特許第5679341号(P5679341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5679341ガラス繊維リードアウトを減少させた射出成形品を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679341
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】ガラス繊維リードアウトを減少させた射出成形品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/00 20060101AFI20150212BHJP
   C08L 77/02 20060101ALI20150212BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20150212BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
   B29C45/00
   C08L77/02
   C08K7/14
   C08J5/04CFG
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-552374(P2011-552374)
(86)(22)【出願日】2010年2月8日
(65)【公表番号】特表2012-519096(P2012-519096A)
(43)【公表日】2012年8月23日
(86)【国際出願番号】EP2010051487
(87)【国際公開番号】WO2010100009
(87)【国際公開日】20100910
【審査請求日】2012年11月21日
(31)【優先権主張番号】09154347.0
(32)【優先日】2009年3月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】ヴェグテ, ファン デア, エリック ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】フークストラ, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ルークエンス, ルディ
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−273300(JP,A)
【文献】 特開2002−47412(JP,A)
【文献】 特開平11−71518(JP,A)
【文献】 特開平10−120900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
C08J 5/04− 5/10
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a.2.4未満の相対溶液粘度を有するガラス繊維強化半結晶質ポリアミド−6組成物を調製する工程;
b.前記組成物を加熱して粘稠液体を得る工程:
c.少なくとも0.8秒の充填時間で金型キャビティに前記粘稠液体を充填する工程;
d.前記金型中の前記粘稠液体を、それが冷却して成形品を形成するまで圧力下に放置する工程;
e.前記金型を開く工程;
f.前記成形品を取り出す工程
を含む、射出成形品を製造するための方法であって、前記ポリアミド−6組成物が、ベースポリアミドと低分子量ポリアミドとを溶融混合することによって得られ、且つ168℃未満のハイパーDSC条件下結晶化温度を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記射出成形品が、少なくとも2.5mmの最大肉厚を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリアミド−6組成物が、2.3未満の相対溶液粘度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリアミド−6組成物が、2.2未満の相対溶液粘度を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリアミド−6組成物が、80〜99.5重量%のベースポリアミドと0.5〜20重量%の低分子量ポリアミドとを溶融混合することによって得られることを特徴とし、ベースポリアミドの総量および低分子量ポリアミドの量は100%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベースポリアミドが、少なくとも10.000g/molの重量平均分子量を有し、前記低分子量ポリアミドが、5.000g/mol以下の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリアミド−6組成物が、前記ポリアミド−6組成物の総重量に基づき、少なくとも10重量%の量のガラス繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリアミド−6組成物が、60重量%以下の量のガラス繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリアミド−6組成物が、ブラックポリアニリン誘導体を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ブラックポリアニリン誘導体が、ニグロシンであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得られた射出成形品であって、前記成形品の重量が、1射出ポイント当たり少なくとも100gであることを特徴とする、射出成形品。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、以下の工程:
a.2.4未満の相対粘度を有するガラス繊維強化ポリアミド−6組成物を調製する工程;
b.組成物を加熱して粘稠液体を得る工程;
c.金型キャビティにその粘稠液体を充填する工程;
d.金型中の粘稠液体を、それが冷却して成形品を形成するまで圧力下に放置する工程;
e.金型を開く工程;
f.成形品を取り出す工程
を含む、射出成形品を製造するための方法に関する。
【0002】
射出成形品を製造するためのそのような方法の欠点は、望ましくないガラス繊維リードアウトが起こり得ることである。「ガラス繊維リードアウト(glass fiber read out)」は、パネルの表面のすぐ下にあるガラス繊維の突起した輪郭を表面が示すことであると、本明細書において理解される。
【0003】
先行技術において、ガラス繊維リードアウトを減少させるための解決策がいくつか知られている。米国特許第4,664,862号明細書は、繊維リードアウト欠陥のないガラス繊維マット強化プラスチックパネルを製造する方法に関する。これは、均等な間隔をおいて密集させた切頭ピラミッド形の微小ポケットまたは谷をエッチングすることによって金型内部の表面を調節することにより実現される。これは、繊維リードアウトを回避するために金型の内部を処理しなければならないこと、およびテクスチャーを有する表面が得られることの欠点を有する。
【0004】
ガラス繊維リードアウトの低減における別の方法は、米国特許第5,009,821号明細書に記載されており、その方法において、金型キャビティがその金型キャビティの表面に実質的に密着させた表面仕上げフィルムを含んだ後、金型への射出が行われる。これは、金型の表面がエッチングされなくてもよいという利点を有するが、金型は、それへの射出が行われ得るにはその前に仕上げフィルムを有していなければならず、繊維リードアウトを回避するためには追加の工程が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、以下の工程:
a.2.4未満の相対粘度を有するガラス繊維強化ポリアミド−6組成物を調製する工程;
b.組成物を加熱して粘稠液体を得る工程;
c.金型キャビティに粘稠液体を充填する工程;
d.金型中の粘稠液体を、それが冷却して成形品を形成するまで圧力下に放置する工程;
e.金型を開く工程;
f.成形品を取り出す工程
を含む、射出成形品を製造するための方法によって、金型を調節する必要なしに、ガラス繊維リードアウトを減少させることである。
【0006】
これは、意外にも、ポリアミド−6組成物が、ハイパー示差走査熱分析(以下、DSC)条件下で168℃未満の結晶化温度を有する場合に達成された。
【0007】
意外にも、本発明に従う射出成形品を製造するための方法は、射出成形プロセスのサイクル時間を増大する必要なしに、ガラス繊維リードアウトの低減をもたらすことが見出された。
【0008】
本発明の方法に従って得られる射出成形品は、実施例によって例証されるように、ガラス繊維リードアウトの減少を明確に示す。
【0009】
射出成形品は、金型キャビティが完全に充填され、射出段階後から金型の開放までに保持圧力が加えられた成形品であると、本明細書において理解される。
【0010】
ポリアミド−6組成物は、組成物の総量に対して少なくとも30重量%がポリアミド−6からなり、その組成物中のポリアミドの総量に対して少なくとも50重量%がポリアミド−6からなる組成物であると、本明細書において理解される。
【0011】
本明細書において、最大肉厚は、いわゆる球法(sphere method)によって測定されるものと定義される。この方法は、架空の回転球を用いて、射出成形品の肉厚を算出する。架空球は、ある厚さ測定点で作られ、それがその成形品のいずれかの端とぶつかるまで拡大される。したがって、最大肉厚は、成形品の端と交差しない最大のあてはめ球(fitting sphere)の直径に等しい。
【0012】
ハイパーDSC条件下での結晶化温度を測定する方法は、実施例において例示される。
【0013】
相対溶液粘度を測定する方法もまた、実施例において例示される。
【0014】
原則として、ポリアミド−6組成物は、少なくとも143℃のハイパーDSC条件下結晶化温度を有する。
【0015】
本発明の方法に従って製造された射出成形品は、2.4の相対溶液粘度および168℃未満のハイパーDSC条件下結晶化温度により特徴付けられるガラス繊維強化半結晶質ポリアミド−6組成物からなる。ポリアミド−6組成物は、好ましくは2.3未満、より好ましくは2.2未満の相対溶液粘度を有する。相対溶液粘度が低いほど、サイクル時間はより短くなる。そのようなポリアミド−6組成物は、好ましくは、ガラス繊維と、ベースポリアミドと、好ましくは低分子量ポリアミドと、そして任意選択的にその組成物の他の成分とを溶融混合することによって得られる。
【0016】
ポリアミド−6組成物は、好ましくは、ベースポリアミドおよび低分子量ポリアミドを含み、より好ましくは、ポリアミド−6組成物は、総量が100%であるところ、少なくとも80〜99.5重量%のベースポリアドおよび0.5〜20重量%の低分子量ポリアミドを含む。
【0017】
ベースポリアミドは、ポリアミド−6であると、本明細書において理解される。
【0018】
好ましくは、ベースポリアミドは、少なくとも10.000g/molの重量平均分子量を有し、低分子量ポリアミドは、5.000g/mol以下の重量平均分子量を有する。
【0019】
より好ましくは、組成物は、少なくとも15,000g/molの分子量を有するベースポリアミド、および4,000g/mol以下の分子量を有する低分子量ポリアミドを含む。
【0020】
組成物は、好ましくは低分子量ポリアミドを含み、この低分子量ポリアミドは、好ましくはオリゴマーである。このオリゴマーは、好ましくは5,000g/mol以下、好ましくは4,000g/mol以下、より好ましくは3,000g/mol以下の重量平均分子量を有する低分子量ポリアミドである。好ましくは、この重量平均分子量は、約1,000g/molより大きい。
【0021】
1つの実施形態において、ポリアミド−6組成物は、ベースポリアミドの融点よりも高い融点を有する低分子量ポリアミドを含む。
【0022】
別の実施形態において、ポリアミド−6組成物は、ベースポリアミドの融点よりも低い融点を有する低分子量ポリアミドを含む。
【0023】
好適な低分子量ポリアミドは、ポリアミド−6組成物の他の成分との溶融混合によりハイパーDSC条件下で168℃未満の結晶化温度をもたらす低分子量ポリアミドである。1つの実施形態において、低分子量ポリアミドは、少なくとも90重量%の−[NH−(CH2)−NH−CO−(CH−CO]−(式中、nは、好ましくは4または6であり、より好ましくは4である)の反復単位を含み、10重量%までのコモノマー、好ましくはカプロラクタムを含む。別の実施形態において、低分子量ポリアミドは、PA66オリゴマーである。こうした低分子量ポリアミドの混合物もまた、使用され得る。
【0024】
ポリアミド−6組成物は、全組成物に対し、少なくとも10重量%のガラス繊維、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、最も好ましくは少なくとも40重量%のガラス繊維を含む。より多くのガラス繊維が存在するほど、その材料はより剛くなる。通常は、60重量%以下のガラス繊維が使用される。高充填された(すなわち、少なくとも30重量%のガラス繊維を含む)ポリアミド−6組成物もまた、結晶化温度がハイパーDSC条件下で168℃未満である場合に、減少したガラス繊維リードアウトを示す。ガラス繊維は、好ましくは、ポリアミド−6組成物に適したサイズ剤(例えば、シラン化合物をベースとしたサイズ剤)で被覆される。これは、ポリアミド−6組成物へのガラス繊維の接着を改善する。
【0025】
様々な他の種類の強化用化合物(例えば、鉱物(例えば、タルク、ウォラストナイト、カオリン)およびガラス繊維以外の繊維)が、ポリアミド−6組成物において使用され得る。寸法および化学組成の両方の点で多種多様な繊維が使用され得る。好適な寸法を有する繊維は、5と100の間のポリアミド−6組成物における平均アスペクト比(長さと直径との比)、および1ミクロンと20ミクロンの間、好ましくは8ミクロンと15ミクロンの間の直径を有する繊維である。好適な種類の繊維としては、天然および合成の繊維の両方(例えば、炭素繊維、無機繊維、ポリマー繊維)が挙げられる。好適なポリマー繊維は、例えば、ポリアラミド繊維である。また、これらの繊維は、ポリアミド−6組成物へのそれらの接着を改善するために、好ましくは、好適なサイズ剤で被覆される。
【0026】
ポリアミド−6組成物は、添加剤(例えば、耐衝撃性改良剤、離型剤、安定剤、成核剤および着色剤)を含んでいてもよい。好適な着色剤としては、カーボンブラックおよびブラックポリアニリン誘導体(例えば、ニグロシン)が挙げられる。ポリアミド−6組成物は、好ましくはブラックポリアニリン誘導体を含み、より好ましくはニグロシンを含む。なぜなら、ブラックポリアニリン誘導体(例えば、ニグロシン)は、ガラス繊維リードアウトの減少に資するからである。
【0027】
金型に模様が付けられる(textured)場合には、ガラス繊維リードの問題はより一層顕著である。ハイパーDSC条件下で168℃未満の結晶化温度を有するポリアミド−6組成物の使用は、意外にも、この場合にも繊維リードアウトを減少させる。
【0028】
ポリアミド−6組成物は、任意の公知の方法により成分を溶融混合することによって得られ得る。例えば、それらの成分は、ドライブレンドされ、その結果、溶融混合装置(好ましくは、押出機)に供給され得る。また、それらの成分は、溶融混合装置に直接供給され得、一緒にまたは別個に投与され得る。溶融混合装置としては、押出機が優先される。その場合、組成物は、さらなる加工に(例えば、射出成形において)使用され得るペレットの状態で得られる。
【0029】
本発明はまた、
a.少なくとも2.5mmの最大肉厚;および/または
b.1射出ポイント当たり少なくとも100gの成形品重量
を有する射出成形品であって、2.4未満の相対溶液粘度を有するガラス繊維強化半結晶質ポリアミド−6組成物からなる射出成形品に関する。こうした射出成形品は、こうした成形品に必要とされる充填時間が通常長いので(例えば、少なくとも0.8秒)、一般に、ガラス繊維リードアウトを示す。したがって、本発明の目的は、ガラス繊維リードアウトを減少させた射出成形品を提供することである。
【0030】
意外にも、168℃未満のハイパーDSC条件下結晶化温度を有するガラス繊維強化半結晶質ポリアミド−6組成物が使用される場合、より少ないガラス繊維リードアウトが見られることが見出された。
【0031】
射出成形品は、1射出ポイント当たり少なくとも100gの成形品重量を有する。射出ポイントは、工程b)において、そこから金型キャビティに粘稠液体が充填されるポイントであると理解される。1射出ポイント当たりの重量は、成形品の総重量を射出ポイントの数で除したものであると、本明細書において理解される。より好ましくは、射出成形品の重量は、1射出ポイント当たり少なくとも150gであり、さらにより好ましくは、1射出ポイント当たり少なくとも200gである。概して、1射出ポイント当たりの射出成形品の成形品重量が大きいほど、金型キャビティへの充填時間がより長くなる。より長い充填時間は、通常、より多くのガラス繊維リードアウトをもたらす。本発明に従う射出成形品は、より少ないガラス繊維リードアウトを示す。
【0032】
本発明が以下の実施例により例示されるが、本発明はそれらに限定されない。
【0033】
[実施例1〜6および比較例A〜F]
ハイパーDSC条件下で168℃未満の結晶化温度を有する以下の組成物を作製した。
【0034】
[組成物1]
30重量%のガラス繊維強化材、ポリアミド6、離型剤、耐衝撃性改良剤、ニグロシンおよびPA66オリゴマーからなる組成物を、共回転二軸スクリュー押出機で作製した。この組成物は、160±5℃のハイパーDSC条件下結晶化温度および2.05±0.1の相対溶液粘度を有する。
【0035】
[組成物2]
50重量%のガラス繊維強化材、ポリアミド6、離型剤、ニグロシンおよびPA66オリゴマーからなる組成物を、共回転二軸スクリュー押出機で作製した。この組成物は、160±5℃のハイパーDSC条件下結晶化温度および2.05±0.1の相対溶液粘度を有する。
【0036】
[組成物3]
35重量%のガラス繊維強化材、ポリアミド6、離型剤、ニグロシンおよびPA66オリゴマーからなる組成物を、共回転二軸スクリュー押出機で作製した。この組成物は、160±5℃のハイパーDSC条件下結晶化温度および2.05±0.1の相対溶液粘度を有する。
【0037】
これらの組成物1〜3を実施例1〜6において使用して、表1に具体的に示されるような射出成形品を得た。
【0038】
ハイパーDSC条件下で168℃より高い結晶化温度を有する以下の組成物を作製した。
【0039】
[組成物A]
30重量%のガラス繊維強化材、ポリアミド6、離型剤、耐衝撃性改良剤、ニグロシンおよびPA46オリゴマーからなる組成物を、共回転二軸スクリュー押出機で作製した。この組成物は、173±5℃のハイパーDSC条件下結晶化温度および2.05±0.1の相対溶液粘度を有する。
【0040】
[組成物B]
50重量%のガラス繊維強化材、ポリアミド6、離型剤、ニグロシンおよびPA46オリゴマーからなる組成物を、共回転二軸スクリュー押出機で作製した。この組成物は、173±5℃のハイパーDSC条件下結晶化温度および2.05±0.1の相対溶液粘度を有する。
【0041】
[組成物C]
35重量%のガラス繊維強化材、ポリアミド6、離型剤、ニグロシンおよびPA46オリゴマーからなる組成物を、共回転二軸スクリュー押出機で作製した。この組成物は、173±5℃のハイパーDSC条件下結晶化温度および2.05±0.1の相対溶液粘度を有する。
【0042】
これらの組成物A〜Cを、比較例A〜Fにおいて使用して、表1に具体的に示されるような射出成形品を得た。
【0043】
DSC測定は、Perkin Elmer HPer DSC Pyris1を用いて行った。ハイパーDSC条件下結晶化温度は、試料を室温から260℃まで150℃/分の速度で加熱し;続いてその試料を260℃で5分間維持してその熱履歴を消去した後、150℃/分の冷却速度で結晶化温度を測定することにより決定した。
【0044】
相対溶液粘度は、ポリアミドの濃度が0.01g/mlであったこと以外はISO307に従って、90%ギ酸中25℃の温度で測定した。
【0045】
表1に、種々のパラメータを、ガラス繊維リードアウト量の指標と共に示す。以下の指標が使用される:(−)不良、複数の重大なGFリードアウトスポットが有る、(+)許容可能、軽微なGFリードアウトが有る、(++)良好、GFリードアウトがほとんどない、(+++)非常に良好、GFリードアウトが全くない。全ての成形品が、1つの射出ポイントを有していた。
【0046】
【表1】