特許第5679838号(P5679838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679838
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】映像記録装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/91 20060101AFI20150212BHJP
   H04N 7/173 20110101ALI20150212BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
   H04N5/91 P
   H04N5/91 Z
   H04N7/173 630
   G11B20/10 H
   G11B20/10 F
   G11B20/10 311
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-16575(P2011-16575)
(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公開番号】特開2012-156944(P2012-156944A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大介
【審査官】 梅本 達雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−140585(JP,A)
【文献】 特開2008−305462(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02001023(EP,A1)
【文献】 特開2008−152820(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0145017(US,A1)
【文献】 特開2004−328306(JP,A)
【文献】 特開2010−109493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 − 5/956
G11B 20/10 − 20/12
H04N 7/10
H04N 7/14 − 7/173
H04N 21/00 − 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツごとにコピー可能回数が設定される前記コンテンツと、
複数の前記コンテンツに含まれる同一のコマーシャル動画をリスト化した同一CMリストと、を記憶する記憶手段と、
あるコマーシャル動画を複製する際に、該コマーシャル動画を含むものとして前記同一CMリストにリスト化された前記コンテンツのうち設定されている前記コピー可能回数に余裕がある前記コンテンツを複製元として選択し、該コマーシャル動画の複製を実行する複製手段と、
を有することを特徴とする、映像記録装置。
【請求項2】
前記同一CMリストは、前記複製手段により前記コンテンツから該コマーシャル動画が複製された回数を前記コンテンツ毎に記録し、
前記複製手段は、前記コピー可能回数と、前記複製された回数に基づいて、前記コピー可能回数に余裕がある前記コンテンツを判定することを特徴とする、請求項1記載の映像記録装置。
【請求項3】
前記コンテンツは、ユーザにより本編保護回数が指定され
前記複製手段は、前記コピー可能回数と、前記複製された回数と、前記本編保護回数に基づいて、前記コピー可能回数に余裕があるコンテンツであると判定することを特徴とする、請求項2記載の映像記録装置。
【請求項4】
前記複製手段は、同程度に前記コピー可能回数に余裕があると判断される前記コンテンツが複数ある場合は、画質のよい方から複製することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載の映像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像記録装置に関し、特に、録画コンテンツにコピー回数の制限が設定される場合において前記録画コンテンツの一部を複製する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
映像記録装置の技術分野においては、放映されたテレビ番組等の録画をする機能だけでなく、さらに、録画からコマーシャル(以下、「CM」と呼ぶ)映像を抜き出して本編だけの映像に編集したり、或いは、CMコレクションを作成したりする機能を追加して、商品の付加価値を高める場合がある。このような映像記録装置の技術の一例として、特許文献1を挙げる。
【0003】
特許文献1には、CM部分を含んだ放送信号を入力信号として、入力信号から記録装置に記録されているCM動画と一致する部分をCM部分として削除することが記載されている。つまり、録画からCMを抜き出して本編だけの映像に編集する技術の先行例である。これは、コンテンツ同士を比較し、同一のCMを探す従来技術(以下、「シーンマッチング」と呼ぶ場合がある)である。
【0004】
ところで、放映されたテレビ番組等の録画をする機能を備える映像記録装置には、放送録画の私的利用に関する運用ルールに則って、コピー回数に制限をつける保護がなされていることがある。例えば、「ダビング10」や「コピーワンス」等として知られているものがコピー回数の制限である。
【0005】
「ダビング10」は、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」と呼ぶ)レコーダに録画した地上波デジタル放送やBSデジタル放送のテレビ番組を、DVD(Digital Versatile Disc)やBlu−ray(登録商標)Discに9回までコピー、残り1回ムーブでき、複製されたデータをさらに複製することはできないものとする制限である。
【0006】
特許文献2には、映像記録装置の容量不足に対応するためにコンテンツを削除する際、各コンテンツに設定されている残存コピー可能回数を参照して、残存コピー可能回数が多く残っているものを優先的に残して、処理実行することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−328306号公報
【特許文献2】特開2010−109493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ダビング10のようなコピー回数制限がある録画コンテンツからCMコレクションを作成する際には、書き出すCMの数分の残存コピー可能回数を消費してしまうという問題がある。例えば、図7(a)を参照すると、1ファイルの録画コンテンツにCM1とCM2の2種類のCMが含まれており、CM1とCM2を両方とも書き出す場合、2つ書き出すだけで2回のコピーと見なされ、残存コピー可能回数は2減る。
【0009】
残存コピー回数の浪費を避けるため、そもそも放送を録画する段階からファイルを分割しておくことが考えられる(図7(b)参照)。この場合、CMの書き出しの際に本編の残存コピー可能回数に影響はないが、映像記録装置が管理できるファイル数に上限があったり、分割したポイントの直前の画像(前ファイルの最後)が見られなかったりといった、別の問題が生じる。
【0010】
なお、本明細書では、図7(a)に示した録画コンテンツに含まれるCMを除いた部分(図中白抜き部分)を、「本編」と呼ぶ。
【0011】
また、CMコレクションを作成するにあたり、会社、出演者、ジャンル、内容ごとなど、ユーザが媒体ごとにタグ付けして分類することが考えられる。しかしながら、当該CMを含む本編の媒体書き出しや、他の機器へのバックアップを行うことで、当該コンテンツのコピー可能な回数が減ってしまい、せっかく分類しても書き出しきれないという点も課題であった。その場合、コピー回数に余裕のある同一のCMを探すことになるが、従来は、これを手動で探して選んでいた。
【0012】
そこで本発明は、上記実情に鑑みて、コピー可能回数が設定されている複数の録画コンテンツからCMをコピーする際に、自動で最適な録画コンテンツからコピーを作成することが可能な映像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、第1の態様として、コンテンツごとにコピー可能回数が設定される前記コンテンツと、複数の前記コンテンツに含まれる同一のコマーシャル動画をリスト化した同一CMリストと、を記憶する記憶手段と、あるコマーシャル動画を複製する際に、該コマーシャル動画を含むものとして前記同一CMリストにリスト化された前記コンテンツのうち設定されている前記コピー可能回数に余裕がある前記コンテンツを複製元として選択し、該コマーシャル動画の複製を実行する複製手段と、を有することを特徴とする、映像記録装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コピー可能回数が設定されている複数の録画コンテンツからCMをコピーする際に、自動で最適な録画コンテンツからコピーを作成することが可能な映像記録装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態のプレイリスト22と同一CMリスト23の表示例を示す図である。
図3】本実施形態の各CMのプレイリストへの登録手順を示すフローチャート図である。
図4】本実施形態のプレイリストデータベース例を示す図である。
図5】本実施形態の同一CMリストに関するデータベース例を示す図である。
図6】本実施形態のCMの媒体書き出し手順を示すフローチャート図である。
図7】従来の課題を説明するための録画コンテンツの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本実施形態の構成)
図1に、本実施形態の構成を示す。
本実施形態に係る映像記録装置1は、放送受信機10と記憶装置20を備える。ユーザインタフェースとなる視聴端末30を備えていてもよい。放送受信機10は、放送受信・蓄積手段11と、媒体書き出し手段12と、CM抽出手段13と、シーンマッチング手段14と、プレイリスト作成手段15と、同一CMリスト作成手段16と、書き出し優先度付け手段17とを備える。一方、記憶装置20は、例えばHDD(不図示)を備え、HDD内に、コンテンツ21、プレイリスト22、同一CMリスト23を記憶する。
【0017】
放送受信・蓄積手段11は、デジタル放送波等を捉えて放送を受信し、記憶装置20に蓄積する。蓄積した1録画コンテンツがコンテンツ21を構成する1録画コンテンツである。
【0018】
媒体書き出し手段12は、ユーザ操作に基づき、指定されたコンテンツやCMをDVDなどに書き出す。ここで、指定する対象は、ある録画コンテンツの本編やCMがある。また、書き出し先は、DVDなどの可搬性記録媒体の他、記憶装置20の空き領域でもよい。
【0019】
CM抽出手段13は、ある録画コンテンツからCMと推定される部分を抽出する。抽出の具体的方法は、CM前後に含まれる所定の長さの無音区間を抽出するなど、従来公知の方法が利用できる。
【0020】
シーンマッチング手段14は、CM抽出手段13が抽出したCM(複数ある)同士を比較して、同一と推定されるもの同士を関連づける。関連づけは、同一CMリスト作成手段16による同一CMリスト作成時に利用される。シーンマッチングの具体的方法については、例えば特許文献1に記載の従来公知の方法が利用できる。
【0021】
プレイリスト作成手段15と同一CMリスト作成手段16は、コンテンツ21から、後述する各CMのプレイリストへの登録手順を実行して、プレイリスト22と同一CMリスト23を作成する。
【0022】
書き出し優先度付け手段17は、同一CMリスト23の各エントリに書き出し優先度を付ける機能を備える。
【0023】
コンテンツ21は、前述のように、複数の録画コンテンツからなる。1つの録画コンテンツは、図7(a)に示すように、本編とCMを含む(CMは0個ないし複数個含んでもよい)1ファイルである。
【0024】
プレイリスト22は、映像記録装置1が提供するCMコレクションのプレイリストである。図2に、プレイリスト22と同一CMリスト23を視聴端末30に表示した例を示す。
【0025】
プレイリスト22は、ユーザによって任意に付けられたタグによって分類されたCMのプレイリストからなる。図2では、「映画」タグが付けられた「映画CM」プレイリストと「動物」タグが付けられた「動物CM」プレイリストの、二つのプレイリストからなるプレイリスト22が示されている。
【0026】
同一CMリスト23は、シーンマッチング手段14により同一CMと判断されたCM動画をエントリとするリストである。図2では、「CM1」が同一CMリスト23に該当する。「CM1」のエントリは、「Contents1_1」「Contents2_1」「Contents3_1」の3つが例示されている。
【0027】
同一CMリスト23には、タグが付けられている。図2では、同一CMリスト23である「CM1」に「映画」タグが付けられている。もちろん、「映画」タグが付けられるCMは他にあってもよい。タグ付は、ユーザが手動で視聴端末30を用い、プレイリスト作成手段15によりなされる。
【0028】
(各CMのプレイリストへの登録手順)
図3に、各CMのプレイリストへの登録手順を示す。
CMのプレイリスト22への登録は、例えば、ユーザが、蓄積されているコンテンツ21の中から、1つの録画コンテンツを選び、当該録画コンテンツへの操作メニューの中から「CMのプレイリストへの登録」処理を指示した場合等により開始される。
【0029】
まず、CM抽出手段13が録画コンテンツの中からCMを抽出する(ステップS101)。図7(a)に示したように、CMは複数含まれる場合もあるが、ここでは説明を簡潔にするために、1つのCMが抽出されたこととする。
【0030】
次に、抽出されたCMに対して、ユーザが手動でタグ付けを行う(ステップS102)。このステップは、ユーザ操作である。また、付けられるタグは、「映画」「動物」など既存のものでもよく、新規タグでもよい。
【0031】
次に、プレイリスト作成手段15は、抽出されたCMを、ステップS102で付けられたタグの配下に追加する(ステップS103)。
【0032】
また、シーンマッチング手段14が追加されたCMとシーンマッチングするCMを検索する(ステップS104)。
【0033】
ステップS104の結果、同一のCMが見つかれば、追加されたCMを、見つけた同一のCMのリストの1エントリに加える(ステップS105、S106)。
【0034】
以上のように、抽出されるCMは、プレイリスト22へと登録される。プレイリスト登録の際には、同じCMが有れば、同じCM同士で構成される同一CMリスト23に登録される。プレイリスト22や同一CMリスト23への登録の態様は、具体的には、例えば、図4図5に示すようにしてもよい。
【0035】
図4は、図3のステップS103で生成される、プレイリストデータベース例を示す。
図4の各段は、それぞれ、CM抽出手段13が抽出した一つ一つのCM動画を示す。各CM動画は、ユーザにより付けられたタグを持ち、また、当該CM動画が含まれる録画コンテンツを特定できる情報(コンテンツID)に紐付けられている。また、その録画コンテンツにおける当該CM動画が再生される区間にも紐付けられている。
【0036】
図5は、図3のステップS106で生成される、同一CMリスト23に関するデータベース例を示す。
図5には、図2に例示した「CM1」の同一CMリストの各エントリを示している。
図5に示すように、各エントリには、CMID、コンテンツID、残存コピー可能回数、CMの書き出し済み回数、タグ数、本編書き出し済み回数、本編保護回数、画質優先度が紐付けられている。
【0037】
CMIDは、同じ種類のCMごとに一意に決められる識別子である。コンテンツIDは、図4のものと同じく、録画コンテンツを特定できる情報である。残存コピー可能回数は、コンテンツIDにより特定される録画コンテンツに残されている複製が可能な回数である。例えば、ダビング10で、まだ一度もコピーしていない場合は9回になる。
【0038】
CMの書き出し済み回数は、後述するCMの媒体書きだしを実行して書き出しを行った回数である。媒体書き出し手段12が計数する。
【0039】
タグ数は、そのCMに付けられているタグの数である。図5では、「CM1」については2種類のタグが付けられていることを示す。
【0040】
本編書き出し済み回数は、コンテンツIDにより特定される録画コンテンツの本編の書き出しを行った回数である。媒体書き出し手段12が計数する。
【0041】
これに対して、本編保護回数は、コンテンツIDにより特定される録画コンテンツを後何回コピー可能にしておきたいかに応じて、ユーザが任意に指定するものである。例えば、図5の最上段のエントリの録画コンテンツは、最低4回はコピー可能にしておきたいとして設定されている。
【0042】
(CMの媒体書き出し手順)
次に、CMをコピーする手順について説明する。
図6に、CMの媒体書き出し手順を示す。
図6のフローの開始時において、ユーザにより、あるCMが選択されており、当該CMの書き出しをユーザが指示した状態であることが、図6のフロー開始の前提条件である。
【0043】
まず、選択されている書き出し対象が、本編であるか否か確認する(ステップS201)。本編であれば、本編を書き出した上、本編書き出し済み回数をインクリメント等して本フローを終了する。
【0044】
次に、選択されているCMに同一CMがあるか否かを判断する(ステップS202)。同一CMがある場合(つまり、複数のエントリがある同一CMリストがある場合)、コピー回数に余裕があるコンテンツを自動で選択し(ステップS203)、同じコピー可能回数のものがあるか否かを判断する(ステップS204)。有る場合は、画質優先度が高いものを選ぶ(ステップS205)。
次に、選択されているコンテンツから、CMの書き出しを実行する(ステップS206)。
【0045】
一方で、選択されているCMに同一CMがない場合、本編分のコピー可能回数があるか否か判断し(ステップS207)、有る場合は、CMの書き出しを実行する(ステップS206)。他方、ない場合は、ユーザにコピー可能回数不足であることを提示して終了する(ステップS208)。
【0046】
本実施形態は、上述のように動作するので、コピー可能回数が設定されている複数の録画コンテンツからCMをコピーする際に、自動で最適な録画コンテンツからコピーを作成することが可能になる。
【符号の説明】
【0047】
1 映像記録装置
10 放送受信機
11 放送受信・蓄積手段
12 媒体書き出し手段
13 CM抽出手段
14 シーンマッチング手段
15 プレイリスト作成手段
16 同一CMリスト作成手段
17 書き出し優先度付け手段
20 記憶装置
21 コンテンツ
22 プレイリスト
23 同一CMリスト
30 視聴端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7