特許第5678557号(P5678557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5678557
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】遮煙部材を備えた扉装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
   B66B13/30 R
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-225539(P2010-225539)
(22)【出願日】2010年10月5日
(65)【公開番号】特開2012-76905(P2012-76905A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2013年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】染田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 恆彦
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−083145(JP,A)
【文献】 特開2009−161355(JP,A)
【文献】 特開2007−153487(JP,A)
【文献】 再公表特許第2004/041705(JP,A1)
【文献】 特開2010−100415(JP,A)
【文献】 特開2004−026316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場から昇降路に通じる出入口に設けられた上枠及び縦枠からなる出入口枠と、該出入口枠に隙間を隔てて配置され敷居に案内されて前記出入口枠の開口部を開閉する乗場扉を備えたエレベータにおいて、前記乗場扉の上部と側部と底部或いは前記乗場扉の上部と側部と底部に対向する対向部材の少なくとも一方には、煙の侵入を阻止する遮煙部材を備え、
前記遮煙部材は耐久性が高いものと低いものがあり、
前記遮煙部材は保持材へ一端を嵌合させて固定され、前記遮煙部材と前記保持材は各々一対の組合わせからなり、嵌合部の形状が前記耐久性の高い遮煙部材及び前記耐久性の高い遮煙部材と一対の保持材と、前記耐久性の低い遮煙部材及び前記耐久性の低い遮煙部材と一対の保持材とで異なり、前記耐久性の高い遮煙部材の嵌合部形状は、前記耐久性の低い遮煙部材と一対の保持材にも嵌合することができ、前記耐久性の低い遮煙部材の嵌合部形状は、前記耐久性の高い遮煙部材と一対の保持材には嵌合することができないことを特徴とした遮煙部材を備えた扉装置。
【請求項2】
前記耐久性が摺動に対する耐久性であることを特徴とする請求項1に記載の遮煙部材を備えた扉装置。
【請求項3】
前記摺動に対する耐久性が高い遮煙部材は摺動に対する耐久性を向上させる薬剤をコーティングしたことを特徴とする請求項2に記載の遮煙部材を備えた扉装置。
【請求項4】
前記摺動に対する耐久性が高い遮煙部材は摺動に対する耐久性が高い素材を材料としたことを特徴とする請求項2に記載の遮煙部材を備えた扉装置。
【請求項5】
前記保持材が押し出し材であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の遮煙部材を備えた扉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮煙機能を有する扉において、遮煙部材を取付ける際、誤った種類の遮煙部材を取付けることを防止し、加えて、取付け方向を誤らないように考えられた遮煙部材取付け構造を有する扉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物内に設置されるエレベータの乗場出入口の扉には、一般に引き戸が用いられ、円滑な開閉動作のために出入口三方枠、敷居、扉相互の間には隙間が設けられている。しかし、万一火災が発生した場合、この隙間から煙が出入することになり、建物内にいる人が煙にまかれてしまう危険があった。
【0003】
そこで、例えば図15に示すように、エレベータ用ドア装置下端部分に遮煙部材を備えた扉装置が提案されている。(文献1参照)
【0004】
すなわち、扉10の下端に敷居4の敷居溝4aに嵌入するように遮煙部材11を取付けて扉10と敷居4との隙間を塞ぐものなどである。
【0005】
また、例えば図16に示すように、エレベータ用ドア装置上端部分に遮煙部材を備えた扉装置が提案されている。
【0006】
扉10の乗場側上端に保持材10cを取付け、保持材10cの溝に遮煙部材20を嵌入してある。一方、出入口上枠3内部には、ブラケットを介して当て板25が取付けてある。
【0007】
前記遮煙部材20と前記当て板25は、出入口中心になるほど高くなるように、傾斜をつけて取付けられており、前記扉10が開く時は前記遮煙部材20と前記当て板25は離れ、前記扉10が閉まると前記遮煙部材20と前記当て板25が接触し、前記遮煙部材20が圧縮されて、遮煙性能を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4280032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
乗場から昇降路に通じる出入口に設けられた上枠及び縦枠からなる出入口枠と、該出入口枠に隙間を隔てて配置され敷居に案内されて前記出入口枠の開口部を開閉する乗場扉を備えたエレベータにおいて、前記乗場扉の上部と側部と底部或いは前記乗場扉の上部と側部と底部に対向する対向部材の少なくとも一方には、煙の侵入を阻止する遮煙部材を備え、前記遮煙部材を保持材(アルミシェープなど)等に取付けて固定する場合、遮煙部材は間口方向においては敷居等と摺動する為、摺動に対する耐久性が必要となり、例えば摺動に対する耐久性がある素材を使用したり、遮煙部材表面を摺動に対する耐久性を向上させる薬剤でコーティングする場合がある。
【0010】
摺動に対する耐久性の必要となる部位とそうでない部位で、摺動に対する耐久性が高い遮煙部材と低い遮煙部材を使い分けしている場合に、摺動に対する耐久性の必要となる部位に、摺動に対する耐久性が低い遮煙部材を誤って取付けてしまうと、早期劣化の原因となる。
【0011】
反対に摺動に対する耐久性が必要ない部位に摺動に対する耐久性が高い遮煙部材を取付けた場合は、遮煙部材が早期に劣化することはない。
【0012】
このことから、すべて摺動に対する耐久性が高い遮煙部材を使用することも考えられるが、コストがかかってしまう。
【0013】
また、摺動に対する耐久性の高低によって、遮煙部材及び保持材の取付け部分を異なった形状とし、取付け互換を無くすことによって、取付け誤りの問題を解決することも考えられるが、前記のように完全に互換性を無くすと、緊急の交換時にすべての遮煙部材を用意することが必要となり、不都合である。
【0014】
さらに、遮煙部材に取付けの方向性があるが、遮煙部材を誤った方向へも取付け可能な場合、誤った方向に取付けてしまうと、遮煙性能を十分発揮することができない。
【0015】
図14(A)に示すように、正常な方向で遮煙部材11aを取付ければ、前記遮煙部材11aの先端が前記敷居4の前記敷居溝4aの側壁に接し、遮煙性能を発揮するが、図14(B)に示すように、取付け方向を誤って取付けると、二点鎖線円aに示すように、前記遮煙部材11aの先端が前記敷居溝4aの側壁から離れ、遮煙性能を十分に発揮できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係る遮煙部材を備えた扉装置は、乗場から昇降路に通じる出入口に設けられた上枠及び縦枠からなる出入口枠と、該出入口枠に隙間を隔てて配置され敷居に案内されて前記出入口枠の開口部を開閉する乗場扉を備えたエレベータにおいて、前記乗場扉の上部と側部と底部或いは前記乗場扉の上部と側部と底部に対向する対向部材の少なくとも一方には、煙の侵入を阻止する遮煙部材を備え、
前記遮煙部材は耐久性が高いものと低いものがあり、
前記遮煙部材は保持材へ一端を嵌合させて固定され、前記遮煙部材と前記保持材は各々一対の組合わせからなり、嵌合部の形状が前記耐久性の高い遮煙部材及び前記耐久性の高い遮煙部材と一対の保持材と、前記耐久性の低い遮煙部材及び前記耐久性の低い遮煙部材と一対の保持材とで異なり、前記耐久性の高い遮煙部材の嵌合部形状は、前記耐久性の低い遮煙部材と一対の保持材にも嵌合することができ、前記耐久性の低い遮煙部材の嵌合部形状は、前記耐久性の高い遮煙部材と一対の保持材には嵌合することができないこととするものである。
【0017】
また、前記耐久性が摺動に対する耐久性であることとする。また、前記摺動に対する耐久性が高い遮煙部材は摺動に対する耐久性を向上させる薬剤をコーティングするものとする、あるいは前記摺動に対する耐久性が高い遮煙部材は摺動に対する耐久性が高い素材を材料とする。また、前記保持材が押し出し材であることとする。
【発明の効果】
【0018】
以上に述べたように本発明によれば、摺動に対する耐久性の低い(例えば、摺動に対する耐久性が低い素材を使用した場合や摺動に対する耐久性を向上させる薬剤のコーティングをしていない等)遮煙部材を摺動に対する耐久性が必要な部位に誤って取付け、早期劣化することを防ぐことができ、さらに、緊急の交換時に摺動に対する耐久性が高い遮煙部材のみを準備すれば交換対応することができる遮煙部材を備えた扉装置を得ることができる。
【0019】
また、本発明によれば、取付けに方向性のある遮煙部材が取付け方向を誤って取付けられることを防ぐことができ、気密性能を十分発揮することができないという不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るエレベータ用ドア装置を裏面から見た図である。
図2】本発明に係るドア装置下部の図1におけるA−A線矢視図
図3】本発明に係るドア装置上部の図1におけるB−B線矢視図
図4】本発明に係るドア装置上部の図1におけるC−C線矢視図
図5】本発明に係るドア装置上部の図1におけるD−D線矢視図
図6】実施例1における正しい組合わせの保持材と遮煙部材の嵌合部拡大図
図7】実施例1における正しい組合わせの保持材と遮煙部材の嵌合部拡大図
図8】実施例1における誤った組合わせ保持材と遮煙部材の嵌合部拡大図
図9】実施例1における誤った組合わせ保持材と遮煙部材の嵌合部拡大図
図10】実施例2における正しい組合わせの保持材と遮煙部材の嵌合部拡大図
図11】実施例2における正しい組合わせの保持材と遮煙部材の嵌合部拡大図
図12】実施例2における誤った組合わせ保持材と遮煙部材の嵌合部拡大図
図13】実施例2における誤った組合わせ保持材と遮煙部材の嵌合部拡大図
図14】従来技術による正しい方向と誤った方向に取付けた場合の敷居部分拡大図
図15】従来技術による乗場扉下端部分の遮煙構造
図16】従来技術による乗場扉上端部分の遮煙構造
図17】実施例4における目印を利用して正しい方向に取付けた場合の敷居部分拡大図
図18】実施例4における目印を押し出し材の断面凹形状とした場合の敷居部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図2は、本発明に係るエレベータ用ドア装置下端部分の一例を示し、図1におけるA−A線矢視図、図3は、本発明に係るエレベータ用ドア装置上端部分の一例を示し、図1におけるB−B線矢視図である。
【0022】
また、図4は、両開きドアの本発明に係るエレベータ用ドア装置戸当たり部分の一例を示し、図1におけるC−C線矢視図であり、(A)は扉が開いている状態、(B)は扉が閉まっている状態を示す。さらに、図5は、本発明に係るエレベータ用ドア装置ドア間口方向端部の一例を示し、図1におけるD−D線矢視図である。
【0023】
図1に示す10は周知のドアハンガー9に吊り下げられた本発明に係る乗場扉で、10aは敷居4の敷居溝に案内されるガイドシューで、乗場扉10の底部に取付けられている。この乗場扉10には、図示しないが周知の通り、錘若しくはバネによる戸閉力が常時付与される構造になっている。
【0024】
図1における2は乗場出入口の左右に取付けられる出入口縦枠であり、3は乗場出入口の上部に取付けられる出入口上枠である。
【0025】
図2に示すエレベータ用ドア装置下端部分において、ブラケットを介して保持材10dが取付けられている。前記保持材10dは例えばアルミニウムの押し出し材であり、押し出し方向に沿って溝が形成されている。前記溝は表面に露出している部分が狭く、内部が広い形状である。遮煙部材20aは一端に固定用の凸形状を持ち、他端がノの字形状の弾性体からなる遮煙材で、前記保持材10dの前記溝に嵌入されており、ガイドシュー10aの取付部分以外の部分に設けられている。前記遮煙部材20aの前記固定用の凸形状は、前記保持材10dの前記溝形状と同一の形状でやや小さく形成されており、前記保持材10dの溝にスライドさせて嵌入される。この凸形状の先端は膨らんだ形状をしており、前記保持材10dから脱落しないようになっている。前記遮煙部材20aの先端はノの字形状をしており、前記溝4aの側壁部に接触して、乗場とエレベータ塔内との煙の行き来を遮断する。
【0026】
図3に示すエレベータ用ドア装置上端部分において、乗場開閉装置1に保持材10eを取付け、遮煙部材20aを嵌入している。前記遮煙部材20aの先端はノの字形状をしており、ドア10に接触して、乗場とエレベータ塔内との煙の行き来を遮断する。
【0027】
図4に示す両開きドアのエレベータ用ドア装置戸当たり部分において、片方の乗場扉10の戸当たり端部に乗場扉上下方向全体に渡って保持材10fを取付け、遮煙部材20bを嵌入している。ここで図(A)は前記乗場扉10が開いている場合を示し、(B)は前記乗場扉10が閉まっている状態を示す。前記遮煙部材20bのノの字形状をした一端は前記乗場扉10が閉まると、前記乗場扉10と前記乗場扉10の間に挟まれ、若しくは、他方の前記遮煙部材20bの取付けられていない前記乗場扉10に接触することにより、乗場とエレベータ塔内との煙の行き来を遮断する。
【0028】
図5に示すエレベータ用ドア装置間口方向端部において、乗場扉10の間口方向端部に乗場扉上下方向全体に渡って保持材10gを取付け、遮煙部材20bを嵌入している。前記遮煙部材20bのノの字形状をした一端は前記乗場扉10が閉まると、乗場縦枠2と接触し、乗場とエレベータ塔内との煙の行き来を遮断する。
【0029】
ここで、図2図3に示したエレベータ用ドア装置下端部分及びエレベータ用ドア装置上端部分に取付けられた前記遮煙部材20aは、乗場扉10が開閉する度に、乗場敷居4aもしくは乗場扉10と摺動するため、摺動に対する耐久性が必要となる。
【0030】
一方、図4および図5に示した両開きドアのエレベータ用ドア装置戸当たり部分およびエレベータ用ドア装置間口方向端部に取付けられた前記遮煙部材20bは、前記乗場扉10または乗場縦枠2に接触するのみで摺動しないため、前記遮煙部材20aほど摺動に対する耐久性は必要ない。
【実施例1】
【0031】
例えば、摺動に対する耐久性が不要な場合の遮煙部材と保持材の固定部分形状例を図6に示した形状の組合わせとし、摺動に対する耐久性が必要な場合の遮煙部材と保持材の固定部分形状例を図7に示した形状の組合わせとする。
【0032】
図6において保持材10fの凹部断面形状は、首形状部16の先端が膨らんだ円形状部12で、前記円形状部12の一部がV字形状凸部13に突出しており、遮煙部材20bの凸部断面形状は、首形状部17の先端が膨らんだ円形状部15で、前記円形状部15の一部がV字形状凹部14に凹んでおり、両者の断面形状は略同一のため、前記V字形状凸部13およびV字形状凹部14が干渉することなく嵌合可能である。
【0033】
また、図7において保持材10dの凹部断面形状は、首形状部16の先端が膨らんだ円形状部12で、前記円形状部12の一部が1/4円形状凸部18に突出しており、遮煙部材20aの凸部断面形状は、首形状部17の先端が膨らんだ円形状部15で、前記円形状部15の一部が1/4円形状凹部19に凹んでおり、両者の断面形状は略同一のため、前記1/4円形状凸部18および1/4円形状凹部19が干渉することなく嵌合可能である。
【0034】
ここで、摺動に対する耐久性が不要な場合に摺動に対する耐久性が高い遮煙部材を使用しても問題にならないが、摺動に対する耐久性が必要な場合に摺動に対する耐久性が低い遮煙部材を使用することは早期劣化の原因となり問題である。
【0035】
図8に示すように、摺動に対する耐久性が不要な部分に対して、図6に記載した前記保持材10fに摺動に対する耐久性が高い図7記載の前記遮煙部材20aを誤って取り付けた場合、前記保持材10fの前記V字形状凸部13に突出した部分と、前記遮煙部材20aの前記1/4円形状凹部19に凹んだ部分は干渉しないため嵌合可能である。
【0036】
前記遮煙部材20aと前記保持材10fの組合わせであれば、摺動に対する耐久性が不要な部分に摺動に対する耐久性が高い遮煙部材を使用することになるため、誤って取り付けられたとしても問題となることは無い。
【0037】
一方、図9に示すように、摺動に対する耐久性が必要な部分に対して、図7に記載した前記保持材10dに摺動に対する耐久性が低い図6記載の前記遮煙部材20bを誤って取り付けようとした場合、前記保持材10dの前記1/4円形状凸部18に突出した部分と、前記遮煙部材20bの前記V字形状凹部14に凹んだ部分が干渉し、嵌合することができない。
【0038】
このように、摺動に対する耐久性が必要な部分の保持材および遮煙部材の嵌合部形状と、摺動に対する耐久性が不要な部分の保持材および遮煙部材の嵌合部形状を、摺動に対する耐久性がある遮煙部材のみ、相互互換がある形状として、摺動に対する耐久性が必要な部分へ摺動に対する耐久性が低い遮煙部材を取り付けることを防止することができる。
【実施例2】
【0039】
保持材および遮煙部材の嵌合部形状について別の実施例を示す。
【0040】
摺動に対する耐久性が不要な場合の遮煙部材と保持材の固定部分形状例を図10に示した形状の組合わせとし、摺動に対する耐久性が必要な場合の遮煙部材と保持材の固定部分形状例を図11に示した形状の組合わせとする。
【0041】
図10において保持材10jの凹部断面形状は、首形状部16の先端が膨らんだ円形状部12で、前記円形状部12の近傍に溝21が形成されており、遮煙部材20dの凸部断面形状は、首形状部17の先端が膨らんだ円形状部15で、前記円形状部15の近傍に突出部22が形成されており、両者の断面形状は略同一のため、前記溝21および突出部22が干渉することなく嵌合可能である。
【0042】
また、図11において保持材10hの凹部断面形状は、首形状部16の先端が膨らんだ円形状部12で、前記円形状部12の近傍に溝23が形成されており、遮煙部材20cの凸部断面形状は、首形状部17の先端が膨らんだ円形状部15で、前記円形状部15の近傍に突出部24が形成されており、両者の断面形状は略同一のため、前記溝23および突出部24が干渉することなく嵌合可能である。
【0043】
ここで、摺動に対する耐久性が不要な場合に摺動に対する耐久性が高い遮煙部材を使用しても問題にならないが、摺動に対する耐久性が必要な場合に摺動に対する耐久性が低い遮煙部材を使用することは早期劣化の原因となり問題である。
【0044】
図12に示すように、摺動に対する耐久性が不要な部分に対して、図10に記載した前記保持材10jに摺動に対する耐久性が高い図11記載の前記遮煙部材20cを誤って取り付けた場合、前記保持材10jの溝21は深く、前記遮煙部材20cの突出部24は低く、干渉しないため嵌合可能である。
【0045】
前記遮煙部材20cと前記保持材10jの組合わせであれば、摺動に対する耐久性が不要な部分に摺動に対する耐久性が高い遮煙部材を使用することになるため、誤って取り付けられたとしても問題となることは無い。
【0046】
一方、図13に示すように、摺動に対する耐久性が必要な部分に対して、図11に記載した前記保持材10hに摺動に対する耐久性が低い図10記載の前記遮煙部材20dを誤って取り付けようとした場合、前記保持材10hの溝23は浅く、前記遮煙部材20dの突出部22高く、干渉するため嵌合することができない。
【0047】
このように、摺動に対する耐久性が必要な部分の保持材および遮煙部材の嵌合部形状と、摺動に対する耐久性が不要な部分の保持材および遮煙部材の嵌合部形状を、摺動に対する耐久性がある遮煙部材のみ、相互互換がある形状として、摺動に対する耐久性が必要な部分へ摺動に対する耐久性が低い遮煙部材を取り付けることを防止することができる。
【実施例3】
【0048】
図14(A)および(B)において、遮煙部材の取付に方向性があり、間違った方向に取り付けた場合、本来必要である遮煙性能が得られないという問題があった。
【0049】
そこで、図14の保持材および遮煙部材の嵌合部形状を図6または図7若しくは図10または図11に示した嵌合部形状の組合わせとする。
【0050】
図6に示した嵌合部組合わせであれば、遮煙部材20bを逆方向に取り付けた場合、保持材10fのV字形状凸部13に突出した部分と遮煙部材20bのV字形状凹部14に凹んだ部分の位置がずれて干渉し、嵌合することができない。
【0051】
図7に示した嵌合部組合わせであれば、遮煙部材20aを逆方向に取り付けた場合、保持材10dの1/4円形状凸部18に突出した部分と遮煙部材20aの1/4円形状凹部19に凹んだ部分の位置がずれて干渉し、嵌合することができない。
【0052】
図10に示した嵌合部組合わせであれば、遮煙部材20dを逆方向に取り付けた場合、保持材10jの溝21と遮煙部材20dの突出部22の位置がずれて干渉し、嵌合することができない。
【0053】
図11に示した嵌合部組合わせであれば、遮煙部材20cを逆方向に取り付けた場合、保持材10hの溝23と遮煙部材20cの突出部24の位置がずれて干渉し、嵌合することができない。
【0054】
このように、遮煙部材の取付に方向性がある場合、嵌合部分の形状に方向性を持たせることにより、間違った方向に遮煙部材を取り付けられることを防止することができる。
【実施例4】
【0055】
図14(A)および(B)において、遮煙部材の取付に方向性があり、間違った方向に取り付けた場合、本来必要である遮煙性能が得られないという問題があった。
【0056】
そこで、図17における保持材10bの長手方向に垂直な面に、V溝または印刷などで目印26を付しておき、遮煙部材11aを取り付ける際、前記目印26を基に遮煙部材11aの取付方向性を確認することにより、間違った方向に前記遮煙部材11aが取り付けられることを防ぐことができる。
【0057】
実施例1および2に保持材および遮煙部材の嵌合部形状を記載したが、もちろん摺動に対する耐久性が必要な部分の保持材および遮煙部材の嵌合部形状と、摺動に対する耐久性が不要な部分の保持材および遮煙部材の嵌合部形状のうち、摺動に対する耐久性がある遮煙部材のみ、相互互換がある形状であれば、前記実施例以外の嵌合部形状であっても良い。
【0058】
実施例1および2における摺動性に対する耐久性が高い遮煙部材の例は遮煙部材に摺動に対する耐久性を向上させる薬剤をコーティングしたものや、摺動に対する耐久性の高い素材を使用したものであるが、その他の方法により、摺動に対する耐久性を向上させた遮煙部材であっても良い。
【0059】
また、実施例3に保持材および遮煙部材の嵌合部形状を記載したが、もちろん遮煙部材に取付けの方向性がある場合、決まった方向にのみ嵌合可能な形状であれば、前記実施例以外の嵌合部形状であっても良い。
【0060】
実施例4における目印26はV溝加工の他、印刷等であっても良い。
【0061】
実施例4における目印26は図18に示した目印29のように、保持材10bが押し出し材の場合、シェープ断面に凹形状を設けて目印としても良い。
【0062】
前記目印29は凸形状としても良い。
【0063】
実施例3および4における遮煙部材の取付けの方向性は例えば、前記遮煙部材と前記乗場扉の上部と側部と底部或いは前記乗場扉の上部と側部と底部に対向する対向部材が接する面のみに摺動に対する耐久性を向上させる薬剤をコーティングされた前記遮煙部材を使用する場合である。
【0064】
実施例3および4における遮煙部材の取付けの方向性の別の例として、前記遮煙部材と前記乗場扉の上部と側部と底部或いは前記乗場扉の上部と側部と底部に対向する対向部材が接する面のみに摺動に対する耐久性が高い素材を一体に形成され、もしくは組合わされた前記遮煙部材を使用する場合である
【0065】
各実施例は両開き扉について説明したが、片開き扉についても同様に適用可能である。
【0066】
本発明はエレベータ以外の遮煙性能を必要とする扉装置に適用することができる。
【0067】
前記各保持材は樹脂の射出成形品や樹脂の押し出し材であっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 乗場開閉装置
2 出入口縦枠
3 出入口上枠
4 敷居
4a 敷居溝
9 ドアハンガー
10 乗場扉
10a ガイドシュー
10b〜10k 保持材
12、15 円形状部
13 V字形状凸部
14 V字形状凹部
16,17 首形状部
18 1/4円形状凸部
19 1/4円形状凹部
11、11a、20、20a〜20d、27 遮煙部材
21、23 溝
22、24 突出部
25 当て板
26 目印(V溝)
28 戸当たりゴム
29 目印(シェープ断面凹形状)
図1
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