【実施例1】
【0010】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至
図3に示すように、ワーク加工装置1の本体(図示せず)には、長手方向(図示する左右方向)がワーク5(
図1に一点鎖線で示す。)の長手方向に応じた長さからなる前後一対の第1及び第2支持フレーム7・9が、図示する前後方向へワーク5の奥行き幅に応じた間隔をおいて平行して設けられる。各第1及び第2支持フレーム7・9には、左右一対の第1及び第2走行体11・13が、長手方向に対して往復移動するように支持される。なお、図中の符号4は、第1及び第2支持フレーム7・9を連結する固定バーである。
【0011】
左右一対の第1及び第2走行体11・13は、対応する第1及び第2支持フレーム7・9に回転可能に支持され、かつ数値制御可能なサーボモータ等の第1及び第2電動モータ15・17に連結された第1及び第2送りねじ(図示せず)に噛合わされ、各第1及び第2電動モータ15・17の駆動に伴って対応する左右一対の第1及び第2走行体11・13は、互いに近づく方向及び遠ざかる方向へ往復移動される。
【0012】
即ち、第1支持フレーム7内には、軸線長さが該第1支持フレーム7の長手方向長さの1/2からなる2本の第1送りねじが第1支持フレーム7の長手方向に対して軸線を一致させて回転可能に支持され、各第1送りねじにそれぞれの第1走行体11のナット部(図示せず)が噛合わされる。そして各第1送りねじに連結された第1電動モータ15を互いに異なる方向へ同期して回転制御することにより各第1走行体11を互いに近づく方向及び遠ざかる方向へ往復移動させる。
【0013】
同様に第2支持フレーム9には、軸線長さが該第2支持フレーム9の長手方向長さの1/2からなる2本の第2送りねじが第2支持フレーム9の長手方向に対して軸線を一致させて回転可能に支持され、各第2送りねじにそれぞれの第2走行体13のナット部(図示せず)が噛合わされる。そして各第2送りねじに連結された第2電動モータ17を互いに異なる方向へ同期して回転制御することにより各第2走行体13を互いに近づく方向及び遠ざかる方向へ往復移動させる。
【0014】
各第1走行体11には、ワーク5の裏面に当接して吸着支持する支持アーム19がそれぞれ固定される。各支持アーム19の上端部には、負圧発生源(図示せず)に接続され、吸着面を上方に向けた吸着部材23がそれぞれ取付けられ、吸着部材23によりセットされたワーク5の裏面を吸着して保持させる。
【0015】
一方、各第2走行体13には、本発明に係り、後述するワーク支持装置25がそれぞれ設けられる。また、本体の後方または側方には、ワーク加工装置1にセットされた車輛用バンパー、車輛用ダッシュパネル等のように長手方向が長尺状で奥行き幅があるワーク5に対して孔開け加工、バリ取り加工、塗装処理等の所望の加工処理を行う産業ロボット等の各種加工機(図示せず)が配置される。
【0016】
なお、上記第2支持フレーム9は、図示する前後方向及び上下方向へ移動可能な構成であってもよい。即ち、本体の図示する前側には、前後方向へ延出する左右一対の前後フレーム(図示せず)を図示する左右方向へ所要の間隔をおいて配置し、各前後フレームに対して前後走行体(図示せず)を図示する前後方向へ移動可能に支持する。各前後走行体のナット部(図示せず)は、それぞれの前後フレームに回転可能に軸支され、数値制御可能サーボモータ等の前後電動モータ(図示せず)に連結された前後送りねじ(図示せず)に噛合わされ、各前後電動モータの駆動に伴って回転する前後送りねじによりそれぞれの前後走行体が前後方向へ移動される。
【0017】
また、各前後走行体には、昇降フレーム(図示せず)がそれぞれ設けられ、各昇降フレームには、昇降体(図示せず)がそれぞれ上下方向へ移動可能に支持され。各昇降体のナット部(図示せず)は、それぞれの昇降フレームに回転可能に軸支され、数値制御可能サーボモータ等の上下電動モータ(図示せず)に連結された上下送りねじ(図示せず)に噛合わされ、各上下電動モータの駆動に伴って回転する上下送りねじによりそれぞれの昇降体が上下方向へ移動される。そして各昇降体には、第2支持フレーム9の長手方向両端部が固定され、前後電動モータ及び上下電動モータの駆動に伴って前後方向及び上下方向へ移動して位置調整される。
【0018】
上記ワーク支持装置25は、第2走行体13に対して取付けアーム27を介して取付けられる。該取付けアーム27は、上下方向に所要間隔をおいた第1及び第2固定板29・31を有し、第1固定板29の中心部には、貫通孔29aが設けられ、該第1固定板29の下面に固定された回動部材としての数値制御可能サーボモータ等の電動モータ34の出力軸34aが上記貫通孔29aを挿通して上方へ突出される。また、上記第1固定板29には、上記貫通孔29aを中心とする少なくとも3分割位置に軸支孔29b(図示の例では、3個とする。)が形成され、各軸支孔29bには、自在軸受33がそれぞれ軸支される。
【0019】
第2固定板31の中央部には、軸支孔31aが上記軸支孔29aと同心状に形成され、該軸支孔31aには、回動盤35が軸受を介して回転可能に軸支される。該回動盤35の中心には、上記電動モータ34の出力軸34aの軸端部が固定され、該電動モータ34の駆動により所要の角度(本例では、40度とするが、該角度に限定されるものではない。)で往復回動される。
【0020】
また、上記回動盤35には、上記軸支孔31aを中心とする少なくとも3分割位置に軸支孔35a(図示の例では、3個とする。)が形成され、各軸支孔35aには、自在軸受37がそれぞれ軸支される。上記各自在軸受33には、支持ロッド39の軸端部が抜け止めされた状態でそれぞれ固定されると共に上記各軸受37には、それぞれの支持ロッド39の上部が軸線方向へ摺動するようにそれぞれ支持される。そして各支持ロッド39の上端部には、負圧発生源に接続され、吸着面を上方に向けた吸着部材41がボールジョイントを介してそれぞれ取付けられる。
【0021】
上記各支持ロッド39は、第1固定板29の各自在軸受33に対して第2固定板31の各自在軸受37が同角度位置に位置するように回動盤35が回動された際に、上端部の吸着部材41が互いに近接し合う縮径側に位置するように揺動される。
【0022】
また、上記各支持ロッド39は、第1固定板29の各自在軸受33に対して第2固定板31の各自在軸受37が上記所要の角度で変位するように回動盤35が回動された際に、上端部の吸着部材41が互いに離間し合う拡径側に位置するように揺動される。
【0023】
次に、上記のように構成されたワーク加工装置1及びワーク支持装置25の作用を説明する。
先ず、ワーク加工装置1によるワークの加工作用を説明すると、第1及び第2電動モータ15・17を駆動制御して各第1及び第2走行体11・12をワーク5の長手方向幅に応じて移動し、それぞれの吸着部材23・41をワーク5下面における所定の支持位置へ位置させる。
【0024】
上記状態にて各吸着部材23・41に対してワーク5を載置した状態で負圧吸引して吸着保持させることにより固定させる。そして上記状態にて固定されたワーク5に対して加工機を駆動制御し、ワーク5に対して所要の加工を行う。
【0025】
上記したワーク5を加工する際に、例えばワーク5が小形で軽量の場合には、吸着部材41によるワーク5の吸着面(吸着幅)を狭くして行う。この場合、電動モータ34を駆動制御して回動盤35を、軸支孔35aが第1固定板29の軸支孔29bに一致する角度になるように回動させる。
【0026】
該動作により軸受部材33に対して下端部が揺動するように支持された各支持ロッド39を、その上部に設けられた各吸着部材41が互いに近接し合う縮径側に位置するように傾動させる。これにより各吸着部材41により想定されるワーク5の吸着面(吸着幅)を縮小させ、該状態にてワーク5の裏面を吸着して保持する。(
図2及び
図4参照)
【0027】
反対に、大形で重量のあるワーク5を加工する際には、吸着部材41によるワークの吸着面(吸着幅)を広くして保持状態を安定化させる必要がある。この場合には、電動モータ34を駆動制御して回動盤35を、軸支孔35aが第1固定板29の軸支孔29bに対して所要の角度で変位した位置へ回動させる。
【0028】
該動作により軸受部材33に対して下端部が揺動するように支持された各支持ロッド39を、その上部に設けられた各吸着部材41が互いに離間し合う拡径側に位置するように傾動させる。これにより各吸着部材41により想定されるワーク5の吸着面(吸着幅)を拡大し、該状態にてワーク5の裏面を吸着して保持する。(
図5及び
図6参照)
【0029】
本実施例は、ワーク5の大きさ、重量等に応じてワーク5に対する吸着面を可変し、安定的に保持させることができる。
【0030】
上記説明は、第2走行体13にワーク支持装置25を取付ける構成としたが、セットされるワーク5の下面側に配置された多関節ロボットのアームにワーク支持装置25を取付け、ワーク5に対する支持個所を最適位置へ変更可能にした構成であってもよい。
【0031】
上記説明は、各支持ロッド39の上部に吸着部材41をそれぞれ取付け、ワーク5の裏面を吸着して支持保持する構成としたが、本発明は、各支持ロッド39の上端面にてワーク5の裏面に当接して支持する構成としてもよい。また、各支持ロッド39の上端部にエアーシリンダ、電動モータ等の作動部材により開閉する爪を有したハンド(グリッパ)によりワーク5の裏面に予め設けられた被把持部を把持して支持する構成としてもよい。更に、各支持ロッド39の上端部を縮径してワーク5の裏面に予め設けられた被把持部を直接把持して支持する構成としてもよい。
【0032】
第1及び第2支持フレーム7・9における第1及び第2走行体11・13の移動機構として電動モータに連結された送りねじとしたが、移動機構としては、第1及び第2支持フレームの長手方向両端部に歯付きプーリ等の回転体をそれぞれ回転可能に軸支すると共に一方端部の回転体に電動モータを連結する。そして両端部の回転体に歯付きベルト等の走行帯を掛渡すと共に上側走行帯に一方側の走行体を、また下側走行帯に他方側の走行体を取付け、電動モータの駆動に伴って走行帯を一定方向へ走行させることにより支持フレームに対して各走行体を、互いに近づく方向及び離間する方向へ移動させる構成であってもよい。
【0033】
また、本例にあっては、支持ロッド39が拡径側へ傾動した際には、縮径側へ傾動した場合に比べて吸着部材41における吸着面の高さが若干下がるため、上記したように取付けアーム27自体を高さ調整可能な構成とするか、取付けアーム27に対してワーク支持装置25を高さ調節可能に取付ける構成とする。具体的には、取付けアーム27の先端部に正面コ字形の上下フレームを取付け、該上下フレームに対して上下方向に軸線を有し、一端部に電動モータが連結された送りねじを回転可能に軸支し、該送りねじにワーク支持装置25に設けられたナット部材を噛合わせ、電動モータの駆動により回転する送りねじによりワーク支持装置25を上下方向へ位置調整可能にする。