(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、一般的な有機ELパネルは、透光性基板と、透光性基板の一方の主面(裏面)に形成された発光部とを少なくとも備えている。さらに、発光部は、透光性基板の裏面に形成された透明電極と、透明電極の上に積層された有機化合物(発光層)と、発光層の上に積層された対向電極(「反射電極」と呼ばれることもある。)とから構成されている。換言すれば、透明電極と対向電極との間に発光層が挟持されている。そして、透明電極と対向電極との間に所定の電圧が印加されると、発光層から光が放出される。発光層から放出された光の一部は、透明電極及び透光性基板を順次透過し、透光性基板の他方の主面(表面)から外部に出射される。また、発光層から放出された光の他の一部は、対向電極によって反射された後に、透明電極及び透光性基板を透過し、透光性基板の表面から外部に出射される。
【0007】
ここで、透明電極の一部は、発光層の少なくとも一辺よりも外側にまで延在して正極側受電部を形成しており、対向電極の一部は、発光層の少なくとも他の一辺よりも外側にまで延在して負極側受電部を形成している。そして、正極側受電部及び負極側受電部が任意の手段を介して外部電源に接続されることにより、透明電極と対向電極との間に所定の電圧が印加される。
【0008】
既述のように、特許文献1に記載されている照明装置では、有機ELパネルに設けられている受電部と外部電源とを接続する手段として次のような手段が採用されている。すなわち、有機ELパネルをスライドさせて取り付けることができる保持部を備えたパネル装着部を有し、有機ELパネルが取り付けられたパネル装着部を回動させると、有機ELパネルの電気接点(正極側受電部及び負極側受電部に相当する。)が器具本体の接点部と接触する。なお、器具本体の接点部が外部電源に接続されることは言うまでもない。
【0009】
また、特許文献2に記載されている照明装置では、有機ELパネルに設けられている給電部と外部電源とを接続する手段として次のような手段が採用されている。すなわち、面発光モジュールが搭載されるボディに給電部材が設けられ、該ボディに面発光モジュールを搭載すると、面発光モジュールの給電端子(正極側受電部及び負極側受電部に相当する。)とボディの給電部材とが接触する。ここでも、ボディの給電部材が外部電源に接続されることは言うまでもない。
【0010】
しかし、一般的な有機ELパネルにおける受電部は、
図9(a)に示す状態または同図(b)に示す状態のいずれか一方の状態で配置されている。
【0011】
すなわち、
図9(a)に示す有機ELパネル20では、透光性基板21の裏面の第1の辺に沿って帯状の正極側受電部22が配置され、第1の辺に隣接する第2の辺に沿って帯状の負極側受電部23が配置されている。一方、
図9(b)に示す有機ELパネル20では、透光性基板21の裏面の第1の辺及び第1の辺の対辺である第3の辺に沿って帯状の正極側受電部22が平行に配置されている。また、第1の辺に隣接する第2の辺及び第2の辺の対辺である第4の辺に沿って帯状の負極側受電部23が平行に配置されている。なお、各受電部が発光層の外側まで延在した透明電極又は対向電極の一部によって形成されていることは既述の通りである。
図9(a)(b)に示す有機ELパネル20では、発光層24の外側まで延在した透明電極25の一部によって正極側受電部22が形成され、対向電極26の一部によって負極側受電部23が形成されている。なお、透明電極25の一部によって負極側受電部23が形成され、対向電極26の一部によって正極側受電部22が形成される場合もある。
【0012】
また、透明電極25や対向電極26を発光層24の外側まで延在させることなく正極側受電部22や負極側受電部23を形成することも可能である。すなわち、
図9(a)や
図9(b)において正極側受電部22及び負極側受電部23が形成されている位置に導体層を形成し、その導体層を発光層24の内側に形成されている透明電極25や対向電極26に導通させて受電部とすることも可能である。しかし、いずれの場合にも受電部の位置は
図9(a)または同図(b)に示す位置に限定される。
【0013】
有機ELパネルにおける受電部の配置が上記のような所定の配置に限定されている結果、有機ELパネルを照明装置の光源として利用するに際して次のような課題がある。すなわち、有機ELパネルを光源とする照明装置は、有機ELパネルと該有機ELパネルが装着される器具本体とを少なくとも有する。そして、器具本体には外部電源に接続された正極側給電端子と負極側給電端子とが設けられ、有機ELパネルが器具本体に装着されると、有機ELパネルの正極側受電部と器具本体の正極側給電端子とが導通し、有機ELパネルの負極側受電部と器具本体の負極側給電端子とが導通する。
【0014】
ここで、照明装置の光源である有機ELパネルは、蛍光灯や電球と同じく、必要に応じて交換する必要がある。しかし、有機ELパネルの受電部の配置が上記のような所定の配置に限定されているので、器具本体の給電端子は上記有機ELパネルの受電部の配置に応じて配置されている。よって、器具本体に有機ELパネルを装着する際の該パネルの向きは予め一意に定められる。換言すれば、有機ELパネルを所定の向きで器具本体に装着しなければ、有機ELパネルの受電部と器具本体の給電端子とが接続されないか、または正しく接続されない。
【0015】
したがって、有機ELパネルを交換する際には、該パネルの向きを確認し、所定の向きで器具本体に装着しなくてはならず、不便である。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、器具本体へ装着する際の向きが限定されない面発光モジュー
ルを備えた面発光照明装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の面発光
照明装置は、
面発光モジュールと該面発光モジュールを着脱可能な器具本体とを有する。面発光モジュールは、正極側受電部及び負極側受電部を備えた面発光パネルをケースに収容してなる面発光モジュールであって、面発光パネルから放出された光が出射される面とは反対側の面の各辺に、面発光パネルの正極側受電部及び負極側受電部と導通したピン形状の正極接続端子及び負極接続端子が設けられ、正極接続端子及び負極接続端子は、面発光パネルを覆っているカバーを貫通して外部に突出しており、ケース内に収容された面発光パネルに重ねられた接続基板と、正極接続端子及び負極接続端子が設けられるとともに接続基板の各辺に配置された複数の導電性のベース部材とを有し、面発光パネルと対向する接続基板の表面には、面発光パネルの正極側受電部と導通した表面側正極電極パターンと、面発光パネルの負極側受電部と導通した表面側負極電極パターンとが形成され、接続基板の裏面の少なくとも2辺には、表面側正極電極パターンと導通した裏面側正極電極パターンと、表面側負極電極パターンと導通した裏面側負極電極パターンとが少なくとも一組ずつ形成されており、接続基板裏面の各辺に配置されたベース部材に設けられている正極接続端子及び負極接続端子が、接続基板裏面の対応する辺に形成されている裏面側正極電極パターン及び裏面側負極電極パターンに導通してい
る。器具本体には、面発光モジュールを収容可能な収容部が設けられ、収容部の底面の各辺に、面発光モジュールの正極接続端子及び負極接続端子を受け入れ、受け入れた正極接続端子及び負極接続端子を所定のコネクタの接続穴へ案内する貫通穴が形成されており、収容部の底面の外側に突出した第1の位置と、該底面の内側に後退した第2の位置との間で往復移動可能な押し出し片と、第2の位置にある押し出し片を第1の位置へ移動させるための操作部とを有し、操作部が操作されると、第2の位置から第1の位置へ移動した押し出し片によって収容部の底面と該底面に対向している面発光モジュールの背面との間に隙間が形成される。
【発明の効果】
【0018】
器具本体へ装着する際の向きが限定されない面発光モジュー
ルを備えた面発光照明装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の面発光照明装置の第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る面発光照明装置は、器具本体と、該器具本体に着脱可能な光源としての面発光モジュールとを有する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る面発光照明装置を構成する面発光モジュール1Aの外観斜視図であり、(a)は背面(裏面)側斜視図、(b)は正面(表面)側斜視図である。
図2は、面発光モジュール1Aの構造を示す分解斜視図である。
【0022】
図2に示すように、面発光モジュール1Aは、ケース本体10と、ケース本体10の内側に配置された有機ELパネル20、パネル側導電性シート30、接続基板40及びカバー側導電性シート50と、ケース本体10の一面を塞ぐカバー60とを有する。なお、パネル側導電性シート30は本発明の第2の導電部材に相当し、カバー側導電性シート50は第1の導電部材に相当する。
【0023】
図2に示すように、ケース本体10は、合成樹脂によって形成された矩形枠状の部材である。ケース本体10の内側には、有機ELパネル20の周縁が重ねられる保持部11が一体成形されている。
【0024】
有機ELパネル20は、既存の一般的な有機ELパネルであって、
図9(b)に示した構造を有する。すなわち、透光性基板21と、透光性基板21の裏面に形成された発光部とを少なくとも備え、発光部は、透明電極25と、透明電極25の上に積層された発光層24と、発光層24の上に積層された対向電極26とから構成されている。また、透光性基板裏面の対向する二辺には、透明電極25の一部によって正極側受電部22が形成され、対向する他の二辺には、対向電極26によって負極側受電部23が形成されている。
【0025】
再び
図2を参照する。有機ELパネル20は、ケース本体10の内側にほぼ隙間なく収まる形状及び寸法を有しており、その発光面がケース本体10の保持部11と対向する向きでケース本体10の内側に嵌め込まれ、発光面の周縁(四辺)が保持部11の上に重ねられている。換言すれば、ケース本体10の内側に嵌め込まれた有機ELパネル20は、その周縁が保持部11によって保持されており、有機ELパネル20の発光面から放出された光は、保持部11の内側の開口部14から外部に出射される。
【0026】
パネル側導電性シート30は、有機ELパネル20と略同一の外形寸法を有する矩形枠状に成形されたシリコーンゴム製の基材と、該基材の内部に埋め込まれた多数の導電性ワイヤー(不図示)とを有する。具体的には、基材の内部には、その厚み方向に沿って延びる多数の導電性ワイヤーが並列に埋設されており、各ワイヤーの両端部は、基材の表裏面からそれぞれ僅かに突出している。かかる構造を有するパネル側導電性シート30は、
図2に示すように、ケース本体10の内側に嵌め込まれた有機ELパネル20の裏面に重ねて配置されている。さらに、パネル側導電性シート30は、基材の表面が有機ELパネル20の裏面と対向する向きで有機ELパネル20の裏面に重ねられている。よって、パネル側導電性シート30の基材表面から突出している各導電性ワイヤーの端部は、有機ELパネル20の裏面に設けられている正極側給電部22または負極側給電部23(
図9(b))と接触し、電気的に導通している。
【0027】
次に、接続基板40について説明する。接続基板40は、パネル側導電性シート30と略同一の形状及び寸法を有する枠状部材である。接続基板40の両面には、それぞれ電極パターン及び配線パターンが形成されている。
図3(a)は、接続基板40の表面に形成されている電極パターン及び配線パターンを示しており、同図(b)は裏面に形成されている電極パターン及び配線パターンを示している。
図3(a)に示すように、接続基板表面の対向する2辺には、各辺に沿って帯状の表面側正極電極パターン41aが形成されており、対向する他の2辺には、各辺に沿って帯状の表面側負極電極パターン42aがそれぞれ形成されている。一方、
図3(b)に示すように、接続基板裏面の各辺には、帯状の裏面側正極電極パターン41bと裏面側負極電極パターン42bとがそれぞれ一組ずつ形成されている。そして、接続基板裏面の各辺に形成されている裏面側正極電極パターン41bは、接続基板表面に形成されている2つの表面側正極電極パターン41aのいずれか一方と接続されており、接続基板裏面の各辺に形成されている裏面側負極電極パターン42bは、接続基板表面に形成されている2つの表面側負極電極パターン42aのいずれか一方と接続されている。なお、接続基板裏面に形成されている電極パターンと接続基板表面に形成されている電極パターンとは、接続基板40を貫通するスルーホール43及び接続基板40の表裏面に形成された配線パターン44を介して上記のように接続されている。
【0028】
図2に示すように、上記構造を有する接続基板40は、その表面がパネル側導電性シート30の基材裏面と対向する向きで、パネル側導電性シート30の上に重ねられている。よって、接続基板40の表面に形成されている表面側正極電極パターン41a及び表面側負極電極パターン42aは、パネル側導電性シート30の基材裏面から突出している導電性ワイヤーの端部と接触している。さらに、接続基板40は、その表面に形成されている表面側正極電極パターン41aが有機EL素子20の裏面に設けられている正極側受電部22(
図9(a))と重なり、表面側負極電極パターン42aが有機EL素子20の裏面に設けられている負極側受電部23(
図9(b))と重なる向きでパネル側導電性シート30の上に重ねられている。結果、接続基板40の表面側正極電極パターン41aは、パネル側導電性シート30(導電性ワイヤー)を介して有機EL素子20の正極側受電部22と電気的に導通している。また、接続基板40の表面側負極電極パターン42aは、パネル側導電性シート30(導電性ワイヤー)を介して有機EL素子20の負極側受電部23と電気的に導通している。
【0029】
さらに、接続基板40の表面に形成されている2つの表面側正極電極パターン41aは、接続基板40の裏面に形成されている4つの裏面側正極電極パターン41bにそれぞれ接続され、接続基板40の表面に形成されている2つの表面側負極電極パターン42aは、接続基板40の裏面に形成されている4つの裏面側負極電極パターン42bにそれぞれ接続されていることは既述のとおりである。
【0030】
要するに、接続基板裏面の各辺に形成されている4つの裏面側正極電極パターン41bは、有機EL素子20の正極側受電部22と電気的に導通している。また、接続基板裏面の各辺に形成されている4つの裏面側負極電極パターン42bは、有機EL素子20の負極側受電部23と電気的に導通している。
【0031】
再び
図2を参照する。図示されているカバー側導電性シート50は、基本的にパネル側導電性シート30と共通の形状、寸法及び構造を有する。すなわち、カバー側導電性シート50は、有機ELパネル20と略同一の外形寸法を有する矩形枠状に成形されたシリコーンゴム製の基材と、基材の内部に埋め込まれた多数の導電性ワイヤー(不図示)とを有し、各ワイヤーの両端部は、基材の表裏面からそれぞれ僅かに突出している。
【0032】
但し、カバー側導電性シート50の基材各辺の裏面側には、他の部分よりも厚い凸部51が2つずつ形成されている。そして、各辺における凸部51の形成位置は、接続基板裏面の対応する辺に形成されている裏面側正極電極パターン41b及び裏面側負極電極パターン42b(
図3(b))の位置に対応している。すなわち、
図2に示すように、カバー側導電性シート50は、基材表面が接続基板40の裏面と対向する向きで接続基板40の裏面に重ねられており、このとき、接続基板裏面に設けられている裏面側正極電極パターン41bまたは裏面側負極電極パターン42bの真上に凸部51が配置される。したがって、凸部51を貫通して基材表面から突出している導電性ワイヤーの一端は、接続基板の裏面側正極電極パターン41bまたは裏面側負極電極パターン42bと接触している。
【0033】
より具体的には、基材裏面の各辺に形成されている2つの凸部51の一方を貫通している一群の導電性ワイヤーは、接続基板裏面の対応する一辺に設けられている裏面側正極電極パターン41bと接触し、2つの凸部51の他方を貫通している他の一群の導電性ワイヤーは、接続基板裏面の対応する一辺に設けられている裏面側負極電極パターン42bと接触している。
【0034】
要するに、カバー側導電性シート50の各辺には、有機ELパネル20の正極側受電部22(
図9(b))と電気的に導通した一群の導電性ワイヤー(正極接続端子)と、有機ELパネル20の負極側受電部23(
図9(b))と電気的に導通した他の一群の導電性ワイヤー(負極接続端子)とが一組ずつ設けられている。
【0035】
カバー60は、合成樹脂によって形成された平板状の部材である。カバー60は、ケース本体10の内側にほぼ隙間なく嵌る形状及び寸法を有する。さらに、カバー60の各辺には、第2の導電性シート50の各凸部51を受け入れ可能な切り欠き61がそれぞれ2つずつ形成されている。
【0036】
図2に示すように、上記構造を有するカバー60は、カバー側導電性シート50の上に重ねて配置されており、カバー側導電性シート50の各凸部51は、カバー60の対応する切り欠き61に嵌っている(
図1(a)参照)。ここで、カバー側導電性シート50の各凸部51の高さ(厚み)は、カバー60の厚みと同一か、僅かに低い(薄い)。よって、カバー60の切り欠き61に嵌った凸部51の上面は、カバー60の表面と面一か、カバー60の表面よりも僅かに下がっている。
【0037】
これまでの説明より、本実施形態に係る面発光モジュール1Aでは、内蔵されている有機ELパネル20から放出された光の出射面とは反対側の背面の全ての辺に、有機ELパネル20の正極側受電部22及び負極側受電部23と電気的に導通した接続端子がそれぞれ設けられていることが理解できるはずである。
【0038】
次に、本実施形態に係る照明装置を構成する器具本体について説明する。器具本体は、主に天井や壁に固定され、面発光モジュール1Aは天井や壁に固定された器具本体に対して着脱可能(交換可能)となる。以下、具体的に説明する。
【0039】
図4Aは、器具本体2Aの下方斜視図である。
図4Bは、器具本体2Aへの面発光モジュール1Aの取り付け方法を示す下方斜視図である。
【0040】
図4A、
図4Bに示すように、器具本体2Aは、面発光モジュール1Aをほぼ隙間なく嵌め込むことが可能な矩形凹状の収容部70を備えている。収容部底面の少なくとも一辺(本実施形態では対向する二辺)には、不図示の電気回路を介して外部電源に接続されている正極給電端子71と負極給電端子72がそれぞれ設けられている。また、収容部70の対向する2つの内側面には、面発光モジュール1A(ケース本体10)の各側面の両端にそれぞれ形成されている係止穴12(
図1A)に係合可能な突起73が設けられている。収容部70の対向する他の2つの内側面の一方には、収容部70の内外に進退可能な鉤状の係止片74が設けられている。係止片74は、不図示のバネによって、収容部70の内側面から突出するように常時付勢されている。さらに、収容部70の周囲には、上記バネによる付勢に抗して係止片74を変位させ、該係止片74を収容部70の内側面の内側に後退させるための操作片75が設けられている。
【0041】
以上の構造の下、
図4Bに示すように、器具本体2Aの収容部70内に設けられている突起73を面発光モジュール1Aの任意の角に設けられている係止穴12(
図1A)に係合させると、面発光モジュール1Aは、突起73を介して器具本体2Aに連結されるとともに、突起73を回転軸として回動可能となる。その後、面発光モジュール1Aを収容部70の側に向けて回動させると、面発光モジュール1Aの裏面が係止片74に当接する。さらに面発光モジュール1Aを収容部70の側に向けて回動させると、係止片74が上記バネの付勢に抗して収容部70の内側面の内側に後退し(押し込まれ)、面発光モジュール1Aが収容部70内に収容される。ここで、
図1Aに示すように、面発光モジュール1A(ケース本体10)の各側面には、係止片74を受け入れ可能な係止溝13が形成されている。よって、上記のようにして面発光モジュール1Aを収容部70の内側に収容すると、バネによって常時付勢されている係止片74が再び収容部70の内側に突出し、係止溝13内に進入する。これにより、面発光モジュール1Aは、一方で突起73により保持され、他方で係止片74によって保持され、収容部70内に固定される。
【0042】
以上のようにして面発光モジュール1Aが器具本体2Aにセットされる。ここで、面発光モジュール1Aの裏面の全ての辺に、内蔵されている有機ELパネル20の正極側受電部22及び負極側受電部23と電気的に導通した正極接続端子及び負極接続端子が一組ずつ設けられていることは既述の通りである。よって、上記のように面発光モジュール1Aが器具本体2Aにセットされると、収容部底面の少なくとも一辺に設けられている正極給電端子71及び負極給電端子72は、面発光モジュール1Aの対応する辺に設けられている一組の正極接続端子及び負極接続端子と必ず接触して電気的に導通する。すなわち、面発光モジュール1Aを如何なる向きで器具本体2Aにセットした場合であっても、収容部底面に設けられている正極給電端子71及び負極給電端子72は、面発光モジュール1Aに設けられている4組の正極接続端子及び負極接続端子のうちのいずれか一組の正極接続端子及び負極接続端子と必ず接続される。
【0043】
なお、器具本体2Aから面発光モジュール1Aを取り外すときには、
図4A、Bに示す操作片75をスライドさせ、係止片74をバネの付勢に抗して後退させ、面発光モジュール1Aの係止溝13(
図1A)から離脱させる。すると、器具本体2Aが天井面に取り付けられている場合には、面発光モジュール1Aは自重によって下方に回動する。結果、面発光モジュール1Aと収容部70との間に隙間が生じ、ユーザーが面発光モジュール1Aを把持可能となる。また、器具本体2Aが壁面に取り付けられている場合にも面発光モジュール1Aは自重によって手前側(ユーザー側)に回動するか、ユーザーが手前側に回動させることが可能な状態となる。いずれの場合にも、面発光モジュール1Aが手前側に回動すると、面発光モジュール1Aと収容部70との間に隙間が生じ、ユーザーが面発光モジュール1Aを把持可能となる。
【0044】
図2や
図3に示す接続基板40は、多層基板であってもフレキシブル基板であってもよい。また、
図2に示すパネル側導電性シート30に代えて異方性導電接着剤を用いてもよい。具体的には、
図5に示すように、有機ELパネル20と接続基板40とを不図示の異方性導電接着剤を用いて固定することにより、有機ELパネル20の正極側給電部22及び負極側給電部23(
図9(b))と接続基板40の表面側正極電極パターン41a及び表面側負極電極パターン42a(
図3(a))との電気的導通を確保してもよい。この場合、
図5に示されているように、
図2に示したパネル側導電性シート30が不要となるので、面発光モジュール1Aのさらなる薄型化が可能となり、引いては面発光照明装置のさらなる薄型化も可能となる。もっとも、導電部が金属細線であるパネル側導電性シート30を用いて有機ELパネル20と接続基板40との電気的導通を確保した場合には、比較的高い電流を流すことが可能となるメリットがある。
【0045】
また、
図4A、
図4Bに示す操作片75はスライド式に限られない。例えば、操作片75と係止片74との間に、操作片75が押されると、バネの付勢に抗して係止片74を後退させるリンク機構を介在させることもできる。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、本発明の面発光照明装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る面発光照明装置も、器具本体と、該器具本体に着脱可能な光源としての面発光モジュールとを有する。
【0047】
図6は、本実施形態に係る面発光照明装置を構成する面発光モジュール1Bの裏面側斜視図である。本実施形態に係る面発光モジュール1Bの基本構成は、実施形態に係る面発光モジュール1Aと同一であり、次の点において異なる。すなわち、実施形態1に係る面発光モジュール1Aでは、その背面の各辺に、カバー60の表面と面一か、或いは僅かに下がった接続端子が設けられていた。これに対し、本実施形態に係る面発光モジュール1Bでは、その背面の各辺に、カバー60を貫通して外部に突出するピン形状の正極接続端子81a及び負極接続端子82aが設けられている。
【0048】
図7は、本実施形態に係る面発光モジュール1Bの構造を示す一部省略の分解斜視図である。面発光モジュール1Bでは、
図5に示すカバー側導電性シート50の各辺の上に、ピン形状の正極接続端子81a及び負極接続端子82aが一組ずつ配置されている。なお、
図7では、カバー側導電性シート50の一辺に配置された正極接続端子81a及び負極接続端子82aのみを図示し、他の辺に配置されている正極接続端子81a及び負極接続端子82aの図示は省略してある。
【0049】
ここで、カバー側導電性シート50の各辺には、接続基板40(
図5)を介して有機ELパネル20の正極側受電部22(
図9(b))と電気的に導通した一群の導電性ワイヤーと、有機ELパネル20の負極側受電部23(
図9(b))と電気的に導通した他の一群の導電性ワイヤーとが存在していることは既述の通りである。
【0050】
正極接続端子81aが一体成形されたベース部材81bは、カバー側導電性シート50の各辺にある、有機ELパネル20の正極側受電部22(
図9(b))と電気的に導通した一群の導電性ワイヤーの上に重ねて配置され、これら導電性ワイヤーと導通している。一方、負極接続端子82aが一体成形されたベース部材82bは、カバー側導電性シート50の各辺にある、有機ELパネル20の負極側受電部23(
図9(b))と電気的に導通した他の一群の導電性ワイヤーの上に重ねて配置され、これら導電性ワイヤーと導通している。
【0051】
すなわち、正極接続端子81aは、カバー側導電性シート50及び接続基板40(
図5)を介して有機ELパネル20の正極側受電部22(
図9(b))と電気的に導通している。また、負極接続端子82aは、カバー側導電性シート50及び接続基板40(
図5)を介して有機ELパネル20の負極側受電部23(
図9(b))と電気的に導通している。
【0052】
要するに、本実施形態に係る面発光モジュール1Bにおいても、内蔵されている有機ELパネル20(
図5)から放出された光の出射面とは反対側の背面の全ての辺に、有機ELパネル20の正極側受電部22及び負極側受電部23(
図9(b))と電気的に導通した接続端子がそれぞれ設けられている。
【0053】
ここでは、正極接続端子81aと負極接続端子82aが独立したベース部材81b、82bにそれぞれ設けられている形態について説明した。しかし、正極接続端子81aと負極接続端子82aが短絡することのない構造を採用することによって、正極接続端子81aと負極接続端子82aを共通のベース部材上に設けることも可能である。例えば、
図7に示されている2つのベース部材81b、82bを絶縁体を間に挟んで一体化させることもできる。
【0054】
また、正極接続端子81a(ベース部材81b)や負極接続端子82a(ベース部材82b)を接続基板裏面の裏面側正極電極パターン41bや裏面側負極電極パターン42bの上に直接配置してもよい。但し、ベース部材81b、82aと接続基板40との間に弾性を有するカバー側導電性シート50を介在させた方が密着性が向上し、電気的導通の確実性がより一層向上する。
【0055】
次に、本実施形態に係る照明装置を構成する器具本体について説明する。本実施形態に係る器具本体も、主に天井や壁に固定され、上記面発光モジュール1Bは天井や壁に固定された器具本体に対して着脱可能(交換可能)となる。
【0056】
図8は、本実施形態に係る器具本体2Bの下方斜視図である。本実施形態に係る器具本体2Bの基本構成は、実施形態に係る器具本体2Aと同一である。但し、着脱される面発光モジュール1Bの構造が上記のように異なることに対応し、次の点において器具本体2Aと相違している。
【0057】
図8に示すように、器具本体2Bの収容部70の底面の各辺には、
図6に示す正極接続端子81a及び負極接続端子82aを挿入可能な一対の貫通穴83がそれぞれ形成されている。さらに、器具本体2Bの背面には、不図示のコネクタが設けられており、各貫通穴83に挿入された正極接続端子81a及び負極接続端子82aは、該貫通穴83に案内されて対応するコネクタの接続穴に挿入されるようになっている。
【0058】
すなわち、面発光モジュール1Bを如何なる向きで器具本体2Bにセットした場合であっても、正極接続端子81a及び負極接続端子82aは必ずいずれかのコネクタに必ず接続される。
【0059】
なお、器具本体2Bの収容部70の底面には、通常は底面の内側に後退しており、操作部84が押されると底面から突出する一対の押し出し片85が設けられている。よって、収容部70に面発光モジュール1Bがセットされている状態で操作部84が押されると、収容部底面から突出した押し出し片85によって面発光モジュール1Bが収容部70から押し出される。但し、その押し出し量は、コネクタの接続穴に挿入されている正極接続端子81a及び負極接続端子82aが接続穴から完全には抜けない量に設定されている。これにより、操作部84を押した際に、不用意に面発光モジュール1Bが収容部70が離脱して落下するなどの不具合が回避される。
【0060】
また、器具本体2Bの収容部70の両外側には、収容部70にセットされている面発光モジュール1Bを取り外すに際して、該面発光モジュール1Bを把持するための凹部86が形成されている。よって、収容部70から面発光モジュール1Bを取り外す際には、まず操作部84を押して面発光モジュール1Bの背面を収容部70の底面からを若干浮かせた状態とした後に、凹部86に露出した面発光モジュール1Bの側面を把持して該モジュール1Bを収容部70から引き抜く。