特許第5678382号(P5678382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンシンの特許一覧

<>
  • 特許5678382-テープ研磨装置 図000002
  • 特許5678382-テープ研磨装置 図000003
  • 特許5678382-テープ研磨装置 図000004
  • 特許5678382-テープ研磨装置 図000005
  • 特許5678382-テープ研磨装置 図000006
  • 特許5678382-テープ研磨装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678382
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】テープ研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 21/12 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
   B24B21/12
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-238269(P2011-238269)
(22)【出願日】2011年10月31日
(65)【公開番号】特開2013-94867(P2013-94867A)
(43)【公開日】2013年5月20日
【審査請求日】2013年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】391005156
【氏名又は名称】株式会社サンシン
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】細貝 信和
(72)【発明者】
【氏名】吉野 幹雄
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−045957(JP,A)
【文献】 特開平11−099458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持機体と、研磨テープをテープリールから移送させるテープ移送機構と、該研磨テープの研磨面を被加工物の被研磨面に圧接させるテープ圧接機構と、該研磨テープをテープ移送方向と直交するテープ幅方向に揺振運動させるテープ揺振機構とを備えてなり、上記テープ圧接機構は、上記研磨テープの研磨面を被加工物の被研磨面に圧接可能な圧接部材と、上記支持機体に設けられ、該圧接部材を圧接移動自在に保持可能な保持部材と、該圧接部材を圧接移動させる圧接移動機構とからなり、かつ、上記テープ揺振機構として、上記支持機体に上記保持部材をテープ移送方向と直交するテープ幅方向に揺振運動自在に設けると共に該支持機体に揺振用モータを設け、該支持機体に継合軸を該揺振用モータの主軸と該保持部材との間に位置して回転自在に設け、該継合軸の基端部に該揺振用モータの主軸を挿入固定し、該継合軸の先端部と該保持部材との間に偏心輪機構を設け、該偏心輪機構として、上記継合軸の先端部に偏心軸部を形成し、該偏心軸部に偏心輪を回転自在に設け、上記保持部材に該偏心輪の外周面に接する対向一対の接触面を有して該偏心輪の偏心回転により該保持部材を上記テープ幅方向に揺振運動させる駒部材を設け、該継合軸の基端部に嵌合孔を形成し、該嵌合孔に上記揺振用モータの主軸を挿入固定してなることを特徴とするテープ研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨テープにより被加工物の被研磨面を研磨加工する際に用いられるテープ研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテープ研磨装置として、テープ移送機構によりテープリールから研磨テープを移送し、研磨テープの研磨面を回転する被加工物の被研磨面に圧接機構により圧接して研磨する構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−8163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこれら従来構造の場合、研磨テープの研磨面を被加工物の被研磨面に圧接移動させる圧接移動機構及び研磨テープを揺振運動させるテープ揺振機構の構造が比較的複雑化すると共に大型化し易く、使用の融通性が低下することがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の発明は、支持機体と、研磨テープをテープリールから移送させるテープ移送機構と、該研磨テープの研磨面を被加工物の被研磨面に圧接させるテープ圧接機構と、該研磨テープをテープ移送方向と直交するテープ幅方向に揺振運動させるテープ揺振機構とを備えてなり、上記テープ圧接機構は、上記研磨テープの研磨面を被加工物の被研磨面に圧接可能な圧接部材と、上記支持機体に設けられ、該圧接部材を圧接移動自在に保持可能な保持部材と、該圧接部材を圧接移動させる圧接移動機構とからなり、かつ、上記テープ揺振機構として、上記支持機体に上記保持部材をテープ移送方向と直交するテープ幅方向に揺振運動自在に設けると共に該支持機体に揺振用モータを設け、該支持機体に継合軸を該揺振用モータの主軸と該保持部材との間に位置して回転自在に設け、該継合軸の基端部に該揺振用モータの主軸を挿入固定し、該継合軸の先端部と該保持部材との間に偏心輪機構を設け、該偏心輪機構として、上記継合軸の先端部に偏心軸部を形成し、該偏心軸部に偏心輪を回転自在に設け、上記保持部材に該偏心輪の外周面に接する対向一対の接触面を有して該偏心輪の偏心回転により該保持部材を上記テープ幅方向に揺振運動させる駒部材を設け、該継合軸の基端部に嵌合孔を形成し、該嵌合孔に上記揺振用モータの主軸を挿入固定してなることを特徴とするテープ研磨装置にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、テープ移送機構により研磨テープは移送され、テープ圧接機構により研磨テープの研磨面は被加工物の被研磨面に圧接されると共に研磨テープはテープ移送方向と直交するテープ幅方向に揺振運動し、この研磨テープの移送及び揺振運動により被加工物を研磨することになり、この際、上記テープ圧接機構は、上記研磨テープの研磨面を被加工物の被研磨面に圧接可能な圧接部材と、上記支持機体に設けられ、圧接部材を圧接移動自在に保持可能な保持部材と、圧接部材を圧接移動させる圧接移動機構とからなるので、テープ圧接機構の構造を簡素化することができると共に圧接移動機構により保持部材を介して圧接部材を確実に圧接移動することができ、かつ、上記テープ揺振機構として、上記支持機体に上記保持部材をテープ移送方向と直交するテープ幅方向に揺振運動自在に設けると共に支持機体に揺振用モータを設け、支持機体に継合軸を揺振用モータの主軸と保持部材との間に位置して回転自在に設け、継合軸の基端部に揺振用モータの主軸を挿入固定し、継合軸の先端部と保持部材との間に偏心輪機構を設けて構成しているから、テープ揺振機構の構造を簡素化することができると共にコンパクト化することができ、使用の融通性を高めることができ、かつ、上記偏心輪機構として、上記継合軸の先端部に偏心軸部を形成し、偏心軸部に偏心輪を回転自在に設け、上記保持部材に偏心輪の外周面に接する対向一対の接触面を有して偏心輪の偏心回転により保持部材を上記テープ幅方向に揺振運動させる駒部材を設け、継合軸の基端部に嵌合孔を形成し、嵌合孔に上記揺振用モータの主軸を挿入固定して構成しているから、偏心輪機構の構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態例の全体正面図である。
図2】本発明の実施の形態例の全体平面図である。
図3】本発明の実施の形態例の部分正断面図である。
図4】本発明の実施の形態例の部分平断面図である。
図5】本発明の実施の形態例の説明側断面図である。
図6】本発明の実施の形態例の説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1乃至図6は本発明の実施の形態例であって、この場合、大別して、図1図2の如く、支持機体Aと、研磨テープTをテープリール1から移送させるテープ移送機構Bと、この研磨テープTの研磨面Tを被加工物Wの被研磨面Wに圧接させるテープ圧接機構Cと、研磨テープTをテープ移送方向Nと直交するテープ幅方向Mに揺振運動させるテープ揺振機構Dとから構成されている。
【0009】
この場合、上記テープ圧接機構Cは、図3図4の如く、上記研磨テープTの研磨面Tを被加工物Wの被研磨面Wに圧接可能な圧接部材2と、上記支持機体Aに設けられ、圧接部材2を圧接移動自在に保持可能な保持部材3と、圧接部材2を圧接移動させる圧接移動機構Cとからなり、上記テープ揺振機構Dとして、上記支持機体Aに上記保持部材3をテープ移送方向Nと直交するテープ幅方向Mに揺振運動自在に設けると共に支持機体Aに揺振用モータ4を設け、支持機体Aに継合軸5を揺振用モータ4の主軸4aと保持部材3との間に位置して回転自在に設け、継合軸5の基端部に揺振用モータ4の主軸4aを挿入固定し、継合軸5の先端部と保持部材3との間に偏心輪機構Dを設け構成している。
【0010】
この場合、上記偏心輪機構Dとして、図3図4の如く、上記継合軸5の先端部に偏心軸部5aを形成し、偏心軸部5aに偏心輪6を回転自在に設け、上記保持部材3に偏心輪6の外周面に接する対向一対の接触面7a・7aを有して偏心輪6の偏心回転により保持部材3を上記テープ幅方向Mに揺振運動させる駒部材7を設けて構成している。
【0011】
このうち、上記支持機体Aは、図1図2の如く、機台E上に立設され、支持機体Aの側方位置に保持回転機構Fにより被加工物Wとしての円柱状部材が回転軸線Kを中心として駆動回転自在に横設されている。
【0012】
又、上記テープ移送機構Bは、図1図2の如く、テープリール1を支持機体Aの側面に支持軸8により回転自在に配設し、テープリール1に巻回された未使用の研磨テープTをガイドロール9を介して移送ロール10で折り返し、折り返された研磨テープTをガイドロール11からロール状の上記圧接部材2へと案内した後、ガイドロール12を介して移送ロール13により折り返し、上記移送ロール10は駆動用モータ10aにより回転駆動され、移送ロール13は駆動用モータ13aにより回転駆動され、かつ、支持機体Aの側面に上記移送ロール10に対向して弾圧用バネ10bにより研磨テープTを弾圧する弾圧ロール10cをもつ揺動アーム10dを支持ピン10eにより取り付けると共に上記移送ロール13に対向して弾圧用バネ13bにより研磨テープTを弾圧する弾圧ロール13cをもつ揺動アーム13dを支持ピン13eにより取り付け、移送ロール10及び移送ロール13を回転制御してテープリール1に巻回された未使用の研磨テープTを移送ロール10により巻き解いてテープ圧接機構Cに移送し、テープ圧接機構Cに移送されて被加工物Wの被研磨面Wの研磨に使用した使用済みの研磨テープTを移送ロール13により排送するように構成している。
【0013】
この場合、上記研磨テープTは、ポリエステルフィルム、メタル、クロス等の基材に酸化アルミニュウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、ダイヤモンド等の所定粒度の研磨粒子をコーティング又は結合してなる構造となっている。
【0014】
この場合、上記テープ圧接機構Cは、図3図4図5の如く、支持機体Aの側面に取付部材14をボルト14aにより取付け、取付部材14にガイドレール15・15を上下二段状に取り付け、上記保持部材3にガイドレール15・15に摺動自在に案内される案内部16・16を取付け、ガイドレール15・15と案内部16・16との摺動案内により保持部材3をテープ移送方向Nと直交するテープ幅方向Mに往復揺振動作自在に設け、保持部材3の上下位置に研磨テープTを上記圧接部材2の外周面に案内するガイドロール17a・17aをもつガイドアーム17・17を取付け、保持部材3に左右一対の軸受筒18・18を取付け、左右一対の軸受筒18・18にガイド軸19・19を直線摺動自在に軸受し、この左右一対のガイド軸19・19間に進退部材20を進退自在に架設し、保持部材3の上下位置に上下一対のシリンダ部21・21を設け、シリンダ部21・21のプランジャ21a・21aを進退部材20に取付けた連結片20aに連結し、進退部材20にロール軸2aにより圧接部材2を回転自在に軸受けして構成している。
【0015】
又、上記テープ揺振機構Dは、図3図4図5の如く、支持機体A側面に取り付けられた上記取付部材14に揺振用モータ4を横設し、取付部材14に継合軸5を揺振用モータ4の主軸4aと保持部材3との間に位置して軸受22により回転自在に設け、継合軸5の基端部に嵌合孔5bを形成し、嵌合孔5bに揺振用モータ4の主軸4aを挿入してビス5cにより固定し、継合軸5の先端部と保持部材3との間に偏心輪機構Dを設け、偏心輪機構Dとして、図3図4図5の如く、上記継合軸5の先端部に継合軸5の回転軸線Oに対して偏心量εの回転軸線Oを有する偏心軸部5aを形成し、図5の如く、偏心軸部5aに玉軸受状の偏心輪6を回転自在に設け、上記保持部材3に嵌合凹部3aを形成し、嵌合凹部3aに偏心輪6の外周面に接する対向一対の接触面7a・7aを有して偏心輪6の偏心回転により保持部材3を上記テープ幅方向Mに揺振運動させる下駄状の駒部材7を嵌合固定して構成している。
【0016】
しかして、上記テープ圧接機構Cのシリンダ部21により進退部材20を前進させることにより研磨テープTの研磨面Tを被加工物Wの被研磨面Wに圧接することになり、また、上記テープ揺振機構Dの揺振用モータ4の駆動により継合軸5を回転させることにより偏心輪機構Dの偏心軸部5aと駒部材7との協動及び案内部16とガイドレール15との案内により保持部材3を介して圧接部材2及び研磨テープTはテープ幅方向Mに揺振運動することになる。
【0017】
この実施の形態例は上記構成であるから、テープ移送機構Bにより研磨テープTは移送され、テープ圧接機構Cにより研磨テープTの研磨面Tは被加工物Wの被研磨面Wに圧接されると共に研磨テープTはテープ移送方向Nと直交するテープ幅方向Mに揺振運動し、この研磨テープTの移送及び揺振運動により被加工物Wを研磨することになり、この際、上記テープ圧接機構Cは、上記研磨テープTの研磨面Tを被加工物Wの被研磨面Wに圧接可能な圧接部材2と、上記支持機体Aに設けられ、圧接部材2を圧接移動自在に保持可能な保持部材3と、圧接部材2を圧接移動させる圧接移動機構Cとからなるので、テープ圧接機構Cの構造を簡素化することができると共に圧接移動機構Cにより保持部材3を介して圧接部材2を確実に圧接移動することができ、かつ、上記テープ揺振機構Dとして、上記支持機体Aに上記保持部材3をテープ移送方向Nと直交するテープ幅方向Mに揺振運動自在に設けると共に支持機体Aに揺振用モータ4を設け、支持機体Aに継合軸5を揺振用モータ4の主軸4aと保持部材3との間に位置して回転自在に設け、継合軸5の基端部に嵌合孔5bを形成し、該嵌合孔5bに揺振用モータ4の主軸4aを挿入固定し、継合軸5の先端部と保持部材3との間に偏心輪機構Dを設けて構成しているから、テープ揺振機構Dの構造を簡素化することができると共にコンパクト化することができ、使用の融通性を高めることができる。
【0018】
この場合、上記偏心輪機構Dとして、上記継合軸5の先端部に偏心軸部5aを形成し、偏心軸部5aに偏心輪6を回転自在に設け、上記保持部材3に偏心輪6の外周面に接する対向一対の接触面7a・7aを有して偏心輪6の偏心回転により保持部材3を上記テープ幅方向Mに揺振運動させる駒部材7を設け、継合軸5の基端部に嵌合孔5bを形成し、この嵌合孔5bに揺振用モータ4の主軸4aを挿入固定して構成しているから、偏心輪機構Dの構造を簡素化することができる。
【0019】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、テープ移送機構B、テープ圧接機構C、テープ揺振機構D、圧接移動機構C、偏心輪機構Dの構成等は適宜変更して設計される。
【0020】
又、例えば、上記実施の形態例においては、被加工物Wが円柱状部材となっているが、板状部材に適用することもでき、また、上記実施の形態例においては、乾式研磨構造としているが、板状部材と研磨テープTとの間に各種材質の遊離砥粒や化学剤を含む加工液体や潤滑剤を供給する所謂湿式研磨構造とすることもあり、被加工物Wの種類や研磨条件により選択して設計される。
【0021】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0022】
A 支持機体
T 研磨テープ
B テープ移送機構
研磨面
W 被加工物
被研磨面
C テープ圧接機構
N テープ移送方向
M テープ幅方向
D テープ揺振機構
圧接移動機構
偏心輪機構
1 テープリール
2 圧接部材
3 保持部材
4 揺振用モータ
4a 主軸
5 継合軸
5a 偏心軸部
5b 嵌合孔
6 偏心輪
7 駒部材
7a 接触面
図1
図2
図3
図4
図5
図6