(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
歯の根管内の観察を可能にした内視鏡が提案されている(特許文献1)。この内視鏡には、最大直径が約0.4mmの柔軟なファイバーが備えられ、その先端に照明部と撮像部とが設けられている。このファイバーの先端部分を歯の根管内に挿入し、照明部で照明光を照射しながら撮像する。撮像した画像をモニターに表示させることで、従来見ることのできなかった歯管の内部が観察できる。
【0003】
歯肉部に320〜670nmの所定波長の光を照射すると、歯牙はグリーンに、歯垢や歯石はオレンジ乃至レッドに発光することが知られている(特許文献2)。そこでは、歯肉部の外側から上述した所定波長の光を照射し、歯周ポケットの外側から間接的にその内部の状態を観察している。
【0004】
本出願人は、先にQLF法に基づく歯肉炎の診断方法を提案している(特許文献3)。詳しくは、口腔内にハンドピースを挿入して、歯や歯肉に380〜440nmの波長域に強度ピークがある所定波長の光を照射する。そうすると、歯肉炎の原因となる微生物に由来する物質が所定波長の光を発光する。その発光波長から歯肉炎の状態をパラメータを用いて数値化し、歯肉炎を客観的に評価する。
【0005】
レーザーの照射により、歯周ポケット内の歯石を除去する治療装置が提案されている(特許文献4)。この治療装置には、光ファイバー等を備えたハンドピースが備えられている。治療の際には、そのハンドピースにより、まず、歯周ポケット内に染料を放出して歯石の染色が行われる。余分な染料を洗い流して除去した後、歯周ポケット内にレーザーが照射される。そうすると、染色された歯石がレーザーを選択的に吸収して変性し、除去される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
歯周ポケット(歯と歯肉との間の隙間が拡がったもの)が大きくなると、その内部に歯垢が溜まって炎症を生じるため、歯周病の原因になり易い。そのため、歯周ポケットの診断は歯周病の予防や治療にとって重要であるが、歯周ポケットの診断は、プローブ等を用い、目視によって主観的に行われているのが実情である。そのため、診断結果がばらつきやすく、適切な治療が難しいという問題があり、歯周ポケットの診断等を信頼性をもって簡便に行える手段が要望されている。
【0008】
それに対し、特許文献1の内視鏡を利用すれば、歯周ポケット内の観察も可能になる。歯周ポケット内をモニターで拡大して観察できれば、より的確な診断が期待できる。しかし、歯周ポケット内が拡大観察できたとしても、炎症部位を特定するのは容易でない。炎症部位が特定できても、更に拡大観察と同時かその後に、治療器具を用いて治療を行う必要があり、手元が狂いやすいし、操作が煩雑で扱い辛い難点がある。
【0009】
特許文献2の方法によれば、発光を利用して歯垢等を選択的に特定できるので、歯石等の識別が容易になる。しかし、歯周ポケットの外側から間接的にその内部を観察しているため、発光がぼやけて精度に欠ける。また、歯石等の識別はできても炎症部位の特定までは難しい。
【0010】
それに対し、特許文献3の方法であれば、炎症部位が特定できるし、客観的な診断が行える。しかし、歯周ポケットの診断に用いた場合、外部から間接的に観察することになるので、特許文献2の方法と同じく検出精度の点では不利がある。更に、治療を別に行わなければならないため非効率的である。
【0011】
また、歯周ポケットに薬液を注入して炎症部位の治療を行う際には、特許文献4の染料のように、歯周ポケット内に隈無く薬液を行き渡らせるために、薬液が過度に添加される場合が多い。しかし、その場合、多くの薬液が無駄になるし、口腔内に薬液が拡がって患者の不快感を招くことにもなる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、客観的かつ効率的に歯周ポケット内の炎症が治療でき、患者の不快感も軽減できる歯科治療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の歯科治療装置は、歯周ポケットの治療に用いられる歯科治療装置であって、歯周ポケット内に挿入可能な線状部材と、前記線状部材に接続される装置本体と、を備える。前記線状部材の先端には、380〜440nmの波長域に強度ピークがある所定波長の光を照射する照射部と、前記光が照射されている前記歯周ポケット内部の所定部位の映像を撮る撮像部と、液体を噴射する噴射部とが設けられている。
【0014】
前記装置本体は、前記撮像部と協働して前記映像の映像情報を形成する撮像情報処理部と、前記映像情報に基づいて患部を検出する患部検出部と、前記噴射部に前記液体を供給する液供給部とを有している。そして、前記患部検出部が患部を検出した場合に、前記噴射部から前記所定部位に向けて前記液体を噴射する機能を有している。
【0015】
このような構成の歯科治療装置であれば、歯周ポケット内に線状部材を直接挿入して歯周ポケットの内部を観察することができる。しかも、炎症部位等を検出することができる所定波長の光を直接歯周ポケット内で照射しながら撮影することができるので、高精度な検出が可能になる。
【0016】
更に、炎症部位等が検出された場合には、直ちにその炎症部位等に向けて薬液等の液体を噴射することができるので、微量の噴射で正確に炎症部位の全体に薬液等を行き渡らせることができる。
【0017】
更には、前記装置本体は、前記所定部位の映像を表示する表示部を有しているのが好ましい。
【0018】
そうすれば、治療と同時に歯周ポケットの内部を観察することができるので、より正確で信頼性のある治療ができる。
【0019】
例えば、前記線状部材が扁平な横断面を有し、前記照射部と、前記撮像部と、前記噴射部とが、前記線状部材の横幅方向に並置されているようにすることができる。
【0020】
この場合、照射部等を横幅方向に並置することで線状部材の厚み方向の大きさを小さくできるので、狭い歯周ポケットにも容易に差し込むことができる。
【0021】
また例えば、前記本体装置には、ハンドピースがケーブルを介して接続され、前記線状部材は、前記ハンドピースに設けられ、前記ハンドピースに、前記撮像部の焦点位置の微調整ができる焦点位置調整機構が設けられているようにしてもよい。
【0022】
そうすれば、手元での焦点距離の微調整が可能になるので、操作性が向上する。
【0023】
また例えば、前記液体が洗浄水及び薬液を含み、前記ハンドピースは、前記噴射部に供給する前記洗浄水と前記薬液とを選択的に切り替える切替機構を有するように構成することもできる。
【0024】
そうすれば、洗浄水と薬液とを切り替えて噴射することができるので、歯垢の除去も合わせて処理することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の歯科治療装置によれば、歯周ポケット内で直接的に炎症部位等を検出することができ、炎症部位等が検出されれば直ちに微量の薬液でもって治療することができる。従って、簡便性や信頼性、経済性に優れた歯周ポケットの治療が実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0028】
図1に、本発明の治療ユニット1(歯科治療装置)の概略を示す。同図中、Pは歯周ポケット、Eは炎症部位、Sは歯垢を表しており、この治療ユニット1は、主に、歯周ポケットPの内部に生じた炎症部位E(歯肉炎)の治療に用いられる。
【0029】
この治療ユニット1によれば、歯周ポケットPの内部を直接観察することができ、炎症部位Eが見つかればそのまま治療することもできる。治療ユニット1は、ハンドピース2やユニット本体3(装置本体)などで構成されている。
【0030】
ハンドピース2は、片手で把持できる円筒状のピース本体5と、ピース本体5の先端から前方に延びる柔軟な可撓性を有するファイバー支持部6と、ファイバー支持部6の内部を通ってその先端から突出する極細ファイバー7(線状部材)と、を有している。ピース本体5には、指先でオンオフすることによって主だった操作ができる操作ボタン8が設けられている。ピース本体5の基端には、長尺のケーブル9が接続されていて、このケーブル9を介してハンドピース2とユニット本体3とが接続されている。
【0031】
極細ファイバー7は、歯周ポケットPの内部に挿入可能な可撓性を有する横断面円形の極細の部材である。極細ファイバー7の外径としては、例えば、1mm以下であり、0.5mm程度が好ましい。極細ファイバー7は、ピース本体5やケーブル9を介してユニット本体3に接続されている。
【0032】
図2に示すように、極細ファイバー7の先端には、撮像部11と、所定波長の光を照射する照射部12と、薬液等の液体を噴射する噴射部13とが設けられている。撮像部11は、既存のファイバースコープと同様に構成されていて、照射部12によって照射される歯周ポケットPの内部の所定部位の映像を撮影する。
【0033】
照射部12や撮像部11は、極細ファイバー7の内部にそれぞれ設けられた伝送経路15,16(光ファイバー)を通じてユニット本体3に接続されている。一方、噴射部13は、極細ファイバー7の内部に設けられた管状の送液経路17を通じてユニット本体3に接続されている。
【0034】
図3に示すように、撮像部11では、焦点距離がFに設定された固定焦点方式が採用されおり、その焦点距離Fに合わせて噴射部13の噴射方向が設定されている。具体的には、噴射部13の噴射方向は、同図の矢印線のように、焦点距離Fにおける撮影範囲の中心に向けられている。
【0035】
図4に示すように、ユニット本体3には、映像処理部21や液供給部22が設けられている。また、
図1に示したように、ユニット本体3の外側には、各種スイッチや表示ランプが備えられた操作部23や、静止画や動画を表示する表示部24、ケーブル9が接続される接続部25が備えられている。
【0036】
本実施形態の液供給部22は、噴射部13に薬液を供給する機能を有している。液供給部22には、薬液を貯留する薬液タンク27、薬液ポンプ28、開閉弁29などが備えられている。
【0037】
薬液タンク27は配管や開閉弁29を介して薬液ポンプ28の取入口に接続され、薬液ポンプ28の吐出口は配管を介して接続部25に接続されている。接続部25にケーブル9を接続することにより、薬液タンク27は薬液ポンプ28を介して噴射部13と連通する。従って、噴射部13からは薬液を制御可能に噴射することができる。薬液ポンプ28には、ピストンポンプなど一定量を精度高く吐出できる容積型ポンプを用いるのが好ましい。
【0038】
映像処理部21には、光源ユニット31や、CCD等が設けられた映像処理ユニット32、治療ユニット1の全体を統括的に制御する制御ユニット33などが備えられている。
【0039】
光源ユニット31は、380〜440nmの波長域に強度ピークがある所定波長の光を発生する機能を有し、その光を照射部12に供給する。また、光源ユニット31には、通常の照明用の光も発光する機能が備えられており、必要に応じて切り替えることができる。光源ユニット31は、光ファイバー線35を介して接続部25に接続されている。接続部25にケーブル9を接続することにより、光ファイバー線35は照射部12と連通する。従って、照射部12から上述した所定波長の光を照射することができる。
【0040】
映像処理ユニット32は、撮像部11が撮影した映像の映像情報を形成する機能を有し、撮像ファイバー線36を介して接続部25に接続されている。接続部25にケーブル9を接続することにより、撮像ファイバー線36は撮像部11と連通する。表示部24では、映像情報に基づいて歯周ポケットPの所定部位の映像の表示が行われる。
【0041】
制御ユニット33には、CPUやメモリ等が設けられるとともに各種情報処理ソフトが実装されていて、患部検出部41や噴射制御部42などが備えられている。制御ユニット33は、薬液ポンプ28や開閉弁29、光源ユニット31、映像処理ユニット32と電気的に接続されている。
【0042】
患部検出部41は、映像情報に基づいて歯垢Sや炎症部位E(患部)を検出する。具体的には、上述した所定波長の光を歯周ポケットPの内部で照射すると、歯や歯肉、歯垢S等でそれぞれ異なる蛍光が発せられる。例えば、炎症部位Eでは440nm以上の波長の光が発光する。従って、照射部12によって照射されている部位を撮像部11で撮影し、その発光状態を解析することにより、炎症部位E等を特定することができる。患部検出部41によってその解析処理が実行される。
【0043】
例えば、撮像部11が撮影した映像(画像)を所定の領域ごとに分割し、その領域ごとに発光の特性を示す波長や強度等を算出する。その算出値に基づいて所定の比較値を取得する。比較値の取得に際しては、パラメータや基準値等を用いてもよい。そして、その比較値が予め記憶された炎症部位E等の各対照値と比べられ、領域ごとに炎症部位E等かどうかが判断される。
【0044】
噴射制御部42は、薬液の噴射タイミングを制御する。例えば、操作ボタン8のオンオフ操作により、薬液を噴射する処理を実行する(手動モード)。また、患部検出部41が炎症部位E等を検出した場合に、自動的に所定時間噴射する処理を実行する(自動モード)。
【0045】
次に、
図5のフローチャートを参照しながら治療方法について説明する。
【0046】
治療に先立って歯周ポケットPの内部を洗浄し、歯垢Sを除去しておく。次に、ハンドピース2を操作して、極細ファイバー7を歯周ポケットPの内部に挿入する。そうして、所定の操作ボタン8を操作すると、照射部12から所定波長の光が照射される(ステップS1)。照射に続いて映像処理ユニット32が作動し、撮像部11との協働により歯周ポケットPの内部の所定部位が撮影される(ステップS2)。
【0047】
所定部位に炎症が存在する場合、所定の蛍光が発せられるので、撮像部11からは、領域によって色相等の異なる映像が得られる。従って、表示部24を通じて炎症部位Eを目視で検出することができ(手動モード)、患部検出部41によって炎症部位Eを自動的に検出することもできる(自動モード)。歯周ポケットPの内部で撮影される映像に基づいて炎症部位Eを検出することができるので、高精度な検出が行える。
【0048】
そうして炎症部位Eが検出された場合には(ステップS3でYES)、所定量の薬液が噴射される(ステップS4)。手動モードであれば、所定の操作ボタン8のオン操作により、所定量の薬液が噴射される。自動モードであれば、噴射制御部42により、自動的に所定量の薬液が噴射される。
【0049】
薬液は、歯周ポケットPの内部で、炎症部位Eの近傍から炎症部位Eに向けて噴射されるので、少量で炎症部位Eの全体に行き渡らせることができる。従って、薬液の使用量は少なくて済む。また、歯周ポケットPからの薬液の漏れ出しもほとんど無くすことができるので、薬液が口腔内に拡がって患者の不快感を招くことも防止できる。
【0050】
その後は、歯周ポケットPの内部を撮影しながらステップS3、S4の操作を繰り返せばよい。
【0051】
(別実施形態1)
図6に、本発明の別実施形態1を示す。本実施形態は、薬液だけでなく洗浄水も選択して噴射できる点で上述した実施形態と異なっている。その他の点については上述した実施形態と同様であるため、異なる点について詳細に説明し、同様の構成の部材には同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0052】
本実施形態の液供給部22は、噴射部13に洗浄水と薬液とを供給する機能を有している。液供給部22には、洗浄水を貯留する洗浄水タンク51や薬液を貯留する薬液タンク27、洗浄水ポンプ52、薬液ポンプ28、開閉弁53,29などが備えられている。
【0053】
薬液タンク27及び洗浄水タンク51のそれぞれは、配管や開閉弁29,53を介して各ポンプ28,52の取入口に接続されている。各ポンプ28,52の吐出口は、配管を介して接続部25に接続されている。接続部25にケーブル9を接続することにより、薬液タンク27や洗浄水タンク51は、それぞれのポンプ28,52を介して噴射部13と連通する。従って、噴射部13からは洗浄水や薬液を制御可能に噴射することができる。
【0054】
噴射制御部42は、薬液及び洗浄水の噴射タイミングを制御する。例えば、操作ボタン8の切替操作、オンオフ操作により、洗浄水と薬液とを切り替えて所定時間噴射する処理を実行する(手動モード)。また、患部検出部41が炎症部位E等を検出した場合に、自動的に洗浄水等を切り替えて所定時間噴射する処理を実行する(自動モード)。
【0055】
薬液と洗浄水とを切り替えるために、ハンドピース2の先端部分に切替機構が設けられている。
図7に、その切替機構55を示す。
【0056】
切替機構55は、極細ファイバー7の基端部が接続される第1コネクタ56と、第1コネクタ56が取り付けられる切替本体部57と、第1コネクタ56と逆向きに切替本体部57に取り付けられ、ケーブル9の端部が接続される第2コネクタ58とを有している。
【0057】
ケーブル9の内部には、光源ユニット31及び映像処理ユニット32のそれぞれに接続される2つ伝送経路59a,59b(光ファイバー)が設けられた1本のファイバー59と、薬液タンク27及び洗浄水タンク51のそれぞれに接続される2本の送液チューブ60,61とが備えられている。
【0058】
切替本体部57には、第1伝送路57aや第2伝送路57b、切替流路57cが設けられている。照射部12に連なる伝送経路15と、光源ユニット31に連なる伝送経路59aとは、第1伝送路57aを介して伝送可能に接続されている。撮像部11に連なる伝送経路16と、映像処理ユニット32に連なる伝送経路59bとは、第2伝送路57bを介して伝送可能に接続されている。そして、噴射部13に連なる送液経路17は、切替流路57cを介して2本の送液チューブ60,61と接続されている。
【0059】
本実施形態の治療ユニット1では、薬液噴射後に送液経路17に残留する薬液が微量になるように、送液経路17の内部容積は小さく設定されている。従って、薬液と洗浄水とを繰り返し切り替えても、過度の薬液を噴射せずに済み、微量の薬液を安定して噴射することができる。
【0060】
次に、
図8のフローチャートを参照しながら本実施形態の治療方法について説明する。本治療ユニット1では歯垢Sも除去できるので、事前の洗浄処理なしにそのまま治療を開始することができる。
【0061】
従って、上述した実施形態と同様に、そのままハンドピース2を操作して、極細ファイバー7を歯周ポケットPの内部に挿入する。そうして、操作ボタン8を操作して照射部12から所定波長の光を照射する(ステップS1)。照射しながら、映像処理ユニット32を作動させ、歯周ポケットPの内部の所定部位を撮影する(ステップS2)。
【0062】
所定部位に歯垢Sが存在した場合には、異なった蛍光が発せられるので、撮像部11からは、色相等の異なる映像が得られる。従って、表示部24を通じて歯垢Sの存在を目視で検出することができ(手動モード)、患部検出部41によって自動的に歯垢Sを検出することもできる(自動モード)。
【0063】
そして、歯垢Sが検出された場合には(ステップS11でYES)、洗浄水を噴射して歯垢Sを除去する(ステップS12)。手動モードであれば、操作ボタン8の切り替え操作やオンオフ操作により、歯垢Sが除去されるまで洗浄水が噴射される。自動モードであれば、噴射制御部42により、歯垢Sが除去されるまで、換言すれば、比較値が歯垢Sの対照値を外れるまで、自動的に洗浄水が噴射される。
【0064】
続いて、炎症部位Eが検出された場合には(ステップS3でYES)、所定量の薬液が噴射される(ステップS4)。手動モードであれば、操作ボタン8のオン操作により、所定量の薬液が噴射される。自動モードであれば、噴射制御部42により、自動的に所定量の薬液が噴射される。
【0065】
その後は、歯周ポケットPの内部を撮影しながらステップS11〜S4の操作を繰り返せばよい。
【0066】
(別実施形態2)
図9に、本発明の別実施形態2を示す。本実施形態では、焦点が固定された固定焦点方式ではなく、手元で焦点距離の微調整が可能になっている点で、上述した実施形態や別実施形態1と異なっている。
【0067】
具体的には、本実施形態のハンドピース2には、撮像部11の焦点位置の微調整ができる焦点位置調整機構71が備えられている。焦点位置調整機構71は、調整ダイヤル72やレンズユニット73などで構成されている。調整ダイヤル72は円環状の部材であり、ピース本体5と中心を一致させた状態で取り付けられている。調整ダイヤル72は、ピース本体5に対して回動操作可能となっている。
【0068】
レンズユニット73は、2つのレンズ73a、73bで構成されている。レンズユニット73は、ピース本体5の内部における、撮像部11の伝送経路16とユニット本体3との間の中継経路16aに配置されている。各レンズ73a、73bは、互いに隣接して伝送方向に並置されている。両レンズ73a、73bは伝送方向へ相対的に変位可能に設けられており、両レンズ73a、73b間の距離の変化に連動して焦点距離が変化する。
【0069】
両レンズ73a、73b間の距離の変化量は、調整ダイヤル72を回動操作することによって調整することができる。従って、本実施形態の治療ユニット1によれば、調整ダイヤル72を指先で回動操作することで焦点距離の微調整が可能になるので、操作性が向上する。
【0070】
(別実施形態3)
図10に、本発明の別実施形態3を示す。本実施形態では、線状部材として、極細ファイバー7の代わりにマルチファイバー80が用いられている点で上述した実施形態や別実施形態1,2と異なっている。マルチファイバー80は、横断面形状が扁平な極細ファイバーであり、その厚み寸法(外法、同図のH)は、歯周ポケットPに挿入し易いように、1mm以下程度に設定されている。マルチファイバー80も極細ファイバー7と同様に、ピース本体5やケーブル9を介してユニット本体3に接続されている。
【0071】
マルチファイバー80の内部には、複数(本実施形態では3つ)の筒状の貫通孔81が基端から先端にわたって形成されている。これら貫通孔81のそれぞれは、横断面が円形の同形同寸法に形成されていて、マルチファイバー80の横幅方向に並置されている。そして、これら貫通孔81には、照明用の極細ファイバー12a(照射部12を構成)や撮影用の極細ファイバー11a(撮像部11を構成)、薬液等の噴射用のチューブ13a(噴射部13を構成)が挿通されている。すなわち、マルチファイバー80の撮像部11、照射部12、及び噴射部13は、その幅方向に並置されている。各ファイバー11a,12aやチューブ13aの外径はいずれも同じに設定されているため、挿通位置は任意に変更できる。
【0072】
本実施形態の治療ユニット1によれば、マルチファイバー80が扁平であるため、狭い歯周ポケットにも差し込み易い。構造が簡素になるうえ、撮像部11や照射部12、噴射部13の配置変更や交換が可能になる。なお、撮像部11等を配置変更する場合には、例えば、極細ファイバー11a等の基端部分をマルチファイバー80から引き出し、交差させながらハンドピース2の所定の接続部位に接続すればよい。
【0073】
更に、噴射部13をレーザー照射用の極細ファイバー等に代えることも可能である。従って、ユニット本体3に、レーザー光線の照射が可能になるレーザー照射機構を設ければ、薬液の噴射に代えてレーザーの照射も可能になる。また、貫通孔81の個数を増やしてレーザー照射用の極細ファイバー等を併置してもよい。そうすれば、薬液の噴射とレーザーの照射とが併用できるため、更に効率的な治療が可能になる。
【0074】
なお、本発明にかかる歯科治療装置は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0075】
例えば、ユニット本体3は、必ずしも一体に設けられてなくてもよい。例えば、モニター(表示部)を別途設けて、電気的に接続してあってもよい。そうすれば、モニターの設置範囲が拡がるため、例えば、簡単に、患者と同時にモニターを見ながら治療できるようになる。また、制御ユニット33をコンピュータ(PC)と接続できるようにして、例えば、高度な情報処理についてはPCで実行できるようにしてもよい。
【0076】
極細ファイバー7に薬液用と洗浄水用の2つの送液経路を設け、それぞれ個別に薬液タンク27等と洗浄水タンク51等に接続してあってもよい。そうすれば、薬液の微量噴射をより安定して行うことができる。