特許第5679493号(P5679493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679493
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】スマートな介護用排泄物処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/44 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
   A61F5/44 D
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-525116(P2013-525116)
(86)(22)【出願日】2011年1月21日
(65)【公表番号】特表2013-536026(P2013-536026A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】CN2011070457
(87)【国際公開番号】WO2012024907
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2013年3月22日
(31)【優先権主張番号】201010265666.1
(32)【優先日】2010年8月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513043905
【氏名又は名称】杭州億脳智能科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513043916
【氏名又は名称】浙江新豊医療器械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】応 佳 偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 輝
(72)【発明者】
【氏名】胡 杰
【審査官】 岩田 洋一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−142384(JP,A)
【文献】 特開2007−301013(JP,A)
【文献】 特開昭61−268249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集便器(1)と、前記集便器(1)と接続する連結ホース(2)と、前記連結ホース(2)と接続する汚物収納器(3)と、を含み、
前記集便器(1)は装着部(4)と前記装着部(4)に設けられるシリコーンゴムカバー(5)とを備え、前記シリコーンゴムカバー(5)は少なくとも2層の蛇腹層(6)と前記蛇腹層(6)の外側に設けられる皮膚接触層(7)とを含み、隣り合う2層の前記蛇腹層(6)は互いに重なり合い、
前記装着部(4)は、装着前部(41)と装着後部(42)とを備え、前記装着前部(41)と前記シリコーンゴムカバー(5)との間には前記装着前部(41)と人体の内股とが接触する部位に位置する伸縮可能な弾性素材からなる一対の左右対称の支持側壁(8)が設けられていることを特徴とするスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項2】
前記伸縮可能な弾性素材はシリコーンゴムであることを特徴とする請求項に記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項3】
前記装着前部(41)の形状は円弧形で、前記装着前部(41)と前記装着後部(42)とは一体に接続され、人体の下半身に装着される排泄物収集口(43)を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項4】
前記排泄物収集口(43)内には風吹出し口(9)と吐水口(10)とが設けられていることを特徴とする請求項に記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項5】
前記排泄物収集口(43)の内側壁には2本の液体導流溝(44)が対称に設置されていることを特徴とする請求項又はに記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項6】
前記液体導流溝(44)は前記シリコーンカバー(5)が人体の臀部まで延伸し、徐々に積層式に設計された蛇腹構造から単層の皮膚接触面へ変わって形成されることを特徴とする請求項5に記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項7】
前記液体導流溝(44)はストリップ状の凹溝であることを特徴とする請求項5または6に記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項8】
前記集便器(1)内には排泄物を収容する収容部(11)が設けられ、前記収容部(11)の底部には真空吸引口(12)が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項9】
前記蛇腹層(6)と前記皮膚接触層(7)とは一体に接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【請求項10】
前記蛇腹層(6)は伸縮可能な皺の蛇腹構造を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のスマートな介護用排泄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用排泄物処理装置に関し、特に、スマートな介護用排泄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人々の生活水準の向上に伴い、脳心血管等の疾患により自立的に排泄不能な寝たきりの病人が年々増え続け、家庭、社会に対し非常に大きな負担となっている。病人が自立的に排泄不能であるため、看護人の手助けが必要である。また、排泄時間が決まっていないため、病人も辛抱しなければならず、特に精神的な負担となっている。しかし、既存技術には、介護用排泄物処理装置の排泄物収集口が人体の下半身に密着できず、病人の排泄物が横或いは後ろに漏れやすく、後片付けする看護人の負担を増加させているという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術の問題を解消するためになされたものであり、人体の下半身に密着でき、排泄物が横或いは後ろに漏れなく、安心かつ快適に使用できるスマートな介護用排泄物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための本発明に係るスマートな介護用排泄物処理装置は、集便器と、前記集便器と接続する連結ホースと、前記連結ホースと接続する汚物収納器と、を含む。前記集便器は装着部と前記装着部に設けられるシリコーンゴムカバーとを備える。シリコーンゴムカバーは少なくとも2層の蛇腹層と前記蛇腹層の外側に設けられる皮膚接触層とを含む。隣り合う2層の前記蛇腹層は互いに重なり合う。
【0005】
前記集便器は、使用者の下半身に装着され、排泄物を検知する。前記汚物収納器は、排泄物を処理および貯蔵し、前記連結ホースを通じて前記集便器に接続している。これにより、排泄物をスマートに収集、処理する目的を達成し、かつ使用者の排泄部位をケアする。
【0006】
皮膚接触層は、シリコーンゴムカバーの最も外側に位置する表層で、蛇腹層と接続して、外側に向けて平らに広がっている。真空ポンプが運転されると、真空吸引口は空気を吸引し始める。大気圧の作用を受けて、該シリコーンゴムカバーの蛇腹構造の皺部分は広がり、最も外側に位置する表層の皮膚接触層は人体の下半身の皮膚に密着する。これにより、排泄物の外側への漏れを防ぐ。折畳み可能に設計された蛇腹構造は弾性変形のストロークを増加させ、体格の異なる人に装着できる排泄物収集口を提供する。積層式に設計された蛇腹層は、使用者による使用過程において、シリコーンゴムカバーが内巻きすることを防ぎ、装着し易くする。
【0007】
好しくは、前記装着部は、装着前部と装着後部とを備え、前記装着前部と前記シリコーンゴムカバーとの間には伸縮可能な弾性素材からなる支持側壁が設けられている。前記支持側壁は、装着前部と人体の内股とが接触する部位に位置し、前記シリコーンゴムカバーと前記装着前部とに接続し、且つ左右対称となっている。前記支持側壁間の距離は引伸ばされることができ、体格の異なる人の装着に適用できる。
【0008】
好しくは、前記伸縮可能な弾性素材はシリコーンゴムである。
【0009】
好しくは、前記装着前部の形状は円弧形で、前記装着前部と前記装着後部とは一体に接続され、人体の下半身に装着される排泄物収集口を形成する。前記装着前部は使用者の下半身の前部分に装着され、前記装着後部は使用者の臀部に装着される。上記装着前部と装着後部とは一体的に接続され、自然状態においては互いに近寄り、その接続する関節部分は一定強度の引張と押圧に耐えられ、体格の異なる使用者の装着に供される。
【0010】
好しくは、前記排泄物収集口内には風吹出し口と吐水口とが設けられている。
【0011】
好しくは、前記排泄物収集口の内側壁には2本の液体導流溝が対称に設置されている。前記シリコーンゴムカバーは人体の臀部まで延伸し、徐々に積層式に設計された蛇腹構造から単層の皮膚接触面へ変わって前記液体導流溝を形成する。前記導流溝に沿って小便を前記集便器の収容部内に流れ込ませ、小便の外側への漏れを防ぐ。
【0012】
好しくは、前記液体導流溝はストリップ状の凹溝である。
【0013】
好しくは、前記集便器内には排泄物を収容する収容部が設けられ、前記収容部の底部には真空吸引口が設けられている。
【0014】
好しくは、前記蛇腹層と前記皮膚接触層とは一体に接続されている。
【0015】
好しくは、前記蛇腹層は伸縮可能な皺の蛇腹構造を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る介護用排泄物処理装置によれば、排泄物収集口は人体の下半身と密着でき、病人の排泄物が横或いは後ろに漏れない。このため、後片付けする看護人の負担が低減される。操作も非常に簡便であるため、老人又は病院の患者の使用に適しており、高い経済性や実用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る介護用排泄物処理装置の全体の構造を示す図である。
図2】集便器の断面図である。
図3】集便器の斜視図である。
図4図3の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1乃至図4に示すように、スマートな介護用排泄物処理装置は、集便器1と、集便器1と接続する連結ホース2と、連結ホース2と接続する汚物収納器3と、を含む。集便器1は装着部4と装着部4に設けられるシリコーンゴムカバー5とを備える。シリコーンゴムカバー5は少なくとも2層の蛇腹層6と蛇腹層6の外側に設けられる皮膚接触層7とを含む。隣り合う2層の蛇腹層6は互いに重なり合う。蛇腹層6と皮膚接触層7とは一体的に接続されており、蛇腹層6は伸縮可能な皺の蛇腹構造を有する。
【0020】
集便器1は、使用者の下半身に装着され、排泄物を検知する。汚物収納器3は、排泄物を処理および貯蔵し、連結ホース2を通じて集便器1に接続されている。これにより、排泄物をスマートに収集、処理する目的を達成し、かつ使用者の排泄部位をケアする。
【0021】
装着部4は、装着前部41と装着後部42とを備える。装着前部41とシリコーンゴムカバー5との間には伸縮可能な弾性素材からなる支持側壁8が設けられている。伸縮可能な弾性素材はシリコーンゴムである。
【0022】
装着前部41の形状は円弧形で、装着前部41と装着後部42とは一体に接続され、人体の下半身に装着される排泄物収集口43を形成する。
【0023】
排泄物収集口43内には風吹出し口9と吐水口10とが設けられている。
【0024】
排泄物収集口43の内側壁には2本の液体導流溝44が対称に設置されている。液体導流溝44はストリップ状の凹溝である。
【0025】
集便器1内には排泄物を収容する収容部11が設けられ、収容部11の底部には真空吸引口12が設けられている。
【0026】
皮膚接触層7は、シリコーンゴムカバー5の最も外側に位置する表層で、蛇腹層6と接続し、外側に向けて平らに広がっている。真空ポンプが運転されると、真空吸引口12は空気を吸引し始める。大気圧の作用を受けて、該シリコーンゴムカバー5の蛇腹構造の皺部分は広がり、最も外側に位置する表層の皮膚接触層7は人体の下半身の皮膚に密着する。これにより、排泄物の外側への漏れを防ぐ。折畳み可能に設計された蛇腹構造は弾性変形のストロークを増加させ、体格の異なる人に装着できる排泄物収集口43を提供する。積層式に設計された蛇腹層6は、使用者による使用過程において、シリコーンゴムカバー5が内巻きすることを防ぎ、装着し易くする。
【0027】
シリコーンゴムカバー5は人体の臀部まで延伸し、徐々に積層式に設計された蛇腹構造から単層の皮膚接触面へ変わって液体導流溝44を形成する。液体導流溝44に沿って小便を集便器1の収容部11内に流れ込ませ、小便の外側への漏れを防ぐ。
【0028】
支持側壁8は、装着前部41と人体の内股とが接触する部位に位置し、シリコーンゴムカバー5と装着前部41とに接続し、且つ左右対称となっている。支持側壁8間の距離は引伸ばされることができ、体格の異なる人の装着に適用できる。
【0029】
装着前部41は使用者の下半身の前部分に装着され、装着後部42は使用者の臀部に装着される。上記装着前部41と装着後部42とは一体に接続され、自然状態においては互いに近寄り、その接続する関節部分は一定強さの引張と押圧に耐えられ、体格の異なる使用者の装着に供する。
【0030】
本発明に係る介護用排泄物処理装置によれば、排泄物収集口は人体の下半身と密着でき、病人の排泄物が横或いは後ろに漏れない。このため、後片付けする看護人の負担が低減される。操作も非常に簡便であるため、老人又は病院の患者の使用に適しており、高い経済性や実用性を有する。
【0031】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 集便器、
2 連結ホース、
3 汚物収納器、
4 装着部、
5 シリコーンゴムカバー、
6 蛇腹層、
7 皮膚接触層、
8 支持側壁、
9 風吹出し口、
10 吐水口、
11 収容部、
12 真空吸引口、
41 装着前部、
42 装着後部、
43 排泄物収集口、
44 液体導流溝。
図1
図2
図3
図4