【課題を解決するための手段】
【0006】
リング型発電機のステータに関するステータセグメントに関する課題は、ステータが、ベースエレメントと、ベースエレメントに取付けられているコイルエレメントとを有し、ベースエレメントは接続領域を有し、接続領域はステータセグメントを別のステータセグメントに接続する接続コイルエレメントの取付けに適合されていることにより解決される。
【0007】
ステータ装置に関する課題は、ステータ装置が、請求項1から5までのいずれか1項記載のステータセグメントと、接続コイルエレメントとを有し、接続コイルエレメントは固定領域および調整可能領域を有し、接続コイルエレメントの固定領域はステータセグメントの接続領域に固定されており、調整可能領域は、別のステータセグメントの別の接続領域に取付けられるよう、別のステータセグメントの別の接続領域について調整されていることにより解決される。
【0008】
リング型発電機用のステータに関する課題は、ステータが、請求項6から8までのいずれか1項記載の少なくとも1つのステータ装置と、請求項1から5までのいずれか1項記載のステータセグメントとを有し、ステータ装置およびステータセグメントは、ステータ装置の接続領域およびステータセグメントの接続領域に接続されている接続コイルエレメントによって接続されていることにより解決される。
【0009】
リング型発電機のステータのステータセグメントの製造方法に関する課題は、この方法が、コイルエレメントをベースエレメントに取付けるステップと、接続ステータセグメントを別のステータセグメントに接続する接続コイルエレメントが取付け可能であるように、ベースエレメントの接続領域を成形するステップとを有することにより解決される。
【0010】
本発明の第1の実施例によれば、リング型発電機のステータに関するステータセグメントが提供される。ステータセグメントはベースエレメントと、このベースエレメントに取り付けられているコイルエレメントとを有する。ベースエレメントは接続領域を有する。接続領域はステータセグメントを別のステータセグメントに接続するための接続コイルエレメントの接続に適合されている。
【0011】
別の実施例によれば、ステータ装置はステータセグメントおよび接続コイルエレメントを有する。接続コイルエレメントは固定領域および調整可能領域を有する。接続コイルエレメントの固定領域はステータセグメントの接続領域に固定されている。調整可能領域は別のステータセグメントの別の接続領域について調整されているので、調整可能領域を別のステータセグメントの接続領域に取り付けることができる。
【0012】
別の実施例によれば、リング型発電機用のステータが提供される。ステータは上述のステータ装置のうちの少なくとも1つおよび上述のステータセグメントのうちの少なくとも1つを有する。ステータ装置およびステータセグメントは、ステータ装置の接続領域およびステータセグメントの接続領域に取り付けられている接続コイルエレメントによって接続されている。
【0013】
別の実施例によれば、リング型発電機用のステータのステータセグメントの製造方法が提供される。コイルエレメントがベースエレメントに取り付けられる。ベースエレメントの接続領域は、ステータセグメントを別のステータセグメントに接続する接続コイルエレメントが取り付け可能であるように成形されている。
【0014】
「ベースエレメント」という用語はステータセグメントの平坦な部分またはリング形状の部分を意味する。ベースエレメントを積層材料または金属のような剛性材料から構成することができる。リング型発電機の総重量を低減するために、ベースエレメントを軽構造に成形することができる。
【0015】
「コイルエレメント」という用語は1つの導体または複数の導体を意味する。各導体は閉じられたループを形成しているので、ステータの内側でのロータの回転によって、電磁誘導に基づいた電力を生成することができる(ローレンツ力)。コイルエレメントを複数の単一導体から形成することができ、それらの単一導体は例えば樹脂のようなラミネートに挿入され、良好な絶縁と衝撃保護が提供される。これは樹脂リッチ技術(resin rich technology)によってなされる。
【0016】
「接続コイルエレメント」という用語は、2つのステータセグメント間に挿入されている上述のコイルエレメント、殊にループを形成している少なくとも1つの導体を表す。接続コイルエレメントは少なくとも1つのステータセグメントに固定的に取り付けられている。
【0017】
従来の風力発電機において、リング型発電機のステータには大きい直径が設けられている。大抵の場合は、ステータを複数のステータ部分に分解し、それらのステータ部分を個別に移送しなければならない。ステータ部分は運転地において組立てられなければならない。次いで、ステータ部分が組立てられると、導体がステータ部分の表面に取り付けられ、各導体によってそれぞれのステータコイルを形成することができる。したがってインシトゥーで、すなわちステータの運転地において、それらのステータ部分の時間の掛かる設置作業が行われなければならない。つまり、ステータ部分を慣例のステータに組立てた後に、時間の掛かるコイルの導体のはんだ付けならびに緊張を含む、いわゆるコイル作業が実施されなければならない。さらには、導体(すなわち自由銅端部)のはんだ付けおよび緊張が完了した後に、はんだ付け作業後の含浸処理が実施されなければならず、このことは完成したステータの運転地での設置作業を増やすことにもなる。
【0018】
本発明によれば、既に事前に組立てられたコイルエレメントを含む、ステータセグメントおよびステータ用のステータ装置が提供される。すなわち、コイルエレメントが必要とされる全ての接続部およびインタフェースを既に有しており、また既に定義済みで事前決定された形状を有するようにコイルエレメントはステータセグメントに取り付けられている。さらにはステータセグメントが相互接続されるように、ステータセグメントは接続領域を有し、この接続領域は接続コイルエレメントの収容および取り付けに適合されている。このことは、ステータセグメントのベースエレメントにおける接続領域に接続コイルエレメントを取り付け可能であることを意味している。接続コイルエレメントの一部がそれ自体の固定領域を用いて接続領域に固定されるように、この接続コイルエレメントを接続領域に取り付けることができる。また接続コイルエレメントは別のステータセグメントの接続領域について調整されている調整可能領域を有する。したがって、ステータセグメント(または接続コイルエレメントを有するステータ装置)を製造地において事前に組立て、次いで運転地において、僅かな付加的なコイル作業で別のステータセグメントに接続することができる。換言すれば、接続コイルエレメントは調整された領域を備えた突出領域を形成し、この突出領域を簡単且つ迅速にロータの別の取り付け可能なステータセグメントに取り付けることができる。
【0019】
したがって、本発明によれば、複数のステータセグメントおよびステータ装置の構造キットを提供することができ、はんだ付けや緊張のような時間の掛かる設置作業を要することなく、各ステータセグメントまたは装置を運転地において簡単且つ迅速に取り付けることができる。各ステータセグメントおよびステータ装置は独立した別個の構成素子を形成する。したがって、リング型発電機の移送中または設置場所において困難な問題が生じることなく、リング型発電機用のステータに大きい直径を備えさせることができる。
【0020】
別の実施例によれば、ベースエレメントはコイルエレメントが取り付けられる巻線スロットを有する。巻線スロットをベースエレメントの一方の側において例えば平削りによって形成することができる。巻線スロット(巻線溝)の内側にコイルエレメントを挿入することができる。したがってコイルエレメントの形状を巻線スロットの形状によって規定することができる。さらに、巻線スロットの内側にコイルエレメントが確実に設置される。すなわち、コイルエレメントを、例えば外部からの衝撃から保護することができる。
【0021】
別の実施例によれば、接続領域は接続コイルエレメントの収容に適した接続スロットを有する。
【0022】
別の実施例によれば、接続領域は複数の接続コイルエレメントの収容に適した複数の接続スロットを有する。接続スロットは接続コイルエレメントを収容するためのベースエレメントの接続領域内に溝またはスロットを形成することができる。したがって、別の接続コイルエレメントの突出した調整可能領域をステータセグメントの接続スロットに掛けることができるか、ヒンジ式に取り付けることができる。つまり接続コイルエレメントを、接続スロットの形状によって定義された、所定の位置ならびに形状でステータセグメントに固定的に取り付けることができる。それによって、運転地における組立て作業中の接続スロットおよびこの接続スロットの別の電気的な接続部の形状のアラインメントおよび調整のようなさらなる組立て作業を省略することができる。さらには、1つより多くの接続スロットを設けることもできるので、1つより多くの接続コイルエレメントを備えた別のステータセグメントをステータセグメントに取り付けることができる。
【0023】
別の実施例によれば、ベースプレートは複数の接続領域を有する。ベースエレメントの各々側に接続領域を形成することができるので、各々の側に別のステータセグメントを取り付けることができる。したがって、例えば、接続スロットが設けられている接続領域を有するステータセグメントを成形することができ、各側に別のステータセグメントからの別の接続コイルを取り付けることができる。換言すれば、ステータセグメントをメスコネクタとして設けることができる。メスコネクタとして成形されているステータセグメントは、接続コイルを有するステータ装置よりも簡単に形成することができるので、ステータセグメントの製造時間を短縮することができる。
【0024】
別の実施例によれば、ステータ装置は複数の接続コイルエレメントを有する。複数の接続コイルエレメントのそれぞれの固定領域はステータセグメントの接続領域に固定されている。複数の接続コイルエレメントのそれぞれの調整可能領域は別のステータセグメントの別の接続領域について調整されているので、調整可能領域を別のステータセグメントの接続領域に取り付けることができる。本発明の実施例により、複数の接続コイルエレメントは例えばステータ装置とステータセグメントとの間の溝を覆っている。したがって、溝を覆うことによって、機械的な回転から電力へのより効率的な変換を提供することができる。
【0025】
別の実施例によれば、ステータ装置は別のコイルエレメントを有する。コイルエレメントと別のコイルエレメントとが重畳領域を形成するように配置されており、この配置によりコイルエレメントは別のコイルエレメントと重畳する。したがって、コイルエレメントおよび/または接続コイルエレメントが重畳する場合には、ステータの改善された効率を提供することができる。さらにはコイルエレメントループの直径を拡大することができる。何故ならば、コイルエレメントループは隣接する巻線スロットへの配置に制限されずに、間隔を置いた巻線スロット内に配置することもできるからである。したがって、適切な効果を提供することができる。
【0026】
本方法の別の実施例によれば、接続コイルエレメントは固定領域を用いて接続領域に取り付けられている。接続コイルエレメントの調整可能領域は別のステータセグメントの別の接続領域について調整されているので、調整可能領域は別のステータセグメントの接続領域に取り付け可能である。接続コイルの調整可能領域が既に製造過程中に調整されていれば、ステータセグメントおよび別のステータセグメントの組立て時における接続コイルのさらなる調整はもはや必要ない。すなわち、接続コイルエレメントの調整可能領域を例えば、接続コイルが簡単なやり方で別のステータセグメントの別の接続領域に掛けられることによって、発電機の運転地において別のステータセグメントに取り付けることができる。したがって設置場所における複数のステータセグメントの簡単且つ迅速な取付け方法を提供することができる。
【0027】
本発明の別の実施例によれば、接続コイルエレメントの調整可能セクションを調整するステップはダミー接続領域が設けられているダミーセグメントをステータセグメントに取り付けるステップを含む。接続コイルエレメントの調整可能領域はダミー接続領域に取り付けられる。接続コイルエレメントの調整可能領域はダミー接続領域について調整されている。ダミー接続領域は別のステータセグメントの別の接続領域と同じ幾何学的な寸法を有する。本方法の実施例によって、ダミー接続領域が設けられているダミーセグメントを使用することができ、ダミーセグメントは接続コイルエレメントの調整過程中に雛形として機能するので、正確に寸法設計された接続コイルエレメントを製造地において製造することができる。つまり、接続コイルエレメントの調整可能領域をアライメントおよび調整するために、2つのステータセグメントを製造過程中に接続する必要はない。これにより製造コストおよびスペースを削減することができる。
【0028】
別の実施例によれば、接続領域は接続コイルエレメントの少なくとも一部と同じ幾何学的な寸法を有するツールエレメントについて調整されている。したがって、ツールエレメントを使用することによって、接続領域、例えば接続スロットを接続コイルエレメントの調整可能領域の所定の形状について簡単且つ廉価に調整することができる。
【0029】
接続領域および接続コイルの成形後にツールエレメントおよびダミーセグメントを取り外すために、ダミーセグメントもツールエレメントもテフロン、ポリプロピレンまたは含浸材料に対して非粘着特性を提供する他の材料によって覆われている鋼のような材料を含むことができる。
【0030】
別の実施例によれば、調整された接続コイルエレメントを備えたステータセグメントが含浸され、それにより調整された接続コイルの調整された形状が固定される。ステータセグメントの含浸によって、ステータセグメントおよび調整された接続コイルエレメントを外部の衝撃から保護することができる。さらには、接続コイルエレメントの調整された形状を含浸材料によって固定することができるので、例えば、調整された接続コイルエレメントの移送中の変形を阻止することができる。
【0031】
本発明によって、大きい直径が設けられているステータを有するリング型発電機を複数のステータセグメントおよびステータ装置から構成することができる。ステータセグメントに例えばコイルエレメントを事前に取付けることができ、運転地におけるステータセグメントの組立ては、大部分のマニュアル作業を要することなく容易になる。したがって、コイルはステータセグメントのベースプレート(例えば積層セグメント)内に事前に組立てられており、また事前定義された位置に固定されている。ステータの電磁効果を改善するために、少なくとも1つの接続コイルエレメントは組立てられた状態の2つのステータセグメント間の溝に架橋されている。
【0032】
本発明によれば、個々のステータセグメントをステータの完全に独立したサブコンポーネントとしてそれぞれ処理および製造することができる。
【0033】
接続コイルエレメントの調整可能な領域における接続コイルエレメントの所望の長さおよび形状を提供するために、ステータセグメントの隣に一次的に取り付けられるダミーセグメントを製造過程中に一時的にステータセグメントに取り付けることができる。一時的なダミーセグメントは別のステータセグメントと同じ形状を有することができる。したがって、ダミーセグメントは例えば少なくとも1つの溝を有し、この溝は別のステータセグメントに類似する幾何学的な寸法を有する。次に接続コイルをダミーセグメントおよびステータセグメントの接続領域内に配置し、調整することができる。
【0034】
コイルエレメントの取り付けおよび接続コイルエレメントの成形が完了した後、すなわち巻付けが完了した後では、緊張およびはんだ付けは全て完了している。次いで、ステータセグメントを含浸することができる。例えば、真空圧力含浸VPIによって含浸が完了した後では、コイルエレメントおよび接続コイルエレメントの形状を固定することができ、また一時的なダミーセグメントおよびツールエレメントをステータセグメントから取り外すことができる。
【0035】
最後に、ステータセグメントには必要とされる全てのコイルエレメントおよび/または接続コイルエレメントが事前実装された状態で設けられている。接続コイルエレメントを有する場合には、接続コイルエレメントの調整可能領域はさらに適切な長さおよび形状を備える。含浸に起因して、接続コイルエレメントおよびコイルエレメントはシーリングもされる。
【0036】
ツールエレメントが接続領域、例えば接続スロットに挿入されている場合、ツールエレメントはシーリングプロセス後または含浸プロセス後に取り外されるので、それぞれの接続スロットの溝は完全に空になり、含浸材料によって汚染されることもない。さらにはスロットを保護するために、ツールエレメントがステータセグメントの移送過程中に取り付けられたままでもよい。
【0037】
本発明の実施形態を種々の対象に関して説明したことを言及しておく。殊に、幾つかの実施形態は装置を特定する請求項に関して説明したが、その他の実施形態は方法を特定する請求項に関して説明した。しかしながら当業者であれば、前述の記載および後述の記載から、ことわりが無い限り、1つの対象に関連する特徴のあらゆる組み合わせの他に、それとは異なる対象に関連する複数の特徴の組み合わせ、殊に装置を特定する請求項に記載の特徴と、方法を特定する請求項に記載の特徴の組み合わせも本願の開示内容と見なせることが分かる。
【0038】
上記において定義した本発明の態様および別の態様は以下において説明する実施例より明らかになり、また実施例を参照しながらそれらを説明する。以下では実施例を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。