特許第5679658号(P5679658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679658
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】インドキサカルブを含む局所投与製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5395 20060101AFI20150212BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20150212BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 33/14 20060101ALI20150212BHJP
   A01M 1/00 20060101ALN20150212BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20150212BHJP
   A61K 31/415 20060101ALN20150212BHJP
【FI】
   A61K31/5395
   A61K47/08
   A61K47/14
   A61P33/14
   !A01M1/00 Z
   !A61K45/00
   !A61K31/415
【請求項の数】36
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2009-526720(P2009-526720)
(86)(22)【出願日】2007年8月30日
(65)【公表番号】特表2010-502619(P2010-502619A)
(43)【公表日】2010年1月28日
(86)【国際出願番号】US2007019096
(87)【国際公開番号】WO2008030385
(87)【国際公開日】20080313
【審査請求日】2010年8月26日
(31)【優先権主張番号】60/841,846
(32)【優先日】2006年9月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】フランク・グウェリーノ
(72)【発明者】
【氏名】キース・アラン・フリーハウフ
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・マーヴィン・サージェント
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・アンドルー・オニール
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ディー・シモンズ
(72)【発明者】
【氏名】チェン−チャウ・ワン
【審査官】 深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−285054(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/053393(WO,A1)
【文献】 特表2004−521888(JP,A)
【文献】 特表2003−509345(JP,A)
【文献】 特表平06−504777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/5395
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部寄生虫に対する有効量のインドキサカルブ及び獣医学的に許容される担体を含む、家畜の外部寄生虫を防除するための局所スポット−オン製剤であって、
前記獣医学的に許容される担体が:
(i)グリコールエーテル、酢酸アルキル及びその組み合わせから成るグループから選択される溶媒;及び
(ii)トリアセチンを含む結晶化抑制剤;
を含み、そして
製剤におけるインドキサカルブの濃度が少なくとも100g/Lである、前記製剤。
【請求項2】
外部寄生虫が節足動物門である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
節足動物門が昆虫綱である、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
昆虫綱がノミ、ハエ又はシラミである、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
節足動物門がクモガタ綱である、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
製剤におけるインドキサカルブの濃度が少なくとも200g/Lである、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
製剤におけるインドキサカルブの濃度が少なくとも150g/Lである、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
獣医学的に許容される担体が、1つ又はそれ以上の、補助剤、共溶媒、着色剤、界面活性剤、スプレッディングオイル、酸化防止剤、光安定剤又は粘着付与剤を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
グリコールエーテルがジプロピレングリコールモノメチルエーテルを含む、請求項1に
記載の製剤。
【請求項10】
酢酸アルキルがアセト酢酸エチルである、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
家畜が哺乳動物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
哺乳動物がイヌ科又はネコ科の動物である、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
インドキサカルブに加えて殺虫剤を更に含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
殺虫剤が、昆虫成長調整剤、有機ホスフェート殺虫剤、カルバメート殺虫剤、有機塩素殺虫剤、ピレトリン殺虫剤、ピレトロイド殺虫剤、ニコチン殺虫剤、ネオニコチノイド殺虫剤、銅含有殺虫剤、駆虫剤、ベンゾイミダゾール、サリチルアニリド、置換フェノール殺虫剤、ピリミジン殺虫剤、イミダゾチアゾール殺虫剤、バシラス−スリンジエンシス毒素(Bacillus thuringensis toxin)、クロロベンジレート、シフルトリン、シペルメトリン、ジコフォール、エンドスルファン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、λ−シハロトリン、メトキシクロル、硫黄、シクロジエン、リアニア、KT−199及びプラジカンテルから成るグループから選択される、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
殺虫剤がホルマジンである、請求項13に記載の製剤。
【請求項16】
ホルマジンがアミトラズである、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
殺虫剤がセミカルバゾンである、請求項13に記載の製剤。
【請求項18】
セミカルバゾンがメタフルマゾンである、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
殺虫剤がフェニルピラゾールである、請求項13に記載の製剤。
【請求項20】
フェニルピラゾールがフィプロニルである、請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
インドキサカルブ及び獣医学的に許容される担体を含む局所スポット−オン製剤の外部寄生虫に対する有効量を、家畜の全表面積の10%以下の表面積を有する局部領域に適用することを含む、家畜の外部寄生虫の防除方法であって、ここで
前記獣医学的に許容される担体が:
(i)グリコールエーテル、酢酸アルキル及びその組み合わせから成るグループから選択される溶媒;及び
(ii)トリアセチンを含む結晶化抑制剤;
を含み、そして
製剤におけるインドキサカルブの濃度が少なくとも100g/Lである、前記方法。
【請求項22】
局部領域が家畜の全表面積の5%以下である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
家畜がイヌ科又はネコ科の動物であり、そして該イヌ科又はネコ科の動物の局部領域が10cm2未満である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
家畜の全表面積の10%以下の表面積を有する局部領域に、請求項1、4、6、8又は12の製剤の外部寄生虫に対する有効量を局所的に適用することを含む、家畜の外部寄生虫の防除方法。
【請求項25】
家畜の全表面積の10%以下の表面積を有する局部領域に、請求項13、14、15、16、17、18、19又は20の製剤の外部寄生虫に対する有効量を局所的に適用することを含む、家畜の外部寄生虫の防除方法。
【請求項26】
製剤が質量基準で、
15〜25%のインドキサカルブ;
15〜25%のトリアセチン;
10〜40%のアセト酢酸エチル;及び
適量のイソプロピルアルコール;
を含む、家畜への外部寄生虫の侵入を防除する局所スポット−オン製剤。
【請求項27】
製剤が質量基準で、
15〜25%のインドキサカルブ;
15〜25%のトリアセチン;
10〜40%のジプロピレングリコールモノメチルエーテル;及び
適量のイソプロピルアルコール;
を含む、家畜への外部寄生虫の侵入を防除する局所スポット−オン製剤。
【請求項28】
家畜の全表面積の10%以下の表面積を有する局部領域に、請求項26又は27の製剤を局所的に適用することを含む、家畜哺乳動物の外部寄生虫の防除方法。
【請求項29】
製剤が、
20%のインドキサカルブ;
20%のトリアセチン;
25%のアセト酢酸エチル;及び
適量のイソプロピルアルコール;
を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項30】
製剤が、
20%のインドキサカルブ;
20%のトリアセチン;
25%のジプロピレングリコールモノメチルエーテル;及び
適量のイソプロピルアルコール;
を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項31】
殺虫剤がピレトロイド殺虫剤である、請求項14に記載の製剤。
【請求項32】
ピレトロイド殺虫剤がペルメトリンである、請求項31に記載の製剤。
【請求項33】
製剤が質量基準で、
1〜50%のインドキサカルブ;
0.05〜80%のペルメトリン;及び
アセト酢酸エチル;
を含む、請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
製剤が質量基準で、
1〜50%のインドキサカルブ;
0.05〜80%のペルメトリン;及び
プロピレングリコールモノメチルエーテル;
を含む、請求項32に記載の製剤。
【請求項35】
製剤が質量基準で、
5〜25%のインドキサカルブ;
30〜75%のペルメトリン;及び
アセト酢酸エチル;
を含む、請求項32に記載の製剤。
【請求項36】
製剤が質量基準で、
5〜25%のインドキサカルブ;
30〜75%のペルメトリン;及び
プロピレングリコールモノメチルエーテル;
を含む、請求項32に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2006年9月1日に出願された米国特許仮出願第60/841846号からの優先権を主張する。その出願明細書の全文は、参照することにより本明細書に取り込まれている。
【背景技術】
【0002】
動物は、しばしば、外部寄生虫(例えば、ハエ及びシラミ)による侵入、内部寄生虫(例えば、フィラリア及び腸管内線虫)による感染を受け易い。イヌ及びネコなどの家畜は、1つ又はそれ以上の以下に示す外部寄生虫にしばしば寄生される:ネコ及びイヌのノミ(Ctenocephalides felis、Ctenocephalides canisなど)、マダニ(Rhipicephalus spp.、Ixodes spp.、Dermacentor spp.、Amblyoma spp.など)及びダニ(Demodex spp.、Sarcoptes scabei.、Otodectes cynotis.など)。
【0003】
ノミは、動物又はヒトの健康に悪影響を与えるのみならず、多大な心理的ストレスを引き起こすので特に問題である。その上、ノミは、またイヌ条虫(Dipylidium caninum)などのような、ヒトを含む動物における病原因子を運ぶ媒介動物でもある。
【0004】
同様に、マダニも、また動物又はヒトの肉体的及び心理的健康に対して有害である。しかしながら、マダニに関連する最も深刻な問題は、それらが病原因子、ヒト及び動物の両方に疾病を引き起こす病因の媒介動物であることである。マダニにより引き起こされる主要な疾病としては、ボレリア感染症(borrelioses)(Borrelia burgdorferiにより引き起こされるライム病)、バベシア病(babesioses)(即ち、Babesia sp.により引き起こされるピロプラズマ病(piroplasmoses))及びリケッチア症(ロッキー山紅斑熱症としても知られている)が挙げられる。マダニは、また宿主における炎症又は麻痺を引き起こす毒素を放出する。場合により、これらの毒素は宿主に対して致命的となる。更に、ダニは、これらの寄生虫に影響を及ぼす活性物質は殆どないので、駆除するのが特に困難であり、そしてそれらは頻繁な処置を必要とする。
【0005】
同様に、家畜も、また寄生虫の侵入を受け易い。例えば、畜牛は、数多くの寄生虫により影響を受ける。家畜の間で非常に流行している寄生虫は、マダニ属Boophilus、特にB. microplus(畜牛マダニ)、B. decoloratus 及び B. anulatusである。Boophilus microplusなどのマダニは、特に、制御することが困難であり、何故ならそれらは家畜が放牧されている牧草地に生息しているからである。畜牛のその他の重要な寄生虫としては、Dermatobia hominis(Berne in Brazilとして知られている)及びCochlyomia hominivorax(ラセンウジバエ)などのハエウジ症(myiases)を生じるハエが含まれ、その幼虫は宿主動物の組織に侵入する。更に、Lucilia sericata(クロバエ)、Lucilia cuprina(このハエにより媒介される被害は、オーストラリア、ニュージランド及び南アフリカにおいては、一般に、クロバエ感染症として知られている)は、ヒツジにおけるハエウジ症の重要な原因である。成虫段階で寄生虫となる昆虫としては:Haematobia irritans(ツノサシバエ );Linognathus vituliなどのシラミ;及びSarcoptes scabiei及びPsoroptes ovisなどのダニが挙げられる。上記のリストは網羅的ではなく、そしてヒト及び動物に有害なその他の外部寄生虫は当業界では公知である。これらとしては、例えば、Hypoderma spp.及びOestrus ovisなどの移動性の双翅類の幼虫が挙げられる。
【0006】
家畜上の外部寄生虫の制御は、種々の殺虫剤を含むノミ取り用首輪を用いて試みられている。しかしながら、外部寄生虫は、一般的には、ペット所有者の家の中などの、動物の近辺に存在し続けている。動物の環境内における外部寄生虫の根絶は、環境が殺虫性の物質で永続的に覆われていなければ困難であり、その場合、毒性及び再侵入が問題である。それ故、外部寄生虫駆除物質の投与間隔及びコストを低減するために、家畜上の外部寄生虫の根絶のための持続性のある有効な薬剤であって、その様な薬剤は、貯蔵及び適用に便利でなければならず、そしてそのような家畜及びその環境に対して毒性の取るに足りないリスクを与える薬剤に対する必要性が当分野に存在する。
【0007】
特許文献1は、家庭内に、葉に、そして土中に生息する作物害虫及び非作物害虫に対する効能を有する、オキサジアジニルカルボキシアニリド化合物に関連する新規な節足動物駆除用組成物及び方法を開示している。そこに開示されている化合物:(S)−メチル−7−クロロ−2,5−ジヒドロ−2−[[(メトキシカルボニル)[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]インデノ[1,2−e][1,3,4]オキサジアジン−4a(3H)−カルボキシレート;一般名:インドキサカルブ又はDPX−KN128は、米国環境保護局に、「リスク低減」殺虫剤、ケミカルコード第067710号、CAS番号173584−44−6、米国環境保護局PC第067710号(S−異性体)として登録されている。「インドキサカルブ、オキサジンジン(Oxadinzine)殺虫剤、は昆虫の神経ナトリウムチャンネルをブロック」と題する非特許文献1は、ワモンゴキブリ(Periplaneta Americana)における神経ナトリウムチャネル阻害剤としてのインドキサカルブの作用様式を調べた研究結果を開示している。「節足動物駆除剤と防かび剤の混合物」と題する非特許文献2は、節足動物害虫に対する植物の保護用として、土壌又は空気中に適用される殺虫剤製剤における、他の節足動物駆除薬と組み合わせたインドキサカルブの使用を開示している。特許文献2は、家畜の体の局部領域への局所的な適用を活用する、家畜に寄生する害虫からの治療と保護のための組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,462,938号
【特許文献2】米国特許公告公報第6,395,765(B1)号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】“Indoxacarb, an Oxadinzine Insecticide, Blocks Insect Neuronal Sodium Channels”, British Journal of Pharmacology (2001) 132, 587-595;doi:10.1038/sj.bjp.0703853.
【非特許文献2】“Mixtures of Arthropodicides and Fungicides”, Research Disclosure, May 1997, Number 39786.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様において、本発明は、家畜上の外部寄生虫の根絶、家畜上の外部寄生虫数の低減及び/又は家畜上の外部寄生虫の侵入の防止を含む、家畜上の外部寄生虫を制御するための組成物及び方法を提供する。この方法は、家畜の局部領域、又は全表面積の10%未満か若しくはこれと同等の表面積を有する領域へ、インドキサカルブ及び獣医学的に許容される担体を含む局所製剤の外部寄生虫に対する有効量を局所的に適用することを含む。本組成物は、また、場合により、更なる殺虫剤を含んでも良い。
【0011】
好ましい態様において、本発明は、家畜の局部領域、又は全表面積の10%未満か若しくはこれと同等の表面積を有する領域へ、獣医学的に許容される溶媒中のインドキサカルブを含み、そして場合により結晶化抑制剤を更に含む局所製剤の外部寄生虫に対する有効量を適用することを含む、家畜における外部寄生虫の侵入を制御する組成物及び方法を提供する。
【0012】
そのような製剤の好ましい溶媒、結晶化抑制剤、適用様式及び用量を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願人らは、引用された全ての参考文献の全文を、本明細書に明確に組み入れている。更に、量、濃度、又はその他の値又はパラメータが、範囲、好ましい範囲 又は好ましい上限値及び好ましい下限値のリストのいずれかとして与えられる場合、当然のことながら、これらは、範囲が別々に開示されるかどうかにかかわらず、範囲の上限の値又は好ましい値、及び範囲の下限の値又は好ましい値のいずれかの組み合わせから形成されるすべての範囲を具体的に開示する。数値の範囲が本明細書に挙げられている場合、特に指示がなければ、その範囲はその境界値及び範囲内の全ての整数及び端数を含むことを意図している。範囲を定義する場合、本発明の範囲は、挙げられた具体的な値に限定されることを意図していない。
【0014】
本出願人は、特定タイプのインドキサカルブ製剤、即ち、家畜の局部領域、又は全表面積の10%未満か若しくはこれと同等の表面積を有する領域に適用される局所製剤を用いて、家畜への外部寄生虫の侵入を有効に制御することが可能であることを見出している。本製剤及び方法は、全ての動物を経口的に又は注射により処置するのが困難であるか、又は時間を要する状況にある動物に対して特に有利である。このように、本発明は、インドキサカルブ及び獣医学的に許容される溶媒を含む、外部寄生虫の制御に有用な局所製剤を提供する。ある種のインドキサカルブ局所製剤は驚くほど有効でかつ持続性があることが、本出願人によって見出されている。
【0015】
定義
本出願人の開示に関連する以下の定義が提供される。
本明細書で使用される、用語「家畜上の外部寄生虫の制御」は、家畜上の外部寄生虫の根絶、家畜上の外部寄生虫数の低減及び/又は家畜上への外部寄生虫の侵入の予防を含む。
【0016】
本明細書で使用される、用語「家畜」は、連れ合いの動物、ペット、作業用動物として、又は食物、毛、皮革、ウール又は他の動物製品用としての家畜として、ヒトにより飼育されているいかなる動物をも含み、又はヒトと関連してその様な動物上の外部寄生虫の制御が望ましいことが判明している動物を含む。本発明が特に有用である一般の家畜としては、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ラクダ、トリ、イヌ、ネコ、シカ、ヒツジ又はヤギが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される、用語「外部寄生虫」としては、動物の体外に生息する、卵、幼虫又は成体形を含むいかなる生命の段階における寄生虫をも含む。家畜上で問題になる一般の外部寄生虫としては、例えば、ノミ、シラミ、マダニ(ticks)及びダニ(mites)が挙げられる。
【0018】
哺乳類及び鳥類の節足動物外部寄生虫は、しばしば、特別の関心事である。典型的な節足動物には、以下の表Aに要約されたものが含まれる。
【表1】
【0019】
それ故、昆虫の害虫としては、例えば、ハエ及びカ、ダニ、マダニ、シラミ、ノミ、半翅類、寄生ウジなどの刺す昆虫類が挙げられる。
【0020】
刺す昆虫類としては、例えば、畜牛におけるHypoderma sp.、ウマにおけるGastrophilus、及び齧歯動物におけるCuterebra sp.のような移動性双翅類の幼虫、並びにあらゆるタイプの刺すハエ及びカが挙げられる。例えば、吸血性ハエの成虫としては、例えば、ツノサシバエ、即ちHaematobia irritans、ウマバエ、即ちTabanus spp.、サシバエ、即ちStomoxys calcitrans、ブヨ、即ちSirnulium spp.、メクラアブ、即ちChrysops spp.、シラミバエ、即ちMelophagus ovinus、ツェツェバエ、即ちlossina spp.が挙げられる。寄生バエウジとしては、例えば、ヒツジバエ(Oestrus ovis 及びCuterebra spp.)、クロバエ、即ちPhaenicia spp.、ラセンウジバエ、即ちCochliomyia hominivorax、ウシバエ、即ちHypoderma spp.及びヒツジムシ(fleeceworm)が挙げられる。カとしては、例えば、Culex spp., Anopheles spp., 及び Aedes spp.が挙げられる。
【0021】
ダニとしては、Mesostigmata spp.、例えば、ニワトリダニの様なメソスチグマチド(mesostigmatids)、Dermanyssus gallinae;Sarcoptidae spp.の様なシラミダニ(itch mite)又はヒゼンダニ(scab mite)、例えば、Sarcoptes scabiei;Chorioptes bovis 及び Psoroptes ovisを含むPsoroptidae spp.の様な疥癬ダニ;ツツガムシ、例えば、Trombiculidae spp.、例えば、北アメリカツツガムシ、Trombicuta alfreddugesiが挙げられる。
【0022】
マダニとしては、例えば、Argasidae spp.を含む軟体マダニ、例えば、Argas spp. 及びOrnithodoros spp.;Ixodidae spp.を含む硬体マダニ、例えば、Rhipicephalus sanguineus及びBoophilus spp.が挙げられる。
【0023】
シラミとしては、例えば、吸血性シラミ、例えば、Menopon spp. 及び Bovicola spp.;かむシラミ、例えば、Haematopinus spp., Linognathus spp. 及び Solenopotes spp.が挙げられる。
【0024】
ノミとしては、例えば、イヌノミ(Ctenocephalides canis)及びネコノミ(Ctenocephalides felis)などのCtenocephalides spp.;インドネズミノミ(Xenopsylla cheopis)などのXenopsylla spp.;及びヒトノミ(Pulex irritans)の様なPulex spp.が挙げられる。
【0025】
半翅類の昆虫としては、例えば、Cimicidae 又は、例えば、一般のトコジラミ(Cimex lectularius);サシガメ(kissing bug)としても知られているオオサシガメ(triatomid bugs);例えば、Rhodinius prolixus及びTriatoma spp.を含むTriatominae spp.が挙げられる。
【0026】
一般的に、ハエ、ノミ、シラミ、カ、ブヨ、ダニ、マダニ及び蠕虫は、家畜及び連れ合い動物の分野に巨大な損失をもたらす。節足動物寄生虫は、またヒトに対して迷惑であり、そしてヒト及び動物における疾病を引き起こす生物の媒介動物であり得る。
【0027】
数多くのその他の節足動物害虫及び外部寄生虫が、当該分野で知られており、そしてまた、本発明の化合物で処置されることが意図されている。これらは、MEDICAL AND VETERINARY ENTOMOLOGY, by D. S. Kettle, Publ. John Wiley & Sons, New York and Toronto; CONTROL OF ARTHROPOD PESTS OF LIVESTOCK: A REVIEW OF TECHNOLOGY, by R. O. Drummand, J. E. George, and S. E. Kunz, Publ. CRC Press, Boca Raton, Floridaにおいて、詳細に列挙されている。両者の内容は、参照することによりその全文が本明細書に取り入れられている。
【0028】
本明細書で使用される「外部寄生虫に対する有効量」とは、家畜上の外部寄生虫を根絶し、家畜上の外部寄生虫の数を低減させ及び/又はそのような動物上で外部寄生虫の侵入を予防するために有効な量である。
【0029】
本明細書で使用される用語「インドキサカルブ」又はDPX−KN128若しくはKN128は、式I:
【化1】
式中、*は光学活性中心を表す;
のS異性体を意味する。
【0030】
インドキサカルブの系統学的化学名は、(S)−メチル−7−クロロ−2,5−ジヒドロ−2−[[(メトキシカルボニル)[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]インデノ[1,2−e][1,3,4]オキサジアジン−4a(3H)−カルボキシレートである。式IのR異性体、又は(R)−メチル−7−クロロ−2,5−ジヒドロ−2−[[(メトキシカルボニル)[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]インデノ[1,2−e][1,3,4]オキサジアジン−4a(3H)−カルボキシレートは殺虫剤機能を示さない。国際公開公報第99/63825号は、活性なS異性体及び不活性のR異性体の多くの混合物、並びに実質的に純粋なS異性体の使用を記載している。S異性体はDPX−KN128、R異性体はDPX−KN127とDuPont社により命名されているが、本明細書においても、便宜のためこの命名を使用することとする。インドキサカルブ、即ちDPX−KN128は、CAS番号173584−44−6として登録されている。
【0031】
式Iの化合物は、スキーム1に示すようにして、国際公開公報第92/11249号、国際公開公報第95/29171号及び国際公開公報第98/05656号に開示された、1つ又はそれ以上の方法により製造することができる。
【化2】
【0032】
本明細書で使用される「局所製剤」は、動物の全表面積の10%未満か又はこれと同等の表面積に外部より適用される流体製剤である。「局所製剤」は、本明細書では「本発明の製剤」として言及されることもある。局所製剤は、ポア−オン(pour-on)製剤及びスポット−オン(spot-on)製剤、スプレー−オン(spray-on)製剤、乳化液、油、クリーム及び軟膏などの流体(水性懸濁液を含む)である。本明細書で使用される「局所投与製剤」は、家畜の全表面積の10%未満か又はこれと同等の表面積に適用した場合、家畜上の外部寄生虫を根絶し、家畜上の外部寄生虫の数を低減し及び/又は家畜上の外部寄生虫の侵入を予防するのに有効な量のインドキサカルブ及び獣医学的に許容される担体を含む流体製剤である。「局所投与製剤」は、本明細書では「本発明の製剤」として言及されることもある。ある好ましい実施態様においては、局所製剤は、結晶化抑制剤を含んでもよい。「流体製剤」としては、例えば、ポア−オン(pour-on)製剤、スポット−オン(spot-on)製剤及びスプレー−オン(spray-on)製剤などの液体製剤を含み、それらは、溶液、乳化液(水中油又は油中水)、懸濁乳化液、ミクロ乳化液、懸濁液(水生又は非水生)、油、クリーム及び軟膏の形態であっても良い。「流体製剤」は、また粉末、水に分散可能な顆粒、可溶性粉末及びエアロゾルを含んでも良い。「流体製剤」はそのまま使用可能か、又は使用前に水で希釈などの調製を必要としても良い。
【0033】
本明細書で使用される用語「持続的な効能」は、本発明の製剤が、外部寄生虫を制御する(即ち、家畜上の外部寄生虫を根絶し、家畜上の外部寄生虫の数を低減し及び/又は家畜上の外部寄生虫の侵入を予防する)能力を、特定の期間又は条件にわたって:例えば、一定回数の水による洗浄の間中、又は一定の日数、週数若しくは月数にわたって維持することを意味する。ある実施態様において、効能は、1回の処置の後、20%、10%又は5%以下の効能の低下が見られる程度に、十分に持続性がある。この文脈において、用語「効能」は、外部寄生虫の侵入を制御する製剤の能力を意味する。
【0034】
本明細書で使用される用語「スポット−オン(spot-on)」及び「ポア−オン(pour-on)」は、動物の全表面積の10%未満か又はこれと同等の累積表面積を有する動物の局部領域へ適用される製剤、及び動物の局部表面積に組成物を適用する方法であって、該局部面積が動物の全表面積の10%未満か若しくはこれと同等の面積を累積的に含む方法を意味する。
【0035】
本明細書で使用される用語「獣医学的に許容される」は、家畜の内部又は外部で重篤な副作用を引き起こさない、そして更に、ヒトがその様な環境に暴露される可能性がある状況におけるそのような動物の周辺環境下において、ヒトへの毒性の危険性又はその他の副作用をもたらさない、処置の成分、組成物又は方法を意味する。
【0036】
本明細書で使用される用語「獣医学的に許容される担体」は、インドキサカルブ以外の本発明の組成物中のあらゆる成分、又はインドキサカルブにプラスして、1つ又はそれ以上の殺虫剤的に活性な成分を含む場合、組成物中のインドキサカルブ及び他の殺虫剤的に活性な成分以外の成分を意味する。獣医学的に許容される担体の範囲内に含まれる可能性がある成分又は化合物の例としては、溶媒、結晶化抑制剤、酸化防止剤、補助剤、共溶媒、着色剤、界面活性剤、油、光安定剤、粘着性付与剤、懸濁剤、推進剤、増量剤及び芳香強化剤又は遮蔽剤が挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される用語「含む(comprises)」又は「含んでいる(comprising)」は、無制限の移行句を意図しており、指定された要素を包含するが、その他の指定されない要素を必ずしも排除しない。
【0038】
本明細書で使用される成句「本質的に成る(consists essentially of)」又は「本質的に成っている(consisting essentially of)」は、追加の成分及び/又は本発明の製剤の基本的特性に重大な影響を有する薬剤の排除を意味することを意図している。特に、製剤中の追加の成分及び/又はインドキサカルブの結晶化を抑制する薬剤及び/又は殺虫性薬剤は、製剤に重大な影響を与えるであろう。従って、用語「本質的に成る(consists essentially of)」又は「本質的に成っている(consisting essentially of)」を使用する場合、結晶化抑制剤がその製剤に明確に含まれていなければ、そのような結晶化抑制剤は含まれないであろう。
【0039】
成句「成っている(consisting of)」又は「成る(consists of)」は、重要ではない微量の不純物のみを例外として、挙げられた要素以外の全てを除外するという移行的な意味を意図している。
【0040】
家畜上の外部寄生虫を目的とする方法及び製剤
1つの態様において、本発明は、家畜上の外部寄生虫の侵入を制御する方法(例えば、ノミ又はマダニの成虫などの外部寄生虫の侵入の除去及び/又は予防)を提供する。本方法は、家畜の全表面積の10%未満か又はこれと同等の表面積を有する動物の皮膚の局部領域へ、外部寄生虫に対して有効量のインドキサカルブ及び獣医学的に許容される担体を含む局所製剤を局所的に適用することを含む。
【0041】
本発明の製剤は、いわゆる「ポア−オン(pour-on)」及び「スポット−オン(spot-on)」製剤を含む。本発明の製剤を家畜の皮膚の健全な又は正常な領域の表面に適用するのに加えて、その様な局部領域は、また切り傷、ただれなどの皮膚層に対する外傷を含んでも、又は全体的に外傷から成っても良い。それ故、ある実施態様において、本発明は、また外傷からの外部寄生虫感染を処置するのにも有用である。
【0042】
ある実施態様において、本製剤は、動物の全表面積の10%、5%若しくは2%と同等かそれ未満の単一の局部領域に適用されるか、又はその動物の全表面積の10%、5%若しくは2%未満を共に含む、2つ若しくはそれ以上の局部領域又は面積の組み合わせに適用される。如何なる特定の作用機構にも限定されることなく、活性成分のインドキサカルブは、局所に適用した後、局部領域を超えて拡散し、家畜の体の全体又は重要部分にわたって、外部寄生虫の制御を提供すると信じられている。好ましい実施例態様において、本発明の製剤は、動物の皮膚への「スポット−オン(spot-on)」又は「ポア−オン(pour-on)」適用を用いて、皮膚の単一スポット又は領域上へ適用される。特にネコ及びイヌに有用なある実施態様においては、この塗布は、10cm以下、特に5から10cmの間の表面積に局在化される。ある特別に好ましい実施態様においては、本製剤は、動物の背骨に沿って1つ又はそれ以上の個所に適用される。例えば、低用量投与の場合は、両肩の間の単一スポットが好適であるが、しかし高用量投与の場合は、背骨に沿った複数の場所が推奨される。
【0043】
ある好ましい実施態様においては、本製剤は、その様な好ましい製剤が、高濃度の活性物質が存在する場合でも、毛の上での結晶化を最小にし又は排除し、粘着性又はベトベトした外観なしに毛の美的外観を維持するように設計されているという点において、効能、持続性及び適用及び乾燥後の動物の毛の好ましい外観によって特に有利である。それ故、別の態様において、本発明は、有効量のインドキサカルブ及び獣医学的に許容される担体を含み、かつ結晶化抑制剤を含む、家畜における外部寄生虫の侵入の根絶、低減及び/又は予防のための局所製剤を提供する。本明細書で用いられる結晶化抑制剤は、動物への適用の後、目に見えるインドキサカルブの結晶、又はインドキサカルブ及び/又は製剤から
の他のいかなる殺虫剤の沈殿物の形成をも最少化させる物質である。結晶化抑制剤として使用するための候補化合物は、当該分野で一般的に知られた検査法を用いて評価できる。例えば、候補化合物を、インドキサカルブ及び獣医学的に許容される溶媒にスライドガラス上で加えて20℃で24時間放置し、その後組成物を肉眼で観察して、結晶が生成しているか否かを判定する。代わりに、候補化合物を含む局所製剤を室温で家畜に適用し、その後その動物を肉眼で観察して、結晶が生成しているか否かを判定する。
【0044】
他の結晶化抑制剤の例としては、トリアセチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンの共重合体、ポリエチレングリコール、ポリエトキシ化ソルビタンエステル;レシチン、メタクリレートその他などのアクリル酸誘導体、特にステアリン酸ナトリウム、カリウム、又はアンモニウム塩などのステアリン酸アルカリ金属塩;ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸トリエタノールアミン;アビエチン酸ナトリウム;硫酸アルキル、特にラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシナート;脂肪酸、特にコプラ油から誘導されたものなどのアニオン界面活性剤;式NR’R’’R’’’R’’’’Y、ここで、R基は場合によりヒドロキシ化された炭化水素基であり、そしてYはハライド、スルフェート及びスルホネートアニオンなどの強酸のアニオンである、の水溶性の第四級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤;セチルトリメチルアンモニウムブロミドは利用可能なカチオン界面活性剤である;式NR’R’’R’’’、ここで、R基は場合によりヒドロキシ化された炭化水素基である、のアミン塩;オクタデシルアミン塩酸塩は利用可能なカチオン界面活性剤である;場合によりポリエトキシ化ソルビタンエステル類、特にPolysorbate 80、ポリエトキシ化アルキルエーテル;ポリエチレングリコールステアレート、ポリエトキシ化ヒマシ油誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリエトキシ化脂肪族アルコール、ポリエトキシ化脂肪酸、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの共重合体などのノニオン界面活性剤、置換ラウリルベタイン化合物などの両性界面活性剤、又は好ましくは、少なくともこれら2つの混合物が挙げられる。
【0045】
結晶化抑制剤は、選択された製剤内での特定用量のインドキサカルブの結晶化を抑制するのに有効となる様に、いかなる割合及びいかなる濃度で存在しても良い。また、結晶化抑制剤の組み合わせも使用可能である。ある実施態様において、結晶化抑制剤(類)の割合は、1〜60%(質量/容積)、5〜50%(質量/容積)、又は10〜40%(質量/容積)で存在する。それ故、最も好ましい実施態様においては、一旦析出した後、製剤は動物の体上に拡散し、そしてその後結晶化せずに、又は外観を変化させずに(特に、白っぽい析出物又はほこりだらけのような外観なしに)、又は動物の毛若しくは皮膚の感触を変化させずに乾燥する。
【0046】
好ましい製剤は、投与間隔及び家畜に対する製剤投与に関連するコストを低減する効能に関して、十分な持続性がある。あるケースにおいて、製剤は、週当たり2回以下、週当たり1回以下、月当たり1回以下、又は3ヶ月当たり1回以下で適用される。それ故、本発明のある種の製剤は、少なくとも48時間、1週間、1ヶ月、2ヶ月、又はあるケースにおいては3ヶ月までの持続的な効能を維持する。本製剤は、また水溶液(例えば、石鹸及び水)で家畜を洗浄するに耐えるだけの十分な持続性を有することができる。それ故、本製剤は、少なくとも1回の、又は5回の水溶液洗浄の後までさえも、持続的な効能を維持することができる。
【0047】
多種類の外部寄生虫は、本発明の製剤を用いて標的とすることができる。ある実施態様において、外部寄生虫は、ノミの卵、ノミの幼虫、ハエの卵、又はハエの幼虫を含めて、ノミ、ハエ又はシラミである。本発明の製剤が、ノミの卵、ノミの幼虫、ハエの卵、又はハエの幼虫を標的とするように設計されている場合は、ノミ及び/又はハエのライフサイクルは破壊され、それにより環境中の個体数圧力を減少させる。本発明の目的のために、用語ノミは、当然ながら、Siphonaptera目の寄生ノミの全ての通常種又は偶生種を意味し、そして特に、Ctenocephalides属、特に、ネコノミ(C. felis)及びイヌノミ(C. canis)、ラットノミ(Xenopsylla cheopis)、及びヒトノミ(Pulex irritans)を意味する。
【0048】
適切ないかなる家畜も、その様な動物上の、又はその様な動物の環境下での外部寄生虫を制御することが望ましい状況下では、本発明の製剤を用いて処置することができる。ある好ましい実施態様においては、家畜は、畜牛、ウマ、ロバ、ブタ、ラクダ、イヌ、ネコ、シカ、ヒツジ又はヤギなどの哺乳類である。
【0049】
局所製剤は、上記で定義された成分を単に撹拌するだけで、又は担体が乳化液、懸濁液又は懸濁乳化液の場合は、集中的な混合又は均一化が必要とされ、そしてインドキサカルブ(DPX−KN128)が固体の形態(懸濁液、懸濁乳化液、微粒子、粉末及び顆粒)として存在する場合は、インドキサカルブ(DPX−KN128)の粒径を小さくするため、粉砕が必要となるであろう。本発明製剤の調製方法は、特許請求された製剤中のインドキサカルブ及び好ましい成分の化学的に定義された性質の故に、当業者には明白であろう。例えば、活性物質は、獣医学的に許容される溶媒中で混合され、次いで獣医学的に許容される担体のその他の成分が加えられて良く、又は獣医学的に許容される担体が、インドキサカルブ以外の製剤の全ての成分を含む様に構成され、次いでインドキサカルブ(及び、場合により、他の殺虫剤として活性な成分)を、獣医学的に許容される担体組成物に加えても良い。
【0050】
ある実施態様において、 担体内の追加の成分は、酸化防止剤である。有用な酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩又はチオ硫酸塩(例えば、チオ硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウムなど)、没食子酸プロピル及び/又はトコフェロール、又は2種以下のこれらの薬剤の混合物が挙げられる。
【0051】
1つ又はそれ以上の更なる殺虫剤が、本発明の製剤内に含まれて良い。有用な殺虫剤としては、昆虫成長調節剤、有機ホスフェート殺虫剤、カルバミン酸塩殺虫剤、有機塩素殺虫剤、ピレトリン殺虫剤、ピレトロイド殺虫剤、ニコチン殺虫剤、ネオニコチノイド殺虫剤、銅含有殺虫剤、駆虫剤、ベンゾイミダゾール殺虫剤、アリチルアニリド殺虫剤、置換フェノール殺虫剤、ピリミジン殺虫剤、及びイミダゾチアゾール殺虫剤が挙げられる。特に好ましいのは、アミトラズなどのホルムアミジン殺虫剤、メタフルマゾンなどのセミカルバゾン殺虫剤及びフィプロニルなどのフェニルピラゾールである。フィプロニルは、米国特許第5232940号、第6096329号、第6395765号及び第6716442号に記載されており、その内容は、参照することにより、本明細書に取り入れられている。その様な実施態様の1つにおいて、本製剤は、有効量のフィプロニル及びインドキサカルブを含む。
【0052】
ある実施態様において、イミダゾチアゾール殺虫剤はレバミソールである。ピリミジン殺虫剤は、ピランテルであって良い。置換フェノール殺虫剤は、ニトロキシニルであって良い。サリチルアニリド殺虫剤は、クロサンテル又はオキシクロザニドであって良い。ベンゾイミダゾール殺虫剤は、アルベンダゾール又はトリクラベンダゾールであって良い。駆虫剤としては、アベルメクチン(例えば、イベルメクチン)又はミルベマイシン(例えば、モキシデクチン)などの大環状ラクトンであって良い。有機ホスフェート殺虫剤は、ジクロトホス、テルブホス、ジメトエート、ジアジノン、ジスルホトン、トリクロルホン、アジンホス−メチル、クロルピリホス、マラチオン、オキシデメトン−メチル、メタミドホス、アセフェート、エチルパラチオン、メチルパラチオン、メビンホス、ホレート、カルボフェンチオン、ホサロン、ナフタロホス又はピラクロホスであって良い。カルバメート殺虫剤は、カルバリル、アルジカルブ又はカルボフランであって良い。ピレトロイド殺虫剤は、アレトリン、レスメトリン、ペルメトリン、デルタメトリン又はトラロメトリンであって良い。銅含有殺虫剤は、水酸化銅(II)、又は((Cu(OH)(SO))と混合した硫酸銅(II)オキシクロリド(すなわちCuCl(OH))であって良い。ネオニコチノイド殺虫剤は、イミダクロプリド、ニテンピラム又はジノテフランであって良い。
【0053】
更に、ある実施態様において、殺虫剤薬剤は、プレトリン殺虫剤、Bacillus thuringensi毒素、クロロベンジレート、シフルトリン、シペルメトリン、ジコホール、エンドスルファン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、λ−シハロトリン、メトキシクロル、硫黄、シクロジエン、リアニア、KT−199(抗寄生虫抗生物質)又はプラジカンテルである。
【0054】
昆虫成長調整剤は、キチン合成阻害剤又は幼若成長ホルモン類似体であって良い。ある実施態様において、昆虫生長調整剤は、アザジラクチン、ジオフェノラン、フェノキシカルブ、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、ピリプロキシフェン、テトラヒドロアザジラクチン、クロルフルアズロン、シロマジン、ジフルベンズロン、フルアズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テブフェノジド、テフルベンズロン及びトリフルムロンである。
【0055】
これら追加の殺虫剤は、製剤の効能及び持続性を最適化する量で存在することができる。特に、これらの追加の殺虫剤は、約0.05%から約80%まで存在して良い。好ましい実施態様においては、製剤中の追加の殺虫剤は、約30%〜約75%の量で存在するペルメトリンである。別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約5%〜約25%の量で存在するフィプロニルである。
【0056】
別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約0.05%〜約10%の量で存在するイベルメクチンである。別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約0.05%〜約10%の量で存在するアバメクチンである。別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約0.05%〜約10%の量で存在するモキシデクチンである。別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約0.05%〜約10%の量で存在するドラメクチンである。別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約0.05%〜約10%の量で存在するエプリノメクチンである。別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約0.05%〜約10%の量で存在するセラメクチンである。別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約1%〜約20%の量で存在するメトプレンである。別の好ましい実施態様においては、追加の殺虫剤は、約1%〜約20%の量で存在するS−メトプレンである。
【0057】
インドキサカルブ用の適切な溶媒の選択は、有効で持続性があり、そして外観上望ましい製剤の調製において重要な態様ではあるけれども、獣医学的に許容される様々な溶媒が本発明において有用である。本明細書で使われる「獣医学的に許容される溶媒」は、家畜に局所的に適用した場合に非毒性であり、そしてインドキサカルブを十分に溶媒和して溶液を形成することが可能な溶媒である。例えば、本発明の獣医学的に許容される溶媒は、家畜の皮膚層に発疹又は炎症を引き起こさない。獣医学的に許容される溶媒は、一般的に容易に発火しないものであり、又は発火した場合でも、急速に燃焼しないものである。獣医学的に許容される溶媒は、また該家畜に適用した後でベタベタしないものである。
【0058】
ある実施態様において、獣医学的に許容される溶媒は、0〜40、0〜20、又は0〜10の間の誘電率を有する。
【0059】
本発明に有用な獣医学的に許容される溶媒の例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリントリアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、安息香酸ベンジル、エチレングリコールモノブチルエーテル、乳酸エチル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、アセト酢酸エチル、2−ピロリジノン、ジメチルイソソルビド、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、炭酸プロピレン、フタル酸ジエチル、グリセリントリアセテート、酢酸ヘプチル、カプリル酸メチル/カプリン酸メチル、N,N−ジメチルカプリルアミド、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールジアセテート、酢酸メトキシプロピル、フルフリルアルコール、フタル酸ジブチル、N−メチルピロリジノン、グリセロールホルマール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンがある。
【0060】
ある好ましい実施態様において、インドキサカルブ用の獣医学的に許容される溶媒は、グリコールエーテル又はアセト酢酸エチルなどの酢酸アルキルである。ある特に好ましい実施態様において、獣医学的に許容される溶媒は、アセト酢酸エチル又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
【0061】
本発明のある製剤は、また補助剤、共溶媒、着色剤、界面活性剤、スプレッディングオイル(spreading oil)、酸化防止剤、光安定剤、懸濁剤、推進剤、増量剤及び/又は粘着性付与剤などの追加の薬剤を含んで良い。着色剤は、動物への使用が認可され、そして溶解又は懸濁可能な全ての着色剤である。局所製剤において特定の望ましい特性を達成するためのそのような追加の薬剤の選択及び使用は、当分野において公知である。
【0062】
光安定剤の例としては、ベンゾフェノン類からの物質又はノバンチソール酸がある。
【0063】
粘着性付与剤の例としては、セルロース誘導体、澱粉誘導体、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、及びアルギナート及びゼラチンなどの天然高分子がある。
【0064】
補助剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールペラルゴネート、シリコーン油、脂肪酸エステル、トリグリセリド及び脂肪族アルコールなどのスプレディングオイル(spreading oil)がある。例えば、ポア−オン(pour-on)及びスポット−オン(spot-on)製剤は、宿主動物の皮膚表面及び毛に急速に分配されるのを補助し、一般的にはスプレッディングオイル(spreading oil)と呼ばれている担体を有利に含んで良い。多くのスプレッディングオイル(spreading oil)/溶媒の組み合わせが好適であり、例えば、油状溶液;アルコール性及びイソプロパノール性溶液、例えば、2−オクチルドデカノール又はオレイルアルコールの溶液;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸オギサリルエステル、オレイン酸オレイルエステル、オレイン酸デシルエステル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、カプロン酸の鎖長C12〜C18の飽和脂肪族アルコールのエステルなどのモノカルボン酸エステル溶液;フタル酸ジブチル、イソフタル酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル等のジカルボン酸エステルの溶液、又は脂肪酸の、例えばグリコールエステル溶液がある。 製薬又は化粧品業界で公知の分散剤も、また存在することが有利であり得る。例としては、ピロリジン−2−オン、N−アルキルピロリジン−2−オン、アセトン、ポリエチレングリコール及びそのエーテル及びエステル、プロピレングリコール、又は合成のトリグリセリドがある。
【0065】
本発明の製剤は、ソルビタンモノラウレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエタノールアミン、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール及び/又はアセト酢酸エチルを更に含んで良い。
【0066】
有用なアニオン界面活性剤としては、ステアリン酸アルカリ塩、特にステアリン酸ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩;ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸トリエタノールアミン;アビエチン酸ナトリウム;硫酸アルキル;特にラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ナトリウムジオクチルスルホサクシネート;脂肪酸、特にココナツ油から誘導されたものが挙げられる。
【0067】
有用なカチオン界面活性剤としては、式NR’R’’R’’’R’’’’Y、ここで、R基は、場合によりヒドロキシル化した炭化水素基であり、そしてYはハライド、スルフェート及びスルホネートアニオンなどの強酸のアニオンである、の水溶性の第四級アンモニウム塩が挙げられ;セチルトリメチルアンモニウムブロミドは、使用可能なカチオン界面活性剤である。
【0068】
有用なカチオン界面活性剤としては、式NR’R’’R’’’、ここで、R基はH又は場合によりヒドロキシル化した炭化水素基である、のアミンがあり;オクタデシルアミン塩酸塩は、使用可能なカチオン界面活性剤である。
【0069】
有用なノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、特にPolysorbate 80、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ポリエチレングリコールステアレート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポログリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪族アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの共重合体が挙げられる。有用な両性界面活性剤としては、ベタインの置換ラウリル化合物が挙げられる。
【0070】
本発明の製剤におけるインドキサカルブの用量及び濃度は、製剤の効能及び持続性を最適化するように選択される。ある実施態様において、製剤中のインドキサカルブの濃度は、少なくとも100g/L、150g/L、又は200g/L;又は1〜50%(質量/容積)、5〜35%(質量/容積)、又は10〜20%(質量/容積)である。ある好ましい実施態様においては、濃度は、約200g/L、又は20%(質量/容積)である。ある適用においては(例えば、家畜がペットである場合)、濃度は、また製剤適用後の動物の好ましくないいかなる外観(例えば、インドキサカルブの白色結晶)をも最少化するように選択される。家畜に投与されるインドキサカルブの全量は、一般的には1〜50mg/kg体重、2〜25mg/kg体重、又は5〜15mg/kg体重である。
【0071】
ある実施態様において、製剤は、動物の背中に数か所又は背筋に沿って適用され、そして5〜20ml/100kg、又は10ml/100kgのように低用量で適用される。ある実施態様において、全容積は、動物当たり10〜150ml、時には50mlに限定される。例えば、動物に適用される容積は、動物の体重当たり、ネコの場合約0.3〜1mlであり、そしてイヌの場合0.5〜5mlである。
【0072】
ある実施態様において、獣医学的に許容される担体は、動物の皮膚の局部領域(例えば、スポット−オン(spot-on)タイプ適用においては両肩の間)に適用するために乳化液又は溶液の形態であっても良い。製剤は、動物上へのスプレー(sprayed)、ポア(poured)、スプレッド(spread)又はスポット(spotted)適用のための溶液、オイル、クリーム、軟膏又はその他適切な局所投与用流体製剤であって良い。ポア−オン(pour-on)及びスポット−オン(spot-on)製剤は、皮膚の限定された領域へ、ポア(pour)、スポット(spot)、又はスプレー(spray)により適用して良い。ポア−オン(pour-on)及びスポット−オン(spot-on)製剤は、皮膚が耐えることができる好適な溶媒又は溶媒混合物中に活性化合物を溶解し、懸濁し、又は乳化することにより調製することができる。この製剤は、動物上に局所的に及び局部的に適用される、室温で安定な、すぐ使用可能の溶液の形態であって良い。
【0073】
獣医学的に許容される乳化液は、油中水タイプ又は水中油タイプのどちらでも良い。それらは、インドキサカルブを疎水性相又は親水性相のどちらかに溶解し、好適な乳化剤、及び適切な場合、着色剤、吸収促進剤、保存剤、酸化防止剤、光安定剤及び/又は粘度増進物質などのその他の補助剤の助けを借りて、この相を他の相の溶媒で均一化することにより調製される。
【0074】
疎水性相(油)の例としては、パラフィン油;シリコーン油;ゴマ油、アーモンド油、ヒマシ油などの天然植物油類;カプリル酸/カプリン酸ビグリセリドなどの合成トリグリセリド類;鎖長C〜C12の植物脂肪酸又は他の具体的に選択される天然脂肪酸とのトリグリセリド混合物;ヒドロキシル基を有しても良い飽和又は不飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物;及びC/C10−脂肪酸のモノ及びジグリセリド類;ステアリン酸エチル、アジピン酸ジ−n−ブチリル、ラウリン酸ヘキシル、ジプロピレングリコールペラルゴネートなどの脂肪酸エステル類;中鎖長分枝状脂肪酸と鎖長C16〜C18の飽和脂肪族アルコールとのエステル類;ミリスチン酸イソプロピル;パルミチン酸イソプロピル;鎖長C12〜C18の飽和脂肪族アルコールのカプリル酸/カプリン酸エステル類;ステアリン酸イソプロピル;オレイン酸オレイル;オレイン酸デシル;オレイン酸エチル;乳酸エチル;フタル酸ジブチル、アジピン酸ジイソプロピルなどのワックス状脂肪酸エステル類;後者に関連するエステル混合物;及びイソトリデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、セチルステアリルアルコール及びオレイルアルコールなどの脂肪族アルコール類が挙げられる。
【0075】
親水性相の溶媒としては、水、アルコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール及びそれらの混合物が挙げられる。乳化剤としては、ノニオン界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレン化ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノステアレート、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、アルキルフェノールポリグリコールエーテル;ジナトリウムN−ラウリル−β−イミノジプロピオネート、又はレシチンなどの両性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪族アルコールエーテルスルフェートなどのアニオン界面活性剤;モノ/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトリン酸エステルのモノエタノールアミン塩;セチルトリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0076】
有用な粘度増進物質及び乳化液を安定化させる物質としては、カルボキシメチルセルロール、メチルセルロース、及びその他セルロース及び澱粉誘導体、ポリアクリレート、アルギネート、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリボニルアルコール;メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体;ポリエチレングリコール、ワックス、コロイダルシリカ、又は上記物質の混合物が挙げられる。
【実施例】
【0077】
本発明の物質及び方法を、以下の実施例により更に説明する。これらの実施例は、説明のために提供されるが、特許請求された発明を限定するものではない。
【0078】
〔実施例1〕
ジメチルイソソルビド及びプロピレングリコールモノメチルエーテルを含むインドキサカルブ局所投与を用いるノミに対するイヌの用量応答研究
非盲検の、前向きの、長期間の、人為的に侵入させた寄生虫効能の家畜研究を、完全に無作為化した実験計画(品種及び処置前ノミカウント数に基づいて格付け及びブロッキングした)で実施した。それぞれ6匹ずつのイヌの5つの処置グループ、及び1つの未処置の対照グループを用いた。
【0079】
33匹の成犬(ラブラドールレトリーバー及びジャックラッセルテリヤ)を採用し、臨床検査し、体重を測定し、同定し、そして−7日目に研究用家畜に割り付けた。それぞれのイヌには、−5日目に100匹のノミ(Ctenocephalides felis)を人為的に侵入させ、そして−2日目に再び侵入させた。−1日目にノミの親指カウントを全てのイヌで実施し、そして30匹のイヌを試験対象動物として選択した。これらのイヌは、品種とノミのカウント数を基準にして、6匹ずつの5つの同様のグループに割り付け、そしてそれらのグループを研究用家畜に割り付けた。0日目に、グループB、C、D及びEを、ジメチルイソソルビド(DMI)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合物(ジメチルイソソルビド(DMI)90容量%及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10容量%)に溶解したインドキサカルブ(DPX−K128)を含み、インドキサカルブ(DPX−K128)の全濃度75、100、125又は150g/Lを形成する様にした局所製剤で処置した。製剤を調製するための出発物質は、DPX−K128及びDPX−K127(式1のR異性体)の混合物であり、そして70.43%のインドキサカルブ(DPX−K128)を含んでいた。従って、1gのインドキサカルブ(DPX−K128)には、この混合物1.42gが用いられた。この製剤を、スポット−オン(spot-on)適用により(即ち、動物の表面積の10%未満か又はこれと同等に、液体の形態で適用して)、0.1mL/1kgの割合で背中の中央線に沿って投与した。グループAは、対照として未処置のままとした。グループBは7.5mg/kg、グループCは10.0mg/kg、グループDは12.5mg/kg、そしてグループEは15.0mg/kgの用量で投与された。
【0080】
24時間後にノミの親指カウントを実施した。処置後48時間時点でノミの櫛カウントを実施し、次いで全てのイヌをCapstar(登録商標)経口錠剤(Nitenpyram、Novartis Animal Health)で処置し、全てのノミを次の侵入前に除去した。処置後7、14、21及び28日時点で、動物に100匹の成虫ノミを再度侵入させた。各侵入の24時間後にノミの櫛カウントを行い、次いでCapstarで処置した。
【0081】
処置後初めの48時間において、グループD(12.5mg/kg)及びグループE(15.0mg/kg)は、24時間時点でノミ侵入の99.0%及び100%低減を、そして48時間時点で100%及び99.4%の低減をそれぞれ示した。グループB(7.5mg/kg)及びC(10.0mg/kg)も、また卓越したノックダウン効能を示し、24時間時点で両者共97.9%の低減を、そして48時間時点で99.4%及び100%の低減をそれぞれ達成した。
【0082】
全ての4つのグループは卓越した持続性の効能を示し、処置後29日目まで、48時間時点のカウントから100%又はそれに近い低減(全て≧99%)であった。
【0083】
〔実施例2〕
洗浄の持続性への影響
上記実施例1に記載した研究の完了時に、グループEにおける6匹のイヌを用いて、洗浄の研究を更に2週間実施した。
2週間の間、グループEからの6匹のイヌのうちの4匹を、週に2回、殺虫剤を用いない水浴で洗浄し、一方、グループEからの残りの2匹のイヌは、洗浄せずに対照として用いた。処置後43日目に、6匹のイヌに100匹のノミを侵入させ、次いで44日目に、それらのノミ侵入を保持する能力を櫛カウントにより評価した。結果を下の表1に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
これらの結果は、全てのイヌは低いノミカウント数を有し、侵入したノミの保持に抵抗性であり、4回の完全なシャンプー水浴洗浄の後でさえ、44日時点でも卓越した持続性を示唆することを示した。
【0086】
〔実施例3〕
インドキサカルブ15mg/kgの局所投与製剤を用いたノミに対するイヌの効能研究
この研究は、非盲検の、前向きの、長期間の、無作為化臨床効能の家畜研究であり、それぞれ3匹ずつのイヌのグループを使い、各グループは、5回の処置、4回の試験製剤の処置、及びネガティブ対照(未処置)のうちの1つを受けた。動物を、品種及び処置前のノミカウント数に基づいて格付けし、次いで無作為にブロックからグループに割り付けた。動物には人為的にノミを侵入させ、そして標準化した方法に従って寄生虫カウントを実施した。
【0087】
20匹の成犬(ラブラドールレトリーバー及びジャックラッセルテリヤ)を、−6日目に研究に採用し、−4日目にそれぞれ人為的に100匹のノミ(Ctenocephalides felis)を侵入させた。−1日目にノミカウントを実施し、18匹のイヌを試験対象動物として選択した。イヌを、品種とノミカウント数に基づいて3匹ずつの動物から成る6つの同様のグループに無作為に割り付け、そしてグループを無作為に研究用家畜に割り付けた。各々のイヌに、再び100匹のノミを侵入させた。−1日目に、ノミカウントを再び全てのイヌで実施した。0日目に、グループB、C、D及びEを、以下の表2に示すインドキサカルブ(DPX−KN128)(15mg/kg)を含む4種の異なる局所投与製剤の内の1つで処置した。製剤の出発物質は、シリカ上のDPX−KN128:DPX−KN127=3:1の混合物であった。この物質は、56.2%のインドキサカルブ(DPX−KN128)を含んでいた。従って、1ミリグラムのインドキサカルブ(DPX−KN128)当たり、1.78ミリグラムのこの混合物が使用された。製剤は、首の付け根から両肩にかけて、スポット−オン(spot-on)投与で適用された。グループB、C及びDの賦形剤は、ジメチルイソソルビド(DMI)であり、そしてグループEの賦形剤は、ポリビニルピロリドン(40g/L);エトキシ化ヒマシ油(47g/L);エタノール(33g/L)であり、これを1−メチル−2−ピロリドンで所定の容量に希釈した。グループAは、未処置のままであった。
【0088】
【表3】
【0089】
処置後24時間及び48時間時点で、ノミカウントを実施した。処置後7、14、21、28、35及び42日目にノミの侵入を繰り返し、それぞれの侵入後、24及び48時間時点でノミカウントを実施した。
【0090】
全ての製剤を用いた処置は、処置後44日の間卓越したノミの制御(100%又はそれに近い低減)をもたらしたが、例外として、グループBでは処置後37日の間卓越した制御が観察された。これらの結果を表3に示す。
【0091】
【表4】
【0092】
〔実施例4〕
代表的な製剤
以下の表4に、いくつかの調製された局所投与製剤のリストを提示する。
【表5】
【0093】
【表6】
【0094】
〔実施例5〕
イヌに適用した場合のインドキサカルブを含む局所溶液の安全性、外観及び流失の潜在性能の評価
成犬のビーグル犬に適用後の、各種のインドキサカルブの局所溶液の安全性、外観及び流失の潜在性能を評価するため、一連の研究を実施した。表5で説明した全ての実験に対して、10〜20kgの体重のオス及びメスイヌを、無作為にそれぞれの製剤グループに割り付けた。投与容量1.5mLを各イヌに適用したが、これはインドキサカルブ15mg/kg体重の最少用量を送達した。適用時に、処置部位の毛を切断し、製剤を肩甲骨の間の皮膚の1個所に直接適用した。次いで、適用部位及び毛について、溶液の広がり、残留物及び水分の兆候を綿密に観察し、そして処置の後(5、15、30、60及び180分及び24時間後)、いずれかの量の溶液が動物から流失したかどうかを測定した。処置部位に近接した皮膚及び毛について、処置後24時間時点で何か副作用が生じたかどうかを調べた。
【0095】
表5に、16の別々の実験で試験された製剤の成分リストを示す。研究番号X07−055−12(6匹のイヌ/製剤)並びに研究番号X07−055−13及びX07−055−14(36匹のイヌ/製剤)を除いて、各製剤は、それぞれの研究当たり4匹のイヌに適用された。
【0096】
全ての製剤は安全であり、そして処置したイヌの皮膚及び毛に副作用は何も発生しなかった。製剤V、Z、AB、AC、AE、AF、AG及びAHは、市販のスポット−オン(spot-on)処置の好ましい特性を有していることが確認された。これらの好ましい特性としては:適用時に滴り又は流出が起こらないこと、適用部位の乾燥時及び比較的急速乾燥時に、残留物又は結晶の発生が最小限であることが挙げられる。望ましい特性が最も少なかった(即ち、滴り/流出、残留物及び水分の発生)製剤は、製剤C、E、G、J、Q及びSであった。残りの製剤の特性は中間であった。
【0097】
【表7】
【0098】
【表8】
【0099】
【表9】