【実施例】
【0010】
近年、竹林の拡大繁殖が話題になっている。特に静岡県においては竹林面積が1998年には3860haだったが、2000年には5180haとなり、拡大の一途を辿っていると言われている。
【0011】
竹林はかつて竹の子や竹材を生産するために維持、管理されてきたが、いわゆるプラスチックの登場により竹材の利用は激減した。しかも近年では、竹の子も安価な中国産が大量に入荷するようになり、生産も減少している。その結果、竹林が放置され、周辺の森林や農地にその勢力を拡大している。
【0012】
竹は毎年、地下茎を伸ばして竹の子を出す。この竹の子はわずか3ヶ月ほどで10mから20mの竹に成長する。
竹林の地上に生育する植物は日が当たらず、生育空間がなくなり枯れてしまう。
【0013】
竹林は、竹の子や竹材の生産に利用されている間は、毎年刈り取られるため本数が調整されているが、放置されれば人も入れぬ藪状態となり、竹林の外に地下茎を伸ばして広がっていく。
【0014】
ある研究によれば、竹林の拡大速度は年間約2乃至3mで、場所によっては年間6mを超えるスピードで広がっているところも見られる。
【0015】
竹林は過去雑木林や田畑と一体となって美しい里山の景観を作っていたが、竹林が拡大し一面が竹林になってしまい景観が見るも無残な姿になってきた。竹林は背が高く密生するため、竹林の中では光や空間が不足し、他の植物が育たない。そのため、そこに生息する動物の数も減ってしまう。杉、桧などの人工林は孟宗竹が侵入するとその勢いに負けて枯れてしまう。果樹園や茶畑、野菜畑にも地下茎が伸びて、放っておくと竹林に変わってしまう。
【0016】
竹は最大50cmまでの深さで根を張るため、他の樹木に比べて比較的根を張る深さは浅く地盤の強度を保持しにくく、ひとたび降雨災害等にあった場合土砂崩壊を起こす可能性が高い。放置竹林がこのまま拡大すれば里山の崩壊に繋がるばかりでなく、動植物の生態系に大きな影響を与え、災害による被害が広範囲に広がる恐れがあることから、竹材の利用が急務となっている。
【0017】
一部に竹細工や竹炭焼きを行い楽しみながら里山の保全に取り組む団体もあるが、竹林の拡大に追いついていけないのが現状である。また、竹林のほとんどが私有地であり地主の意識改革がなければ成否はほとんど困難である。
竹材の価値が上がり労働の対価が得られれば、地主は必ず竹林の整備を行うことは明白である。竹材の利用を考える上で最も大事なことは大量に使用できる方法を考えることである。
【0018】
また、竹を使用する場合には、竹の一部だけでなく、一本全てを使い切るのが望ましく、一本全てを使い切る場合に、先端側の径が細い部分、基端側の径の太い部分に分け、これらを繋げるなどして太さに応じた竹の利用方法の案出が検討されている。
【0019】
本実施例は、竹の一部だけでなく、一本全てを使い切るもので、また太さに応じた竹の利用方法を案出した例でもある。
【0020】
図1は、上下方向に向かい傾斜し、かつ左右側の側面幅が異なる斜面状法面1に簡易法枠2を形成する簡易法枠形成方法を説明した説明図であり、まず、上下方向に向けて傾斜する斜面状法面1に複数枚の植生用
シート3を前記傾斜状法面全面にほぼいきわたるよう敷設する。
【0021】
ここで、本実施例の斜面状法面1は、
図1から理解されるように、左右の側面幅が異なっており、
図1に向かって左側の側面幅は右側の側面幅より長く形成されている。また、傾斜面の角度も左右では異なって降り、向かって左側の傾斜は比較的急斜面に、向かって右側の傾斜は比較的緩やかに形成されている。
【0022】
なお、この法面ほぼ全体部分に植生シート3を敷設するに際し、1枚の植生シート3でカバーできる場合には、複数枚を敷設しなくともよい。
【0023】
ここで、前記植生シート3の敷設については、ただ敷くだけでよく、斜面状法面1に留め具などを用いて単に止着しておけばよい。
【0024】
また、植生シート3が前記斜面状法面1に敷設されていない場合であってもかまわない。
【0025】
次に、敷設した植生
シート3上に前記斜面状法面1の上下方向へ向けて、該斜面状法面1の上下端面部近傍まで延出出来る様、当該長さにあう長さのものを選択し、あるいは繋いで前記の長さに調整したものを利用し、かつ左右方向へは一定の間隔をあけ、複数本の縦格子用竹材4・・・・を配置する。
【0026】
次いで、前記設置した複数本の縦格子用竹材4・・・・の上方向端部及び下方向端部の上部に、前記斜面状法面1の左右方向へ延出するよう横格子用竹材5、5を配置していく。
【0027】
この際、
図3などから理解されるように、縦格子用竹材4と横格子用竹材5との交差部10がなるべく面一となるように接続することが好ましい。また、交差部10がむやみにガタつかず、動かないよう交差させ、嵌め合わせて接続することが好ましい。
【0028】
そのため、本実施例では、縦格子用竹材4及び横格子用竹材5の双方の対向面側を各々交差する相手側竹材の幅の長さ分について断面略半円柱状に切り欠き、各々断面略半円柱状切り欠き部6、6を形成した(
図4参照)。
【0029】
そして、これら各々の略円柱状切り欠き部6、6を交差させながら嵌め合わせて接続するものとした。
【0030】
なお、本実施例では1本の縦格子用竹材4と1本の横格子用竹材5とを交差部10で交差させ、嵌め合わせているが、少なくとも2本以上の縦格子用竹材4、4と少なくとも2本以上の横格子用竹材5、5とを交差部10で交差させ、これらを一気に嵌め合わせて接続してもかまわない。この様な構成とすれば、より強固な簡易法枠が形成できるものとなる。
【0031】
さらに、前記交差部10につき、上側に位置する横格子用竹材
5の上面から縦格子用竹材
4側に向かい、切削孔用ドリルなどで挿通孔7を穿設すると共に、該挿通孔7から例えば金属部材などで構成された止着部材8を差し込み、さらに、前記斜面状法面1の地中内に打ち込み、前記止着部材8の先端に設けられた略下向きフック状をなす止着フック部9により横格子用竹材5の表面を押圧して、縦格子用竹材4及び横格子用竹材5の双方を斜面状法面1に止着するものとしてある。
【0032】
なお、この止着部材8を前記した竹材により構成することにより、本実施例の法枠形成につき、さらにコストを安価にでき、また地球に優しい、いわゆるエコ法枠を形成、提供することも出来る。
【0033】
なお、前記止着部材8の斜面状法面1の地中内への打ち込み深さであるが、この深さについてはなんら限定されないが、安定的に縦格子用竹材4と横格子用竹材5との枠組みが固定できるよう所定の打ち込み深さをもって打ち込むことが必要である。具体的には地上から60cm程度の打ち込み深さが必要と思われる。
【0034】
次に、
図2から理解されるように、前記止着部材8・・・・が打ち込まれた交差部10と次の交差部10間における横格子用竹材5の長手方向には、所定の間隔をあけて複数のアンカー部材11・・・・が打ち込まれ、このアンカー部材11の頭部側に設けられた逆U字状をなす止着フック部12で横格子用竹材5の上面側を押さえつけるものとし、横格子用竹材5の跳ね上がりを防止するものとしている。なお、本実施例では前記アンカー部材11は、前記交差部10、10間における横格子用竹材4の長手方向において間隔をあけて2カ所に打ち込んである。
【0035】
ところで、このアンカー部材11についても竹材で構成すれば、さらにコストを安価にでき、より一層地球に優しいエコ法枠を形成することが出来る。
【0036】
次に、
図1に示す様に、本実施例では斜面状法面1の上下端部に配置した横格子用竹材5、5の間に所定の間隔をあけて、組子格子状となるよう、複数本の横格子用竹材5・・・・を配置し、これらを複数本の縦格子用竹材4・・・・と交差させて接続してある。
【0037】
この場合も、前記の
交差部10の構成と同様に、縦格子用竹材4及び横格子用竹材5の双方の対向面側を各々交差する相手側竹材の幅の長さ分だけ、断面略半円柱状に切り欠き、各々断面略半円柱状切り欠き部6、6を形成する。
【0038】
そして、これら各々の略円柱状切り欠き部6、6を交差させながら嵌め合わせて接続していくのである。
【0039】
なお、
図1から理解されるように、ここで形成される交差部10は、必ずしも直角には交差しない。斜めに交差して交差部10が構成される場合もある。そのため、前記各々の略円柱状切り欠き部6、6も、前記斜めに交差する状態に合わせて、いわゆる菱形状の略円柱状切り欠き部6、6として形成されるものとなる。これにより、斜めに交差する交差部10であっても、がたつきがなく、強固に嵌め合った交差部10が構成できる。ひいては、全体として強固に連結された組子格子状の法枠形成が出来る。
【0040】
さらに前記のように、交差部10につき、上側に位置する横格子用竹材5の上面から縦格子用竹材4側に向かい、切削孔用ドリルなどで挿通孔7を穿設すると共に、該挿通孔7から例えば金属部材などで構成された止着部材8を差し込んで前記斜面状法面1の地中内に打ち込み、前記止着部材8の先端に設けられた略下向きフック状をなす止着フック部9により横格子用竹材5の上面を押えつけて、縦格子用竹材4及び横格子用竹材5の双方を斜面状法面1に止着するのである。
【0041】
ところで、
図1から理解されるように、特に横格子用竹材
5については、斜面状法面1の左右方向両端部まで延出しているきわめて長い竹材としなければならない。
【0042】
そこで、この横格子用竹材5、あるいは縦格子用竹材4については、竹の一部だけでなく、一本全てを使い切るべく工夫することが重要である。よって、竹材の切り出しに際しては、竹材の根元から1本すべてを切り出し,これを所定の長さにカットし、これから太さの異なる円筒状の竹材を複数本作りだして、この太さのことなる竹材を用意しておく。そして、経の大きい竹材の端部中空部に、経の小さい竹材を差し込み、これを繋げて長い横格子用竹材5や縦格子用竹材4を形成するのである。
【0043】
換言すれば、なるべく直線状のものを選択して所定の長さに切断する。曲がった竹材についてはなるべく直線状の竹材とすべく、細かく切断してかまわない。そして、この切断した竹材の両端部側において、端部近傍にある節をくり抜いて、両端部側が略円筒パイプ状となる竹材とし、大径の端部中空部には長さ方向に延出して長い竹材となるよう、経の小さい竹材の端部を差し込むのである。これにより簡単に直線状をなす、そして長尺の格子用竹材を取得することが出来るものとなる。
【0044】
そして、これらでの法枠であれば、外観は竹材として現れ、またほとんどが環境に優しい竹材で形成しているため、自然にマッチした安らぎの法枠が提供できる。
【0045】
なお、格子枠内に各種の草木等植物を植栽することで、植物の緑により美しい景観を作り出せると共に、法面の崩落防止を図ることができる。