特許第5679165号(P5679165)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サトーホールディングス株式会社の特許一覧

特許5679165ラベル用粘着剤、ラベル材および偽造検知システム
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679165
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】ラベル用粘着剤、ラベル材および偽造検知システム
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20150212BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20150212BHJP
   C09J 7/04 20060101ALI20150212BHJP
   C09J 11/02 20060101ALI20150212BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
   G09F3/00 M
   G09F3/10 A
   C09J7/04
   C09J11/02
   C09J201/00
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-212506(P2010-212506)
(22)【出願日】2010年9月22日
(65)【公開番号】特開2012-68400(P2012-68400A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤井 義人
(72)【発明者】
【氏名】山室 博巳
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−1769(JP,U)
【文献】 特開平9−176590(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3137001(JP,U)
【文献】 特開2010−182249(JP,A)
【文献】 特開2003−66845(JP,A)
【文献】 特開2002−347144(JP,A)
【文献】 特開2008−75218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00− 3/20
B42D 25/00− 25/248
C09J 1/00−201/10
G07D 7/00− 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤と、電磁波発生体とを含有するラベル用粘着剤であって、
前記電磁波発生体は、Y、Gd、LuおよびLaの少なくとも1つを含有し、かつ、Ybを含有することを特徴とするラベル用粘着剤。
【請求項2】
粘着剤、電磁波発生体、および、前記電磁波発生体を前記粘着剤中に分散させる分散剤を含有し、前記電磁波発生体は、Y、Gd、LuおよびLaの少なくとも1つを含有し、かつ、Ybを含有することを特徴とするラベル用粘着剤。
【請求項3】
前記電磁波発生体は、電磁波により励起され、特定の波長の電磁波を放出することを特徴とする請求項1または2記載のラベル用粘着剤。
【請求項4】
前記電磁波発生体は、ラベル用粘着剤中に1質量%以上50質量%以下含有されていることを特徴とする請求項1または2記載のラベル用粘着剤。
【請求項5】
基材シートと、前記基材シート上に設けられた粘着剤層とを備えるラベル材であって、前記粘着剤層は、請求項1ないし4のいずれか記載のラベル用粘着剤で形成されたものであることを特徴とするラベル材。
【請求項6】
前記粘着剤層は、パターン状に形成されていることを特徴とする請求項記載のラベル材。
【請求項7】
前記基材シートは、前記ラベル用粘着剤から放出される電磁波を5%以上95%以下透過することを特徴とする請求項記載のラベル材。
【請求項8】
ラベル材、前記ラベル材から放出される特定の波長の電磁波を検出するスキャナ、および、偽造か否かを知らせる通知装置を備えた偽造検知システムであって、
前記ラベル材は、請求項ないしのいずれか記載のラベル材であり、
前記スキャナは、前記電磁波を検出すると、通知装置に所定の信号を送り、
前記通知装置は前記スキャナからの信号を受け、真偽の判定を示すことを特徴とする偽造検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナにて検出可能な電磁波を放出するラベル用粘着剤、ラベル材および偽造検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パスポートや運転免許証等の身分証明書には、顔写真欄やサイン欄が設けられているが、近年、これ等を改ざん、変造して悪用する事件が発生している。
【0003】
このため、透明シート上に、赤外線スキャナにて検出可能なバーコードパターン状のインキ層を形成し、粘着剤にて顔写真欄やサイン欄上に貼着するラベル材に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−138826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような方法を採った場合、不可視のインキにてバーコードパターンを形成する工程と、粘着剤を塗布する工程とがそれぞれ必要になるという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みて為されたものであり、その課題とするところは、スキャナで検出でき、かつ、容易に製造できるラベル用粘着剤、ラベル材および偽造検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
(1)粘着剤と、電磁波発生体とを含有するラベル用粘着剤であって、前記電磁波発生体は、Y、Gd、LuおよびLaの少なくとも1つを含有し、かつ、Ybを含有することを特徴とするラベル用粘着剤
(2)粘着剤、電磁波発生体、および、前記電磁波発生体を前記粘着剤中に分散させる分散剤を含有し、前記電磁波発生体は、Y、Gd、LuおよびLaの少なくとも1つを含有し、かつ、Ybを含有することを特徴とするラベル用粘着剤。
(3)前記電磁波発生体は、電磁波により励起され、特定の波長の電磁波を放出することを特徴とする前記(1)または(2)記載のラベル用粘着剤。
(4)前記電磁波発生体は、ラベル用粘着剤中に1質量%以上50質量%以下含有されていることを特徴とする前記(1)または(2)記載のラベル用粘着剤。
(5)基材シートと、前記基材シート上に設けられた粘着剤層とを備えるラベル材であって、前記粘着剤層は、前記(1)ないし(4)のいずれか記載のラベル用粘着剤で形成されたものであることを特徴とするラベル材。
(6)前記粘着剤層は、パターン状に形成されていることを特徴とする前記(5)記載のラベル材。
(7)前記基材シートは、前記ラベル用粘着剤から放出される電磁波を5%以上95%以下透過することを特徴とする前記(5)記載のラベル材。
(8)ラベル材、前記ラベル材から放出される特定の波長の電磁波を検出するスキャナ、および、偽造か否かを知らせる通知装置を備えた偽造検知システムであって、前記ラベル材は、前記(5)ないし(7)のいずれか記載のラベル材であり、前記スキャナは、前記電磁波を検出すると、通知装置に所定の信号を送り、前記通知装置は前記スキャナからの信号を受け、真偽の判定を示すことを特徴とする偽造検知システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スキャナで検出でき、かつ、容易に製造できるラベル用粘着剤、ラベル材および偽造検知システムを提供することができる。
また、電磁波発生体をインキではなく粘着剤に混入するので、多少の着色等があっても電磁波発生体の存在が悟られにくい。
また、電磁波発生体を粘着剤と共に用いることで、粘着剤を全てきれいに除去しない限り電磁波発生体を完全に除去することができず、偽造を困難にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0010】
(ラベル用粘着剤)
本発明のラベル用粘着剤は、粘着剤と電磁波発生体とを含有する。
本発明のラベル用粘着剤は、粘着剤、電磁波発生体、および、電磁波発生体を粘着剤中に分散させる分散剤を含有することが好ましい。
【0011】
粘着剤は、特に限定されるものではなく、たとえば、エマルジョン系、ソルベント系、ホットメルト系の粘着剤が用いられる。素材は、アクリル系、ゴム系など任意である。粘着特性は被貼着物の種類に応じて選定される。例えば、一度貼着した後には剥がす必要がない場合、強粘着や、さらに粘着力が強い超強粘着や、冷凍糊と呼ばれる粘着特性が望ましい。
【0012】
粘着剤は、ラベル用粘着剤中に50質量%以上99質量%以下含有されていることが好ましい。
【0013】
電磁波発生体とは、電磁波の発生源となりうる物体を意味する。
電磁波発生体は、電磁波など特定のエネルギーにより励起され、特定の波長の電磁波を放出する物体であることが好ましい。電磁波発生体が放出する電磁波は、ラジオ波、紫外線、赤外線、および、可視光線などである。例えば、赤外線発生体などを用いることができる。
電磁波発生体は無機物質であることが好ましい。無機物質よりなる電磁波発生体は、耐候性に優れ、時間の経過にあまり関係なく電磁波を発生させることができるからである。
【0014】
電磁波発生体は、Y(イットリウム)、Gd(ガドリニウム)、Lu(ルテチウム)およびLa(ランタン)の少なくとも1つを含有し、かつ、Yb(イッテルビウム)を含有することが好ましい。
例えば、根本特殊化学社製の赤外発光蛍光体は、電磁波発生体として好適に用いられる。
【0015】
具体的には、Lu(ルテチウム)、Yb(イッテルビウム)およびNd(ネオジム)を含有する赤外発光蛍光体は、電磁波発生体として用いることができる。
また、ランタン(La)、イッテルビウム(Yb)およびネオジム(Nd)を含有する赤外発光蛍光体は、電磁波発生体として用いることができる。
さらに、Y(イットリウム)、Gd(ガドリニウム)、およびLa(ランタン)のいずれか1つを含有し、かつ、イッテルビウム(Yb)およびエルビウム(Er)を含有する蛍光体は、電磁波発生体として用いることができる。
また、モリブデン酸塩系赤外発光蛍光体は、電磁波発生体として用いることができる。
【0016】
電磁波発生体は、ラベル用粘着剤中に1質量%以上50質量%以下含有されていることが好ましい。また、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましい。
【0017】
電磁波発生体は、粘着剤中に均一に分散されていることが好ましい。
均一に分散させる方法としては、混合時に加熱する方法および分散剤を加える方法などがある。
【0018】
分散剤は、一般的に市販されている界面活性剤(乳化剤)を用いることができる。
界面活性剤は、粘着剤中に電磁波発生体を分散させることができ、特にエマルジョン系の粘着剤中に電磁波発生体を良好に分散させることができる。
分散剤は、水またはエタノールと混合して分散液とした状態で用いることが好ましい。
分散液は、ラベル用粘着剤中に3質量%以上5質量%以下含有されていることが好ましい。
【0019】
本発明のラベル用粘着剤は、粘着剤と電磁波発生体とを混合することで容易に製造できる。
本発明のラベル用粘着剤は、偽造防止機能を有するラベルなどに好適に用いることができる。
具体的には、ラベル用粘着剤が、ラベルを被貼着物に貼るための粘着剤として機能すると共に、電磁波を放出する偽造判定のための要素として機能する。
【0020】
(ラベル材)
本発明のラベル材は、基材シートと、基材シート上に設けられた粘着剤層とを備えるラベル材であって、粘着剤層は、上述のラベル用粘着剤で形成されたものであることを特徴とする。
【0021】
基材シートは、上質紙やコート紙やアート紙等の紙、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニルやこれを更に塩素化した塩素化ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂等から成るフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等に充填材を加えて紙のような繊維状に加工した合成紙、およびこれらの積層体や複合材などが用いられる。
【0022】
基材シートは、ラベル用粘着剤から放出される電磁波を5%以上95%以下透過することが好ましい。
透過率が5%以上95%以下であれば、基材シートの厚さによって透過する電磁波の強さを容易に調整することができるからである。
また、基材シートの厚さや材質をラベルの部分ごとに変化させることで、赤外線の透過の度合いを変化させ、パターンを形成することもできる。
【0023】
粘着剤層は、基材シートの全面に形成されていることが好ましい。
広い範囲から電磁波を放出することで、スキャナによる検出が容易になるからである。
【0024】
また、粘着剤層は、パターン状に形成されていることが好ましい。
パターン状に形成された粘着剤層は、粘着剤層のみで偽造防止マークとして機能する。
パターンとしては、バーコードパターンなどを用いることができる。
さらに、基材シートの厚さや材質をラベルの部分ごとに変化させ、かつ、粘着剤層をパターン状に形成することで、基材シートと粘着剤層のパターンを組み合わせることもできる。
【0025】
本発明のラベル材は、インキ層を形成する工程を省略して、粘着剤を塗布する工程のみで容易に製造できるので時間やコストを削減できる。
なお、本発明のラベル材は、電磁波発生体をインキではなく粘着剤に混入している。したがって、電磁波発生体の混入により粘着剤に多少の着色等が生じても、基材シートが不透明であれば電磁波発生体の存在が悟られにくいという利点がある。
また、本発明のラベル材は、電磁波発生体をインキではなく粘着剤と共に用いているので、粘着剤を全てきれいに除去しない限り電磁波発生体を完全に除去することができず、インキに混入した場合に比べて偽造を困難にすることができる。
【0026】
本発明のラベル材は、粘着剤層上に剥離可能に積層される剥離シートを備えることができる。
剥離シートとしては、一般に利用されている通常のものが用いられる。例えば、ポリエチレン被膜を介しシリコーンが表面に塗布された紙、クレー塗装後にスーパーキャレンダーがけしたクラフト紙、グラシン紙、上質セパレータ、各種プラスチックフィルム、等が例示される。
【0027】
本発明のラベル材は、基材シートに粘着剤を塗布またはスプレー等することで容易に製造できる。
そして、本発明のラベル材の適用対象としては、パスポートや運転免許証等の各種身分証明書に限らず、例えば、株券、債券、小切手、通帳、宝くじ、乗車券、回数券、定期券等の証券類、IDカード、クレジットカード,キャッシュカード、ギフトカード等のプラスチックカード、テレホンカードに代表されるプリペイドカードといった金券に変わる証券関連商品などが列挙される。
また、ラベル材自体を宅配便の配送票、パーツラベル、または一般的な識別ラベルなどとして、被貼着物に貼着して用いることもできる。
【0028】
粘着剤層から放出される電磁波は、スキャナなどの検出装置により検出される。
【0029】
(システム)
本発明の偽造検知システムは、ラベル材、ラベル材から放出される特定の波長の電磁波を検出するスキャナ、および、偽造か否かを知らせる通知装置を備えた偽造検知システムであって、ラベル材は上述のラベル材であり、スキャナは、電磁波を検出すると通知装置に偽造でないことを示す表示をさせる。
また、スキャナは、電磁波を検出すると通知装置に偽造でないことを示す音を出させることもできる。
【0030】
スキャナは、赤外線などの電磁波を検出することができる装置であれば特に限定されず、ハンドスキャナまたは固定設置スキャナなどが用いられる。
スキャナは、粘着剤層からの電磁波を検出すると通知装置に所定の信号を送り、偽造でないことを示す表示をさせる。
表示は、○または×のような単純なものでもよいし、電磁波の強さを表示することでラベルとスキャナとの距離を推測できるようなものでもよい。
また、スキャナは、電磁波を検出すると通知装置に所定の信号を送り、偽造でないことを示す音を出させることもできる。
音は、チャイム音のような単純なものでもよいし、電磁波の強さを音で示すことでラベルとスキャナとの距離を推測できるようなものでもよい。
【0031】
通知装置は、スキャナからの信号を受け、表示や音によって真偽の判定を示す装置である。
通知装置としては、モニタまたはスピーカなどを用いることができる。
また、モニタおよびスピーカを含むパソコンなどを通知装置とすることもできる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
発明者らは以下の実験を行った。
【0033】
[実施例1]
(ラベル用粘着剤)
粘着剤(東洋インキ製造社製、商品名「E95K」、エマルジョン系)を100質量部用意した。
電磁波発生体(根本特殊化学社製、商品名「IRS−F」、波長850nmの赤外線を照射すると波長980nmの赤外線を放出する。)を2質量部用意した。
分散剤(サンノプコ社製、商品名「ノプコスパース44C」)を0.002質量部用意した。
水を1質量部用意した。
まず、分散剤と水をよく混合して、分散液とした。
次に、分散液と電磁波発生体をよく混合して、電磁波液とした。
そして、電磁波液と粘着剤をよく混合して、実施例1のラベル用粘着剤を製造した。
【0034】
(ラベル材)
基材シート(日本大昭和板紙社製、商品名「アイベストW160g紙」、50mm×50mm、厚さ155μm、波長850nmの赤外線を70%透過する。)を用意した。
基材シート上に、実施例1のラベル用粘着剤を10番のメイヤーバーを用いて厚さ10μmとなるように塗布して乾燥し、実施例1のラベル材を製造した。
なお、粘着剤層の上に、剥離シートとして市販の上質セパレータを載せ、粘着剤層を保護した。
【0035】
[実施例2]
実施例1の分散剤を用いなかった。その他の条件は実施例1と同様にして、実施例2のラベル用粘着剤および実施例2のラベル材を製造した。
【0036】
[比較例1]
市販のインキ(TOKA社製、商品名「UV161メジウム」)を100質量部用意した。
電磁波発生体(根本特殊化学社製、商品名「IRS−F」、波長850nmの赤外線を照射すると波長980nmの赤外線を放出する。)を2質量部用意した。
そして、これらをよく混合し、比較例1用インキを製造した。
【0037】
基材シート(日本大昭和板紙社製、商品名「アイベストW160g紙」、50mm×50mm、厚さ155μm、波長850nmの赤外線を70%透過する。)を用意した。
そして、基材シート上に、前記比較例1用インキを、市販の転色機を用いて厚さ2μmとなるように塗布して乾燥し、インキ層を形成した。
そして、このインキ層上に、粘着剤(東洋インキ製造社製、商品名「E95K」、エマルジョン系)を10番のメイヤーバーを用いて厚さ10μmとなるように塗布して乾燥し、比較例1のラベル材を製造した。
なお、粘着剤層の上に、剥離シートとして市販の上質セパレータを載せ、粘着剤層を保護した。
【0038】
実施例および比較例の主な条件を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
<評価>
(製造工程)
実施例1および実施例2は、粘着剤を塗布する1工程のみでラベル材を製造できるので、評価を○とした。
これに対し、比較例1は、ラベル材を製造するためにインキ層を形成する工程と粘着剤を塗布する工程との2工程が必要となるので、評価を×とした。
【0041】
(凝集試験)
実施例の粘着剤を、常温で7日間放置してから基材シートに塗布し、乾燥させた。
また、比較例のインキおよび粘着剤を、常温で7日間放置してから基材シートに塗布し、乾燥させた。
その上で、目視で塗布状態を確認し、以下の基準で凝集試験の評価を行った。
◎:凝集が全くなく実用上問題ない
○:凝集はあるが実用上問題ない
×:実用上問題がある
【0042】
評価結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2から明らかなように、実施例1および実施例2では、インキ層を形成する工程を省略して、粘着剤を塗布する1工程のみでラベルを製造できるので時間やコストを大幅に削減できた。
特に、実施例1のラベル用粘着剤は、分散剤を混入することで電磁波発生体の凝集を抑えることができ、長時間放置しても実用上問題なく使用できた。
これに対し、比較例1では、インキ層を形成する工程と粘着剤を塗布する工程とが必要なので、実施例1または実施例2と比較して時間やコストが余分に掛かった。
【0045】
なお、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。