特許第5679084号(P5679084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5679084
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】熱交換器および空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/18 20110101AFI20150212BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20150212BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20150212BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20150212BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20150212BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
   F24F1/18
   F25B39/00 E
   F28F9/26
   F28F9/02 301D
   F28D1/047 C
   F28D1/053 A
【請求項の数】15
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2014-184812(P2014-184812)
(22)【出願日】2014年9月11日
【審査請求日】2014年9月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-188704(P2013-188704)
(32)【優先日】2013年9月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神藤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】織谷 好男
(72)【発明者】
【氏名】森本 康介
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 智彦
(72)【発明者】
【氏名】上総 拓也
(72)【発明者】
【氏名】濱舘 潤一
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−147273(JP,A)
【文献】 特開2011−208913(JP,A)
【文献】 特開2013−61091(JP,A)
【文献】 特開2012−167880(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0066633(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/00
F24F 1/18
F28D 1/047
F28D 1/053
F28F 9/02
F28F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に並んだ複数の扁平管(31,61)によってそれぞれが構成されて空気の流れ方向に並ぶ風上管列(50)及び風下管列(90)と、上記扁平管(31,61)に接合されたフィン(32,62)とを備え、
上記扁平管(31,61)を流れる冷媒を空気と熱交換させる熱交換器であって、
上記風上管列(50)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(31)によってそれぞれが構成された風上主列部(51)と風上補助列部(54)に区分され、
上記風上補助列部(54)は、上記風上主列部(51)よりも下方に位置し且つ該風上主列部(51)よりも少数の上記扁平管(31)によって構成され、
上記風下管列(90)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成された風下主列部(91)と風下補助列部(94)に区分され、
上記風下補助列部(94)は、上記風下主列部(91)よりも下方に位置し且つ該風下主列部(91)よりも少数の上記扁平管(61)によって構成される一方、
上記風下主列部(91)を構成する上記扁平管(61)の一端に接続され、複数の該扁平管(61)と連通する主連通空間(75a〜75f)を形成するヘッダ集合管(70)を更に備え、
冷媒の流通経路において、上記風上補助列部(54)と、上記風下補助列部(94)と、上記ヘッダ集合管(70)と、上記風下主列部(91)と、上記風上主列部(51)とが直列に配置され、
蒸発器として機能する場合には、上記風上補助列部(54)から上記風上主列部(51)へ順に冷媒が流れ、凝縮器として機能する場合には、上記風上主列部(51)から上記風上補助列部(54)へ順に冷媒が流れる
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、
上記風上主列部(51)を構成する上記扁平管(31)は、上記風下主列部(91)を構成する上記扁平管(61)と同数であり、
上記風上補助列部(54)を構成する上記扁平管(31)は、上記風下補助列部(94)を構成する上記扁平管(61)と同数である
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記風上主列部(51)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(31)によってそれぞれが構成される複数の風上主列ブロック(52a〜52f)に更に区分され、
上記風下主列部(91)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成される複数の風下主列ブロック(92a〜92f)に更に区分され、
上記風上主列ブロック(52a〜52f)は、上記風下主列ブロック(92a〜92f)と同数であり、
上記各風上主列ブロック(52a〜52f)は、互いに異なる一つの上記風下主列ブロック(92a〜92f)と対になり、対になった該風上主列ブロック(52a〜52f)と該風下主列ブロック(92a〜92f)が冷媒の流通経路において直列に配置される
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項3において、
対になった上記風上主列ブロック(52a〜52f)と上記風下主列ブロック(92a〜92f)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,61)が同数である
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項4において、
対になった上記風上主列ブロック(52a〜52f)と上記風下主列ブロック(92a〜92f)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,61)が一本ずつ個別に接続される
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか一つにおいて、
上記ヘッダ集合管(70)には、上記風下主列ブロック(92a〜92f)と同数の上記主連通空間(75a〜75f)が形成され、
上記各主連通空間(75a〜75f)は、互いに異なる一つの上記風下主列ブロック(92a〜92f)と対になり、該主連通空間(75a〜75f)と対になった上記風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する上記扁平管(61)と連通する
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項7】
請求項1又は2において、
上記風上補助列部(54)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(31)によってそれぞれが構成される複数の風上補助列ブロック(55a〜55c)に更に区分され、
上記風下補助列部(94)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成される複数の風下補助列ブロック(95a〜95c)に更に区分され、
上記風上補助列ブロック(55a〜55c)は、上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と同数であり、
上記各風上補助列ブロック(55a〜55c)は、互いに異なる一つの上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になり、対になった該風上補助列ブロック(55a〜55c)と該風下補助列ブロック(95a〜95c)が冷媒の流通経路において直列に配置される
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項8】
請求項7において、
対になった上記風上補助列ブロック(55a〜55c)と上記風下補助列ブロック(95a〜95c)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,61)が同数である
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項9】
請求項8において、
対になった上記風上補助列ブロック(55a〜55c)と上記風下補助列ブロック(95a〜95c)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,61)が一本ずつ個別に接続される
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか一つにおいて、
上記ヘッダ集合管(70)は、上記風下補助列部(94)を構成する上記扁平管(61)とそれぞれが連通する複数の補助連通空間(77a〜77c)を更に形成し、
上記補助連通空間(77a〜77c)は、上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と同数であり、
一つずつの上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と上記補助連通空間(77a〜77c)が対になり、
上記各補助連通空間(77a〜77c)は、該補助連通空間(77a〜77c)と対になった上記風下補助列ブロック(95a〜95c)を構成する上記扁平管(61)と連通する
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項11】
請求項1又は2において、
上記風下主列部(91)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成される複数の風下主列ブロック(92a〜92f)に更に区分され、
上記風下補助列部(94)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成される複数の風下補助列ブロック(95a〜95c)に更に区分され、
上記ヘッダ集合管(70)には、上記風下主列ブロック(92a〜92f)と同数の上記主連通空間(75a〜75f)が形成され、
上記各主連通空間(75a〜75f)は、互いに異なる一つの上記風下主列ブロック(92a〜92f)と対になり、該主連通空間(75a〜75f)と対になった上記風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する上記扁平管(61)と連通する
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項12】
請求項11において、
上記風下主列部(91)には、複数の上記風下主列ブロック(92a〜92f)によってそれぞれが構成された風下主列ブロック群(93a〜93c)が形成され、
上記風下主列ブロック群(93a〜93c)は、上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と同数であり、
上記各風下主列ブロック群(93a〜93c)は、互いに異なる一つの上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になり、
上記各風下補助列ブロック(95a〜95c)は、該風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になった上記風下主列ブロック群(93a〜93c)の上記風下主列ブロック(92a〜92f)に対応する上記主連通空間(75a〜75f)に接続されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項13】
請求項12において、
上記各風下主列ブロック群(93a〜93c)を構成する複数の上記風下主列ブロック(92a〜92f)は、互いに上下に隣り合っている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項14】
請求項11において、
上記風下主列ブロック(92a〜92f)は、上記風下補助列ブロック(95a〜95f)と同数であり、
上記各風下主列ブロック(92a〜92f)は、互いに異なる一つの上記風下補助列ブロック(95a〜95f)と対になり、対になった該風下主列ブロック(92a〜92f)と該風下補助列ブロック(95a〜95f)が冷媒の流通経路において直列に配置される
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一つに記載の熱交換器(23)が設けられた冷媒回路(20)を備え、
上記冷媒回路(20)において冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うことを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平管とフィンを有して冷媒と空気を熱交換させる熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、扁平管とフィンを有して冷媒と空気を熱交換させる熱交換器が知られている。特許文献1(図3を参照)には、配列された扁平管からなる管列を一つ有する一列構造の熱交換器が開示されている。特許文献2(図2を参照)及び特許文献3(図22を参照)には、配列された扁平管からなる管列を二つ有する二列構造の熱交換器が開示されている。特許文献2に開示された熱交換器では、個別の扁平管を二列に配列することによって二つの管列が構成される。一方、特許文献3の熱交換器では、中間部で折れ曲がったU字状の扁平管を配列することによって、二つの管列が構成される。また、特許文献1〜3に開示された熱交換器では、扁平管の端部にヘッダが接続され、ヘッダへ流入した冷媒が複数の扁平管へ分かれて流れ込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−137193号公報
【特許文献2】特表2005−510689号公報
【特許文献3】特開平08−145580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気と冷媒を熱交換させる熱交換器の性能は、熱交換器における冷媒の流通経路によって変化する。特に、二列構造の熱交換器では、風上側の管列と風下側の管列のどちらへ先に冷媒を流すかが問題となる。
【0005】
一般に、蒸発器として用いられる熱交換器については、風上側の管列から風下側の管列へ順に冷媒を流すのが望ましいと考えられていた。しかし、特許文献1に開示された構造の熱交換器(即ち、ヘッダへ流入した冷媒を上下に並んだ複数の扁平管へ分配する構造の熱交換器)を二列構造としたものにおいて、それが蒸発器として機能する際に風上側の管列から風下側の管列へ順に冷媒を流すと、充分な性能が得られないおそれがある。
【0006】
その理由を、図18図20を参照しながら説明する。なお、図18及び図20に示す空気と冷媒の温度は、熱交換器(500)を空調機の室外熱交換器として用いた場合の一例である。
【0007】
各扁平管(501)へ流入する気液二相状態の冷媒の湿り度が均一だとすると、熱交換器(500)では、冷媒と空気の温度が図18に示すように変化する。
【0008】
具体的に、風上側の管列(502)を流れる冷媒の温度(飽和温度)は、冷媒が扁平管(501)を通過する際の圧力損失に起因して2℃から1℃に低下する。一方、熱交換器(500)を通過する空気は、風上側の管列(502)を流れる冷媒と熱交換し、その温度が7℃から3℃に低下する。また、風下側の管列(503)を流れる冷媒の温度(飽和温度)は、冷媒が扁平管(501)を通過する際の圧力損失に起因して1℃から0℃に低下すると共に、風上側の管列(502)を通過した3℃の空気と熱交換する。そして、風下側の管列(503)を構成する扁平管(501)の途中でガス単相状態となった冷媒は、風上側の管列(502)を通過した空気から吸熱して過熱状態となる。
【0009】
このように、各扁平管(501)へ流入する気液二相状態の冷媒の湿り度が均一であれば、風下側の管列(503)では、風上側の管列(502)を通過する際の圧力損失によって温度低下した冷媒と、風上側の管列(502)を流れる冷媒によって冷却された空気とが熱交換するため、両方の管列(502,503)において冷媒と空気の温度差が確保され、熱交換器(500)における冷媒と空気の間で交換される熱量が十分に確保される。
【0010】
ところが、上下方向に長いヘッダ内の空間へ流入した気液二相状態の冷媒を、その空間に連通する上下に並んだ複数の扁平管(501)へ分配する場合は、液冷媒の密度がガス冷媒よりも大きいため、上方に位置する扁平管(501)ほど流入する冷媒の湿り度が小さくなる。従って、上方に位置する扁平管(501)ほど、流入する冷媒の質量流量が少なくなる。
【0011】
このため、図19に示すように、流入する冷媒の湿り度が小さい熱交換器(500)の上部では、風上側の管列(502)の途中で冷媒がガス単相状態となるおそれがある。つまり、扁平管(501)を過熱状態のガス冷媒が流れる領域(即ち、図19に示すドットを付した過熱領域(504))が風上側の管列(502)に形成されるおそれがある。
【0012】
熱交換器(500)のうち風上側の管列(502)の途中で冷媒がガス単相状態となった部分では、冷媒と空気の温度が図20に示すように変化する。
【0013】
具体的に、風上側の管列(502)へ流入した2℃の気液二相状態の冷媒は、その途中でガス単相状態となり、風上側の管列(502)の出口では6℃となる。一方、風上側の管列(502)のうち気液二相状態の冷媒が流れる部分を通過した空気は温度が7℃から3℃に低下するが、ガス単相状態が流れる部分を通過した空気は温度が殆ど低下しない。風下側の管列(503)へは6℃のガス単相状態の冷媒が流入するが、風下側の管列(503)の前半部分には、風上側の管列(502)のうちガス単相状態の冷媒が流れる部分を通過した空気が流入するため、風下側の管列(503)の前半部分を通過する間に冷媒の温度は殆ど変化しない。また、風下側の管列(503)の後半部分には、風上側の管列(502)のうち気液二相状態の冷媒が流れる部分を通過した3℃の空気が流入するため、冷媒が空気へ放熱してしまい、冷媒の温度が6℃から5℃に低下してしまう。
【0014】
このように、上下方向に長いヘッダの空間へ流入した気液二相状態の冷媒を、その空間に連通する上下に並んだ複数の扁平管(501)へ分配する場合は、風上側の管列(502)に過熱領域(504)が形成されてしまい、風下側の管列(503)のうち過熱領域(504)の風下に位置する部分は、蒸発器としての機能を殆ど果たさない状態となり、熱交換器(500)の性能が充分に発揮されなくなるおそれがあった。
【0015】
その一方、凝縮器として用いられる熱交換器(500)については、風下側の管列(503)から風上側の管列(502)へ順に冷媒を流すのが望ましい。凝縮して液単相状態となった冷媒を熱交換器(500)へ送られてきた直後の空気(即ち、温度上昇前の空気)と熱交換させることができ、液冷媒を確実に過冷却状態にすることができるからである。
【0016】
ところが、通常、空調機の室外熱交換として用いられる熱交換器(500)は、それが蒸発器として機能する場合と凝縮器として機能する場合とで、冷媒の流通経路が逆向きとなる。このため、熱交換器(500)が凝縮器として機能する場合に風下側の管列(503)から風上側の管列(502)へ順に冷媒が流れるように熱交換器(500)を構成すると、熱交換器(500)が蒸発器として機能する場合には、冷媒が風上側の管列(502)から風下側の管列(503)へ順に冷媒が流れることとなる。そして、上述したように、特許文献1に開示された構造の熱交換器(即ち、ヘッダへ流入した冷媒を上下に並んだ複数の扁平管へ分配する構造の熱交換器)を二列構造としたものにおいて、蒸発器として機能する際に風上側の管列から風下側の管列へ順に冷媒を流すと、充分な性能が得られないおそれがある。
【0017】
このように、ヘッダへ流入した冷媒を上下に並んだ複数の扁平管へ分配する構造の熱交換器を二列構造としたものでは、蒸発器として機能する際の性能と、凝縮器として機能する際の性能とを両立させるのが困難であった。
【0018】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上下に並んだ複数の扁平管を備える二列構造の熱交換器において、蒸発器としての性能と凝縮器としての性能とを両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の発明は、上下に並んだ複数の扁平管(31,61)によってそれぞれが構成されて空気の流れ方向に並ぶ風上管列(50)及び風下管列(90)と、上記扁平管(31,61)に接合されたフィン(32,62)とを備え、上記扁平管(31,61)を流れる冷媒を空気と熱交換させる熱交換器を対象とする。そして、上記風上管列(50)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(31)によってそれぞれが構成された風上主列部(51)と風上補助列部(54)に区分され、上記風上補助列部(54)は、上記風上主列部(51)よりも下方に位置し且つ該風上主列部(51)よりも少数の上記扁平管(31)によって構成され、上記風下管列(90)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成された風下主列部(91)と風下補助列部(94)に区分され、上記風下補助列部(94)は、上記風下主列部(91)よりも下方に位置し且つ該風下主列部(91)よりも少数の上記扁平管(61)によって構成される一方、上記風下主列部(91)を構成する上記扁平管(61)の一端に接続され、複数の該扁平管(61)と連通する主連通空間(75a〜75f)を形成するヘッダ集合管(70)を更に備え、冷媒の流通経路において、上記風上補助列部(54)と、上記風下補助列部(94)と、上記ヘッダ集合管(70)と、上記風下主列部(91)と、上記風上主列部(51)とが直列に配置され、蒸発器として機能する場合には、上記風上補助列部(54)から上記風上主列部(51)へ順に冷媒が流れ、凝縮器として機能する場合には、上記風上主列部(51)から上記風上補助列部(54)へ順に冷媒が流れるものである。
【0020】
第1の発明では、熱交換器(23)に風上管列(50)と風下管列(90)とが設けられる。風上管列(50)と風下管列(90)は、それぞれが上下に並んだ複数の扁平管(31,61)によって構成される。熱交換器(23)を通過する空気の流れ方向において、風下管列(90)は風上管列(50)の下流側に配置される。風上管列(50)は、風上主列部(51)と風上補助列部(54)に区分され、風下管列(90)は、風下主列部(91)と風下補助列部(94)に区分される。
【0021】
第1の発明の熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、冷媒は、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)と、風下補助列部(94)を構成する扁平管(61)と、ヘッダ集合管(70)内の主連通空間(75a〜75f)と、風下主列部(91)を構成する扁平管(61)と、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)とを順に通過する。この場合の熱交換器(23)における空気と冷媒の温度変化を図10に示す。なお、図10に示す温度の値は、単なる一例である。
【0022】
図10に示すように、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)には、飽和温度2℃の気液二相状態の冷媒が流入する。冷媒の飽和温度(蒸発温度)は、冷媒が扁平管(31,61)を通過する際の圧力損失に起因して0℃にまで次第に低下する。そして、冷媒は、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)の途中でガス単相状態となり、その温度が1℃にまで上昇して風上主列部(51)を構成する扁平管(31)から流出する。一方、風上補助列部(54)及び風上主列部(51)には、7℃の空気が流入し、風下補助列部(94)には、風上補助列部(54)を通過する際に冷却された4℃の空気が流入し、風下主列部(91)には、風上主列部(51)を通過する際に冷却された3℃の空気が流入する。
【0023】
このように、第1の発明の熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも低くなり、冷媒が空気から吸収する熱量(即ち、冷媒の吸熱量)が確保される。
【0024】
ここで、第1の発明の熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、風下補助列部(94)を構成する扁平管(61)を通過した冷媒は、ヘッダ集合管(70)によって形成された主連通空間(75a〜75f)へ一旦流入し、その後に風下主列部(91)を構成する複数の扁平管(61)(即ち、上下に並んだ複数の扁平管(61))へ分配される。その際、風下主列部(91)を構成する各扁平管(61)へ流入する冷媒の湿り度は必ずしも均一ではなく、一部の扁平管(61)へは湿り度の低い冷媒が流入する可能性がある。
【0025】
しかし、風下主列部(91)を通過する冷媒と熱交換する空気は、風上主列部(51)を通過する冷媒によって既に冷却された空気である。このため、風下主列部(91)における冷媒と空気の温度差は、風上主列部(51)における冷媒と空気の温度差よりも小さくなる。従って、風下主列部(91)の扁平管(61)のうち湿り度の低い冷媒が流入するものにおいても、通常、冷媒はその扁平管(61)の全長に亘って気液二相状態に保たれる。その結果、上述したように、蒸発器として機能する第1の発明の熱交換器(23)の全体において、冷媒の温度が空気の温度よりも低くなる。
【0026】
また、第1の発明の熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、冷媒は、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)と、風下主列部(91)を構成する扁平管(61)と、ヘッダ集合管(70)内の主連通空間(75a〜75f)と、風下補助列部(94)を構成する扁平管(61)と、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)とを順に通過する。この場合の熱交換器(23)における空気と冷媒の温度変化を図11に示す。なお、図11に示す温度の値は、単なる一例である。
【0027】
図11に示すように、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)には、55℃の過熱状態のガス冷媒が流入する。この冷媒は、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)の途中で50℃の飽和状態のガス冷媒となり、その後に次第に凝縮してゆく。冷媒の飽和温度(凝縮温度)は、冷媒が扁平管(31,61)を通過する際の圧力損失に起因して49℃にまで次第に低下する。そして、冷媒は、風下補助列部(94)を構成する扁平管(61)の途中で液単相状態となり、その温度が42℃にまで低下して風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)から流出する。一方、風上補助列部(54)及び風上主列部(51)には、35℃の空気が流入し、風下主列部(91)には、風上主列部(51)を通過する際に加熱された45℃の空気が流入し、風下補助列部(94)には、風上補助列部(54)を通過する際に加熱された40℃の空気が流入する。
【0028】
このように、第1の発明の熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合は、熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも高くなり、冷媒が空気へ放出する熱量(即ち、冷媒の放熱量)が確保される。
【0029】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記風上主列部(51)を構成する上記扁平管(31)は、上記風下主列部(91)を構成する上記扁平管(61)と同数であり、上記風上補助列部(54)を構成する上記扁平管(31)は、上記風下補助列部(94)を構成する上記扁平管(61)と同数であるものである。
【0030】
第2の発明では、風上主列部(51)と風下主列部(91)のそれぞれが同数の扁平管(31,61)によって構成され、風上補助列部(54)と風下補助列部(94)のそれぞれが同数の扁平管(31,61)によって構成される。
【0031】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記風上主列部(51)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(31)によってそれぞれが構成される複数の風上主列ブロック(52a〜52f)に更に区分され、上記風下主列部(91)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成される複数の風下主列ブロック(92a〜92f)に更に区分され、上記風上主列ブロック(52a〜52f)は、上記風下主列ブロック(92a〜92f)と同数であり、上記各風上主列ブロック(52a〜52f)は、互いに異なる一つの上記風下主列ブロック(92a〜92f)と対になり、対になった該風上主列ブロック(52a〜52f)と該風下主列ブロック(92a〜92f)が冷媒の流通経路において直列に配置されるものである。
【0032】
第3の発明において、複数の風上主列ブロック(52a〜52f)は、それぞれが別々の一つの風下主列ブロック(92a〜92f)と対になる。熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)を通過した冷媒は、その風下主列ブロック(92a〜92f)と対になった風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)へ流れ込む。一方、熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、各風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)を通過した冷媒は、その風上主列ブロック(52a〜52f)と対になった風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)へ流れ込む。
【0033】
第4の発明は、上記第3の発明において、対になった上記風上主列ブロック(52a〜52f)と上記風下主列ブロック(92a〜92f)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,61)が同数であるものである。
【0034】
第4の発明において、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)は、それぞれが同数の扁平管(31,61)によって構成される。例えば、対になった第1の風上主列ブロック(52a)と第1の風下主列ブロック(92a)は、それぞれが同数の扁平管(31,61)によって構成され、対になった第2の風上主列ブロック(52b)と第2の風下主列ブロック(92b)は、それぞれが同数の扁平管(31,61)によって構成される。ただし、第1の風上主列ブロック(52a)を構成する扁平管(31)の本数が、第2の風上主列ブロック(52b)を構成する扁平管(31)の本数と等しいとは限らない。
【0035】
第5の発明は、上記第4の発明において、対になった上記風上主列ブロック(52a〜52f)と上記風下主列ブロック(92a〜92f)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,61)が一本ずつ個別に接続されるものである。
【0036】
第5の発明において、各風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)と、その風上主列ブロック(52a〜52f)と対になった風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)とは、それぞれが個別に一本ずつ接続される。熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)において、風下主列ブロック(92a〜92f)の一本の扁平管(61)を通過した冷媒は、その扁平管(61)に接続する風上主列ブロック(52a〜52f)の一本の扁平管(31)へ流入する。一方、熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)において、風上主列ブロック(52a〜52f)の一本の扁平管(31)を通過した冷媒は、その扁平管(31)に接続する風下主列ブロック(92a〜92f)の一本の扁平管(61)へ流入する。
【0037】
ここで、熱交換器の構造としては、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)が冷媒の流通経路において直列に配置されるように、風上主列ブロック(52a〜52f)を構成する全ての扁平管(31)と風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する全ての扁平管(61)を一つの空間に連通させる構造も考えられる。しかし、この構造を採用すると、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)の一方から他方へ冷媒が流れる際に、一方を構成する複数の扁平管(31,61)を通過した冷媒が一旦合流し、その後に他方を構成する複数の扁平管(61,31)へ分かれて流入するため、他方を構成する複数の扁平管(61,31)へ流入する冷媒の質量流量が不均一となるおそれがある。
【0038】
これに対し、第5の発明では、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)のそれぞれを構成する扁平管(31,61)が、一本ずつ個別に接続される。このため、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)の一方から他方へ冷媒が流れる際に、その途中で複数の扁平管(31,61)へ冷媒を分配し直す必要は無い。
【0039】
第6の発明は、上記第3〜第5のいずれか一つの発明において、上記ヘッダ集合管(70)には、上記風下主列ブロック(92a〜92f)と同数の上記主連通空間(75a〜75f)が形成され、上記各主連通空間(75a〜75f)は、互いに異なる一つの上記風下主列ブロック(92a〜92f)と対になり、該主連通空間(75a〜75f)と対になった上記風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する上記扁平管(61)と連通するものである。
【0040】
第6の発明において、ヘッダ集合管(70)に形成された複数の主連通空間(75a〜75f)は、それぞれが別々の一つの風下主列ブロック(92a〜92f)と対になる。熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、冷媒は、ヘッダ集合管(70)の各主連通空間(75a〜75f)へ流入し、その後に、その主連通空間(75a〜75f)に対応する風下主列ブロック(92a〜92f)の複数の扁平管(61)へ分かれて流れ込む。
【0041】
第7の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記風上補助列部(54)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(31)によってそれぞれが構成される複数の風上補助列ブロック(55a〜55c)に更に区分され、上記風下補助列部(94)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成される複数の風下補助列ブロック(95a〜95c)に更に区分され、上記風上補助列ブロック(55a〜55c)は、上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と同数であり、上記各風上補助列ブロック(55a〜55c)は、互いに異なる一つの上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になり、対になった該風上補助列ブロック(55a〜55c)と該風下補助列ブロック(95a〜95c)が冷媒の流通経路において直列に配置されるものである。
【0042】
第7の発明において、複数の風上補助列ブロック(55a〜55c)は、それぞれが別々の一つの風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になる。熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、各風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)を通過した冷媒は、その風上補助列ブロック(55a〜55c)と対になった風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)へ流れ込む。一方、熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、各風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)を通過した冷媒は、その風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)へ流れ込む。
【0043】
第8の発明は、上記第7の発明において、対になった上記風上補助列ブロック(55a〜55c)と上記風下補助列ブロック(95a〜95c)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,61)が同数であるものである。
【0044】
第8の発明では、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)は、それぞれが同数の扁平管(31,61)によって構成される。例えば、対になった第1の風上補助列ブロック(55a)と第1の風下補助列ブロック(95a)は、それぞれが同数の扁平管(31,61)によって構成され、対になった第2の風上補助列ブロック(55b)と第2の風下補助列ブロック(95b)は、それぞれが同数の扁平管(31,61)によって構成される。ただし、第1の風上補助列ブロック(55a)を構成する扁平管(31)の本数が、第2の風上補助列ブロック(55b)を構成する扁平管(31)の本数と等しいとは限らない。
【0045】
第9の発明は、上記第8の発明において、対になった上記風上補助列ブロック(55a〜55c)と上記風下補助列ブロック(95a〜95c)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,61)が一本ずつ個別に接続されるものである。
【0046】
第9の発明では、各風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)と、その風上補助列ブロック(55a〜55c)と対になった風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)とは、それぞれが個別に一本ずつ接続される。熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)において、風上補助列ブロック(55a〜55c)の一本の扁平管(31)を通過した冷媒は、その扁平管(31)に接続する風下補助列ブロック(95a〜95c)の一本の扁平管(61)へ流入する。一方、熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)において、風下補助列ブロック(95a〜95c)の一本の扁平管(61)を通過した冷媒は、その扁平管(61)に接続する風上補助列ブロック(55a〜55c)の一本の扁平管(31)へ流入する。
【0047】
ここで、熱交換器(23)の構造としては、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)が冷媒の流通経路において直列に配置されるように、風上補助列ブロック(55a〜55c)を構成する全ての扁平管(31)と風下補助列ブロック(95a〜95c)を構成する全ての扁平管(61)を一つの空間に連通させる構造も考えられる。しかし、この構造を採用すると、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)の一方から他方へ冷媒が流れる際に、一方を構成する複数の扁平管(31,61)を通過した冷媒が一旦合流し、その後に他方を構成する複数の扁平管(61,31)へ分かれて流入するため、他方を構成する複数の扁平管(61,31)へ流入する冷媒の質量流量が不均一となるおそれがある。
【0048】
これに対し、第9の発明では、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)のそれぞれを構成する扁平管(31,61)が、一本ずつ個別に接続される。このため、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)の一方から他方へ冷媒が流れる際に、その途中で複数の扁平管(31,61)へ冷媒を分配し直す必要は無い。
【0049】
第10の発明は、上記第7〜第9のいずれか一つの発明において、上記ヘッダ集合管(70)は、上記風下補助列部(94)を構成する上記扁平管(61)とそれぞれが連通する複数の補助連通空間(77a〜77c)を更に形成し、上記補助連通空間(77a〜77c)は、上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と同数であり、一つずつの上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と上記補助連通空間(77a〜77c)が対になり、上記各補助連通空間(77a〜77c)は、該補助連通空間(77a〜77c)と対になった上記風下補助列ブロック(95a〜95c)を構成する上記扁平管(61)と連通するものである。
【0050】
第10の発明において、ヘッダ集合管(70)は、主連通空間(75a〜75f)に加えて、補助連通空間(77a〜77c)を更に形成する。ヘッダ集合管(70)に形成された複数の補助連通空間(77a〜77c)は、それぞれが別々の一つの風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になる。熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、冷媒は、ヘッダ集合管(70)の各補助連通空間(77a〜77c)へ流入し、その後に、その補助連通空間(77a〜77c)に対応する風下補助列ブロック(95a〜95c)の複数の扁平管(61)へ分かれて流れ込む。
【0051】
第11の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記風下主列部(91)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成される複数の風下主列ブロック(92a〜92f)に更に区分され、上記風下補助列部(94)は、上下に並んだ複数の上記扁平管(61)によってそれぞれが構成される複数の風下補助列ブロック(95a〜95c)に更に区分され、上記ヘッダ集合管(70)には、上記風下主列ブロック(92a〜92f)と同数の上記主連通空間(75a〜75f)が形成され、上記各主連通空間(75a〜75f)は、互いに異なる一つの上記風下主列ブロック(92a〜92f)と対になり、該主連通空間(75a〜75f)と対になった上記風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する上記扁平管(61)と連通するものである。
【0052】
第11の発明では、風下主列部(91)が複数の風下主列ブロック(92a〜92f)に区分され、風下補助列部(94)が複数の風下補助列ブロック(95a〜95c)に区分される。各風下主列ブロック(92a〜92f)及び各風下補助列ブロック(95a〜95c)は、それぞれが上下に並んだ複数の扁平管(61)によって構成される。ヘッダ集合管(70)に形成された複数の主連通空間(75a〜75f)は、それぞれが別々の一つの風下主列ブロック(92a〜92f)と対になる。熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、冷媒は、ヘッダ集合管(70)の各主連通空間(75a〜75f)へ流入し、その後に、その主連通空間(75a〜75f)に対応する風下主列ブロック(92a〜92f)の複数の扁平管(61)へ分かれて流れ込む。
【0053】
第12の発明は、上記第11の発明において、上記風下主列部(91)には、複数の上記風下主列ブロック(92a〜92f)によってそれぞれが構成された風下主列ブロック群(93a〜93c)が形成され、上記風下主列ブロック群(93a〜93c)は、上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と同数であり、上記各風下主列ブロック群(93a〜93c)は、互いに異なる一つの上記風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になり、上記各風下補助列ブロック(95a〜95c)は、該風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になった上記風下主列ブロック群(93a〜93c)の上記風下主列ブロック(92a〜92f)に対応する上記主連通空間(75a〜75f)に接続されるものである。
【0054】
第12の発明では、風下補助列ブロック(95a〜95c)と同数の風下主列ブロック群(93a〜93c)が、風下主列部(91)に形成される。各風下主列ブロック群(93a〜93c)は、複数の風下主列ブロック(92a〜92f)によって構成される。各風下主列ブロック群(93a〜93c)を構成する風下主列ブロック(92a〜92f)と対になった主連通空間(75a〜75f)(即ち、複数の主連通空間(75a〜75f))は、その風下主列ブロック群(93a〜93c)と対になった一つの風下補助列ブロック(95a〜95c)に接続される。熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、各風下補助列ブロック(95a〜95c)を通過した冷媒は、その風下補助列ブロック(95a〜95c)が接続する複数の主連通空間(75a〜75f)へ分かれて流入し、その後、流入した主連通空間(75a〜75f)と対になった風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する複数の扁平管(61)へ分かれて流入する。
【0055】
第13の発明は、上記第12の発明において、上記各風下主列ブロック群(93a〜93c)を構成する複数の上記風下主列ブロック(92a〜92f)は、互いに上下に隣り合っているものである。
【0056】
第13の発明では、上下に隣り合った複数の風下主列ブロック(92a〜92f)が、一つの風下主列ブロック群(93a〜93c)を構成する。
【0057】
第14の発明は、上記第11の発明において、上記風下主列ブロック(92a〜92f)は、上記風下補助列ブロック(95a〜95f)と同数であり、上記各風下主列ブロック(92a〜92f)は、互いに異なる一つの上記風下補助列ブロック(95a〜95f)と対になり、対になった該風下主列ブロック(92a〜92f)と該風下補助列ブロック(95a〜95f)が冷媒の流通経路において直列に配置されるものである。
【0058】
第14の発明では、風下主列ブロック(92a〜92f)の数が、風下補助列ブロック(95a〜95f)の数と等しくなっている。複数の風下主列ブロック(92a〜92f)は、それぞれが別々の一つの風下補助列ブロック(95a〜95f)と対になる。対になった風下主列ブロック(92a〜92f)と風下補助列ブロック(95a〜95f)は、冷媒の流通経路において直列に配置される。従って、熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、各風下補助列ブロック(95a〜95f)の扁平管(61)を通過した冷媒は、それぞれが対応する風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)へ流れ込む。
【0059】
第15の発明は、空気調和機(10)を対象とし、上記第1〜第13の何れか一つの発明の熱交換器(23)が設けられた冷媒回路(20)を備え、上記冷媒回路(20)において冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うものである。
【0060】
第15の発明では、上記第1〜第14の何れか一つの発明の熱交換器(23)が冷媒回路(20)に接続される。熱交換器(23)において、冷媒回路(20)を循環する冷媒は、扁平管(31,61)を通過する間に空気と熱交換する。
【発明の効果】
【0061】
本発明の熱交換器(23)では、冷媒の流通経路において、風上補助列部(54)と、風下補助列部(94)と、ヘッダ集合管(70)と、風下主列部(91)と、風上主列部(51)とが直列に配置されている。そして、蒸発器として機能する熱交換器(23)では、風上補助列部(54)から風上主列部(51)へ順に冷媒が流れるため、熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも低くなり、その結果、冷媒の吸熱量を充分に確保することが可能となる。また、凝縮器として機能する熱交換器(23)では、風上主列部(51)から風上補助列部(54)へ順に冷媒が流れるため、熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも高くなり、その結果、冷媒の放熱量を充分に確保することが可能となる。従って、この発明によれば、風上管列(50)と風下管列(90)を有する熱交換器(23)において、蒸発器としての性能と凝縮器としての性能とを両立させることが可能となる。
【0062】
第5の発明において、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)は、それぞれを構成する扁平管(31,61)が一本ずつ個別に接続される。このため、熱交換器(23)において冷媒を複数の扁平管(31,61)へ分配する回数を減らすことができ、その結果、各扁平管(31,61)を流れる冷媒の質量流量を均一化するのが容易となる。
【0063】
第9の発明において、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)は、それぞれを構成する扁平管(31,61)が一本ずつ個別に接続される。このため、熱交換器(23)において冷媒を複数の扁平管(31,61)へ分配する回数を減らすことができ、その結果、各扁平管(31,61)を流れる冷媒の質量流量を均一化するのが容易となる。
【0064】
第12の発明では、一つの風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になった風下主列ブロック群(93a〜93c)が、複数の風下主列ブロック(92a〜92f)によって構成される。このため、一つの風下補助列ブロック(95a〜95c)が一つの風下主列ブロック(92a〜92f)と対になる場合に比べて、各風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する扁平管(61)の本数が少なくなり、その結果、風下主列ブロック(92a〜92f)と対になった主連通空間(75a〜75f)の高さが低くなる。
【0065】
一方、主連通空間(75a〜75f)の高さが低いほど、主連通空間(75a〜75f)の上端寄りの扁平管(61)へ流入する冷媒の質量流量と、その下端寄りの扁平管(61)へ流入する冷媒の質量流量との差が小さくなる。従って、第12の発明によれば、熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合に、風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する各扁平管(61)へ流入する冷媒の質量流量の差を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、実施形態1の室外熱交換器を備えた空気調和機の概略構成を示す冷媒回路図である。
図2図2は、実施形態1の室外熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態1の室外熱交換器を風上熱交換器ユニットと風下熱交換器ユニットに分解して示す概略の斜視図であって、室外熱交換器が蒸発器として機能する場合の冷媒の流れを示すものである。
図4図4は、実施形態1の室外熱交換器を風上熱交換器ユニットと風下熱交換器ユニットに分解して示す概略の斜視図であって、室外熱交換器が凝縮器として機能する場合の冷媒の流れを示すものである。
図5図5は、実施形態1の風上熱交換器ユニットを正面から見た一部断面図である。
図6図6は、実施形態1の風下熱交換器ユニットを正面から見た一部断面図である。
図7図7は、図5のA−A断面および図6のB−B断面の一部を拡大して示す熱交換器ユニットの断面図である。
図8図8は、実施形態1の室外熱交換器の要部の断面図であって、(A)は(B)のD−D断面を示し、(B)は(A)のC−C断面を示す。
図9図9は、実施形態1の風上熱交換器ユニットの一部を正面から見た拡大断面図である。
図10図10は、蒸発器として機能する実施形態1の室外熱交換器における冷媒と空気の温度変化を示すグラフである。
図11図11は、凝縮器として機能する実施形態1の室外熱交換器における冷媒と空気の温度変化を示すグラフである。
図12図12は、実施形態2の風上熱交換器ユニットを正面から見た一部断面図である。
図13図13は、実施形態2の風下熱交換器ユニットを正面から見た一部断面図である。
図14図14は、実施形態3の室外熱交換器の概略斜視図である。
図15図15は、実施形態3の室外熱交換器を上方から見た一部断面図である。
図16図16は、実施形態4の室外熱交換器を風上熱交換器ユニットと風下熱交換器ユニットに分解して示す概略の斜視図である。
図17図17は、その他の実施形態の室外熱交換器の図7に相当する断面図である。
図18図18は、蒸発器として機能する従来の熱交換器における冷媒と空気の温度変化を示す図であって、(A)は従来の熱交換器を上方からみた概略図であり、(B)は冷媒と空気の温度変化を示すグラフである。
図19図19は、蒸発器として機能する従来の熱交換器の概略正面図である。
図20図20は、蒸発器として機能する従来の熱交換器における冷媒と空気の温度変化を示す図であって、(A)は従来の熱交換器を上方からみた概略図であり、(B)は冷媒と空気の温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0068】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態の熱交換器は、空気調和機(10)に設けられた室外熱交換器(23)である。以下では、先ず空気調和機(10)について説明し、その後に室外熱交換器(23)について詳細に説明する。
【0069】
−空気調和機−
空気調和機(10)について、図1を参照しながら説明する。
【0070】
〈空気調和機の構成〉
空気調和機(10)は、室外ユニット(11)および室内ユニット(12)を備えている。室外ユニット(11)と室内ユニット(12)は、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されている。空気調和機(10)では、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)によって、冷媒回路(20)が形成されている。
【0071】
冷媒回路(20)には、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが設けられている。圧縮機(21)、四方切換弁(22)、室外熱交換器(23)、および膨張弁(24)は、室外ユニット(11)に収容されている。室外ユニット(11)には、室外熱交換器(23)へ室外空気を供給するための室外ファン(15)が設けられている。一方、室内熱交換器(25)は、室内ユニット(12)に収容されている。室内ユニット(12)には、室内熱交換器(25)へ室内空気を供給するための室内ファン(16)が設けられている。
【0072】
冷媒回路(20)は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路(20)において、圧縮機(21)は、その吐出管が四方切換弁(22)の第1のポートに、その吸入管が四方切換弁(22)の第2のポートに、それぞれ接続されている。また、冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが配置されている。この冷媒回路(20)において、室外熱交換器(23)は、配管(17)を介して膨張弁(24)に接続され、配管(18)を介して四方切換弁(22)の第3のポートに接続される。
【0073】
圧縮機(21)は、スクロール型またはロータリ型の全密閉型圧縮機である。四方切換弁(22)は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。膨張弁(24)は、いわゆる電子膨張弁である。
【0074】
室外熱交換器(23)は、室外空気を冷媒と熱交換させる。室外熱交換器(23)については後述する。一方、室内熱交換器(25)は、室内空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(25)は、円管である伝熱管を備えたいわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。
【0075】
〈空気調和機の運転動作〉
空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。
【0076】
冷房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第1状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室外熱交換器(23)、膨張弁(24)、室内熱交換器(25)の順に冷媒が循環し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能し、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)では、圧縮機(21)から流入したガス冷媒が室外空気へ放熱して凝縮し、凝縮後の冷媒が膨張弁(24)へ向けて流出してゆく。
【0077】
暖房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第2状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室内熱交換器(25)、膨張弁(24)、室外熱交換器(23)の順に冷媒が循環し、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(21)へ向けて流出してゆく。
【0078】
−室外熱交換器−
室外熱交換器(23)について、図2〜9を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明に示す扁平管(31,61)の本数は、単なる一例である。
【0079】
図2に示すように、室外熱交換器(23)は、二列構造の空気熱交換器であり、風上熱交換器ユニット(30)と風下熱交換器ユニット(60)とを備えている。風上熱交換器ユニット(30)と風下熱交換器ユニット(60)は、室外熱交換器(23)を通過する空気流の方向に重なっている。室外熱交換器(23)を通過する空気の流れ方向において、風上熱交換器ユニット(30)は、風下熱交換器ユニット(60)の上流側に配置されている。
【0080】
〈風上熱交換器ユニットの構成〉
図3及び図5にも示すように、風上熱交換器ユニット(30)は、一つの第1風上ヘッダ集合管(40)と、一つの第2風上ヘッダ集合管(45)と、多数の扁平管(31)と、多数のフィン(32)とを備えている。第1風上ヘッダ集合管(40)、第2風上ヘッダ集合管(45)、扁平管(31)及びフィン(32)は、何れもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。
【0081】
なお、詳しくは後述するが、風上熱交換器ユニット(30)は、上下に二つの領域に区分されている。そして、風上熱交換器ユニット(30)は、上側の領域が風上主熱交換領域(35)となり、下側の領域が風上補助熱交換領域(37)となっている。
【0082】
第1風上ヘッダ集合管(40)と第2風上ヘッダ集合管(45)は、何れも両端が閉塞された細長い円筒状に形成されている。図5において、第1風上ヘッダ集合管(40)は風上熱交換器ユニット(30)の左端に、第2風上ヘッダ集合管(45)は風上熱交換器ユニット(30)の右端に、それぞれ起立した状態で設置されている。つまり、第1風上ヘッダ集合管(40)及び第2風上ヘッダ集合管(45)は、それぞれの軸方向が上下方向となる状態で設置されている。
【0083】
図7に示すように、扁平管(31)は、その断面形状が扁平な長円形となった伝熱管である。図5に示すように、風上熱交換器ユニット(30)において、複数の扁平管(31)は、それぞれの軸方向が左右方向となり、それぞれの側面のうち平坦な部分が対向する状態で配置されている。また、複数の扁平管(31)は、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配置され、互いの軸方向が実質的に平行となっている。各扁平管(31)は、その一端が第1風上ヘッダ集合管(40)に挿入され、その他端が第2風上ヘッダ集合管(45)に挿入されている。風上熱交換器ユニット(30)に設けられた扁平管(31)は、風上管列(50)を構成している。
【0084】
図7に示すように、各扁平管(31)には、複数の流体通路(175)が形成されている。各流体通路(175)は、扁平管(31)の軸方向に延びる通路であって、扁平管(31,61)の幅方向に一列に並んでいる。各流体通路(175)は、扁平管(31)の両端面に開口している。風上熱交換器ユニット(30)へ供給された冷媒は、扁平管(31)の流体通路(175)を流れる間に空気と熱交換する。
【0085】
図7に示すように、フィン(32)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。フィン(32)には、フィン(32)の前縁(即ち、風上側の縁部)からフィン(32)の幅方向に延びる細長い切り欠き部(186)が、多数形成されている。フィン(32)では、多数の切り欠き部(186)が、フィン(32)の長手方向(上下方向)に一定の間隔で形成されている。切り欠き部(186)の風下寄りの部分は、管挿入部(187)を構成している。扁平管(31)は、フィン(32)の管挿入部(187)に挿入され、管挿入部(187)の周縁部とロウ付けによって接合される。また、フィン(32)には、伝熱を促進するためのルーバー(185)が形成されている。そして、複数のフィン(32)は、扁平管(31)の軸方向に一定の間隔をおいて配列されている。
【0086】
図3及び図5に示すように、風上熱交換器ユニット(30)は、上下に二つの熱交換領域(35,37)に区分されている。風上熱交換器ユニット(30)は、上側の熱交換領域が風上主熱交換領域(35)であり、下側の熱交換領域が風上補助熱交換領域(37)である。
【0087】
風上熱交換器ユニット(30)に設けられた扁平管(31)は、風上主熱交換領域(35)に位置するものが風上主列部(51)を構成し、風上補助熱交換領域(37)に位置するものが風上補助列部(54)を構成する。つまり、風上管列(50)を構成する扁平管(31)は、その一部が風上補助列部(54)を構成し、残りが風上主列部(51)を構成する。詳しくは後述するが、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)の本数は、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)の本数よりも少ない。
【0088】
風上主熱交換領域(35)は、上下に六つの風上主熱交換部(36a〜36f)に区分されている。一方、風上補助熱交換領域(37)は、上下に三つの風上補助熱交換部(38a〜38c)に区分されている。なお、ここに示した風上主熱交換部(36a〜36f)及び風上補助熱交換部(38a〜38c)の数は、単なる一例である。
【0089】
風上主熱交換領域(35)には、下から上に向かって順に、第1風上主熱交換部(36a)と、第2風上主熱交換部(36b)と、第3風上主熱交換部(36c)と、第4風上主熱交換部(36d)と、第5風上主熱交換部(36e)と、第6風上主熱交換部(36f)とが形成されている。各風上主熱交換部(36a〜36f)には、十二本の扁平管(31)が設けられている。
【0090】
第1風上主熱交換部(36a)に設けられた十二本の扁平管(31)は、第1風上主列ブロック(52a)を構成する。第2風上主熱交換部(36b)に設けられた十二本の扁平管(31)は、第2風上主列ブロック(52b)を構成する。第3風上主熱交換部(36c)に設けられた十二本の扁平管(31)は、第3風上主列ブロック(52c)を構成する。第4風上主熱交換部(36d)に設けられた十二本の扁平管(31)は、第4風上主列ブロック(52d)を構成する。第5風上主熱交換部(36e)に設けられた十二本の扁平管(31)は、第5風上主列ブロック(52e)を構成する。第6風上主熱交換部(36f)に設けられた十二本の扁平管(31)は、第6風上主列ブロック(52f)を構成する。なお、各風上主列ブロック(52a〜52f)を構成する扁平管(31)の本数は、互いに一致していなくてもよい。
【0091】
第1風上主列ブロック(52a)及び第2風上主列ブロック(52b)は、第1風上主列ブロック群(53a)を構成する。第3風上主列ブロック(52c)及び第4風上主列ブロック(52d)は、第2風上主列ブロック群(53b)を構成する。第5風上主列ブロック(52e)及び第6風上主列ブロック(52f)は、第3風上主列ブロック群(53c)を構成する。
【0092】
風上補助熱交換領域(37)には、下から上に向かって順に、第1風上補助熱交換部(38a)と、第2風上補助熱交換部(38b)と、第3風上補助熱交換部(38c)とが形成されている。各風上補助熱交換部(38a〜38c)には、三本の扁平管(31)が設けられている。
【0093】
第1風上補助熱交換部(38a)に設けられた三本の扁平管(31)は、第1風上補助列ブロック(55a)を構成する。第2風上補助熱交換部(38b)に設けられた三本の扁平管(31)は、第2風上補助列ブロック(55b)を構成する。第3風上補助熱交換部(38c)に設けられた三本の扁平管(31)は、第3風上補助列ブロック(55c)を構成する。なお、各風上補助列ブロック(55a〜55c)を構成する扁平管(31)の本数は、互いに一致していなくてもよい。
【0094】
図5に示すように、第1風上ヘッダ集合管(40)の内部空間は、仕切板(41)によって上下に仕切られている。第1風上ヘッダ集合管(40)は、仕切板(41)の上側の空間が上側空間(42)となり、仕切板(41)の下側の空間が下側空間(43)となっている。
【0095】
上側空間(42)は、風上主列部(51)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第1風上ヘッダ集合管(40)のうち上側空間(42)を形成する部分には、ガス側接続管(102)が接続されている。このガス側接続管(102)には、冷媒回路(20)を構成する配管(18)が接続される。
【0096】
第1風上ヘッダ集合管(40)のうち下側空間(43)を形成する部分には、液側接続管(101)が接続される。この液側接続管(101)には、冷媒回路(20)を構成する配管(17)が接続される。詳しくは後述するが、第1風上ヘッダ集合管(40)のうち下側空間(43)を形成する部分は、冷媒を三つの風上補助熱交換部(38a〜38c)へ分配するための分流器(150)を構成する。
【0097】
第2風上ヘッダ集合管(45)には、その内部空間を横断する多数の仕切板(46)が設けられている。第2風上ヘッダ集合管(45)の内部空間は、仕切板(46)によって、風上管列(50)を構成する扁平管(31)と同数の連結用空間(47)に区画されている。各仕切板(46)は、上下に隣り合う扁平管(31)の間に配置されている。従って、各連結用空間(47)は、それぞれが対応する一本の扁平管(31)と連通する。
【0098】
〈風下熱交換器ユニットの構成〉
図3及び図6にも示すように、風下熱交換器ユニット(60)は、一つの第1風下ヘッダ集合管(70)と、一つの第2風下ヘッダ集合管(80)と、多数の扁平管(61)と、多数のフィン(62)とを備えている。第1風下ヘッダ集合管(70)、第2風下ヘッダ集合管(80)、扁平管(61)及びフィン(62)は、何れもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。
【0099】
なお、詳しくは後述するが、風下熱交換器ユニット(60)は、上下に二つの熱交換領域(65,67)に区分されている。そして、風下熱交換器ユニット(60)は、上側の領域が風下主熱交換領域(65)となり、下側の領域が風下補助熱交換領域(67)となっている。
【0100】
第1風下ヘッダ集合管(70)と第2風下ヘッダ集合管(80)は、何れも両端が閉塞された細長い円筒状に形成されている。図6において、第1風下ヘッダ集合管(70)は風下熱交換器ユニット(60)の左端に、第2風下ヘッダ集合管(80)は風下熱交換器ユニット(60)の右端に、それぞれ起立した状態で設置されている。つまり、第1風下ヘッダ集合管(70)及び第2風下ヘッダ集合管(80)は、それぞれの軸方向が上下方向となる状態で設置されている。
【0101】
図7に示すように、扁平管(61)は、風上熱交換器ユニット(30)の扁平管(31)と同一形状の伝熱管である。風下熱交換器ユニット(60)へ供給された冷媒は、扁平管(61)の流体通路(175)を流れる間に空気と熱交換する。
【0102】
図6に示すように、風下熱交換器ユニット(60)において、複数の扁平管(61)は、風上熱交換器ユニット(30)の扁平管(31)と同様に配列されている。上下に配列された各扁平管(61)は、その一端が第1風下ヘッダ集合管(70)に挿入され、その他端が第2風下ヘッダ集合管(80)に挿入されている。風下熱交換器ユニット(60)に設けられた扁平管(61)は、風下管列(90)を構成している。風下管列(90)を構成する扁平管(61)の本数は、風上管列(50)を構成する扁平管(31)の本数と等しい。
【0103】
図7に示すように、フィン(62)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。このフィン(62)の形状は、風上熱交換器ユニット(30)のフィン(32)と同じである。つまり、フィン(62)には切り欠き部(186)が形成され、切り欠き部(186)の一部である管挿入部(187)に扁平管(61)が接合される。また、フィン(62)には、伝熱を促進するためのルーバー(185)が形成されている。そして、複数のフィン(62)は、扁平管(61)の軸方向に一定の間隔をおいて配列されている。
【0104】
図3及び図6に示すように、風下熱交換器ユニット(60)は、上下に二つの熱交換領域(65,67)に区分されている。風下熱交換器ユニット(60)は、上側の熱交換領域が風下主熱交換領域(65)であり、下側の熱交換領域が風下補助熱交換領域(67)である。
【0105】
風下熱交換器ユニット(60)に設けられた扁平管(61)は、風下主熱交換領域(65)に位置するものが風下主列部(91)を構成し、風下補助熱交換領域(67)に位置するものが風下補助列部(94)を構成する。つまり、風下管列(90)を構成する扁平管(61)は、その一部が風下補助列部(94)を構成し、残りが風下主列部(91)を構成する。詳しくは後述するが、風下補助列部(94)を構成する扁平管(61)の本数は、風下主列部(91)を構成する扁平管(61)の本数よりも少ない。また、風下主列部(91)を構成する扁平管(61)の本数は、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)の本数と等しく、風下補助列部(94)を構成する扁平管(61)の本数は、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)の本数と等しい。
【0106】
風下主熱交換領域(65)は、上下に六つの風下主熱交換部(66a〜66f)に区分されている。一方、風下補助熱交換領域(67)は、上下に三つの風下補助熱交換部(68a〜68c)に区分されている。なお、ここに示した風下主熱交換部(66a〜66f)及び風下補助熱交換部(68a〜68c)の数は、単なる一例である。ただし、風下主熱交換部(66a〜66f)は風上主熱交換部(36a〜36f)と同数であり、風下補助熱交換部(68a〜68c)は風上補助熱交換部(38a〜38c)と同数であるのが望ましい。
【0107】
風下主熱交換領域(65)には、下から上に向かって順に、第1風下主熱交換部(66a)と、第2風下主熱交換部(66b)と、第3風下主熱交換部(66c)と、第4風下主熱交換部(66d)と、第5風下主熱交換部(66e)と、第6風下主熱交換部(66f)とが形成されている。各風下主熱交換部(66a〜66f)には、十二本の扁平管(61)が設けられている。
【0108】
第1風下主熱交換部(66a)に設けられた十二本の扁平管(61)は、第1風下主列ブロック(92a)を構成する。第2風下主熱交換部(66b)に設けられた十二本の扁平管(61)は、第2風下主列ブロック(92b)を構成する。第3風下主熱交換部(66c)に設けられた十二本の扁平管(61)は、第3風下主列ブロック(92c)を構成する。第4風下主熱交換部(66d)に設けられた十二本の扁平管(61)は、第4風下主列ブロック(92d)を構成する。第5風下主熱交換部(66e)に設けられた十二本の扁平管(61)は、第5風下主列ブロック(92e)を構成する。第6風下主熱交換部(66f)に設けられた十二本の扁平管(61)は、第6風下主列ブロック(92f)を構成する。
【0109】
なお、各風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する扁平管(61)の本数は、互いに一致していなくてもよい。ただし、各風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する扁平管(61)の本数が互いに一致しない場合であっても、第1風下主列ブロック(92a)を構成する扁平管(61)は第1風上主列ブロック(52a)を構成する扁平管(31)と同数であり、第2風下主列ブロック(92b)を構成する扁平管(61)は第2風上主列ブロック(52b)を構成する扁平管(31)と同数であり、第3風下主列ブロック(92c)を構成する扁平管(61)は第3風上主列ブロック(52c)を構成する扁平管(31)と同数であり、第4風下主列ブロック(92d)を構成する扁平管(61)は第4風上主列ブロック(52d)を構成する扁平管(31)と同数であり、第5風下主列ブロック(92e)を構成する扁平管(61)は第5風上主列ブロック(52e)を構成する扁平管(31)と同数であり、第6風下主列ブロック(92f)を構成する扁平管(61)は第6風上主列ブロック(52f)を構成する扁平管(31)と同数であるのが望ましい。
【0110】
第1風下主列ブロック(92a)及び第2風下主列ブロック(92b)は、第1風下主列ブロック群(93a)を構成する。第3風下主列ブロック(92c)及び第4風下主列ブロック(92d)は、第2風下主列ブロック群(93b)を構成する。第5風下主列ブロック(92e)及び第6風下主列ブロック(92f)は、第3風下主列ブロック群(93c)を構成する。
【0111】
風下補助熱交換領域(67)には、下から上に向かって順に、第1風下補助熱交換部(68a)と、第2風下補助熱交換部(68b)と、第3風下補助熱交換部(68c)とが形成されている。各風下補助熱交換部(68a〜68c)には、三本の扁平管(61)が設けられている。
【0112】
第1風下補助熱交換部(68a)に設けられた三本の扁平管(61)は、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する。第2風下補助熱交換部(68b)に設けられた三本の扁平管(61)は、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する。第3風下補助熱交換部(68c)に設けられた三本の扁平管(61)は、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する。
【0113】
なお、各風下補助列ブロック(95a〜95c)を構成する扁平管(61)の本数は、互いに一致していなくてもよい。ただし、各風下補助列ブロック(95a〜95c)を構成する扁平管(61)の本数が互いに一致しない場合であっても、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する扁平管(61)は第1風上補助列ブロック(55a)を構成する扁平管(31)と同数であり、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する扁平管(61)は第2風上補助列ブロック(55b)を構成する扁平管(31)と同数であり、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する扁平管(61)は第3風上補助列ブロック(55c)を構成する扁平管(31)と同数であるのが望ましい。
【0114】
図6に示すように、第1風下ヘッダ集合管(70)の内部空間は、仕切板(71)によって上下に仕切られている。第1風下ヘッダ集合管(70)は、仕切板(71)の上側の空間が上側空間(72)となり、仕切板(71)の下側の空間が下側空間(73)となっている。
【0115】
上側空間(72)は、五枚の仕切板(74)によって、六つの主連通空間(75a〜75f)に仕切られている。つまり、第1風下ヘッダ集合管(70)における仕切板(71)の上側には、下から上へ向かって順に、第1主連通空間(75a)と、第2主連通空間(75b)と、第3主連通空間(75c)と、第4主連通空間(75d)と、第5主連通空間(75e)と、第6主連通空間(75f)とが形成されている。
【0116】
第1主連通空間(75a)には、第1風下主列ブロック(92a)を構成する十二本の扁平管(61)が連通する。第2主連通空間(75b)には、第2風下主列ブロック(92b)を構成する十二本の扁平管(61)が連通する。第3主連通空間(75c)には、第3風下主列ブロック(92c)を構成する十二本の扁平管(61)が連通する。第4主連通空間(75d)には、第4風下主列ブロック(92d)を構成する十二本の扁平管(61)が連通する。第5主連通空間(75e)には、第5風下主列ブロック(92e)を構成する十二本の扁平管(61)が連通する。第6主連通空間(75f)には、第6風下主列ブロック(92f)を構成する十二本の扁平管(61)が連通する。
【0117】
下側空間(73)は、二枚の仕切板(76)によって、三つの補助連通空間(77a〜77c)に仕切られている。つまり、第1風下ヘッダ集合管(70)における仕切板(71)の下側には、下から上へ向かって順に、第1補助連通空間(77a)と、第2補助連通空間(77b)と、第3補助連通空間(77c)とが形成されている。
【0118】
第1補助連通空間(77a)には、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する三本の扁平管(61)が連通する。第2補助連通空間(77b)には、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する三本の扁平管(61)が連通する。第3補助連通空間(77c)には、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する三本の扁平管(61)が連通する。
【0119】
第1風下ヘッダ集合管(70)には、三本の接続用配管(110,120,130)が取り付けられている。各接続用配管(110,120,130)は、一つの主管部(111,121,131)と、主管部(111,121,131)の端部に接続する二つの分岐管部(112a,112b,122a,122b,132a,132b)とを備えている。
【0120】
第1接続用配管(110)は、第1風下補助列ブロック(95a)と第1風下主列ブロック群(93a)とを接続する。具体的に、第1接続用配管(110)は、主管部(111)の開口端が第1補助連通空間(77a)と連通し、一方の分岐管部(112a)の開口端が第1主連通空間(75a)と連通し、他方の分岐管部(112b)の開口端が第2主連通空間(75b)と連通する。従って、第1補助連通空間(77a)は、第1風下主列ブロック(92a)に対応する第1主連通空間(75a)と、第2風下主列ブロック(92b)に対応する第2主連通空間(75b)の両方に接続される。
【0121】
第2接続用配管(120)は、第2風下補助列ブロック(95b)と第2風下主列ブロック群(93b)とを接続する。具体的に、第2接続用配管(120)は、主管部(121)の開口端が第2補助連通空間(77b)と連通し、一方の分岐管部(122a)の開口端が第3主連通空間(75c)と連通し、他方の分岐管部(122b)の開口端が第4主連通空間(75d)と連通する。従って、第2補助連通空間(77b)は、第3風下主列ブロック(92c)に対応する第3主連通空間(75c)と、第4風下主列ブロック(92d)に対応する第4主連通空間(75d)の両方に接続される。
【0122】
第3接続用配管(130)は、第3風下補助列ブロック(95c)と第3風下主列ブロック群(93c)とを接続する。具体的に、第3接続用配管(130)は、主管部(131)の開口端が第3補助連通空間(77c)と連通し、一方の分岐管部(132a)の開口端が第5主連通空間(75e)と連通し、他方の分岐管部(132b)の開口端が第6主連通空間(75f)と連通する。従って、第3補助連通空間(77c)は、第5風下主列ブロック(92e)に対応する第5主連通空間(75e)と、第6風下主列ブロック(92f)に対応する第6主連通空間(75f)の両方に接続される。
【0123】
第2風下ヘッダ集合管(80)には、その内部空間を横断する多数の仕切板(81)が設けられている。第2風下ヘッダ集合管(80)の内部空間は、仕切板(81)によって、風下管列(90)を構成する扁平管(61)と同数の連結用空間(82)に区画されている。各仕切板(81)は、上下に隣り合う扁平管(61)の間に配置されている。従って、各連結用空間(82)は、それぞれが対応する一本の扁平管(61)と連通する。
【0124】
図8に示すように、第2風下ヘッダ集合管(80)は、風上管列(50)を構成する扁平管(31)及び風下管列(90)を構成する扁平管(61)と同数の連結管(105)を介して第2風上ヘッダ集合管(45)に接続されている。連結管(105)は、比較的短い円管である。各連結管(105)は、第2風上ヘッダ集合管(45)の連結用空間(47)と第2風下ヘッダ集合管(80)の各連結用空間(82)を一つずつ個別に連通させる。
【0125】
〈分流器の構成〉
上述したように、第1風上ヘッダ集合管(40)のうち下側空間(43)を形成する部分は、分流器(150)を構成する。この分流器(150)は、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合に、室外熱交換器(23)へ供給された気液二相状態の冷媒を三つの風上補助熱交換部(38a〜38c)へ分配する。ここでは、分流器(150)について、図9を参照しながら説明する。
【0126】
下側空間(43)には、二枚の横仕切板(160,162)と、一枚の縦仕切板(164)とが設けられている。下側空間(43)は、二枚の横仕切板(160,162)と一枚の縦仕切板(164)とによって、三つの連通室(151〜153)と一つの混合室(154)と二つの中間室(155,156,)に仕切られる。
【0127】
具体的に、各横仕切板(160,162)は、下側空間(43)を横断するように配置され、下側空間(43)を上下に仕切る。下側横仕切板(160)は、第1風上補助列ブロック(55a)と第2風上補助列ブロック(55b)の間に配置され、上側横仕切板(162)は、第2風上補助列ブロック(55b)と第3風上補助列ブロック(55c)の間に配置される。縦仕切板(164)は、細長い長方形板状の部材である。縦仕切板(164)は、第1風上ヘッダ集合管(40)の軸方向に沿って配置され、下側空間(43)を扁平管(31)側と液側接続管(101)側に仕切る。
【0128】
下側空間(43)のうち下側横仕切板(160)の下側の部分は、縦仕切板(164)によって、扁平管(31)側の第1連通室(151)と液側接続管(101)側の下側中間室(155)に仕切られる。第1連通室(151)は、第1風上補助列ブロック(55a)を構成する三本の扁平管(31)と連通する。
【0129】
下側空間(43)のうち下側横仕切板(160)と上側横仕切板(162)の間の部分は、縦仕切板(164)によって、扁平管(31)側の第2連通室(152)と液側接続管(101)側の混合室(154)に仕切られる。第2連通室(152)は、第2風上補助列ブロック(55b)を構成する三本の扁平管(61)と連通する。混合室(154)は、液側接続管(101)と連通する。
【0130】
下側空間(43)のうち上側横仕切板(162)よりも上側の部分は、縦仕切板(164)によって、扁平管(31)側の第3連通室(153)と液側接続管(101)側の上側中間室(156)に仕切られる。第3連通室(153)は、第3風上補助列ブロック(55c)を構成する三本の扁平管(31)と連通する。
【0131】
縦仕切板(164)の上部と下部には、連通孔(165a,165b)が一つずつ形成されている。各連通孔(165a,165b)は、横長の長方形状の貫通孔である。縦仕切板(164)の下部の連通孔(165b)は、縦仕切板(164)のうち下側横仕切板(160)よりも下側の部分の下端付近に形成され、第1連通室(151)を下側中間室(155)と連通させる。縦仕切板(164)の上部の連通孔(165a)は、縦仕切板(164)のうち上側横仕切板(162)よりも上側の部分の下端付近に形成され、第3連通室(153)を上側中間室(156)と連通させる。
【0132】
下側横仕切板(160)は、混合室(154)に面する部分に流量調節孔(161)が形成されている。第1連通室(151)は、この流量調節孔(161)を介して混合室(154)と連通する。上側横仕切板(162)は、混合室(154)に面する部分に流量調節孔(163)が形成されている。第3連通室(153)は、この流量調節孔(163)を介して混合室(154)と連通する。縦仕切板(164)は、混合室(154)に面する部分の下端付近に流量調節孔(166)が形成されている。第2連通室(152)は、この流量調節孔(166)を介して混合室(154)と連通する。
【0133】
分流器(150)において、下側横仕切板(160)の流量調節孔(161)と、上側横仕切板(162)の流量調節孔(163)と、縦仕切板(164)の流量調節孔(166)とは、比較的小径の円形の貫通孔である。分流器(150)は、各風上補助列ブロック(55a〜55c)へ冷媒が所定の割合で分配されるように、これら流量調節孔(161,163,166)の開口面積(具体的には、直径)が設定されている。
【0134】
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/蒸発器の場合〉
空気調和機(10)の暖房運転中には、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。暖房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。なお、以下の説明に示す冷媒と空気の温度は、いずれも単なる一例である。
【0135】
室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が、配管(17)を通じて供給される。図3に示すように、配管(17)から液側接続管(101)へ供給された冷媒は、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)と、風下補助列部(94)を構成する扁平管(61)と、風下主列部(91)を構成する扁平管(61)と、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)とを順に通過し、ガス側接続管(102)を通って配管(18)へ流出してゆく。
【0136】
室外熱交換器(23)における冷媒の流れを詳しく説明する。
【0137】
図5に示すように、液側接続管(101)から混合室(154)へ流入した気液二相状態の冷媒は、三つの連通室(151〜153)に分配され、その後、各連通室(151〜153)に対応する風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)へ流入する。風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)を流れる冷媒は、室外熱交換器(23)へ供給された室外空気と熱交換する。各風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第2風上ヘッダ集合管(45)の連結用空間(47)と連結管(105)とを順に通って第2風下ヘッダ集合管(80)の連結用空間(82)へ流入する。
【0138】
図6に示すように、第2風下ヘッダ集合管(80)の連結用空間(82)へ流入した冷媒は、風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)へ流入する。
【0139】
上述したように、各風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)と各風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)とは、連結管(105)を介して一本ずつ個別に接続されている(図8を参照)。従って、第1風上補助列ブロック(55a)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第1風下補助列ブロック(95a)の扁平管(61)へ流入する。また、第2風上補助列ブロック(55b)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第2風下補助列ブロック(95b)の扁平管(61)へ流入する。また、第3風上補助列ブロック(55c)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第3風下補助列ブロック(95c)の扁平管(61)へ流入する。
【0140】
各風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)を流れる冷媒は、風上補助熱交換領域(37)を通過した室外空気と熱交換する。各風下補助列ブロック(95a〜95c)の三本の扁平管(61)を通過した冷媒は、各風下補助列ブロック(95a〜95c)に対応する第1風下ヘッダ集合管(70)の補助連通空間(77a〜77c)へ入って合流する。
【0141】
第1補助連通空間(77a)から第1接続用配管(110)の主管部(111)へ流入した冷媒は、その一部が一方の分岐管部(112a)を通って第1主連通空間(75a)へ、残りが他方の分岐管部(112b)を通って第2主連通空間(75b)へ、それぞれ流入する。第2補助連通空間(77b)から第2接続用配管(120)の主管部(121)へ流入した冷媒は、その一部が一方の分岐管部(122a)を通って第3主連通空間(75c)へ、残りが他方の分岐管部(122b)を通って第4主連通空間(75d)へ、それぞれ流入する。第3補助連通空間(77c)から第3接続用配管(130)の主管部(131)へ流入した冷媒は、その一部が一方の分岐管部(132a)を通って第5主連通空間(75e)へ、残りが他方の分岐管部(132b)を通って第6主連通空間(75f)へ、それぞれ流入する。
【0142】
第1風下ヘッダ集合管(70)の各主連通空間(75a〜75f)へ流入した冷媒は、各主連通空間(75a〜75f)に対応する風下主列ブロック(92a〜92f)の十二本の扁平管(61)へ分かれて流入する。第1主連通空間(75a)の冷媒は、第1風下主列ブロック(92a)を構成する扁平管(61)へ流入する。第2主連通空間(75b)の冷媒は、第2風下主列ブロック(92b)を構成する扁平管(61)へ流入する。第3主連通空間(75c)の冷媒は、第3風下主列ブロック(92c)を構成する扁平管(61)へ流入する。第4主連通空間(75d)の冷媒は、第4風下主列ブロック(92d)を構成する扁平管(61)へ流入する。第5主連通空間(75e)の冷媒は、第5風下主列ブロック(92e)を構成する扁平管(61)へ流入する。第6主連通空間(75f)の冷媒は、第6風下主列ブロック(92f)を構成する扁平管(61)へ流入する。
【0143】
各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)を流れる冷媒は、風上主熱交換領域(35)を通過した室外空気と熱交換する。各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第2風下ヘッダ集合管(80)の連結用空間(82)と連結管(105)と順に通って第2風上ヘッダ集合管(45)の連結用空間(47)へ流入する。
【0144】
図5に示すように、第2風上ヘッダ集合管(45)の連結用空間(47)へ流入した冷媒は、風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)へ流入する。
【0145】
上述したように、各風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)と各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)とは、連結管(105)を介して一本ずつ個別に接続されている(図8を参照)。従って、第1風下主列ブロック(92a)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第1風上主列ブロック(52a)の扁平管(31)へ流入する。また、第2風下主列ブロック(92b)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第2風上主列ブロック(52b)の扁平管(31)へ流入する。また、第3風下主列ブロック(92c)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第3風上主列ブロック(52c)の扁平管(31)へ流入する。また、第4風下主列ブロック(92d)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第4風上主列ブロック(52d)の扁平管(31)へ流入する。また、第5風下主列ブロック(92e)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第5風上主列ブロック(52e)の扁平管(31)へ流入する。また、第6風下主列ブロック(92f)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第6風上主列ブロック(52f)の扁平管(31)へ流入する。
【0146】
各風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)を流れる冷媒は、室外熱交換器(23)へ供給された室外空気と熱交換する。各風上主列ブロック(52a〜52f)の十二本の扁平管(31)を通過した冷媒は、第1風上ヘッダ集合管(40)の上側空間(42)へ入って合流し、その後にガス側接続管(102)を通って室外熱交換器(23)から流出してゆく。
【0147】
〈室外熱交換器における冷媒と空気の温度変化/蒸発器の場合〉
蒸発器として機能する室外熱交換器(23)における空気と冷媒の温度変化の一例を、図10に示す。
【0148】
図10に示すように、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)には、飽和温度2℃の気液二相状態の冷媒が流入する。冷媒の飽和温度は、冷媒が扁平管(31,61)を通過する際の圧力損失に起因して0℃にまで次第に低下する。そして、冷媒は、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)の途中でガス単相状態となり、その温度が1℃にまで上昇して風上主列部(51)を構成する扁平管(31)から流出する。
【0149】
一方、風上補助列部(54)が設けられた風上補助熱交換領域(37)と風上主列部(51)が設けられた風上主熱交換領域(35)とには、7℃の空気が流入する。また、風下補助列部(94)が設けられた風下補助熱交換領域(67)には、風上補助熱交換領域(37)を通過する際に冷却された4℃の空気が流入し、風下主列部(91)が設けられた風下主熱交換領域(65)には、風上主熱交換領域(35)を通過する際に冷却された3℃の空気が流入する。
【0150】
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、室外熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも低くなり、冷媒が空気から吸収する熱量(即ち、冷媒の吸熱量)が確保される。
【0151】
ここで、本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、各風下補助列ブロック(95a〜95c)を通過した冷媒は、第1風下ヘッダ集合管(70)の主連通空間(75a〜75f)へ一旦流入し、その後に風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する十二本の扁平管(61)(即ち、上下に並んだ複数の扁平管(61))へ分配される。その際、風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する各扁平管(61)へ流入する冷媒の湿り度は必ずしも均一ではなく、一部の扁平管(61)へは湿り度の低い冷媒が流入する可能性がある。
【0152】
しかし、風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)を通過する冷媒と熱交換する空気は、風上主熱交換領域(35)を通過する冷媒によって既に冷却された空気である。このため、風下主熱交換領域(65)における冷媒と空気の温度差は、風上主熱交換領域(35)における冷媒と空気の温度差よりも小さくなる。従って、風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)のうち湿り度の低い冷媒が流入するものにおいても、通常、冷媒はその扁平管(61)の全長に亘って気液二相状態に保たれる。その結果、上述したように、蒸発器として機能する室外熱交換器(23)の全体において、冷媒の温度が空気の温度よりも低くなる。
【0153】
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/凝縮器の場合〉
空気調和機(10)の冷房運転中には、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。冷房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0154】
室外熱交換器(23)には、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒が、配管(18)を通じて供給される。図4に示すように、配管(18)からガス側接続管(102)へ供給された冷媒は、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)と、風下主列部(91)を構成する扁平管(61)と、風下補助列部(94)を構成する扁平管(61)と、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)とを順に通過し、液側接続管(101)を通って配管(17)へ流出してゆく。
【0155】
室外熱交換器(23)における冷媒の流れを詳しく説明する。
【0156】
図5に示すように、ガス側接続管(102)から第1風上ヘッダ集合管(40)の上側空間(42)へ流入したガス単相状態の冷媒は、各風上主列ブロックを構成する扁平管(31)へ分かれて流入する。風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)を流れる冷媒は、室外熱交換器(23)へ供給された室外空気と熱交換する。各風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第2風上ヘッダ集合管(45)の連結用空間(47)と連結管(105)とを順に通って第2風下ヘッダ集合管(80)の連結用空間(82)へ流入する。
【0157】
図6に示すように、第2風下ヘッダ集合管(80)の連結用空間(82)へ流入した冷媒は、風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)へ流入する。
【0158】
上述したように、各風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)と各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)とは、連結管(105)を介して一本ずつ個別に接続されている(図8を参照)。従って、第1風上主列ブロック(52a)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第1風下主列ブロック(92a)の扁平管(61)へ流入する。また、第2風上主列ブロック(52b)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第2風下主列ブロック(92b)の扁平管(61)へ流入する。また、第3風上主列ブロック(52c)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第3風下主列ブロック(92c)の扁平管(61)へ流入する。また、第4風上主列ブロック(52d)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第4風下主列ブロック(92d)の扁平管(61)へ流入する。また、第5風上主列ブロック(52e)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第5風下主列ブロック(92e)の扁平管(61)へ流入する。また、第6風上主列ブロック(52f)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第6風下主列ブロック(92f)の扁平管(61)へ流入する。
【0159】
各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)を流れる冷媒は、風上主熱交換領域(35)を通過した室外空気と熱交換する。各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第1風下ヘッダ集合管(70)の対応する主連通空間(75a〜75f)へ流入する。第1風下主列ブロック(92a)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第1主連通空間(75a)へ入って合流する。第2風下主列ブロック(92b)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第2主連通空間(75b)へ入って合流する。第3風下主列ブロック(92c)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第3主連通空間(75c)へ入って合流する。第4風下主列ブロック(92d)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第4主連通空間(75d)へ入って合流する。第5風下主列ブロック(92e)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第5主連通空間(75e)へ入って合流する。第6風下主列ブロック(92f)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第6主連通空間(75f)へ入って合流する。
【0160】
第1主連通空間(75a)及び第2主連通空間(75b)の冷媒は、第1接続用配管(110)を通って第1補助連通空間(77a)へ流入する。第3主連通空間(75c)及び第4主連通空間(75d)の冷媒は、第2接続用配管(120)を通って第2補助連通空間(77b)へ流入する。第5主連通空間(75e)及び第6主連通空間(75f)の冷媒は、第3接続用配管(130)を通って第3補助連通空間(77c)へ流入する。
【0161】
各補助連通空間(77a〜77c)の冷媒は、対応する風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)へ流入する。第1補助連通空間(77a)の冷媒は、第1風下補助列ブロック(95a)の扁平管(61)へ流入する。第2補助連通空間(77b)の冷媒は、第2風下補助列ブロック(95b)の扁平管(61)へ流入する。第3補助連通空間(77c)の冷媒は、第3風下補助列ブロック(95c)の扁平管(61)へ流入する。
【0162】
各風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)を流れる冷媒は、風上補助熱交換領域(37)を通過した室外空気と熱交換する。各風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第2風下ヘッダ集合管(80)の連結用空間(82)と連結管(105)と順に通って第2風上ヘッダ集合管(45)の連結用空間(47)へ流入する。
【0163】
図5に示すように、第2風上ヘッダ集合管(45)の連結用空間(47)へ流入した冷媒は、風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)へ流入する。
【0164】
上述したように、各風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)と各風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)とは、連結管(105)を介して一本ずつ個別に接続されている(図8を参照)。従って、第1風下補助列ブロック(95a)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第1風上補助列ブロック(55a)の扁平管(31)へ流入する。また、第2風下補助列ブロック(95b)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第2風上補助列ブロック(55b)の扁平管(31)へ流入する。また、第3風下補助列ブロック(95c)の扁平管(61)を通過した冷媒は、第3風上補助列ブロック(55c)の扁平管(31)へ流入する。
【0165】
風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)を流れる冷媒は、室外熱交換器(23)へ供給された室外空気と熱交換する。各風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)を通過した冷媒は、対応する連通室(151〜153)へ流入する。第1風上補助列ブロック(55a)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第1連通室(151)へ入って合流する。第2風上補助列ブロック(55b)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第2連通室(152)へ入って合流する。第3風上補助列ブロック(55c)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第3連通室(153)へ入って合流する。各連通室(151〜153)の冷媒は、混合室(154)へ入って合流し、その後に液側接続管(101)を通って室外熱交換器(23)から流出してゆく。
【0166】
〈室外熱交換器における冷媒と空気の温度変化/凝縮器の場合〉
凝縮器として機能する室外熱交換器(23)における空気と冷媒の温度変化の一例を、図11に示す。
【0167】
図11に示すように、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)には、55℃の過熱状態のガス冷媒が流入する。この冷媒は、風上主列部(51)を構成する扁平管(31)の途中で50℃の飽和状態のガス冷媒となり、その後に次第に凝縮してゆく。冷媒の飽和温度は、冷媒が扁平管(31,61)を通過する際の圧力損失に起因して49℃にまで次第に低下する。そして、冷媒は、風上補助列部(54)を構成する扁平管(31)の途中で液単相状態となり、その温度が42℃にまで低下して風下補助列部(94)を構成する扁平管(31)から流出する。
【0168】
一方、風上補助列部(54)が設けられた風上補助熱交換領域(37)と風上主列部(51)が設けられた風上主熱交換領域(35)には、35℃の空気が流入する。また、風下主列部(91)が設けられた風下主熱交換領域(65)には、風上主熱交換領域(35)を通過する際に加熱された45℃の空気が流入し、風下補助列部(94)が設けられた風下補助熱交換領域(67)には、風上補助熱交換領域(37)を通過する際に加熱された40℃の空気が流入する。
【0169】
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合は、室外熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも高くなり、冷媒が空気へ放出する熱量(即ち、冷媒の放熱量)が確保される。
【0170】
−実施形態1の効果−
本実施形態の室外熱交換器(23)では、冷媒の流通経路において、風上補助列部(54)と、風下補助列部(94)と、第1風下ヘッダ集合管(70)と、風下主列部(91)と、風上主列部(51)とが直列に配置されている。
【0171】
本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合には、風上補助列部(54)から風上主列部(51)へ順に冷媒が流れる。つまり、冷媒は、風下主列部(91)の扁平管(61)を通過後に、風上主列部(51)の扁平管(31)を通過する。風下主列部(91)の扁平管(61)を流れる冷媒は、風上主熱交換領域(35)において冷却された空気と熱交換する。このため、上述したように、風下主列部(91)の扁平管(61)のうち湿り度の低い冷媒が流入するものにおいても、通常、冷媒はその扁平管(61)の全長に亘って気液二相状態に保たれる。従って、本実施形態の室外熱交換器(23)では、その全体において冷媒の温度が空気の温度よりも低くなり(図10を参照)、その結果、冷媒の吸熱量を充分に確保することが可能となる。
【0172】
また、本実施形態の室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合には、風上主列部(51)から風上補助列部(54)へ順に冷媒が流れる。このため、本実施形態の室外熱交換器(23)では、その全体において冷媒の温度が空気の温度よりも高くなり(図11を参照)、その結果、冷媒の放熱量を充分に確保することが可能となる。
【0173】
このように、本実施形態によれば、風上管列(50)と風下管列(90)を有する室外熱交換器(23)において、蒸発器としての性能と凝縮器としての性能とを両立させることが可能となる。
【0174】
ここで、本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、室外熱交換器(23)へ供給された気液二相状態の冷媒は、風上補助列部(54)と風下補助列部(94)を順に通過した後に、風下主列部(91)の各扁平管(61)へ分配される。
【0175】
一方、風上補助列部(54)と風下補助列部(94)は、風下主列部(91)よりも大幅に少ない本数の扁平管(31,61)によって構成される。また、室外ファン(15)の配置の関係上、通常、室外熱交換器(23)の下端付近を通過する空気の流量は比較的少ない。このため、風上補助列部(54)と風下補助列部(94)を通過する間における冷媒の吸熱量は比較的少なく、従って、その間における冷媒の湿り度の低下幅は比較的小さい。
【0176】
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、風下補助列部(94)から風下主列部(91)へ流入する冷媒が、比較的湿り度の高い状態に保たれる。一般に、上下に並んだ複数の扁平管に気液二相状態の冷媒を分配する場合、その冷媒の湿り度が大きいほど、各扁平管へ流入する冷媒の湿り度の差が小さくなり、各扁平管へ流入する冷媒の質量流量の差も小さくなる傾向がある。従って、本実施形態の室外熱交換器(23)のように補助列部(54,94)を通過した冷媒が風下主列部(91)へ流入する場合であっても、風下主列部(91)の各扁平管(61)へ流入する冷媒の湿り度および質量流量の差は、室外熱交換器(23)へ供給された気液二相状態の冷媒が風下主列部(91)へ直接に流入する場合とそれほど変わらない程度に抑えられる。
【0177】
また、本実施形態の室外熱交換器(23)において、対になった風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)は、それぞれを構成する扁平管(31,61)が一本ずつ個別に接続される。このため、室外熱交換器(23)における冷媒の流通経路において冷媒を複数の扁平管(31,61)へ分配する回数を減らすことができ、その結果、各扁平管(31,61)を流れる冷媒の質量流量を均一化するのが容易となる。
【0178】
また、本実施形態の室外熱交換器(23)において、対になった風上補助列ブロック(55a〜55c)と風下補助列ブロック(95a〜95c)は、それぞれを構成する扁平管(31,61)が一本ずつ個別に接続される。このため、室外熱交換器(23)における冷媒の流通経路において冷媒を複数の扁平管(31,61)へ分配する回数を減らすことができ、その結果、各扁平管(31,61)を流れる冷媒の質量流量を均一化するのが容易となる。
【0179】
また、本実施形態の室外熱交換器(23)では、一つの風下補助列ブロック(95a〜95c)と対になった風下主列ブロック群(93a〜93c)が、複数の風下主列ブロック(92a〜92f)によって構成される。このため、一つの風下補助列ブロック(95a〜95c)が一つの風下主列ブロック(92a〜92f)と対になる場合に比べて、各風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する扁平管(61)の本数が少なくなり、その結果、風下主列ブロック(92a〜92f)と対になった主連通空間(75a〜75f)の高さが低くなる。
【0180】
一方、主連通空間(75a〜75f)の高さが低いほど、主連通空間(75a〜75f)の上端寄りの扁平管(61)へ流入する冷媒の質量流量と、その下端寄りの扁平管(61)へ流入する冷媒の質量流量との差が小さくなる。従って、本実施形態によれば、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合に、風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する各扁平管(61)へ流入する冷媒の質量流量の差を縮小することができる。
【0181】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の室外熱交換器(23)は、実施形態1の室外熱交換器(23)において、第2風上ヘッダ集合管(45)及び第2風下ヘッダ集合管(80)の構造を変更したものである。ここでは、本実施形態の室外熱交換器(23)について、実施形態1の室外熱交換器(23)と異なる点を説明する。
【0182】
図12に示すように、本実施形態の第2風上ヘッダ集合管(45)には、仕切板(46)が八枚だけ設けられている。第2風上ヘッダ集合管(45)において、仕切板(46)は、第1風上補助熱交換部(38a)と第2風上補助熱交換部(38b)の境界と、第2風上補助熱交換部(38b)と第3風上補助熱交換部(38c)の境界と、第3風上補助熱交換部(38c)と第1風上主熱交換部(36a)の境界と、第1風上主熱交換部(36a)と第2風上主熱交換部(36b)の境界と、第2風上主熱交換部(36b)と第3風上主熱交換部(36c)の境界と、第3風上主熱交換部(36c)と第4風上主熱交換部(36d)の境界と、第4風上主熱交換部(36d)と第5風上主熱交換部(36e)の境界と、第5風上主熱交換部(36e)と第6風上主熱交換部(36f)の境界とに、一枚ずつ配置されている。
【0183】
第2風上ヘッダ集合管(45)の内部空間は、八枚の仕切板(46)によって、三つの補助連結空間(49a〜49c)と六つの主連結空間(48a〜48f)とに仕切られる。
【0184】
第1補助連結空間(49a)は、第1風上補助列ブロック(55a)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第2補助連結空間(49b)は、第2風上補助列ブロック(55b)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第3補助連結空間(49c)は、第3風上補助列ブロック(55c)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。
【0185】
第1主連結空間(48a)は、第1風上主列ブロック(52a)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第2主連結空間(48b)は、第2風上主列ブロック(52b)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第3主連結空間(48c)は、第3風上主列ブロック(52c)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第4主連結空間(48d)は、第4風上主列ブロック(52d)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第5主連結空間(48e)は、第5風上主列ブロック(52e)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第6主連結空間(48f)は、第6風上主列ブロック(52f)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。
【0186】
図13に示すように、本実施形態の第2風下ヘッダ集合管(80)には、仕切板(81)が八枚だけ設けられている。第2風下ヘッダ集合管(80)において、仕切板(46)は、第1風下補助熱交換部(68a)と第2風下補助熱交換部(68b)の境界と、第2風下補助熱交換部(68b)と第3風下補助熱交換部(68c)の境界と、第3風下補助熱交換部(68c)と第1風下主熱交換部(66a)の境界と、第1風下主熱交換部(66a)と第2風下主熱交換部(66b)の境界と、第2風下主熱交換部(66b)と第3風下主熱交換部(66c)の境界と、第3風下主熱交換部(66c)と第4風下主熱交換部(66d)の境界と、第4風下主熱交換部(66d)と第5風下主熱交換部(66e)の境界と、第5風下主熱交換部(66e)と第6風下主熱交換部(66f)の境界とに、一枚ずつ配置されている。
【0187】
第2風下ヘッダ集合管(80)の内部空間は、八枚の仕切板(81)によって、三つの補助連結空間(84a〜84c)と六つの主連結空間(83a〜83f)とに仕切られる。
【0188】
第1補助連結空間(84a)は、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。第2補助連結空間(84b)は、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。第3補助連結空間(84c)は、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。
【0189】
第1主連結空間(83a)は、第1風下主列ブロック(92a)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。第2主連結空間(83b)は、第2風下主列ブロック(92b)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。第3主連結空間(83c)は、第3風下主列ブロック(92c)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。第4主連結空間(83d)は、第4風下主列ブロック(92d)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。第5主連結空間(83e)は、第5風下主列ブロック(92e)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。第6主連結空間(83f)は、第6風下主列ブロック(92f)を構成する全ての扁平管(61)と連通する。
【0190】
図示しないが、第2風上ヘッダ集合管(45)の各補助連結空間(49a〜49c)と、第2風下ヘッダ集合管(80)の各補助連結空間(84a〜84c)は、一つずつ連結管(105)を介して接続されている。
【0191】
第2風上ヘッダ集合管(45)の第1補助連結空間(49a)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第1補助連結空間(84a)と一つの連結管(105)を介して接続される。第2風上ヘッダ集合管(45)の第2補助連結空間(49b)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第2補助連結空間(84b)と一つの連結管(105)を介して接続される。第2風上ヘッダ集合管(45)の第3補助連結空間(49c)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第3補助連結空間(84c)と一つの連結管(105)を介して接続される。
【0192】
第2風上ヘッダ集合管(45)の第1主連結空間(48a)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第1主連結空間(83a)と一つの連結管(105)を介して接続される。第2風上ヘッダ集合管(45)の第2主連結空間(48b)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第2主連結空間(83b)と一つの連結管(105)を介して接続される。第2風上ヘッダ集合管(45)の第3主連結空間(48c)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第3主連結空間(83c)と一つの連結管(105)を介して接続される。第2風上ヘッダ集合管(45)の第4主連結空間(48d)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第4主連結空間(83d)と一つの連結管(105)を介して接続される。第2風上ヘッダ集合管(45)の第5主連結空間(48e)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第5主連結空間(83e)と一つの連結管(105)を介して接続される。第2風上ヘッダ集合管(45)の第6主連結空間(48f)は、第2風下ヘッダ集合管(80)の第6主連結空間(83f)と一つの連結管(105)を介して接続される。
【0193】
本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、各風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)を通過した冷媒は、その風上補助列ブロック(55a〜55c)に対応する第2風上ヘッダ集合管(45)の補助連結空間(49a〜49c)と連結管(105)と第2風下ヘッダ集合管(80)の補助連結空間(84a〜84c)とを順に通過し、各補助連結空間(84a〜84c)に対応する風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)へ流入する。また、各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)を通過した冷媒は、その風下主列ブロック(92a〜92f)に対応する第2風下ヘッダ集合管(80)の主連結空間(83a〜83f)と連結管(105)と第2風上ヘッダ集合管(45)の主連結空間(48a〜48f)とを順に通過し、各主連結空間(48a〜48f)に対応する風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)へ流入する。
【0194】
一方、本実施形態の室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、風上主列ブロック(52a〜52f)の扁平管(31)を通過した冷媒は、その風上主列ブロック(52a〜52f)に対応する第2風上ヘッダ集合管(45)の主連結空間(48a〜48f)と連結管(105)と第2風下ヘッダ集合管(80)の主連結空間(83a〜83f)とを順に通過し、各主連結空間(83a〜83f)に対応する各風下主列ブロック(92a〜92f)の扁平管(61)へ流入する。また、風下補助列ブロック(95a〜95c)の扁平管(61)を通過した冷媒は、その風下補助列ブロック(95a〜95c)に対応する第2風下ヘッダ集合管(80)の補助連結空間(84a〜84c)と連結管(105)と第2風上ヘッダ集合管(45)の補助連結空間(49a〜49c)とを順に通過し、各補助連結空間(49a〜49c)に対応する各風上補助列ブロック(55a〜55c)の扁平管(31)へ流入する。
【0195】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態の室外熱交換器(23)は、実施形態1の室外熱交換器(23)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の室外熱交換器(23)について、実施形態1の室外熱交換器(23)と異なる点を説明する。
【0196】
図14及び図15に示すように、本実施形態の室外熱交換器(23)は、第2風上ヘッダ集合管(45)及び第2風下ヘッダ集合管(80)が省略され、風上管列(50)を構成する扁平管(31)と風下管列(90)を構成する扁平管(61)が一体化されている。
【0197】
具体的に、本実施形態の室外熱交換器(23)では、U字状に屈曲した多数の扁平管(170)が上下に配列されている。各扁平管(170)は、真っ直ぐな扁平管をU字状に屈曲させたものであって、二つの直管部(171,172)と、二つの直管部(171,172)を繋ぐ一つの曲管部(173)とによって構成されている。各扁平管(170)において、二つの直管部(171,172)は、互いに実質的に平行となっている。
【0198】
本実施形態の室外熱交換器(23)において、上下に隣り合う扁平管(170)は、それぞれの直管部(171,172)の側面のうち平坦な部分が互いに向かい合い、それぞれの直管部(171,172)の軸方向が互いに実質的に平行となっている。また、各扁平管(170)は、第1の直管部(171)の開口端が第1風上ヘッダ集合管(40)に接続し、第2の直管部(172)の開口端が第1風下ヘッダ集合管(70)に接続する。そして、本実施形態の室外熱交換器(23)は、各扁平管(170)の第1の直管部(171)が風上管列(50)を構成し、各扁平管(170)の第2の直管部(172)が風下管列(90)を構成する。つまり、扁平管(170)の第1の直管部(171)は、実施形態1の風上管列(50)を構成する扁平管(31)に相当し、扁平管(170)の第2の直管部(172)は、実施形態1の風下管列(90)を構成する扁平管(61)に相当する。
【0199】
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)に設けられた各扁平管(170)では、二つの直管部(171,172)が一つの曲管部(173)を介して接続されている。従って、本実施形態の室外熱交換器(23)では、実施形態1の室外熱交換器(23)と同様に、風上管列(50)を構成する扁平管と風下管列(90)を構成する扁平管が、一本ずつ互いに接続されている。
【0200】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態の室外熱交換器(23)は、実施形態1の室外熱交換器(23)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の室外熱交換器(23)について、実施形態1の室外熱交換器(23)と異なる点を説明する。
【0201】
図16に示すように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、風上補助熱交換領域(37)が上下に六つの風上補助熱交換部(38a〜38f)に区分され、風下補助熱交換領域(67)が上下に六つの風下補助熱交換部(68a〜68f)に区分されている。つまり、本実施形態の室外熱交換器(23)では、風上主熱交換部(36a〜36f)と風上補助熱交換部(38a〜38f)と風下主熱交換部(66a〜66f)と風下補助熱交換部(68a〜68f)とが互いに同数となっている。
【0202】
〈風上熱交換器ユニットの構成〉
本実施形態の風上熱交換器ユニット(30)について、実施形態1と異なる点を説明する。
【0203】
風上補助熱交換領域(37)には、下から上に向かって順に、第1風上補助熱交換部(38a)と、第2風上補助熱交換部(38b)と、第3風上補助熱交換部(38c)と、第4風上補助熱交換部(38d)と、第5風上補助熱交換部(38e)と、第6風上補助熱交換部(38f)とが形成されている。各風上補助熱交換部(38a〜38f)に設けられた扁平管(31)の本数は、互いに等しい。
【0204】
第1風上補助熱交換部(38a)に設けられた扁平管(31)は、第1風上補助列ブロック(55a)を構成する。第2風上補助熱交換部(38b)に設けられた扁平管(31)は、第2風上補助列ブロック(55b)を構成する。第3風上補助熱交換部(38c)に設けられた扁平管(31)は、第3風上補助列ブロック(55c)を構成する。第4風上補助熱交換部(38d)に設けられた扁平管(31)は、第4風上補助列ブロック(55d)を構成する。第5風上補助熱交換部(38e)に設けられた扁平管(31)は、第5風上補助列ブロック(55e)を構成する。第6風上補助熱交換部(38f)に設けられた扁平管(31)は、第6風上補助列ブロック(55f)を構成する。
【0205】
第1風上ヘッダ集合管(40)の下側空間(43)は、上下に六つの補助連通空間(44a〜44f)に仕切られている。つまり、第1風上ヘッダ集合管(40)における仕切板(41)の下側には、下から上へ向かって順に、第1補助連通空間(44a)と、第2補助連通空間(44b)と、第3補助連通空間(44c)と、第4補助連通空間(44d)と、第5補助連通空間(44e)と、第6補助連通空間(44f)とが形成されている。
【0206】
第1補助連通空間(44a)には、第1風上補助列ブロック(55a)を構成する扁平管(31)が連通する。第2補助連通空間(44b)には、第2風上補助列ブロック(55b)を構成する扁平管(31)が連通する。第3補助連通空間(44c)には、第3風上補助列ブロック(55c)を構成する扁平管(31)が連通する。第4補助連通空間(44d)には、第4風上補助列ブロック(55d)を構成する扁平管(31)が連通する。第5補助連通空間(44e)には、第5風上補助列ブロック(55e)を構成する扁平管(31)が連通する。第6補助連通空間(44f)には、第6風上補助列ブロック(55f)を構成する扁平管(31)が連通する。
【0207】
第1風上ヘッダ集合管(40)には、六本の液側接続管(101a〜101f)が取り付けられている。第1液側接続管(101a)は、一端が第1補助連通空間(44a)に連通する。第2液側接続管(101b)は、一端が第2補助連通空間(44b)に連通する。第3液側接続管(101c)は、一端が第3補助連通空間(44c)に連通する。第4液側接続管(101d)は、一端が第4補助連通空間(44d)に連通する。第5液側接続管(101e)は、一端が第5補助連通空間(44e)に連通する。第6液側接続管(101f)は、一端が第6補助連通空間(44f)に連通する。
【0208】
図16には図示しないが、各液側接続管(101a〜101f)の他端は、分流器を介して冷媒回路(20)の配管(17)に接続される。空気調和機(10)の暖房運転中において、この分流器は、膨張弁(24)を通過した冷媒を各液側接続管(101a〜101f)へ分配する。
【0209】
図16には図示しないが、第2風上ヘッダ集合管(45)の内部空間は、風上管列(50)を構成する扁平管(31)と同数の連結用空間(47)に区画されている。各連結用空間(47)は、それぞれが対応する一本の扁平管(31)と連通する。この段落に記載した点において、本実施形態の室外熱交換器(23)は実施形態1と共通する。
【0210】
〈風下熱交換器ユニットの構成〉
本実施形態の風下熱交換器ユニット(60)について、実施形態1と異なる点を説明する。
【0211】
風下補助熱交換領域(67)には、下から上に向かって順に、第1風下補助熱交換部(68a)と、第2風下補助熱交換部(68b)と、第3風下補助熱交換部(68c)と、第4風下補助熱交換部(68d)と、第5風下補助熱交換部(68e)と、第6風下補助熱交換部(68f)とが形成されている。各風下補助熱交換部(68a〜68f)に設けられた扁平管(61)の本数は、互いに等しい。
【0212】
第1風下補助熱交換部(68a)に設けられた扁平管(61)は、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する。第2風下補助熱交換部(68b)に設けられた扁平管(61)は、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する。第3風下補助熱交換部(68c)に設けられた扁平管(61)は、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する。第4風下補助熱交換部(68d)に設けられた扁平管(61)は、第4風下補助列ブロック(95d)を構成する。第5風下補助熱交換部(68e)に設けられた扁平管(61)は、第5風下補助列ブロック(95e)を構成する。第6風下補助熱交換部(68f)に設けられた扁平管(61)は、第6風下補助列ブロック(95f)を構成する。
【0213】
第1風下ヘッダ集合管(70)の下側空間(73)は、上下に六つの補助連通空間(77a〜77c)に仕切られている。つまり、第1風下ヘッダ集合管(70)における仕切板(71)の下側には、下から上へ向かって順に、第1補助連通空間(77a)と、第2補助連通空間(77b)と、第3補助連通空間(77c)と、第4補助連通空間(77d)と、第5補助連通空間(77e)と、第6補助連通空間(77f)とが形成されている。
【0214】
第1補助連通空間(77a)には、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する扁平管(61)が連通する。第2補助連通空間(77b)には、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する扁平管(61)が連通する。第3補助連通空間(77c)には、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する扁平管(61)が連通する。第4補助連通空間(77d)には、第4風下補助列ブロック(95d)を構成する扁平管(61)が連通する。第5補助連通空間(77e)には、第5風下補助列ブロック(95e)を構成する扁平管(61)が連通する。第6補助連通空間(77f)には、第6風下補助列ブロック(95f)を構成する扁平管(61)が連通する。
【0215】
第1風下ヘッダ集合管(70)には、六本の接続用配管(141〜146)が取り付けられている。第1接続用配管(141)は、一端が第1補助連通空間(77a)に、他端が第1主連通空間(75a)にそれぞれ連通し、第1風下補助列ブロック(95a)と第1風下主列ブロック(92a)とを接続する。第2接続用配管(142)は、一端が第2補助連通空間(77b)に、他端が第2主連通空間(75b)にそれぞれ連通し、第2風下補助列ブロック(95b)と第2風下主列ブロック(92b)とを接続する。第3接続用配管(143)は、一端が第3補助連通空間(77c)に、他端が第3主連通空間(75c)にそれぞれ連通し、第3風下補助列ブロック(95c)と第3風下主列ブロック(92c)とを接続する。第4接続用配管(144)は、一端が第4補助連通空間(77d)に、他端が第4主連通空間(75d)にそれぞれ連通し、第4風下補助列ブロック(95d)と第4風下主列ブロック(92d)とを接続する。第5接続用配管(145)は、一端が第5補助連通空間(77e)に、他端が第5主連通空間(75e)にそれぞれ連通し、第5風下補助列ブロック(95e)と第5風下主列ブロック(92e)とを接続する。第6接続用配管(146)は、一端が第6補助連通空間(77f)に、他端が第6主連通空間(75f)にそれぞれ連通し、第6風下補助列ブロック(95f)と第6風下主列ブロック(92f)とを接続する。
【0216】
図16には図示しないが、第2風下ヘッダ集合管(80)の内部空間は、風下管列(90)を構成する扁平管(61)と同数の連結用空間(82)に区画されている。各連結用空間(82)は、それぞれが対応する一本の扁平管(61)と連通する。第2風下ヘッダ集合管(80)の各連結用空間(82)は、対応する第2風上ヘッダ集合管(45)の連結用空間(47)に、連結管(105)を介して接続されている。この段落に記載した点において、本実施形態の室外熱交換器(23)は実施形態1と共通する。
【0217】
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、第1風上補助列ブロック(55a)と第1風下補助列ブロック(95a)と第1風下主列ブロック(92a)と第1風上主列ブロック(52a)とが順に直列に接続され、第2風上補助列ブロック(55b)と第2風下補助列ブロック(95b)と第2風下主列ブロック(92b)と第2風上主列ブロック(52b)とが順に直列に接続され、第3風上補助列ブロック(55c)と第3風下補助列ブロック(95c)と第3風下主列ブロック(92c)と第3風上主列ブロック(52c)とが順に直列に接続され、第4風上補助列ブロック(55d)と第4風下補助列ブロック(95d)と第4風下主列ブロック(92d)と第4風上主列ブロック(52d)とが順に直列に接続され、第5風上補助列ブロック(55e)と第5風下補助列ブロック(95e)と第5風下主列ブロック(92e)と第5風上主列ブロック(52e)とが順に直列に接続され、第6風上補助列ブロック(55f)と第6風下補助列ブロック(95f)と第6風下主列ブロック(92f)と第6風上主列ブロック(52f)とが順に直列に接続されている。
【0218】
〈室外熱交換器における冷媒の流れ〉
本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合には、膨張弁(24)を通過した冷媒が六本の液側接続管(101a〜101f)へ流入する。その後、冷媒は、図16に示す矢印の方向に流れる。つまり、冷媒は、互いに接続された風上補助列ブロック(55a〜55f)と風下補助列ブロック(95a〜95f)と風下主列ブロック(92a〜92f)と風上主列ブロック(52a〜52f)を順に流れる。
【0219】
本実施形態の室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合には、圧縮機(21)から吐出された冷媒がガス側接続管(102)へ流入する。その後、冷媒は、図16に示す矢印とは逆方向へ流れる。つまり、冷媒は、互いに接続された風上主列ブロック(52a〜52f)と風下主列ブロック(92a〜92f)と風下補助列ブロック(95a〜95f)と風上補助列ブロック(55a〜55f)を順に流れる。
【0220】
ここで、蒸発器として機能する実施形態1の室外熱交換器(23)において、各風下補助列ブロック(95a〜95c)を通過した冷媒は、対応する二つの風下主列ブロック(92a〜92f)へ分配される。このため、実施形態1の室外熱交換器(23)では、各風下補助列ブロック(95a〜95c)から対応する二つの風下主列ブロック(92a〜92f)へ冷媒を均等に分配するための工夫が必要になる。
【0221】
一方、蒸発器として機能する本実施形態の室外熱交換器(23)において、各風下補助列ブロック(95a〜95f)を通過した冷媒は、対応する一つの風下主列ブロック(92a〜92f)へ流入する。このため、本実施形態の室外熱交換器(23)では、各風下補助列ブロック(95a〜95f)と対応する一つの風下主列ブロック(92a〜92f)のそれぞれを液側接続管(101a〜101f)で接続すればよく、風下補助列ブロック(95a〜95f)から風下主列ブロック(92a〜92f)へ冷媒を送る際の工夫は不要である。従って、本実施形態によれば、各風下主列ブロック(92a〜92f)を流れる冷媒の流量を容易に均一化することができる。
【0222】
《その他の実施形態》
図17に示すように、上記各実施形態の室外熱交換器(23)は、風上管列(50)を構成する扁平管(31)と風下管列(90)を構成する扁平管(61)の両方が一枚のフィン(180)に接合されていてもよい。つまり、本変形例の室外熱交換器(23)では、扁平管(31,61)の軸方向に一定の間隔をおいて配列された各フィン(180)の管挿入部(187)に、風上管列(50)を構成する扁平管(31)と風下管列(90)を構成する扁平管(61)の両方が配置される。
【0223】
また、上記各実施形態の室外熱交換器(23)には、板状のフィン(32,62,180)に代えて波形のフィンが設けられていてもよい。このフィンは、いわゆるコルゲートフィンであって、上下に蛇行する波形に形成されている。そして、この波形のフィンは、上下に隣り合った扁平管(31,61,170)の間に一つずつ配置される。
【産業上の利用可能性】
【0224】
以上説明したように、本発明は、扁平管とフィンを有して冷媒と空気を熱交換させる熱交換器について有用である。
【符号の説明】
【0225】
10 空気調和機
23 室外熱交換器(熱交換器)
31 扁平管
32 フィン
50 風上管列
51 風上主列部
52a〜52f 第1〜第6風上主列ブロック
55a〜55c 第1〜第3風上補助列ブロック
54 風上補助列部
61 扁平管
62 フィン
70 第1風下ヘッダ集合管(ヘッダ集合管)
75a〜75f 第1〜第6主連通空間
77a〜77c 第1〜第3補助連通空間
90 風下管列
91 風下主列部
92a〜92f 第1〜第6風下主列ブロック
93a〜93c 第1〜第3風下主列ブロック群
94 風下補助列部
95a〜95c 第1〜第3風下補助列ブロック
【要約】
【課題】上下に並んだ複数の扁平管を備える二列構造の熱交換器において、蒸発器としての性能と凝縮器としての性能とを両立させる。
【解決手段】熱交換器(23)において、風上主熱交換領域(35)は風上主列部を、風下主熱交換領域(65)は風下主列部を、風上補助熱交換領域(37)は風上補助列部を、風下補助熱交換領域(67)は風下補助列部を、それぞれ備える。各主列部と各補助列部は、それぞれが複数の扁平管で構成される。蒸発器として機能する熱交換器(23)において、冷媒は、風上補助列部、風下補助列部、風下主列部、風上主列部の順に流れる。一方、凝縮器として機能する熱交換器(23)において、冷媒は、風上主列部、風下主列部、風下補助列部、風上補助列部の順に流れる。
【選択図】図3
図1
図2
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