特許第5679609号(P5679609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679609
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】超音波を使用した解剖学的モデルの改良
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20150212BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20150212BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALN20150212BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALN20150212BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALN20150212BHJP
【FI】
   A61B8/12
   A61B8/14
   !A61B5/04 300J
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-541984(P2013-541984)
(86)(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公表番号】特表2013-544176(P2013-544176A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】US2011051443
(87)【国際公開番号】WO2012091763
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2013年6月4日
(31)【優先権主張番号】12/979,170
(32)【優先日】2010年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506257180
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】デノ ディー. カーティス
(72)【発明者】
【氏名】グラス マーティン エム.
(72)【発明者】
【氏名】エーケン ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フィーニ− ダニエル エー.
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−183398(JP,A)
【文献】 特開2008−136850(JP,A)
【文献】 特開2008−302220(JP,A)
【文献】 特開2001−061789(JP,A)
【文献】 特表2010−514486(JP,A)
【文献】 特開2004−000454(JP,A)
【文献】 特開2007−268259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的三次元モデルを改良する方法であって、
プロセッサが、可変強度を有する二次元心エコー図を複数のマッピングポイントに関連付けるステップであって、前記マッピングポイントは三次元モデル空間に存在し、前記複数のマッピングポイントのセットは、前記三次元モデル空間内に解剖学的三次元モデルを定義するステップと、
前記プロセッサが、マッピングポイントの信頼値を特定するステップであって、前記信頼値は、前記二次元心エコー図上のポイントでの超音波反射率の強度勾配に対応するステップと、
前記プロセッサが、信頼値を閾値と比較するステップと、
前記プロセッサが、信頼値が閾値を超える場合、閾値を超える信頼値に対応する視覚的属性でマッピングポイントを表示し、信頼値が閾値を超えない場合、マッピングポイントが前記解剖学的三次元モデルから除外されるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記視覚的属性は、ある範囲の信頼値に対応するスペクトルから選択される色である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記視覚的属性は、ある範囲の信頼値を表すシンボルである、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記二次元心エコー図は、カテーテルの遠位部分に関連付けられた超音波トランスデューサから取得される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記二次元心エコー図を複数のマッピングポイントに関連付けるステップは、
前記超音波トランスデューサの位置及び向きの指標を受信することと、
前記超音波トランスデューサの前記位置及び前記向きを使用して、前記二次元心エコー図を前記三次元モデル空間内に配置することと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記超音波トランスデューサの前記位置及び前記向きの前記指標は、前記カテーテルの前記遠位端部に関連付けられたセンサから受信される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記二次元心エコー図の表現を前記三次元モデル空間内に表示するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記二次元心エコー図を複数のマッピングポイントに関連付けるステップは、
前記二次元心エコー図の平面に一致する境界情報を前記解剖学的三次元モデルから抽出することと、
前記抽出された境界情報を前記二次元心エコー図の表現に重ねることと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記二次元心エコー図を複数のマッピングポイントに関連付けるステップは、三次元心エコー図強度モデルを前記三次元モデル空間内に生成することをさらに含む、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記三次元心エコー図強度モデルは複数のボクセルを含み、各ボクセルは、取得された1つ又は複数の二次元心エコー図の部分の強度に関連する強度を有する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記三次元心エコー図強度モデルは、連続して取得される二次元心エコー図に関して更新される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記更新は、ベイズ推論アルゴリズムに従って行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
解剖学的三次元モデルの正確性を評価するシステムであって、
三次元モデル空間に存在する複数のマッピングポイントを内部に記憶したデータベースと、
可変強度を有する二次元心エコー図を取得するように構成された超音波エコー撮像システムと、
前記二次元心エコー図の位置及び向きを特定するように構成された位置感知システムと、
前記二次元心エコー図を前記複数のマッピングポイントに関連付けるように構成されるとともに、マッピングポイントの信頼値を特定すると共に信頼値に対応する1つ又は複数の視覚的属性を表示するために出力するようにさらに構成されるプロセッサであって、前記信頼値は、前記二次元心エコー図でのポイントの超音波反射率の強度勾配に対応し、前記マッピングポイントのセットは解剖学的三次元モデルを定義するプロセッサと、
を備え
前記プロセッサが、信頼値を閾値と比較し、信頼値が閾値を超える場合、閾値を超える信頼値に対応する視覚的属性でマッピングポイントを表示し、信頼値が閾値を超えない場合、マッピングポイントが前記解剖学的三次元モデルから除外されるシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記二次元心エコー図の表現及び1つ又は複数のマッピングポイントを含む補強エコー画像を表示するようにさらに構成され、前記表示される1つ又は複数のマッピングポイントのそれぞれは、各信頼値に対応する視覚的属性を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記二次元心エコー図を前記複数のマッピングポイントに関連付けることは、前記二次元心エコー図から三次元超音波モデルを生成することを含む、請求項13または14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2010年12月27日に出願された米国特許出願第12/979,170号明細書に対する優先権及びその利益を主張し、これは本明細書に全て記載されたものとして本明細書によって参照により援用される。
【0002】
本開示は、超音波を使用して解剖学的モデルを改良する装置及び方法を含むカテーテル装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
電子生理学的(EP)カテーテルが、増え続ける処置に関連して使用されている。そのようなカテーテルは、例えば、診断、治療、マッピング、及びアブレーション処置で使用されてきた。カテーテルは一般に、患者の血管を通して意図される部位、例えば、患者の心臓内の部位まで操作され、感知、マッピング、アブレーション、又は診断手順に使用される1つ又は複数の超音波トランスデューサ、位置センサ、又は電極を担持し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
解剖学的モデルを改良する方法は、可変強度を有する二次元心エコー図を取得するステップと、二次元心エコー図を三次元モデル空間に存在する複数のマッピングポイントに関連付けるステップと、及びマッピングポイントの信頼値を特定するステップであって、信頼値は二次元心エコー図上のポイントでの強度に対応するステップとを含む。
【0005】
二次元心エコー図は、カテーテルの遠位部分に関連付けられた超音波トランスデューサから取得してもよく、超音波トランスデューサの感知された位置及び向きを使用して、複数のマッピングポイントに関連付けてもよい。一実施形態では、トランスデューサの位置及び向きは、カテーテルの遠位端部に関連付けられたセンサから特定し得る。
【0006】
一実施形態では、各マッピングポイントは、そのポイントの特定された信頼値に対応する視覚的属性を有するマーカーを使用して表示装置に表示し得る。視覚的属性は、ある範囲の信頼値に対応するスペクトルから選択される色、ある範囲の信頼値を表すシンボル、又は他の何らかの同様のインジケータであり得る。
【0007】
一実施形態では、複数のマッピングポイントは、三次元モデルを三次元モデル空間内に定義し得る。システムは、モデルの部分ではないマッピングポイントの信頼値を閾値と比較し、ポイントの信頼値が閾値を超える場合、そのポイントをモデルに含めるように構成し得る。
【0008】
一実施形態では、システムは、二次元心エコー図を使用して、三次元心エコー図強度モデルを三次元モデル空間内に生成し得る。三次元心エコー図強度モデルは複数のボクセルを含んでもよく、各ボクセルは、取得された1つ又は複数の二次元心エコー図の部分の強度に関連する強度値を有し得る。三次元心エコー図強度モデルは、連続して取得される二次元心エコー図情報を含むように更新し得る。一実施形態では、更新は、ベイズ推論アルゴリズムに従って行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】カテーテルを備える心臓組織の概略図である。
図2】超音波を使用して解剖学的モデルを改良するシステムを示す概略機能図である。
図3図2に示されるようなプロセッサに関連付けられた特徴のさらなる機能表現である。
図4】超音波を発するカテーテルの図である。
図5a】フェーズドアレイカテーテルの表現を含む容積心臓モデルの概略図である。
図5b】フェーズドアレイ超音波画像を含むとともに、境界情報を含む補強エコー画像の概略図である。
図6】カテーテルの長軸の周囲を掃引する超音波を概して示す、図4に示されるようなカテーテルの図である。
図7】被験者の心臓組織の心腔のボクセルモデルの図である。
図8】マッピングポイントクラウドの二次元サブセットである。
図9】超音波画像に略重ねられた図8のマッピングポイントを示す。
図10a】モデル境界情報が概して含まれる図9の図である。
図10b】超音波画像が除去された図10aの図である。
図11】ボクセルに基づく超音波モデルに鑑みて三次元空間内で調整されたスキニングモデルの全体図である。
図12a】解剖学的リズムの第1の位相に合わせられた超音波画像及びオーバーレイマッピングポイントクラウドの全体図である。
図12b】解剖学的リズムの第2の位相に合わせられた超音波画像及びオーバーレイマッピングポイントクラウドの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
同様の参照符号が様々な図の同様又は同一の構成要素の識別に使用される図面を参照すると、図1は全体として、心臓組織12の部分内に位置決めされたカテーテル10を示す。図1に全体として示されるように、カテーテル10は、例えば、心臓組織12の右心房14内に位置決めし得る。一実施形態では、カテーテル10は、超音波トランスデューサ16等の1つ又は複数の超音波トランスデューサを含み得る心臓内エコー(ICE)カテーテルであり得る。カテーテル10は、1つ又は複数の位置検出器18、20、22をさらに含み得、位置検出器は、カテーテル10の遠位端部に向けて配置し得、カテーテル10の部分の位置及び向きの両方を示す信号を提供するように構成し得る。
【0011】
一実施形態では、位置検出器18、20、22は、被験者の体内で伝達される電場に応答するように構成された電極(例えば、リング型、又はスポット型、又は部分的にマスキングされた電極)を含み得る。そのような電極を使用して、特定の位置でのインピーダンスを感知し、代表的な信号を外部コンピュータ又はプロセッサに送信し得る。インピーダンスに基づく位置検出システムの例は、ミネソタ州セント・ポール(St.Paul)に所在のSt.Jude Medical,Inc.により市販されているEnSite NavX(商標)であり、「Method And Apparatus For Catheter Navigation And Location And Mapping In The Heart」という名称の米国特許第7,263,397号明細書に記載されており、この特許を参照により本明細書に援用する。
【0012】
一実施形態では、位置電極18、20、22は、カテーテル10上又は内に配置された金属コイルを備えることができ、被験者の体を通して伝達される磁場に応答するように構成し得る。そのようなコイルは、例えば、特定の位置での場の強度を感知し、代表的な信号を外部コンピュータ又はプロセッサに送信し得る。磁気に基づく位置検出システムの例は、イスラエルのハリファ(Haifa)に所在のMediGuide Inc.事業部門を通してSt.Jude Medical,Inc.により開発されたナビゲーション用のMedical Positioning System(gMPS)であり、「Medical Imaging and Navigation System」という名称の米国特許第7,386,339号明細書に概して示され説明されており、この特許を参照により本明細書に援用する。
【0013】
超音波トランスデューサ16は、超音波信号を隣接する組織及び/又は流体を通して外側に向けて発するように構成し得、さらに、そのような組織又は流体から超音波エコーを受信し得る。一実施形態では、超音波トランスデューサ16は、単方向フェーズドアレイ超音波トランスデューサを含み得る。そのようなトランスデューサは、超音波エネルギーをカテーテルの片側から、カテーテルの長軸に概して位置合わせされた二次元平面において発するように構成し得る。別の実施形態では、超音波トランスデューサ16は、超音波エネルギーをカテーテルから半径方向外側に発するように構成された半径方向走査型超音波トランスデューサであり得、カテーテルの円周の周りを回転するようにさらに構成し得る(例えば、360度を通して)。
【0014】
システムは、プロセッサ24及び表示装置26をさらに含み得る。プロセッサは、特に、カテーテルの遠位端部分に関連付けられた1つ又は複数の位置センサ(例えば、位置センサ18、20、22)から位置信号及び/又は向き信号を受信するように構成し得、1つ又は複数の超音波トランスデューサ(例えば、超音波トランスデューサ16)から超音波情報を受信し得、心臓組織の三次元容積モデルを含み、且つ/又は保持し得、様々な表示を表示装置26に提供し得る。
【0015】
図2は、解剖学的モデルを改良するシステムの概略図を全体的に示す。示されるように、システムは、超音波を発し、超音波情報40を受信することが可能なICEカテーテル等のカテーテル10を含み得る。超音波情報40は、例えば、フェーズドアレイ超音波トランスデューサ又は半径方向走査型超音波トランスデューサを使用して送受信し得る。カテーテル10の遠位部分は、外部信号を受信するように構成された1つ又は複数の位置センサ42をさらに含み得、外部信号から位置及び向きを導出し得る。1つ又は複数の位置センサは、例えば、EnSite NavX(商標)システムで用いられるもの等の、外部生成された電場を監視するように構成された電極を含んでもよく、又はMedical Positioning System(gMPS)で用いられるもの等の、外部生成された磁場を監視するように構成された磁気応答コイルを含んでもよい。
【0016】
一実施形態では、カテーテル10は、超音波情報40を2Dエコー撮像システム44に提供し得る。エコー撮像システム44は、受信した超音波情報を超音波画像46に変換し得、超音波画像46はモニタ48に表示し得る。
【0017】
カテーテル10は、1つ又は複数の位置センサ42のそれぞれからの信号を位置感知システム50にさらに提供し得る。信号から、位置感知システム50は、カテーテル10の遠位部分の位置及び向きを導出し得る。位置及び向きは、センサの数及びタイプ及び利用されるシステムのタイプに応じて、最高で自由度6を有することができる。一実施形態では、導出された3D位置及び向きはプロセッサ52に提供し、マッピングポイントとして記録し得、又は超音波情報46若しくはトランスデューサを三次元空間内に確立若しくは配置するために使用し得る。
【0018】
プロセッサ52は、マッピングポイントの集まりをマッピングポイントデータベース100内に保持し得る。一実施形態では、マッピングポイントデータベース100内の各マッピングポイント(P)は、三次元(例えば、デカルト空間)内に物理的に定義し得る。マッピングポイントは、例えば、式1に示されるような配列で表すことができ、式中、(x,y,z)は三次元でのポイントの位置を表す。さらに、各マッピングポイントは、特定の位置においてカテーテル10により取得される感知情報を表す1つ又は複数の追加のパラメータ(例えば、(C,C,・・・,C))を含み得る。
P=[x,y,z,C,C,・・・,C] 式1
【0019】
一実施形態では、各マッピングポイントは、位置感知システム50により記録された、カテーテル10の前の位置を表し得る。しかし、別の実施形態では、マッピングポイントを外部ソースからデータベースにインポートし得、且つ/又はシステムにより自動的に生成し得る。マッピングポイントのこの集まり(すなわち、「ポイントクラウド」)は、被験者の実際の心臓組織12の三次元解剖学的モデル54の基礎を提供し得る。
【0020】
一実施形態では、三次元解剖学的モデル54は、被験者の心臓組織を表す可能性が高いデータベース100内のポイント102のセットを識別又はスキニングすることにより、ポイントクラウドから構築し得る。簡易化された例示的な実施形態では、膜は、ポイントクラウドの最外ポイントに概して重なるか又は最外ポイントを表す、複数のシェル型要素から構築し得る。そのようなモデルを作成する他の高度な技法が、「Chamber Mapping System」という名称の米国特許第7,670,297号明細書、「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Heart」という名称の米国特許第7,263,397号明細書、及び「System and Method for Correction of Inhomogeneous Fields」という名称の米国特許公開第2008−0221643号明細書(出願第11/715,919号明細書)に教示され、これらはすべて参照により本明細書に援用される。シェルモデルがマッピングポイントの集まり100から構築されると、プロセッサ52は、モデル54の表現をモデルディスプレイ56に表示し得る。
【0021】
図2にさらに示されるように、プロセッサ52は、超音波エコー画像46の表現を受信し、その表現をマッピングポイントの集まりに関連付けるように構成された超音波モジュール104を含み得る。プロセッサ52は、各マッピングポイントの「信頼性」又は「信用性」の相対的測定を特定し得る信頼性モジュール106を含むこともできる。一実施形態では、信頼性の測定は、超音波画像により提供される裏付け情報の量に基づいてもよく、記録されたマッピングポイントが組織境界上にあるか否かの確実性の測定を提供するために使用し得る。さらに、プロセッサ52は操作モジュール108を含んでもよく、操作モジュール108は、信頼性の測定に基づいて、表示されたマッピングポイントの視覚的属性を変更してもよく、且つ/又は特定の最小信頼測定を有するマッピングポイントのみを含むように、シェル化モデルを自動的に操作してもよい。本説明の目的上、各機能「モジュール」は、その他のモジュールとは別個に示されているが、これは、特定のソフトウェア構成又は編成を反映又は必要とするように解釈されるべきではない。さらに、実施の際に様々なモジュール間に重複又は従属性があり得ることが意図される。各モジュールについてさらに詳細に後述する。
【0022】
図3は、図2に概略的に示されるプロセッサ52等のプロセッサの実施形態の様々なモジュールのさらに精緻化された線図である。示されるように、超音波モジュール104及び操作モジュール106のそれぞれは、1つ又は複数のサブモジュール又はサブ機能を含み得る。一実施形態では、超音波モジュール104は、二次元超音波情報40を3Dモデル空間内に配置するように構成された超音波ロケータサブモジュール120を含み得る。
【0023】
図4に概略的に示されるように、超音波ロケータモジュール120は、位置センサ(例えば、センサ18、20、22)と及び超音波スプレッド150との間の物理的な関係に関する知識と共に、カテーテル(V)の位置及び向き(位置決めシステム50により提供される)を使用して、超音波150を三次元モデル空間に配置し得る。二次元超音波情報150がモデル空間内に配置された後、プロセッサ52は、図5aに全体的に示されるように、二次元超音波情報150を三次元解剖学的モデル54及び関連付けられた任意のマッピングポイントと共に表示し得る。
【0024】
再び図3を参照すると、超音波モジュール104は、超音波情報150の感知された位置及び向きを使用して、2D超音波平面の所与の許容差内にある三次元解剖学的モデル54からの特徴を抽出する特徴抽出サブモジュール122をさらに含み得る。この概念は一般に、図5a及び図5bを概して参照して説明される。
【0025】
抽出サブモジュール122は一般に、3Dモデル空間内に存在する2Dモデルスライス平面を定義することができ、超音波情報150を含む。このスライス平面は、特徴をモデルから抽出するための切断面として使用し得る。一実施形態では、モデルスライス平面と心臓モデル54との交点は、境界線セットを生成し得、境界線セットは、平面内の心臓組織の壁を表す。図5bに概略的に示されるように、抽出されると、境界情報152を超音波情報154の独立した視覚化に重ねて、補強エコー画像156を作成し得る。同様に、モデルスライス平面の所与の許容差内に存在するマッピングポイントを抽出し得、必要に応じ、補強エコー画像154内に表示し得る。
【0026】
図5a及び図5bに示される例示的な図では、補強エコー画像156は、図5aに示される構造162に対応する第1の境界マーカー160を含み得る。同様に、第2の境界マーカー164は構造166に対応し得、第3の境界マーカー168は構造170に対応し得る。
【0027】
超音波モジュール104は、超音波情報150の視覚化を分析し、複数のピクセルに分解し、各ピクセルに、感知された超音波反射率に対応する代表的な画像強度を割り当てる超音波ピクセル化サブモジュール124をさらに含み得る。図4は、超音波スプレッドが最初に複数の規則的な形状のピクセル(例えば、ピクセル172)に分割された例示的なピクセル細分を示す。実際には、ピクセル分解能はインチ当たり約320〜640であり得るが、密度はプロセッサ52の速度及びメモリ制約に応じてより高密度であってもよく、又はより低密度であってもよい。画像が複数の画像ピクセルに細分されると、各ピクセルに、そのピクセルにわたる平均認識画像強度に対応する強度値が割り当て得る。一実施形態では、各ピクセルの強度値は数値であり得る。
【0028】
最後に、超音波モジュール104は3Dモデル生成器126を含み得る。図6に示されるように、処置中、超音波スプレッド150が複数の異なる位置及び向きをとるように、カテーテル10を操作し得る。例えば、カテーテルを単純に回転させることで、超音波スプレッド150に姿勢180a、180b、180c、180dをとらせることができる。同様に、カテーテルは、長軸から離れるように並進移動又は偏向して、超音波をさらに操作し得る。
【0029】
各姿勢で、視覚化内のピクセルは、空間的に三次元空間で位置特定し得る。これらの位置を知ることにより、モデル生成器126は、関連付けられたピクセル強度を三次元容積内の対応する位置にマッピングし得る。3D空間内の各強度は、対応する強度を有する立方体要素等の容積ピクセル(ボクセル)として表し得る。次に、このマッピングにより、様々なスライスデータから組み立てられた三次元強度マップを生成し得る。連続した超音波姿勢が記録され、3D空間に関連付けられるため、モデルは、例えば、ベイズ推論アルゴリズムを使用することにより連続して更新し得る。適切な強度閾値を設定又は提供することにより、モデル生成器126は、閾値未満の超音波反射率強度を示す容積の部分を事実上「隠す」ことができる。図7に示されるように、容積の結果として隠されない部分は、心臓構造(又は比較的高い超音波反射率を示す他の物体(例えば、異物))を表すボクセルモデル182として見ることができる。
【0030】
再び図3を参照すると、プロセッサ52は、信頼性モジュール106を含み得、信頼性モジュール106は、マッピングポイントデータベース100内の各マッピングポイントの「信頼性」又は「信用性」の相対測定を特定し得る。一実施形態では、信頼性又は信用性の測定は、実際の組織境界に直に隣接すると確認されたマッピングポイントほど高く、心腔の内部にあるマッピングポイントほど低くなり得る。
【0031】
図8は、マッピングポイントクラウド200の例示的なポイントを示す。一般的に上述したように、「x」で表される各マッピングポイントは、三次元位置としてマッピングポイントデータベース100で位置合わせされる。示されるマッピングポイント200は、二次元平面にあってもその近傍にあってもよい、データベースから抽出されたポイントサブセットを表す。さらなる証拠がなくても、表示された各マッピングポイントは、他のすべての表示マッピングポイントと略同様であり得る。一実施形態では、信頼性モジュール106は、他の利用可能な情報又は証拠に鑑みて各マッピングポイントを調べて、どのポイントが組織境界を表す可能性が高いかを判断するに当たってシステムを支援し得る。信頼性測定の提供に使用し得る証拠の例は、心臓内エコーカテーテルから得られる超音波情報であり得る。
【0032】
図9に示されるように、図8に示されるようなマッピングポイントの平面の集まりを、ポイント200において同じ空間平面から補足された超音波画像202に重ね得る。信頼性評価前に、既知の方法又は本明細書に記載の方法を使用して、超音波画像202をピクセル化する。一実施形態では、信頼性モジュール106は、ピクセル化された超音波画像を分析して、画像にわたる強度勾配を特定し得る。この分析は、例えば、隣接するピクセル又はピクセルグループ間の強度値の差を計算する等による数値方法を含み得る。所与の閾値を超える(又は下回る)勾配の存在は、低超音波反射率を有する流体又は組織と、高反射率を有する流体又は組織との遷移を示し得る。そのような遷移は、血液(すなわち、低反射率)と心臓組織(すなわち、高反射率)との境界を検出し得る。例えば、図9に示される例示的な超音波画像202内で、心臓壁の部分を表し得る高超音波反射率204の1つ又は複数のエリアがあり得る。これらの高強度エリアに隣接して、心臓組織204内又はその近傍の腔を表し得る強度のより低いエリア(例えば、エリア206、208)があり得る。例えば、領域206は心腔内のエリアを表し得、エリア208は心腔外のエリアを表し得る。強度勾配は、エリア204とエリア206、208との間の遷移(すなわち、境界210、212のそれぞれ)で最高である可能性が高い。
【0033】
組織境界が識別されると、境界の近傍性に基づいて信頼性測定を各マッピングポイントに割り当て得る。一実施形態では、信頼値はポイントの境界への絶対近接度に基づき得る。例えば、認識された組織境界に近いマッピングポイントほど、境界に遠いポイントよりも高い信頼値を割り当て得る。図9は、二次元構築内の超音波へのマッピングポイントのオーバーレイを示すが、マッピングポイントオーバーレイ及び/又は信頼値の割り当てを同様に、図7に全体的に示される超音波モデルのように三次元で実行してもよい。
【0034】
信頼性モジュール106はさらに、超音波強度の大きさを調べることにより、超音波画像での異常又は異常値を識別可能であり得る。一実施形態では、異常値が検出される場合、信頼性モジュール106は、近傍マッピングポイントの対応する信頼性を低くし得る。例えば、強度マップ内の高強度プラトーは、反響する金属物体の存在を示し得る。同様に、強度マップ内の低強度プラトーは、音を深く伝達しない高エコー輝度物体を示し得る。いずれの状況でも、システムは、物体により超音波の暗がりにあり得るポイント等のプラトーの直近にあるいかなるポイントの信頼度も低減し得る。
【0035】
最後に、再び図3を参照すると、操作モジュール108は、関連付けられた信頼度に基づいて、重ねられたマッピングポイントの1つ又は複数の視覚的属性を変更し得る視覚的属性変更モジュール128を含み得る。さらに、操作モジュール108は、様々な信頼性測定に基づいてスキニングモデルを直接操作し得るモデル操作モジュール130を含み得る。
【0036】
図9に示されるように、プロセッサ52は、マッピングポイントの信頼値に基づいて1つ又は複数のマッピングポイント200の外観を変更し得る。一実施形態では、プロセッサは、シンボルを使用して各マッピングポイントを表し得、シンボルは、例えば、ある範囲の信頼値を表すように選ばれる。例示的な実施形態では、システムは、特定の閾値(すなわち、上限範囲)を超える信頼値を有するマッピングポイントを「o」(例えば、マッピングポイント230)として表示し得る。同様に、閾値未満の信頼値を有するマッピングポイントは、「x」(例えば、マッピングポイント232)として表示し得る。別の実施形態では、プロセッサ52は、ある範囲の信頼値に対応するスペクトルから選択し得る色を使用して、各マッピングポイントを表示し得る。理解し得るように、他の様々な表示又は識別子を使用して、マッピングポイントに割り当てられた信頼値の指標を提供し得る。
【0037】
操作モジュール108は、十分に高い信頼値が割り当てられたマッピングポイントを含むように、スキニングモデルを操作することも可能であり得る。同様に所与のモデルセット102が特定の信頼性閾値を満たさないマッピングポイントを含む場合、システムはそれらのポイントをモデルから除外し得る。例示的な実施形態では、図10a及び図10bに示されるように、既存のモデル300は、ポイントクラウドの最外ポイントをスキニングすることにより構築することができる(超音波画像202の最外マッピングポイントが示されないことに留意する)。図10aの補強超音波画像は、心臓組織の部分を二分するモデル300が不正確であることを示す。信頼評価に続き、より内部のマッピングポイント304及び306を特に組み込んだ補正モデル302を生成し得る。図10bは、超音波画像200の視覚的恩恵なしのモデル300及び補正モデル302を示す。
【0038】
一実施形態では、モデル操作モジュール130は、マッピングポイント信頼性評価に基づいて、3Dモデルセット102(及び対応するスキニングモデル)を自動的に調整するように構成し得る。別の実施形態では、システムは、補強超音波画像の視覚化をユーザに提示し(図9又は図10aと同様に)、ユーザが自分の裁量でモデル300を手動で調整することができる。一実施形態では、変更が1つの二次元平面においてモデルセット102に対して行われた場合、操作モジュール130は、モデル表面の三次元連続性を保証するために必要な隣接平面でのあらゆる調整を行うように構成し得る。
【0039】
図10a及び図10bは、二次元コンテキストでのモデル補正を示すが、図11に概略的に示されるように、補正は三次元で行ってもよい。一実施形態では、信頼性評価前に、三次元マッピングポイント(例えば、NavX)モデル310を大局的にスケーリングし、回転させ、且つ/又は並進移動させて、三次元超音波モデル320(図7に示されるタイプの)と最良に位置合わせし得る。最良の合致が得られると、調整されたモデルセットは、内部マッピングポイントと共に評価して、各ポイントの信頼度を特定し得る。
【0040】
一実施形態では、マッピングポイントは、直接記録してもよく、且つ/又は例えば、患者の心臓リズム若しくは患者の呼吸等の1つ若しくは複数の外部要因を説明するように調整してもよい。心臓周期及び呼吸周期等の定期的に発生するイベントでは、マッピングポイントクラウドは、これらの要因の関数であることも、これらの要因を説明するように相関することもある。例えば、タイミング信号をフィルタリングし、且つ/又は対応する信号/タイミングで撮影された画像と照合することができる。一実施形態では、各マッピングポイントは、ポイントが記録された状況を示す追加のパラメータを含み得る。次に、同様の状況下で記録されたポイントを一緒にグループ化することにより、複数のマッピングポイントクラウドを組み立て得る。リアルタイム処置中に同じ又は関連する要因を監視することにより、システムは、現在の状況に最もよく類似したポイントクラウドを選び得る(例えば、ルックアップテーブルを使用して)。例えば、図12a及び図12bは、洞リズム内の異なるポイントで記録された2つのマッピングポイントクラウド400、402を表す。2つの図に示されるように、超音波画像は、心臓組織404が第1の位置Rから第2のより狭い位置Rに移動したことを示す。被験者の現在の心電図を監視することにより、システムは、心臓の現在の状況をより正確に反映するようにポイントクラウドを選び、且つ/又は変更し得、マッピングポイントが誤って重ねられることの回避に役立ち得る。一実施形態では、補償アルゴリズムを使用して、様々なポイントクラウド間を補間し得る。
【0041】
ポイントクラウドが外部要因の関数である実施形態では、必要に応じて、図12a及び図12bに示されるような別個の各マッピングポイントサブセットに対して信頼性評価及びモデル調整を実行し得る。一実施形態では、モデルが心臓フェーズでの一点で操作される場合、システムは、リズム内の前及び/又は後の時間に変更をモデルセットに外挿し得る。
【0042】
本発明の幾つかの実施形態をある程度の特殊性と共に上記において説明してきたが、当業者は、本発明の範囲を逸脱すること無く、開示される実施形態に多くの変更を加えることができるであろう。全ての方向に関する指示(例えば、プラス、マイナス、上部、下部、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、最上部、底部、より上方に、より下方に、垂直の、水平の、時計回り、反時計回り)は、読者の本発明についての理解を助けるべく、識別する目的で使用されているに過ぎず、特に本発明の位置、方向又は使用に関して制限を与えるものではない。結合に関する指示(例えば、取り付けられる、連結される、接続されるなど)は、広義に解釈されるべきであり、要素の接続部と、要素の間の相対的な動きと、の間の中間メンバーを含んでいる場合がある。その様に、結合に関する指示は、2つの要素が直接的に接続されている及び互いに固定した関係にあることを必ずしも推定しているものではない。上記の説明に含まれる又は添付図面に示される全ての内容は、制限的なものとしてではなく、単に例示的なものとして解釈されるべきである。添付の特許請求の範囲で定義されている本発明から逸脱すること無く、細部又は構造に変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12a
図12b