(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホスト装置は、災害情報を受信すると所定の基準に基づいて、該コンピュータシステムとネットワークで接続される複数のATM端末(122a,122b,124a,124b)のうち、前記メッセージの入力が可能な緊急時モードへ切り替えるべきATM端末(122a)を決定し(S200)、該決定されたATM端末と接続されたATMサーバ(112)に、前記決定されたATM端末を前記緊急時モードへ切り替えるように指示し(S202)、
前記ATMサーバ(112)は、前記決定されたATM端末の画面に、前記メッセージの入力を可能にするユーザインタフェースを表示させる(S204)ように構成されることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
前記ホスト装置が、災害情報を受信すると所定の基準に基づいて前記コンピュータシステムとネットワークで接続される複数のATM端末(122a,122b,124a,124b)のうち、前記メッセージの入力が可能な緊急時モードへ切り替えるべきATM端末(122a)を決定するステップ(S200)と、
前記ホスト装置が、前記決定されたATM端末と接続されたATMサーバ(112)に、前記決定されたATM端末を前記緊急時モードへ切り替えるように指示するステップと(S202)、
前記ATMサーバが、前記指示に応答して、前記決定されたATM端末の画面に前記メッセージの入力を可能にするユーザインタフェースを表示させるステップ(S204)と をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態にかかる銀行側の例示的なコンピュータシステムの構成を示す図である。
【0014】
コンピュータシステム100は、該コンピュータシステム全体を制御するホスト装置110を備える。ホスト装置110は、1つまたは複数のATMサーバに接続され、接続されたATMサーバを(加えて、該ATMサーバに属するATM端末を直接または間接的に)制御することができる。
図1では説明のために、ホスト装置110に2つのATMサーバ112,114が接続されているように図示しているが、ホスト装置110に1つのATMサーバのみを接続させること、およびさらなるATMサーバを接続させることも可能である。
【0015】
ATMサーバ112、114はそれぞれ、複数のATM端末とネットワーク接続され、自身に属しているATM端末(それぞれ、ATM端末122aと122b、ATM端末124aと124b)を制御することができる。
【0016】
ホスト装置110、およびATMサーバ112,114は、コンピュータシステム100内のATM情報データベース(DB)130、本人認証DB132、事前登録先DB134、およびメッセージDB136にアクセスすることができ、各DB内から情報を取り出すこと、および/または各DBに情報を格納することができる。
【0017】
ATM情報DB130は、各ATM端末に予め付与されている端末番号を示す端末機番、および各ATM端末が属する支店を示す記帳店番など、各ATM端末に関連する情報を格納するデータベースである。記帳店番に基づいて、各ATM端末が銀行のどの支店に属しているかを特定することができ、端末機番に基づいて、各ATM端末が、記帳店番によって特定された支店が管轄するATM端末のうちのどの端末であるか(すなわち、何号機の端末であるか)を特定することができる。またATM情報DB130には、ATM端末において処理が行われると、該処理が行われた処理日時、および各処理を識別するためにATMサーバによって付与される端末処理番号などの情報がATMサーバ112,114によって格納される。
【0018】
本人認証DB132には、各顧客の口座情報などの顧客情報が格納されている。例えば、顧客が現金を引き出すためにATM端末にキャッシュカードを挿入して暗証番号を入力すると、挿入されたキャッシュカードの情報および暗証番号と本人認証DB132に格納されている情報とに基づいて、該顧客の本人認証を行うことができる。また、本人認証によってATM端末にアクセスした顧客が特定されると、本人認証DB132から該顧客の口座情報を取り出すことができる。
【0019】
事前登録先DB134は、各顧客によって緊急時メッセージの受取人として予め登録された受取人に関する受取人情報が格納される。顧客は、災害にあったときに自身の安否を伝えたい相手を緊急時メッセージの受取人として指定し、該受取人の口座に関連する情報などの受取人情報を予め登録することができる。各顧客と、該顧客によって緊急時メッセージの受取人として指定された受取人の受取人情報とを関連付けて事前登録先DB134に格納しておくことにより、災害などの緊急時における顧客(発信者)から予め登録された受取人への緊急時メッセージの発信を容易にすることができる。受取人情報には、宛先銀行名、宛先支店名、受取人科目、受取人口座番号、および受取人の口座名義などの受取人の口座に関連する情報が含まれる。受取人情報はさらに、受取人の電子メールアドレス情報、携帯電話のメールアドレス情報を含むこともできる。複数の受取人について予め登録することができる。
【0020】
メッセージDB136は、受取人に提示する緊急時メッセージを格納するためのデータベースである。受取人に提示する緊急時メッセージを、緊急時メッセージ本文を含む受信用電文(後述)の形でメッセージDB136内に格納することができる。
【0021】
ホスト装置110は、外部の災害情報提供機関140とネットワーク接続されており、地震や噴火などの災害が発生すると、災害が発生した地域、災害の程度などの災害情報を災害情報提供機関140から受信する。災害情報提供機関140は、例えば、政府などの公的機関、または民間の災害情報を管理・提供する機関などのコンピュータシステムである。
【0022】
ここで、通常の振込処理の流れを簡単に説明する。キャッシュカードによる通常の振込処理では、顧客が振込手続のために、例えばATM端末122aにキャッシュカードを挿入して暗証番号を入力し、振込金額や振込先の情報などを入力すると、ATM端末122aに接続されているATMサーバ112が、入力された情報から振込用の電文を作成して、ホスト装置110に送信する。ホスト装置110は、ATMサーバ112から受信した振込用の電文で指定された依頼人の口座から、該電文で指定された資金の引き落とし(出金)処理を行う。ホスト装置110はまた、受信した振込用の電文を、全銀システムで規定されている共通フォーマットに変換する。全銀システムは、全国銀行協会に設置されているコンピュータシステムであり(図示せず)、異なる銀行間の取引は全銀システムを介して行われる。発信元の銀行(仕向銀行)と受取側の銀行(被仕向銀行)が異なるとき(すなわち、異なる銀行間の取引のとき)、ホスト装置110は、変換済み電文を全銀システムに発信し、該電文は全銀システムを介して被仕向銀行側に送信される。被仕向銀行のコンピュータシステムは、該電文を受信して振込み(入金)処理を行う。仕向銀行と被仕向銀行が同じとき(すなわち、同一銀行内の取引のとき)、ホスト装置110は、電文で指定されている振込先の情報に基づいて振込み(入金)処理を行う。
【0023】
本願発明では、このような振込処理を利用して、被災者から該被災者が自身の安否を知らせたい相手への連絡を可能にする。しかしながら、本願発明は、緊急時連絡用のメッセージの発信を可能にするためのものであり、実際の資金の移動を目的とするものではない。したがって、本願発明では、ホスト装置110は、上述のような勘定処理、すなわち依頼人の口座からの出金処理、および振込先として指定されている受取人の口座への入金処理は行わない。具体的には、本願発明は、災害発生が発生した場合に、被災地にあるATM端末を、緊急時の連絡のためのメッセージの入力を可能にする(以下、「緊急時モード」という)ように切り替えて、被災者が通常の振込手続と同様の(ただし、実際の入出金は必要としない)手続により自身の安否を知らせたい相手に、メッセージを伝えることを可能にするとともに、その被災者がいつどこからそのメッセージを作成したのかも伝えることを可能にする。以下、
図2〜4を参照して、発信者が緊急時メッセージを作成し、受取人が該メッセージを受け取り確認することを可能にする本発明の一実施形態について説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態にしたがって、ATMサーバにおいて緊急時メッセージを含む電文を作成する流れを示すフローチャートである。
【0025】
ステップS200で、災害が発生すると、ホスト装置110は、災害が発生した地域、災害の程度などを含む災害情報を災害情報提供機関140から受信し、該災害情報に基づいて、緊急時モードに切り替えるべきATM端末を決定する。上述のようにATM端末は銀行の各支店と関連付けられており、ATM情報DB130には、各ATM端末が属する支店を示す記帳店番、および各ATM端末の端末番号を示す端末機番などを含む、ATM情報が格納されている。したがって、ホスト装置110は、受信した災害情報に基づいて、所定の基準以上の災害が発生した特定の地域(被災地)に設置されているATM端末を、緊急時モードに切り替えることを決定することができる。例えば、A支店が震度5以上の地震が発生した地域内にあるとき、ATM情報DB130内に含まれる記帳店番および端末機番に基づいて、A支店の1号機であるATM端末122aを緊急時モードに切り替えると決定することができる。どの程度の災害が発生した場合に緊急時モードへの切り替えを行うかは、所定の基準によって決定することができる。
【0026】
ATM端末122aが緊急時モードへの切り替え対象であると決定すると、ホスト装置110は、ステップS202で、該ATM端末122aを制御しているATMサーバ112に、該ATM端末122aを緊急時モードに切り替えるように指示して、該ATMサーバ112に切り替えを実行させることができる。代替的には、ホスト装置110自身が直接、ATM端末122aを緊急時モードに切り替えることもできる。
【0027】
ステップS204で、ATMサーバ112は、ATM端末122aの画面(例えば、初期画面)に、緊急時メッセージを作成するためのボタン(以下、緊急時メッセージ作成ボタンという)を表示させる。該緊急時メッセージ作成ボタンは、当該ATM端末122aが被災地にあるために緊急時モードに切り替わっていること、すなわち当該ATM端末122aにおいて、特定の相手への緊急時メッセージの作成が可能であることを示す。
【0028】
ステップS206で、被災地にいる顧客(発信者)が、緊急時メッセージ作成ボタンが表示された画面を見て、自身のキャッシュカードをATM端末122aに挿入し、暗証番号を入力すると、ATMサーバ112は、挿入されたキャッシュカードの情報と入力された暗証番号、および本人認証DB132に格納されている情報に基づいて、該発信者の本人認証を行う。キャッシュカードは発信者本人が有するものであり、暗証番号も発信者本人のみが知り得る情報である。したがって、本願発明では、緊急時メッセージの作成・送信に際して、キャッシュカードと暗証番号を用いて発信者の本人認証を行うことにより、発信者本人が生存しているということを緊急時メッセージの受取人に暗黙的に示すことができる。さらに、生体認証によって本人認証を行う場合は発信者本人が生存していることを、より確実に示すことができる。例えば、生体認証用のキャッシュカードを用いるとき、本人認証は、発信者によって提示される生体認証情報(手指の静脈パターンの情報など)と、予め登録されている生体認証情報とに基づいて行われるが、静脈パターンなどの生体認証情報は各人によって異なるものであるため、この生体認証によって本人であると特定された場合は、該発信者本人が確実に生存していることを示すことができる。
【0029】
キャッシュカードの情報および暗証番号が、本人認証DB132に格納されている情報と一致し、発信者が本人であると認証されると、ATMサーバ112は、ステップS208で、該発信者の氏名である依頼人名と該発信者の口座情報である依頼人口座情報とを含む発信者情報を、本人認証DB132から取り出す。
【0030】
本人認証後、ステップS210で、ATMサーバ112は、事前登録先DB134から該発信者に関連して予め登録された受取人情報を取り出す。受取人情報は、宛先銀行名、宛先支店名、受取人科目、受取人口座番号、および受取人の口座名義などを含む。
【0031】
ステップS212で、取り出した受取人情報を画面に表示し、発信者が該受取人のいずれか、または全てを選択できるようにする。
【0032】
代替的には、新たな受取人を指定するために受取人情報を追加することもできる。例えば、通常の振込手続と同様に、受取人の口座関連情報(受取銀行名、受取支店名、受取人科目、受取人口座番号、および受取人の口座名義)をATM端末122aの画面から入力することによって、新たな受取人情報を追加し、該受取人への緊急時メッセージを作成し、送信することもできる。しかしながら、災害発生時などの緊急時における入力負荷などを考慮すると(例えば、入力する時間的な負担や、緊急時に受取人の口座情報がわからない等)、新たな受取人情報を入力するよりも、予め登録された受取人情報を選択可能に構成することがより好ましい。
【0033】
次いで、発信者は緊急時メッセージを入力することができる。例えば、発信者が緊急時メッセージ作成ボタンを押下した後、ATMサーバ112は、ATM端末122aに、発信者がメッセージを入力することができるメッセージ作成画面を表示させることができる。あるいは、ATMサーバ112は、ATM端末122aに、発信者が緊急時メッセージ作成ボタンを押下すると画面上にいくつかの選択可能な定型文を表示させ、発信者が該定型文の中からいずれかを選択してメッセージを作成できるようにすることもできる。
【0034】
発信者が受取人情報および緊急時メッセージを選択/入力し、確認ボタンや完了ボタン等の押下によって入力内容を確定させると、ステップS214で、ATMサーバ112は電文を作成する(以下、ATM作成電文という)。
【0035】
ここで、
図5を参照する。
図5は、本発明の一実施形態にしたがって作成されるATM作成電文の一例を示す図である。ATM作成電文には、ATM端末122aに関連するATM情報と、取り出された発信者情報(ステップS208)と、選択または入力された受取人情報(ステップS212)と、選択または入力されたメッセージが含まれる。ATM情報は、ATM情報DB130から取り出された端末機番(例えば、「1号機」を表す「0001」)、および記帳店番(例えば、「A支店」を表す支店コード「0002」)を含む。ATM情報はさらに、ATMサーバ112によって付加される、ATM端末122aにおける処理日時を示す処理年月日および処理時刻を含む。上述のように発信者情報には、発信者である依頼人の依頼人名、および依頼人口座情報(例えば、依頼人口座番号)が含まれ、受取人情報には、受取銀行名、受取支店名、受取人科目、受取人口座番号、および受取人の口座名義が含まれる。
【0036】
ATM作成電文にはさらに、該電文が緊急時のための電文であることを示すフラグを含む。通常の振込処理の場合は、受取人情報の入力とともに振込金額の入力が必要である。通常の振込処理では、入金が目的であるため金額の入力が必須となっており、振込金額を入力しない、または0(ゼロ)円として入力した場合は、ホスト装置110はエラーとする。しかしながら、本願発明では、振込処理の手順を利用するものの実際には資金の入出金処理を行わずに(すなわち、勘定処理を伴わずに)、緊急時連絡用のメッセージの発信を可能にすることを目的とするものである。したがって、本願発明では、ATMサーバ112を、ATM端末122aの緊急時メッセージ作成ボタンが押下されたことをトリガとして、そのATM作成電文が緊急時のための電文であることを示すフラグを付加するように構成する。ホスト装置110は、ATMサーバ112からのATM作成電文に該フラグが付加されているか否かによって、ATM作成電文が緊急時連絡用の電文であるかどうかを判断することができる。これにより、ホスト装置110は、ATM作成電文が緊急時連絡用の電文である場合には、振込金額がブランクまたは0円であってもエラーを発生させることなく、メッセージの発信を可能にすることができる。
【0037】
代替的には、ATM作成電文へのフラグの代わりに、ホスト装置110が、受信したATM作成電文がどのATM端末からのものであるかを判断し、緊急時モードのATM端末からの電文である場合は、振込金額がブランクまたは0円であってもエラーを発生させないように構成することもできる。ステップS200に関連して説明したようにホスト装置110は、緊急時モードに切り替えられているATM端末を認識している。したがって、ホスト装置110は、ATM作成電文内に含まれるATM情報に基づいて、該ATM作成電文がどのATM端末からのものであるかを判断することができる。
【0038】
図2に戻ると、ステップS216で、ATMサーバ112は、作成したATM作成電文をホスト装置110に送信する。
【0039】
次に
図3を参照して、ATM作成電文を受信したホスト装置110が実行する処理を説明する。
図3は、本発明の一実施形態にしたがって、ホスト装置がATM作成電文を送信用電文に変換する流れを示すフローチャートである。
【0040】
ホスト装置110は、ATMサーバ112からのATM作成電文のフォーマットを、全銀システムで規定されている共通フォーマットに変換する。上述のように、異なる銀行間の取引は、各銀行のコンピュータシステムとネットワーク接続される全銀システムを介して行われ、全銀システムでは、異なる銀行間のデータ伝送を可能にするために電文の共通フォーマットが規定されている。したがって、発信側の銀行は、発信する電文を全銀システムにおいて使用される共通フォーマットに変換する必要がある。
【0041】
本実施形態では、同一銀行内における電文の発信、すなわち、発信者の口座のある銀行(仕向銀行)と、該発信者に関連付けられた受取人の口座がある銀行(被仕向銀行)が同一であるときの電文の発信を想定している。したがって、必ずしも共通フォーマットに変換する必要はないが、既存の振込処理を利用して電文の発信を可能にするために、発信する電文を共通フォーマットに変換することが好ましい。本願発明では、ATM作成電文内の情報を読み替えて共通フォーマットの発信用電文に変換することによって、新たな処理機能を追加することなく既存の変換処理を利用して、緊急時メッセージの送信を可能にする。
【0042】
ステップS300で、ホスト装置110が、ATMサーバ112から電文(ATM作成電文)を受信する。
【0043】
ステップS302で、ホスト装置110は、受信した電文が緊急時連絡のための電文であるかどうかを判断する。一実施形態において、ホスト装置110は、受信した電文に、該電文が緊急時連絡用の電文であることを示すフラグが付加されているかどうかを判断する。別の実施形態では、ホスト装置110は、受信した電文の発信元のATM端末を特定し、特定したATM端末が緊急時モードに切り替えられているATM端末かどうかを、受信した電文に含まれるATM情報に基づいて判断することによって、該電文が緊急時連絡のための電文であるかどうかを判断する。
【0044】
受信した電文が緊急時連絡のための電文ではない場合、処理はステップS303に進み、通常の振込処理などが行なわれる。
【0045】
受信した電文が緊急時連絡のための電文である場合、処理はステップS304に進み、ホスト装置110は、ATM作成電文内にATM情報の一部として含まれている処理年月日を振込指定日として発信用電文にセットする。このように発信用電文にセットすることで、該電文に含まれる情報を受取人に提示するとき、ATM端末122aにおける処理年月日、すなわち発信者がATM端末122aにアクセスした日付を提示することが可能になる。
【0046】
ステップS306で、ATM作成電文内にATM情報の一部として含まれる記帳店番および端末機番を、ATM端末122aの設置場所を示す位置情報に変換する。例えば、記帳店番がA支店を表す「0002」であり、端末機番が1号機を表す「0001」であるとき、A支店の1号機で処理が行われたことを示すように「Aシテン 1ゴウキ」に変換する。
【0047】
代替的には、上記のような支店名とATM端末の番号とを示す位置情報の代わりに、ATM端末122aが設置されている住所などを示す位置情報に変換することもできる。例えば、ATM情報DB130内に各ATM端末が設置されている住所情報が格納されているとき、あるいは住所情報が格納されたテーブル(図示せず)を有するとき、ホスト装置110は、ATM端末122aの住所情報を取り出して、ATM端末122aの位置情報とすることもできる。
【0048】
ステップS308で、ホスト装置110は、変換された位置情報とタイムスタンプ情報とを送信用電文にセットする。一実施形態では、タイムスタンプ情報と位置情報とを結合して、発信用電文内の1つの項目に(例えば、仕向店名として)セットすることができる。タイムスタンプ情報は、ATM端末122aにおいて処理が行われた時刻を示す、ATM作成電文内に含まれる処理時刻とすることができる。あるいは、ホスト装置110が保持する時間情報をタイムスタンプ情報としてセットすることもできる。
【0049】
ステップS310で、ATM作成電文に発信者情報として含まれる依頼人名を発信用電文にセットする。代替的には、このとき、ATM作成電文内に含まれる依頼人名と依頼人口座情報とを結合して、依頼人名と依頼人口座情報との両方を1つの項目として発信用電文にセットすることができる。通常の振込処理では、典型的に受取人側には依頼人名のみ通知され、依頼人口座情報は通知されないが、依頼人名と依頼人口座情報とを発信用電文の1つの項目(例えば、「依頼人名」)にセットすることにより、該電文を受信する受取人側は、「依頼人名」として発信者の依頼人名と依頼人口座情報の両方を知ることができる。このようにすることで、例えば、被災した依頼人からの緊急時メッセージを受け取った受取人は、まず、該メッセージで依頼人名として示された発信者の名前を確認することができ、次いで、該メッセージの依頼人口座情報(例えば、依頼人銀行名、支店名、口座番号、預金科目など)に基づいて、その発信者へ資金援助のための振込みを行うことができる。
【0050】
ステップS312で、ホスト装置110は、ATM作成電文内に含まれる緊急時メッセージの本文を発信用電文の適切な項目にセットする。一実施形態では、ATM作成電文内に含まれる緊急時メッセージの本文を、発信用電文のEDI情報にセットする。
【0051】
ステップS314で、ホスト装置110は、ATM作成電文内に含まれる受取人情報に基づいて、発信用電文に受取先の情報をセットする。受取先の情報には、例えば、ATM作成電文内の受取銀行名に対応する被仕向銀行番号および被仕向銀行名、受取支店名に対応する被仕向支店番号および被仕向支店名、受取人科目に対応する預金種類、受取人口座番号に対応する口座番号、ならびに受取人の口座名義など、受取先の口座に関連する情報が含まれる。
【0052】
ステップS316で、ホスト装置110は、発信用電文内の仕向銀行名に、ATM作成電文の発信元のATM端末を設置している銀行(端末設置銀行)の銀行名をセットする。通常の振込処理においては、発信用電文内の仕向銀行名には、振込依頼人の口座がある銀行の銀行名がセットされる。したがって、例えば、依頼人が、自身の口座がある銀行(X銀行)とは異なる銀行(Y銀行)が設置したATM端末から振込依頼をした場合であっても、発信用電文の仕向銀行には、依頼人の口座がある銀行(X銀行)がセットされる。しかしながら、本願発明では、送信用電文の「仕向銀行名」は、依頼人の口座がある銀行を通知するためのものではなく、依頼人(すなわち、発信者)が、どの銀行のATM端末から緊急時メッセージを発信したのかを受取人に通知するために用いる。したがって、ホスト装置110は、発信者が緊急時メッセージを発信した発信元のATM端末の端末設置銀行を、発信用電文内の仕向銀行名にセットする。なお、本実施形態では、ATM作成電文の発信元のATM端末122aは、同銀行によって設置された端末であることが想定されているため、端末設置銀行と発信者の口座がある銀行とは同一である。
【0053】
ステップS318で、ホスト装置110は、ATM作成電文内の情報が各項目にセットされた発信用電文を発信する。なお、本実施形態では、仕向銀行と被仕向銀行が同一銀行の場合を想定しているため、実際には発信されない。
【0054】
ステップS320で、ホスト装置110は、ステップS318で発信された電文(発信されたこととする電文)の一部または全部を、受信用電文としてメッセージDB136に格納する。受信用電文には、振込指定日として処理年月日が、仕向銀行名として端末設置銀行名が、仕向支店名としてATM端末の位置情報(またはタイムスタンプ情報とATM端末の位置情報との組み合わせ)が、依頼人名(または依頼人名として依頼人名と依頼人口座情報との組み合わせ)が、およびEDI情報としてメッセージ本文が含まれている。
【0055】
受信用電文は、通常の振込処理における振込用電文が格納される勘定系DB(図示せず)に格納することもできる。しかしながら、該受信用電文を通常の振込用電文とともに勘定系DBに格納する場合は、例えば、ATM作成電文と同様に、受信用電文に該受信用電文が緊急時連絡用の電文であることを示すフラグを付加するなど、電文が緊急時連絡用であることを識別するための手段を講じる必要がある。したがって、受信用電文を通常の振込用電文の格納先と同じDBにも格納することもできるが、別個のDBに格納する方が好ましい。
【0056】
次に、
図4を参照して、本発明の一実施形態において受取人がメッセージを確認する方法を説明する。
図4は、本発明の一実施形態にしたがって、受取人によってアクセスされたATM端末124aのATMサーバ114が、メッセージDB136から電文を取り出して、該電文に含まれる情報を受取人に提示するための処理を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS400で、受取人がATM端末124aにアクセスすると、該ATM端末124aに接続されたATMサーバ114は、該ATM端末124aにアクセスした受取人を特定する。
【0058】
本発明の一実施形態では、特定の地域に設置されている一部のATM端末(例えば、ATM端末122a)が緊急時モードに切り替えられているとき、全てのATM端末から緊急時メッセージの有無、および緊急時メッセージの内容を確認できるようにすることができる。例えば、ATM端末122aが緊急時モードのとき、ATM端末122a、122b、124a、124bの全ての画面に、緊急時メッセージを確認することが可能なボタン(以下、緊急時メッセージ確認ボタンという)を表示することができる。これにより、ATM端末122a、122b、124a、124bのいずれかの画面を見た人は、緊急時モードに切り替えられているATM端末(例えば、ATM端末122a)が存在すること、および自身に被災地にいる人から緊急時メッセージが届いている可能性があることを認識することができる。例えば、ATM端末124aの画面上の緊急時メッセージ確認ボタンを見た人(受取人)が該ボタンを押下すると、ATM端末124aは、該受取人にキャッシュカードの挿入、またはキャッシュカードの挿入と暗証番号の入力を要求し、挿入されたキャッシュカードの情報、または挿入されたキャッシュカードの情報と入力された暗証番号に基づいて受取人を特定することができる。代替的には、ATMサーバ114は、受取人が、「お預け入れ」ボタンを押下してキャッシュカードを挿入したしたとき、または「お引き出し」ボタンを押下して、キャッシュカードを挿入し暗証番号を入力したときなどに、キャッシュカードの情報や暗証暗号に基づいて受取人を特定することもできる。
【0059】
ステップS402で、ATMサーバ114は、メッセージDB136に、該受取人が受取人として指定された受信用電文が格納されているかどうか判断する。例えば、ATMサーバ114は、キャッシュカードの情報(または、さらに暗証番号)と、メッセージDB136内に格納されている受信用電文内の相手先の情報とに基づいて該受取人宛ての電文が格納されているかどうかを判断する。
【0060】
メッセージDB136に該受取人宛ての電文が存在する場合、ATMサーバ114はステップS404で、該当する受信用電文をメッセージDB136から取り出す。
【0061】
ステップS406で、ATMサーバ114は、取り出された電文に含まれる情報を出力する。例えば、電文に振込指定日として含まれていた処理年月日、仕向銀行名として含まれていた端末設置銀行名、仕向支店名として含まれていたATM端末の位置情報(またはタイムスタンプ情報とATM端末の位置情報との組み合わせ)、依頼人名(または依頼人名として含まれていた依頼人名と依頼人口座情報との組み合わせ)、およびEDI情報として含まれていたメッセージ本文などを出力することができる。ATMサーバ114は、このような情報を受取人がアクセスしたATM端末124aの画面上に緊急時メッセージとして表示することができる。そして、受取人は、該画面を見ることによって発信者が生存していることを確認することができるとともに、該発信者によるメッセージの内容、および発信者が該メッセージをいつどこから発信したのかについても確認することができる。
【0062】
代替または追加として、取り出された電文に含まれる情報を、印字可能な取引明細書などに出力することもできる。
【0063】
さらに、このような情報を、電子メールによって予め登録された受取人に送信することもできる。例えば、事前登録先DB134に受取人の電子メールアドレスが予め登録されているとき、ホスト装置110は、事前登録先DB134から受取人の電子メールアドレス情報を取り出して、メッセージDB内に格納された受信用電文内の情報を緊急時メッセージとしてメールを作成して、該電子メールアドレスに送信することができる。