特許第5679338号(P5679338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679338
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-529937(P2011-529937)
(86)(22)【出願日】2010年9月2日
(86)【国際出願番号】JP2010065019
(87)【国際公開番号】WO2011027821
(87)【国際公開日】20110310
【審査請求日】2013年8月5日
(31)【優先権主張番号】特願2009-205143(P2009-205143)
(32)【優先日】2009年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石黒 哲史
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−075530(JP,A)
【文献】 特開2002−360578(JP,A)
【文献】 特開2005−013453(JP,A)
【文献】 特開平10−234735(JP,A)
【文献】 特開2004−97286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 8/12
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入され、検査波を透過する窓部を備えたシースと、
前記シース内を当該シースの軸方向に移動可能であり前記検査波を検出する検出部と、
前記窓部外面を覆うことができ、前記シースの軸方向へ移動可能である補強チューブと、
を有することを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記補強チューブを前記シースの軸方向へ移動させるための補強チューブ操作部を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記補強チューブ操作部は、前記シースに取り付けられるケース本体と、前記ケース本体内に回転可能に連結されて手動で回転させることが可能であり、かつ回転力により前記補強チューブを移動させる回転部材と、を有することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記補強チューブおよび前記検出部は、前記シースの軸方向への相対的位置が固定的に移動可能であり、前記補強チューブのシース先端側の端部が、前記検出部のシース基端部に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記シース内に挿入され、シース先端側に前記検出部が固定された、機械的駆動力を伝達するための駆動シャフトと、
前記駆動シャフトを保持しながら移動することにより前記シースの軸方向に前記駆動シャフトを移動させるハブと、を更に有し、
前記補強チューブは、前記ハブに連結されて当該ハブおよび駆動シャフトとともに前記シースの軸方向へ移動可能であることを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記シースは、前記窓部よりもシース先端側に、前記検出部を収容可能な収容部を有することを特徴とする請求項4または5に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管および脈管などの体腔内に挿入して用いられるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管および脈管などの体腔内の患部を診察する場合には、患部で超音波を送受信する超音波カテーテルが使用される。例えば、特許文献1に記載の超音波カテーテルは、超音波を送受信するための振動子ユニットおよびこの振動子ユニットを回転させる駆動シャフトを備えるイメージングコアと、このイメージングコアを被覆するとともに体腔内に挿入されるシースとを有している。イメージングコアは、シース内を軸方向に移動可能である。シースには、振動子ユニットからの超音波を透過可能な音響窓部が形成されている。
【0003】
超音波カテーテルを使用する際には、最初に、イメージングコアをシース内において予め一番先端側に配置するとともにシースを患部より深部に運び、次に、シースを残したままイメージングコアのみをシース先端から音響窓部に沿って後退させていき患部を通過させる。イメージングコアのみを後退させることにより、振動子ユニットが深部から患部を通過して移動するので、患部の前後に渡って連続的に超音波観察したり、血管および脈管などの形状の断層画像を作成したりすることができる。また、一度後退させたイメージングコアを前進させて患部の再確認および断層画像の作成を行うこともできる。
【0004】
しかしながら、超音波を透過可能な音響窓部は超音波を反射し得る構造体を含むことができないため、音響窓部に使用する樹脂の材料等によっては、剛性が低く押し込み性(プレシャビリティー)、耐キンク性、追従性等が低く、作業性が低い場合がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、窓部を有する場合でも、作業性を向上させることが可能なカテーテルを提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−360578号公報
【発明の概要】
【0007】
上記目的を達成する本発明のカテーテルは、体腔内に挿入され、検査波を透過する窓部を備えたシースと、前記シース内を当該シースの軸方向に移動可能であり前記検査波を検出する検出部と、前記窓部外面を覆うことができ、前記シースの軸方向に移動可能である補強チューブと、を有することを特徴とする。
【0008】
上記のように構成した本発明のカテーテルは、窓部外面を覆うことができ、シースの軸方向に移動可能である補強チューブを備えるため、カテーテルの使用状態に応じて窓部を補強チューブにより覆い、または露出させることができる。したがって、例えばシースを体腔内へ挿入する際には、補強チューブによって窓部を覆うことで、押し込み性、耐キンク性、追従性等の操作性を向上させることができ、目的の位置まで良好に挿通させることができる。また、検出部により観察する際には、補強チューブを移動させて窓部を露出させて、検査波の透過性の高い窓部を介して観察を行うことができる。
【0009】
前記補強チューブを前記シースの軸方向へ移動させるための補強チューブ操作部を有するようにすれば、補強チューブ操作部によって補強チューブを自在に移動させることができ、作業性を向上させることができる。
【0010】
前記補強チューブ操作部が、前記シースに取り付けられるケース本体と、前記ケース本体内に回転可能に連結されて手動で回転させることが可能であり、かつ回転力により前記補強チューブを移動させる回転部材と、を有するようにすれば、手動で回転部材を回転させることで補強チューブを移動させることができ、作業性を向上させることができる。
【0011】
前記補強チューブおよび前記検出部が、前記シースの軸方向への相対的位置が固定的に移動可能であり、前記補強チューブのシース先端側の端部が、前記検出部のシース基端部に位置するようにすれば、検出部が位置する部位の窓部を常に観察可能な状態に露出させつつ、検出部よりもシース基端側の窓部を補強チューブによって補強することができる。また、補強チューブおよび検出部を同時に移動させるため、補強チューブおよび検出部を個別に操作する必要がなく、作業性に優れている。
【0012】
前記シース内に挿入され、シース先端側に前記検出部が固定された、機械的駆動力を伝達するための駆動シャフトと、前記駆動シャフトを保持しながら移動することにより前記シースの軸方向に前記駆動シャフトを移動させるハブと、を更に有し、前記補強チューブは、前記ハブに連結されて当該ハブおよび駆動シャフトとともに前記シースの軸方向へ移動可能であるようにすれば、ハブを移動させることで検出部と補強チューブを同時に移動させることができ、作業性に優れている。
【0013】
前記シースが、前記窓部よりもシース先端側に、前記検出部を収容可能な収容部を有するようにすれば、検出部を収容部に収容することで、検出部よりもシース基端側に位置する補強チューブによって窓部を完全に覆うことができ、窓部の全体を補強できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の超音波カテーテルを示す平面図である。
図2】超音波カテーテルの先端部と本体部との接合部分を示す長手方向断面図である。
図3】補強チューブを先端側へ最も移動させたときの超音波カテーテルを示す平面図である。
図4】補強チューブを基端側へ最も移動させたときの超音波カテーテルを示す平面図である。
図5】内管をユニットコネクタに最も押しこんだときの超音波カテーテルを示す平面図である。
図6】内管をユニットコネクタから最も引き抜いたときの超音波カテーテルを示す平面図である。
図7】ハブの長手方向断面図である。
図8】ユニットコネクタおよび中継コネクタの長手方向断面図である。
図9】中継コネクタの長手方向断面図である。
図10】超音波カテーテルと外部駆動装置との関係を示す概念図である。
図11】第2の実施の形態における超音波カテーテルを示す平面図である。
図12】第3の実施の形態における超音波カテーテルを示す平面図である。
図13】第3の実施の形態における超音波カテーテルの内管を最も引いた際のユニットコネクタおよび中継コネクタの長手方向断面図である。
図14】第3の実施の形態における超音波カテーテルの先端部と本体部との接合部分を示す長手方向断面図である。
図15】第3の実施の形態における超音波カテーテルのイメージングコアを移動させたときの先端部と本体部との接合部分を示す長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
超音波カテーテル1(カテーテル)は、図1に示すように、体腔内に挿入されるシース2と、シース2を補強するための補強チューブ4と、使用者が操作するために体腔内に挿入されず使用者の手元側に配置される操作部3により構成される。
【0017】
シース2は、図2に示すように、シース先端部材21と、シース本体部22と、充填液入出路部材23とを有する。シース本体部22は、シース先端部材21および充填液入出路部材23を覆うようにして、シース先端部材21および充填液入出路部材23と接着されている。
【0018】
シース先端部材21とシース本体部22との間には、X線造影マーカ24が設けられており、体腔内挿入時にX線透視下で超音波カテーテルの先端位置が確認できるようになっている。
【0019】
シース先端部材21には孔241が形成されており、ガイドワイヤ25がこの孔241に挿入されて通り抜ける。ガイドワイヤ25は、予め体腔内に挿入され、このガイドワイヤ25をシース先端部材21に通しながら、超音波カテーテル1が患部まで導かれる。
【0020】
また、充填液入出路部材23およびシース本体22には、シース本体部22内に充填される生理食塩液を外部に流すための孔であるプライミングルーメン221が形成されている。
【0021】
シース2内には、イメージングコア40がシース2の軸方向にスライド可能に内蔵されている。このイメージングコア40は、体腔内組織に向けて超音波(検査波)を送受信するための振動子ユニット41(検出部)と、この振動子ユニット41を先端に取り付けるとともに回転させる駆動シャフト42とを備える。振動子ユニット41は、超音波を送受信する超音波振動子411と、超音波振動子411を収納する超音波振動子ハウジング412とで構成されている。
【0022】
シース2は、超音波の透過性の高い材料により形成されている。シース2の超音波振動子411が移動する範囲内の部位が、音響窓部26(窓部)を構成する(図4参照)。超音波は、音響インピーダンスの変化する境界部で反射する性質がある。診断の際、すなわち血管内に超音波カテーテル1を留置した状態では、超音波カテーテル1の周囲は血液(体液)で満たされている。従って、超音波振動子411と診断対象である血管壁の間には、血液と同等の音響インピーダンスを有するもの以外が存在しないように構成する必要がある。なお、音響インピーダンスは、材料中の音響伝搬速度(音速)と材料の密度との積で表される材料固有の定数である。シース2の管腔内には、超音波伝達液として、血液と音響インピーダンスが略一致する生理食塩水が注入される。そのため、シース2を構成する材料も、同等の音響インピーダンスを有する材料であることが必要である。一例として、本実施形態ではシース2の材料にポリエチレンを使用している。
【0023】
補強チューブ4は、シース2の外側を覆う筒状の部材であり、図3,4に示すように、シース2に対して軸方向へ移動可能に設けられている。補強チューブ4は、剛性の低いシース2を補強するための部材であり、強度の高い金属や樹脂により形成されることが好ましいが、補強できるのであれば材料または構造は限定されない。本実施形態では、補強チューブ4はスパイラル状にカット加工が施されたステンレス製の筒体である。
【0024】
補強チューブ4は、先端側に最も押し込んだときには、音響窓部26の全体を覆った状態とし(図3参照)、基端側に最も引き込んだときには、先端側がシース2の音響窓部26の基端側に位置して音響窓部26を完全に露出した状態とする(図4参照)。
【0025】
図2に示す駆動シャフト42は、柔軟で、しかも操作部3において生成された回転の動力を振動子ユニット41に伝達可能な特性をもち、たとえば、右左右と巻き方向を交互にしている3層コイルなどの多層コイル状の管体で構成されている。駆動シャフト42が回転の動力を伝達することによって、振動子ユニット41が回転し、血管および脈管などの体腔内の患部を360度観察することができる。また、駆動シャフト42は、振動子ユニット41で検出された信号を操作部3(図1参照)に伝送するための信号線が内部に通されている。
【0026】
操作部3は、図1に示すように、エア抜きのための生理食塩液を注入するポート311を有するハブ31と、内管312を介してハブ31と接続されるユニットコネクタ32と、外管331を介してユニットコネクタ32に接続されるとともにシース2と操作部3とを接続する中継コネクタ33とを有する。中継コネクタ33には、補強チューブ4の移動を操作するための補強チューブ操作部34が設けられている。
【0027】
ハブ31は、駆動シャフト42および内管312を保持する。内管312がユニットコネクタ32および外管331に押し込まれ、または引き出されることによって、駆動シャフト42が連動して操作部3およびシース2内を軸方向にスライドする。内管312の押し込みおよび引き出しによる駆動シャフト42の移動の様子は、図5および図6に示すようになる。
【0028】
内管312を最も押し込んだときには、図5に示すように、内管312は、シース側の端部が外管331のシース側端部付近、すなわち、中継コネクタ33付近まで到達する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、シース2のシース本体部22の先端付近に位置する。
【0029】
また、内管312を最も引き出したときには、図6に示すように、内管312は、先端に形成されたストッパー313がユニットコネクタ32の内壁に引っかかり、引っかかった先端付近以外が露出する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、シース2を残したままその内部を引き戻されていくので、内管312を引き出した分だけ操作部3の方に向かった場所に位置する。振動子ユニット41が回転しながら移動することによって、血管および脈管などの断層画像を作成することができる。
【0030】
次に、超音波カテーテル1の各部の具体的な構造を説明する。
【0031】
図7に示すように、ハブ31は、ジョイント50と、雄コネクタ51と、ロータ52と、接続パイプ53と、信号線54と、ハブ本体55と、シール部材56と、耐キンクプロテクタ57とを有する。
【0032】
ジョイント50は、超音波カテーテル1の使用者手元側に開口部501を有し、雄コネクタ51およびロータ52を内部に配置する。雄コネクタ51は、ジョイント50の開口部501側から外部駆動装置80(図10参照)が有する雌コネクタを連結することができ、これにより、外部駆動装置80と雄コネクタ51との機械的および電気的連結が可能になる。
【0033】
外部駆動装置80は、図10に示すように、モータ等の外部駆動源を内蔵するスキャナー装置81と、スキャナー装置81を把持しモータ等により軸方向へ移動させる軸方向移動装置82と、スキャナー装置81と軸方向移動装置82を制御する制御部83と、振動子ユニット41によって得られた画像を表示する表示部84とからなる。軸方向移動装置82には、スキャナー装置81を把持固定するスキャナー把持部821と、移動時にシース2がずれないように支えるシース支持部822が含まれる。
【0034】
スキャナー装置81は、雄コネクタ51に接続することによって、振動子ユニット41からの信号の送受信を行うと同時に、駆動シャフト42を回転させる駆動力を伝達する。
【0035】
本発明の超音波カテーテル1における超音波の走査(スキャン)は、スキャナー装置81内のモータの回転運動を駆動シャフト42に伝達し、駆動シャフト42の先端に固定されたハウジング412を回転させることによって、ハウジング412に設けられた超音波振動子411で送受信される超音波を略径方向に走査することによって行われる。ここで得られる超音波画像は、血管内の横断面像である。また、超音波カテーテル1全体を手元側へ引っ張り、イメージングコア40を長手方向に移動させることによって、血管内の軸方向にわたる包囲組織体における360°の断面画像を任意の位置まで走査的に得ることができる。
【0036】
ロータ52は、図7に示すように、接続パイプ53を回転不能に保持しており、雄コネクタ51と一体的に回転する。接続パイプ53は、ロータ52の回転を駆動シャフト42に伝達するために、ロータ52側と反対の端部で駆動シャフト42を保持する。接続パイプ53の内部には信号線54が通されており、この信号線54は、一端を雄コネクタ51に、他端を駆動シャフト42内を通り抜けて振動子ユニット41に接続されている。振動子ユニット41における観察結果は、雄コネクタ51を介して外部駆動装置80に送信され、適当な処理を施され、画像として表示される。
【0037】
ハブ本体55は、ポート311から生理食塩液を注入され、この生理食塩液を外部に漏らすことなく、内管312内に導入する。なお、ハブ本体55とジョイント50との間には、Oリング58を含むシール部材56が設置されるので、生理食塩液がジョイント50の開口部501側に漏れ出すことがない。
【0038】
ハブ本体55には、内管312の一部が嵌挿され、内管312およびハブ本体55の周囲に耐キンクプロテクタ57が配置される。耐キンクプロテクタ57は、内管312の硬度とハブ本体55の硬度との中間の硬度を有する材料で形成されており、内管312がハブ本体55から露出する部位における内管312の折れ曲がりおよびねじれなどを防止することができる。
【0039】
内管312内では、駆動シャフト42と内管312との間に、保護管7が配置される。この保護管7は、ハブ31側の端部で開口されており何にも保持されていない、すなわち自由端71を有している。保護管7は、図8に示す外管331まで伸びる。
【0040】
ユニットコネクタ32は、ユニットコネクタ本体61と、封止部材62と、カバー部材63と、パッキン64とを有する。
【0041】
ユニットコネクタ本体61は、中継コネクタ33に取り付けられた外管331が挿入され、この外管331の内部にハブ31から伸びた内管312が挿入される。封止部材62は、ユニットコネクタ本体61と組み合わさってパッキン64を保持し、カバー部材63は、ユニットコネクタ本体61と組み合わさって外管331を保持する。ユニットコネクタ本体61および封止部材62間には、パッキン64が封止されているので、ハブ31のポート311に供給される生理食塩液が内管312を通って外管331内に流入しても、ユニットコネクタ32の外部に漏れない。
【0042】
また、ハブ31から伸びる内管312は、先端にストッパー313が形成されているので、ハブ31を最も引っ張ったとき、すなわち、内管312を外管331から最も引き出したときでも、ストッパー313がユニットコネクタ本体61の内壁に引っ掛かってユニットコネクタ32から内管312が抜けてしまうようなことがない。
【0043】
中継コネクタ33は、図8,9に示すように、外管保持部65と、中継コネクタ本体66と、補強チューブ操作部34とを有する。外管保持部65は、外管331を保持する。また、外管保持部65の内面には、シース2の基端側端部が連結されており、外管331から通り抜けた駆動シャフト42および生理食塩液をシース2に導入する経路が形成されている。この経路内には、さらに複数の管を挿入して、駆動シャフト42の座屈および生理食塩液の漏洩などを防止することもできる。
【0044】
外管保持部65の駆動シャフト42が通り抜ける出口部材332の内壁には、保護管7が固定されている。この保護管7は、ハブ31から伸びる内管312内に向かって伸びる。したがって、外管331に内管312が押し込まれるときには、その押し込みの向きと反対向きに内管312に保護管7が押し込まれていくことになる。外管331に内管312が押し込まれたり引き出されたりする際に、反対方向から保護管7も内管312に相対的に押し込まれたり引き出されたりするので、内管312に接触して摩擦が起こり駆動シャフト42に撓む力が発生しても、保護管7によって撓む力を抑制し、折れ曲がりなどを防止することができる。なお、保護管7は、金属の疎巻きコイル状の管体で形成されており、このため、生理食塩液がコイルの隙間から流れ込めるので、外管331内に空気が残留するようなことがない。
【0045】
補強チューブ操作部34は、外管保持部65の先端側に連結されるケース本体35を有しており、ケース本体35の内部には、シース2、駆動シャフト42および補強チューブ4が貫通する空間部36が形成されている。空間部36には、ケース本体35に回転可能に連結された2つの回転部材36a,36bが設けられており、一方の回転部材36aには、外周面の一部がケース本体35に設けられる開口部37から外部に露出する操作ダイヤル38が同軸で形成されている。2つの回転部材36a,36bの外周面には、ゴム等からなる滑り止めとしての高摩擦部材39a,39bが固定されている。2つの回転部材36a,36bは、高摩擦部材39a,39bによって補強チューブ4を挟むように配置されている。したがって、外部に露出した操作ダイヤル38を手動で回転させることで、回転部材36aの回転力が補強チューブ4へ伝わり、補強チューブ4を軸方向へ移動させることができる。
【0046】
また、補強チューブ操作部34に、回転部材36aを非回転的に固定するロック機構が設けられてもよい。ロック機構は、例えばケース本体35にスライド可能に設けられて、回転部材36aまたは回転部材36bに近接離間可能であり、近接することで回転部材36aまたは回転部材36bに係合して非回転的に固定する構造等とすることができる。
【0047】
中継コネクタ本体66は、補強チューブ操作部34の先端側に連結された耐キンクプロテクタであり、補強チューブ4の外面を覆って保護しつつ、剛性の急激な変化による補強チューブ4およびシース2の折れ曲がり(キンク)を防止している。
【0048】
以上のように、本発明の超音波カテーテル1においては、外管331に内管312が押し込み可能なので、使用者がハブ31をユニットコネクタ32に向けて押したり引いたりすることができ、イメージングコア40が超音波カテーテル1内を音響窓部26に沿って移動させることができる。そして、補強チューブ操作部34の操作ダイヤル38を手動で回転させることで、補強チューブ4がシース2に沿って軸方向に移動するため、補強チューブ4によって音響窓部26を覆い(図3参照)、または露出させることができる(図4参照)。
【0049】
次に、本発明の体腔内を観察するときの超音波カテーテル1の動作について説明する。
【0050】
超音波カテーテル1のシース2を体腔内に挿入する前には、当該超音波カテーテル1内を生理食塩液で満たすプライミング操作を行う。このプライミング操作を行うことによって、超音波カテーテル1内の空気を除去し、血管などの体腔内に空気が入り込むことを防止することできる。
【0051】
プライミング操作は、まず、ハブ31を使用者の手元側に最も引っ張った状態、すなわち、外管331から内管312が最も引き出された状態で、ポート311から生理食塩液を注入する。注入された生理食塩液は、ハブ31から順にシース2内まで充填されていく。超音波カテーテル1が完全に生理食塩液で満たされると、シース2のシース先端部材21に形成されたプライミングルーメン221から生理食塩液が抜ける。これにより、生理食塩液の充填が確認される。なお、生理食塩液の充填は、プライミングルーメン221から生理食塩液が注入され、ポート311から生理食塩液があふれることによって確認されてもよい。また、補強チューブ4とシース2の間にもプライミングが必要であり、補強チューブ4を生理食塩水に浸漬させることで、補強チューブ4の穴から補強チューブ4とシース2の間にプライミングすることが可能である。または、外管保持部65から補強チューブ4とシース2の間にプライミング液を流出させる構造とし、補強チューブ4の外面と外管保持部65の内面の間をシール部材で密封し、補強チューブ4とシース2の間にもポート311からプライミングすることもできる。
【0052】
次に、図10に示すように、超音波カテーテル1を、外部駆動装置80に連結する。すなわち、雄コネクタ51を外部駆動装置80の雌コネクタに連結し、ユニットコネクタ本体61を外部駆動装置80のシース支持部822に連結する。
【0053】
次に、ハブ31を押し込み、外管331に内管312が最も押し込まれた状態とし、さらに、操作ダイヤル38を手動で回転させて、補強チューブ4を最も先端側に移動させて音響窓部26を補強チューブ4によって覆う(図3参照)。この状態で、シース2を体内に挿入していき、シース2の先端が患部を越えてから挿入を止める。
【0054】
このとき、剛性の低い音響窓部26が補強チューブ4に覆われているため、押し込み性、耐キンク性、追従性等の操作性に優れ、目的の位置まで良好に挿通させることができる。また、音響窓部26が曲がりにくいので、ガイドワイヤ25がシース2から離れる方向に延びるワイヤーセパレートが少なくなり、かつ音響窓部26が撓みにくいため、安全性が向上する。
【0055】
次に、シース2の位置を固定し、操作ダイヤル38を手動で回転させることで、補強チューブ4を手元側へ移動させて音響窓部26を露出させる(図4参照)。この後、図5,6に示すように、ハブ31を手元に引きながら振動子ユニット41を軸方向に移動させ、振動子ユニット41により、音響窓部26を介して患部の前後に渡って観察する。
【0056】
第1実施形態に係る超音波カテーテル1は、超音波の透過性の高い音響窓部26を有しつつ、音響窓部26を覆うことが可能な補強チューブ4を備えているため、体腔内への挿通の際には、補強チューブ4によって剛性の低い音響窓部26を覆うことで作業性を高め、観察の際には、補強チューブ4を移動させて音響窓部26を露出させて、超音波の透過性の高い音響窓部26を介して観察を行うことができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、補強チューブ4の移動を操作するための補強チューブ操作部34が設けられている。これに対し、第2の実施の形態に係る超音波カテーテル91は、図11に示すように、補強チューブ操作部が設けられない。なお、以下の説明では、第1の実施の形態と同じ部材には同じ参照番号を付して、その説明を省略する。
【0058】
超音波カテーテル91の中継コネクタ93は、図11に示すように、外管保持部95と、中継コネクタ本体96とを有する。
【0059】
外管保持部95は、外管331を保持する。また、外管保持部95の内面には、シース2の基端側端部が連結されており、外管331から通り抜けた駆動シャフト42および生理食塩液をシース2に導入する経路が形成されている。
【0060】
中継コネクタ本体96は、第1実施形態の中継コネクタ本体96よりも長い耐キンクプロテクタであり、外管保持部95の先端側に連結され、補強チューブ4の外面を覆って保護しつつ、剛性の急激な変化による補強チューブ4およびシース2の折れ曲がり(キンク)を防止している。
【0061】
このような第2実施形態に係る超音波カテーテル91では、中継コネクタ本体96よりも先端側で露出する補強チューブ4を直接操作することで、補強チューブ4を進退動させて音響窓部26を開閉することができる。
【0062】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、補強チューブ4の移動を操作するための補強チューブ操作部34が設けられており、補強チューブ4の軸方向に沿う進退動を、イメージングコア40とは別に操作することができる。これに対し、第3の実施の形態に係る超音波カテーテル101は、図12に示すように、補強チューブ操作部が設けられておらず、補強チューブ4が、イメージングコア40(振動子ユニット41)と同期して移動する。なお、以下の説明では、第1の実施の形態と同じ部材には同じ参照番号を付して、その説明を省略する。
【0063】
超音波カテーテル101の中継コネクタ107は、図12に示すように、外管保持部103と、中継コネクタ本体102とを有する。
【0064】
外管保持部103は、外管331を保持する。また、外管保持部103の内面には、シース2の基端側端部が連結されており、外管331から通り抜けた駆動シャフト42および生理食塩液をシース2に導入する経路が形成されている。
【0065】
中継コネクタ本体102は、第1実施形態の中継コネクタ本体66よりも長い耐キンクプロテクタであり、外管保持部103の先端側に連結され、補強チューブ4の外面を覆って保護しつつ、剛性の急激な変化による補強チューブ4およびシース2の折れ曲がり(キンク)を防止している。
【0066】
図13は、内管312を最も引いた際のユニットコネクタ32および中継コネクタ107の長手方向断面図を示している。外管保持部103を挟んで位置する内管312の先端側と補強チューブ4の基端側は、図12,13に示すように、外管保持部103に形成される貫通孔を貫通する連結ロッド104により連結されている。連結ロッド104は、本実施形態では周方向に2本設けられるが、数は2本でなくてもよい。内管312は、ハブ31に移動に伴ってイメージングコア40とともに進退動するため、内管312と連結された補強チューブ4は、イメージングコア40とともに進退動することになる。
【0067】
補強チューブ4の先端側は、イメージングコア40の振動子ユニット41よりも基端側に、振動子ユニット41に極力近接して配置されている。そして、補強チューブ4はイメージングコア40とともに進退動するため、補強チューブ4が振動子ユニット41を覆うことはない。
【0068】
シース先端部材21とシース本体部22との間に設けられる充填液入出路部材105には、図14に示すように、振動子ユニット41を収容できる収容部106(収容部)が、シース本体部22の内部のルーメンと連通して形成されている。充填液入出路部材105は、音響窓部26よりも剛性の高い材料により形成されている。
【0069】
振動子ユニット41が収容部106に収容されると、振動子ユニット41の基端側まで達する補強チューブ4が、音響窓部26を完全に覆うことになる。すなわち、補強チューブ4は振動子ユニット41とともに進退動するため、補強チューブ4によって振動子ユニット41を覆うことはできない。したがって、振動子ユニット41が音響窓部26よりも先端側へ移動できない場合には、音響窓部26を補強チューブ4によって完全に覆って補強することができない。しかしながら、本実施形態では、振動子ユニット41が音響窓部26よりも剛性の高い充填液入出路部材105の収容部106に収容可能であるので、補強チューブ4により音響窓部26を完全に覆うことができ、音響窓部26の全体を補強できる。
【0070】
次に、第3実施形態に係る超音波カテーテル101により体腔内を観察するときの動作について説明する。
【0071】
まず、超音波カテーテル101内を生理食塩液で満たすプライミング操作を行い、超音波カテーテル101を外部駆動装置80(図10参照)に連結する。
【0072】
次に、ハブ31を押し込み、外管331に内管312が最も押し込まれた状態、かつ振動子ユニット41を収容部106に収容して補強チューブ4により音響窓部26を完全に覆った状態(図14参照)で、シース2を体内に挿入していき、シース2の先端が患部を越えてから挿入を止める。このとき、音響窓部26が補強チューブ4に覆われているため、押し込み性、耐キンク性、追従性等の操作性に優れ、目的の位置まで良好に挿通させることができる。また、音響窓部26が曲がりにくいので、ガイドワイヤ25がシース2から離れる方向に延びるワイヤーセパレートが少なくなり、かつ音響窓部26が撓みにくいため、安全性が向上する。
【0073】
次に、ハブ31を手元に引きながら、図15に示すように、振動子ユニット41を収容部106から引き出し、振動子ユニット41で音響窓部26を介して患部の前後に渡って観察する。このとき、振動子ユニット41とともに補強チューブ4が進退動するため、振動子ユニット41の基端側までの音響窓部26を常に補強チューブ4によって覆って補強しつつも、振動子ユニット41が配置される部位の音響窓部26の露出を維持することができる。また、ハブ31を操作することで補強チューブ4も同時に操作できるため、第1実施形態のような別途の補強チューブ操作部34がなくとも、優れた操作性を発揮できる。
【0074】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、上記実施の形態では、本発明を超音波カテーテルに適用する場合について説明したが、他の診断用カテーテルに適用することもできる。たとえば、光干渉トモグラフィー(OCT)を利用した診断用カテーテルに適用することができる。OCTでは、生体に測定光を入射し、生体内で散乱、吸収、あるいは反射、屈折して戻った光に基づいて、生体を観察することができる。したがって、検出波には、超音波だけでなく、光、磁場、音等の検出のために適用可能なあらゆるものを適用できる。
【0075】
また、上記実施の形態では、検出部として、送信および受信の両方を行う振動子ユニットが用いられているが、カテーテルとは異なる位置から生体内に照射された検出波を、カテーテルの検出部で受信(検出)するのみの構成とすることもできる。
【0076】
また、上記実施の形態では、補強チューブ4は音響窓部26の外側を覆っているが、音響窓部26の内側を覆う構成とすることもできる。また、第3実施形態のように補強チューブ4をイメージングコア40と連動して移動させるために、補強チューブを外部駆動装置80の駆動源に連結することも可能である。
【0077】
また、第1実施形態では、操作ダイヤル38を手動で回転させる構造としているが、ケース本体にスライド可能に設けたスライド部材を補強チューブ4に連結すれば、回転力ではなく、スライド部材を進退動させることで、補強部材4を移動させることもできる。
【0078】
さらに、本出願は、2009年9月4日に出願された日本特許出願番号2009−205143号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
【符号の説明】
【0079】
1,91,101 超音波カテーテル(カテーテル)、
2 シース、
4 補強チューブ、
26 音響窓部(窓部)、
31 ハブ、
34 補強チューブ操作部、
35 ケース本体、
36a,36b 回転部材、
38 操作ダイヤル、
41 振動子ユニット(検出部)、
42 駆動シャフト、
104 連結ロッド、
106 収容部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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