特許第5679900号(P5679900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679900
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】木ねじによる固定構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20150212BHJP
   F16B 12/16 20060101ALI20150212BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
   F16B5/02 V
   F16B12/16
   E04F11/18
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-104390(P2011-104390)
(22)【出願日】2011年5月9日
(65)【公開番号】特開2012-233555(P2012-233555A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2013年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113779
【氏名又は名称】マツ六株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】大喜多 未来子
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−090716(JP,A)
【文献】 特開2002−279805(JP,A)
【文献】 実開平07−042173(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/02
E04F 11/18
F16B 12/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付物に長孔状の貫通孔を形成し、この貫通孔を介して木ねじを被取付物にねじ込み、取付物を木ねじの頭部の座面で被取付物に押しつけて固定する固定構造において、前記貫通孔は被取付物に対して垂直に開設されており、前記貫通孔の上端縁には被取付物に対して平行になった平行接触面と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面とが形成され、前記平行接触面と傾斜接触面とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじの軸を傾斜接触面側上終端点と軸を挟んで反対側の平行接触面側下終端点とに接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじの頭部の座面が傾斜接触面に接触することを特徴とする木ねじによる固定構造。
【請求項2】
取付物に貫通孔を形成し、この貫通孔を介して木ねじを被取付物にねじ込み、取付物を木ねじの頭部の座面で被取付物に押しつけて固定する固定構造において、前記貫通孔は被取付物へ向けて縮径するテーパ面を有し、前記貫通孔の上端縁には被取付物に対して平行になった平行接触面と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面とが形成され、前記平行接触面と傾斜接触面とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじの軸を傾斜接触面側上終端点と軸を挟んで反対側の平行接触面側下終端点とに接触させるとともに、前記テーパ面にも接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじの頭部の座面が傾斜接触面に接触することを特徴とする木ねじによる固定構造。
【請求項3】
取付物に貫通孔を形成し、この貫通孔を介して木ねじを被取付物にねじ込み、取付物を木ねじの頭部の座面で被取付物に押しつけて固定する固定構造において、前記貫通孔は被取付物へ向けて縮径する階段部を有し、前記貫通孔の上端縁には被取付物に対して平行になった平行接触面と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面とが形成され、前記平行接触面と傾斜接触面とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじの軸を傾斜接触面側上終端点と軸を挟んで反対側の平行接触面側下終端点とに接触させるとともに、前記階段部の突出側角部にも接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじの頭部の座面が傾斜接触面に接触することを特徴とする木ねじによる固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手すり用ブラケットや取手等を木ねじにより壁面等に固定する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図14に示すように、木ねじ1を用いて手すり用ブラケット等の被取付物10を壁面等の被取付物11に固定するには、取付物10に貫通孔5を形成し、この貫通孔5を介して木ねじ1を被取付物11にねじ込み、木ねじ1の頭部6で取付物10を被取付物11に押しつける。
ここで、木ねじ1を斜めにして取付物10を被取付物11に固定する場合、貫通孔5の径を大きくする必要がある。
しかしながら、貫通孔5の径を大きくすると、木ねじの頭部6が貫通孔5から抜け出して取付物10の固定ができなくなるおそれがあるため、図15に示すようにワッシャ12を使用することがあるが、ワッシャ12を使用すると作業性が悪化するという問題がある。
【0003】
かかるワッシャ12の使用による作業性の悪化を解消するために、ワッシャ12を使用することなく木ねじを斜めにねじ込んで取付物10を被取付物11に固定するための構造として特許第3207830号の発明が創案された。
【0004】
この特許第3207830号に係る発明は、『取付物に貫孔を形成し、この貫孔を介して木ねじを被取付物にねじ込み、取付物を木ねじの頭部で被取付物に押しつけて固定する固定構造において、前記貫孔に被取付物に向けて拡径するテーパを形成し、このテーパに沿わせて木ねじを斜めに挿入するようにした木ねじによる固定構造。』である。
【0005】
【特許文献1】特許第3207830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許第3207830号に係る発明には、以下のような問題点がある。
まず、木ねじが取付物を被取付物へ押しつける力は、木ねじの頭部の下面である座面を介して取付物に伝えられるので、座面の取付物に対する接触面積が大きいほど確実に前記力が取付物に伝えられる。
しかしながら、特許第3207830号に係る発明では、木ねじの頭部が没入させる座ぐりが設けられているものであっても、座面の半分程度しか接触していない。
このため、特許第3207830号に係る発明では、取付物の被取付物に対する固定の程度が弱くなりがちである。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、取付物を被取付物に対してより確実かつ強固に固定することができる木ねじによる固定構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の木ねじによる固定構造は、取付物に長孔状の貫通孔を形成し、この貫通孔を介して木ねじを被取付物にねじ込み、取付物を木ねじの頭部の座面で被取付物に押しつけて固定する固定構造であって、前記貫通孔は被取付物に対して垂直に開設されており、前記貫通孔の上端縁には被取付物に対して平行になった平行接触面と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面とが形成され、前記平行接触面と傾斜接触面とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじの軸を傾斜接触面側上終端点と軸を挟んで反対側の平行接触面側下終端点とに接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじの頭部の座面が傾斜接触面に接触するようになっている。
【0009】
本発明に係る第2の木ねじによる固定構造は、取付物に貫通孔を形成し、この貫通孔を介して木ねじを被取付物にねじ込み、取付物を木ねじの頭部の座面で被取付物に押しつけて固定する固定構造であって、前記貫通孔は被取付物へ向けて縮径するテーパ面を有し、前記貫通孔の上端縁には被取付物に対して平行になった平行接触面と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面とが形成され、前記平行接触面と傾斜接触面とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじの軸を傾斜接触面側上終端点と軸を挟んで反対側の平行接触面側下終端点とに接触させるとともに、前記テーパ面にも接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじの頭部の座面が傾斜接触面に接触するようになっている。
【0010】
本発明に係る第3の木ねじによる固定構造は、取付物に貫通孔を形成し、この貫通孔を介して木ねじを被取付物にねじ込み、取付物を木ねじの頭部の座面で被取付物に押しつけて固定する固定構造であって、前記貫通孔は被取付物へ向けて縮径する階段部を有し、前記貫通孔の上端縁には被取付物に対して平行になった平行接触面と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面とが形成され、前記平行接触面と傾斜接触面とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじの軸を傾斜接触面側上終端点と軸を挟んで反対側の平行接触面側下終端点とに接触させるとともに、前記階段部の突出側角部にも接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじの頭部の座面が傾斜接触面に接触するようになっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る木ねじによる固定構造は、木ねじを取付物及び被取付物に対して斜めにねじ込んでも、木ねじの座面が傾斜接触面に接触することで確実に取付物を被取付物に固定する。
また、第1の発明では傾斜接触面側上終端点及び平行接触面側下終端点、第2の発明では傾斜接触面側上終端点、平行接触面側下終端点及びテーパ面、第3の発明では傾斜接触面側上終端点、平行接触面側下終端点及び階段部の突出側角部によって木ねじのねじ込みがガイドされるので、確実かつ強固な固定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットの概略的断面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットの概略的平面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットの概略的正面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットの概略的右側面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットが入隅部に固定された状態を示す概略的断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットが壁面に固定された状態を示す概略的断面図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットが入隅部に固定された状態の貫通孔と木ねじとの関係を示す概略的拡大断面図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットが入隅部に固定された状態を示す概略的断面図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットの概略的断面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットの概略的平面図である。
図11】本発明の第3の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットが入隅部に固定された状態を示す概略的断面図である。
図12】本発明の第3の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットの概略的断面図である。
図13】本発明の第3の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケットの概略的平面図である。
図14】従来のこの種の木ねじによる固定構造の概略的断面図である。
図15】従来のこの種の木ねじによる固定構造の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造は、取付物に長孔状の貫通孔123を形成し、この貫通孔123を介して木ねじ500を被取付物にねじ込み、取付物を木ねじ500の頭部510の座面520で被取付物に押しつけて固定する固定構造であって、前記貫通孔123は被取付物に対して垂直に開設されており、前記貫通孔123の上端縁には被取付物に対して平行になった平行接触面126と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面127とが形成され、前記平行接触面126と傾斜接触面127とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじ500の軸530を傾斜接触面側上終端点127Aと軸530を挟んで反対側の平行接触面側下終端点126Aとに接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじ500の頭部510の座面520が傾斜接触面127に接触するようになっている。
【0014】
このような木ねじによる固定構造を採用した取付物としての手すり用ブラケット100は、図1等に示すように、手すり200が取り付けられる手すり固定部110と、被取付部としての壁面に固定される固定座部120と、手すり固定部110と固定座部120とを接続する略1/4円弧状の接続部130とを有している。なお、図1等に示す手すり用ブラケット100には、接続部130に取り付けられて手すり固定部110及び固定座部120の内側面を隠すカバーが取り付けられるが、本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造の説明には不要であるため、カバーについては図示を省略している。
【0015】
この手すり用ブラケット100は、図5に示すように、2つの壁面W1、W2が直角に交差した内側である入隅部にも固定されるものである。この手すり用ブラケット100が入隅部に固定される場合には、一方の壁面W1に固定座部120の裏面部121が密着し、他方の壁面W2に固定座部120の外側縁部122が接触するようになっている。また、このような入隅部では、2つの壁面W1、W2の真裏側には柱Pがなく、2つの壁面W1、W2が交差する交点の内側に柱Pが位置していることが多い。
【0016】
なお、この手すり用ブラケット100は、図6に示すように、上述した入隅部のみならず、真裏に柱Pがある壁面W3にも固定することができる。
【0017】
このような手すり用ブラケット100の手すり固定部110は、手すり200の端部が挿入される有底円筒状に形成されており、その底部111には手すり200の端部にねじ込まれる木ねじ500のための3つの開口112が横一列に開設されている(図4参照)。
【0018】
前記固定座部120は、平面視略長方形状に形成されており、前記手すり固定部110とは90度ずれた位置に形成されている。この固定座部120には、本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造が形成されている。
この木ねじによる固定構造については後述する。
【0019】
前記手すり固定部110と固定座部120とを接続する接続部130は、側面視略1/4円弧状の上側が開放された樋状に形成されている。すなわち、この開放された部分は、上述したカバーが取り付けられることで覆われるのである。
【0020】
本発明の第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造は、固定座部120に実現されている。固定座部120の底面部122に開設された2つの平面視長孔状の貫通孔123がそれである。前記貫通孔123は、被取付物である壁面に対して垂直に開設されている。
【0021】
なお、前記底面部122には、2つの貫通孔123の他に、略中央に位置する大開口124と、この大開口124を挟んで前記貫通孔123とは逆側に位置する小開口125とが開設されている。
【0022】
前記貫通孔123は、木ねじ500が挿入される部分である。この貫通孔123の上端縁125は、外側の平行接触面126と、これより内側の傾斜接触面127とがつながっており、かつ他の部分より盛り上がっている。このため、この貫通孔123の上端縁125は、正面視略台形状の上縁部として形成されることになる。
【0023】
前記平行接触面126は、壁面W3に対して垂直にねじ込まれた木ねじ500の座面520が接触する部分である(図6参照)。また、傾斜接触面127は、壁面W1に対して斜めにねじ込まれた木ねじ500の座面520が接触する部分である(図5参照)。
【0024】
ここで、傾斜接触面127の縁部のうち最も壁面に近い点を傾斜接触面側上終端点127Aとし、その反対側、すなわち貫通孔123の固定座部120の裏面部121の縁部のうち、前記傾斜接触面側上終点127Aから最も離れた点を平行接触面側下終端点126Aとする。
【0025】
例えば、図5に示すように、入隅部に手すり用ブラケット100を固定する場合、手すり用ブラケット100の固定座部120の底面部122の真裏には木ねじ500がねじ込まれる柱P等がなく、柱Pは斜め方向に存在する。このような場合、木ねじ500を柱Pに確実にねじ込むためには、木ねじ500を壁面W1に対して斜めにねじ込まなければならない。図5図7に示すように、木ねじ500の軸530が前記傾斜接触面側上終端点127Aと前記平行接触面側下終端点126Aとに接触するようにしてねじ込むと、木ねじ500は確実かつ強固に柱Pにねじ込まれる。しかも、木ねじ500の座面520が前記傾斜接触面127に接触して手すり用ブラケット100を壁面W1に固定することができる。
【0026】
木ねじ500は、ねじ込まれる方向を前記傾斜接触面側上終端点127Aと前記平行接触面側下終端点126Aとでガイドされ、その結果、柱Pに確実にねじ込まれ、かつ木ねじ500の座面520が傾斜接触面127に接触するので、手すり用ブラケット100をより確実かつ強固に固定することができる。
この場合は、2つの貫通孔123にそれぞれ1本ずつの木ねじ500からねじ込むので、手すり用ブラケット100は2本の木ねじ500によって壁面W1に固定されることになる。
【0027】
一方、図6に示すように、入隅部ではなく真裏側に柱Pが存在する部分に手すり用ブラケット100を固定する場合には、貫通孔123から壁面W3に対して垂直に木ねじ500をねじ込む。この時、木ねじ500が壁面W3を貫通して柱Pにねじ込まれ、木ねじ500の座面520が貫通孔123の平行接触面126に接触して手すり用ブラケット100を壁面P3に固定することができる。
なお、この場合、前記小開口125からも木ねじ500をねじ込む。すなわち、この場合は3本の木ねじ500で手すり用ブラケット100を壁面P3に固定することになる。
【0028】
このように、この木ねじによる固定構造が採用された手すり用ブラケット100であれば、木ねじ500を斜め方向にねじ込まなければならない場合も、垂直にねじ込むことができる場合も対応することが可能となる。
【0029】
なお、前記大開口124は、アンカーボルト(図示省略)を用いて手すり用ブラケット100を取り付ける際に使用される部分である。
【0030】
次に,本発明の第2の実施の形態に係る木ねじによる固定構造について説明する。
この第2の実施の形態に係る木ねじによる固定構造は、取付物に貫通孔323を形成し、この貫通孔323を介して木ねじ500を被取付物にねじ込み、取付物を木ねじ500の頭部510の座面520で被取付物に押しつけて固定する固定構造であって、前記貫通孔323は被取付物へ向けて縮径するテーパ面328を有し、前記貫通孔323の上端縁325には被取付物に対して平行になった平行接触面326と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面327とが形成され、前記平行接触面326と傾斜接触面327とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじ500の軸530を傾斜接触面側上終端点327Aと軸530を挟んで反対側の平行接触面側下終端点326Aとに接触させるとともに、前記テーパ面328にも接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじ500の頭部510の座面520が傾斜接触面327に接触するようになっている。
【0031】
かかる第2の実施の形態に係る木ねじによる固定構造が採用された手すり用ブラケット300は、上述した第1の実施の形態に係る木ねじによる固定構造とは固定座部320に形成される木ねじによる固定構造が異なるだけであるので、その他の部分、すなわち手すり固定部310と、手すり固定部310と固定座部320とを接続する接続部330と、接続部330に取り付けられるカバーとの説明は省略する。
【0032】
この第2の実施の形態に係る木ねじによる固定構造が採用された取付物としての手すり用ブラケット300の固定座部320は、図8図9に示すように、貫通孔323の内部寄りの面、すなわち傾斜接触面上終端点327Aから固定座部320の裏面部321側に向かってテーパ面328となっている。このテーパ面328は、貫通孔323の傾斜接触面327から固定座部320の裏面部321側にまで連なっている。また、この貫通孔323は、平行接触面326からは固定座部320に対して垂直になっている。
この貫通孔323の裏面側の開口は、使用する木ねじ500の軸530が通過できる大きさになっていることはいうまでもない。
【0033】
かかる貫通孔323は、木ねじ500の軸530を貫通孔323の傾斜接触面側上終端点327Aと平行接触面側下終端点326Aとに接触させると、軸530がテーパ面328にも接触するようになっている。すなわち、この第2の実施の形態に係る木ねじによる固定構造が採用された手すり用ブラケット300において、木ねじ500を斜め方向にねじ込むと、木ねじ500の軸530は貫通孔323の傾斜接触面側上終端点327A及び平行接触面側下終端点326Aとのみならず、テーパ面328にもガイドされてねじ込まれることになる。
【0034】
そして、この状態で木ねじ500をねじ込むと、図8に示すように、木ねじ500の頭部510の座面520が傾斜接触面327に接触して手すり用ブラケット300を壁面W1に固定することになる。
【0035】
なお、木ねじ500を固定座部320に対して垂直にねじ込む際には、テーパ面328ではない側の垂直な面に木ねじ500の軸530を接触させてねじ込む。すると、木ねじ500の頭部510の座面520は、平行接触面326に接触した状態で手すり用ブラケット300を壁面W1に固定する。
【0036】
次に、本発明の第3実施の形態に係る木ねじによる固定構造について説明する。
この第3の実施の形態に係る木ねじによる固定構造は、取付物に貫通孔423を形成し、この貫通孔423を介して木ねじ500を被取付物にねじ込み、取付物を木ねじ500の頭部510の座面520で被取付物に押しつけて固定する固定構造であって、前記貫通孔423は被取付物へ向けて縮径する階段部429を有し、前記貫通孔423の上端縁425には被取付物に対して平行になった平行接触面426と、被取付物に対して斜めになった傾斜接触面427とが形成され、前記平行接触面426と傾斜接触面427とは他の部分より盛り上がった正面視略台形状の上縁部を構成し、木ねじ500の軸530を傾斜接触面側上終端点427Aと軸530を挟んで反対側の平行接触面側下終端点426Aとに接触させるとともに、前記階段部429の突出側角部429Aにも接触させて被取付物に斜めにねじ込んだ場合にのみ、木ねじ500の頭部510の座面520が傾斜接触面427に接触するようになっている。
【0037】
この第3の実施の形態に係る木ねじによる固定構造が採用された手すり用ブラケット400は、上述した手すり用ブラケット300とテーパ面328の部分が異なるのみであるので、その部分を中心に説明する。
【0038】
第3の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した取付物としての手すり用ブラケット400は、図11図13に示すように、固定座部420の貫通孔423の内部寄りの面(第2の実施の形態ではテーパ面328となっていた部分)が、被取付物としての壁面へ向けて縮径する階段部429となっている。
【0039】
この貫通孔423では、木ねじ500の軸530が、貫通孔423の傾斜接触面側上終端点427Aと平行接触面側下終端点426Aと階段部429の突出側角部429Aとに接触するように斜めにねじ込むと、前記接触傾斜面427に木ねじ500の座面520が接触するようになっている。
【0040】
すなわち、この第3の実施の形態に係る木ねじによる固定構造を採用した手すり用ブラケット400では、木ねじ500を斜めにねじ込むと、木ねじ500の軸530は貫通孔423の傾斜接触面側上終端点427Aと、平行接触面側下終端点426Aと、階段部429の突出側角部429Aとの3点に接触してガイドされることになるのである。
【0041】
なお、木ねじ500を固定座部420に対して垂直にねじ込む際には、階段部429が形成されていない側の垂直な面に木ねじ500の軸530を接触させてねじ込む。すると、木ねじ500の頭部510の座面520は、平行接触面426に接触した状態で手すり用ブラケット400を壁面W2に固定する。
【0042】
なお、木ねじ500を固定座部420に対して垂直にねじ込む際には、階段部429ではない側の垂直な面に木ねじ500の軸530を接触させてねじ込む。すると、木ねじ500の頭部510の座面520は、平行接触面326に接触した状態で手すり用ブラケット300を壁面に固定する。
【0043】
なお、上述した第1〜第3の実施の形態では、取付物として手すり用ブラケット100、300、400を、被取付物として壁面を挙げたが、本発明に係る木ねじによる固定構造はこれに限定されることはないのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0044】
100 手すり用ブラケット(取付物)
123 貫通孔
126 平行接触面
126A 平行接触面側下終端点
127 傾斜接触面
127A 傾斜接触面上終端点
500 木ねじ
510 頭部
520 座面
530 軸
図1
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