特許第5679934号(P5679934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679934
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
   H05B6/12 317
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-190968(P2011-190968)
(22)【出願日】2011年9月1日
(65)【公開番号】特開2013-54857(P2013-54857A)
(43)【公開日】2013年3月21日
【審査請求日】2013年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】増田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】川村 武志
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−033184(JP,A)
【文献】 特開2005−302407(JP,A)
【文献】 特開2010−277906(JP,A)
【文献】 特開2011−146393(JP,A)
【文献】 特開2009−295454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器本体と、
前記調理器本体の上部に設けられたトッププレートと、
前記調理器本体内の前記トッププレートの後方に設けられた吸気口及び排気口と、
前記トッププレートの下方に設置された加熱コイルと、
前記調理器本体内吸気口側に設置され、上部に上開口部を有し、さらに、内部に直立状態で配置された複数の制御基板を有する基板ケースと、
前記加熱コイルの下方に設置され、前記基板ケースの上開口部と連結されたコイル冷却用ダクトと、
外気を冷却空気として前記吸気口から取り込んで吸引し、吸引した冷却空気を前記基板ケース内に吐出して前記制御基板を冷却し、前記基板ケースの上開口部を介して前記コイル冷却用ダクトに送り込んで、前記加熱コイル及び周辺の部品を冷却するファンユニットとを備え、
前記ファンユニットは、
鉛直方向の上下に上吸引口と下吸引口が設けられたファン収納部を有し、さらに、前記調理器本体の背面板の反対側に前記基板ケースの側面と連結された上吐出口及び下吐出口を有し、前記調理器本体の背面板及び底板とで前記吸気口と繋がる風路を形成するファンケースと、
前記ファン収納部の上吸引口内に間隙を有して設けられ、回転軸が前記底板側に向けられたモーターと、
前記ファン収納部内に設けられ、前記モーターの駆動により外気を冷却空気として前記吸気口から前記風路内に取り込み、前記ファン収納部の上吸引口よりも下吸引口から冷却空気の風量を多く吸引し、それぞれの冷却空気を前記上吐出口と前記下吐出口から前記基板ケース内へ吐出するファンとを有し、
前記基板ケース内の各制御基板のうち、前記加熱コイル側の制御基板の高さが最も低く、前記加熱コイルから遠ざかるに従って段階的に高くなっていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記基板ケース内の各制御基板のうち、中央の制御基板の奥行きの長さが両側の制御基板よりも短く形成されていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記基板ケース内の各制御基板のうち、前記加熱コイル側の制御基板の奥行きの長さが最も短く、前記加熱コイルから遠ざかるに従って段階的に長くなっていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記基板ケース内の各制御基板の高さは、ほぼ同じ高さになっていることを特徴とする請求項2又は3記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記ファンは、前記ファン収納部内に前記上吸引口と前記下吸引口の間に設けられた1つのシロッコファンからなっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記ファンユニットは、
前記ファンケースの上部に前記モーターと空隙を有して設けられた蓋ケースと、
前記ファン収納部内に前記シロッコファンとの間に設けられた仕切板と、
前記シロッコファンの内側に前記仕切板と同じ高さ位置に設けられ、前記モーターの回転軸が回転したときに前記シロッコファンを回転させ、前記上吸引口と前記下吸引口からそれぞれ吸引された冷却空気を前記仕切板とで前記上吐出口と前記下吐出口へと誘導する円形状の遮蔽板と
を有していることを特徴とする請求項5記載の誘導加熱調理器。
【請求項7】
前記ファンケースの上吐出口及び下吐出口は、前記仕切板により区切られていることを特徴とする請求項6記載の誘導加熱調理器。
【請求項8】
前記下吐出口は、前記上吐出口の開口よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の誘導加熱調理器。
【請求項9】
前記シロッコファンの軸心方向の高さは、前記上吐出口及び前記下吐出口の両方を合わせた高さ以下であることを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレートに載置された鍋等を加熱コイルにより誘導加熱し、鍋内の調理物を調理する誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の誘導加熱調理器として、2つの加熱コイルをそれぞれ駆動する制御基板と、冷却用のファンとを備え、ファンから出た一部の冷却空気により制御基板を冷却した後一方の加熱コイルを冷却し、ファンから出た他の一部の冷却空気はダクトを介してもう一方の加熱コイルを冷却するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−184287号公報(要約書、図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の誘導加熱調理器においては、ファンから出た一部の冷却空気で制御基板を冷却した後一方の加熱コイルを冷却し、ファンから出た他の一部の冷却空気でもう一方の加熱コイルを冷却する構成であるため、冷却空気の風量が分流されてしまい、冷却効率が良いとはいえなかった。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたものであり、ファンユニットからの冷却空気の風量を分流することなく、制御基板や加熱コイル、周辺部品を効率よく冷却できる誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る誘導加熱調理器は、調理器本体と、調理器本体の上部に設けられたトッププレートと、調理器本体内のトッププレートの後方に設けられた吸気口及び排気口と、トッププレートの下方に設置された加熱コイルと、調理器本体内吸気口側に設置され、上部に上開口部を有し、さらに、内部に直立状態で配置された複数の制御基板を有する基板ケースと、加熱コイルの下方に設置され、基板ケースの上開口部と連結されたコイル冷却用ダクトと、外気を冷却空気として吸気口から取り込んで吸引し、吸引した冷却空気を基板ケース内に吐出して制御基板を冷却し、基板ケースの上開口部を介してコイル冷却用ダクトに送り込んで、加熱コイル及び周辺の部品を冷却するファンユニットとを備え、ファンユニットは、鉛直方向の上下に上吸引口と下吸引口が設けられたファン収納部を有し、さらに、調理器本体の背面板の反対側に基板ケースの側面と連結された上吐出口及び下吐出口を有し、調理器本体の背面板及び底板とで吸気口と繋がる風路を形成するファンケースと、ファン収納部の上吸引口内に間隙を有して設けられ、回転軸が底板側に向けられたモーターと、ファン収納部内に設けられ、モーターの駆動により外気を冷却空気として吸気口から風路内に取り込み、ファン収納部の上吸引口よりも下吸引口から冷却空気の風量を多く吸引し、それぞれの冷却空気を上吐出口と下吐出口から基板ケース内へ吐出するファンとを有し、基板ケース内の各制御基板のうち、加熱コイル側の制御基板の高さが最も低く、加熱コイルから遠ざかるに従って段階的に高くなっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ファンユニットから基板ケース内に吐出される冷却空気の風量を上吐出口よりも下吐出口の方を多くし、基板ケース内の各制御基板を左側から順に高くしているので、基板ケース内においては冷却空気が下から上方へと流れると共に、高さの低い制御基板の方へ流れるようになる。これにより、コイル冷却用ダクト内への冷却空気の流入が良くなり、これに伴ってコイル冷却用ダクトから上方へ噴き出す冷却空気の風量が多くなる。そのため、基板ケース内の各制御基板、加熱コイル及び周辺部品を効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る誘導加熱調理器においてトッププレートを取り外した状態を示す平面図。
図2図1の加熱コイルを取り外して示す誘導加熱調理器の平面図。
図3図1の誘導加熱調理器の側方のうちファンユニット側を切断して示す断面図。
図4図3に示すファンユニットの外観斜視図。
図5】ファンユニットを縦方向に分解して示す斜視図。
図6図2に示すコイル冷却用ダクト、基板ケース及び制御基板の斜視図。
図7図6の基板ケースに配置された制御基板の変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は実施の形態に係る誘導加熱調理器においてトッププレートを取り外した状態を示す平面図、図2図1の加熱コイルを取り外して示す誘導加熱調理器の平面図である。
【0010】
本実施の形態の誘導加熱調理器は、図1に示すように、調理器本体1の前部に側方に配置された左加熱コイル2及び右加熱コイル3と、左・右加熱コイル2、3の中央で調理器本体1の後部に配置された中央加熱コイル4と、左加熱コイル2及び中央加熱コイル4の下方に水平仕切板5を介して配置され、内部にヒーターを有するグリル6とを備えている。また、調理器本体1の後部に側方に設けられた排気口7及び吸気口8と、吸気口8側に配置されたファンユニット9と、ファンユニット9の前方に配置された基板ケース10と、コイル冷却用ダクト11とを備えている。なお、図1においては、ファンユニット9の蓋ケース91のみが見える状態となっている。また、この図には示していないが、調理器本体1の上面のうち排気口7及び吸気口8を除く面を覆うトッププレート14(図3参照)を有している。
【0011】
左加熱コイル2は、例えば、リング形状の内コイル2aと、内コイル2aの中心を同一として設置されたリング形状の中コイル2bと、中コイル2bの外周に周方向に配置された4つの変形のリング形状の外コイル2cとで構成されている。左加熱コイル2は、内コイル2aの中心を同一として中央部から放射状に延びる複数のフェライト2d上に設けられている。なお、前述の左加熱コイル2の構成は一例であって、これに限定されるものではない。
【0012】
右加熱コイル3は、例えば、リング形状の内コイル3aと、内コイル3aの中心を同一として設置されたリング形状の外コイル3bとで構成されている。右加熱コイル3は、左加熱コイル2と同様に、内コイル3aの中心を同一として中央部から放射状に延びる複数のフェライト3c上に設けられている。中央加熱コイル4は、リング状に形成され、中央部から放射状に延びる複数のフェライト4a上に設けられている。なお、中央加熱コイル4に代えて、ラジエントヒーターでもよい。
【0013】
コイル冷却用ダクト11は、水平仕切板5上に設置され、図2に示すように、左加熱コイル2の下部に設けられた左コイル冷却用ダクト12と、右加熱コイル3の下方に設けられた右コイル冷却用ダクト13とで構成されている。右コイル冷却用ダクト13は、調理器本体1を前方から見てほぼ右側半分が基板ケース10の上開口部10aと連結されている。左・右コイル冷却用ダクト12、13の上面には、周方向に複数の噴き出し口12a、13aが設けられている。
【0014】
次に、ファンユニット9の構成について図3乃至図5を用いて説明する。
図3図1の誘導加熱調理器の側方のうちファンユニット側を切断して示す断面図、図4図3に示すファンユニットの外観斜視図、図5はファンユニットを縦方向に分解して示す斜視図である。
図3乃至図5において、ファンユニット9は、蓋ケース91と、ファンケース92と、モーター93と、シロッコファン94とで構成されている。
【0015】
ファンケース92は、図4及び図5に示すように上ケース92aと下ケース92bとで構成されている。ファンケース92は、調理器本体1の背面板1a及び底板1bとで吸気口8と繋がる風路95を形成し、背面板1aの反対側に基板ケース10の側面と連結された上吐出口92c及び下吐出口92dを有している。また、ファンケース92には、鉛直方向の上下にほぼ同じ大きさの上吸引口96b及び下吸引口96dを有するファン収納部96が設けられている。そのファン収納部96は、前述の風路95側がほぼ円弧状に形成されている。
【0016】
前述の上吐出口92c及び下吐出口92dは、ファン収納部96内にシロッコファン94の外周に沿って設けられた仕切板96aによって分けられている。下吐出口92dは、仕切板96aによって上吐出口92cよりも開口が小さく形成されている。その仕切板96aは、上ケース92aと下ケース92bとによって狭持されている。
【0017】
モーター93は、ファン収納部96の上吸引口96b内に回転軸を底板1b側に向けて設けられており、ファン収納部96の上部に設けられた周縁部96cに保持部材93aを介してネジ93bで固定されている。モーター93の挿入により、ファン収納部96の上吸引口96bは、下吸引口96dよりも冷却空気を少なく吸引する構造となっている。
【0018】
シロッコファン94には、内側に仕切板96aと同じ高さ位置に円形状の遮蔽板94aが設けられている。遮蔽板94aには、モーター93の回転軸93cが取り付けられている。シロッコファン94の軸心方向の高さは、上吐出口92c及び下吐出口92dの両方を合わせた高さ以下である。蓋ケース91は、ファンケース92の上部にモーター93と空隙を有して設けられている。
【0019】
前述の上吸引口96bは、シロッコファン94内の遮蔽板94aとシロッコファン94の外周に沿って設けられた仕切板96aとにより、上吐出口92cと連通している。また、下吸引口96dは、前記と同様に遮蔽板94aと仕切板96aとにより、下吐出口92dと連通している。
【0020】
次に、基板ケース10について図6を用いて説明をする。
図6図2に示すコイル冷却用ダクト、基板ケース及び制御基板の斜視図である。
基板ケース10は、外観が直方体状に形成され、上部に上開口部10aが設けられている。上開口部10aは、コイル冷却用ダクト11の右コイル冷却用ダクト13によって覆われており、ファンユニット9側の側面がファンユニット9の上吐出口92c及び下吐出口92dと連結されている。これにより、ファンユニット9、基板ケース10及びコイル冷却用ダクト11が連結された状態となり、ファンユニット9からの冷却空気の通る風路が形成されている。
【0021】
基板ケース10内には、調理器本体1を前方から見て幅方向に例えば3枚の制御基板101、102、103が配置されている。各制御基板101、102、103は、立てられた状態で固定され、奥行きの長さがほぼ同じで、高さがそれぞれ異なっている。例えば3枚の制御基板101、102、103のうち、調理器本体1を前方から見て左側の制御基板101の高さが最も低く、中央の制御基板102の高さは左側の制御基板101よりも高く、右側の制御基板103の高さは中央の制御基板102よりも高く形成されている。
【0022】
左側の制御基板101は、使用頻度の低い中央加熱コイル4を通電制御するための基板であり、中央の制御基板102は、右加熱コイル3を通電制御するための基板であり、右側の制御基板103は、左加熱コイル2を通電制御するための基板である。
【0023】
前記のように構成された誘導加熱調理器において、ファンユニット9の運転による冷却空気の流れについて説明をする。
調理器本体1の使用により、ファンユニット9のモーター93が駆動すると、遮蔽板94aと共にシロッコファン94が回転する。この時、外気が冷却空気として吸気口8から風路95内に取り込まれる。取り込まれた冷却空気の一部はファン収納部96の上吸引口96bに吸引され、残りの冷却空気はファン収納部96の下吸引口96dに吸引される。
【0024】
上吸引口96bに吸引される冷却空気の風量は、蓋ケース91によりファン収納部96の上部との間の空間が狭く、しかもモーター93が上吸引口96b内に挿入された状態であるため、下吸引口96dに吸引される冷却空気の風量よりも少なくなっている。その風量の比率は例えば上吸引口96bが3、下吸引口96dが7で、上吸引口96bに吸引される冷却空気の風量よりも下吸引口96dに吸引される冷却空気の風量が多くなっている。なお、風量の比率は限定されるものではなく、例えば4:6あるいは2:8でもよい。
【0025】
上吸引口96bに吸引された冷却空気は、シロッコファン94内の遮蔽板94aとファン収納部96内の仕切板96aとにより、ファンケース92の上吐出口92c側に誘導され、基板ケース10内に吐出される。また、下吸引口96dに吸引された冷却空気は、前述の遮蔽板94aと仕切板96aとにより、ファンケース92の下吐出口92d側に誘導され、基板ケース10内に吐出される。
【0026】
基板ケース10内においては、上吐出口92cと下吐出口92dからの冷却空気が制御基板101、102間の空間、及び制御基板102、103間の空間をそれぞれ風路として流れ込む。その場合、下吐出口92dから流入する冷却空気が上吐出口92cから流入する冷却空気よりも風量が多く、しかも勢いがよいので、下吐出口92dからの冷却空気は上吐出口92c側の冷却空気を誘引しながら上方へ向きを変える。そして、制御基板102、103間の冷却空気は、さらに高さの低い制御基板102側へと向きを変え、また、制御基板101、102間の冷却空気も高さの低い制御基板101側へと向きを変え、上方のコイル冷却用ダクト11内に流入する。
【0027】
コイル冷却用ダクト11内に流入した冷却空気は、右コイル冷却用ダクト13に設けられた複数の噴き出し口13aから上方に噴き出して右加熱コイル3を冷却し、トッププレート14と水平仕切板5の間の空間に流れながら周辺部品を冷却し排気口7側に流れる。また、残りの冷却空気は、左コイル冷却用ダクト12に送り込まれ、複数の噴き出し口12aから上方に噴き出して左加熱コイル2を冷却し、前記と同様にトッププレート14と水平仕切板5の間の空間に流れながら周辺部品を冷却し排気口7側に流れる。
【0028】
以上のように実施の形態によれば、ファンユニット9から基板ケース10内に吐出される冷却空気の風量を上吐出口92cよりも下吐出口92dの方を多くし、基板ケース10内の各制御基板101、102、103を左端から順に高くしているので、基板ケース10内においては冷却空気が下から上方へと流れると共に、高さの低い制御基板101、102の方へ流れるようになる。これにより、コイル冷却用ダクト11内への冷却空気の流入が良くなり、これに伴って左コイル冷却用ダクト12及び右コイル冷却用ダクト13から上方へ噴き出す冷却空気の風量が多くなる。そのため、基板ケース10内の制御基板101、102、103、左・右加熱コイル2、3及び周辺部品を効率よく冷却することができる。
【0029】
また、基板ケース10内の各制御基板101、102、103、左・右加熱コイル2、3及び周辺部品を効率よく冷却することができるので、誘導加熱調理器の長寿命化を図ることができる。また、1つの基板ケース10に制御基板101、102、103が収納された誘導加熱調理器であるため、誘導加熱調理器そのものを小型化でき、生産工程においても2つの基板ケースを組み立てるものと比べ生産が容易となる。また、前述した従来と比べ冷却用のモータが1つでよいため電力消費を削減できる。
【0030】
なお、本実施の形態では、基板ケース10内の冷却空気がコイル冷却用ダクト11内へ効率よく流れ込むように、各制御基板101、102、103を左端から順に高くしていることを述べたが、これに限定されるものではなく、図7に示すような制御基板101、102、103であってもよい。
【0031】
図7図6の基板ケースに配置された制御基板の変形例を示す平面図である。
例えば、図7(a)に示すように、各制御基板101、102、103のうち、中央の制御基板102の奥行きの長さを両側の制御基板101、103よりも短くしてもよい。この場合、前述したように各制御基板101、103の高さを左端から順に高くしてもよいし、各制御基板101、103の高さをほぼ同じ高さとしてもよく、本実施の形態と同様の効果が得られる。
【0032】
また、図7(b)に示すように、各制御基板101、102、103のうち、左端の制御基板101の奥行きの長さを最も短くし、右側に行くに従って段階的に長くしてもよい。この場合も、各制御基板101、103の高さを左端から順に高くしてもよいし、各制御基板101、103の高さをほぼ同じ高さとしてもよく、本実施の形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0033】
1 調理器本体、1a 背面板、1b 底板、2 左加熱コイル、2a 内コイル、2b 中コイル、2c 外コイル、2d フェライト、3 右加熱コイル、3a 内コイル、3b 外コイル、3c フェライト、4 中央加熱コイル、4a フェライト、5 水平仕切板、6 グリル、7 排気口、8 吸気口、9 ファンユニット、91 蓋ケース、92 ファンケース、92a 上ケース、92b 下ケース、92c 上吐出口、92d 下吐出口、93 モーター、93a 保持部材、93b ネジ、93c 回転軸、94 シロッコファン、94a 遮蔽板、95 風路、96 ファン収納部、96a 仕切板、96b 上吸引口、96c ファン収納部96の周縁部、96d 下吸引口、10 基板ケース、101、102、103 制御基板、10a 上開口部、11 コイル冷却用ダクト、12 左コイル冷却用ダクト、12a 噴き出し口、13 右コイル冷却用ダクト、13a 噴き出し口、14 トッププレート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7