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特許5679354イベント解析サーバ、イベント解析方法、イベント解析サーバ用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679354
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】イベント解析サーバ、イベント解析方法、イベント解析サーバ用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20150212BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20150212BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
   G06Q10/00 140
   G06Q50/00 100
   G06F11/34 S
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-234225(P2012-234225)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2014-85834(P2014-85834A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2014年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】 齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−244928(JP,A)
【文献】 特開2006−338305(JP,A)
【文献】 特開2010−134645(JP,A)
【文献】 特開2006−331051(JP,A)
【文献】 特開2003−058645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00
G06F 11/34
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の機器によって構成された一のローカルネットワークが複数存在し、群を構成することで、複数のローカルネットワークと通信可能に接続されたイベント解析サーバであって、
前記ローカルネットワークに、新規の機器が接続されたことを検知する新規機器検知手段と、
前記新規の機器が接続されたローカルネットワーク内で、前記新規の機器以外で共通の機能を有する機器から、所定の期間内に前記機器において発生したイベントを取得するイベント取得手段と、
前記取得したイベントを、イベントの種類ごとに分類するイベント分類手段と、
前記分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計するイベント集計手段と、
前記集計された分類ごとのイベント数に基づき、メッセージデータベースから前記新規の機器が前記ローカルネットワークに導入された理由に関するメッセージを抽出するメッセージ抽出手段と、
を備えるイベント解析サーバ。
【請求項2】
前記分類されたイベントからエラーコードを取得するエラーコード取得手段と、
前記エラーコードから対応する事象を解析し、事象ごとに分類し直す事象分類手段と、をさらに備え、
前記イベント集計手段は、前記事象ごとの分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計する、請求項1に記載のイベント解析サーバ。
【請求項3】
一以上の機器によって構成された一のローカルネットワークが複数存在し、群を構成することで、複数のローカルネットワークと通信可能に接続されたイベント解析サーバにおいて、
前記ローカルネットワークに、新規の機器が接続されたことを検知するステップと、
前記新規の機器が接続されたローカルネットワーク内で、前記新規の機器以外で共通の機能を有する機器から、所定の期間内に前記機器において発生したイベントを取得するステップと、
前記取得したイベントを、イベントの種類ごとに分類するステップと、
前記分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計するステップと、
前記集計された分類ごとのイベント数に基づき、メッセージデータベースから前記新規の機器が前記ローカルネットワークに導入された理由に関するメッセージを抽出するステップと、
を備えるイベント解析方法。
【請求項4】
一以上の機器によって構成された一のローカルネットワークが複数存在し、群を構成することで、複数のローカルネットワークと通信可能に接続されたイベント解析サーバに、
前記ローカルネットワークに、新規の機器が接続されたことを検知するステップ、
前記新規の機器が接続されたローカルネットワーク内で、前記新規の機器以外で共通の機能を有する機器から、所定の期間内に前記機器において発生したイベントを取得するステップ、
前記取得したイベントを、イベントの種類ごとに分類するステップ、
前記分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計するステップ、
前記集計された分類ごとのイベント数に基づき、メッセージデータベースから前記新規の機器が前記ローカルネットワークに導入された理由に関するメッセージを抽出するステップ、
を備えるイベント解析サーバ用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント解析サーバ、イベント解析方法、及び、イベント解析サーバ用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客向けに製品を製造する数多くの企業は、故障や使用履歴に関わる種々の稼働ログを取得するのみならず、顧客に対するアンケートを実施する等して、販売台数やレンタル台数の増加に努めている。そのために、具体的には、自社製品と同種の機器が顧客のネットワークに新規に導入された際、なぜ顧客がその機器を導入したかという理由を解明することが重要となる。
【0003】
このような課題に対して、通信機器自体が入れ替えられたことを自動的に管理する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−244928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、通信機器管理装置において順次生成された更新判定情報を比較して、ネットワーク上の論理的識別情報およびネットワーク上の物理的識別情報の少なくとも1つの変更の有無に基づいて、通信機器の内部構成の変更または通信機器の新規導入のいずれの更新パターンであるかを判定する手法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、単にいずれの機器が新規導入されたかが判明するに過ぎず、なぜ当該機器が新規導入されたかという理由を把握することには、効果を発揮しない。
【0007】
ところで、収集された膨大な数のデータをコンピュータ上で統計的に処理することで、全体から意味を見出すことは広く行われている。特にコンピュータの分野では、コンピュータの挙動はそのままデジタルデータとして利用可能になるため、様々な分野において統計処理に基づいた情報提供や推論が行われている。
【0008】
本発明者はこのような統計的手法を応用し、機器の新規導入を契機として、各ネットワークにおける同一の機能を持った機器のイベントを分類し、その回数を集計し、それをネットワーク単位で比較することで、より正確な機器導入の理由に係るメッセージを表示させるイベント解析サーバを提供できることに着目した。
【0009】
本発明は、これらの課題に鑑み、ローカルエリアネットワーク群において、複数のローカルエリアネットワークに機器が新規導入された際に、共通の機能を持った機種のイベント履歴に基づいて、当該機器が導入された理由に関するメッセージを提供するイベント解析サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、一以上の機器によって構成された一のローカルネットワークが複数存在し、群を構成することで、複数のローカルネットワークと通信可能に接続されたイベント解析サーバであって、
前記ローカルネットワークに、新規の機器が接続されたことを検知する新規機器検知手段と、
前記新規の機器が接続されたローカルネットワーク内で、前記新規の機器以外で共通の機能を有する機器から、所定の期間内に前記機器において発生したイベントを取得するイベント取得手段と、
前記取得したイベントを、イベントの種類ごとに分類するイベント分類手段と、
前記分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計するイベント集計手段と、
前記集計された分類ごとのイベント数に基づき、メッセージデータベースから前記新規の機器が前記ローカルネットワークに導入された理由に関するメッセージを抽出するメッセージ抽出手段と、
を備えるイベント解析サーバを提供する。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、一以上の機器によって構成された一のローカルネットワークが複数存在し、群を構成することで、複数のローカルネットワークと通信可能に接続されたイベント解析サーバは、前記ローカルネットワークに、新規の機器が接続されたことを検知し、前記新規の機器が接続されたローカルネットワーク内で、前記新規の機器以外で共通の機能を有する機器から、所定の期間内に前記機器において発生したイベントを取得し、前記取得したイベントを、イベントの種類ごとに分類し、前記分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計し、前記集計された分類ごとのイベント数に基づき、メッセージデータベースから前記新規の機器が前記ローカルネットワークに導入された理由に関するメッセージを抽出する。
【0013】
第1の特徴に係る発明は、イベント解析サーバのカテゴリであるが、イベント解析方法及び、イベント解析サーバ用プログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、
前記分類されたイベントからエラーコードを取得するエラーコード取得手段と、
前記エラーコードから対応する事象を解析し、事象ごとに分類し直す事象分類手段と、をさらに備え、
前記イベント集計手段は、前記事象ごとの分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計する、第1の特徴に係る発明であるイベント解析サーバを提供する。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、
第1の特徴に係る発明であるイベント解析サーバは、前記分類されたイベントからエラーコードを取得し、前記エラーコードから対応する事象を解析し、事象ごとに分類し、前記事象ごとの分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計する。
【0016】
第3の特徴に係る発明は、一以上の機器によって構成された一のローカルネットワークが複数存在し、群を構成することで、複数のローカルネットワークと通信可能に接続されたイベント解析サーバにおいて、
前記ローカルネットワークに、新規の機器が接続されたことを検知するステップと、
前記新規の機器が接続されたローカルネットワーク内で、前記新規の機器以外で共通の機能を有する機器から、所定の期間内に前記機器において発生したイベントを取得するステップと、
前記取得したイベントを、イベントの種類ごとに分類するステップと、
前記分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計するステップと、
前記集計された分類ごとのイベント数に基づき、メッセージデータベースから前記新規の機器が前記ローカルネットワークに導入された理由に関するメッセージを抽出するステップと、
を備えるイベント解析方法を提供する。
【0017】
第4の特徴に係る発明は、一以上の機器によって構成された一のローカルネットワークが複数存在し、群を構成することで、複数のローカルネットワークと通信可能に接続されたイベント解析サーバに、
前記ローカルネットワークに、新規の機器が接続されたことを検知するステップ、
前記新規の機器が接続されたローカルネットワーク内で、前記新規の機器以外で共通の機能を有する機器から、所定の期間内に前記機器において発生したイベントを取得するステップ、
前記取得したイベントを、イベントの種類ごとに分類するステップ、
前記分類に従って、イベントの発生件数をローカルネットワーク単位で集計するステップ、
前記集計された分類ごとのイベント数に基づき、メッセージデータベースから前記新規の機器が前記ローカルネットワークに導入された理由に関するメッセージを抽出するステップ、
を備えるイベント解析サーバ用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ローカルエリアネットワーク群において、複数のローカルエリアネットワークに機器が新規導入された際に、共通の機能を持った機種のイベント履歴に基づいて、当該機器が導入された理由に関するメッセージを提供するイベント解析サーバを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、イベント解析システム1の概要図である。
図2図2は、イベント解析システム1の全体構成図である。
図3図3は、イベント解析サーバ200、電化製品50の機能ブロック図である。
図4図4は、イベント解析サーバ200が実行するイベント解析処理を示すフローチャート図である。
図5図5は、イベント解析サーバ200と、電化製品50が実行する新規機器の検知処理を示すフローチャート図である。
図6図6は、イベント解析サーバ200と、電化製品50が実行するイベント取得処理を示すフローチャート図である。
図7図7は、イベント集計結果について、ネットワークごとの詳細を表示した画面の一例である。
図8図8は、イベント集計結果について、総合結果を表示した画面の一例である。
図9図9は、メッセージデータベース250内のメッセージテーブルの一部を表したものである。
図10図10は、メッセージデータベース250から抽出されたメッセージを表示した画面の一例である。
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0021】
[イベント解析システム1の概要]
図1は、本発明の好適な実施形態であるイベント解析サーバ200と、複数のローカルエリアネットワーク4によって構成される、イベント解析システム1の概要を説明するための概要図である。この図1に基づいて、イベント解析システム1の概要について説明する。
【0022】
イベント解析システム1においては、イベント解析サーバ200と、複数のローカルエリアネットワーク4a、4b、4c、4d(以下、明示しない限りは単に「4」とする)とが通信可能に接続されている。電化製品50a、50b、50c、50dはローカルエリアネットワーク4aを、電化製品50e、50f、50gはローカルエリアネットワーク4bをそれぞれ構成する(以下、明示しない限りは単に「50」とする)。
【0023】
ここで、イベントとは、各電化製品50が機器の内外で何らかの事象を検知した時に残す稼働記録であって、当該事象が緊急であるか否かを表すエラーレベルと、当該事象がどのようなものかを示すエラーコードによって表されるものとする。エラーレベルやエラーコードは製品ごとに規定されているものであり、エラーコードからエラーレベルが一意に決まる場合もある。
【0024】
なお、図1では図示されていないが、一以上の電化製品50がローカルエリアネットワーク4c、4dを構成している。また、イベント解析サーバ200と接続されたローカルエリアネットワーク4は4つに限られず、数百、数千等、管理可能な任意の数であってよい。
【0025】
ここで、イベント解析システム1は、機器の新規導入の理由に関するメッセージを抽出するものであるため、稼働には機器の新規導入を必要とする。そのため、初めに、イベント解析サーバ200は、ローカルエリアネットワーク4aにおいて、新規導入された機器たる電化製品50を検知する(ステップS01)。
【0026】
検知の際、新規に導入された電化製品50がネットワーク内にあるか否かを判断するにあたっては、各ローカルエリアネットワーク4の機器管理サーバ等に問い合わせてもよいし、イベント解析サーバ200が予め登録されている各機器と通信を行い、ローカルエリアネットワーク4内の他の機器を検出させることで、MACアドレス等の電化製品50を一意に判別できる値を使い、新規に導入された電化製品50を探してよい。図1においては、プリンタである電化製品50aが新規に導入され、検知された場合を示している。
【0027】
イベント解析サーバ200は同様に、ローカルエリアネットワーク4b内に新規導入された電化製品50eを検知する(ステップS02)。ここでは、コピー機である電化製品50eが新規に導入され、検知された例を示す。
【0028】
イベント解析サーバ200は同様に、ローカルエリアネットワーク4c内に新規導入された電化製品50を検知し(ステップS03)、ローカルエリアネットワーク4d内に新規導入された電化製品50を検知する(ステップS04)。ローカルエリアネットワーク4c、4d内には、新規導入された機器は無いものとする。このようにして、イベント解析サーバ200は、通信可能に接続されたすべてのローカルエリアネットワーク4に対して、新規導入された機器を検出する。
【0029】
次に、いずれかのローカルエリアネットワーク4において新規に導入された電化製品50が検知された場合は、イベント解析サーバ200は、新規に検出された電化製品50a、及び50eの機器種別を判別し、機能を特定する。その後、新規に電化製品50が検出されたローカルエリアネットワーク4内の、新規に検出された電化製品50の少なくとも一つと共通の機能を有する電化製品50から、所定の期間内に発生したイベントを取得する。ここでは、ローカルエリアネットワーク4a、及び4b内の、プリンタである電化製品50aと、コピー機である電化製品50eの少なくとも一方と同じ機能を備えた電化製品から、イベントを取得する。
【0030】
すなわち、ローカルエリアネットワーク4aにおいて、共通の機能である印刷機能を備えた電化製品50b、50cにおいて所定の期間内に発生したイベントを取得する。一方、印刷機能を備えない、ルータである電化製品50dに関しては、イベントを取得しない(ステップS05)。
【0031】
イベント解析サーバ200は同様に、ローカルエリアネットワーク4b内から、電化製品50a、または、電化製品50eの少なくとも一方と共通の機能を有する電化製品50を対象に、所定の期間内に発生したイベントを取得する(ステップS06)。新規の機器が検知されていないローカルエリアネットワーク4c、及び4dに対しては、上記のイベントの取得を行わない。
【0032】
次に、イベント解析サーバ200は、それぞれのイベントの種類ごとにイベント分類を特定し、イベント分類ごとに発生件数を集計する。イベントの分類とは、「error」、「warn」、「info」、「debug」等を始めとするエラーレベルのほか、製品固有のエラーコードによって表され、例えばプリンタやコピー機においては「インク残量低下」、「印刷用紙の不足」、「紙詰まり」、「原因不明の緊急停止」といった事象を、「120」「E2401」等の英数字の組み合わせによる整理番号で表したものである。このエラーコードは各製品によって異なるのが一般的なので、更にイベント解析サーバ200は、予め備えたデータベースや各社から提供されるAPIを用いて、これらのエラーコードを「紙詰まり」等の事象に分類し直し、エラーコードごとの集計のみならず、異なる機器により構成されたローカルエリアネットワーク4内について、紙詰まりといった、ある事象が起こった総回数を集計できるようにしてもよい。
【0033】
以上の処理によって、分類ごとのイベント発生回数が集計された後、分類とイベント発生回数とに基づいて、イベント解析サーバ200が備えるメッセージデータベース250から、メッセージを抽出する(ステップS07)。当該抽出においては、原則的に総回数が多いものを抽出するが、例えば前記エラーレベルが高く、重要なものほど先に表示されるよう、重み付けを行ってよい。
【0034】
なお、イベント解析サーバ200が各ローカルエリアネットワーク4を特定するための識別子としては、各ローカルエリアネットワーク4と公衆回線網3を繋ぐルータのMACアドレスや、無線通信を用いている場合にはSSIDを利用してもよい。以上が、イベント解析サーバ200の概要である。
【0035】
[イベント解析システム1のシステム構成]
図2は、本発明の好適な実施形態であるイベント解析サーバ200と、複数のローカルエリアネットワーク4によって構成される、イベント解析システム1のシステム構成図である。イベント解析システム1は、イベント解析サーバ200と、一以上の電化製品50によって構成される複数のローカルエリアネットワーク4、公衆回線網3(インターネット網や第3世代、第4世代通信網など)から構成される。イベント解析システム1内の通信は、有線と無線とを問わない。
【0036】
イベント解析サーバ200は、後述の機能を備え、イベントを電化製品50から取得し、メッセージの抽出を行うサーバである。図2において、イベント解析サーバ200が通信可能に接続されたローカルエリアネットワーク4は5つであるが、実際には任意の数であってよい。
【0037】
電化製品50は、データ通信を行うことが可能な家庭用又は業務用の電化製品であって、例えば、パソコン50c、テレビ50b、電話機、コンピュータに加えて、携帯電話、携帯情報端末、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、携帯型音楽プレーヤ、オーディオコンポ、コンテンツ再生・録画プレーヤ、プリンタ、FAX機、コピー機、スキャナ機、MFP(多機能周辺装置、多機能プリンタ)等の情報家電のみならず、冷蔵庫、洗濯機、食器洗浄乾燥機、扇風機、エアコン、電気ストーブ、炊飯器、電子レンジ等の白物家電や、電気照明、サーバ、ルータ50a、ゲートウェイ、NAS(Network Attached Storage)等も含む。
【0038】
[各機能の説明]
図3は、イベント解析サーバ200、電化製品50の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【0039】
イベント解析サーバ200は、制御部として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity対応デバイス又は、第3世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える(有線によるLAN接続であってもよい)。
【0040】
さらに、イベント解析サーバ200は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備える。イベント解析サーバ200は、メッセージデータベース250を、記憶部に備える。
【0041】
イベント解析サーバ200において、制御部が所定のプログラムを読み込むことで、通信部、記憶部と協働して、イベント解析モジュール206を実現する。イベント解析モジュール206は、ローカルエリアネットワーク内に新規に導入された機器を検出する新規機器検知モジュール201と、新規に導入された機器と同一の機器から所定期間内のイベントを取得するイベント取得モジュール202と、取得したイベントを分類するイベント分類モジュール203と、分類ごとにイベントの発生件数を集計するイベント集計モジュール204と、集計結果に基づいてメッセージを抽出するメッセージ抽出モジュール205から構成される。
【0042】
電化製品50は、同様に、制御部として、CPU,RAM,ROM等を備え、通信部として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス又は、第3世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える(有線によるLAN接続であってもよい)。加えて、電化製品50は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備えてよい。
【0043】
さらに、電化製品50は、出力・入力部として、制御部で制御したデータや画像を出力表示する表示部を備えてもよいし、ユーザやサポート者からの入力を受付けるタッチパネルやキーボード、マウス等を備えてもよい。
【0044】
電化製品50において、制御部が所定のプログラムを読み込むことで、通信部、出力・入力部、記憶部と協働して、イベント解析サーバ200の指示により他の機器にアクセスする他機器アクセスモジュール51、当該機器の機能情報を送信する機能情報送信モジュール52、イベント解析サーバ200に所定の期間内のイベント履歴を送信するイベント送信モジュール53を実現する。
【0045】
[イベント解析処理]
図4は、イベント解析サーバ200のイベント解析モジュール206が実行するイベント解析処理のフローチャートである。上述した各装置のモジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。
【0046】
はじめに、イベント解析サーバ200の新規機器検知モジュール201は、全てのローカルエリアネットワーク4を対象に(ステップS11)、新規機器の検知処理を行う(ステップS12)。この新規機器の検知処理は、各ローカルエリアネットワーク4に新規に導入された機器を検知するための処理であって、例えば各ローカルエリアネットワーク4に機器管理サーバのようなサーバがあって、そこから情報を取得してもよい。本実施例においては、このようなサーバが用いられず、電化製品50のみの場合の構成について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
イベント解析サーバ200は、記憶部に、前回各ローカルエリアネットワーク4にアクセスした時の、各電化製品50のMACアドレス及びIPアドレスの一覧を記憶しているとする。イベント解析サーバ200の新規機器検知モジュール201は、ローカルエリアネットワーク4ごとに、この一覧に基づき、ローカルエリアネットワーク4内の各電化製品50に対し、同一ローカルエリアネットワーク内の他の機器にアクセスするよう要求する(ステップS21)。
【0048】
要求を受信した電化製品50の他機器アクセスモジュール51は、同一ローカルエリアネットワーク内の他の電化製品50にアクセスする(ステップS22)。ここで、アクセスとは、いわゆるリモートログイン等まで行う必要はなく、存在を検知し、MACアドレスを取得するために、pingコマンドやarpコマンド等の通信を行えば足りる。
【0049】
他機器アクセスモジュール51は他機器へのアクセスを繰り返して、他の電化製品50のMACアドレスを収集し(ステップS23)、その一覧をイベント解析サーバ200に送信する(ステップS24)。新規機器検知モジュール201は一覧を受信して、記憶部にある前回の一覧と照合を行う(ステップS25)。
【0050】
照合の結果、前回の一覧には無かったが今回の一覧に存在する電化製品50を、新規に導入された機器と特定し(ステップS26)、当該電化製品50に対して、機能情報を送信するよう要求する。機能情報とは、電化製品50の機能に関する情報であって、「印刷機能」「通話機能」等、予めイベント解析サーバ200によって規定され、列挙されてよい。ここにおいて、電話機が「通話機能」、「FAX機能」、「コピー機能」、「印刷機能」を備える等、一の機器が複数の機能情報を持つことを妨げない。当該電化製品50の機能情報送信モジュール52は、機能情報を送信し、イベント解析サーバ20は、受信した機能情報を用いて、イベント解析処理の以下の処理を行う(ステップS27)。ただし、以下の処理が行われるのは、接続されたすべてのローカルエリアネットワーク4に対して、新規機器の検知処理が行われた後であることに注意する(ステップS11)。
【0051】
イベント解析処理に戻り、イベント解析サーバ200のイベント取得モジュール202は、新規機器を除く全ての電化製品50に対して(ステップS13)、イベント取得処理を行う(ステップS14)。このイベント取得処理について、図6に基づいて説明する。
【0052】
初めに、イベント解析サーバ200のイベント取得モジュール202は、対象としている電化製品50が接続されたローカルエリアネットワーク4について、当該ネットワーク内で新規機器が検知されたか否かを判断する(ステップS31)。新規機器が検知されていなかった場合(ステップS31:「NO」の場合)、当該電化製品50に対してはイベント取得を行わず、処理を終了する。新規機器が検知されたネットワークであった場合には(ステップS31:「YES」の場合)、以下の処理を続けて行う。
【0053】
イベント取得モジュール202は、電化製品50に対し、ステップS12の新規機器の検知処理で検知されたすべての新規機器の機能情報とともに、イベント履歴を要求する(ステップS32)。電化製品50は要求を受信すると、ともに受信した機能情報と、当該電化製品50自身の機能情報とを比較し、当該電化製品50に新規機器と共通の機能があるかを判断する(ステップS33)。共通の機能が無かった場合には(ステップS33:「NO」の場合)、ここでイベント取得処理を終了する。一方、一つでも共通の機能があった場合には、以下の処理を続けて行う(ステップS33:「YES」の場合)。
【0054】
電化製品50のイベント送信モジュール53は、所定の期間内のイベント履歴を送信する(ステップS34)。ここで所定の期間とは、新規機器の導入を判断する期間であることが望ましく、一か月、三か月を初めとして、リース期間といえる一年や二年など、妥当と思われる任意の期間であってよい。
【0055】
最後に、イベント取得モジュール202がイベント情報を受信して(ステップS35)、イベント取得処理を終了し、イベント解析処理に戻る。ただし、イベント解析処理の以下の処理が続けて行われるのは、新規機器を除く全ての電化製品50に対してイベント取得処理が行われた後であることに注意する(ステップS13)。
【0056】
イベント解析処理に戻り、イベント解析サーバ200のイベント分類モジュール203は、イベント取得処理で取得したイベント履歴それぞれを、エラーレベルやエラーコード等で分類する(ステップS15)。ここで、エラーコードは通常そのメーカや製品で固有のものであるから、記憶部内のデータや各社が提供するAPI等を用いて、異なるエラーコードを同一の現象である「印刷用紙の不足」や「紙詰まり」等に変換して、現象ごとに分類してもよい。
【0057】
次に、イベント集計モジュール204は、ローカルエリアネットワーク4ごとに、分類されたイベントについて、その分類や事象ごとに、発生件数を集計する(ステップS16)。更に、所定の複数のイベントの組み合わせが、同時期に発生した場合についても、集計してよい。
【0058】
最後に、メッセージ抽出モジュール205は、集計結果を元に、メッセージデータベース250から、メッセージを抽出する(ステップS17)。抽出されたメッセージは、イベント解析サーバ200や通信可能な機器が備える表示部に表示してもよいし、メール等で送信、転送されてよい。
【0059】
図7は、ネットワークごとに集計された集計結果の、ネットワークごとの詳細の一例である。ここで、プリンタ1,2,3,4は固有の機器を指すのではなく、機種名を表す。図7によれば、集計期間71の期間内に、ネットワークID72が「ネットワークA」であるローカルエリアネットワーク4においては、プリンタ1とプリンタ2の同時故障は、発生件数が三件である旨73が表示されており、ほかにもプリンタ3及びプリンタ4が過去最大医の印刷枚数を記録した旨74が表示されている。なお、ここではネットワーク二つと、イベント種類二つとが表示されているが、必要に応じて任意の数が表示されてよい。
【0060】
図8は、ネットワークごとに集計された集計結果の総合結果の一例である。プリンタ1とプリンタ2の同時故障の件数81として、延べ十五件、九のローカルエリアネットワーク4で発生したことが示されている。同様に、プリンタ3とプリンタ4で過去最大の印刷枚数を記録した件数82として、十件が表示されている。
【0061】
図9は、メッセージデータベース250内のメッセージテーブルの一部である。最も発生件数が多かったイベント分類と関連付けて記憶されたメッセージが、メッセージ抽出モジュール205によって抽出される。ただし、例えば「原因不明の緊急停止」という事象は、一般的には絶対に避けたい事態だが、機種によっては電源ボタンが付いていない等の理由で、コンセントを抜いて電源を落とす度にそのエラーが発生することがある。そのため、メッセージ抽出モジュール205は、単に発生件数のみを見るのではなく、当該イベントのエラーレベルを参酌し、それに応じた重み付けをすることで、より適したメッセージを抽出することができる。
【0062】
そうして抽出されたメッセージを表示した一例が、図10である。メッセージデータベース250から抽出されたメッセージ101、102が、発生件数の多い順である優先度103に基づいて並べて表示されている。
【0063】
以上が、メッセージ解析処理の処理手順である。
【0064】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
1 イベント解析システム、3 公衆回線網、4 ローカルエリアネットワーク、50 電化製品、200 イベント解析サーバ
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