(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記励起光源部および前記第1および第2の固体光源が設けられた基板の一部に設けられ、前記励起光源部および前記第1および第2の固体光源からの熱エネルギーを空間に放出する放熱手段を、さらに有する、請求項2または3に記載の照明装置。
前記励起光源部は、第1および第2の励起光源を有し、前記第1の反射部の前記ダイクロイック膜で反射された前記第1の励起光源からの励起光の中心光線と、前記第1の反射部の前記ダイクロイック膜で反射された前記第2の励起光源からの励起光の中心光線とは、前記コリメータレンズの光軸を挟んで線対称な位置関係にある、請求項6に記載の照明装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である照明装置の構成を示す模式図である。
【0032】
図1を参照すると、照明装置は、プロジェクタ等の投射型表示装置に用いられるものであって、赤色レーザ10、青色レーザ11、励起光源12、13、蛍光体ホイール14、コリメータレンズ15〜19、色合成プリズム20、および光路変更用プリズム
22を有する。
【0033】
図1において、赤色レーザ10から出力された赤色のレーザ光の光路、青色レーザ11から出力された青色のレーザ光の光路、励起光源12、13から出力された励起光の光路、および蛍光体ホイール14から放出された緑色の蛍光の光路はそれぞれ、矢印付きの実線(太線)で示されている。白抜きの矢印は、赤色のレーザ光、青色のレーザ光および緑色の蛍光が合成された光であり、本実施形態の照明装置の出力光である。なお、各色の光路はいずれも、中心光線の光路のみを示したものであり、実際は、複数の光線からなる光線束よりなる。
【0034】
赤色レーザ10および青色レーザ11は、レーザダイオードに代表される半導体レーザやLEDなどの固体光源である。赤色レーザ10は、赤色の波長域にピーク波長を有するS偏光のレーザ光(以下、単に赤色のレーザ光と記す)を出力する。青色レーザ11は、青色の波長域にピーク波長を有するS偏光のレーザ光(以下、単に青色のレーザ光と記す)を出力する。
【0035】
蛍光体ホイール14は、一方の面の周方向に沿って蛍光体領域が形成されたホイールよりなる。蛍光体ホイール14の中心部は、例えば、不図示のモータの出力軸に連結された回転軸(または出力軸)により支持されており、蛍光体ホイール14はモータによる回転駆動を受けて回転する。蛍光体領域を形成する蛍光体の発光色は緑色であり、この緑色の波長より短い波長の励起光で蛍光体を励起することで、緑色の蛍光が蛍光体領域から放出される。
【0036】
励起光源12、13は、緑色の蛍光の波長より短い波長のS偏光の励起光を出力する光源であって、例えば青色レーザや青色LEDに代表される固体光源よりなる。励起光源12、13の出力光のピーク波長は、青色レーザ11と同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
【0037】
コリメータレンズ15は、蛍光体ホイール14の蛍光体領域から放出される緑色の蛍光(発散光)を平行光束に変換するものであって、2枚の凸状のレンズ15a、15bと1枚の凹状のレンズ15cからなる。コリメータレンズ15は、
図1に示したレンズ構成に限定されるものではなく、蛍光体領域から放出される緑色の蛍光を平行光束化することができるのであれば、どのようなレンズ構成であってもよい。
【0038】
コリメータレンズ16は、赤色レーザ10から出力された赤色のレーザ光(発散光)を平行光束に変換する。コリメータレンズ17は、青色レーザ11から出力された青色のレーザ光(発散光)を平行光束に変換する。コリメータレンズ18は、励起光源12から出力された励起光(発散光)を平行光束に変換する。コリメータレンズ19は、励起光源13から出力された励起光(発散光)を平行光束に変換する。
【0039】
赤色レーザ10、青色レーザ11および励起光源12、13は、蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光の中心光線を含む平面に垂直な方向から見た場合、その中心光線に対して一方の側に位置している。
【0040】
赤色レーザ10、青色レーザ11および励起光源12、13のそれぞれは、同じ方向に光を出射するように配置されている。より具体的には、赤色レーザ10、青色レーザ11および励起光源12、13の各光軸は互いに平行である。赤色レーザ10、青色レーザ11および励起光源12、13の各出力光は、同じ側から色合成プリズム20に入射する。
【0041】
色合成プリズム20は、4つのプリズム20a〜20dからなる直方体形状のダイクロイックプリズムである。
【0042】
プリズム20a、20dは、直角プリズムであり、その形状および大きさは略同じである。
図2に、これらプリズム20a、20dとして用いられる直角プリズムを模式的に示す。
【0043】
図2に示すように、直角プリズムは、直角二等辺三角柱のプリズムであって、5つの面P10〜P14を有する。
図2において、符号P10〜P14には下線を付しており、下線が実線で示されたものは、見えている面を示し、下線が破線で示されたものは隠れている面を示す。
【0044】
面P10および面P11は、互いの面が直交する直角面(側面から見た場合に、直角三角形の直交する2辺を構成する面に対応する)である。面P12は、斜面(側面から見た場合に、直角三角形の斜辺を構成する面に対応する)である。面P13および面P14は、面P10〜P12のそれぞれと直交する側面である。面P11と面P12とのなす角度はθ1である。
【0045】
プリズム20bは、台形形状のプリズム(四角柱)である。
図3に、プリズム20bとして用いられる台形形状のプリズムを模式的に示す。
【0046】
図3に示す台形形状のプリズムは、直角二等辺三角柱のプリズムの頂部(直角を成す角部)を切り取ったものであって、6つの面P20〜P25を有する。
図3において、符号P20〜P25には下線を付しており、下線が実線で示されたものは、見えている面を示し、下線が破線で示されたものは隠れている面を示す。
【0047】
面P20、P21は、台形の対向する斜面であって、面P20を含む平面は面P21を含む平面と直交する。面P25は台形の上面を構成する面であり、面P22は台形の底面を構成する面である。面P25と面P22は平行である。面P23および面P24は、面P20〜P22のそれぞれと直交する側面である。面P20と面P22とのなす角度θ2は、面P21と面P22とのなす角度と同じである。角度θ2は、
図2に示した面P11と面P12とのなす角度θ1と同じである。
【0048】
プリズム20bの面P20の形状および大きさは、プリズム20aの面P12(斜面)の形状および大きさに略等しい。
図1に示すように、プリズム20aの面P12とプリズム20bの面P20とが接合されており、この接合面に、ダイクロイック面(膜)21aが形成されている。
【0049】
プリズム20cは、平行四辺形状プリズム(斜角柱)である。
図4に、プリズム20cとして用いられる平行四辺形状プリズムを模式的に示す。
【0050】
図4に示すように、平行四辺形状プリズムは、6つの面P30〜P35を有する。
図4において、符号P30〜P35には下線を付しており、下線が実線で示されたものは、見えている面を示し、下線が破線で示されたものは隠れている面を示す。
【0051】
面P30〜P33は四角形状のもので、面P30と面P32が対向して配置され、面P31と面P33が対向して配置されている。面P30の形状および大きさは、プリズム20bの面P21の形状および大きさに略等しい。面P32の形状および大きさは、プリズム20dの面P12(斜面)の形状および大きさに略等しい。
【0052】
面P34および面P35は、面P30〜P33のそれぞれと直交する側面であって、その形状は平行四辺形である。面P30と面P33とのなす角度はθ3(=180°−θ2)である。
【0053】
図1に示すように、プリズム20cの面P30とプリズム20bの面P21とが接合されており、この接合面に、ダイクロイック面(膜)21bが形成されている。プリズム20cの面P32とプリズム20dの面P12(斜面)とが接合されており、この接合面に、ダイクロイック面(膜)21cが形成されている。
【0054】
プリズム20a〜20dにより色合成プリズム20を形成する場合は、例えば、
図12に示すように、直交する基準面S1、S2を設定し、これら基準面S1、S2を基準にプリズム20a〜20dを接合して色合成プリズム20を形成する。プリズム20bの面P22およびプリズム20cの面P33を基準面S1に一致させるとともに、プリズム20dの面P11を基準面S2に一致させる。この状態でプリズム20b〜20dを接合する。プリズム20dをプリズム20cに接合する際も、プリズム20dの角部(面P11と面P12とにより形成される角)を基準面S1に一致させる。さらに、プリズム20aをプリズム20bに接合する。プリズム20aをプリズム20bに接合する際も、プリズム20aの角部(面P11と面P12とにより形成される角)を基準面S1に一致させる。
【0055】
上記の接合手法によれば、プリズム20a、20cの間のプリズム20bを台形形状としたことにより、プリズム20a、20cが設計値よりも大きくなった場合でも、プリズム20aの角部(面P10と面P12とにより形成される角)とプリズム20cの角部(面P30と面P31とにより形成される角)との干渉を防ぐことができる。
【0056】
なお、プリズム20bは、三角プリズムで構成してもよい。具体的には、
図3において、面P25を形成するための切り落とし部がないもの(三角プリズム)によりプリズム20bを構成する。ただし、この場合は、
図12に示した基準面S1、S2に基づく接合手法を適用すると、プリズム20a、20cが設計値よりも大きくなった場合に、プリズム20a、20cが干渉する場合がある。このような干渉が生じないように、プリズム20a〜20cは、高精度に形成および接合を行う必要がある。
【0057】
これに対して、
図3に示した台形形状のプリズム20bを用いれば、プリズム20a、20cの間には、面P25の幅に対応する間隔が生じるので、その分、プリズム20a、20cの干渉を抑制することができ、プリズム20a〜20cの形成および接合において要求される精度に、ある程度の余裕を持たせることができる。
【0058】
ダイクロイック面21a〜21cはいずれも、誘電体多層膜からなる。ダイクロイック面21a〜21cは、この順番で、蛍光体ホイール14から放出され、コリメータレンズ15で平行光束化された緑色の蛍光の光束に沿って配置されている。
【0059】
ダイクロイック面21a、21bの膜特性は同じである。
図5に、これらダイクロイック面21a、21bのP偏光およびS偏光に対する分光透過特性を示す。
図5において、一点鎖線はS偏光に対する分光透過特性を示し、破線はP偏光に対する分光透過特性を示す。B−LDは、青色レーザ11から出力される青色のレーザ光のスペクトラムであり、それより低波長側にあるスペクトラム(Excitation)は、励起光源12、13から出力される励起光のスペクトラムである。なお、青色のレーザ光のスペクトラムは、励起光のスペクトラムと同じ波長域であってもよい。
【0060】
カットオフ波長を透過率が50%になる波長と定義する。S偏光で入射する光に対するダイクロイック面21a、21bのカットオフ波長は、青色の波長域以下の光を反射し、それ以外の波長域(緑色および赤色の波長域を含む)の光を透過するように設定されている。P偏光で入射する光に対するダイクロイック面21a、21bのカットオフ波長は、S偏光に対するカットオフ波長より短波長側に設定されている。カットオフ波長の設定は、誘電体多層膜の材料、積層数、膜厚、屈折率などにより調整することができる。
【0061】
図5に示した分光透過特性を有するダイクロイック面21a、21bにおいては、青色の波長域以下のS偏光は反射され、緑色および赤色の波長域の光は透過する。
【0062】
図6に、ダイクロイック面21cのP偏光およびS偏光に対する分光透過特性を示す。
図6において、実線はS偏光に対する分光透過特性を示し、点線はP偏光に対する分光透過特性を示す。R−LDは、赤色レーザ10から出力される赤色のレーザ光のスペクトラムである。
【0063】
S偏光で入射する光に対するダイクロイック面21cのカットオフ波長は、赤色の波長域以上の光を反射し、それ以外の波長域(緑色および青色の波長域を含む)の光を透過するように設定されている。P偏光で入射する光に対するダイクロイック面21cのカットオフ波長は、S偏光に対するカットオフ波長よりも長波長側に設定されている。この場合も、カットオフ波長の設定は、誘電体多層膜の材料、積層数、膜厚、屈折率などにより調整することができる。
【0064】
図6に示した分光透過特性を有するダイクロイック面21cにおいては、赤色の波長域以上のS偏光は反射され、緑色および青色の波長域のS偏光は透過する。
【0065】
本実施形態の照明装置では、励起光源12から出力され、コリメータレンズ18で平行光束化された励起光は、色合成プリズム20のプリズム20aの面P10に入射する。励起光源13から出力され、コリメータレンズ19で平行光束化された励起光は、光路変更用プリズム22を介して、色合成プリズム20のプリズム20aの面P10に入射する。光路変更用プリズム22は、平行四辺形状のプリズムであって、励起光源13からの励起光の光路を変更するために用いられる。
【0066】
青色レーザ11から出力され、コリメータレンズ17で平行光束化された青色のレーザ光は、色合成プリズム20のプリズム20cの面P31に入射する。赤色レーザ10から出力され、コリメータレンズ16で平行光束化された赤色のレーザ光は、色合成プリズム20のプリズム20dの面P10に入射する。
【0067】
色合成プリズム20では、プリズム20aの面P10から入射した各励起光はそれぞれ、ダイクロイック面21aに、入射角約45°で入射する。ダイクロイック面21aは、入射した励起光をプリズム20aの面P11の方向に向けて反射する。
【0068】
ダイクロイック面21aで反射された励起光は、プリズム20aの面P11から出射される。プリズム20aの面P11から出射された励起光は、コリメータレンズ15を介して蛍光体ホイール14の蛍光体領域に集光される。
【0069】
図1に示したうように、コリメータレンズ15の光軸(または蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光の中心光線)を含み、かつ、ダイクロイック面21aと直交する平面に垂直な方向から見た場合、ダイクロイック面21aで反射された励起光源12からの励起光の中心光線と、ダイクロイック面21aで反射された励起光源13からの励起光の中心光線とは、コリメータレンズ15の光軸を挟んでほぼ線対称な位置関係にある。よって、励起光源12からの励起光の中心光線と励起光源13からの励起光の中心光線は、コリメータレンズ15によって蛍光体領域上のほぼ同じ位置に集光され、照射される。
【0070】
蛍光体ホイール14の蛍光体領域では、励起光の照射により蛍光体が励起される。励起された蛍光体から、緑色の蛍光が放出される。
【0071】
蛍光体ホイール14の蛍光体領域から放出された緑色の蛍光(発散光)は、コリメータレンズ15によって平行光束化された後、色合成プリズム20のプリズム20aの面P11に入射する。
【0072】
図7に、ダイクロイック面21a〜21cの各透過率特性を重ねたものを示す。
図7において、点線はS偏光に対する分光透過特性を示し、一点鎖線はP偏光に対する分光透過特性を示す。
図7中の中央部の実線で示した曲線は、蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光のスペクトラムである。
【0073】
蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光は、ランダム偏光(S偏光およびP偏光を含む)であり、そのほとんどが、ダイクロイック面21a〜21cをそれぞれ透過する。
【0074】
色合成プリズム20では、プリズム20aの面P11から入射した緑色の蛍光は、ダイクロイック面21aに、入射角約45°で入射する。ダイクロイック面21aは、入射した緑色の蛍光を透過する。
【0075】
ダイクロイック面21aからの緑色の蛍光の透過光束は、入射角約45°で、プリズム20b側からダイクロイック面21bに入射する。ダイクロイック面21bには、青色レーザ11からの青色のレーザ光が、プリズム20c側から入射角約45°で入射する。
【0076】
ダイクロイック面21bは、青色レーザ11の光軸と蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光の光束の中心光線(より具体的には、蛍光体ホイール14およびコリメータレンズ15を含む系の光軸)との交点に配置されている。
【0077】
ダイクロイック面21bは、青色レーザ11からの青色のレーザ光をダイクロイック面21cに向けて反射し、ダイクロイック面21aからの緑色の蛍光の透過光束を透過する。これにより、青色レーザ11からの青色のレーザ光とダイクロイック面21aからの緑色の蛍光が色合成される。
【0078】
ダイクロイック面21bからの光束(青色のレーザ光+緑色の蛍光)は、入射角約45°で、プリズム20c側からダイクロイック面21cに入射する。ダイクロイック面21cには、赤色レーザ10からの赤色のレーザ光が、プリズム20d側から入射角約45°で入射する。
【0079】
ダイクロイック面21cは、赤色レーザ10の光軸と蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光の光束の中心光線(より具体的には、蛍光体ホイール14およびコリメータレンズ15を含む系の光軸)との交点に配置されている。
【0080】
ダイクロイック面21cは、赤色レーザ10からの赤色のレーザ光をプリズム20dの面P11に向けて反射し、ダイクロイック面21bからの光束(青色のレーザ光+緑色の蛍光)を透過する。これにより、赤色レーザ10からの赤色のレーザ光とダイクロイック面21bからの光束(青色のレーザ光+緑色の蛍光)が色合成される。
【0081】
ダイクロイック面21cからの光束(青色のレーザ光+緑色の蛍光+赤色のレーザ光)は、プリズム20dの面P11から出射される。このプリズム20dの面P11から出射された光(赤色、緑色、青色)が、本実施形態の照明装置の出力光である。
【0082】
以上説明した本実施形態の照明装置によれば、以下のような作用効果を奏する。
【0083】
特許文献1に記載の発光装置では、赤色、緑色、青色の各色の光源としてそれぞれ蛍光体を用いた光源(発光装置)が用いられているために、発光装置が大型なものになるという問題があった。これに対して、本実施形態の照明装置では、赤色および青色の光源は固体光源とされ、緑色の光源は蛍光体を用いた光源とされている。このように固体光源と蛍光体を用いた光源とを混載したハイブリット光源を採用することで、小型で高輝度の照明装置を実現している。
【0084】
また、本実施形態の照明装置では、ダイクロイック面21a〜21cは、蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光の光束の中心光線(より具体的には、蛍光体ホイール14およびコリメータレンズ15を含む系の光軸)と交差するように配置され、かつ、その中心光線を含む平面と直交するように配置されている。そして、ダイクロイック面21a〜21cは、この順番で蛍光体ホイール14側から順に配置されており、各ダイクロイック面21a〜21cの膜特性は
図5〜
図7に示した特性とされている。これにより、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13の各熱源を、色合成プリズム20に対して同じ側に並べて配置することができる。
【0085】
上記の構成によれば、1つの冷却ファンで各熱源を同時に冷却することができる。加えて、冷却ファンからの冷却風を熱源へ導くためのダクトも必要ない。よって、特許文献2に記載の構成に比較して、冷却システムを簡易な構成で実現することができる。
【0086】
また、本実施形態の照明装置によれば、以下のような効果も得ることができる。
【0087】
一般に、蛍光体に照射される励起光の強度が大きければ大きいほど、蛍光体から放出される蛍光の輝度は高くなる。
【0088】
加えて、蛍光体へ照射する励起光の集光サイズに依存して蛍光体領域での蛍光サイズが決定される。そのため、コリメータレンズ15により励起光を集光して照射することで、蛍光サイズを小さくすることができる。これにより、エテンデューの制約による光量低下の問題も解消することができる。
【0089】
また、本実施形態の照明装置によれば、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13を同一基板面上に形成することもできる。これにより、各光源の光軸合わせが容易となり、照明装置の組み立てを高精度に行うことが可能となる。
【0090】
上記の場合、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13の各光源は一列に並べて配置してもよい。これにより、1つの冷却ファンにより効率的に各光源を冷却することができる。
【0091】
さらに、上記の場合、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13が設けられた基板の一部に、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13の各光源からの熱エネルギーを空間に放出する放熱手段であるヒートシンクを設けてもよい。これにより、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13の各光源を冷却する効果がさらに増大する。
【0092】
図8に、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13の各光源を同一基板面上に設けた構成の一例を示す。
【0093】
図8を参照すると、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13は、断面形状がL字状の基板23の同じ基板面上に一列に配置されている。基板23の一部には、ヒートシンク24が設けられている。
【0094】
図8に示した構成によれば、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13の各光源の並びに沿って空気流(冷却風)を流すことで、各光源を効率的に冷却することができる。加えて、ヒートシンクによる放熱作用により冷却効果をさらに増大させることができる。
【0095】
図9に、
図8に示した基板に冷却ファンを取り付けた構成を示す。
【0096】
図9を参照すると、冷却ファン25が基板23の一端(赤色レーザ10が位置する側)に設けられている。冷却ファン25は、例えばシロッコファンよりなり、空気を取り込む流入口25aと、空気が排出される流出口25bを備える。
【0097】
流出口25bから排出された空気流は、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13の各光源が設けられた基板面上をそれら光源の並び方向に沿って流れる。これにより、各光源が冷却される。
【0098】
また、流出口25bから排出された空気流は、ヒートシンク24にも供給される。ヒートシンク24は、複数のフィンを有し、これらフィン間に、流出口25bからの空気流の一部が供給される。フィンと空気の間で熱交換が行われるとともに、空気がフィン間を流れることで、効率的な放熱作用を提供することができる。
【0099】
また、本実施形態の照明装置によれば、ダイクロイック面21a、21c、21bがプリズムの接合面に形成された色合成プリズム20を用いることで、ダイクロイック面21a、21c、21bの傾きの調整やそれらダイクロイック面に対する光路調整(光軸調整を含む)などを一度に行うことができる。これにより、照明装置の組み立てを高精度かつ簡単に行うことができる。
【0100】
上述した本実施形態の照明装置は、本発明の一例であり、その構成については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で当業者が理解し得る様々な変更を加えることができる。
【0101】
例えば、励起光源の数は2個に限定されるものではなく、1個または3個以上の励起光源が用いられてもよい。
【0102】
また、本実施形態の照明装置において、色合成プリズム20から出力された光を導くための光学系や導光手段などを設けてもよい。
【0103】
さらに、蛍光体ホイール14に代えて、基板面上に蛍光体が形成された領域を含む蛍光体部を用いてもよい。
【0104】
さらに、ダイクロイック面21b、21cの位置を逆にしてもよい。すなわち、蛍光体ホイール14側から、ダイクロイック面21a、21c、21bをこの順番で配置してもよい。この場合は、赤色レーザ10および青色レーザ11の位置も逆になる。
【0105】
さらに、光路変更用プリズム22に代えて複数のミラーを用いてもよい。
【0106】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態である照明装置の構成を示す模式図である。
【0107】
本実施形態の照明装置は、色合成プリズム20に代えてダイクロイックミラー51a〜51cを備え、さらに光路変更用プリズム22に代えてミラー52、53を有する点が第1の実施形態と異なる。これ以外の構成(変形例を含む)は、第1の実施形態と同じである。
図10において、第1の実施形態と同じ構成には、同じ符号が付与されている。
【0108】
ダイクロイックミラー51a〜51cはそれぞれ、ダイクロイック面21a〜21cと対応するものであり、いずれも誘電体多層膜からなる。
【0109】
ダイクロイックミラー51a〜51cは、蛍光体ホイール14から放出された緑色の蛍光の光束の中心光線と交差し、かつ、その中心光線を含む平面と直交するように配置されている。ダイクロイックミラー51a〜51cは、この順番で、蛍光体ホイール14側から順に配置されている。
【0110】
上記の平面と垂直な方向から見た場合、赤色レーザ10、青色レーザ11、および励起光源12、13は、緑色の蛍光の光束の中心光線に対して一方の側に配置されている。
【0111】
ダイクロイックミラー51a、51bの膜特性はダイクロイック面21a、21bのそれと同じである。すなわち、ダイクロイックミラー51a、51bはいずれも、
図5に示した特性を有する。
【0112】
ダイクロイックミラー51cの膜特性はダイクロイック面21cのそれと同じである。すなわち、ダイクロイックミラー51cは、
図6に示した特性を有する。
【0113】
本実施形態の照明装置では、励起光源12から出力され、コリメータレンズ18で平行光束化された励起光は、入射角約45°で、ダイクロイックミラー51aに入射する。励起光源13から出力され、コリメータレンズ19で平行光束化された励起光は、ミラー52、53を介して、入射角約45°で、ダイクロイックミラー51aに入射する。
【0114】
ダイクロイックミラー51aは、入射した励起光を蛍光体ホイール14の方向に向けて反射する。ダイクロイックミラー51aで反射された励起光は、コリメータレンズ15を介して蛍光体ホイール14の蛍光体領域に集光される。
【0115】
励起光源12からの励起光の中心光線と励起光源13からの励起光の中心光線は、コリメータレンズ15によって蛍光体領域上に集光される。よって、蛍光体領域上では、励起光源12からの励起光と励起光源13からの励起光とは、はほぼ同じ位置に集光され、照射される。
【0116】
蛍光体ホイール14の蛍光体領域では、励起光の照射により蛍光体が励起される。励起された蛍光体から、緑色の蛍光が放出される。
【0117】
蛍光体ホイール14の蛍光体領域から放出された緑色の蛍光(発散光)は、コリメータレンズ15によって平行光束化された後、ダイクロイックミラー51aに入射する。ダイクロイックミラー51aは、入射した緑色の蛍光を透過する。
【0118】
ダイクロイックミラー51aからの緑色の蛍光の透過光束は、入射角約45°で、ダイクロイックミラー51bに入射する。ダイクロイックミラー51bは、青色レーザ11の光軸と蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光の光束(より具体的には、蛍光体ホイール14およびコリメータレンズ15を含む系の光軸)との交点に配置されている。青色レーザ11からの青色のレーザ光は、入射角約45°で、ダイクロイックミラー51bに入射する。
【0119】
ダイクロイックミラー51bは、青色レーザ11からの青色のレーザ光をダイクロイックミラー51cに向けて反射し、ダイクロイックミラー51aからの緑色の蛍光の透過光束を透過する。これにより、青色レーザ11からの青色のレーザ光とダイクロイックミラー51aからの緑色の蛍光が色合成される。
【0120】
ダイクロイックミラー51bからの光束(青色のレーザ光+緑色の蛍光)は、入射角約45°で、ダイクロイックミラー51cに入射する。ダイクロイックミラー51cは、赤色レーザ10の光軸と蛍光体ホイール14からの緑色の蛍光の光束(より具体的には、蛍光体ホイール14およびコリメータレンズ15を含む系の光軸)との交点に配置されている。赤色レーザ10からの赤色のレーザ光は、入射角約45°で、ダイクロイックミラー51cに入射する。
【0121】
ダイクロイックミラー51cは、赤色レーザ10からの赤色のレーザ光を反射し、ダイクロイックミラー51bからの光束(青色のレーザ光+緑色の蛍光)を透過する。これにより、赤色レーザ10からの赤色のレーザ光とダイクロイックミラー51bからの光束(青色のレーザ光+緑色の蛍光)が色合成される。
【0122】
ダイクロイックミラー51cからの光束(青色のレーザ光+緑色の蛍光+赤色のレーザ光)が、本実施形態の照明装置の出力光である。
【0123】
以上説明した本実施形態の照明装置においても、第1の実施形態と同様な作用効果を奏する。ただし、本実施形態の照明装置では、ダイクロイックミラー51a〜51cについて、個別に、ミラーの傾きを抑制する保持構造を有する必要がある。場合によっては、これらのミラーの傾きおよび光路を調整する必要がある。このため、本実施形態の照明装置よりも、第1の実施形態の照明装置の方が、ミラーの傾きの調整や光路調整などを簡単かつ高精度に行うことができる。
【0124】
本実施形態の照明装置においても、第1の実施形態で説明した様々な変形(
図8や
図9に示した構成を含む)を適用することができる。
【0125】
また、
図1に示した光路変更用プリズム22が、ミラー52、53に代えて用いられてもよい。
【0126】
(他の実施形態)
本他の実施形態の照明装置は、励起光を出力する励起光源部と、励起光源部から出力された励起光により励起されることで蛍光を放出する蛍光体部と、発光色が異なる第1および第2の固体光源と、それぞれがダイクロイック膜を備え、該ダイクロイック膜の膜面が、蛍光体部から放出された蛍光の光束の中心光線と交差し、かつ、該中心光線を含む平面と直交するように配置された第1乃至第3の反射部と、を有する。
【0127】
励起光源部および第1および第2の固体光源は、上記の平面に垂直な方向から見た場合に、蛍光の光束の中心光線に対して一方の側に配置されている。
【0128】
第1の反射部のダイクロイック膜は、励起光源部から出力された励起光の光束と蛍光体部から放出された蛍光の光束とが交差する位置に設けられ、励起光源部からの励起光を蛍光体部に向けて反射するとともに、蛍光体部からの蛍光を透過する。
【0129】
第2の反射部のダイクロイック膜は、第1の光源部から出力された第1の光の光束と、第1の反射部からの蛍光の光束とが交差する位置に設けられ、第1の光源部からの第1の光を第3の反射部に向けて反射するとともに、第1の反射部からの蛍光を透過する。
【0130】
第3の反射部のダイクロイック膜は、第2の光源部から出力された第2の光の光束と、第2の反射部からの第1の光の光束および蛍光の光束とが交差する位置に設けられ、第2の反射部からの第1の光および蛍光をそれぞれ透過し、該透過した光の進行方向に向けて、第2の光源部からの第2の光を反射する。
【0131】
蛍光体部は、
図1に示した蛍光体ホイール14であってもよい。第1の固体光源は、
図1または
図10に示した赤色レーザ10およびコリメータレンズ16から構成されてもよい。第2の固体光源は、
図1または
図10に示した青色レーザ11およびコリメータレンズ17から構成されてもよい。また、第2の固体光源を、赤色レーザ10およびコリメータレンズ16より構成し、第1の固体光源を、青色レーザ11およびコリメータレンズ17より構成してもよい。
【0132】
励起光源部は、
図1または
図10に示した励起光源12、13より構成されてもよい。第1乃至第3の反射部は、
図1に示した色合成プリズム20により構成されてもよく、また、
図10に示したダイクロイックミラー51a〜51cにより構成されてもよい。
【0133】
第1の固体光源が青色レーザ11であり、第2の固体光源が赤色レーザ10である場合、第1および第2の反射部のダイクロイック膜の第1の偏光(具体的には、S偏光)に対するカットオフ波長は、青色の波長域の光を反射し、少なくとも緑色の波長域の光を透過するように設定され、第3のダイクロイック面の第1の偏光に対するカットオフ波長は、青色および緑色の各波長域の光を透過し、赤色の波長域の光を反射するように設定される。
【0134】
反対に、第1の固体光源が赤色レーザ10であり、第2の固体光源が青色レーザ11である場合、第1および第3の反射部のダイクロイック膜の第1の偏光に対するカットオフ波長は、青色の波長域の光を反射し、赤色および緑色の各波長域の光を透過するように設定される。第2のダイクロイック面の第1の偏光に対するカットオフ波長は、少なくとも緑色の波長域の光を透過し、赤色の波長域の光を反射するように設定される。
【0135】
本他の実施形態の照明装置においても、第1の実施形態で説明した様々な変更例を適用することができ、前述した第1および第2の実施形態の照明装置と同様の作用効果を奏する。
【0136】
以上説明した本発明の照明装置は、プロジェクタに代表される投射型表示装置全般に適用することができる。
【0137】
投射型表示装置は、本発明の照明装置と、この照明装置から出力された光を空間的に変調する表示素子と、表示素子で形成された画像光を投射する投射光学系と、を有する。表示素子は、DMDや液晶パネルなどである。
【0138】
図11に、本発明の照明装置を備える投射型表示装置の一例を示す。
【0139】
図11を参照すると、投射型表示装置は、表示素子であるDMD46と、第1の実施形態である照明装置と、照明装置からの光をDMD46に導くための光学系と、照明装置を冷却する冷却ファンと、DMD46で形成された画像光を不図示のスクリーン上に投射する投射光学系47とを有する。
【0140】
光学系は、フライアイレンズ40、41、フィールドレンズ42、ミラー43、コンデンサレンズ44、内部全反射(TIR)プリズム45を有する。
【0141】
フライアイレンズ40、41、フィールドレンズ42、ミラー43は、この順番で、色合成プリズム20のプリズム20dの面P11から出射される光(赤色、緑色、青色)の進行方向に順に配置されている。
【0142】
コンデンサレンズ44およびTIRプリズム45は、この順番で、ミラー43で反射された光の進行方向に順に配置されている。
【0143】
フライアイレンズ40、41は、DMD46の照射面上で矩形照明および均一な照明光を得るためのものであり、それぞれが複数の微小レンズからなり、互いの微小レンズが一対一で対応するように配置されている。
【0144】
フライアイレンズ40、41を通過した光は、フィールドレンズ42、ミラー43およびコンデンサレンズ44を介してTIRプリズム45に入射する。
【0145】
TIRプリズム45は、2個の三角プリズムから構成され、コンデンサレンズ44で集光された光が一方の三角プリズムの側面からTIRプリズム45内に入射する。TIRプリズム45では、入射光は、三角プリズムの斜面で全反射し、その反射光が、一方の三角プリズムの他方の面からDMD46に向けて出射される。2個の三角プリズムが合わさっている面は全反射面でもあるため、2つの面の間には空気層が必要である。したがって2個の三角プリズムを合わせる際にスペーサー等を挟み接着することで2個の三角プリズム間に空気層を持たせている。
【0146】
DMD46は、TIRプリズム45からの入射する光を空間的に変調する。DMD46からの変調光(画像光)は、一方の三角プリズムの他方の面から再びTIRプリズム45内に入射し、その入射した画像光は、三角プリズムの接合面をそのまま透過し、他方の三角プリズムの側面から出射される。
【0147】
TIRプリズム45の他方の三角プリズムの側面から出射された画像光は、投射光学系47によって外部スクリーン上に拡大投射される。
【0148】
励起光源12、13と赤色レーザ10と青色レーザ11との点灯タイミングを制御することで、赤色、緑色および青色の各色の光束が時分割で色合成プリズム20から出射される。この時分割で出射される各色の光束を、DMD46を用いて空間的に変調することで、各色の画像光を得ることができる。
【0149】
冷却ファンは、空気流を排出する。励起光源12、13と赤色レーザ10と青色レーザ11の各光源は冷却ファンから排出される空気流の進行方向に設けられている。冷却ファンからの空気流が各光源に供給されることで、各光源が冷却される。冷却ファンとして、例えば
図9に示した構成を適用することができる。
【0150】
上記の投射型表示装置において、前述した第2の実施形態または他の実施形態の照明装置を用いてもよい。