特許第5679246号(P5679246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱日立パワーシステムズ株式会社の特許一覧

特許5679246ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法
<>
  • 特許5679246-ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法 図000002
  • 特許5679246-ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法 図000003
  • 特許5679246-ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法 図000004
  • 特許5679246-ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法 図000005
  • 特許5679246-ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法 図000006
  • 特許5679246-ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法 図000007
  • 特許5679246-ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5679246
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20150212BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20150212BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20150212BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
   F01D9/02 102
   F02C7/18 E
   F02C7/00 D
   F01D25/12 E
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-158535(P2014-158535)
(22)【出願日】2014年8月4日
【審査請求日】2014年8月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】桑原 正光
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−184309(JP,A)
【文献】 特開平10−184310(JP,A)
【文献】 特開平11−132005(JP,A)
【文献】 特開2001−254605(JP,A)
【文献】 特開2006−188962(JP,A)
【文献】 特開2013−245675(JP,A)
【文献】 特開2008−229841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02
F01D 5/18
F01D 25/12
F02C 7/00、18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータの周りに燃焼ガスが流れる環状の燃焼ガス流路を画定するガスタービンの高温部品であって、
前記燃焼ガス流路における前記ロータの径方向の内側または外側の少なくとも一方に面するガスパス面を有する板状部材を備え、
前記板状部材は、前記ガスパス面と交差する外周面に沿って内部に冷却流通路が形成され、前記冷却流通路の内面のうち前記外周面側から突出する外周面側タービュレータを有し、
前記冷却流通路の内面のうち前記ガスパス面側から突出するガスパス面側タービュレータを備えるガスタービンの高温部品。
【請求項2】
前記冷却流通路は、前記板状部材の前記外周面から凹む溝部と、前記溝部の開口を閉塞する蓋部とによって形成され、
前記外周面側タービュレータは、前記蓋部に設けられる請求項1に記載のガスタービンの高温部品。
【請求項3】
前記冷却流通路は、前記板状部材の前記外周面から凹む溝部と、前記溝部の開口を閉塞する蓋部とによって形成され、
前記外周面側タービュレータは、前記蓋部に設けられ、
前記ガスパス面側タービュレータは、前記溝部に設けられる請求項1に記載のガスタービンの高温部品。
【請求項4】
前記冷却流通路は、前記板状部材の前記外周面から凹む溝部と、前記溝部の開口を閉塞する蓋部とによって形成され、
前記外周面側タービュレータ及び前記ガスパス面側タービュレータは、前記蓋部に設けられる請求項1に記載のガスタービンの高温部品。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガスタービンの高温部品を備えるガスタービン。
【請求項6】
ロータの周りに燃焼ガスが流れる環状の燃焼ガス流路を画定するガスタービンの高温部品の製造方法であって、
前記燃焼ガス流路における前記ロータの径方向の内側または外側の少なくとも一方に面するガスパス面を有する板状部材に対して、前記ガスパス面と交差する外周面から凹む溝部を前記外周面に沿って形成する溝部形成工程と、
前記溝部の開口を閉塞する蓋部を形成する蓋部形成工程と、
前記蓋部を前記溝部に固定する蓋部固定工程とを含み、
前記蓋部形成工程では、前記蓋部から突出する外周面側タービュレータを形成し、
前記蓋部固定工程では、前記外周面側タービュレータを前記溝部に向けて固定し、
前記溝部形成工程では、前記外周面側から加工を施すことによって、前記溝部の内面の前記ガスパス面側から突出するガスパス面側タービュレータを形成するガスタービンの高温部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンの高温部品、これを備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンでは、圧縮機で加圧された空気を燃焼器において燃料と混合して高温の流体である燃焼ガスを発生させ、静翼及び動翼が交互に配設されたタービンの燃焼ガス流路内に導入する。タービンでは、燃焼ガス流路内を流通する燃焼ガスによって動翼及びロータを回転させることにより、燃焼ガスのエネルギーを回転エネルギーとして出力するとともに、圧縮機や発電機に回転駆動力を与えている。
【0003】
燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路は、内周側と外周側とが壁部で囲まれて環状に形成されている。燃焼ガス流路の壁部は、板状の高温部品を周方向及び軸方向に配列することによって構成されている。具体的には、燃焼ガス流路の内周側においては、静翼基端に取り付けられた内側シュラウドが周方向に環状に配列されるとともに、燃焼ガス流路に沿って軸方向に隣り合う位置には動翼基端に取り付けられたプラットフォームが周方向に環状に配列される。これにより、内側シュラウド及びプラットフォームのそれぞれの環状体がロータの軸方向に交互に配列され、内周側の壁部が構成されている。また、燃焼ガス流路の外周側においては、静翼先端に取り付けられた外側シュラウドが周方向に環状に配列されるとともに、燃焼ガス流路に沿って軸方向に隣り合う位置には円弧状に湾曲した分割環が周方向に環状に配列される。これにより、外側シュラウド及び分割環のそれぞれの環状体が軸方向に交互に配列され、外周側の壁部が構成されている。
【0004】
このような燃焼ガス流路を構成して高温の燃焼ガスに接する高温部品は、圧縮空気の一部を冷却空気として利用して冷却されている。ガスタービンの高温部品を冷却する構造としては、例えば、特許文献1に開示されている冷却構造がある。この冷却構造では、静翼のシュラウドの端面に軸方向に延びる冷却空気流路を形成している。具体的には、静翼のシュラウドの端面に軸方向に延びる溝を形成し、この溝の開口部をプラグで塞ぐことで、軸方向に延びる冷却空気流路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−228803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した静翼の外側シュラウドや内側シュラウド、分割環のような高温部品は、他の高温部品と軸方向に隣接するために、軸方向に隙間が形成されている。また、これらの高温部品は、環状に配列されることで、ロータの周方向に隙間が形成されて隣接している。燃焼ガス流路を流通する燃焼ガスが軸方向や周方向の隙間に流入してしまうことで、高温部品の燃焼ガス流路に面するガスパス面だけでなく、ガスパス面の周りの外周面も高温となってしまう。そのため、高温部品の外周面を効率的に冷却することが望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題を要望に応えるためになされたものであって、外周面を効率的に冷却することが可能なガスタービンの高温部品、該ガスタービンの高温部品を備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様におけるガスタービンの高温部品は、ロータの周りに燃焼ガスが流れる環状の燃焼ガス流路を画定するガスタービンの高温部品であって、前記燃焼ガス流路における前記ロータの径方向の内側または外側の少なくとも一方に面するガスパス面を有する板状部材を備え、前記板状部材は、前記ガスパス面と交差する外周面に沿って内部に冷却流通路が形成され、前記冷却流通路の内面のうち前記外周面側から突出する外周面側タービュレータを有し、前記冷却流通路の内面のうち前記ガスパス面側から突出するガスパス面側タービュレータを備える
【0009】
このような構成によれば、冷却流通路の内面のうち外周面側から突出する外周面側タービュレータが形成されていることで、冷却空気は外周面側タービュレータに衝突しながら冷却流通路内を流通する。冷却空気が外周面側タービュレータに衝突することで、冷却流通路の外周面側の内面に沿って生じる冷却空気の境界層を壊すように、冷却空気の流れを乱すことができる。そのため、冷却流通路の外周面側の内面の近傍を流れる冷却空気の流速が上昇し、外周面側の熱伝達率を向上させることができる。
【0011】
このような構成によれば、冷却流通路の内面のうちガスパス側から突出するガスパス面側タービュレータが形成されていることで、冷却空気はガスパス面側タービュレータに衝突しながら冷却流通路内を流通する。冷却空気がガスパス面側タービュレータに衝突することで、冷却流通路のガスパス面側の内面に沿って生じる冷却空気の境界層を壊すように、冷却空気の流れを乱すことができる。そのため、冷却流通路のガスパス面側の内面の近傍を流れる冷却空気の流速が上昇し、ガスパス面側の熱伝達率を向上させることができる。したがって、高温部品のガスパス面を効率的に冷却することができる。
【0012】
また、上記ガスタービンの高温部品では、前記冷却流通路は、前記板状部材の前記外周面から凹む溝部と、前記溝部の開口を閉塞する蓋部とによって形成され、前記外周面側タービュレータは、前記蓋部に設けられていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、外周面から凹む溝部を蓋部で閉塞することによって、冷却流通路を容易に形成できる。さらに、板状部材と分離可能な蓋部に外周面側タービュレータが形成されることで、外周面側タービュレータを容易に加工することができる。したがって、冷却流通路内に外周面側タービュレータを任意の箇所や任意の形状で形成することが容易にできる。これにより、外周面を効率的に冷却可能な冷却流通路を容易に形成することができる。
【0014】
また、上記ガスタービンの高温部品では、前記冷却流通路は、前記板状部材の前記外周面から凹む溝部と、前記溝部の開口を閉塞する蓋部とによって形成され、前記外周面側タービュレータは、前記蓋部に設けられ、前記ガスパス面側タービュレータは、前記溝部に設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、外周面から窪む溝部に対して、ガスパス面側の内面から突出するガスパス面側タービュレータを形成することで、ガスパス面側タービュレータを容易に形成することができる。具体的には、溝部の開口に繋がるガスパス面側の内面から突出するように形成することで、外周面側からガスパス面側タービュレータを容易に加工することができる。したがって、冷却流通路内にガスパス面側タービュレータを任意の箇所や任意の形状で形成することが容易にできる。これにより、ガスパス面を効率的に冷却可能な冷却流通路を容易に形成することができる。
【0016】
また、上記ガスタービンの高温部品では、前記冷却流通路は、前記板状部材の前記外周面から凹む溝部と、前記溝部の開口を閉塞する蓋部とによって形成され、前記外周面側タービュレータ及び前記ガスパス面側タービュレータは、前記蓋部に設けられていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、ガスパス面側タービュレータが外周面側タービュレータとともに板状部材と分離可能な蓋部に形成されることで、ガスパス面側タービュレータを容易に加工することができる。そして、溝部として、単純な窪みを外周面に形成するだけで、冷却流通路を形成することができる。したがって、冷却流通路内にガスパス面側タービュレータを任意の箇所や任意の形状で形成することが、より容易にできる。これにより、ガスパス面を効率的に冷却可能な冷却流通路を、より容易に形成することができる。
【0018】
また、本発明の第二の態様におけるガスタービンは、前記ガスタービンの高温部品を備える。
【0019】
このような構成によれば、外周面を効率的に冷却することができるため、冷却空気を効率的に利用することができる。そのため、冷却空気として圧縮空気の一部をタービンに供給する量を減少でき、ガスタービンとして効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の第三の態様におけるガスタービンの高温部品の製造方法は、ロータの周りに燃焼ガスが流れる環状の燃焼ガス流路を画定するガスタービンの高温部品の製造方法であって、前記燃焼ガス流路における前記ロータの径方向の内側または外側の少なくとも一方に面するガスパス面を有する板状部材に対して、前記ガスパス面と交差する外周面から凹む溝部を前記外周面に沿って形成する溝部形成工程と、前記溝部の開口を閉塞する蓋部を形成する蓋部形成工程と、前記蓋部を前記溝部に固定する蓋部固定工程とを含み、前記蓋部形成工程では、前記蓋部から突出する外周面側タービュレータを形成し、前記蓋部固定工程では、前記外周面側タービュレータを前記溝部に向けて固定し、前記溝部形成工程では、前記外周面側から加工を施すことによって、前記溝部の内面の前記ガスパス面側から突出するガスパス面側タービュレータを形成する
【0021】
このような構成によれば、溝部形成工程で外周面側から溝部を形成しながら、蓋部形成工程で外周面側タービュレータを蓋部に形成することができる。そのため、板状部材と分離可能な蓋部に外周面側タービュレータを形成することで、外周面側タービュレータを容易に加工することができる。そして、蓋部固定工程で、蓋部を溝部に固定し、溝部の開口を蓋部によって閉塞することで、冷却流通路を外周面側から容易に形成することができる。したがって、外周面側タービュレータが設けられた冷却流通路を容易に形成することができる。
【0023】
このような構成によれば、溝部形成工程で、溝部とともにガスパス面側タービュレータを外周面側から形成することで、ガスパス面側タービュレータを容易に形成することができる。これにより、ガスパス面側タービュレータが設けられた冷却流通路を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係るガスタービンの高温部品、該ガスタービンの高温部品を備えるガスタービン、及びガスタービンの高温部品の製造方法によれば、内部に外周側タービュレータが設けられた冷却流通路が形成されることで、外周面を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態におけるガスタービンの要部切欠側面である。
図2】本発明の実施形態におけるガスタービンの要部断面図である。
図3】本発明の実施形態におけるガスタービンの内側シュラウド(高温部品)の概略形状を説明する模式図である。
図4】本発明の第一実施形態における冷却流通路の断面図である。
図5】本発明の第二実施形態における冷却流通路の断面図である。
図6】本発明の変形例として冷却流通路の形成された動翼のプラットフォームの概略形状を説明する模式図である。
図7】本発明の変形例として冷却流通路の形成された分割環の概略形状を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について図1から図4を参照して説明する。
ガスタービン1は、図1に示すように、外気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機10と、燃料供給源からの燃料を圧縮空気中で燃焼させて燃焼ガスGを生成する複数の燃焼器20と、燃焼ガスGにより駆動するタービン30と、を備えている。
【0027】
タービン30は、ケーシング31と、このケーシング31内でロータ軸Arを中心として回転するタービンロータ33とを備えている。このタービンロータ33は、例えば、このタービンロータ33の回転で発電する発電機(不図示)と接続されている。
【0028】
圧縮機10は、タービン30に対して、ロータ軸Arに平行な軸方向Daの一方側に配置されている。タービン30のケーシング31は、ロータ軸Arを中心として円筒状をなしている。複数の燃焼器20は、ロータ軸Arに対する周方向Dcに互いの間隔をあけて、このケーシング31に取り付けられている。圧縮機10では、生成した圧縮空気の一部を冷却空気としてタービン30や燃焼器20に供給している。
【0029】
なお、以下では、軸方向Daで圧縮機10が配置されている側を上流側、その反対側のタービン30が配置されている側を下流側とする。また、ロータ軸Arに対する径方向Drで、ロータ軸Arから遠ざかる側を径方向外側、ロータ軸Arに近づく側を径方向内側とする。
【0030】
タービンロータ33は、図2に示すように、ロータ軸Arを中心として、軸方向Daに延びているロータ本体34と、軸方向Daに並んでロータ本体34に取り付けられている複数の動翼列35と、を有している。各動翼列35は、いずれも、ロータ軸Arに対して周方向Dcに並んでロータ軸Arに取り付けられている複数の動翼36を有している。動翼36は、径方向Drに延びる動翼本体37と、この動翼本体37の径方向内側に設けられているプラットフォーム38と、このプラットフォーム38の径方向内側に設けられている翼根39とを有している。動翼36は、この翼根39がロータ本体34に埋め込まれることで、ロータ本体34に固定されている。
【0031】
複数の動翼列35の各上流側には、静翼列40が配置されている。各静翼列40は、いずれも、複数の静翼41が周方向Dcに並んで構成されている。各静翼41は、いずれも、径方向Drに延びる静翼本体42と、静翼本体42の径方向外側に設けられている外側シュラウド43と、静翼本体42の径方向内側に設けられている内側シュラウド45と、を有している。
【0032】
動翼列35及び静翼列40の径方向外側であって、ケーシング31の径方向内側には、ロータ軸Arを中心として円筒状の翼環50が配置されている。この翼環50は、ケーシング31に固定されている。静翼41の外側シュラウド43と翼環50とは、遮熱環52により連結されている。
【0033】
軸方向Daで隣接する静翼列40の外側シュラウド43同士の間には、ロータ軸Arを中心として周方向Dcに並んだ複数の分割環61が配置されている。周方向Dcに並んだ複数の分割環61は環状を成し、その径方向内側には、動翼列35が配置されている。周方向Dcに並んだ複数の分割環61は、いずれも、遮熱環52により翼環50に連結されている。
【0034】
タービン30のケーシング31内には燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路Pgが形成されている。燃焼ガス流路Pgは、静翼列40を構成する複数の静翼41の内側シュラウド45及び外側シュラウド43と、その下流側の動翼列35を構成する複数の動翼36のプラットフォーム38及びこれに対向する分割環61とによって、ロータ本体34の周りに環状に画定されている。静翼41、動翼36及び分割環61は、いずれも、燃焼ガス流路Pg内を流通する高温高圧の燃焼ガスGに接するガスタービン1の高温部品である。
【0035】
次に、図3及び図4を用いて、本発明に係る高温部品の一実施形態について説明する。
本実施形態では、高温部品として、静翼列40を構成する静翼41の外側シュラウド43や内側シュラウド45を総称して、シュラウド450を例に挙げて説明する。
【0036】
シュラウド450は、本実施形態の燃焼ガス流路Pgにおけるロータ軸Arの径方向Drの内側に面するガスパス面451を有する板状部材である。シュラウド450は、ロータ軸Arを中心とする円弧状に湾曲した板状をなしている。図3は、本実施形態におけるシュラウド450の概略形状を説明する模式図である。シュラウド450は、ガスパス面451から静翼本体42が一体をなして径方向外側に向かって突出している。本実施形態のシュラウド450では、ガスパス面451と交差する外周面として、ロータを基準に周方向Dcを向く側端面452と、ロータを基準に軸方向Daの上流側を向く前縁端面453と、下流側を向く後縁端面454とが形成されている。即ち、側端面452は、シュラウド450において、ガスパス面451の周方向Dcの端部でそれぞれガスパス面451と交差し、軸方向Daに長く延在する面である。前縁端面453は、ガスパス面451の軸方向Daの上流側の端部でガスパス面451と交差し、周方向Dcに長く延在する面である。後縁端面454は、ガスパス面451の軸方向Daの下流側の端部でガスパス面451と交差し、周方向Dcに長く延在する面である。
【0037】
シュラウド450は、内部に冷却空気を流通させる冷却流通路46が形成されている。本実施形態の冷却流通路46は、シュラウド450の内部で側端面452に沿って形成されている。具体的には、図3に示すように、本実施形態では、静翼本体42には、内部に冷却空気を流通させるための前縁通路421と後縁通路422とが形成されている。本実施形態の冷却流通路46は、この前縁通路421と連通する接続流通路461と、両側の側端面452に沿って形成される主冷却流通路462とを有する。
【0038】
接続流通路461は、シュラウド450の内部において前縁通路421から前縁端面453側に向かって延びた後に、前縁端面453に沿って両側の側端面452に向うように分岐して形成されている。
主冷却流通路462は、接続流通路461と接続されている。主冷却流通路462は、両側の側端面452に沿ってそれぞれ形成されている。本実施形態の主冷却流通路462は、前縁端面453側が接続流通路461に接続され、前縁端面453側が後縁端面454に形成されている開口に接続されている。
【0039】
また、シュラウド450は、図4に示すように、板状部材の外周面である側端面452や前縁端面453から凹む溝部47と、溝部47の開口を閉塞する蓋部48とを有する。この溝部47と蓋部48とによって、冷却流通路46がシュラウド450の内部に側端面452や前縁端面453に沿って形成されている。
【0040】
溝部47は、側端面452の延在する方向である軸方向Da成分を含む方向に沿って前縁端面453側から後縁端面454まで形成されている。本実施形態の溝部47は、前縁端面453の延在する方向である周方向Dc成分を含む方向に沿って側端面452同士の間にも形成されている。本実施形態の溝部47は、蓋部48がはめ込まれる第一溝部471と、第一溝部471よりもシュラウド450の内部に形成される第二溝部472とを有する。
【0041】
第一溝部471は、側端面452や前縁端面453から垂直に窪む角溝である。
第二溝部472は、第一溝部471よりも小さな断面形状をなして、第一溝部471の内面のうち、側端面452や前縁端面453と平行な内面から垂直に窪む角溝である。本実施形態の第二溝部472は、内面のうち、ガスパス面451側にガスパス面側タービュレータ473が形成されている。
【0042】
ガスパス面側タービュレータ473は、第二溝部472のガスパス面451側の内面から突出している。本実施形態のガスパス面側タービュレータ473は、第二溝部472のガスパス面451側の内面において、第一溝部471側の開口から内側に向かって直方状をなして突出している。側端面452に形成される溝部47のガスパス面側タービュレータ473は、側端面452の延在する方向に離間して複数形成されている。前縁端面453に形成される溝部47のガスパス面側タービュレータ473は、前縁端面453の延在する方向に離間して複数形成されている。
【0043】
側端面452に形成される溝部47の開口を閉塞する蓋部48は、側端面452に沿って前縁端面453側から後縁端面454まで延在して形成されている。前縁端面453に形成される溝部47の開口を閉塞する蓋部48は、前縁端面453に沿って側端面452同士の間を延在して形成されている。本実施形態の蓋部48は、第一溝部471に嵌まり込むように形成される蓋部本体481と、蓋部本体481が第一溝部471に嵌まり込んだ状態で第二溝部472に向かって突出する外周面側タービュレータ482とを有する。
【0044】
蓋部本体481は、第一溝部471に嵌まり込むように側端面452や前縁端面453の延在する方向に沿って延在している。蓋部本体481は、第一溝部471に嵌まり込んだ状態で、その断面形状における第二溝部472側に、第二溝部472の開口を閉塞する平面である溝部閉塞面481aが形成されている。また、蓋部本体481は、その断面形状における外側に向かうにしたがって縮径するよう形成されている。例えば、側端面452に配置される蓋部本体481は、その断面形状における外側である側端面452側が、側端面452側に向かうにしたがって縮径するよう形成されている。
【0045】
外周面側タービュレータ482は、蓋部本体481の溝部閉塞面481aから突出している。したがって、外周面側タービュレータ482は、蓋部本体481が第一溝部471に嵌まり込んだ状態で、冷却流通路46における側端面452側や前縁端面453側から突出している。外周面側タービュレータ482は、溝部閉塞面481aの幅方向に横切るように、溝部閉塞面481aから直方状をなして突出している。外周面側タービュレータ482は、蓋部本体481の延在する方向に沿って離間して複数形成されている。
【0046】
次に、本実施形態におけるガスタービン1の高温部品の製造方法について説明する。
ガスタービン1の高温部品の製造方法では、ロータ本体34の周りに燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路Pgを画定するガスタービン1の高温部品を製造する。本実施形態のガスタービン1の高温部品の製造方法では、板状部材であるシュラウド450を製造する場合を例に挙げて説明する。本実施形態のガスタービン1の高温部品の製造方法は、シュラウド450に対して外周面から凹む溝部47を形成する溝部形成工程S1と、溝部47の開口を閉塞する蓋部48を形成する蓋部形成工程S2と、蓋部48を溝部47に固定する蓋部固定工程S3とを含む。
【0047】
溝部形成工程S1は、シュラウド450の側端面452や前縁端面453に溝部47を形成する。溝部形成工程S1では、側端面452側から加工を施すことによって、側端面452の延在する方向に沿って溝部47を形成する。また、溝部形成工程S1では、前縁端面453側から加工を施すことによって、前縁端面453の延在する方向に沿って溝部47を形成する。具体的には、本実施形態の溝部形成工程S1は、側端面452側から加工を施すことによって、第一溝部471を側端面452に形成する。その後、溝部形成工程S1は、側端面452側から加工を施すことによって、ガスパス面451側の内面から突出するガスパス面側タービュレータ473を形成しながら、側端面452と平行な第一溝部471の内面にから窪む第二溝部472を形成する。より具体的には、本実施形態の溝部形成工程S1は、放電加工によって側端面452側からシュラウド450を彫り込むことで、第一溝部471、第二溝部472及びガスパス面側タービュレータ473を形成する。同様に、本実施形態の溝部形成工程S1は、前縁端面453側から放電加工を施すことで、第一溝部471、第二溝部472及びガスパス面側タービュレータ473を前縁端面453に形成する。
【0048】
蓋部形成工程S2は、溝部47に嵌め込まれる蓋部48を形成する。本実施形態の蓋部形成工程S2では、第一溝部471に嵌まり込んで第二溝部472の開口を閉塞するような形状の蓋部本体481と、溝部閉塞面481aから突出する外周面側タービュレータ482とを形成する。溝部形成工程S1では、蓋部本体481が第一溝部471に嵌まり込んだ状態で、側端面452から突出せずに、蓋部本体481の側端面452側や前縁端面453側に第一溝部471に対して空間が生じるよう蓋部本体481を形成する。
【0049】
蓋部固定工程S3は、溝部形成工程S1で形成した溝部47に、蓋部形成工程S2で形成した蓋部48を外周面側タービュレータ482が溝部47を向くように嵌め込んで固定する。本実施形態の蓋部固定工程S3は、外周面側タービュレータ482を第二溝部472に向けて第一溝部471に蓋部本体481を嵌め込み、側端面452側や前縁端面453側から蓋部本体481と第一溝部471との隙間を埋めるように溶接ビード49を形成しながら溶接することで固定する。
【0050】
次に、上記ガスタービン1の高温部品の作用について説明する。
第一実施形態のガスタービン1によれば、圧縮機10からの圧縮空気は、タービン30のケーシング31内に入り、燃焼器20内に流れ込む。燃焼器20では、この圧縮空気と共に外部から供給される燃料を燃焼して、燃焼ガスGが生成される。この燃焼ガスGは、燃焼ガス流路Pgを通る過程で、動翼本体37に接して、タービンロータ33をロータ軸Ar回りに回転させる。この際、燃焼ガス流路Pgを通る燃焼ガスGは、シュラウド450同士の周方向Dcの隙間や、シュラウド450とプラットフォーム38との軸方向Daの隙間等の隣接する高温部品同士の隙間に流入しながら、下流側に流れていく。
【0051】
また、圧縮機10からの圧縮空気の一部は冷却空気として、動翼36や静翼41を冷却するために、タービン30のケーシング31内において、プラットフォーム38の径方向内側の領域や翼環50の径方向外側の領域に流れ込む。プラットフォーム38の径方向内側の領域に流れ込んだ冷却空気は、各部品の内部に形成されている不図示の流路を介してプラットフォーム38や動翼本体37を内部から冷却する。
【0052】
翼環50の径方向外側の領域に流れ込んだ冷却空気は、その径方向内側に配置されている外側シュラウド43や分割環61の径方向外側に流れ込み、外側シュラウド43や分割環61を冷却する。外側シュラウド43の径方向外側に流れ込んだ冷却空気は、外側シュラウド43の内部の不図示の流路を介して静翼本体42の前縁通路421や後縁通路422に流れ込む。その後、冷却空気は、前縁通路421からシュラウド450の接続流通路461に流れ込む。
【0053】
接続流通路461に流れ込んだ冷却空気は、蓋部48が第一溝部471に嵌め込まれて溶接されて固定されることで、第二溝部472と蓋部48の溝部閉塞面481aとによって形成される主冷却流通路462に流れ込む。主冷却流通路462や接続流通路461では、内面のうち、側端面452側や前縁端面453側から突出する外周面側タービュレータ482と、ガスパス面451側から突出するガスパス面側タービュレータ473とが形成されている。そのため、前縁通路421から流入してくる冷却空気は、外周面側タービュレータ482とガスパス面側タービュレータ473とに衝突しながら後縁端面454に向かって流通する。冷却流通路46内の冷却空気は、前縁端面453側から軸方向Daに沿って流通し、後縁端面454の開口からシュラウド450の外部に排出される。
【0054】
上記のようなガスタービン1の高温部品によれば、冷却流通路46の内面のうち側端面452側や前縁端面453側から突出する外周面側タービュレータ482が形成されていることで、冷却空気は外周面側タービュレータ482に衝突しながら冷却流通路46内を流通する。冷却空気が外周面側タービュレータ482に衝突することで、冷却流通路46の側端面452側や前縁端面453側の内面である蓋部48の溝部閉塞面481aに沿って生じる冷却空気の境界層を壊すように、冷却空気の流れを乱すことができる。そのため、溝部閉塞面481aの近傍を流れる冷却空気の流速が上昇し、側端面452側や前縁端面453側の熱伝達率を向上させることができる。したがって、燃焼ガス流路Pgから周方向Dcに隣接するシュラウド450の隙間に流入する高温の燃焼ガスGに曝されて、高温となる側端面452や前縁端面453を効率的に冷却することができる。
【0055】
また、第二溝部472の内面のうちガスパス面451側から突出するガスパス面側タービュレータ473が形成されていることで、冷却流通路46内の冷却空気はガスパス面側タービュレータ473に衝突しながら流通する。冷却空気がガスパス面側タービュレータ473に衝突することで、第二溝部472のガスパス面451側の内面に沿って生じる冷却空気の境界層を壊すように、冷却空気の流れを乱すことができる。そのため、第二溝部472のガスパス面451側の内面の近傍を流れる冷却空気の流速が上昇し、ガスパス面451側の熱伝達率を向上させることができる。したがって、燃焼ガス流路Pgに面することで高温の燃焼ガスGに曝されるシュラウド450のガスパス面451を効率的に冷却することができる。
【0056】
さらに、主冷却流通路462が側端面452の延在する方向に沿って形成されていることで、側端面452を全域にわたって効率的に冷却することができる。また、接続流通路461が前縁端面453の延在する方向に沿って形成されていることで、前縁端面453を全域にわたって効率的に冷却することができる。
【0057】
また、側端面452や前縁端面453から凹む溝部47を蓋部48で閉塞することによって、冷却流通路46を容易に形成できる。さらに、シュラウド450と分離可能な蓋部48に外周面側タービュレータ482が形成されることで、外周面側タービュレータ482を容易に加工することができる。したがって、冷却流通路46内に外周面側タービュレータ482を任意の箇所や任意の形状で形成することが容易にできる。これにより、側端面452や前縁端面453を効率的に冷却可能な冷却流通路46をシュラウド450に容易に形成することができる。
【0058】
さらに、側端面452や前縁端面453から窪む第二溝部472に対して、ガスパス面451側の内面から突出するガスパス面側タービュレータ473を形成することで、ガスパス面側タービュレータ473を容易に形成することができる。具体的には、第二溝部472の開口に繋がるガスパス面451側の内面から突出するように形成することで、側端面452側や前縁端面453側から第二溝部472の開口を介してガスパス面側タービュレータ473を容易に加工することができる。したがって、冷却流通路46内にガスパス面側タービュレータ473を任意の箇所や任意の形状で形成することが容易にできる。これにより、ガスパス面451を効率的に冷却可能な冷却流通路46をシュラウド450に容易に形成することができる。
【0059】
また、上記のようなガスタービン1によれば、側端面452や前縁端面453を効率的に冷却することができるため、冷却空気を効率的に利用することができる。そのため、冷却空気として圧縮空気の一部をタービン30に供給する量を減少でき、ガスタービン1として効率を向上させることができる。
【0060】
また、上記のようなガスタービン1の高温部品の製造方法によれば、溝部形成工程S1で側端面452側や前縁端面453側から第一溝部471と第二溝部472とを形成しながら、蓋部形成工程S2で外周面側タービュレータ482を蓋部48に形成することができる。そのため、シュラウド450の本体と分離可能な蓋部48に外周面側タービュレータ482を形成することで、外周面側タービュレータ482を容易に加工することができる。そして、蓋部固定工程S3で、蓋部48を第一溝部471に溶接して固定し、第二溝部472の開口を蓋部48の溝部閉塞面481aによって閉塞することで、冷却流通路46を側端面452側や前縁端面453側から容易に形成することができる。したがって、外周面側タービュレータ482が設けられた冷却流通路46を容易に形成することができる。
【0061】
さらに、溝部形成工程S1で、第二溝部472とともにガスパス面側タービュレータ473を側端面452側や前縁端面453側から彫り込んで形成することで、ガスパス面側タービュレータ473を容易に形成することができる。これにより、ガスパス面側タービュレータ473が設けられた冷却流通路46を容易に形成することができる。
【0062】
《第二実施形態》
次に、図5を参照して第二実施形態のガスタービン1の高温部品について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態のガスタービン1の高温部品は、溝部47と蓋部48の構成について第一実施形態と相違する。なお、第二実施形態においても高温部品として、シュラウド450を例に挙げて説明する。
【0063】
第二実施形態のシュラウド450では、図5に示すように、溝部47ではなく、蓋部48にガスパス面側タービュレータ473が形成されている。具体的には、第二実施形態のシュラウド450は、ガスパス面側タービュレータ473が形成されていない変形溝部47aと、外周面側タービュレータ482及びガスパス面側タービュレータ473が形成される変形蓋部48aとを有する。
【0064】
変形溝部47aは、ガスパス面側タービュレータ473を有していない点で第一実施形態の溝部47と異なる。本実施形態の変形溝部47aは、溝部47と同様の形状の第一溝部471と、第二溝部472とを有する。
【0065】
変形蓋部48aは、ガスパス面側タービュレータ473が形成されている点で第一実施形態の蓋部48と異なる。本実施形態の変形蓋部48aは、蓋部本体481と、外周面側タービュレータ482と、蓋部本体481から外周面側タービュレータ482よりも突出する変形ガスパス面側タービュレータ483とを有する。なお、蓋部本体481及び外周面側タービュレータ482は、第一実施形態と同様の形状をなしている。
【0066】
変形ガスパス面側タービュレータ483は、変形蓋部48aが変形溝部47aの開口を閉塞した状態で、冷却流通路46のガスパス面451側の内面から突出するよう変形蓋部48aに複数形成されている。具体的には、本実施形態の変形ガスパス面側タービュレータ483は、蓋部本体481の外周面側タービュレータ482が形成されている位置に形成されている。変形ガスパス面側タービュレータ483は、溝部閉塞面481aの幅方向の所定の位置から垂直に直方状をなして突出している。本実施形態における溝部閉塞面481aの幅方向の所定の位置とは、蓋部本体481が第一溝部471に嵌め込まれた状態で、蓋部本体481から突出する変形ガスパス面側タービュレータ483が第二溝部472のガスパス面451側の内面に当接する位置である。
【0067】
上記のようなガスタービン1の高温部品によれば、変形ガスパス面側タービュレータ483が外周面側タービュレータ482とともにシュラウド450と分離可能な蓋部48に形成されることで、変形ガスパス面側タービュレータ483を容易に加工することができる。そして、変形溝部47aとして、単純な窪みである角溝を側端面452や前縁端面453に形成するだけで、冷却流通路46を形成することができる。したがって、冷却流通路46内に変形ガスパス面側タービュレータ483を任意の箇所や任意の形状で形成することが、より容易にできる。これにより、ガスパス面451を効率的に冷却可能な冷却流通路46をシュラウド450内に、より容易に形成することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0069】
なお、本実施形態ではガスタービン1の高温部品として、シュラウド450を例に挙げて説明したが、本発明のガスタービン1の高温部品はシュラウド450に限定されるものではない。例えば、板状部品を備えるガスタービン1の高温部品としては、動翼36のプラットフォーム38や、分割環61であってもよく、燃焼ガス流路Pgにおけるロータ軸Arの径方向Drの内側または外側の少なくとも一方に面するガスパス面451を有する板状部材を備える部品であればよい。
【0070】
具体的には、板状部品を備えるガスタービン1の高温部品が動翼36のプラットフォーム38である場合には、図6に示すように、プラットフォーム38の周方向Dcを向くプラットフォーム側端縁382側と、軸方向Daの上流側を向くプラットフォーム前縁端面383側とに冷却流通路46aが形成されていてもよい。
【0071】
また、板状部品を備えるガスタービン1の高温部品が分割環61である場合には、図7に示すように、分割環61の周方向Dcを向く分割環側端縁612側と、軸方向Daの上流側を向く分割環前縁端面613側とに冷却流通路46bが形成されていてもよい。
【0072】
また、本実施形態のように、主冷却流通路462は側端面452に沿って形成されることに限定されるものではなく、外周面に沿って形成されていればよい。例えば、主冷却流通路462は、外周面のうちの前縁端面453や後縁端面454に沿って形成されていてもよく、外周面の全周に沿うように前縁端面453、後縁端面454、及び側端面452の全ての面に沿って形成されていてもよい。また、主冷却流通路462は、側端面452に沿って形成される場合であっても、両側の側端面452に沿ってそれぞれ形成されていることに限定されるものではなく、いずれか一方側のみの側端面452に沿って形成されていてもよい。
【0073】
さらに、外周面側タービュレータ482やガスパス面側タービュレータ473の形状は、本実施形態の形状に限定されるものではなく、外周面側タービュレータ482は冷却流通路46の内面のうち外周面側から突出していればよく、ガスパス面側タービュレータ473は冷却流通路46の内面のうちガスパス面451側から突出していればよい。
【0074】
また、冷却流通路46の接続流通路461は、本実施形態のような形状に限定されるものではなく、静翼本体42の前縁通路421と主冷却流通路462とを接続していればよい。例えば、接続流通路461は、本実施形態のように前縁通路421から前縁端面453側に向かって延びた後に分岐して主冷却流通路462に接続する形状ではなく、両側の主冷却流通路462に対して異なる接続流通路461がそれぞれ接続されるように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…ガスタービン 10…圧縮機 20…燃焼器 30…タービン Da…軸方向 Dc…周方向 Dr…径方向 31…ケーシング Ar…ロータ軸 33…タービンロータ 34…ロータ本体 35…動翼列 36…動翼 37…動翼本体 38…プラットフォーム 39…翼根 40…静翼列 41…静翼 42…静翼本体 421…前縁通路 422…後縁通路 43…外側シュラウド 45…内側シュラウド 451…ガスパス面 452…側端面 453…前縁端面 454…後縁端面 46…冷却流通路 461…接続流通路 462…主冷却流通路 47…溝部 471…第一溝部 472…第二溝部 473…ガスパス面側タービュレータ 48…蓋部 481…蓋部本体 481a…溝部閉塞面 482…外周面側タービュレータ 50…翼環 52…遮熱環 61…分割環 G…燃焼ガス Pg…燃焼ガス流路 S1…溝部形成工程 S2…蓋部形成工程 S3…蓋部固定工程 47a…変形溝部 48a…変形蓋部 483…変形ガスパス面側タービュレータ 382…プラットフォーム側端縁 383…プラットフォーム前縁端面 612…分割環側端縁 613…分割環前縁端面
【要約】
【課題】本発明のガスタービンの高温部品は、外周面を効率的に冷却することができる。
【解決手段】ガスタービンの高温部品450は、燃焼ガス流路における前記ロータの径方向の内側または外側の少なくとも一方に面するガスパス面451を有する板状部材を備える。この板状部材は、ガスパス面451と交差する外周面452に沿って内部に冷却流通路が形成され、冷却流通路の内面のうち外周面452側から突出する外周面側タービュレータ482を有する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7