(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679802
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】電気泳動式の印刷機において静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像する装置と方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/10 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
G03G15/10 112
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-287437(P2010-287437)
(22)【出願日】2010年12月24日
(65)【公開番号】特開2011-133895(P2011-133895A)
(43)【公開日】2011年7月7日
【審査請求日】2013年9月20日
(31)【優先権主張番号】10 2009 060 334.4
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513267899
【氏名又は名称】オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oce Printing Systems GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン コップ
【審査官】
八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−234590(JP,A)
【文献】
特開2006−235176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/10
G03G 15/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動式の印刷機において、担持体流体と所定の電荷に帯電されたトナー粒子とを少なくとも含んでいる現像液を用いて、静電潜像担持体上に形成される、印刷すべき像の静電潜像を現像する装置において、
第1の電位(U8)が印加されている、回転する塗布手段(8)が設けられており、該塗布手段(8)は現像液ギャップ(2)における現像液を受け取り、該現像液を静電潜像担持体へと搬送し、
前記塗布手段(8)の近傍に、第2の電位(U10)が印加されている対向電極(10)が配置されており、該対向電極(10)と前記塗布手段(8)との間に前記現像液ギャップ(2)が設けられており、前記対向電極(10)と前記塗布手段(8)との間には前記第1の電位(U8)および前記第2の電位(U10)に基づき電界が生じており、該電界により、前記所定の電荷に帯電されたトナー粒子が前記塗布手段(8)へと引っ張られ、
前記現像液ギャップ(2)の出口には、前記対向電極(10)および前記塗布手段(8)に隣接して、前記現像液ギャップ(2)に突出するよう分離電極(9)が配置されており、該分離電極(9)は前記対向電極(10)と共に排出管(14)を形成し、
前記分離電極(9)は前記現像液ギャップ(2)を通って移動する前記現像液を第1の部分流(5)と第2の部分流(6)とに分流させ、前記第1の部分流(5)における現像液は前記塗布手段(8)の近傍に留まり、前記第2の部分流(6)における現像液は前記排出管(14)へと排出される、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記排出管(14)の出口には吸引ユニット(16)が配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記分離電極(9)はその先端を尖らせて前記現像液ギャップ(2)内に延在しており、かつ、前記対向電極(10)に対して、該対向電極(10)の形状に適合された形状を有する、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記分離電極(9)において前記塗布手段(8)に対向している部分は、該塗布手段(8)に対して、前記現像液ギャップ(2)に続くギャップ(3)を形成する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記分離電極(9)には第3の電位(U9)が印加されており、該第3の電位(U9)は、該印加によって前記塗布手段(8)について形成される電界が前記所定の電荷に帯電されたトナー粒子を前記第1の部分流(5)において前記塗布手段(8)へと移動させるように極性付けられている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記現像液ギャップ(2)の入口においては、前記対向電極(10)および前記塗布手段(8)の近傍に塗布電極(11)が配置されており、該塗布電極(11)には第4の電位(U11)が印加されており、該第4の電位(U11)は、該印加によって形成される電界が前記現像液中の前記トナー粒子を押し出すように、もしくは、前記対向電極(10)と前記塗布電極(11)と間の領域が無電界である(U11=U10)であるように極性付けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記対向電極(10)および前記分離電極(9)および前記塗布電極(11)は、絶縁性材料(7)または付着防止材料(7)によってコーティングされている、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記分離電極(9)および前記塗布電極(11)は、前記対向電極(10)および前記塗布手段(8)に対して位置調整可能に配置されている、請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
前記現像液ギャップ(2)の入口(4)には付加的な電極ペアが配置されており、該付加的な電極ペアは前記現像液ギャップ(2)へと移動する現像液を制御し、該制御により、電気泳動移動度が低いトナー粒子または電気泳動移動度が不適切なトナー粒子は、前記対向電極(10)の方向に位置決めされ、前記分離電極(9)による分離時に前記第2の部分流(6)に達する、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
担持体流体と帯電されたトナー粒子とを少なくとも含んでいる現像液を静電潜像担持体に供給する、回転する塗布手段(8)を用いて、静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像する方法において、
前記現像液を、前記塗布手段(8)と対向電極(10)との間の現像液ギャップ(2)を通過させ、前記対向電極(10)と前記塗布手段(8)との間に存在する電界にさらし、該電界によって、所定の電荷に帯電されているトナー粒子は該トナー粒子の電荷に依存して前記塗布手段(8)の方向に向かって移動し、前記所定の電荷の極性とは逆の極性の電荷に帯電されているトナー粒子は前記塗布手段(8)とは反対方向に向かって押し出され、帯電されていないトナー粒子は前記電界の影響を受けずに前記塗布手段(8)の方向に向かって移動せず、
前記現像液ギャップ(2)内に突出している分離電極(9)によって、前記現像液ギャップ(2)中の前記現像液を前記現像液ギャップ(2)の出口において、前記塗布電極(8)の近傍に配置されている第1の部分流(5)と、前記対向電極(10)の近傍に配置されている第2の部分流(6)とに分流させ、該第2の部分流(6)を排出することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動式の印刷機において静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の印刷機または複写機は例えばWO 98/39691 A1から公知である。その種の印刷機または複写機においては、印刷すべき画像の静電潜像が静電潜像担持体、例えば光導体ベルト上に符号発生器によって形成される。続いて、静電潜像担持体は色毎に複数の現像ステーションを通過する。それらの現像ステーションはトナー粒子を含む現像剤を静電潜像単体に搬送する。静電潜像担持体上の静電潜像に応じてトナー粒子が静電潜像担持体に移行することによって、着色が行われる。次のステップにおいて、トナー画像は被印刷物上に転写され、被印刷物上に定着する。印刷方法の詳細はWO 98/39691 A1の開示内容から得ることができる。したがってこの刊行物の開示内容を本願明細書の参考文献とする。
【0003】
静電潜像を着色するために、少なくともトナー粒子および担持体流体を含む現像液を使用することができる。担持体流体として、例えばシリコンオイルまたは炭化水素が考えられる。このようにディジタル式の印刷機において電気泳動式の現像を行うための方法は、例えばWO 2007/082791 A1から公知である。この方法においては現像液として、シリコンオイルを含み、かつ、トナー粒子が分散されている担持体流体が使用されるが、この現像液にさらに付加的に電荷調整物質を添加することもできる。
【0004】
静電潜像担持体への現像液の供給を塗布手段ないし被着手段、例えば塗布ローラもしくは現像ローラ、または、塗布ベルトによって行うことができ、これらによって現像液は静電潜像担持体へと運ばれる。現像液を例えば着色ローラによって、この着色ローラと塗布手段との間に生じている現像液ギャップを介して塗布手段に供給することができる。このために着色ローラと塗布手段との間の現像液ギャップにわたり電界を形成することができ、この電界によって帯電されたトナー粒子は塗布手段へと引っ張られる。
【0005】
静電潜像の現像にとって非常に重要であることは、担持体流体中のトナー粒子の十分な電気泳動移動度と、塗布手段上の現像液の均一な層である。トナー粒子の移動度はトナー粒子自体の電荷によって影響受ける。電荷は現像液中の電荷調整物質の濃度を介して調整することができる。現像液が担持体流体およびトナー粒子および電荷調整物質のみから構成されている場合の現像原理では、現像液の導電性は現像液中の電荷調整物質の濃度に依存する。濃度は測定によって確認することができる。例えば動作時に現像液の導電性が目標値を下回った場合には、電荷調整物質を添加することによって、所望の濃度に再調整し、トナー粒子の移動度を変更することができる。この方法の欠点は、トナー粒子の移動度は間接的で総合的にしか判断されず、したがって帯電の弱い(もしくは表面において放電する)トナー粒子も塗布手段に到達する可能性があることである。したがって、イオンコンタミネーション、隣接する少なくとも1つの面との電位差がある境界面の電荷単体の注入、また、トナー粒子の経時変化によって、導電性と粒子電荷もしくは電気泳動移動度の相応の変化との相関関係の不所望な変化が生じる虞がある。このようにして相関関係が変化すると、電荷調整物質の誤った調整が行われる。これは印刷工程におけるトナー特性の変化、したがって印刷品質の劣化を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 98/39691 A1
【特許文献2】WO 98/39691 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明が解決すべき課題は、上述の問題が発生しない、電気泳動式の印刷機において現像液を使用して静電潜像を印刷するための装置と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
装置に関する課題は、装置において、第1の電位が印加されている、回転する塗布手段が設けられており、該塗布手段は現像液ギャップにおける現像液を受け取り、該現像液を静電潜像担持体へと搬送し、塗布手段の近傍に、第2の電位が印加されている対向電極が配置されており、対向電極と塗布手段との間に現像液ギャップが設けられており、対向電極と塗布手段との間には第1の電位および第2の電位に基づき電界が生じており、該電界により、所定の電荷に帯電されたトナー粒子が塗布手段へと引っ張られ、現像液ギャップの出口には、対向電極および塗布手段に隣接して、現像液ギャップに突出するよう分離電極が配置されており、該分離電極は対向電極と共に排出管を形成し、分離電極は現像液ギャップを通って移動する現像液を第1の部分流と第2の部分流とに分流させ、第1の部分流における現像液は塗布手段の近傍に留まり、第2の部分流における現像液は排出管へと排出されることにより解決される。
【0009】
方法に関する課題は、現像液を、塗布手段と対向電極との間の現像液ギャップを通過させ、対向電極と塗布手段との間に存在する電界にさらし、該電界によって、所定の電荷に帯電されているトナー粒子は該トナー粒子の電荷に依存して塗布手段の方向に向かって移動し、所定の電荷の極性とは逆の極性の電荷に帯電されているトナー粒子は塗布手段とは反対方向に向かって押し出され、帯電されていないトナー粒子は電界の影響を受けずに塗布手段の方向に向かって移動せず、現像液ギャップ内に突出している分離電極によって、現像液ギャップ中の現像液を現像液ギャップの出口において、塗布電極の近傍に配置されている第1の部分流と、対向電極の近傍に配置されている第2の部分流とに分流させ、該第2の部分流を排出することによって解決される。
【0010】
したがって本発明の目標は、電気泳動移動度が不十分なトナー粒子を選別し、それと同時に、塗布手段上の現像液の均一な層を保証することである。
【0011】
静電潜像担持体上に形成される静電潜像を、帯電されているトナー粒子および担持体流体を少なくとも含んでいる現像液を用いて現像するための本発明による方法は、現像液を静電潜像担持体へと供給する、回転する塗布手段、例えば、塗布ローラまたは塗布ベルトを使用する。現像液は塗布手段と対向電極との間の現像液ギャップを通り抜けるように移動し、この現像液ギャップにおいてトナー粒子は、対向電極と塗布手段との間に存在する電界によって、トナー粒子自体の電荷に依存して塗布手段の方向へと移動する。現像液ギャップの出口において現像液ギャップに突出している分離電極によって、現像液は、自身の電荷に基づき十分に塗布手段へと引っ張られるトナー粒子(十分な電気泳動移動度を備えたトナー粒子=移動性トナー粒子)が含まれている第1の部分流と、十分に塗布手段へは引っ張られない残りのトナー粒子(不十分な電気泳動移動度を備えたトナー粒子=不動性トナー粒子)が含まれている第2の部分流とに分流される。第2の部分流を現像ステーションへと再び導き、そこにおいて電荷調整物質の添加によって再帯電を行うことができるか、通常のトナー粒子循環系へと再び戻すことができるか、トナー粒子循環系から取り除き廃棄することができる。
【0012】
本発明の発展形態は従属請求項に記載されている。
【0013】
したがって、塗布手段を用いて塗布系へと流し込まれる現像液は、対向電極および分離電極を用いて形成される電界によって、電気泳動的に移動するトナー粒子が濃縮されて含まれている第1の部分流と、電気泳動的に移動しないトナー粒子が濃縮されて含まれている第2の部分流とに相応に自然に分けられる。この第2の部分流を排出することができるので、電気泳動的に移動しないトナー粒子はほとんど塗布手段に到達しない。
【0014】
以下では、図面に示されている実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は現像ステーションESの断面図を示すものであるが、ここでは、そのうちの塗布手段としての回転式の塗布ローラ8と、トナー粒子の移動度に応じた選択を行うセパレータ1のみを示している。現像ステーションESのその他の構造は例えばWO 2007/082791 A1に開示されているものでよい。塗布手段として塗布ベルトを使用することもできる。
【0017】
塗布ローラ8に隣接してセパレータ1が配置されている。このセパレータ1は対向電極10および分離電極9を有し、また必要に応じて塗布電極11も有する。対向電極10は、塗布ローラ8と対向電極10との間に現像液ギャップ2(例えば1mm以下の幅)が生じるように配置されており、入口4から運ばれる現像液はこの現像液ギャップ2を通過する。塗布ローラ8および対向電極10にはそれぞれ電位U8,U10が印加され、それにより現像液ギャップ2にわたり電界が生じる(例えばU(8,10)=20V−2kV)。電位U8,U10は所定の電荷を有するトナー粒子が塗布ローラ8へと引っ張られるように選定されている。したがって現像液ギャップ2においてトナー粒子はトナー粒子自体の電荷、したがってトナー粒子自体の電気泳動移動度に依存して塗布ローラ8へと引っ張られるか、トナー粒子自体の電荷に依存する塗布ローラ8までの距離を空けて、塗布ローラ8と対向電極10との間において現像液中に留まる。これにより現像液ギャップ2内では、電気泳動的に移動するトナー粒子が濃縮されて含まれている、塗布ローラ8の近傍の第1の領域と、電気泳動的に移動しないトナー粒子が濃縮されて含まれている、対向電極10の近傍の第2の領域とが生じる。分離電極9が、図示されているように現像液ギャップ2内に突出するように現像液ギャップ2の出口に配置される場合、分離電極9は現像液を2つの部分流5および6に分流させる。塗布ローラ8の近くを流れる部分流5においては、第1の領域に応じてトナー粒子が濃縮されて含まれている。つまり、それらのトナー粒子はトナー粒子自体の電荷に基づき、塗布ローラ8と対向電極10との間の電界において塗布ローラ8の近傍にまで引っ張られたものである(十分な電荷のトナー粒子、したがって電気泳動移動度が十分なトナー粒子)。これに対し、塗布ローラ8から離れており、対向電極10の近くを流れる部分流6においては、第2の領域に応じてトナー粒子が濃縮されて含まれている。つまり、それらのトナー粒子はトナー粒子自体の電荷に基づき、塗布ローラ8と対向電極10との間の電界において塗布ローラ8には引っ張られていない、もしくはほとんど引っ張られていないものである(不十分な電荷のトナー粒子、したがって電気泳動移動度が不十分なトナー粒子)。したがって分離電極9によって、過度に少ない電荷しか有しておらず、したがって電気泳動移動度が低いトナー粒子を現像液ギャップ2の出口において現像液から取り出すことができる。第2の部分流6を、分離電極9と対向電極10との間に設けられている排出管14(例えば100μm〜700μmの幅)を介して現像ステーションへと再び案内することができる。円滑な排出を達成するために、分離電極9の形状を対向電極10の形状に適合させることができる。
【0018】
電気泳動的に移動するトナー粒子と電気泳動的に移動しないトナー粒子を分離するためのこの方法は、付加的な電極ペアがセパレータ1の入口4に配置され(図示せず)、この電極ペアが電気泳動的に移動しないトナー粒子を対向電極10の手前において既に適切に位置決めする、すなわち対向電極10の近傍にトナー粒子が留まるように電界を形成する場合にはさらに改善される。
【0019】
分離電極9には第3の電位U9を印加することができ、この第3の電位U9はトナー粒子が分離電極9に堆積しないように極性付けられている。例えば電位U9とU10を同じ大きさに選定することができる。さらに、2つの部分流5,6に別れる際に可能な限り層状の流れが生じるように分離電極9の形状を選択することが望ましい。このために分離電極9の先端を尖らせて現像液ギャップ2の出口に延在させることができる。
【0020】
さらに電位U8,U10も相応に選定することができる。
【0021】
分離電極9と塗布ローラ8との間に現像液ギャップ2から続くギャップ3(例えば50μm〜300μmの幅)が生じるように分離電極9が塗布ローラ8の近傍に配置される場合には、第1の部分流5からさらにトナー粒子を塗布ローラ8へと供給することができる。分離電極9が位置調整できるように実施されている場合には、対向電極10までの距離および塗布ローラ8までの距離を調整できるので有利である。
【0022】
さらには、現像液ギャップ2の入口に、位置調整可能に実施された塗布電極11を対向電極10および塗布ローラ8の近傍に配置することができる。これによって、現像液ギャップ2の入口では、現像液が送り出される領域において現像液が漏れることを阻止できる。塗布電極11には電位U11を印加することができ、この電位U11は、トナー粒子が塗布電極11によって押し出されるか、対向電極10と塗布電極11との間の領域が無電界である(U11=U10)ように調整される。
【0023】
排出管14の出口に吸引ユニット16が配置される場合には、第2の部分流6を吸い込むことができる。それと同時に、現像液の移動を現像液ギャップ2によって制御することができる。現像液ギャップ2を通過する現像液の移動を、付加的に塗布ローラ8の回転によって制御することができる。
【0024】
電極9,10,11へのトナー粒子の堆積を阻止するために、これらの電極を絶縁性材料7ないし付着防止材料7によってコーティングすることができる。
【0025】
図面には現像ステーションESの付加的な公知の構成要素も示されている。例えば、セパレータ1への流入部の手前には、ローラまたはドクタであるクリーニングユニット15を設けることができ、このクリーニングユニット15によって静電潜像の現像後に残存している現像液が塗布ローラ8から除去される。さらに、現像液の移動領域2,3の出口に平滑ローラ12を配置することができ、この平滑ローラ12によって塗布ローラ8における現像液の層が平滑化される。平滑ローラ12をクリーニングドクタ13によってクリーニングすることができる。
【0026】
図示されている装置の実施例においては、例えばトナー粒子の所定の電荷は正の電荷とする。塗布ローラ8および電極9,10,11の電位を例えば以下のように調整することができる:
U10>U8,U9=U10,U11=U10
入口4において送り出されたトナー粒子は分離電極9と塗布電極11との間の領域において、塗布ローラ8と対向電極10の電位差に基づく電界にさらされる。この電界は以下のようにトナー粒子に種々に作用する:
−所定の最小電荷を有する正に帯電されたトナー粒子17(図面においては「+」が付されている)は電界の方向において塗布ローラ8に向かって移動し、塗布ローラ8上に堆積されるか、塗布ローラ8の近傍の第1の領域に到達する。
−弱く正に帯電されているトナー粒子18(所定の最小電荷よりも少ない電界を有し、図面においては「○」で表されている)は電界による影響が少なく、塗布ローラ8の方向へは僅かにしか移動しない。
−帯電されていないトナー粒子18(図面においては同様に「○」で表されている)は電界の影響を受けることなく、入口4において位置決めされた領域内を流れる。
−場合によっては存在する負に帯電されたトナー粒子18(図面においては同様に「○」で表されている)は電界によって対向電極10へと押し出される。
【0027】
これによって、弱く正に帯電されたトナー粒子および帯電されていないトナー粒子が入口4において対向電極10の近傍に供給されていた場合には、それらのトナー粒子は対向電極10の近傍の第2の領域に留まり、また、負に帯電されたトナー粒子は電界によって第2の領域へと押し出される。第2の領域に存在するこれらのトナー粒子は、その後選別されて第2の部分流6へと流れる。
【0028】
これに対し、塗布ローラ8に堆積したトナー粒子は回転する塗布ローラ8によって運び去られる。
【0029】
現像ステーションESを通過する現像液の停滞の無い流れを保証するために、好適には、分離電極9、対向電極10および塗布電極11の形状はそれぞれ塗布ローラ8の形状に適合されている。
【0030】
本発明の重要な利点は印刷品質が改善されることにある。このことは、
−不十分な電気泳動移動度を有するトナー粒子、または誤りのある電気泳動移動度を有するトナー粒子(不適切に帯電されたトナー粒子)を取り除き、
−トナー粒子を選択し、塗布ローラ8上の層を電極9,10によって均一に薄くし、平滑ローラ12を通過した後に均一な層を生じさせることによって、
達成される。
【符号の説明】
【0031】
ES 現像ステーション、U 電位、1 セパレータ、 2、3 現像液ギャップ、 4 送り出される現像液=現像液の入口、 5 第1の部分流(電気泳動移動度の十分なトナー粒子)、 6 第2の部分流(電位泳動移動度の不十分なトナー粒子)、 7 絶縁性材料、 8 塗布ローラ、 9 分離電極、 10 対向電極、 11 塗布電極、 12 平滑ローラ、 13 クリーニングドクタ、 14 排出管、 15 クリーニングユニット、 16 吸引ユニット、 17 所定の最小電荷を有するトナー粒子、 18 所定の最小電荷を有していないトナー粒子