【実施例】
【0100】
(実施例1)
(3,7−ジオールの保護)
【0101】
【化24】
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−オキソエポチロンD
(化合物(2);R=Me;P=Et
3Si)
クロロトリエチルシランを、9−オキソエポチロンDおよび2,6−ルチジンの溶液(ジクロロメタン中)に周囲温度で添加し、そして有機合成分野において公知の方法(例えば、薄層クロマトグラフィー(「TLC」)または液体クロマトグラフィー(「LC」)によるモニタリング)を用いて決定されるように、その反応が実質的に完了するまで(代表的には、一晩)、攪拌する。次いで、この生成物溶液をジクロロメタンで希釈し、そして水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(「sat.aq.NaHCO
3」)、およびブラインで順次洗浄し、そして次いで硫酸マグネシウム(「MgSO
4」)で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。所望の生成物を、適切な溶媒系(例えば、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配のような)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0102】
(実施例2)
(3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−オキソエポチロンD)
(化合物(2);R=Me;P=
tBuMe
2Si)
上記実施例1に提供した詳細と同様に、tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートを、9−オキソエポチロンDおよび2,6−ルチジンの溶液(ジクロロメタン中)に周囲温度で添加し、そして一晩攪拌する。この混合物を、ジクロロメタンで希釈し、そして水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0103】
(実施例3)
(3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9−オキソエポチロンD)
(化合物(2);R=Me;P=CO
2CH
2CCl
3)
【0104】
【化25】
9−オキソエポチロンD(80mg)の溶液(1.5mLのピリジン中)を、2,2,2−トリクロロエチルクロロフォーメート(134mg)で、周囲温度で16時間処理した。この混合物を、酢酸エチルで希釈し、sat.NH
4Clおよびブラインで続いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、そしてエバポレートした。シリカゲルクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/ヘキサン)は、162mgの生成物を生じた。
【0105】
(実施例4)
(3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−8−エピ−9−オキソエポチロンD)
【0106】
【化26】
9−オキソ−8−エピ−エポチロンD(0.100g、0.198mmol)の溶液(ピリジン(2.0ml)中)に、2,2,2−トリクロロエチルクロロフォーメート(0.27ml、0.420g、1.980mmol)、次いでジメチルアミノピリジン(0.002g、0.020mmol)を添加した。得られる溶液を、周囲温度で14時間攪拌し、その後、酢酸エチル(20ml)とsat.aq.NaHCO
3(20ml)との間で分配した。有機物を、sat.aq.NH
4Cl(2×20ml)およびブライン(20ml)でさらに洗浄し、その後、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、そして減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40%酢酸エチル−ヘキサン)により、生成物を無色のオイルとして得た(0.125g、74%)。
【0107】
(実施例5)
(II.経路1:ケト還元および脱離)
【0108】
【化27】
(工程1.ケト還元)
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−ヒドロキシエポチロンD)
(化合物(3);R=Me;P=Et
3Si;X=S)
0℃で3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−オキソエポチロンDの溶液(メタノール中)に、1当量の水素化ホウ素ナトリウムを添加する。この溶液を0℃で40分間攪拌し、その後、sat.aq.NH
4Clを添加する。この有機物を酢酸エチルで抽出して合わせ、その後乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、そして減圧下で濃縮する。カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc−ヘキサン)により、生成物を得る。
【0109】
(実施例6)
(3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−ヒドロキシエポチロンD)
(化合物(3);R=Me;P=
tBuMe
2Si;X=S)
0℃で3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−オキソエポチロンDの溶液(メタノール中)に、1当量の水素化ホウ素ナトリウムを添加する。この溶液を0℃で40分間攪拌し、その後、sat.aq.NH
4Clを添加する。この有機物を酢酸エチルで抽出して合わせ、その後乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、そして減圧下で濃縮する。カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc−ヘキサン)により、生成物を得る。
【0110】
(実施例7)
(3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9−ヒドロキシエポチロンD)
(化合物(3);R=Me;P=CO
2CH
2CCl
3;X=S)
【0111】
【化28】
0℃で3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9−オキソエポチロンDの溶液(メタノール中)に、1当量の水素化ホウ素ナトリウムを添加する。この溶液を0℃で40分間攪拌し、その後、sat.aq.NH
4Clを添加する。この有機物を酢酸エチルで抽出して合わせ、その後乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、そして減圧下で濃縮する。カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc−ヘキサン)により、3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9−ヒドロキシエポチロンDを得る。
【0112】
(実施例8)
(3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル−8−エピ−9−ヒドロキシエポチロンD)
【0113】
【化29】
0℃で3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−8−エピ−9−オキソエポチロンD(0.125g、0.131mmol)の溶液(メタノール(2.0ml)中)に、水素化ホウ素ナトリウム(0.005g、0.131mmol)を添加した。この溶液を0℃で40分間攪拌し、その後、sat.aq.NH
4Cl(15ml)を添加した。この有機物を酢酸エチル(3×15ml)で抽出して合わせ、その後乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、そして減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、20%EtOAc−ヘキサン)により、3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシ−カルボニル)−8−エピ−9−ヒドロキシエポチロンDを無色のオイルとして得た。
【0114】
(実施例9)
(工程2.活性化)
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−(メタンスルホニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(4):R=Me;P=Et
3Si;X=S;Y=MeSO
2O)
塩化メタンスルホニルを、3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−ヒドロキシ−エポチロンDおよび4−(ジメチルアミノ)ピリジンの溶液(ジクロロメタン中)に添加する。12時間攪拌した後、混合物をジクロロメタンで希釈し、そして水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0115】
(実施例10)
(3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−(メタンスルホニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(4);R=Me;P=
tBuMe
2Si;X=S;Y=MeSO
2O)
塩化メタンスルホニルを、3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−ヒドロキシエポチロンDおよび4−(ジメチルアミノ)ピリジンの溶液(ジクロロメタン中)に添加する。12時間攪拌した後、混合物をジクロロメタンで希釈し、そして水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0116】
(実施例11)
(3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9−(メタンスルホニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(4);R=Me;P=CO
2CH
2CCl
3;X=S;Y=MeSO
2O)
塩化メタンスルホニルを、3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシ−カルボニル)−9−ヒドロキシエポチロンDおよび4−(ジメチルアミノ)ピリジンの溶液(ジクロロメタン中)に添加する。12時間攪拌した後、混合物をジクロロメタンで希釈し、そして水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4上で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0117】
(実施例12)
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(4);R=Me;P=Et
3Si;X=S;Y=CF
3SO
2O)
ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)を、3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−ヒドロキシエポチロンDの溶液(THF中)に−78℃で滴下により添加する。30分後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を滴下により添加し、そしてこの混合物を周囲温度にまで暖める。この混合物をエーテルに希釈し、そして水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、さらに精製することなく使用する。
【0118】
(実施例13)
(3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(4);R=Me;P=
tBuMe
2Si;X=S;Y=CF
3SO
2O)
ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)を、3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−ヒドロキシエポチロンDの溶液(THF中)に−78℃で滴下により添加する。30分後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を滴下により添加し、そしてこの混合物を周囲温度にまで暖める。この混合物をエーテルに希釈し、そして水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、さらに精製することなく使用する。
【0119】
(実施例14)
(3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(4);R=Me;P=CO
2CH
2CCl
3;X=S;Y=CF
3SO
2O)
ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)を、3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9−ヒドロキシエポチロンDの溶液(THF中)に−78℃で滴下により添加する。30分後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を滴下により添加し、そしてこの混合物を周囲温度にまで暖める。この混合物をエーテルに希釈し、そして水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、さらに精製することなく使用する。
【0120】
(実施例15)
(工程3.脱離)
(メシレート脱離を介した3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(5);R=Me;P=Et
3Si;X=S)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−(メタンスルホニルオキシ)エポチロンDの溶液(THF中)を−78℃に冷却し、そしてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)1当量で処理する。この混合物を周囲温度にまで暖め、そして次いでsat.aq.NH
4Clに注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0121】
(実施例16)
(3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(5);R=Me;P=
tBuMe
2Si;X=S)
3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−(メタンスルホニルオキシ)エポチロンDの溶液(THF中)を−78℃に冷却し、そしてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)1当量で処理する。この混合物を周囲温度にまで暖め、そして次いでsat.aq.NH
4Clに注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0122】
(実施例17)
(3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(5);R=Me;P=CO
2CH
2CCl
3;X=S)
3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9−(メタンスルホニルオキシ)エポチロンDの溶液(THF中)を−78℃に冷却し、そしてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)1当量で処理する。この混合物を周囲温度にまで暖め、そして次いでsat.aq.NH
4Clに注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0123】
(実施例18)
(トリフレート脱離を介した3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(5);R=Me;P=Et
3Si;X=S)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)エポチロンDの溶液(THF中)を0℃で2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジンで処理する。この混合物を周囲温度にまで暖め、そして次いでsat.aq.NH
4Clに注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を水、冷1N HCl、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0124】
(実施例19)
(工程4.脱保護)
(9,10−デヒドロエポチロンD(P=Et
3Siを介する))
(化合物(6);R=Me;X=S)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロエポチロンDの溶液(アセトニトリルおよび水中)を氷上で冷却し、そして48%フッ化水素酸で処理する。この反応を、薄層クロマトグラフィーによってモニタリングする。完了の際に、sat.aq.NaHCO
3の添加により反応を中和し、そして濃縮して水性スラリーにする。このスラリーを酢酸エチルで抽出し、そしてこの抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0125】
(実施例20)
(9,10−デヒドロエポチロンD(P=
tBuMe
2Siを介する))
(化合物(6);R=Me;X=S)
3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9,10−デヒドロエポチロンDの溶液(アセトニトリルおよび水中)を氷上で冷却し、そして48%フッ化水素酸で処理する。この反応を、薄層クロマトグラフィーによってモニタリングする。完了の際に、sat.aq.NaHCO
3の添加により反応を中和し、そして濃縮して水性スラリーにする。このスラリーを酢酸エチルで抽出し、そしてこの抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0126】
(実施例21)
(9,10−デヒドロエポチロンD(P=CO
2CH
2CCl
3を介する))
(化合物(6);R=Me;X=S)
亜鉛粉末を室温で3,7−ビス−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−9,10−デヒドロエポチロンDの溶液(酢酸およびテトラヒドロフランの混合物中)に添加する。溶液を室温で1時間攪拌し、その後、さらなる亜鉛を添加し、一晩室温で攪拌する。この溶液を酢酸エチルと水との間で分配し、そして水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機物をブラインで洗浄し、そして乾燥し(Na
2SO
4)、その後減圧下で濃縮する。ヘキサン中酢酸エチル勾配を用いるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、9,10−デヒドロエポチロンDを得る。
【0127】
(実施例22)
(III.経路2:熱分解脱離)
【0128】
【化30】
(工程1.活性化)
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−((メチルチオ)チオカルボニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(7);R=Me;P=Et
3Si;X=S;Y=S−Me)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−ヒドロキシエポチロンDの溶液(THF中)を−78℃に冷却し、そしてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)1当量で処理する。30分後、二硫化炭素を添加し、そしてこの混合物を周囲温度にまで暖める。1時間後、ヨウ化メチルを添加し、そしてこの反応を12時間進行させ、sat.aq.NH
4Clに注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0129】
(実施例23)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−((ジメチルアミノ)チオカルボニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(7);R=Me;P=Et
3Si:X=S;Y=NMe
2)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−ヒドロキシエポチロンD、塩化ジメチルチオカルバモイル、およびピリジンの混合物を12時間反応させる。この混合物を水に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0130】
(実施例24)
(工程2.熱分解)
(キサンテートを介する3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(5):R=Me;P=Et
3Si;X=S)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−((メチルチオ)チオカルボニルオキシ)エポチロンDを高真空(約0.1トール)下に置き、そして170℃に加熱し、その間に出発物質が薄層クロマトグラフィー分析によって決定されるように消失する。この反応を周囲温度に冷却し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0131】
(実施例25)
(チオカルバメートを介する3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(5):R=Me;P=Et
3Si;X=S)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−((ジメチルアミノ)チオカルボニルオキシ)エポチロンDを高真空(約0.1トール)下に置き、そして170℃に加熱し、その間に出発物質が薄層クロマトグラフィー分析によって決定されるように消失する。この反応を周囲温度に冷却し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0132】
(実施例26)
(IV.ビニルトリフレート還元)
【0133】
【化31】
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロ−9−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(8);R=Me;P=Et
3Si;X=S)
トリフルオロメタンスルホン酸無水物を0℃で3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−オキソエポチロンDおよび2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジンの溶液(ジクロロメタン中)に滴下により添加する。添加の完了後、この混合物を周囲温度にまでゆっくりと暖め、そして一晩攪拌する。この反応を薄層クロマトグラフィーによってモニタリングし、そしてさらなるトリフルオロメタンスルホン酸無水物を、出発物質が消耗されるまで添加する。この混合物をエバポレートし、そして残渣を酢酸エチルと合わせる。沈殿した塩を濾過により除去し、そしてエーテル溶液を水、氷冷1N HCl、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。
【0134】
(実施例27)
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロ−9−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)エポチロンD)
(化合物(8);R=Me;P=Et
3Si;X=S)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9−オキソエポチロンDの溶液(THF中)を−78℃でナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)に滴下により添加する。添加の完了後、この混合物を−78℃で30分間維持し、そしてN−(5−クロロ−2−ピリジル)トリフリミド(Organic Syntheses
74:77−83(1996))の溶液を滴下により添加する。この混合物を2時間維持し、次いで周囲温度にまでゆっくりと暖める。混合物をエバポレートし、そして残渣を酢酸エチルと合わせる。エーテル溶液を水、氷冷5%NaOH、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。
【0135】
(実施例28)
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(5);R=Me;P=Et
3Si;X=S)
3,7−ビス−O(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロ−9−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−エポチロンD、トリブチルアミン、酢酸パラジウム、およびトリフェニルホスフィンの混合物(ジメチルホルムアミド中)を、不活性ガス雰囲気下に置き、そしてスパージャーによって脱気する(degassed by sparging)。ギ酸を、シリンジを介して添加し、そしてその混合物を1時間60℃に加熱する。この混合物を周囲温度に冷却し、エーテルに希釈し、そして水、氷冷1N HCl、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0136】
(実施例29)
(V.ビニルトリフレートへのカップリング)
【0137】
【化32】
(3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロ−9−アリルエポチロンD)
(化合物(9);R=Me;R
1=CH
2CH=CH
2;P=Et
3Si;X=S)
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および塩化リチウムの混合物(無水THF中)を15分間、不活性ガス雰囲気下で攪拌し、次いで、3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロ−9−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−エポチロンDおよびアリル−トリブチルスズの溶液(THF中)を添加する。この混合物を穏やかな還流で48時間加熱する。この混合物を周囲温度に冷却し、エーテルに希釈し、そして水、氷冷1N HCl、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0138】
(実施例30)
(9,10−デヒドロ−9−アリルエポチロンD)
(化合物(10);R=Me;R
1=CH
2CH=CH
2;X=S)
3,7−ビス−O−(トリエチルシリル)−9,10−デヒドロ−9−アリルエポチロンDの溶液(アセトニトリルおよび水中)を氷上で冷却し、そして48%フッ化水素酸で処理する。この反応を薄層クロマトグラフィーによってモニタリングする。完了の際に、この反応をsat.aq.NaHCO
3の添加により中和し、そして濃縮して水性スラリーにする。このスラリーを酢酸エチルで抽出し、そしてこの抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0139】
(実施例31)
(開環中間体を介する9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(10);R=Me;R
1=H;X=S)
(工程1.開環)水素化ジイソブチルアルミニウムの溶液を、−78℃に冷却した3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−オキソエポチロンDの溶液(テトラヒドロフラン中)に添加する。この反応をTLCまたはLCによってモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、リン酸緩衝液の添加によりクエンチングし、そして周囲温度にまで暖める。この混合物を酢酸エチルで抽出し、そしてこの抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0140】
(工程2.保護)工程1の生成物、塩化tert−ブチルジメチルシリル、およびイミダゾールの混合物(ジメチルホルムアミド中)を、TLC分析により判断されるように反応が完了するまで攪拌する。この混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートし、そして生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0141】
(工程3.ビニルトリフレート形成)工程2の生成物の溶液(THF中)を、−78℃に冷却したナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液に滴下により添加する。エノラート形成に十分な時間の後、N−(2−ピリジル)トリフリミドの溶液(THF中)を添加し、そしてこの混合物を周囲温度にまでゆっくりと暖める。この混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートし、そして生成物をさらに精製することなく使用する。
【0142】
(工程4.トリフレート還元)工程3の生成物、トリブチルアミン、酢酸パラジウム、およびトリフェニルホスフィンの混合物(ジメチルホルムアミド中)を不活性ガス雰囲気下に置き、そしてスパージャーによって脱気する。ギ酸を、シリンジを介して添加し、そしてその混合物を1時間60℃で加熱する。この混合物を周囲温度に冷却し、エーテルに希釈し、そして水、氷冷1N HCl、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いでMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして乾燥までエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0143】
(工程5.1−O−TBS基の除去)工程4の生成物および樟脳スルホン酸の溶液(メタノールおよびジクロロメタン中)を0℃で攪拌し、そしてTLCによりモニタリングする。出発物質が消失した際に、この反応物をsat.aq.NaHCO
3に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0144】
(工程6.酸化)テトラプロピルアンモニウムペルルテネートを、工程5の生成物およびN−メチルモルホリンオキシドの混合物(ジクロロメタン中)に注意深く添加し、そしてこの混合物を攪拌し、そしてTLCによりモニタリングする。出発物質が消失した際に、この反応物をsat.aq.NaHCO
3に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。残渣をtert−ブタノールおよびリン酸緩衝液の混合物中に溶解し、そして2−メチル−2−ブテンおよび亜塩素酸ナトリウムで処理する。この反応後にTLCを行う。出発物質が消失した際に、この反応物を酢酸エチルに注ぎ、そして1N HClの添加によりpH4にし、そして水およびブラインで順次洗浄する。有機相を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0145】
(工程7.15−O−TBS基の除去)フッ化テトラブチルアンモニウムの溶液を、0℃で工程6の生成物の溶液(THF中)に添加する。反応の完了後、混合物を周囲温度にし、酢酸エチルで希釈し、そして水で洗浄する。有機相を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)に供し、生成物を単離する。
【0146】
(工程8.マクロラクトン化(Macrolactonization))トリエチルアミンおよび塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルを、周囲温度で工程7の生成物の溶液(THF中)に添加する。20分後、この混合物をトルエンに希釈し、そして数時間にわたって4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの溶液(温トルエン中)に滴下により添加する。完了後、混合物を濃縮し、そして生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0147】
(工程9.脱保護)工程8の生成物を、0℃で1:1のトリフルオロ酢酸およびジクロロメタン中に溶解する。この反応をTLCによりモニタリングし、そして完了時に真空下で濃縮する。残渣を酢酸エチル中に溶解し、そしてsat.aq.NaHCO
3で洗浄し、次いで乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0148】
(実施例32)
(開環中間体、代替経路を介した9,10−デヒドロエポチロンD)
(化合物(10);R=Me;R
1=H;X=S)
(工程1.開環)3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−オキソ−エポチロンDの溶液(メタノール中)を周囲温度で1N NaOHで処理する。この反応をTLCまたはLCによってモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、リン酸緩衝液(pH4)の添加によりクエンチングする。メタノールを真空下でロータリーエバポレーションによって除去し、そして水性残渣を酢酸エチルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0149】
(工程2.エステル化)(トリメチルシリル)ジアゾメタンを工程1の生成物の溶液(エーテル中)に、黄色が消えずに残るまで添加する。この溶液を濃縮し、そして生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0150】
(工程3.15−OHの保護)クロロトリメチルシランを周囲温度で工程2の生成物およびトリメチルシリルイミダゾールの溶液(ジクロロメタン中)に添加する。1時間後、この混合物を飽和水性NaHCO
3に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0151】
(工程4.ビニルトリフレート形成)工程3の生成物の溶液(無水THF中)を、−78℃に冷却したナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(THF中)に滴下により添加する。エノラート形成に十分な時間の後、N−(2−ピリジル)トリフリミドの溶液(THF中)を添加し、そしてこの混合物を周囲温度にまでゆっくりと暖める。この
混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0152】
(工程5.トリフレート還元)工程4の生成物、トリブチルアミン、酢酸パラジウム、およびトリフェニルホスフィンの混合物(ジメチルホルムアミド中)を不活性ガス雰囲気下に置き、そしてスパージャーによって脱気する。ギ酸を、シリンジを介して添加し、そしてその混合物を1時間60℃で加熱する。この混合物を周囲温度に冷却し、エーテルに希釈し、そして水、氷冷1N HCl、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄する。エーテル相を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0153】
(工程6.15−OTMS基の除去)工程5の生成物をアセトニトリル、水、および酢酸の混合物中に溶解する。この反応をTLCまたはLCによってモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、この混合物を、真空下で、乾燥までエバポレートする。
【0154】
(工程7.メチルエステルの除去)工程6の生成物をメタノール中に溶解し、そして周囲温度で1N NaOHで処理する。この反応をTLCまたはLCによってモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、リン酸緩衝液(pH4)の添加によりクエンチングする。メタノールを真空下でロータリーエバポレーションによって除去し、そして水性残渣を酢酸エチルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0155】
(工程8.マクロラクトン化)トリエチルアミンおよび塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルを、周囲温度で工程7の生成物の溶液(THF中)に添加する。20分後、この混合物をトルエンに希釈し、そして数時間にわたって4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの溶液(温トルエン中)に滴下により添加する。添加の完了後、混合物を濃縮する。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0156】
(工程9.脱保護)工程8の生成物を、0℃で1:1のトリフルオロ酢酸およびジクロロメタン中に溶解する。この反応をTLCまたはLCによりモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、真空下で乾燥までエバポレートする。残渣を酢酸エチル中に溶解し、そしてsat.aq.NaHCO
3、次いでブラインで洗浄する。次いで、酢酸エチル相を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0157】
(実施例33)
(開環中間体を介する9,10−デヒドロエポチロンH
2)
(化合物(10);R=Me:R
1=H:X=O)
(工程1.保護)9−オキソエポチロンH
2および2,6−ルチジンの溶液(ジクロロメタン中)を、周囲温度でtert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートで処理する。一晩攪拌した後、この混合物をジクロロメタンで希釈し、そして水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄する。この溶液を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートし、そして生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0158】
(工程2.開環)3,7−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−9−オキソ−エポチロンH
2の溶液(メタノール中)を周囲温度で1N NaOHで処理する。この反応をTLCまたはLCによってモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、リン酸緩衝液(pH4)の添加によりクエンチングする。メタノールを真空下でロータリーエバポレーションによって除去し、そして水性残渣を酢酸エチルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0159】
(工程3.エステル化)(トリメチルシリル)ジアゾメタンを工程2の生成物の溶液(エーテル中)に、黄色が消えずに残るまで添加する。この溶液を濃縮し、そして生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0160】
(工程4.15−OHの保護)クロロトリメチルシランを周囲温度で工程3の生成物およびトリメチルシリルイミダゾールの溶液(ジクロロメタン中)に添加する。1時間後、この混合物を飽和水性NaHCO
3に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0161】
(工程5.ビニルトリフレート形成)工程4の生成物の溶液(無水THF中)を、−78℃に冷却したナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(THF中)に滴下により添加する。エノラート形成に十分な時間の後、N−(2−ピリジル)トリフリミドの溶液(THF中)を添加し、そしてこの混合物を周囲温度にまでゆっくりと暖める。この混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0162】
(工程6.トリフレート還元)工程5の生成物、トリブチルアミン、酢酸パラジウム、およびトリフェニルホスフィンの混合物(ジメチルホルムアミド中)を不活性ガス雰囲気下に置き、そしてスパージャーによって脱気する。ギ酸を、シリンジを介して添加し、そしてその混合物を1時間60℃で加熱する。この混合物を周囲温度に冷却し、エーテルに希釈し、そして水、氷冷1N HCl、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄する。エーテル相を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0163】
(工程7.15−OTMS基の除去)工程6の生成物をアセトニトリル、水、および酢酸の混合物中に溶解する。この反応をTLCまたはLCによってモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、この混合物を、真空下で、乾燥までエバポレートする。
【0164】
(工程8.メチルエステルの除去)工程7の生成物をメタノール中に溶解し、そして周囲温度で1N NaOHで処理する。この反応をTLCまたはLCによってモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、リン酸緩衝液(pH4)の添加によりクエンチングする。メタノールを真空下でロータリーエバポレーションによって除去し、そして水性残渣を酢酸エチルで抽出する。この抽出物を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0165】
(工程9.マクロラクトン化)トリエチルアミンおよび塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルを、周囲温度で工程8の生成物の溶液(THF中)に添加する。20分後、この混合物をトルエンに希釈し、そして数時間にわたって4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの溶液(温トルエン中)に滴下により添加する。添加の完了後、混合物を濃縮する。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0166】
(工程10.脱保護)工程9の生成物を、0℃で1:1のトリフルオロ酢酸およびジクロロメタン中に溶解する。この反応をTLCまたはLCによりモニタリングし、そして出発物質を消耗した際に、真空下で乾燥までエバポレートする。残渣を酢酸エチル中に溶解し、そしてsat.aq.NaHCO
3、次いでブラインで洗浄する。次いで、酢酸エチル相を乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製する。
【0167】
(実施例34)
(化合物(24);R=Me;X=S)
(工程1.ケトン還元)実施例32の工程3の生成物の溶液(メタノール中)を0℃に冷却し、そして1当量の水素化ホウ素ナトリウムで処理する。この溶液を0℃で40分間攪拌し、その後sat.aq.NH
4Clを添加する。有機物を酢酸エチルで抽出し、そしてこの抽出物を乾燥し、濾過し、そして乾燥まで濃縮する。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0168】
(工程2.キサンテート形成)工程1の生成物の溶液(THF中)を−78℃に冷却し、そしてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)1当量で処理する。30分後、二硫化炭素を添加し、そして混合物を周囲温度にまで暖める。1時間後、ヨウ化メチルを添加し、そしてこの反応を12時間進行させ、sat.aq.NH
4Clに注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いで乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0169】
(工程3.熱分解脱離)工程2からの生成物を高真空(約0.1トール)下に置き、そして出発物質がTLC分析によって決定されるように消耗するまで、150〜200℃で加熱する。この反応を周囲温度に冷却し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、生成物を単離する。
【0170】
(実施例35)
(化合物(24);R=Me;X=O)
(工程1.ケトン還元)実施例33の工程4の生成物の溶液(メタノール中)を0℃に冷却し、そして1当量の水素化ホウ素ナトリウムで処理する。この溶液を0℃で40分間攪拌し、その後sat.aq.NH
4Clを添加する。有機物を酢酸エチルで抽出し、そしてこの抽出物を乾燥し、濾過し、そして乾燥まで濃縮する。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0171】
(工程2.キサンテート形成)工程1の生成物の溶液(THF中)を−78℃に冷却し、そしてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1.0M溶液(THF中)1当量で処理する。30分後、二硫化炭素を添加し、そして混合物を周囲温度にまで暖める。1時間後、ヨウ化メチルを添加し、そしてこの反応を12時間進行させ、sat.aq.NH
4Clに注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この抽出物を水、sat.aq.NaHCO
3、およびブラインで順次洗浄し、次いで乾燥し、濾過し、そしてエバポレートする。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0172】
(工程3.熱分解脱離)工程2からの生成物を高真空(約0.1トール)下に置き、そして出発物質がTLC分析によって決定されるように消耗するまで、150〜200℃で加熱する。この反応を周囲温度に冷却し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、生成物を単離する。
【0173】
(実施例36)
(2−(ピバロリイル(pivalolyl)オキシメチル)−4−(クロロメチル)チアゾール)
【0174】
【化33】
30mmolの1,3−ジクロロアセトンおよび30mmolの2−(ピバロイルオキシ)−チオアセトアミドの混合物を21mlの無水アルコール中に溶解し、そして窒素下で一晩還流させた。得られた混合物を真空下で濃縮し、そして残渣を100mlの水中に溶解した。得られた水溶液をpH=8に中和し、その後それをエーテル(200ml×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO
3、水、およびブラインで順次洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥し、濾過し、そしてエバポレートして、褐色シロップを得た。シリカゲル(2%〜10%アセトン(ヘキサン中)勾配)上のクロマトグラフィーにより、200mgの2−(ピバロリイル(pivalolyl)オキシメチル)−4−クロロメチルチアゾール、および800mgの2−(ヒドロキシメチル)−4−(クロロメチル)チアゾールを得た。
【0175】
(実施例37)
(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−4−(クロロメチル)チアゾール)
【0176】
【化34】
800mgの(2−ヒドロキシメチル)−(4−クロロメチル)チアゾール(4.89mmol)および1.33gのイミダゾール(18.56mmol)の混合物を10mlのDMF中に溶解した。得られた溶液を0℃に冷却し、その後、1.47gの塩化t−ブチルジメチルシリル(9.78mmol)を一部ずつ添加した。得られる溶液を周囲温度にまで暖め、そして反応をもう4時間継続し、その後、30mlのsat.aq.NaHCO
3溶液を添加することによりクエンチングした。得られる混合物を50ml×2の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を水20ml×3、およびブラインで順次洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥し、濾過し、そしてエバポレートして、褐色シロップを得た。シリカゲル(1%〜10%アセトン(ヘキサン中)勾配)上のクロマトグラフィーにより、800mgの2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−4−(クロロメチル)−チアゾールを得た。
【0177】
(実施例38)
([(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−4−チアゾリル)メチル]トリブチルホスホニウムクロライド)
【0178】
【化35】
557.0mgの2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−4−(クロロメチル)チアゾール(2.0mmol)の溶液(3mlのベンゼン中)に、窒素ガス雰囲気下で滴下によりトリ−n−ブチルホスフィンを添加した。得られた溶液を一晩窒素下で還流させた。次いで、この溶液を真空下で濃縮し、そして残渣を、1:1(v/v)のエーテルおよびヘキサンの混合物を添加することにより結晶させた。次いで、固形物を濾過し、少量のヘキサンで洗浄し、その後、真空中で乾燥させて、800mgのホスホニウム塩を白色固形物として得た。
【0179】
(実施例39)
(21−ヒドロキシ−9,10−デヒドロ−エポチロンDの調製)
【0180】
【化36】
カリウムビス(トリメチルシリル)アミドの0.5M溶液(トルエン(2.4mL)中)を、−20℃で(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチルチアゾル−4−イル)メチルトリ−n−ブチル−ホスホニウムクロライド(0.58g)の溶液(1mLのテトラヒドロフラン(THF)中)に添加した。この溶液を30分にわたって0℃にまで暖め、次いで−78℃に冷却し、そしてケトン1(128mg)(A.Rivkinら,J.Am.Chem.Soc.2003 125:2899−2901)の溶液を添加した。混合物を1時間にわたって−40℃にまで暖め、その時点で、反応を、薄層クロマトグラフィー分析によって完了したことを判定した。この反応を、sat.aq.塩化アンモニウムの添加によってクエンチングし、そして酢酸エチルで抽出した。この抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そしてエバポレートした。残渣をシリカゲル(20:1ヘキサン/エーテル)上でクロマトグラフィーに供し、150mgの純粋な保護生成物を得た。
【0181】
この保護生成物(150mg)を3mLのTHF中に溶解し、そして0℃でフッ化水素−ピリジン(2mL)で処理した。反応を1時間にわたって周囲温度に暖め、そして次いで4時間、維持した。メトキシトリメチルシラン(15mL)をゆっくりと添加し、そしてこの混合物を一晩攪拌した。混合物を乾燥までエバポレートし、そして残渣をシリカゲル(3:1〜1:1のヘキサン/アセトン)上でクロマトグラフィーに供し、64mgの純粋21−ヒドロキシ−9,10−デヒドロエポチロンDを得た。
【0182】
(実施例40)
(21−アジド−9,10−デヒドロ−エポチロンDの調製)
【0183】
【化37】
21−ヒドロキシ−9,10−デヒドロエポチロンD(30mg)の溶液(1.5mLの無水THF中)を0℃に冷却し、そして1分にわたってジフェニルホスホリルアジド(15.3μL)で処理した。5分後、1,8−ジアザ[5.4.0]ビシクロウンデ−7−セン(DBU)(8.8μL)を添加し、そしてこの反応物を0℃で2時間攪拌し、次いで周囲温度に暖めた。18時間後、薄層クロマトグラフィー分析により、21−ヒドロキシ−9,10−デヒドロエポチロンDが残っていることが示され、そのためこの混合物を0℃に冷却し、そしてさらにジフェニルホスホリルアジド(2μL)で処理した。この混合物を0℃でさらに30分攪拌し、そして次いで周囲温度で1.5時間攪拌した。この溶液を30mLの酢酸エチルに注ぎ、そして2×10mLの水で洗浄した。合わせた水性洗浄物を酢酸エチル(2×15mL)で抽出し、そしてこの抽出物を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そしてエバポレートした。粗製の物質をシリカゲル上でクロマトグラフィーに供し、9mgの生成物を得た。
【0184】
(実施例41)
(21−アミノ−9,10−デヒドロ−エポチロンDの調製)
【0185】
【化38】
21−アジド−9,10−デヒドロエポチロンD(14mg)およびトリメチルホスフィン(33μLの1M溶液(THF中))の溶液(0.3mLのTHF中)を5分間攪拌し、次いで80μLの水で処理し、そしてさらに3時間攪拌した。この混合物を乾燥までエバポレートし、そして残渣をシリカゲル(10%メタノール(クロロホルム中))上でクロマトグラフィーに供し、8mgの21−アミノ−9,10−デヒドロエポチロンDを得た。正確分子量:C
27H
41N
2O
5S(M+H)についての算定=505.2731,実測=505.2719。
【0186】
【数1】
(実施例42)
(21−ヒドロキシ−9,10−デヒドロ−26−トリフルオロエポチロンDの調製)
【0187】
【化39】
カリウムビス(トリメチルシリル)アミドの0.5M溶液(トルエン(1.5mL)中)を、10分にわたって滴下により、−30℃で、(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−メチルチアゾル−4−イル)メチルトリ−n−ブチル−ホスホニウムクロライド(0.641g)の溶液(3mLのテトラヒドロフラン(THF)中)に添加した。この溶液を40分にわたって0℃にまで暖め、次いで−70℃に冷却し、そしてケトン3(85mg)(A.Rivkinら,J.Am.Chem.Soc.2003 125:2899−2901)の溶液(1mLのTHF中)を10分にわたって滴下により添加した。20分後、この混合物を1時間にわたって−30℃にまで暖めた。反応をsat.aq.塩化アンモニウムの添加によってクエンチングし、そして酢酸エチルで抽出した。この抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そしてエバポレートした。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフィーに供し、0、2、4、6、および8%エーテル(ヘプタン中)で順次溶出し、67mgの純粋保護生成物を得た。
【0188】
この保護生成物(67mg)を1.5mLのTHF中に溶解し、そして0℃でフッ化水素−ピリジン(0.6mL)で処理した。20分後、この反応物を周囲温度にまで暖め、3.5時間維持し、次いで0℃に冷却した。メトキシトリメチルシラン(6mL)をゆっくりと添加し、そしてこの混合物を周囲温度にし、そしてエバポレートしてオイルにした。このオイルをシリカゲル(0、10、20、30、40、50、60、70、80、および90%酢酸エチル(ヘキサン中))上でクロマトグラフィーに供し、純粋な21−ヒドロキシ−9,10−デヒドロ−26−トリフルオロエポチロンDを得た。LC/MS:m/z 560 [M+H]。
【0189】
(実施例43)
(21−アジド−9,10−デヒドロ−26−トリフルオロエポチロンDの調製)
【0190】
【化40】
21−ヒドロキシ−9,10−デヒドロ−26−トリフルオロエポチロンD(20mg)の溶液(0.5mLの無水THF中)を0℃に冷却し、そしてジフェニルホスホリルアジド(10μL)で処理した。5分後、1,8−ジアザ[5.4.0]ビシクロウンデ−7−セン(DBU)(5μL)を添加し、そしてこの反応物を周囲温度に暖め、そして一晩攪拌した。この反応混合物を直接シリカゲルのカラムに適用した。次いで、これを0、10、20、30、40、50、60、70、および80%酢酸エチル(ヘキサン中)で溶出し、生成物を得た。MS:C
27H
38N
4O
5S[M+H]について算定=530.2563;実測585.2797。
【0191】
(実施例44)
(21−アミノ−9,10−デヒドロ−26−トリフルオロエポチロンDの調製)
【0192】
【化41】
21−アジド−9,10−デヒドロ−26−トリフルオロエポチロンD(13mg)の溶液を0℃に冷却し、そして0.5mLのTHF中のトリメチルホスフィン(28μLの1M溶液(THF中))で処理し、5分間攪拌し、次いで100μLの水で処理し、1.5時間にわたって周囲温度にまで暖めた。この反応混合物を直接シリカゲルのカラムに適用した。次いで、これを、1%トリエチルアミンを含有するジクロロメタン中0、2、4、6、8、および10%メタノールで溶出し、不純な生成物を得た。シリカゲル上の第二のクロマトグラフィー(これは、ヘキサン中0、25、50、75、および100%酢酸エチル、次いで1%トリエチルアミンを含有するジクロロメタン中0、2、および5%メタノールで溶出する)により、純粋な生成物を得た。LC/MS:m/z 559 [M+H]。
【0193】
(実施例45)
(17−デス(2−メチル−4−チアゾリル)−17−(2−ピリジル)−9,10−デヒドロエポチロン(peothilone)D)(KOSN 1632)
【0194】
【化42】
(2−ピリジル)メチルトリ−n−ブチルホスホニウムクロライドを以下のように調製した。10mmolの2−(クロロメチル)ピリジンの溶液(15mlのベンゼン中)に、10mmolのトリ−n−ブチルホスフィンを窒素下で滴下により添加した。得られた溶液を18時間還流させ、その後、周囲温度にまで冷却した。次いで、この溶液を真空下で濃縮した;必要な測定は全て、空気との接触を減少させるように行った。残渣にジエチルエーテルを添加することにより、白色固形物が形成された。母液を濾過して除去し、そしてこの白色固形物を、窒素下、ジエチルエーテルで数回洗浄し、次いでこの固形物を真空下で乾燥して、白色粉末を最終生成物として得た。
【0195】
17−デス(2−メチル−4−チアゾリル)−17−(2−ピリジル)−9,10−デヒドロエポチロン(peothilone)Dを、実施例42の方法に従って調製したが、(2−(tert−ブチルジメチル−シリルオキシ)−メチルチアゾル−4−イル)メチルトリ−n−ブチル−ホスホニウムクロライドを(2−ピリジル)メチルトリ−n−ブチルホスホニウムクロライドと置き換え、そしてクエンチング前に反応物を−10℃にまで暖めた。
【0196】
【数2】
(実施例46)
(17−デス(2−メチル−4−チアゾリル)−17−(2−キノリル)−9,10デヒドロエポチロン(peothilone)D)
【0197】
【化43】
実施例42の方法に従って調製したが、(2−(tert−ブチルジメチル−シリルオキシ)−メチルチアゾル−4−イル)メチルトリ−n−ブチル−ホスホニウムクロライドを(2−キノリル)メチルトリ−n−ブチルホスホニウムクロライドと置き換え、そしてクエンチング前に、この反応物を周囲温度にまで暖め、そして3時間維持した。
【0198】
【数3】
(実施例47)
(17−デス(2−メチル−4−チアゾリル)−17−(2−ベンゾチアゾリル)−9,10−デヒドロエポチロン(peothilone)D(KOSN 1635)
【0199】
【化44】
実施例42の方法に従って調製したが、(2−(tert−ブチルジメチル−シリルオキシ)−メチルチアゾル−4−イル)メチルトリ−n−ブチル−ホスホニウムクロライドを(2−ベンゾチアゾリル)メチルトリ−n−ブチルホスホニウムクロライドと置き換え、そしてクエンチング前に、この反応物を周囲温度にまで暖め、そして2日間維持した。
【0200】
【数4】
(実施例48)
(細胞傷害性データ)
(細胞株および培養条件)
ヒト乳癌細胞株MCF−7、多薬耐性乳癌細胞株NCI/ADRをNational Cancer Instituteから入手した。ヒト非小細胞肺癌細胞株A549およびヒト卵巣癌細胞株SKOV−3をAmerican Type Culture Collection(Manassas,VA)から入手した。全ての細胞株をRPMI−1640培地(Gibco/BRL,Rockville,MD)(2mM L−グルタミン、25mM HEPES、および10% FBS(Hyclone,Logan,UT)を補足した)中で維持した。細胞を5%CO
2中37℃で加湿インキュベーター中で維持した。
【0201】
(細胞傷害性アッセイ)
腫瘍細胞を、96ウェルプレート中でウェル当たり5000(MCF−7)、7500(NCI/ADR),5000(A549)、および7500(SKOV3)細胞で、100μl中に播種した。細胞を24時間接着させた。0.001〜1000nM(100μl中)の範囲の各化合物を二連ウェル中で細胞に添加した。3日後、細胞を4℃で1時間10%トリクロロ酢酸で固定し、そして次いで、室温で20分間、0.2%スルホローダミンB(SRB)/1%酢酸で染色した。結合していない染料を1%酢酸ですすいで流し、そして次いで未結合のSRBを200μlの10mM Tris塩基で抽出した。吸光度を、96ウェルマイクロタイタープレート読取器(Spectra Max 250,Molecular Devices)を用いて515nmで測定した。IC
50値をKaleidaGraphプログラムを用いて算定した。この実験を2回実施した。この結果を以下の表1中に示す。
【0202】
【表1】
(実施例49)
(さらなる9,10−デヒドロエポチロンDアナログ)
実施例39(R=メチルの場合)および42(R=CF
3の場合)の手順に従って、表2中に示すさらなる化合物を、(2−(tert−ブチルジメチル−シリルオキシ)−メチルチアゾル−4−イル)メチルトリ−n−ブチル−ホスホニウムクロライドを対応するホスホニウムクロライドと置き換えることにより、作製した。細胞傷害性データ(表2)を、実施例48に記載のようにして得た。シトクロームP450阻害データ(表3)を、BFC基質に対する初期速度方法を用いて得た。
【0203】
(4−メトキシピリジン−2−イル)メチルトリブチルホスホニウムクロライドを以下のようにして調製した。770mg(4.9mmol)の2−(クロロメチル)−4−メトキシピリジンの溶液(7mlのベンゼン中)に、1.22mlのトリ−n−ブチルホスフィン(4.9mmol)を、窒素下で滴下により添加した。得られた溶液を18時間還流させ、その後、周囲温度にまで冷却した。次いで、この溶液を真空下で濃縮した;必要な測定は全て、空気との接触を減少させるように行った。残渣にジエチルエーテルを添加することにより、わずかに黄色の固形物が形成された。母液を濾過して除去し、そしてこの黄色固形物を、窒素下、ジエチルエーテルで数回洗浄し、次いでこの固形物を真空下で乾燥して、1.2gの黄色粉末としてホスホニウム塩を得た。(5−メチル−イソキサゾル−3−イル)メチルトリブチルホスホニウムクロライドを以下のようにして調製した:3−(クロロメチル)−5−メチルイソキサゾール(0.30g、2.28mmol、1eq.)を100mLオーブン乾燥RBFにおいて6mLベンゼン中に溶解した。トリブチルホスフィン(0.57mL、2.28mmol、1eq.)をシリンジを介して添加し、そしてその溶液を窒素ガス雰囲気下で15時間還流させた。この溶液を室温に冷却し、そしてこの体積を真空中で減少させた。Et
2Oを添加し、所望のホスホニウム塩を沈殿させた。エーテル上清をデカントにて除去し、そして白色固形物を一晩真空下で乾燥した(0.760g、99%収率)。
【0204】
表2中に示した選択された化合物についての
13C−NMRデータは、以下の通りである:
【0205】
【数5-1】
【0206】
【数5-2】
【0207】
【化45】
【0208】
【表2-1】
【0209】
【表2-2】
(実施例50)
(薬理学パラメーター)
シトクロームP450阻害測定を、CYP3A4に対する基質としてBFCを用いて、市販のキット(BD GenTest,Woburn,MA)を用いて実施した。そのようにして得られたμMでのIC
50値を表3中に列挙する。
【0210】
【表3】
化合物溶解度を以下のようにして決定した:5μLのストック溶液(20mg/mL(DMSO中))を95μLのリン酸緩衝化生理食塩水に添加した。約10秒間ボルテックスにかけた後、溶液/懸濁液を0.45ミクロンフィルターで濾過し、そして分析物の量をHPLCによって定量した。決定した溶解度(mg/mL)は、以下の通りであった:エポチロンD、<0.06;トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、<0.06;21−OH−26−F
3−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、0.1;21−アミノ−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、>0.6;21−アミノ−26−F
3−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、>0.6;26−F
3−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、<0.06;21−OH−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、0.1;KOSN 1635、<0.02;KOSN 1632、0.12。
【0211】
新鮮なマウスおよびヒト血漿における化合物の半減期を、DMSO中に化合物を溶解し、そしてアリコートをマウスまたはヒト血漿のサンプルに添加することにより、決定した。ゼロ時点で、各サンプルから75μlをアリコートに分け、そして150μlのアセトニトリルを添加した。13500rpmで3分間、白色沈殿物を遠心分離した。全ての透明な上清を別の微小遠心分離チューブに移し、そして遠心分離工程(13500rpm/3分)を繰り返した。150μlの透明な上清を標識したHPLCサンプルチューブに注意深くピペットで移し、そしていかなるタンパク質ペレットもピペットに混入することを避けるように試みた。サンプルをHPLCにより分析し、真正標準との比較により、各時点で残存する化合物を測定した。マウスおよびヒト血漿のそれぞれにおける半減期(分)は、以下の通りであると決定された:エポチロンD:49,>1440;21−OH−26−F
3−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD:379,>1440;21−アミノ−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD:59,>1440;26−F
3−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD:163,>1440;21−OH−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD:1059,>1440;KOSN 1635:58,>1440;KOSN 1632:28,>1440。凍結マウス血漿を用いて、トランス−9,10−デヒドロエポチロンDは、47分の半減期を有した。新鮮ヒト血漿では、トランス−9,10−デヒドロエポチロンDは、>1440分の半減期を有した。
【0212】
血漿タンパク質結合研究を、以下のようにして実施した。化合物をDMSO中に溶解し、次いで、マウスまたはヒト血漿の新鮮または解凍したサンプルのいずれかに希釈し、そして37℃でインキュベートした。50μLの時点で、100μlのアセトニトリルと混合し、そして約14000rpmで3分間遠心分離した。100μLアリコートを上清から取り出し、そして総画分(total fraction)における化合物を示す分析のためにわきに置いた。残存する上清を、YM10膜を備えたMicrocon限外濾過デバイス上に移し、そして遠心分離して、タンパク質結合物質を分離した。タンパク質非含有濾液の50μLアリコートを100μLのアセトニトリルと混合し、約14000rpmで3分間遠心分離し、次いで100μLの上清を採集し、そして分析して、タンパク質を結合していない化合物の量を決定した。総サンプル中の化合物の量およびタンパク質非含有画分中の化合物の量を、真正標準に対するHPLC分析によって決定した。
【0213】
これらの血漿タンパク質結合研究により、タンパク質が結合した化合物が以下の割合であることが示された:エポチロンD:98.5%;トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、96.6%;26−トリフルオロ−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、96.5%;21−アミノ−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、89.5%;21−OH−26−F
3−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、92.8%;21−OH−トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、94.2%;KOSN 1635、99.7%;KOSN 1632、89.4%。
【0214】
本発明の好ましい実施形態を例証し、そして記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それにおいて種々の変更がなされ得ることが理解される。
【0215】
独占的な所有または権利が請求される本発明の実施形態は、前述のように定義される。