。外部ハウジングは主に放射能を通さない遮蔽材で成ることが好ましい。従って、外部ハウジングの主要な構成部(壁その他)は鉛製とするのがよい。
アセンブリには、複数の内部セルを、外部ハウジング内部から別々に取り外しできる形で含ませることもできる。通常、アセンブリは、当該アセンブリにおいて取扱われる放射性物質の各々に対して1つずつ内部セルを有している。
【0008】
外部ハウジングと内部セルとは相補的な形状を有し、通常、水平方向断面で見て、内部セルは外部ハウジング内に隙間なく収容し、設置することができる。
取扱手段は格納/取扱室の内部に操作手段を有する。以下、当該格納/取扱室は単に「取扱室」と呼ぶ場合もある。そうして、操作手段は、取扱室の内部で操作を実行するために配置されている。操作手段は、一対のトングまたはそれに類似のもので成る。取扱手段は、操作手段を内部セルの壁に接続する装着手段を有する。装着手段は、内部セルの壁に接続する一方で、操作手段の運動が可能になるように構成されている。よりいっそう具体的に言えば、装着手段は可撓性の装着手段(可撓性の覆い(boot)など)とすればよく、密封が実現される形で内部セルの壁に設置され、内部セルの格納清潔性を保つ。そうして、取扱室の内部での取扱手段の運動は、可撓性の装着手段の撓みまたは変形が可能な範囲によって制限される。
【0009】
取扱手段は各々、関連付けられた装着手段に取り外し可能な形で接続することができるので、1つの装着手段で様々な取扱手段を用いることができる。
また、内部セルに(それに伴って取扱室にも)収容スペースを設け、ここに、取り外し可能な形で装着手段に接続できる追加の取扱手段を収容することにしてもよい。
アセンブリは、取扱手段のための制御手段を有する場合もある。使用時には、当該制御手段を操作して、取扱室から離れた位置から取扱手段の操作を制御することができる。その「離れた位置」とは、内部セルが外部ハウジング内に設置された状態にある時の、「内部セルから離れた」位置のことである。取扱手段とこれに関連付けられた制御手段とはそれぞれ、内部セルの中、外部ハウジングの上に別々に設けられており、内部セルが外部ハウジング内に設置された状態にある時に、制御手段は、関連付けられた取扱手段に操作的に接続することができる。相補的な取扱手段および制御手段の組については、内部セルおよび外部ハウジングの壁のうち、操作的に隣接した壁に、そして対応する位置に設けるのが好ましい。操作的に隣接した壁とは、内部セルが外部ハウジング内に設置された際に隣接することになる壁のことである。
【0010】
各制御手段は制御棒から成るものとすればよく、当該制御棒の一方の端部は取扱手段に接続されているか、接続が可能であり、制御棒のもう一方の端部は外部ハウジングの外まで延びており、ユーザ用の制御インタフェース(ピストル形グリップなど)が設けられている。制御棒は回動設置手段によって、外部ハウジングの壁に回動可能な形で設置される。そのため、取扱手段に接続されている時には、当該取扱手段の回動運動の方向を決めることができる。理解されるであろうが、制御手段を外部ハウジングに接続する設置部(mountings)についても、放射線不透過材料で成るものとする。通常の場合の設置部は、100mm以上の鉛と同じ放射線遮蔽能力を有する鉛製球形ソケット(ball socket)とすればよい。取扱手段ごとに様々な長さの制御棒を用いることで、取扱室内での操作範囲が様々に異なる取扱手段を実現することができる。やはり、理解されるであろうが、制御棒の長さによっても、関連付けられた取扱手段の取扱室内部での移動可能範囲は制限される。すなわち、取扱手段の操作範囲は、関連付けられた接続部材の変形能力および関連付けられた制御棒の長さによって決定される。
【0011】
アセンブリは2つ以上の取扱手段を有する場合もある。その場合、それら取扱手段は、平面図で見た場合に互いから角度的に隔てられた(angularly spaced)状態になるよう、内部セルに設置される。通常、平面図で見た場合、それら取扱手段の方向は互いに直交する。より具体的には、アセンブリが2つ以上の取扱手段を有する場合、これら取扱手段は、内部セルの壁への各取扱手段の接続点を含んだ接平面間の垂直な交線に関して、角度的に隔てられた状態となる(前記角度的な隔たりは通常90度である)。好ましい構成としては、本アセンブリは、2つの取扱手段を、各々が内部セルの異なる壁に設けられた形で有し、これらの壁は、互いに隣接している場合には当該壁の垂直な交線に関して、互いに隣接していない場合には当該壁を延ばした面の垂直な交線に関して、互いから角度的に隔てられた位置にある(例えば、互いに直交する)。理解されるであろうが、壁における取扱手段の接続点についても、前記交線(実質的に、内部セルの壁への各取扱手段の接続点を含んだ接平面の交線でもある)に関して、実質的に互いに直交する形で隔てられている。
【0012】
また、理解すべきこととして、前述した実施の形態では、角度的に隔てられた取扱手段の各々に関連付けられた制御手段もやはり、関連付けられた取扱手段と同様に、互いに角度的に隔てられた配置となっており、外部ハウジングの壁において、前記角度的に隔てられた取扱手段の位置に対応する位置に、角度的に隔てられた形で配置されている。
アセンブリは外部ハウジングと内部セルとに視界手段を有し、これによって、内部セルが外部ハウジングの内部に設置された状態にある時、取扱室内に格納され取り扱われる放射性物質を目視点検することができる。視界手段は、内部セルおよび外部ハウジングの各々の壁に存在する1以上の窓の形で成り、内部セルが外部ハウジングの内部に設置された状態にある時、これら窓は、アセンブリの外部の位置から取扱室までの視界を提供する。
【0013】
窓の少なくとも1つは、放射線不透過材料で作るのがよい。そうした放射線遮蔽窓には、少なくとも75mmの鉛に匹敵する放射線遮蔽能力を持たせることとする。ただし、放射線遮蔽窓には、約100mmの鉛に匹敵する放射線遮蔽能力を持たせるのが好ましい。内部セルの窓は、通常はポリカーボネート製である。
すでに述べたように、アセンブリが、角度的に隔てられた複数の取扱手段と、それらに関連付けられた、角度的に隔てられた複数の制御手段とを有する場合、当該角度的に隔てられた複数の制御手段の間の位置で、窓または他の視界手段が外部ハウジングの壁に設けられる。そうして、当該窓は、内部セルが外部ハウジング内に設置された状態にある時、内部セルの窓を通って取扱室の内部に通じる視界を提供する。すでに述べたように、角度的に隔てられた複数の取扱手段が、角度的に隔てられた複数の壁に設けられる場合、これらの壁は、窓が設けられた接続壁によって接続される。当該接続壁は、前記の角度的に隔てられた複数の壁に対して傾斜している。理解されるであろうが、こうした実施の形態では、角度的に隔てられた壁は互いに隣接することはなく、従って、これら壁から延びた面の垂直な交線に関して角度的に隔てられた位置関係となる。
【0014】
そこで以下のことが考えられる。すなわち、アセンブリが角度的に隔てられた複数の取扱手段と、それに関連付けられた、角度的に隔てられた複数の制御手段とを有し、窓が角度的に隔てられた複数の制御手段の間の位置で外部ハウジングの壁に設けられている場合、本アセンブリのオペレータは、使用時、角度的に隔てられた複数の制御手段の間で、隣接するこれら制御手段の間の傾斜した壁に設けられた窓から、これら角度的に隔てられた制御手段を用いて、角度的に隔てられた取扱手段を操作する。
【0015】
1つの取扱手段または2つ以上の他の取扱手段と、それらに関連付けられた制御手段とは、内部セルおよび外部ハウジングにおいて異なる高さに配置することもできる。そうすると、取扱手段とこれに関連付けられた制御手段とは、垂直方向に互いから隔てられた状態となる。本発明の好適な実施の形態では、角度的に隔てられた取扱手段と、これらに関連付けられた、角度的に隔てられた制御手段とは、垂直方向に互いに隔てられた状態となっている。
【0016】
内部セルには、材料(特に非放射性の材料)を取扱室に出し入れするために、取扱室アクセス手段を設ける場合もある。
通常、取扱室アクセス手段は、2重ドアアセンブリ(すなわち内側/外側ドアアセンブリ)から成り、取扱室への材料の導入中または取り出し中に取扱室の清潔性が脅かされないようになっている。より具体的に言えば、内部セルには、1以上のDouble Porte de Transfert Etanche(「DPTE」)(登録商標)を設ければよい。通常、内部セルは、サイズの異なる2つのDPTEポートを備える。本発明の好適な実施の形態では、内部セルは、1個以上の105−DPTEポートと1個以上の270−DPTEポートとを備える。
【0017】
DPTEポートの内側ドアは、取扱手段で操作または駆動される。通常、DPTEポートは、内部セルの中の1以上の取扱手段の操作範囲内に配置される。よって、DPTEポートの内側ドアは、当該内側ドアを操作範囲内に含む取扱手段によって操作することができる。本発明の好適な実施の形態では、1以上のDPTEポートは、その向きが、1以上の取扱手段の向きと垂直な(すなわち直交する)位置関係となるよう設けられている。よって、1以上のDPTEポートが設けられるのは、内部セルの壁のうち、関連付けられた取扱手段が設けられている壁に向き合った壁となる。
【0018】
DPTEポートを備えた内部セルの使用時、当該DPTEポートのドアを開ける際には、放射性物質を取扱室の中に入れておき、ドアから放射線ビームが出て行かないようにするのが好ましい。言い換えると、使用時にDPTEドアを開ける場合は、通常その前に放射性物質を取扱室の内部に置いて、当該放射性物質がDPTEポートと一直線上に並ばないようにする。
【0019】
内部セルには、また、セルの底部から取扱室に材料(特に放射性物質)をロード(出し入れ)するための底部ロードポートと、取扱室の内部から底部ロードポートを閉じて密封する封鎖手段とが設けられている。本発明の技術分野において知られる通り、ロードポートは、取扱室にロードしようとする放射性物質を格納した容器またはポットが当該ロードポートに収容または連結される、という形に構成される。封鎖手段は蓋の形とすることができる。その場合、当該蓋は、取扱室の内部からのみ操作することができる。蓋は取扱手段で操作すればよい。
【0020】
外部ハウジングは、底部ロードポートアクセス手段を備える場合もある。底部ロードポートアクセス手段は、内部セルが外部ハウジングで設置された状態にある時、内部セルの底部ロードポートと共に、アセンブリの外から当該底部ロードポートへのアクセスを提供する。底部ロードポートアクセス手段は、外部ハウジングの底の開口部とすることができ、当該開口部の位置は、内部セルの底部ロードポートに操作的に対応した位置とする。また、当該底部ロードポートアクセス手段には、遮蔽スロット/ストッパ(以下、「鍵」と呼ぶ)の形で取り外し可能なカバーを設けてもよい。当該鍵は、外部ハウジングの外からの操作や取り外しが可能である。鍵は、内部セルが外部ハウジングの中に設置された状態にある時には、底部ロードポートの蓋に接続可能であり、接続された状態においては、底部ロードポートの蓋を閉状態でロックして開かないようにする。これにより、容器またはポットが底部ロードポートに収容または連結されていない時に、底部ロードポートの蓋が不注意で開けられてしまう事態を内部セルの内部から防ぐ。鍵は通常、差し込みピン装着部によってポートの蓋に嵌められるか、差し込まれる。鍵は、放射線を通さないか遮蔽する材料で作られており、当該材料は、例えば50mmの鉛に匹敵する放射線遮蔽能力を有するものとする。従って、当該鍵は、通常の閉状態では、底部ロードポートに対して必要な放射線遮蔽を実現する。
【0021】
更なる放射線遮蔽を実現するために、放射線遮蔽材(例えば鉛製リング)から成る部材を滑車に組み入れてもよい。当該リングは、蓋から鍵が外された時、底部ロードポートに対して更なる放射線遮蔽を実現する。
放射線源またはサンプル材料の入った容器を放射性物質取扱アセンブリの内部セルに安全に出し入れする目的で、容器ロード用アセンブリ(底部ロードポートアクセス手段から底部ロードポートに容器を連結するための容器移動手段を有するもの)を、外部ハウジングに設置してもよい。容器移動手段を操作させることで、当該容器移動手段に載せた容器またはポットを、放射性物質取扱アセンブリの外から、外部ハウジングの底部ロードポートアクセス手段を経て、内部セルの底部ロードポートに移動させることができる。通常、容器移動手段は、上に載せられた容器を支持すると共に、当該容器をロードポートアクセス手段と一直線上に並ぶ位置に移動させる、という構成になっている。容器移動手段は更に、ロードポートアクセス手段と一直線上に(すなわち垂直方向に)並ぶ位置に容器を移動させるように構成されている。理解されるであろうが、上述したように、容器は「ポット」と呼ぶ場合もあり、これは本発明の分野において一般的な呼び名である。
【0022】
容器移動手段は滑車を有し、これは外部ハウジングから吊り下げられた軌道に支持されている。通常、滑車には容器が載せられるが、これに加え、底部ロードポートアクセス手段の鍵が当該底部ロードポートアクセス手段から取り外される時には、当該鍵を載せるように構成されている。1つの実施の形態では、滑車の上には鍵容器が設けられている。鍵が底部ロードポートアクセス手段から取り外される際、取り外された鍵はこの鍵容器に収容される。そうして、使用時に、鍵を取り外す際、鍵容器は底部ロードポートおよびロードポートアクセス手段と一直線上に並ぶ位置に置かれ、それによって、取り外された鍵を収容することができる。また、滑車は、鍵が底部ロードポートアクセス手段から取り外されて鍵容器に格納(stow)された時点では、ロードポートと一直線上に並ぶ位置にしか容器を移動させることができないようにする構成となっている。通常、鍵が閉位置またはロック位置にある時、滑車と鍵の間の空間的関係は、鍵によって滑車の水平方向移動が防止される、というものになる(これは、例えば、鍵容器に形成されたリセスの中に鍵の一部が入り込む状態となることで実現される)。
【0023】
ロード用アセンブリは、閉状態にある底部ロードポートに向けて容器を持ち上げる持ち上げ手段を有する場合がある。持ち上げ手段をロード用アセンブリに備え付ける構成としてもよい。持ち上げ手段は、機械的レバーまたは滑車システム、あるいは、油圧ピストンなどの軸方向駆動(drive)手段とすることができる。ロード用アセンブリについては、さらに、底部ロードポートの非常に近い所定の高さ(ただし底部ロードポートにまだ連結はされない高さ)に位置づけられた時、その時にだけ容器の蓋を開けるように構成すれば、放射線被爆は防止され、取扱室の清潔性は持ち上げ操作および連結操作の間を通じて保たれる。
【0024】
容器は、水平方向に摺動するプレートによって開けられる。当該プレートは、持ち上げ方向を横切る形でロード用アセンブリに設置されており、その設置位置は上記の所定の高さである。摺動プレートは通常、容器の蓋よりも直径の大きい周縁クランプ手段および開口を有する。これらを用いて、使用時、摺動プレートは蓋をクランプするが、そこで容器をわずかに降ろすと、容器から蓋が取り外される。その後、開けられた容器は、底部ロードポートへの連結位置まで持ち上げられる。通常は、その後に底部ロードポートの蓋がセルの内部から開けられ、容器内部の放射線源またはサンプル材料はアクセス可能となる。
【0025】
また、ロード用アセンブリによって、直径の異なる容器を底部ロードポートに連結できるようにすることもできる。1つの実施の形態では、これは、固有の直径を有する容器ごとに、サイズ合わせ用外側スペーサリング/スリーブ(放射線不透過材料で製造されたものが好ましい)を持ち上げ手段に設置し、当該スペーサリング/スリーブに容器を収容する、というやり方で実現される。当該外側スペーサリング/スリーブは、外径が一定であって、底部ロードポート開口部だけでなく、持ち上げ手段のキャリッジにも合う形状に作られている。リング/スリーブは、容器を隙間なく囲む形で装着することができ、容器の蓋が取り外された時には、容器およびスペーサリングは、内部セルの底部ローダポートに、放射線漏れを生じない形で連結される。
【0026】
内部セルはさらに、取扱室に通じる1以上の通気入口と、取扱室から出る1以上の排気出口とを備える。通気入口および排気出口には、それぞれ、吸排気フィルタを設けてもよい。本発明の好適な実施の形態で、入口および出口は各々、2つのフィルタ要素から成るフィルタ構成部を備えており、これら要素の一方は内部セルの内側に置かれ、もう一方の要素は内部セルの外側(内部セルと外部ハウジングとの間の空間)に設けられる。こうした構成によれば、内部セルの交換だけでなく、フィルタの供給および交換も、取扱室の清潔性を損なうことなく実行することができる。フィルタ構成部の位置については、内側のフィルタ要素の各々が1以上の取扱手段と一直線上に並ぶように、または、当該取扱手段の操作範囲に入るように決めるのが好ましい。そうすれば、各フィルタ構成部のうち内側のフィルタ要素の供給および交換を、取扱室の内部から、取扱手段を用いて実行することができ、その際に取扱室の清潔性が損なわれることはない。
【0027】
内部セルの入口フィルタ構成部は、対応する供給用アクセス手段を、外部ハウジングの開口部の形で有し、当該開口部は、放射線を通さないプラグまたはストッパによって遮蔽されており、その結果、入口およびそれに関連するフィルタ構成部からの放射線の放射は防止される。ストッパは取り外し可能であるため、外側の入口フィルタ要素は前記アクセス手段から交換することができる。
【0028】
排気出口および出口フィルタ構成部もまた、外側の排気フィルタ要素の交換のために、供給用アクセス手段を有するが、これは、通常、鉛製のプラグまたはストッパにより、入口側のプラグまたはストッパの場合と類似の様態で遮蔽されており、これによって出口からの放射線の放射は防止される。排気出口のフィルタ構成部の外側フィルタ要素は、排出ラインによって換気システム(本発明の放射性物質取扱アセンブリが設置される研究室その他の現場が備えているもの)に接続することもできる。排気ラインは通常、供給用アクセス手段のプラグを通り、取扱室から排気出口までの間に放射線がプラグから漏れることはない。好適な実施の形態では、これは、特別に設計されたボイド(通常は迷路チャネルまたは迷宮チャンネルの形をしたもの)に沿ってプラグを通過するように排気ラインを導くことで実現される。よって、排気ラインを常に簡単に通すことができる一方で、プラグからの放射線漏出は防止される。
【0029】
使用時、排気出口から換気システムへの空気の流出によって、取扱室内には低圧が生じる。そうすると、外部ハウジング内の空気のうち内部セルの外にあって当該内部セルを囲んでいる空気の一部が、通気の形で内部セルに引き込まれる。その結果、外部ハウジングの外からも空気が引き込まれるため、外部ハウジングの外から内部セルの中に、汚染されていない空気の正味の(net)流入が生じる。
【0030】
既に述べたように、外部ハウジングの壁は放射線を通さない、または放射線を遮蔽する材料(鉛など)で作られている。外部ハウジングについては、鉛製の壁、床、屋根パネルから成り、これらパネルは連結された鉛製レンガまたは中実(solid)の鉛製平板で作られ、高い清潔性を有する支持フレームに支持されている、という構成にするのが好ましい。
【0031】
内部セルについては、ステンレス鋼で作られた壁を有するものとしてもよい。
外部ハウジングの放射線遮蔽能力は、その壁については、50mm以上の鉛に匹敵する。
ハウジングの隣接する壁同士が交わる部分には放射線放射の危険がある。当該部分のように放射線遮蔽の弱い箇所や開口部(本発明の技術分野で一般に「ビーム経路」と呼ばれるもの)については、放射線ビームが通過してしまうことがあるからである。よって、追加の放射線遮蔽を施すことも考えられる。
【0032】
また、外部ハウジングがキャリッジを備える構成とし、当該キャリッジに内部セルを載せて運び、外部ハウジングから出し入れする構成にしてもよい。その場合は、外部ハウジング内で、内部セルを安定化用の設置設備(mountings)に固定することにより、キャリッジ上で内部セルを安定させることができる。
外部ハウジングには更に、その内部へのアクセスを可能にするアクセス手段を設けてもよい。より具体的に言えば、内部セルを外部ハウジングに挿入する際に当該内部セルを通すための主要(またはメイン)ドアを、外部ハウジングに設ける。本発明の好適な実施の形態では、 外部ハウジングの当該ドアは、摺動の形で垂直方向に移動可能な落し戸であり、その操作はバランスウェイト(counterweight arrangement)によって制御すればよい。
【0033】
外部ハウジングにはまた、複数の補助的ドアを設けることもできる。これは、外部ハウジングの中に設置される内部セルが有するDPTEポートへのアクセスを提供するものである。従って、外部ハウジングにおける補助的ドアの設置位置は、外部ハウジング内に内部セルが設置された時に、当該内部セルの有するDPTEポートの位置に一致するように決めておくのが好ましい。本発明の好適な実施の形態では、少なくとも1つのDPTEポート(通常は270−DPTEポート)が、内部セルの壁のうち、外部ハウジングのメインドアに操作的に隣接する壁に設けられている。これにより、メインドアからDPTEポートへのアクセスが可能となる。
【0034】
外部ハウジングのドアの放射線遮蔽能力は、少なくとも50mmの鉛に匹敵するものとする。
内部セルには、取扱手段に加えて、電気、ガス、真空、水、圧縮空気などの付加的な供給物を取扱室に入れるための接続手段を設けることにしてもよい。こうした接続手段については、接続中であれ切り離し中であれ、付加的な供給物を取扱室に入れる作業のために取扱室の清潔性を損なうような事態を起こさないように構成するのが好ましい。上記のような供給のための接続手段は、1つの壁に設けるのが好ましく、その1つの壁とは、DPTEポートが設けられた壁とするのが好ましい。こうした接続手段を備えた実施の形態では、DPTEポートは270−DPTEポートとするのが好ましく、これを設ける内部セルの壁については、外部ハウジングのメインドアに操作的に隣接した壁とするのが好ましい。
【0035】
外部ハウジングについては、放射線検知/放射線監視装置を収容するための室を備えることとしてもよい。当該室は、50mmの鉛に匹敵する放射線遮蔽能力を有した放射線遮蔽材から成るものとする。また、内部セルについても、放射線検知/放射線監視装置を備える構成とすることができる。
外部ハウジングには、内部セル照明手段を設けてもよい。当該照明手段は、内部セルの窓から光を当該内部セルに提供するものである。当該照明手段は、照明ソケットに入った電気照明の形を取るものとし、1つずつ、ベース部に設置される。当該ベース部は、50mmの鉛に匹敵する放射線遮蔽能力を有する放射線遮蔽材で作られており、外部ハウジングの屋根を通して放射線を漏出させない様態で外部から装着される、プラグまたはスロットの形をしたものとする。
【0036】
本アセンブリには、1以上のアラームなどの形で警報手段を設けてもよい。当該1以上のアラームは、放射線検知および/または監視装置との組み合わせで動作し、アセンブリから許容できないレベルの放射線放射があった場合にそれを通知する、という構成にすればよい。また、換気システムとの組み合わせで動作する別のアラームによって、通気が行われない場合や通気空気流が不充分な場合にそれを通知するようにしてもよい。
【0037】
更に、本発明の第2の様態として、内部で放射性物質を取扱うことを目的とした、本発明の第1の様態による放射性物質取扱アセンブリの操作方法であって、放射性物質取扱アセンブリの外部ハウジングに内部セルを挿入する処理と、外部ハウジングの外部の位置から内部セルの格納取扱室の内部の放射性物質を取扱う処理と、外部ハウジングから内部セルを取り外す処理と、を有する操作方法を提供する。
【0038】
また、当該操作方法は、初期または第1の内部セルを外部ハウジングから取り外した後に第2の内部セルを外部ハウジングに挿入し、第2の内部セルの格納取扱室の内部の第2の異なる放射性物質を取扱う処理を有むこととしてもよく、その場合の第2の放射性物質は、初期または第1の放射性物質とは異なる(例えば、第1の放射性物質とは異なる放射線放射特性を有する放射背物質とする)。
【0039】
本方法は更に、第1および第2の放射性物質とは異なる第3およびそれ以降の放射性物質を、それぞれ第3およびそれ以降の内部セルに入れて供給する処理を含み、その場合、当該第3およびそれ以降の内部セルは、外部ハウジングに順番にロードまたは挿入される。
本発明の好ましい実施の形態では、本方法は、アセンブリにおいて同じ内部セルで類似の放射性物質を取り扱う処理と、アセンブリにおいて異なる放射性物質を各々別の内部セルにおいて取り扱う処理と、を含むこととしてもよい。
【0040】
本方法については、内部セルを外部ハウジングに挿入した後で、当該内部セルに関連する放射性物質をロードする処理を含むことにしてもよい。あるいは、内部セルを外部ハウジングに挿入する前に、当該内部セルに関連する放射性物質をロードする処理を含むことにしてもよい。
本方法については、内部セルを外部ハウジングから取り外す前に、当該内部セルから関連する放射性物質を取り除く処理を、更に含むことにしてもよい。あるいは、内部セルを外部ハウジングから取り外した後で、当該内部セルから関連する放射性物質を取り除く処理を、更に含むことにしてもよい。
【0041】
内部セルが外部ハウジングから取り外された後、放射性物質を当該内部セルに出し入れする処理は、当該材料が低強度放射線しか発しない「柔らかい(soft)」放射体であって、内部セルの遮蔽能力で充分に封じ込めができる場合に、特に効果的である。
本方法については、外部ハウジングから内部セルが取り外されてから、別の内部セルが挿入されるまでに、当該外部ハウジングの汚染除去を行う処理を更に含むこととしてもよい。
【0042】
本方法については、外部ハウジングから内部セルを取り外した後に、当該内部セルの汚染除去を行う処理を更に含むこととしてもよい。
本方法については、外部ハウジングから内部セルを取り外した前または後に、清潔性を維持する目的で、当該内部セルを密封する処理を更に含むこととしてもよい。