(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679052
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】多孔性ナノウェブ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/728 20120101AFI20150212BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20150212BHJP
D01D 5/04 20060101ALI20150212BHJP
H01M 2/16 20060101ALI20150212BHJP
D01D 5/28 20060101ALN20150212BHJP
【FI】
D04H1/728
D04H1/4382
D01D5/04
H01M2/16 P
!D01D5/28
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-516503(P2013-516503)
(86)(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公表番号】特表2013-534980(P2013-534980A)
(43)【公表日】2013年9月9日
(86)【国際出願番号】KR2011004510
(87)【国際公開番号】WO2011162528
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2012年12月20日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0058575
(32)【優先日】2010年6月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】314003797
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ム−ソク
【審査官】
中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−103050(JP,A)
【文献】
特開2002−170540(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/027063(WO,A1)
【文献】
国際公開第2008/018584(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/033975(WO,A1)
【文献】
特開2009−150039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00−18/04
H01M 2/16
H01G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
200℃以下の融点を有する第1のポリマーと、210℃以上の融点を有する第2のポリマーと、を含んでおり、
前記第1のポリマーで形成された第1のナノ繊維と、前記第2のポリマーで形成された第2のナノ繊維と、を含み、
前記第1及び第2のナノ繊維は0.005〜5μmの平均直径を有し、
前記第1及び第2のナノ繊維が、マルチ紡糸ノズルを介して同時に形成された単一ナノウェブを構成しており、
1〜30μmの厚さ及び40〜90%の多孔度を有する、
ことを特徴とする多孔性ナノウェブ。
【請求項2】
前記第1のポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合物又はこれらの混合物であって、
前記第2のポリマーはポリイミドである
ことを特徴とする、請求項1に記載の多孔性ナノウェブ。
【請求項3】
前記多孔性ナノウェブにおける前記第2のポリマーの含量は50〜90重量%である
ことを特徴とする、請求項1に記載の多孔性ナノウェブ。
【請求項4】
200℃以下の融点を有する第1のナノ繊維を製造するために、第1のポリマーで第1の紡糸溶液を製造する段階と、
210℃以上の融点を有する第2のナノ繊維を製造するために、第2のポリマーで第2の紡糸溶液を製造する段階と、
前記第1及び第2の紡糸溶液を、マルチ紡糸ノズルを介して単一ナノウェブを形成するように同時に電気紡糸する段階と、
を含む
ことを特徴とする多孔性ナノウェブの製造方法。
【請求項5】
前記第1のポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合物又はこれらの混合物であって、
前記第2のポリマーは熱可塑性ポリイミドである
ことを特徴とする、請求項4に記載の多孔性ナノウェブの製造方法。
【請求項6】
前記第1のポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合物又はこれらの混合物であって、
前記第2のポリマーはポリイミド前駆体である
ことを特徴とする、請求項4に記載の多孔性ナノウェブの製造方法。
【請求項7】
前記第2の紡糸溶液の電気紡糸後に前記ポリイミド前駆体のイミド化を行う段階をさらに含む
ことを特徴とする、請求項6に記載の多孔性ナノウェブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性ナノウェブ及びその製造方法に関し、より具体的には、二次電池の分離膜の製造に使用できる多孔性ナノウェブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気、電子、通信及びコンピューター産業が急速に発展するにつれて、高性能及び高安全性を有する二次電池に対する需要が漸次増大してきた。特に、環境に対する関心が高まるにつれて、電気自動車の開発のための研究が進められている。二次電池は、電気自動車の最も重要な部品の一つである。
【0003】
二次電池は、アノード、分離膜及びカソードを含む。二次電池の性能を向上させるためには分離膜の薄膜化が必要であり、前記分離膜は高い多孔度及び優れた熱安定性を有さなければならない。
【0004】
優れた熱安定性のために、分離膜は、シャットダウン(shut down)機能を行わなければならなく、高い短絡温度(short―circuit temperature)を有さなければならない。ここで、シャットダウン機能は、電池の内部温度が所定値を超える場合、分離膜の微細気孔を塞いで電流を遮断することによって追加の発熱反応を防止する機能を意味する。前記短絡温度は、分離膜が収縮及び分解されて破裂されることによって電池が短絡される温度を意味する。分離膜が耐熱性に優れると、短絡温度は高くなる。
【0005】
従来の分離膜の代表的な例としては、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィンで製造された分離膜がある。ポリオレフィン分離膜は、融点が低いので、電池の温度が非正常的に高温範囲にある場合にシャットダウン機能が円滑に行われるという利点を有するが、短絡温度が過度に低いので、高耐熱性が要求される自動車用二次電池分野に適用されるには問題を有していた。
【0006】
高温での電池の短絡を防止するために、ポリエチレンテレフタレート分離膜が提案されたことがある。ポリエチレンテレフタレート分離膜は、ポリオレフィン分離膜より高い短絡温度を有するので、分離膜の破裂による電池の短絡危険を相当減少させることができる。その一方、ポリエチレンテレフタレート分離膜は、過度に高い融点を有するので、電池が非正常的に高温の範囲に露出する場合にシャットダウン機能が行われない。また、通常、ポリエチレンテレフタレート分離膜は、不織布製造工程によって製造されるので、業界で要求される程度の薄膜化及び多孔度を得ることが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するためになされたもので、その目的は、薄膜化が容易で、且つ優れた熱安定性を有する多孔性ナノウェブ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の一側面として、200℃以下の融点を有する第1のポリマーと、210℃以上の融点を有する第2のポリマーとを含むことを特徴とする多孔性ナノウェブが提供される。
上記多孔性ナノウェブは、上記第1のポリマーで形成された第1のナノ繊維と、上記第2のポリマーで形成された第2のナノ繊維と、を含む。上記第1及び第2のナノ繊維は0.005〜5μmの平均直径を有し、上記第1及び第2のナノ繊維が、マルチ紡糸ノズルを介して同時に形成された単一ナノウェブを構成している。上記多孔性ナノウェブは、1〜30μmの厚さ及び40〜90%の多孔度を有する。
【0009】
前記の目的を達成するための本発明の他の側面として、200℃以下の融点を有する第1のナノ繊維を製造するために、第1のポリマーで第1の紡糸溶液を製造する段階と、210℃以上の融点を有する第2のナノ繊維を製造するために、第2のポリマーで第2の紡糸溶液を製造する段階と、前記第1及び第2の紡糸溶液を
、マルチ紡糸ノズルを介して単一ナノウェブを形成するように同時に電気紡糸する段階とを含むことを特徴とする多孔性ナノウェブの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
前記構成による本発明は、次のような効果を有する。
【0011】
第一に、本発明に係る多孔性ナノウェブは、ナノ繊維の集合体からなっており、薄膜化が容易で、多孔度が高く、孔径が容易に調節され得るので、これによって製造された二次電池は電池性能に優れるという効果を有する。
【0012】
第二に、本発明に係る多孔性ナノウェブは、低融点のナノ繊維を含んでいるので、電池が非正常的に高温に上昇するとしても、シャットダウン機能を円滑に行うことによって電池の爆発を防止できるという効果を有する。
【0013】
第三に、本発明に係る多孔性ナノウェブは、耐熱性に優れた高融点のナノ繊維を含んでいるので、優れた熱的安定性を有する。すなわち、本発明の多孔性ナノウェブは、優れた寸法安定性及び耐久性を有し、その結果、分離膜の破裂による二次電池の短絡現象を防止できるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0015】
本発明に係る多孔性ナノウェブは、200℃以下の融点を有する第1のポリマーと、210℃以上の融点を有する第2のポリマーとを含む。
【0016】
前記第1のポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合物又はこれらの混合物であって、前記第2のポリマーはポリイミドであり得る。
【0017】
前記多孔性ナノウェブにおける前記第2のポリマーの含量は、50〜90重量%であり得る。
【0018】
本発
明によると、前記第1及び第2のポリマーはナノ繊維の形態でそれぞれ存在し得る。すなわち、本発明
に係る多孔性ナノウェブは、第1のポリマーで形成された第1のナノ繊維と、第2のポリマーで形成された第2のナノ繊維とを含む。
【0019】
前記第1のナノ繊維は、電池が非正常的に高温に露出する場合、シャットダウン機能を迅速に行えるようにする。すなわち、電池が高温に露出した場合、第1のナノ繊維は、膨張したり溶けることによって分離膜の気孔を塞いで電流の流れを遮断し、電池の爆発危険を減少させる。
【0020】
非正常的な高温でシャットダウン機能を円滑に行えるようにするために、前記第1のナノ繊維は200℃以下の融点を有することが望ましい。より望ましくは、前記第1のナノ繊維は100〜200℃の融点を有する。
【0021】
前記第1のナノ繊維の融点が100℃未満である場合、シャットダウンが過度に低い温度で作動するので、電流が頻繁に遮断されることによって電池の性能が低下し得る。その一方、前記第1のナノ繊維の融点が200℃を超える場合、シャットダウンが円滑に作動しないので、電池が爆発する危険がある。
【0022】
第1のナノ繊維を形成する第1のポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合物又はこれらの混合物であり得る。
【0023】
前記第2のナノ繊維は、優れた耐熱性を有し、分離膜が高温及び高圧の状態に露出する場合に分離膜の収縮及び破裂を防止する役割をする。
【0024】
従来、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン分離膜は、相対的に低い耐熱性のため、電池が高温に露出する場合に容易に収縮及び破裂され、その結果、電池が短絡されて爆発の危険があり得る。
【0025】
ポリオレフィン分離膜の相対的に低い耐熱性を補完するために、ポリオレフィン多孔性ナノウェブに無機物質をコーティングした分離膜が提案されたことがある。しかし、このような分離膜は、無機物質が多孔性ナノウェブの気孔を塞ぐことによって電池性能が低下し、製造工程が複雑になることによって経済性が低下するという問題を有する。
【0026】
前記第2のナノ繊維は、210℃以上の融点を有する第2のポリマーで形成されるので優れた耐熱性を有し、温度の急激な上昇による分離膜の収縮及び破裂を防止することができる。
【0027】
第2のナノ繊維は、210〜600℃の融点を有することが望ましい。前記第2のナノ繊維の融点が210℃未満である場合、第1のナノ繊維の融点に過度に近づくことによって電池の熱安定性を担保できなく、その一方、前記第2のナノ繊維の融点が600℃を超える場合、多孔性ナノウェブの製造が容易でないため経済性が低下し得る。
【0028】
前記第2のナノ繊維の含量は、全体の多孔性ナノウェブの重量に対して50〜90重量%の範囲であり得る。前記第2のナノ繊維の含量が50重量%未満である場合、多孔性ナノウェブの耐熱性を担保できない。その一方、前記第2のナノ繊維の含量が90重量%を超える場合、第1のナノ繊維の不足によってシャットダウン機能が円滑に行われなくなる。
【0029】
前記第1及び第2のナノ繊維は、単一ナノウェブを構成す
る。
【0030】
選択的に、多孔性ナノウェブは、前記第1のナノ繊維を含む第1のサブ―ナノウェブと、前記第2のナノ繊維を含む第2のサブ―ナノウェブとを含むこともできる。この場合、第1及び第2のサブ―ナノウェブは、ニードルパンチング(needle punching)などの手段によって結合されることによって多孔性ナノウェブを形成する。
【0031】
本発明の他の実施例によると、多孔性ナノウェブは複合ナノ繊維を含むことができる。前記複合ナノ繊維は、前記第2のポリマーで形成されたコアと、前記第1のポリマーで形成され、前記コアを取り囲むシース(sheath)とを含むことができる。
【0032】
選択的に、前記複合ナノ繊維は、サイドバイサイド(side by side)に配置された第1及び第2のポリマーを含むこともできる。
【0033】
本発明の多孔性ナノウェブは、不連続的なナノ繊維が不規則的に配列された3次元ネットワークであって、均一に分布された多数の気孔を含む。多数の気孔のため、本発明の多孔性ナノウェブは、電解液に対する優れた濡れ性(wetting property)を有し、結果的に二次電池の性能を向上させることができる。
【0034】
多孔性ナノウェブの孔径は0.05〜30μmであり得る。前記孔径が0.05μm未満であると電池性能が急激に低下し、前記孔径が30μmを超えると分離膜の機械的強度が低下し得る。
【0035】
前記多孔性ナノウェブの気孔の形成程度を示す多孔度は40〜90%で
ある。前記多孔性ナノウェブの多孔度が40%未満である場合は電池性能が低下し、前記多孔性ナノウェブの多孔度が90%を超える場合は分離膜の機械的強度及び形態安定性が低下し得る。
【0036】
前記多孔性ナノウェブは1〜30μmの厚さで形成す
る。前記多孔性ナノウェブの厚さが1μm未満である場合は分離膜の機械的強度及び形態安定性が低下し、前記多孔性ナノウェブの厚さが30μmを超える場合は分離膜の抵抗損失によって電池性能の低下が発生し得る。
【0037】
上述した多孔度と厚さを満足させるために、前記多孔性ナノウェブをなしているナノ繊維の平均直径は0.005〜5μmであ
る。ナノ繊維の平均直径が0.005μm未満である場合は多孔性ナノウェブの機械的強度が低下し、ナノ繊維の平均直径が5μmを超える場合は多孔性ナノウェブの多孔度及び厚さ調節が容易でなくなる。
【0038】
以下、本発明の一実施例に係る多孔性ナノウェブの製造方法について説明する。
【0039】
本発明の多孔性ナノウェブの製造方法は、200℃以下の融点を有する第1のナノ繊維を製造するために第1のポリマーで第1の紡糸溶液を製造する段階と、210℃以上の融点を有する第2のナノ繊維を製造するために第2のポリマーで第2の紡糸溶液を製造する段階と、前記第1及び第2の紡糸溶液を電気紡糸する段階とを含む。
【0040】
前記第1及び第2の紡糸溶液は、DMFなどの有機溶媒に第1及び第2のポリマーをそれぞれ溶解させることによって製造することができる。
【0041】
前記第1の紡糸溶液のための第1のポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合物又はこれらの混合物であり得る。
【0042】
前記第2の紡糸溶液のための第2のポリマーは、熱可塑性ポリイミド又はポリイミド前駆体であり得る。
【0043】
前記第2のポリマーがポリアミド酸(poly amic acid、PAA)などのポリイミド前駆体である場合、第2の紡糸溶液の電気紡糸後に前記ポリイミド前駆体のイミド化を行うことによって前記第2のナノ繊維をポリイミドにすることができる。前記イミド化は、化学的イミド化(chemical imidization)及び/又は熱的イミド化(heat imidization)であり得る。化学的イミド化のためには、前記第2の紡糸溶液に無水酢酸などの脱水剤、及び3次アミンなどのイミド化触媒が所定量で添加されなければならない。熱的イミド化のためには、ホットプレスを用いた熱処理工程を行うことができる。
【0044】
前記電気紡糸工程は、紡糸溶液が電荷を有するように電圧を印加する段階と、前記電荷を有する紡糸溶液を紡糸ノズルを通して吐出することによってナノ繊維を製造する段階と、前記紡糸溶液と反対の電荷を有する集電体(collector)に前記ナノ繊維を集積する段階とを含む。
【0045】
電気紡糸工程は、ナノサイズの直径を有する各繊維を容易に製造できるという利点を有する。電気紡糸工程を通して製造された各ナノ繊維からなる多孔性ナノウェブは、薄い厚さと高い多孔度を有する。したがって、本発明の多孔性ナノウェブは、電気抵抗が低いので、二次電池に用いられる場合に二次電池の性能を大いに向上させることができる。
【0046】
本発明の一実施例によると、前記第1の紡糸溶液を電気紡糸して第1のサブ―ナノウェブを形成し、前記第2の紡糸溶液を電気紡糸して第2のサブ―ナノウェブを形成する。続いて、前記第1及び第2のサブ―ナノウェブをニードルパンチングなどの方法を用いて結合することによって多孔性ナノウェブを製造する。選択的に、第2のサブ―ナノウェブを先に製造した後、その上に第1のサブ―ナノウェブを形成することもできる。
【0047】
本発明の他の実施例によると、前記第1及び第2の紡糸溶液が同時に電気紡糸されることによって単一ナノウェブを形成する。すなわち、第1及び第2の紡糸溶液を電圧が印加された各紡糸ノズルにそれぞれ供給し、前記各紡糸ノズルを介して吐出することによって第1及び第2のナノ繊維を同時に形成する。続いて、前記第1及び第2のナノ繊維を一つの集電体に集積することによって多孔性ナノウェブを製造する。
【0048】
このように製造された本発明の多孔性ナノウェブは、200℃以下の融点を有する第1のナノ繊維を含むことによってシャットダウン機能を円滑に行うことができ、210℃以上の融点を有する第2のナノ繊維を含むことによって短絡による電池の爆発を防止することができる。
【0049】
また、本発明の多孔性ナノウェブは、薄い厚さ、高い多孔度、及び最適範囲の孔径を有することによって高い熱安定性要件を満足させる高性能二次電池の製造を可能にする。
【0050】
以下では、具体的な実施例及び比較例を通して本発明の効果をより具体的に説明する。これら実施例は、本発明の理解を促進するためのものに過ぎなく、本発明の権利範囲を制限するものではない。
【0051】
実施例1
ポリウレタン(Dow chemical社製品)をジメチルアセトアミド/アセトン混合溶媒に溶かして第1の紡糸溶液を製造した。熱可塑性ポリイミド(Ciba―Geigy社製品)をN―メチル―2―ピロリドンに溶かして第2の紡糸溶液を製造した。前記第1の紡糸溶液と第2の紡糸溶液をマルチ紡糸ノズルに別個に供給し、前記紡糸ノズルを介して共に吐出することによって多孔性ナノウェブを製造した。このとき、電気紡糸工程は、30kVの電圧を印加した状態で行われた。
【0052】
実施例2
上述した実施例1において、前記ポリウレタン紡糸溶液の代わりにポリエチレンをトルエンに溶かして製造した第1の紡糸溶液を使用することを除いては、実施例1と同一の方法によって多孔性ナノウェブを製造した。
【0053】
実施例3
上述した実施例1において、前記熱可塑性ポリイミドの代わりに、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を使用してポリアミド酸多孔性ナノウェブを製造し、それを高温及び高圧状態のホットプレスで熱処理してサブ―ナノウェブを形成した後、その上に前記第1の紡糸溶液を紡糸することによって多孔性ナノウェブを製造したことを除いては、実施例1と同一の方法によって多孔性ナノウェブを製造した。
【0054】
実施例4
上述した実施例1において、第1の紡糸溶液と第2の紡糸溶液を電気紡糸装置で複合紡糸する代わりに、第1の紡糸溶液と第2の紡糸溶液をそれぞれ別途に電気紡糸して第1及び第2のサブ―ナノウェブを製造した後、前記それぞれ製造された第1及び第2のサブ―ナノウェブをニードルパンチ工程を通して混合して多孔性ナノウェブを製造することを除いては、実施例1と同一の方法によって多孔性ナノウェブを製造した。
【0055】
比較例1
通常の低密度ポリエチレンを溶融した後、紡糸及び延伸してフィラメントを製造した。以後、前記ポリエチレンフィラメントを用いてクリンプ工程を行い、熱固定した後、51mmに切断してポリエチレンステープルを製造した。その後、前記ポリエチレンステープルのカーディング工程及びクロスラッピング工程を通してウェブを形成した後、前記各ウェブにニードルパンチ工程を行って多孔性ナノウェブを製造した。
【0056】
比較例2
上述した比較例1において、ポリエチレンの代わりに通常のポリエチレンテレフタレートを使用することを除いては、比較例1と同一の方法によって多孔性ナノウェブを製造した。
【0057】
実施例及び比較例によって製造された多孔性ナノウェブの物性は次の方法で測定し、下記の表1に示した。
【0058】
繊維の平均直径
実施例及び比較例の多孔性ナノウェブを構成する繊維の平均直径は、電子走査顕微鏡(Scanning Electron Microscope、HITACHI S―4300)及びイメージ分析機(Image―Pro PlusのソフトウェアにJVC Digital Camera KY―F70Bを使用)を用いて測定した。このとき、5個以上の測定試料を採取した後で測定し、これを平均した。
【0059】
多孔度(%)
各ナノウェブの多孔度は、下記の式のようにナノウェブの全体体積に対する空気体積の比率によって計算した。
【0060】
多孔度(%)=(空気体積/全体体積)×100
このとき、全体体積は、矩形状のナノウェブのサンプルを製造した後、横の長さ、縦の長さ、厚さを測定して計算した。ナノウェブサンプルの質量及び密度から各ナノ繊維の体積を求めた後、全体体積から前記各ナノ繊維の体積を引くことによって空気体積を得ることができた。
【0061】
熱収縮率(%)
実施例及び比較例によって製造された各多孔性ナノウェブの高温での形態安定性を間接的に確認するために、横2cm×縦5cmのサンプルを作った。2枚のガラス板の間にサンプルを入れてクリップで締め付け、150℃で10分間放置した。続いて、熱処理後のサンプルの縦の長さを測定した。熱処理によるサンプルの縦の長さの変化を初期の縦の長さ(5cm)で割った後で100を掛けることによって熱収縮率を算出した。
【0062】
熱収縮率(%)=[熱処理による縦の長さの変化/初期の縦の長さ]×100
【0063】
シャットダウン及び熱安定性
実施例及び比較例によって製造された各多孔性ナノウェブのシャットダウン及び高温での熱安定性を間接的に確認するために、サンプルに200℃まで熱を加えた。100℃でのサンプルの内部抵抗が20℃でのサンプルの内部抵抗の4倍以上である場合はシャットダウン機能があると判断し、100℃から200℃までサンプルの内部抵抗が低下しない場合は熱安定性があると判断した。