(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678354
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】レフラキシコン装置およびその組立方法
(51)【国際特許分類】
G02B 17/06 20060101AFI20150212BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20150212BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20150212BHJP
G02B 27/00 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
G02B17/06
G02B13/18
G02B17/08 A
G02B27/00
【請求項の数】37
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2012-513937(P2012-513937)
(86)(22)【出願日】2010年6月4日
(65)【公表番号】特表2012-529075(P2012-529075A)
(43)【公表日】2012年11月15日
(86)【国際出願番号】US2010001623
(87)【国際公開番号】WO2010141092
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2013年5月31日
(31)【優先権主張番号】12/455,807
(32)【優先日】2009年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511295324
【氏名又は名称】シーブイアイ メレス グリオト インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CVI MELLES GRIOT,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078709
【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹
(72)【発明者】
【氏名】フランク デューイット
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ナドルフ
【審査官】
原田 英信
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−157808(JP,A)
【文献】
特開2000−206411(JP,A)
【文献】
特開2010−266589(JP,A)
【文献】
実開平02−033020(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レフラキシコン装置において、
略円錐形の第1レフラキシコン中心反射面と、略円錐台形の第1レフラキシコン遠心反射面とを有する第1のレフラキシコンと、
前記第1レフラキシコンに対して間隔を空けて設けられ、略円錐形の第2レフラキシコン中心反射面と、略円錐台形の第2レフラキシコン遠心反射面とを有する第2のレフラキシコンとを備え、
光ビームが、前記第1レフラキシコン中心反射面の近傍におよび該第1レフラキシコン中心反射面に入射するように当該レフラキシコン装置に入射し、前記各反射面の反射によって当該レフラキシコン装置内を進行し、前記第2レフラキシコン中心反射面およびその近傍から出射するように当該レフラキシコン装置から出射するように、前記第1レフラキシコン中心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面との間、前記第1レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面との間、および前記第2レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン中心反射面との間の反射を介した光路を有し、
前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第1レフラキシコン遠心反射面は、当該中心反射面と当該遠心反射面との間の光反射が行われる光透過性固体の面であること、
前記第2レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン遠心反射面は、当該中心反射面と当該遠心反射面との間の光反射が行われる光透過性固体の面であること、
円錐形の前記中心反射面は頂点を有し、該円錐形の中心反射面の一つの頂点が、円錐形の前記中心反射面の他に向けられていること、
該円錐形の前記中心反射面は頂点を有し、前記中心反射面の双方の頂点が該円錐形の各中心反射面の他方に向けられていること、
同じ中心円錐が、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面となること、及び
前記各反射面の少なくとも1つが、光学的効果が得られるように曲面とされること
のうちの少なくとも1つが該当する、
レフラキシコン装置。
【請求項2】
光学的効果が得られるように曲面とされたいかなる前記反射面も、所定範囲において透過損失がなく実質的に遮光のない光学系が得られるように、分かれた光学軸が出射側で合流するように、形状および局所傾斜角が選択されることと、
光学的効果が得られるように曲面とされたいかなる前記反射面も、光学性能の理由により開口部の特定の割合が中心で遮光されるように形状および局所傾斜角が選択されることと、
光学的効果が得られるように曲面とされたいかなる前記反射面も、光学性能の理由により、または光学性能に関わらず、任意の中心遮光が許容されるように形状および局所傾斜角が選択されること、
前記第1レフラキシコン中心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面とを含むいかなる前記光透過性固体も、入射光が前記第1のレフラキシコンに入射する際に通過する前記第1レフラキシコン中心反射面の近傍の入力面を有し、前記第2レフラキシコン中心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面とを含むいかなる前記光透過性固体も、出射光が前記第2レフラキシコンから出射する際に通過する前記第2レフラキシコン中心反射面の近傍の出力面を有すること、および
前記入力面および前記出力面のいずれも、曲面により構成されていること
のうち少なくとも一つが該当する、
請求項1に記載のレフラキシコン装置。
【請求項3】
いかなる前記出力面も、該出力面において出射光の屈折を除去するように曲面である、請求項2に記載のレフラキシコン装置。
【請求項4】
前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第1レフラキシコン遠心反射面と、前記第2レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン遠心反射面との少なくとも一方が光学軸に関して軸対称に設けられている、請求項2に記載のレフラキシコン装置。
【請求項5】
前記レフラキシコンの両方が光透過性固体で構成され、該各固体は、光が通過する接合面において直接接触しており、該各接合面が前記各レフラキシコンを正しい間隔および軸に対する位置に維持するようにする嵌合面を含むことと、該各レフラキシコンを正しい間隔および軸に対する位置に維持するようにする内側形体を有する該各レフラキシコンのハウジングが設けられていることの少なくとも1つが該当する、請求項1に記載のレフラキシコン装置。
【請求項6】
前記光透過性固体の反射面の少なくとも一部分が空気間隔に隣接し、該反射面の該一部分において全反射となり、これにより、該光透過性固体と該空気間隔との間にインタフェースを形成し、該一部分の反射性の少なくとも一部を与えている、請求項1に記載のレフラキシコン装置。
【請求項7】
いかなる前記ハウジングも、遠心反射面の一部分に隣接する空気間隔を含み、該遠心反射面の該一部分において全反射となり、これにより、前記光透過性固体と該空気間隔との間のインタフェースを形成し、該一部分の反射性の少なくとも一部を与えている、請求項5に記載のレフラキシコン装置。
【請求項8】
前記各反射面の1つの少なくとも一部分は、入射光が全反射されない領域に反射コーティングを施されている、請求項6に記載のレフラキシコン装置。
【請求項9】
前記各レフラキシコンを正しい間隔および軸に対する位置に維持するようにする内側形体を有する該各レフラキシコンのハウジングをさらに備える、請求項1に記載のレフラキシコン装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記第1レフラキシコン遠心反射面を保持する第1の部分と、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面を保持する第2の部分と、前記第2レフラキシコン遠心反射面を保持する第3の部分とを有する、請求項9に記載のレフラキシコン装置。
【請求項11】
前記第1レフラキシコン遠心反射面が前記第1の部分の内面によって構成されていることと、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面が前記第2の部分の外面によって構成されていることと、前記第2レフラキシコン遠心反射面が前記第3の部分の内面によって構成されていることとのうちの少なくとも1つが該当する、請求項10に記載のレフラキシコン装置。
【請求項12】
当該レフラキシコン装置及びハウジングは、顕微鏡対物レンズとしての使用に適している、請求項7に記載のレフラキシコン装置。
【請求項13】
前記各レフラキシコンの両方が光透過性固体で構成され、前記入力面および前記出力面の両方が曲面であり、前記レフラキシコンが、リレー、顕微鏡対物レンズ、ビーム拡大器のうちの1つとして作用するように、該各曲面が入射光または出射光を屈折させるように構成されている、請求項2に記載のレフラキシコン装置。
【請求項14】
当該レフラキシコン装置及びハウジングは、顕微鏡対物レンズとしての使用に適している、請求項11に記載のレフラキシコン装置。
【請求項15】
前記第1のレフラキシコンおよび前記第2のレフラキシコンの一方が、光透過性固体であり、該第1のレフラキシコンおよび該第2のレフラキシコンの他方が、光透過性固体ではない、請求項14に記載のレフラキシコン装置。
【請求項16】
前記第1レフラキシコン中心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面との間の光反射が光透過性固体内で行われ、前記第1レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面との間の光反射が光透過性固体内で行われ、前記第2レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン中心反射面との間の光反射が少なくとも部分的に空気中で行われることと、
前記第2レフラキシコン中心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面との間の光反射が光透過性固体内で行われ、前記第2レフラキシコン遠心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面との間の光反射が光透過性固体内で行われ、前記第1レフラキシコン遠心反射面と前記第1レフラキシコン中心反射面との間の光反射が少なくとも部分的に空気中で行われることと
の少なくとも一方が該当する、請求項14に記載のレフラキシコン装置。
【請求項17】
当該レフラキシコン装置は、当該レフラキシコン装置に入射して周辺光線として出射する主光線と、当該レフラキシコン装置に入射して主光線として出射する周辺光線と、該主光線または該周辺光線の辺りに出射光が集光するように入射光を再配分することとのうちの少なくとも1つを生じさせるように構成されている、請求項1に記載のレフラキシコン装置。
【請求項18】
当該レフラキシコン装置は、リング状の焦点を形成するように構成されている、請求項17に記載のレフラキシコン装置。
【請求項19】
当該レフラキシコン装置に入射する主光線、当該レフラキシコン装置に入射する周辺光線、該主光線と該周辺光線の中間の光線のうちの少なくとも1つが、反射なしで、全ての反射面により反射されながら、全てではないが反射面より反射されながら、のうちの1つを経て当該レフラキシコン装置を通過する、請求項1に記載のレフラキシコン装置。
【請求項20】
第1レフラキシコン光学軸を対称的に定める略円錐形の第1レフラキシコン中心反射面と、該第1レフラキシコン光学軸を中心に対称に設けられた略円錐台形の第1レフラキシコン遠心反射面とを有する第1のレフラキシコンを準備することと、
第2レフラキシコン光学軸を対称的に定める略円錐形の第2レフラキシコン中心反射面と、該第2レフラキシコン光学軸を中心に対称に設けられた略円錐台形の第2レフラキシコン遠心反射面とを有する第2のレフラキシコンを準備することと、
光ビームが、前記第1レフラキシコン中心反射面の近傍におよび該第1レフラキシコン中心反射面に入射するように当該レフラキシコン装置に入射し、前記各反射面の反射によって当該レフラキシコン装置内を進行し、前記第2レフラキシコン中心反射面およびその近傍から出射するように当該レフラキシコン装置から出射することができるように、前記第1レフラキシコン中心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面との間、前記第1レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面との間、および前記第2レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン中心反射面との間の反射を介した光路を有するように、前記第1および第2のレフラキシコンを、前記光学軸を一致させるとともに間隔を空けて配置することと、
前記各反射面の少なくとも1つが、光学的効果が得られるようにさらに曲面となるようにすることとを含み、
前記各曲面は、所定範囲において透過損失がなく実質的に遮光のない光学系が得られるように、分かれた光学軸が出射側で合流するように形状および局所傾斜角が選択されることと、
前記各曲面は、光学性能の理由により開口部の特定の割合が中心で遮光されるように形状および局所傾斜角が選択されることと、
前記各曲面は、光学性能の理由により、または光学性能に関わらず、任意の中心遮光が許容されるように形状および局所傾斜角が選択されることと
のうちの少なくとも1つが該当し、
前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第1レフラキシコン遠心反射面は、当該中心反射面と当該遠心反射面との間の光反射が行われる光透過性固体の面であること、
前記第2レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン遠心反射面は、当該中心反射面と当該遠心反射面との間の光反射が行われる光透過性固体の面であること、
円錐形の前記中心反射面は頂点を有し、該円錐形の中心反射面の一つの頂点が、円錐形の前記中心反射面の他に向けられていること、
該円錐形の前記中心反射面は頂点を有し、前記中心反射面の双方の頂点が該円錐形の各中心反射面の他方に向けられていること、
同じ中心円錐が、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面となること、及び
前記各反射面の少なくとも1つが、光学的効果が得られるように曲面とされること
のうちの少なくとも1つが該当する、
レフラキシコン装置の構成方法。
【請求項21】
レフラキシコン装置において、
略円錐形の第1レフラキシコン中心反射面と、略円錐台形の第1レフラキシコン遠心反射面とを有する第1のレフラキシコンと、
前記第1レフラキシコンに対して間隔を空けて設けられ、略円錐形の第2レフラキシコン中心反射面と、略円錐台形の第2レフラキシコン遠心反射面とを有する第2のレフラキシコンとを備え、
光ビームが、前記第1レフラキシコン中心反射面の近傍におよび該第1レフラキシコン中心反射面に入射するように当該レフラキシコン装置に入射し、前記各反射面の反射によって当該レフラキシコン装置内を進行し、前記第2レフラキシコン中心反射面およびその近傍から出射するように当該レフラキシコン装置から出射するように、前記第1レフラキシコン中心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面との間、前記第1レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面との間、および前記第2レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン中心反射面との間の反射を介した光路を有し、
当該レフラキシコン装置は、ハウジング内に収容され、顕微鏡対物レンズとしての使用に適しており、
前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第1レフラキシコン遠心反射面は、当該中心反射面と当該遠心反射面との間の光反射が行われる光透過性固体の面であること、
前記第2レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン遠心反射面は、当該中心反射面と当該遠心反射面との間の光反射が行われる光透過性固体の面であること、
円錐形の前記中心反射面は頂点を有し、該円錐形の中心反射面の一つの頂点が、円錐形の前記中心反射面の他に向けられていること、
該円錐形の前記中心反射面は頂点を有し、前記中心反射面の双方の頂点が該円錐形の各中心反射面の他方に向けられていること、
同じ中心円錐が、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面となること、及び
前記各反射面の少なくとも1つが、光学的効果が得られるように曲面とされること
のうちの少なくとも1つが該当する、
レフラキシコン装置。
【請求項22】
前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第1レフラキシコン遠心反射面、前記第2レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン遠心反射面のうちの少なくとも1つが光透過性固体の面であり、該各中心反射面と該各遠心反射面との間の光反射が該固体内で行われ、
前記第1レフラキシコン中心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面とを含むいかなる前記光透過性固体も、入射光が前記第1のレフラキシコンに入射する際に通過する前記第1レフラキシコン中心反射面の近傍の入力面を有し、前記第2レフラキシコン中心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面とを含むいかなる前記光透過性固体も、出射光が前記第2レフラキシコンから出射する際に通過する前記第2レフラキシコン中心反射面の近傍の出力面を有し、
前記入力面および前記出力面のいずれも、平面および曲面の一方により構成された、請求項21に記載のレフラキシコン装置。
【請求項23】
いかなる前記出力面も、該出力面において出射光の屈折を除去するように曲面である、請求項22に記載のレフラキシコン装置。
【請求項24】
前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第1レフラキシコン遠心反射面と、前記第2レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン遠心反射面との少なくとも一方が光学軸に関して軸対称に設けられている、請求項22に記載のレフラキシコン装置。
【請求項25】
前記レフラキシコンの両方が光透過性固体で構成され、該各固体は、光が通過する接合面において直接接触しており、該各接合面が前記各レフラキシコンを正しい間隔および軸に対する位置に維持するようにする嵌合面を含むことと、該各レフラキシコンを正しい間隔および軸に対する位置に維持するようにする内側形体を有する該各レフラキシコンのハウジングが設けられていることの少なくとも1つが該当する、請求項21に記載のレフラキシコン装置。
【請求項26】
前記光透過性固体の反射面の少なくとも一部分が空気間隔に隣接し、該反射面の該一部分において全反射となり、これにより、該光透過性固体と該空気間隔との間にインタフェースを形成し、該一部分の反射性の少なくとも一部を与えている、請求項21に記載のレフラキシコン装置。
【請求項27】
いかなる前記ハウジングも、遠心反射面の一部分に隣接する空気間隔を含み、該遠心反射面の該一部分において全反射となり、これにより、前記光透過性固体と該空気間隔との間のインタフェースを形成し、該一部分の反射性の少なくとも一部を与えている、請求項25に記載のレフラキシコン装置。
【請求項28】
前記各反射面の1つの少なくとも一部分は、入射光が全反射されない領域に反射コーティングを施されている、請求項26に記載のレフラキシコン装置。
【請求項29】
前記各レフラキシコンの前記ハウジングは、前記各レフラキシコンを正しい間隔および軸に対する位置に維持するようにする内側形体を有する、請求項21に記載のレフラキシコン装置。
【請求項30】
前記ハウジングは、前記第1レフラキシコン遠心反射面を保持する第1の部分と、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面を保持する第2の部分と、前記第2レフラキシコン遠心反射面を保持する第3の部分とを有する、請求項29に記載のレフラキシコン装置。
【請求項31】
前記第1レフラキシコン遠心反射面が前記第1の部分の内面によって構成されていることと、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面が前記第2の部分の外面によって構成されていることと、前記第2レフラキシコン遠心反射面が前記第3の部分の内面によって構成されていることとのうちの少なくとも1つが該当する、請求項30に記載のレフラキシコン装置。
【請求項32】
前記円錐形の各中心反射面の1つの頂点が該円錐形の各中心反射面の他の1つに向けられていることと、該円錐形の各中心反射面の両方の頂点が該円錐形の各中心反射面の他方に向けられていることとのうちの少なくとも1つが該当する、請求項21に記載のレフラキシコン装置。
【請求項33】
前記各レフラキシコンの両方が光透過性固体で構成され、前記入力面および前記出力面の両方が曲面であり、前記レフラキシコンが顕微鏡対物レンズとして作用するように、該各曲面が入射光または出射光を屈折させるように構成されている、請求項22に記載のレフラキシコン装置。
【請求項34】
同じ中心円錐が、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面となる、請求項21に記載のレフラキシコン装置。
【請求項35】
前記第1のレフラキシコンおよび前記第2のレフラキシコンの一方が、光透過性固体であり、該第1のレフラキシコンおよび該第2のレフラキシコンの他方が、光透過性固体ではない、請求項34に記載のレフラキシコン装置。
【請求項36】
前記第1レフラキシコン中心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面との間の光反射が光透過性固体内で行われ、前記第1レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面との間の光反射が光透過性固体内で行われ、前記第2レフラキシコン遠心反射面と前記第2レフラキシコン中心反射面との間の光反射が少なくとも部分的に空気中で行われることと、
前記第2レフラキシコン中心反射面と前記第2レフラキシコン遠心反射面との間の光反射が光透過性固体内で行われ、前記第2レフラキシコン遠心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面との間の光反射が光透過性固体内で行われ、前記第1レフラキシコン遠心反射面と前記第1レフラキシコン中心反射面との間の光反射が少なくとも部分的に空気中で行われることと
の少なくとも一方が該当する、請求項34に記載のレフラキシコン装置。
【請求項37】
第1レフラキシコン光学軸を対称的に定める略円錐形の第1レフラキシコン中心反射面と、該第1レフラキシコン光学軸を中心に対称に設けられた略円錐台形の第1レフラキシコン遠心反射面とを有する第1のレフラキシコンを準備することと、
前記第1レフラキシコン中心反射面と前記第1レフラキシコン遠心反射面との間の反射を介した光路を有し、前記光路は前記各反射面の反射によって当該レフラキシコン装置内を進行し、当該レフラキシコン装置から出射するように、前記第1のレフラキシコンを、前記光学軸を一致させるとともに間隔を空けて配置することと、
前記各反射面の少なくとも1つが、光学的効果が得られるようにさらに曲面となるようにすることとを含み、
前記各曲面は、光学性能の理由により開口部の特定の割合が中心で遮光されるように、形状および局所傾斜角が選択されることと、
前記各曲面は、光学性能の理由により、または光学性能に関わらず、任意の中心遮光が許容されるように形状および局所傾斜角が選択されることと
のうちの少なくとも1つが該当し、
前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第1レフラキシコン遠心反射面は、当該中心反射面と当該遠心反射面との間の光反射が行われる光透過性固体の面であること、
前記第2レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン遠心反射面は、当該中心反射面と当該遠心反射面との間の光反射が行われる光透過性固体の面であること、
円錐形の前記中心反射面は頂点を有し、該円錐形の中心反射面の一つの頂点が、円錐形の前記中心反射面の他に向けられていること、
該円錐形の前記中心反射面は頂点を有し、前記中心反射面の双方の頂点が該円錐形の各中心反射面の他方に向けられていること、
同じ中心円錐が、前記第1レフラキシコン中心反射面および前記第2レフラキシコン中心反射面となること、及び
前記各反射面の少なくとも1つが、光学的効果が得られるように曲面とされること
のうちの少なくとも1つが該当する、
レフラキシコン装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器および/またはフォトニック機器に用いるレンズの分野に関する。より具体的には、本発明は、本発明者らの創意による新規な反射型アキシコンおよび反射屈折型アキシコンの設計、ならびに上記機器におけるこれらの設計の有用な実装に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アキシコン(axicon)とは、一般的に、回転対称の真円錐面を有する特殊な屈折レンズを意味する。反射型アキシコン(reflective axicon)は、多くの光学用途に用いられており、比較的製造が容易である。この反射型アキシコンは、点光源から光学軸に沿った線形の像の形成、平行レーザビームのリング状への変換に用いられている。また、ガウスビームの近似ベッセルビームへの変換にも用いられている。
【0003】
この反射型アキシコン(reflective axicon)は、別名「レフラキシコン(reflaxicon)」とも呼ばれ、Edmondsにより1973年に初めて提案されたが、Edmondsは、レフラキシコンについて理論上の基礎からあまり検討を進めていない(非特許文献1)。また、レフラキシコンは、このときから光学技術において限られた実際的な用途にしか利用されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
理論的観点からは、レフラキシコンは、
図1Aに示すように、一般的に、主円錐ミラー1と、主ミラー1よりも大径でありこれに対して同軸に配置された副円錐ミラー2とを有するものとされる。副ミラー2は、軸方向すなわち中央に開口部2Aを有するように円錐台形状であり、内径が主ミラー1の底面の直径以上である。この組み合わせの通常の機能の1つは、
図1Aに示すように、中実光ビーム(ガウス強度分布レーザビームなど)を中空ビームに実質的に損失なく変換することである。中実光ビームをリング状に変換することで、アキシコンで屈折により得られるものがレフラキシコンでは反射により得られる。また、副円錐ミラー2の半角θ
2および主円錐1の半角θ
1は、集束ビーム、平行ビーム、または、発散ビームを発生させるように選択され得る。さらに、レフラキシコンを対にすることにより、他の様々な効果が理論上可能となり、例えば、
図1Bに示すように、レフラキシコン対の最初の副ミラー2を曲面にして、入射光の非回折限界ビーム広がりを補正することができる。しかしながら、レフラキシコンの理論上の可能性については多少の限定的な検討がなされたものの、これらの実用化は限られていた。このため、本設計は、レフラキシコンの光学系における実用的な実装および使用、ならびに光学機器およびフォトニック機器への組み込みの点で、斬新な発展となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
まず、本発明者らは、結像用途または非結像用途のための、許容度が厳しい光学系および許容度が緩い光学系としての実用的使用および実装のためのレフラキシコンを開発してきた。許容度が厳しい結像用光学系の用途の例としては、回折限界のリレー対物レンズ(有限共役結像)、回折限界の顕微鏡対物レンズ(有限共役結像および無限共役結像の両方)、回折限界の高出力レーザ集束対物レンズ、レーザビーム輸送系(ビーム拡大器、瞳リレー、ビーム成形系の無限遠設計)がある。許容度が緩い結像用光学系の用途の例としては、非回折限界のリレー対物レンズ(有限共役結像)、非回折限界の顕微鏡対物レンズ(有限共役結像および無限共役結像の両方)、レーザ集束対物レンズ、レーザビーム輸送系がある。許容度が緩い非結像用光学系の用途の例としては、LED集光コリメータ等の照明および集光光学系、太陽集光器、これらの要素のアレイがある。これらのレフラキシコンの用途のいずれも、光学技術において実際的な開発はなされていない。このような状況において、本発明者らは、光学ガラス(完全に反射型のみの設計、または屈折原理および反射原理の両方に作用する反射屈折設計)から製造される中実のレフラキシコンと、中空のレフラキシコン(完全に反射のみに作用する)との両方、これらの種々の組み合わせに基づく構造を開発、発明した。
【発明の効果】
【0006】
完全に反射型の光学系はもともと色収差がないので、レフラキシコンを単独で用いたものは、本質的に有益な開発となる。さらに、本発明は、所定範囲内において、遮光(完全な反射系によく起こる問題)がない。あるいは、用途に合わせて遮光量を選択することもできる。さらに、本発明は、ビームスプリッタ、傾斜部品、偏心部品が不要であり、好ましくは軸対称であり、これにより一般的な全反射型の光学系よりもはるかに簡素化され、実装が容易である。これの詳細は、以下の図面および詳細な説明により明らかになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】"The Reflaxicon, a New Reflective Optical Element, and Some Applications;" APPLIED OPTICS; Vol. 12, No. 8; August 1973
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1B】レフラキシコン対を備えたレフラキシコン装置の基本概略側面図である。
【
図2】平面状の入出力を有する本発明の基本的な中実内部レフラキシコン装置の概略側面図である。
【
図3】同心の出力インタフェースを有する、
図2に示す基本的な中実内部レフラキシコン装置の概略側面図である。
【
図4】同心の出力インタフェースを有する、本発明の基本的な内部レフラキシコン装置の切欠き側面斜視図である。
【
図5A】例えば顕微鏡対物レンズとしての使用に適した外側ハウジング内に実装された同心の出力インタフェースを有する、本発明の基本的な中実内部レフラキシコン装置の切欠き側面斜視図である。
【
図5B】顕微鏡対物レンズとして用いた、
図5Aに示す一般的なレフラキシコン装置およびハウジングの側面斜視図である。
【
図6A】同心の出力インタフェースを有する、本発明の基本的な中実内部レフラキシコン装置を通過する入射光の進行の第1のステップを示す概略側面図である。
【
図6B】
図6Aに示す内部レフラキシコン装置を通過する入射光の進行の第2のステップを示す概略側面図である。
【
図6C】
図6Aに示す内部レフラキシコン装置を通過する入射光の進行の第3のステップを示す概略側面図である。
【
図7】反射コーティングが添加されていない、同心の出力インタフェースを有する、本発明の基本的な内部レフラキシコン装置を通過する入射光の進行を示す概略側面図である。
【
図8】入射光の入射角が臨界角未満である領域に反射コーティングを添加後の、
図7のレフラキシコン装置を通過する入射光の進行を示す概略側面図である。
【
図9A】中実レフラキシコン装置の、これに関連する工学的詳細を含めた概略断面図である。
【
図9B】
図9Aの円錐形中心反射部10Bのより詳細な断面図である。
【
図10A】上述の中実内部レフラキシコン装置と同様の一般的使用に適した、本発明の中空外部レフラキシコン装置の概略側面図である。
【
図10B】好適なハウジング内に実装された基本的な外部レフラキシコン装置の部分分解切欠き側面斜視図である。
【
図10C】
図10Bに示す基本的な外部レフラキシコン装置の部分組立切欠き側面斜視図である。
【
図11】同心の出力インタフェースと第2の凹レフラキシコンとを有する内部レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図12】2つの凹レフラキシコンを用いた、同心の出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図13】ビーム成形を含むビーム拡大器としての使用に実装される内部レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図14A】リレーとしての使用に実装される、2つの凹レフラキシコンを用いるとともに対称形かつ同心の入出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の概略側面図である。
【
図14B】ビーム拡大器としての使用に実装される、2つの凹レフラキシコンを用いるとともに非対称形かつ同心の入出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の概略側面図である。
【
図14C】顕微鏡対物レンズとしての使用に実装される、2つの凹レフラキシコンを用いるとともに非対称形かつ同心の入出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の概略側面図である。
【
図14D】ビーム拡大器としての使用に実装される、2つの凹レフラキシコンを用いるとともに完全に非対称形かつ同心の入出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の概略側面図である。
【
図15A】内部レフラキシコンおよび外部レフラキシコンを組み合わせるとともに、同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用い、中心凹反射面を有して内部レフラキシコンとなる中実の上半分が中心凸反射面を有して外部レフラキシコンとなる中空の下半分と結合されているレフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図15B】内部レフラキシコンおよび外部レフラキシコンを組み合わせるとともに、同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用い、中心凸反射面を有して外部レフラキシコンとなる中空の上半分が中心凹反射面を有して内部レフラキシコンとなる中実の下半分と結合されているレフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図16A】内部レフラキシコンおよび外部レフラキシコンを組み合わせるとともに、同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用い、中心凹反射面を有して外部レフラキシコンとなる中空の上半分が中心凸反射面を有して内部レフラキシコンとなる中実の下半分と結合されているレフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図16B】内部レフラキシコンおよび外部レフラキシコンを組み合わせるとともに、同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用い、中心凸反射面を有して内部レフラキシコンとなる中実の上半分が中心凹反射面を有して外部レフラキシコンとなる中空の下半分と結合されているレフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図17A】同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用いる第1のタイプの中実レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図17B】同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用いる第2のタイプの中実レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図18A】同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用いる第3のタイプの中実レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図18B】同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用いる第4のタイプの中実レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図19A】入射した主光線が周辺光線として出射するように、またその逆となるように設計されたレフラキシコン装置の概略断面図である。
【
図19B】2回目の反射と3回目の反射との間にリング状の焦点を形成するように設計されたレフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図である。
【
図20】本発明に係るレフラキシコン装置の設計の基本となる、相関した幾何学的形態(放物線形、楕円形等の反射光学系においてよく理解される)の概略断面図である。
【
図21A】入射光線の順序付けは維持される場合であっても入射光線の分布は必ずしも維持されないことを示す、レフラキシコン装置の概略透視斜視図である。
【
図21B】一体型の中実部品として形成されたレフラキシコン装置の概略断面図である。
【
図22】開口数の中心部分の光線がレフラキシコン装置の1つの光路を通り、開口数の外側部分の光線が別の光路を通るとともにいくつかの異なる光学系を利用するレフラキシコン装置を示す概略断面図である。
【
図24A】有効焦点距離4.0mm、倍率50倍、開口数0.45であり、特に顕微鏡対物レンズとしての用途に関連し有用である、本発明に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置に関する技術的詳細を示す。
【
図24B】
図24Aで与えられた技術的詳細に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置の概略図である。
【
図25A】有効焦点距離2.5mm、倍率80倍、開口数0.45であり、特に顕微鏡対物レンズとしての用途に関連し有用である、本発明に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置に関する技術的詳細を示す。
【
図25B】
図25Aで与えられた技術的詳細に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置の概略図である。
【
図26A】有効焦点距離2.2mm、倍率92.2倍、開口数0.50であり、特に顕微鏡対物レンズとしての用途に関連し有用である、本発明に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置に関する技術的詳細を示す。
【
図26B】
図26Aで与えられた技術的詳細に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置の概略図である。
【
図27A】有効焦点距離1.9mmおよび1.8mm、倍率105.3倍および113倍、開口数0.55および0.58であり、特に顕微鏡対物レンズとしての用途に関連し有用である、本発明に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置に関する技術的詳細を示す。
【
図27B】
図27Aで与えられた技術的詳細に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置の概略図である。
【
図28A】有効焦点距離2.3mm、倍率87倍、開口数0.74であり、特に顕微鏡対物レンズとしての用途に関連し有用である、本発明に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置に関する技術的詳細を示す。
【
図28B】
図28Aで与えられた技術的詳細に従って製造された中空レフラキシコン装置および中実レフラキシコン装置の概略図である。
【
図29A】理論上100%透過を行う一方で、収束出射ビームに中心遮光がある、2つの部品からなる中空レフラキシコン装置の概略図である。
【
図29B】理論上100%透過を行う一方で、収束出射ビームに中心遮光がある、一体型の中実レフラキシコン装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2および
図3に、まず、本発明の基本的な中実内部レフラキシコン装置の基本的概念のいくつかを示す。
図2および
図3において、一般的には、平行入射ビーム100が内部レフラキシコン装置に入射し、収束ビーム200として出射される。なお、当業者には明らかであるように、図示のものは、発散ビームが逆向きの光路に沿って入射して平行ビームとして出射されるものにも当てはまる。なお、ビーム100を入射光とした場合に沿って説明すると、図示の基本系は、3つの基本構成要素、すなわち、入射部10と、出射部20と、空気間隔を有する中央部30とを備えることがわかる。入射部10は、平面状の入力面10Aと、内部円錐形中心反射面10B(本明細書において、第1レフラキシコン内部中心反射面ともいう。)と、内部環状または周囲傾斜反射側面10C(本明細書において、第1レフラキシコン内部遠心反射面ともいう。)と、を有することを特徴とする。なお、ここで、「円錐形」は、これらの面が完全な円錐形であることに限定するものではなく(実質的かつ通常円錐形で正しいとしても)、多くの場合、任意の用途に最適化するように、これらの面にはより高次の非球面項が加えられる。
【0011】
レフラキシコンを利用する本発明と他の反射系または反射屈折系との重要な違いは、用いられている2つ以上の円錐形反射面が「略円錐形」であるとする点である。回転の真円錐面(すなわち、回転対称面)の頂点において、この面の偏導関数は不連続である。円錐の全ての側面は、導関数が未定義である一点で交わる。実際には、製造公差があるため、この特異点を忠実に製造することはできない。あるいは、高次の非球面項を加えることにより、意図的に頂点が不連続にならないように設計してもよい。一般的に、任意の反射面のサグ量z(r)は、奇数非球面モデル(odd asphere model)によって表わされる。この多項式は、以下の一般式によって与えられる動径座標rの偶数乗および奇数乗の両方を含んでいなければならず、N個の偶数項および奇数項の合計によってサグ量の非球面式を修正する。
【0012】
【数1】
ここで、cは曲率であり、kは円錐定数であり、α
iは多項式の係数である。これを8項に限定した、より限定的な形式は以下のように表わすことができる。
【0013】
【数2】
いずれの場合にも、レフラキシコン表面に本発明において利用される円錐特性を与えているのは、偶数乗項、特にr
1の項である。
【0014】
図2および
図3に示す光路の説明からわかるように、第1の円錐形中心面10Bおよび第1の傾斜円錐形側面10Cは、それぞれ、実質的にレフラキシコン対における第1のレフラキシコンの主円錐面および副円錐面となる。同様に、第2の円錐形中心面20B(本明細書において、第2レフラキシコン内部中心反射面ともいう。)および第2の傾斜円錐側面20C(本明細書において、第2レフラキシコン内部遠心反射面ともいう。)は、それぞれ、実質的に、上記レフラキシコン対における第2のレフラキシコンの主円錐面および副円錐面となる。なお、本発明のこの第1の実施形態は、ここに記載した用途のみならず、固体媒質(入射部10および出射部20を形成する光学ガラス)内で生じる反射および光路に基づくものである点、したがって、空気間隔30の境界を成す反射面(面10B、10C、20B、20C)におけるミラーではなくこれらの反射面において、主に全反射(total internal reflection: TIR)の光学原理に因ることができる点で、上述した対を成すレフラキシコン装置と異なる。
【0015】
全反射(「TIR」)とは、面10B、10C、20B、20Cのような媒質境界で生じる光学現象であり、この境界で光を十分に屈折させてこの境界を透過させずに事実上送り返す、すなわち、全ての光を反射することである。光が屈折率の異なる物質間の境界を通過するとき、光線が一部この境界で屈折し、一部反射し得る。全反射(「TIR」)は、光がより屈折率の高い媒質(典型的には、入射部10および出射部20を形成する物質のようなより密度の高い物質)からより屈折率の低い媒質(典型的には、空気間隔30の空気のようなより密度の低い媒質)に進む場合にのみ生じ得る。すなわち、例えば、光が各部10、20を構成する物質から空気間隔30の空気に進む場合に全反射が生じ得るが、光が入射部10に最初に入射するときのように空気からガラスに進む場合には全反射は生じない。
【0016】
「臨界角」とは、これを越えるとこの全反射が生じる入射角であり、屈折境界(面10B、10C、20B、20C)における「法線」に対して測定される。したがって、入射角が臨界角よりも大きい(すなわち、境界に近づき、法線から遠ざかる)場合、入射光は全てこの面を通過しなくなり、全体的に内部に反射される(
図2および
図3に示すように)。ガラスから空気(または真空中)に進む可視光の場合、臨界角は約41.5度である。このため、図示の実施形態では、面10B、10C、20B、20Cのそれぞれにおける入射光の臨界角は、これらの図に示すように、常にこの値を満たすかあるいは上回る。
【0017】
本設計の更なる改良点は、
図2と
図3との違いに示される。
図2では、出射部20が平面状の出力面20Aを有する。図からわかるように、この場合、平面状の出力面20Aにおいて屈折が生じ、この平面状の出力面20Aは、出射部20とより密度の低い外部の周囲媒質(空気)との間の界面を形成する。面20Aへの光の入射角は、臨界角よりも小さく、したがって、反射ではなく僅かに屈折する。この屈折は、算出して補償することができ、かつ/または、本発明の異なる適用例に関する設計計算に含めることができる。なお、ほとんどの実施形態において、
図3に示すように、焦点と同心の球面状の出力面20A’を設けることによって面20A’に入射する光がその面に垂直となり、屈折が生じないようにすることで、この問題を避けるのが好ましいと考えられる。このように、分散性、屈折性の光学材料からなる光学系は、軸方向光線に対して完全に色収差が補正されており、これは、光学系の全光パワーが非分散性の反射面によってのみ伝えられるためである。
【0018】
図2および
図3が本発明の根底にある基本概念の理解において重要である一方、
図4および
図5Aは、本発明の構成要素を、同心の出力インタフェースを有する中実内部レフラキシコン装置の基本的な構成要素の切欠き側面斜視図によってより具体的に示す。
図4では、アキシコン系の外側ハウジングが示されておらず、この
図4からわかるように、入射部10と出射部20とを例えば適切な接着剤(光学接着剤等)を介して接続するときにより強固な構成体とするように、また、これらの2つの部分が光学軸300を中心として正しく配置されるように、入射部10および出射部20には、これらの接合部40において、嵌合面10D及び20Dを設けることができる。なお、
図5Aに示すように、本発明の内部レフラキシコン装置には、アセンブリを保護し、アセンブリの部品をまとめて適切な間隔と配置関係で保持し、例えば顕微鏡対物レンズ(
図5Bに示す)または他の用途のような特定の用途に適するようにするために、ハウジング50を設けることが好ましい。
【0019】
さらに、
図5Aからわかるように、より一層確実に出射部20と入射部10とが密着して光学軸300を中心として正しく配置されるように、入射部10および出射部20の外部形状とハウジング50の内部形状とが一致するように設計されている。この例において、ハウジング50は、スナップ係止接合部50Cにおいて接合された第1の部分50Aと第2の部分50Bとを有する。入射部10の環状フランジ形延在部10Eと結合するハウジング50の内側面には、環状スロット50Dが形成され、この入射部を出射部20の上方に正しく軸方向に整列させて保持する。一方、内壁50Eが、出射部20に対して同様の役目を果たす。さらに、第1の部分50Aの一部であるスナップ係止接合部50Cの一部は、入射部10を所定の位置に留める際に入射部10を強く出射部20に押し当てるように設計されている。また、上述した全反射の原理を踏まえて、ハウジングは、面10Cおよび20Cの作用(反射)部分に隣接する内部空間50F、50Gを形成する。
【0020】
図6Aから
図9Bは、本発明の作用の説明をさらに増補するとともに、更なる詳細および改良を示すものである。まず、本発明の作用の段階的な説明およびこれの反射面を
図6Aから
図6Cに示す。
図6Aにおいて、平行入射光線100が平面状の入力面10A(光線に対して垂直であり、したがって屈折を生じない。)を介して入射部10に入射し、円錐形中心面10Bに当たる。
図6Bにおいて、光線100は、周囲傾斜側面10Cに向けて反射され、さらに、出射部20の第2の傾斜円錐側面20Cに向けて反射される。光線100は、面20Cから第2の円錐形中心面20Bに反射され、そこから同心の曲面状の出力面20A’を介して収束光線200として出射される(
図6C参照)。前記説明から
図7および
図8に移ると、更なる設計上の課題とその解決手段が示される。一般的には、レフラキシコン対の面形状は、4つの反射面全ての使用される開口全体に対して全反射が得られるように、最適化プロセス中に制約され得る。しかしながら、光学性能の向上を達成するためには、(追加的な自由度を利用して)この制約を外さなければならない設計上の状況が生じ得る。
図7に、反射面形状が開口全体に対して全反射が生じることを考慮せずに設計された、反射コーティングが添加されていない内部レフラキシコン装置を通過する入射光の進行を示す。この図に示すように、この種の実施形態に関する問題は、反射面10B、10C、20Cのそれぞれのある領域10B’、10C’、20C’において生じ得るもので、これらの領域においては、入射光の入射角は臨界角未満であり、したがって、全反射が生じない。しかしながら、この問題は、影響のある領域10B’、10C’、20C’に、あるいは、望ましい場合にはこれらの領域が属する反射面全体に、必要に応じて反射コーティング10B”、10C”、20C”を施すことによって容易に軽減することができる(
図8参照)。最後に、中実設計の理論的側面および実用的側面を検討した結果、
図9Aおよび
図9Bは、設計の実施のさらに具体的な例を示す。
図9Aは、中実レフラキシコン装置の、これに関連する光学的詳細を含めた概略断面図を示し、
図9Bは、これの円錐形中心反射部10Bのより詳細な断面図を示す。
【0021】
軸対称の反射光学系または反射屈折光学系の設計において考慮すべき重要な点は、この設計において許容される中心遮光(central obscuration)の割合である。所定範囲内において、本発明のレフラキシコン装置は、本質的に中心遮光がないように設計および製造することができる。この特徴は、従来の軸対称の反射光学系または反射屈折光学系ではこれまで達成することができなかった。従来の軸対称の反射収束系または反射屈折収束系(対物レンズ、リレー、撮像素子、地上望遠鏡、宇宙望遠鏡)の場合、中心遮光は、所望の出力開口数と入力ビーム径および焦点距離のいずれかとの関数である。従来の無焦点系、軸対称の反射光学系または反射屈折光学系(望遠鏡またはビーム拡大器(これらはあまり一般的ではない))の場合、中心遮光は、所望の出力ビーム系と入力ビーム系または倍率との関数である。いずれの場合にも、最小遮光率に関して次の基本的な範囲がある。すなわち、最小遮光率がゼロを大きく上回る。一般的に、このような中心遮光は、軸対称の反射系または反射屈折系を実施する際に、光透過損失、中間空間周波数における結像コントラストの低下、および他の結像アーチファクトのため、望ましくないが必要なものである。しかしながら、全屈折型の同等物に比べ、軸対称の反射光学系または反射屈折光学系にはその他の有益な性質があるため、これらの欠点は従来許容されてきた。他の有益な性質とはすなわち、超広域の波長スペクトル領域にわたって均一な性能、高開口数における回折限界性能、機械的エンベロープが小型であること、長い作動距離、複雑さの緩和、さらに他の様々な利点である。本発明のレフラキシコン設計は、従来の軸対称の反射設計または反射屈折設計のあらゆる利点とともに、さらに全屈折型の同等物が享受する無損失の透過と優れた回折限界性能とを保持する。
【0022】
従来技術において、遮光されていない反射系または反射屈折系が存在する(かつ普及している)ことを認めることは重要であるが、これらは、否応なく軸外で(他の点では軸中心に合わせられている光学系の開口の一部のみを用いて)使用しなければならないか、傾斜光学面、偏心光学面、または他の自由形状光学面を用いなければならない。このような面により、入射ビームに対する光学系の軸対称性が損なわれてしまう。この軸対称性の喪失が、遮光されていない反射系または反射屈折系の大きな欠点を招く。これらの反射系または反射屈折系は、低開口数しか対応できず、これにより高性能が求められる光学系への汎用性が大幅に制限されてしまう。これらの光学系の他の大きな欠点は、このような傾斜、偏心、軸外、または自由形状の光学面の製造および位置合わせが困難であり、コストが高くなってしまい、量産や低価格の用途に持っていくことが現実的に可能ではなくなってしまうことである。本発明は、これらの欠点を全て回避している。
【0023】
さらに、
図10Aから
図10Dに示すように、本発明は、中空の外部反射型にも実施することができる。
図10Aは、上述の中実内部系と同様の一般的効果を得るように、略円錐形のミラーを用いた中空の外部レフラキシコン装置の第1の概略側面図を示す。
図10Aにおいて、平行入射ビーム100がレフラキシコン装置に入射し、上述の実施形態と同様に、収束ビーム200として出射される。本実施形態では、入射部(全体として括弧11で示す。)は、略円錐形の中心反射体11B(本明細書において、第1レフラキシコン外部中心反射面ともいう。)と、周囲傾斜側部反射体11C(本明細書において、第1レフラキシコン外部遠心反射面ともいう。)とを含む。上述したように、第1の円錐形中心反射体11Bおよび第1の傾斜円錐形側部反射体11Cは、それぞれ、レフラキシコン対における第1のレフラキシコンの主円錐面および副円錐面となる。同様に、出射部(全体として括弧21で示す。)は、第2の円錐形中心反射体21B(本明細書において、第2レフラキシコン外部中心反射面ともいう。)と、第2の傾斜円錐形側部反射体21C(本明細書において、第2レフラキシコン外部遠心反射面ともいう。)とを含み、これらは、上記レフラキシコン対における第2のレフラキシコンの主円錐面および副円錐面となる。
【0024】
図10Aに概略的に示す設計のより具体的な実装例を
図10B、
図10C、
図10Dに示す。
図10B〜
図10Dは、それぞれ、この中空レフラキシコン装置が好適なハウジング60内に実装された状態の部分分解切欠き側面斜視図、部分組立切欠き側面斜視図、組立側面図を示す。図からわかるように、好ましくは、このレフラキシコン装置は、それぞれハウジング60の第1の外部ハウジング部60Aおよび第2の外部ハウジング部60Bを構成する鏡面11Cおよび21Cからなる。第1の円錐形中心反射体11Bおよび第2の円錐形中心反射体21Bは、支持部材70と一体に形成され、支持部材70は、ハウジング60の内部プレナム80内に掛架されている。
【0025】
上述した中実レフラキシコンおよび中空レフラキシコンの説明によって、本発明者らは、従来の全屈折型長作動距離顕微鏡対物レンズに代わる設計の具体例を提示する。以下の例(
図23〜
図28参照)では、全屈折型の同等物の回折限界性能のみならず、同様の一次特性(焦点距離、倍率、視野)を有する。さらに、全ての例において、理論遮光率が(透過率100%)である。全ての例において、紫外線波長スペクトル、可視光波長スペクトル、赤外線波長スペクトルの全体に対して、軸上色収差がゼロであり、これは全屈折型の設計では不可能である。全反射型回転対称の設計形態の重要な特徴の1つは、性質上、全屈折型の同等物よりも作動距離を長くすることができることである。図示のレフラキシコン設計の作動距離は、全屈折型の同等物の3〜4倍長く、これは倍率範囲が高い50x〜200xで作動する顕微鏡対物レンズにおいて大きな利点となる。
【0026】
上述の設計は、非常に広範囲にわたるものであるが、本発明の可能性を網羅するものではない。そして、本発明の教示によれば、レフラキシコン装置は、円錐形中心面(面10B、20B、11B、21Bと様々上述した。)のいずれかまたは両方を逆転させた形、すなわち「凹面状」(上述の図面に示すような「凸面状」ではなく)に実装することができ、上述の基本設計に対して他の変更を加えて特定用途に応用することができる。これに関し、
図11は、円錐形の凹反射面20B’を有する内部レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図であり、この設計において典型的な光路を示す。同様に、
図12は、2つの円錐形の中心凹反射面10B’、20B’を用いた内部レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図であり、この設計において典型的な光路を示す。これらに対し、
図13は、円錐形の中心反射面のいずれも逆転させていない内部レフラキシコン装置の部分切欠き側面斜視図を示す。なお、本実施形態において、出力面20Aは平面であり(出力面20への入射光は平行ビーム100に平行なので)、設計における種々の反射面10B、10C、20B、20Cの表面サグ量は、レフラキシコン装置をビーム成形(例えば、ガウス光強度プロファイルから扁平な光強度プロファイルへ)を含む2倍のビーム拡大器として機能させるのに用いるように選択されている。
【0027】
本発明における円錐形の中心凹反射面10B’、20B’の可能な使用について述べてきたが、これらの反射面は、構成が容易であるため、全般的に好ましいことにも着目すべきである。例えば
図9に示す、凸−凸の中心円錐構成は、光学面の負形状は超精密切削加工(Single Point Diamond Turning: SPDT)によって容易に作ることができるという点で、ある面では量産するのに最も容易な形態である。したがって、成形によって得られた多くの複製品が球面、非球面、自由形状面であるような型を簡単に作成することができる。ただし、この形状の正形状を作るには、円錐形の中心凸反射面の頂点において不連続とする必要がある(この尖った先端は、実際には、SPDT工具の先端の有限半径によって鋭さが緩和されるため)ため、この種の原型の作成は困難である。同様に、中空の凸−凸形状(例えば、
図10A〜
図10Dに示す)もSPDTにより容易に製造することができる。なお、光学系を構成する部分を成形し得ることは考えられるが、型は凸アキシコンの負形状である必要があり、ここでも、円錐形の中心凸反射面11B、21Bの頂点において、鋭さが緩和した状態となる。しかしながら、
図12に示す種類の凹−凹の円錐形中心反射体を用いることによって、本発明の中実形態および中空形態の両方においてこれらの問題を避けることができる。この形態は、図示の中実形態においてSPDTに適しており、中空形態においては成形によって大量生産に持ち込まれる。
【0028】
さらに、上述の説明を踏まえて、
図14A、
図14B、
図14Cは、好ましい実施形態のさらに重要な例を示し、これらの例において、円錐形の中心反射面10B、20Bの両方が凹面である。
図14Aは、有限共役結像リレーとしての使用に実装された、2つの凹レフラキシコンを用いるとともに対称形かつ同心の入出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の概略側面図を示す。
図14Bは、ビーム拡大器としての使用に実装された、2つの凹レフラキシコンを用いるとともに対称形かつ同心の入出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の概略側面図を示す。
図14Cは、顕微鏡対物レンズとしての使用に実装された、2つの凹レフラキシコンを用いるとともに非対称形かつ同心の入出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の概略側面図を示す。
図14Dは、ビーム拡大器としての使用に実装された、2つの凹レフラキシコンを用いるとともに完全に非対称形かつ同心の入出力インタフェースを有する内部レフラキシコン装置の概略側面図を示す。これらの図は、光学反射面10B、10C、20B、20Cがそのままで、入射面10Aおよび出射面20Aを調節することで、非常に異なる光学系を作成する手法をも示している。(この種の設計の製造および実施における費用削減の利点および可能性は自明である。)
【0029】
さらに、
図15A〜
図18Bは、中実(内部)レフラキシコン装置と中空(外部)レフラキシコン装置とを組み合わせた混合系の例を示す。これらの混合系は、同じ円錐形中心反射面を、混合系の一方の半分の凸反射面としておよび他方の半分の凹反射面として用いるという点で特殊である。。図面を参照すると、
図15Aおよび
図15Bは、内部レフラキシコンおよび外部レフラキシコンを組み合わせるとともに、同じ中心円錐を、一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用い、外部レフラキシコンとなる中空の半分が内部レフラキシコンとなる中実の半分と結合されているレフラキシコン装置の図であることがわかる。
図16Aおよび
図16Bに示すように、
図15Aおよび
図15Bに示す各実施形態において、反射体を凸面から凹面に、あるいはその逆に変更することもできる。
図16Aおよび
図16Bは、内部レフラキシコンおよび外部レフラキシコンを組み合わせ、同じ中心円錐を一方向から凸面反射体としておよび他方向から凹面反射体として用いているのは同じだが、先に述べた変更を加えたレフラキシコン装置の図を示す。
【0030】
図17A〜
図18Bは、1つの中実要素を備える完全なレフラキシコン光学系対の例を示す(
図21Aおよび
図21Bも参照。)。まず、
図17Aおよび
図17Bを参照すると、これらの図に示すレフラキシコン装置には、(上記例と同様に)2つのレフラキシコンが組み合わされており、
図16Aおよび
図16Bに示す例におけるように、円錐形中心反射面11B、11B’、20B、20B’は凹面反射体(11B’、20B’など)および凸面反射体(11B、20Bなど)の両方として用いられることがわかる。これらの実施形態の他の特徴は、中実レフラキシコン装置の入射側に設けた、円錐形中心反射面11B、11B’、20B、20B’を側壁90Aで囲む入射中心縦穴90である。円錐形中心部11B、11B’からの最初の反射後、光が媒質の側壁90Aに入射する際に屈折が生じる。屈折面(すなわち、90A)は、入射光に対して垂直とすることができ、したがって、この設計は色の影響を全く受けない(例えば、
図21Aおよび
図21B参照。)。成形により、製造可能な形状が制限されるが、
図21Bは、成形技術に概ね適合する一体型部品の設計を示す。さらに、図示された他の例と同様に、この形態は、ビーム拡大器またはリレーレンズのような他の光学機能を果たすように調整することができる。
図18A、
図18B、
図21は、
図17Aおよび
図17Bの一体型設計と共通であるが、
図18Aおよび
図18Bは、光学媒質の内部から外部への移行が円錐形中心面21B、21B’からの最後の反射の前に起こる、屈折インタフェース90A’を有する出射中心縦穴90’を示す。(レフラキシコンは同じ中心円錐を共有しないが、入射中心縦穴90および出射中心縦穴90’の両方を有する実施形態については
図21Aおよび
図21Bも参照。)
【0031】
提示した光学系におけるレフラキシコンの使用による1つの副産物は、多くの場合、入射光エネルギーの再分配または再順序付けである。
図19Aにおいて、慣例として、光学軸300と一致する入射光線は、当業者により「主光線」400と称される。光学軸と平行であるが物体空間における入射ビームの周辺部の入射光線は、「周辺光線」500と称される。レフラキシコンの形態では、これらの2つの主要な光線の役割を意図的に逆転させることができる。入射主光線400は、出射周辺光線400’として出射し、入射周辺光線500は、出射主光線500’として出射される。この逆転は、これらの2つの光線が互いに交差し合う回数または光学系の中心線を越える回数によって決まる。これらの起こる回数の合計が偶数である場合、これらの光線の入射から出射までの位置は維持されることになる(例えば、
図10A参照。)。一方、これらの起こる回数の合計が奇数である場合、光学系への入射主光線400であった光線は、出射周辺光線400’として出射し、入射周辺光線500は、出射主光線500’として出射する。(例えば、
図19Aを参照。
図19Aは、全反射を利用するように設計され、したがってコーティングの必要がない2つの中実部品の形態のレフラキシコン装置を示す。)一般的に、光線は、反射または内部焦点によって交差する。
【0032】
既に述べた形態に加え、光学系内の反射面のいずれかでリング状の焦点を形成することができる。
図19Bは、2回目の反射と3回目の反射との間のリング状焦点を示す。このリング状焦点の形成は、光学系を焦点により分離される個々の部分に分けることができるため、強力な設計ツールとなり得る。そして、これらの部分は、それぞれ特定の機能に最適化することができる。先に述べた構成と同様に、1つ以上の内部リング状焦点を有するレフラキシコン対は中空形態または中実形態として構成することができ、円錐面は凹面または凸面のいずれかになり得る。また、上述の構成と同様に、円錐形中心面が、一回目は凸錐として、二回目は凹錐として用いられる、内部リング状焦点を有する形態を構成することもできる。さらに、反射面または屈折面のいずれも、他の所望の光学特性を達成するために、より高次の非球面変形項を操ることによってさらに適合させることができる。
【0033】
レフラキシコンを利用した光学系を設計する際に、従来の光学系のように二次元で設計することができる。遮光のないレフラキシコンを利用した光学系を設計する目的では、入射主光線は出射主光線と共線を成さなければならない。反射系が二次元で構成されると、これを主光線と一致する軸を中心に回転させて、ゼロ遮光を有する軸対称の光学系を形成することができる。もちろん、口径食がなく、他の方法でも光線を遮ることのない好適な形状を結果として得るためには、反射面の設計をこの回転を考慮して行わなければならない。
図20に示すように、この方法でのレフラキシコン対の設計では、反射光学系においてその性質がよく理解される放物線形および楕円形などの錐断面を用いることになる。このような設計理念により、好適な初期設計を得ることができ、この初期設計がさらに特定の用途に最適化される。
【0034】
図21Aは、入射光線の順序付けは維持される場合であっても、入射光線の分布は必ずしも維持されないことを示す。この図では、光学軸を中心に対称に設けられ、1つ中実要素を備える完全なレフラキシコン装置の一例を示し、主光線の位置は維持されるが、入射光が空間的に均等に配光されたにもかかわらず、光線は収束光内で均等な分布ではない。分布における集中領域は、これらの放物線形/楕円形のリング状焦点の形態の場合の入射主光線に沿っている。したがって、入射主光線が主光線として出射する場合、垂直入射付近に光が集中する。入射主光線が周辺光線として出射する場合、光線は、入射角の大きい方へ集中する。
【0035】
図22は、開口数の中心部分の光線が、光学系の1つの光路を通り、開口数の外側部分からの光線が、別の光路を通るとともにいくつかの異なる光学系を利用する光学系を示す。全ての光線が面10Bおよび10Cで反射される。中心の光線経路は、まず面20Dに反射し、次に面20Bに反射する光線によって定まる。外側の光線経路は、面20Cに反射し、次に面20Dを迂回する光線によって定まる。したがって、この図は、これらの光学系の形態の高い自由度を示すものであり、複数の光路が単一のレフラキシコン対光学系内に存在し得ることを示す。
【0036】
先に述べたように、レフラキシコン装置を綿密に理論上100%遮光がないように設計することに加え、理論透過スループットを100%維持しつつ、注意深く、光学系に非ゼロの遮光量を設計することが直接的に可能である。これは、収束出射光における中心遮蔽とみなされる。このような特徴は、従来技術の遮光された全反射系または反射屈折系によく認められる典型的な透過損失がなく、光学性能の観点で有利となり得る。中心遮光が望ましい場合、本発明のレフラキシコン装置は、第1のレフラキシコン入射部10のみを用いることにより簡素化してもよい。これを
図29Aおよび
図29Bに示す。
図29Aおよび
図29Bは、2つの部品からなる中空のレフラキシコン装置と一体型の中実レフラキシコン装置を示す。両方とも、理論上100%透過を行う一方で、収束出射ビームに中心遮光がある。これらの単一の第1のレフラキシコンの場合、低減することができない最小限の直径の中心遮光があり、これは、従来の中心に合わせた全反射型または反射屈折型の設計における固有の最小中心遮光に類似している。
【0037】
説明した多数の実施形態は、所与の公称設計の許容度を厳しくして製造してもよく、緩和させて製造してもよい。許容度を厳しくした場合、好ましい製造方法は、直接光学系をSPDT加工することである。中空のレフラキシコン装置の場合、好ましい材料は、ダイヤモンド切削加工が可能ないずれの金属(アルミニウム、銅、ニッケル)であってもよいが、好ましくは、ニッケル被覆材料が最も滑らかな表面仕上げとなる。様々な機械的研磨法、化学的研磨法、または電解研磨法を用いた後研磨を用いることによって、ダイヤモンド切削加工後の表面をオングストロームレベルの表面粗度まで平滑化させることができる。金属は、保護被膜または増反射ミラー薄膜スタックでコーティングされていてもよく、コーティングせずに高反射率となるようにしてもよい。光透過が求められる中実のレフラキシコン装置の場合、光学ポリマーのSPDT加工が最良の選択肢である。フッ化カルシウム結晶材料も直接ダイヤモンド切削加工され、波長200nm未満の紫外線透過度を示す。アクリルが、ダイヤモンド切削加工による表面仕上げが最も良好となるが、他のプラスチック材料も好適である。また、アクリルは、波長300nmまでの紫外線透過度が得られる。
【0038】
公称レフラキシコン装置の許容度を緩和させた場合、中実のレフラキシコン形態および中空のレフラキシコン形態の両方に射出成形を用いることができる。成形工程および金型キャビティ設計が、達成可能なレフラキシコンの設計を決定する。金型インサートは、SPDT加工により製造してもよい。成形部品の表面の凹凸は、直接SPDT加工を施された表面のものほど精度が高くないため、成形により得られたレフラキシコン装置は、大量の、許容度が緩和された用途において有用である。この用途には、発光ダイオード(LED)などの光源用の集光レンズおよび他の非結像用途がある。
【0039】
最後に、本発明の可能な形態のいくつかを十分に説明するように記載してきたが、数多くの他の変更も可能であることを忘れてはならない。したがって、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本発明の原理の適用を例示するものに過ぎないことは理解されるべきである。さらに、上述した特徴および機能、他の特徴および機能、またはその代替例の多くは、多くの他の異なるシステムまたは適用例と好ましく組み合わされてもよい。また、現在予測していない種々の代替例、変更、変形、改良も、後に当業者によってなされ得るものであり、これらも特許請求の範囲に含まれるものとする。このため、説明した実施形態の詳細への言及は、各請求項の範囲を限定するものではなく、これらは、本発明において本質的であるとみなされる特徴を記載するものである。
【符号の説明】
【0040】
1−主円錐ミラー
2−副円錐ミラー
10−入射部
11−反射体
20−出射部
21−反射体
30−中央部
40−接合部
50−ハウジング
60−ハウジング
70−支持部材
80−内部プレナム
90−縦穴
100−平行入射ビーム
200−収束ビーム
300−光学軸
400−入射主光線
500−入射周辺光線