特許第5679937号(P5679937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679937
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】LED点灯時間制御方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20150212BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20150212BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
   H01L33/00 J
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-200995(P2011-200995)
(22)【出願日】2011年9月14日
(65)【公開番号】特開2013-62192(P2013-62192A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】安本 貴史
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−221262(JP,A)
【文献】 特開2009−188773(JP,A)
【文献】 特開2009−033090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B37/00−39/10
H01L33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LCDのバックライトとして用いるLEDに対して、希望する点灯時間に対応したパル
ス幅のPWMパルスを供給する設定を行い、
前記PWMパルス幅内で、且つ所定の定電流でLEDに供給する電流の調整を定電流ド
ライバで行い、
前記定電流ドライバの作動をOFFする出力を電流遮断調整手段により行い、
前記電流遮断調整手段では、前記PWMパルスのOFF時点より前に、定電流ドライバ
の作動をOFFする出力を行い、
前記電流遮断調整手段はさらに、前記定電流ドライバを遮断するためのパルスによって作動し、前記定電流ドライバを遮断するためのパルスは、前記PWMパルスのON時点とは異なる時点にONし、LEDをOFFする希望時刻にOFFし、前記電流遮断調整手段をONする時点は、前記PWMパルスのON時点より所定時間早くONすることを特徴とするLED点灯時間制御方法。
【請求項2】
前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、予め設定されている最
小点灯時間に対応して出力するPWMパルスがOFFする時点より早い時点であることを
特徴とする請求項1記載のLED点灯時間制御方法。
【請求項3】
前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、前記予め設定されている最小点灯時間に対応してPWMパルスを出力している時以外にも、前記PWMパルスの
OFF時点に先行して定電流ドライバをOFFする作動を行うことを特徴とする請求項2
記載のLED点灯時間制御方法。
【請求項4】
前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、定電流ドライバに通電
し所定の遅延時間後に定電流になる時点以降であるであることを特徴とする請求項1記載
のLED点灯時間制御方法。
【請求項5】
LCDのバックライトとして用いるLEDに対して、希望する点灯時間に対応したパル
ス幅のパルスを供給する設定を行うPWMパルス設定手段と、
前記PWMパルス設定手段で設定したPWMパルス幅内で、且つ所定の定電流でLED
に供給する電流を調整する定電流ドライバと、
前記定電流ドライバの作動をOFFする出力を行う電流遮断調整手段とを備え、
前記電流遮断調整手段では、前記PWMパルスのOFF時点より前に、定電流ドライバ
の作動をOFFする出力を行い、
前記電流遮断調整手段はさらに、前記定電流ドライバを遮断するためのパルスによって作動し、前記定電流ドライバを遮断するためのパルスは、前記PWMパルス設定手段で設定したPWMパルスのON時点とは異なる時点にONし、LEDをOFFする希望時刻にOFFし、前記電流遮断調整手段をONする時点は、前記PWMパルスのON時点より所定時間早くONすることを特徴とするLED点灯時間制御装置。
【請求項6】
前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、予め設定されている最
小点灯時間に対応して出力するPWMパルスがOFFする時点より早い時点であることを
特徴とする請求項記載のLED点灯時間制御装置。
【請求項7】
前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、前記予め設定されてい
る最小点灯時間に対応してPWMパルスを出力している時以外にも、前記PWMパルスの
OFF時点に先行して定電流ドライバをOFFする作動を行うことを特徴とする請求項
記載のLED点灯時間制御装置。
【請求項8】
前記電流遮断調整手段は、前記定電流ドライバにおいてLEDの供給電流をON・OF
Fする定電流ドライバの接地側に設け、電流遮断調整トランジスタによりON・OFF作
動を行うことを特徴とする請求項記載のLED点灯時間制御装置。
【請求項9】
前記定電流ドライバは、複数並列に設けたLED毎に複数備え、
前記電流遮断トランジスタは、前記複数の定電流ドライバの接地側を結合した後の部分
と接地部分の間に1つだけ配置したことを特徴とする請求項記載のLED点灯時間制御
装置。
【請求項10】
前記電流遮断調整手段は、前記定電流ドライバと、前記PWM設定手段と、定電流設定
手段を備えたLED制御手段とは別に設けたことを特徴とする請求項記載のLED点灯
時間制御装置。
【請求項11】
前記電流遮断調整手段は、前記定電流ドライバと、前記PWM設定手段と、定電流設定
手段を備えたLED制御手段内部に設けたことを特徴とする請求項記載のLED点灯時
間制御装置
【請求項12】
前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、定電流ドライバに通電
し所定の遅延時間後に定電流になる時点以降であることを特徴とする請求項記載のLE
D点灯時間制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(Liquid Crystal Display・液晶表示装置)のバックライト等として広く用いられているLED(Light Emitting Diode・発光ダイオード)を点灯するための点灯時間を制御する技術に関し、特にLEDを微少な時間でも正確に制御して点灯することができるようにしたLED点灯時間制御方法及びその制御方法を実施する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LCDはバックライトを用いることによりいつでも明瞭に表示することができるため、多くのLCDにはバックライトを備えている。そのバックライトとしては現在では環境適合などの理由でCCFL(冷陰極蛍光ランプ)からLEDが多く用いられるようになっている。
【0003】
LCDのバックライトは、液晶画面を適度の明るさにする必要があり、特に周囲の環境が明るい時にはそれに合わせて明るく、暗い時には画面がまぶしくない程度に暗くする調光制御を行うことが望まれる。特に車両に搭載するモニタのディスプレイに於いては、トンネル内を含め周囲が暗い時に運転者の視界内に所定以上明るいモニタ等が存在することは運転の妨げになるため、例えばそのモニタにナビゲーション画面等を表示している時、表示モード変更により画面を暗くすることが行われる。
【0004】
前記のようなLEDをバックライトとして用いる時には、前記のような各種の必要性によりLEDの照度を調節する必要が生じるが、その際にはこのLEDをPWM(Pulse Width Modulation)方式で調光している場合は、制御装置によってPWMのデューティー比を制御することによって調光を行っている。この時のPWM方式におけるデューティー比制御に際しては、所定周期でLEDに供給している電流のパルス幅を大きくすると明るくなり、パルス幅を小さくすると暗くなる。
【0005】
なお、LEDに供給する電流を直接制御することにより、LEDの明るさ調節を行うこともあるが、精密な制御を行うことができ、多数のLEDに対する制御性も良いことからPWM制御による制御が行われることが多い。
【0006】
このようなLEDのPWM制御は例えば図7に示すような制御回路で行っている。即ち図7に示す従来のLEDの点灯制御回路に於いては、昇圧定電流回路で、3直列2並列のLEDの点灯制御を行う例を示しており、バッテリ51からの電流をLED52に対して、FET53で制御を行いながら電流を供給している。
【0007】
図7の回路例では、このFET53はLED制御部54のFETドライバ55によって駆動制御している。このLED制御部54にはLED52に所定の電流が流れるように定電流ドライバ56を備え、図示する2並列の第1LED列61と第2LED列62について、それぞれ第1定電流ドライバ58と第2定電流ドライバ59によって、電流設定とPWM設定とを行う電流設定/PWM設定部60(以下、同機能を行う設定部を「電流設定/PWM設定部」と称する)の設定値にしたがって、所定の設定電流が供給されるようにしている。また、第1定電流ドライバ58と第2定電流ドライバ59はそれぞれ、LED制御部外に於いて接地している。
【0008】
ここでは第1LED列61と第2LED列62の各々について、誤差増幅器57によってそれぞれの誤差を検出、増幅し、それぞれが所定の電流となるように、FET53をPWM制御しながらフィードバック制御を行っている。この制御に際しては、バッテリ51の電圧を取り込んで、特に車両用バッテリで生じ易いLEDへの供給電圧の変動を監視し、また同じバッテリ51の電圧をマイコン用の電源回路63を介して取り込んでいるマイコン64が、LED制御回路54内の各部の検出値等を取り込んで、所定のソフトウェアによって制御を行っている。
【0009】
前記のような図7に示す制御回路に於いては、定電流ドライバ56によって、LEDを所定の照度にするための電流制御を行うことができるものであるが、例えば前記のように車両用のモニタでは、画面内の暗い部分はできる限り暗くし、明るい部分とのコントラストを高めると共に、消費電力を低減することが望まれる。そのため、前記のようなPWM制御におけるデューティー比制御のパルス幅をできる限り小さくして駆動制御することが望まれる。
【0010】
しかしながら、通常広く使用されるLEDに於いては、点灯時間を小さくするためパルス幅を小さくする時には、後述するような問題により「最小パルス幅」の限界があった。即ち、PWM制御におけるパルスの作動を詳細に検討すると、例えば図8(a)に示すPWM=150Hzで4μsec/divの画面で示すように、Duty=0.38と、デューティー比を小さくすると、PWMのLED駆動波形は25μsecと幅が小さくなり、その時の1LEDに50mA/divを流した時の波形は、図示のLEDの例ではPWM波形がONになってから12μsec遅れて立ち上がりを開始し、1μsecかけて所定の定電流になることがわかる。したがって、ここではPWM波形のONから12μseの遅延時間と、1μsecの立ち上がり時間が経過した後、即ち13μsecの応答遅れ時間が経過した後LEDは通常の定電流による点灯がなされることになる。その後はPWMがOFFする時、特に応答遅れはなくLEDの点灯電流は無くなる。
【0011】
上記のように通常のLEDでは、PWMがONになってから直ちに定電流がLEDに引き込まれるのではなく、図示のように合計13μsecの応答遅れ時間が生じるが、その原因としては、制御IC内部で、(1)PWMONによるLED点灯指令 ⇒(2)定電流設定 ⇒(3)定電流ドライバー作動 ⇒(4)電流引き込み、の一連の作動処理が発生する為と考えられる。
【0012】
上記のような応答遅れ時間は、前記のような定電流制御を行う時に用いられる制御ICでは全ての場合に存在することになる。但し、前記のような遅延時間と立ち上がり時間からなる応答遅れ時間は、制御用ICの特性によって異なり、特にこれらの応答遅れ時間が小さくなるように設定製作された制御ICも存在するが、その性能に応じて高価なものと成らざるを得ない。
【0013】
但し、制御用ICの応答遅れが問題になるのは前記図8(a)の例のようにPWMのパルス幅が特に小さくなる時であり、例えば同図(b)の2msec/divの画面のように、PWM=150Hzと、前記図(a)と同じでも、Duty=50%とデューティー値が充分大きい時にはこの応答遅れ時間は全く問題とならず、あくまでもパルス幅が特に小さい時のみ問題となるので、多くの場合は特にこの点を気にせず、LEDの点灯制御に用いている。
【0014】
なお、点灯周波数を高くすることなく、ちらつきの発生を低減することにより、部品構成を安価にでき、階調数を大きくしてLEDを滑らかに調光できるようにするため、光源部は、複数のLEDを有する複数のLED回路を備え、PWM信号の入力に応じてLED回路毎にLEDを点灯させる複数の駆動回路を設け、PWM制御回路により、調光信号の入力に応じて駆動回路毎にPWM信号を出力するとき、このPWM信号の出力タイミングを駆動回路毎に異ならせ、調光比を低くしても、光源部全体としてLEDが消灯している時間を少なくする技術は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−267415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記のようにLEDを定電流制御しながらできる限り暗く点灯しておきたい時には、各制御ICの限界まで、即ち各制御ICの最小点灯時間までパルス幅を小さくして使用することとなる。この最小点灯時間となるパルス幅は、次のような理由により限界がある。
【0017】
前記図8(a)と同じ波形部分を示す図9のように、PWM=150Hzの波形で、前記のようにPWMがONになってから12μsecの遅延時間後、1μsecで定電流に立ち上がる波形では、その後の定電流状態に於いて400mAを流せるまでの実力時間を、この制御ICの最小点灯時間とし、その時のPWMパルス幅をPWM制御における最小点灯時間としている。
【0018】
即ち、現在広く用いられている既存の制御ICは、出力1チャンネル当たり、最大150mAまで流せることを保証しており、これを最大出力電流、或いは最大可能電流(仮称)としているが、実際にはその約3倍の450mA程度の電流を流す能力がある素子が使用されており、これが実動最大可能電流(仮称)となる。それを前提に、この450mAの90%程度の電流である400mAを、安全を見越した安全実動最大可能電流(仮称)とし、この電流になるように制御することとして、この制御ICの実力時間として回路設計を行っている。
【0019】
前記最小点灯時間を制御ICの安全実動最大可能電流との関係で、波形図を利用してわかりやすく説明したのが図9である。同図に於ける点灯希望時間対応PWMパルス例の図において、(2)の最小点灯時間対応パルス(25μsec)のPWMパルスを中心に、それよりも大きな(1)のパルスと、それより小さな(3)のパルスが存在する時、それらのパルスのOFF時点を一致させて示した下方の図では、図中時刻t1でONする(1)のPWMパルスにおいては、時刻t11でLEDの点灯電流が立ち上がり、時刻t4でPWMパルスがOFFすると共に、定電流制御されたLED点灯パルスもOFFする。この制御ICでは、前記のように全LEDで400mAが流れるように設定されている。
【0020】
したがって同図の(1)のパルスにおいては、全体で400mAの定電流で制御し、時刻t4でOFFすることとなる。そのため、同図の(1)のパルス幅から次第にPWMパルスの幅を小さくしていくと、400mAの定電流部分が無くなる点P1について、ここまでPWMパルスを小さくしていった時のPWMパルスが最小点灯時間のパルスであり、(2)のパルスとなっている。図示の例ではこの最小点灯時間に対応するPWMパルスが25μsecとなっている。
【0021】
これよりもPWMパルスを小さくし、例えば(3)の波形のようになると、その時の電流は最大で例えば200mA等の、前記400mAよりも小さな値となり、前記所定の最大可能電流よりも小さな電流となってしまう。そのためこのLEDには最小点灯時間よりも小さな電流しか流れないこととなる。
【0022】
このように最小点灯時間よりも小さな点灯時間しか流れない場合は、例えば図10に示すように、意図する制御を行うことができなくなる問題を生じる。即ち、同図中の点灯時間の軸線上に「最小点灯時間」として示している点灯時間以上では、このLEDで照明されるLCDの輝度とLEDの点灯時間とは比例関係になっているのに対して、最小点灯時間よりも小さい点灯時間ではその比例関係が無くなり、それぞれの制御IC特有の特性によって変化する。そのため、この部分では実質的に所定の輝度を得るための点灯時間の制御が不能となる問題がある。
【0023】
上記のように、従来のLCDのバックライトとして用いるLEDをPWMでパルス幅を制御する時、できる限り点灯時間を小さくしようとすると、そこには定電流制御を行う制御IC固有の最小点灯時間の制限があり、その最小点灯時間よりも小さなパルス幅では所定の制御を行うことができなかった。その対策として電流能力の高い高速で立ち上がる特性を備えた制御ICを用いることが考えられるが、そのような制御ICは汎用性が無く、高価なものとならざるを得ない。
【0024】
また、同様に分解能の高い、例えば2の10乗の1024段階の調光能力から、2の12乗の4096段階の調光を行うことができる程度まで分解能を高めることも考えられるが、その際にも制御ICを特に高性能のものを用いる必要があり、高価な制御ICを選択して使用しなければならなくなる。
【0025】
したがって、従来広く用いられている比較的安価な制御ICを用いると、例えばPWM周波数が100Hzで最小点灯時間を維持する最小パルス幅が25μsecの時では、このLEDを100%点灯とする調光OFF時の0.25%迄しか輝度を低くすることができず、車両用モニタのような場合、夜間の輝度をより下げることができないことになる。
【0026】
即ち、例えば調光OFFで100%点灯の時の輝度が1000cd/m2の明るいLCDを用いている時、PWM=100Hzで最小パルス幅が25μsecでは、調光OFF時の輝度から0.25%迄しか輝度を低くすることができず、したがって1000cd/m2×0.25%=2.5cd/m2迄しか輝度を下げることができないことがわかる。このことは、例えば車両のモニタに用いる時、夜間等のLCDの輝度は1.0cd/m2以下になることが望まれることがあり、その要望を満たすことができなかった。
【0027】
また、前記のように最小点灯時間を所定以下に下げることができず、調光分解能も高くすることができず、調光率を上げることができないため、画面上で最も暗い部分と最も明るい部分のコントラストを上げることができない。そのため映像の暗い部分のバックライトの輝度を下げる、アクティブバックライト機能を効果的に生かすことができなかった。
【0028】
本発明は従来のLCDのバックライトとして用いるLEDの、PWMのパルス幅制御によって点灯時間の制御を行う時、最小点灯時間を所定以上下げることができない問題を解決し、最小点灯時間を安価な手法で確実に下げることにより、LCDの輝度を充分に低下させ位、明るさのコントラストを上げ、調光率を向上させることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明に係るLED点灯時間制御方法は、前記課題を解決するため、LCDのバックライトとして用いるLEDに対して、希望する点灯時間に対応したパルス幅のPWMパルスを供給する設定を行い、前記PWMパルス幅内で、且つ所定の定電流でLEDに供給する電流の調整を定電流ドライバで行い、前記定電流ドライバの作動をOFFする出力を電流遮断調整手段により行い、前記電流遮断調整手段では、前記PWMパルスのOFF時点より前に、定電流ドライバの作動をOFFする出力を行うことを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御方法は、前記LED点灯時間制御方法において、前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、予め設定されている最小点灯時間に対応して出力するPWMパルスがOFFする時点より早い時点であることを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御方法は、前記LED点灯時間制御方法において、前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、前記予め設定されている最小点灯時間に対応してPWMパルスを出力している時以外にも、前記PWMパルスのOFF時点に先行して定電流ドライバをOFFする作動を行うことを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御方法は、前記LED点灯時間制御方法において、前記電流遮断調整手段は、前記定電流ドライバを遮断するためのパルスによって作動し、 前記定電流ドライバを遮断するためのパルスは、前記PWMパルスのON時点とは異なる時点にONし、LEDをOFFする希望時刻にOFFすることを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御方法は、前記LED点灯時間制御方法において、前記電流遮断調整手段をONする時点は、前記PWMパルスのON時点より所定時間早くONすることを特徴とする。
【0034】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御方法は、前記LED点灯時間制御方法において、前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、定電流ドライバに通電し所定の遅延時間後に定電流になる時点以降であることを特徴とする。
【0035】
本発明に係るLED点灯時間制御装置は、前記課題を解決するため、LCDのバックライトとして用いるLEDに対して、希望する点灯時間に対応したパルス幅のパルスを供給する設定を行うPWMパルス設定手段と、前記PWMパルス設定手段で設定したPWMパルス幅内で、且つ所定の定電流でLEDに供給する電流を調整する定電流ドライバと、前記定電流ドライバの作動をOFFする出力を行う電流遮断調整手段とを備え、前記電流遮断調整手段では、前記PWMパルスのOFF時点より前に、定電流ドライバの作動をOFFする出力を行うことを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、予め設定されている最小点灯時間に対応して出力するPWMパルスがOFFする時点より早い時点であることを特徴とする請求項7記載のLED点灯時間制御装置。
【0037】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、前記予め設定されている最小点灯時間に対応してPWMパルスを出力している時以外にも、前記PWMパルスのOFF時点に先行して定電流ドライバをOFFする作動を行うことを特徴とする請求項8記載のLED点灯時間制御装置。
【0038】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記電流遮断調整手段は、前記定電流ドライバにおいてLEDの供給電流をON・OFFする定電流ドライバの接地側に設け、電流遮断調整トランジスタによりON・OFF作動を行うことを特徴とする請求項7記載のLED点灯時間制御装置。
【0039】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記定電流ドライバは、複数並列に設けたLED毎に複数備え、
前記電流遮断トランジスタは、前記複数の定電流ドライバの接地側を結合した後の部分と接地部分の間に1つだけ配置したことを特徴とする請求項8記載のLED点灯時間制御装置。
【0040】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記電流遮断調整手段は、前記定電流ドライバと、前記PWM設定手段と、定電流設定手段を備えたLED制御手段とは別に設けたことを特徴とする請求項7記載のLED点灯時間制御装置。
【0041】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記電流遮断調整手段は、前記定電流ドライバと、前記PWM設定手段と、定電流設定手段を備えたLED制御手段内部に設けたことを特徴とする請求項7記載のLED点灯時間制御装置。
【0042】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記電流遮断調整手段は、前記定電流ドライバを遮断するためのパルスによって作動し、前記定電流ドライバを遮断するためのパルスは、前記PWMパルス設定手段で設定したPWMパルスのON時点とは異なる時点にONし、LEDをOFFする希望時刻にOFFすることを特徴とする請求項7記載のLED点灯時間制御装置。
【0043】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記電流遮断調整手段をONする時点は、前記PWMパルスのON時点より所定時間早くONすることを特徴とする請求項14記載のLED点灯時間制御装置。
【0044】
また、本発明に係る他のLED点灯時間制御装置は、前記LED点灯時間制御装置において、前記電流遮断調整手段で前記定電流ドライバを遮断する時点は、定電流ドライバに通電し所定の遅延時間後に定電流になる時点以降であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
本発明は上記のように構成したので、LCDのバックライトとしてのLEDをPWMパルスによって制御する際には、使用する制御ICの特性に応じた最小点灯時間によるPWMパルスの最小幅の制約があり、それ以下のパルス幅では点灯時間とLCDの輝度との間の比例関係が無くなって実質的な制御を行うことができなくなる問題を、定電流ドライバの作動を別途遮断する機能を行う電流遮断調整器を設けることによって、定電流ドライバの作動を安定させた状態で任意の時点でOFFすることができ、点灯時間とLCDの輝度との比例関係を最小点灯時間以下においても維持することができるようになる。
【0046】
したがって従来の技術においては、最小点灯時間までしかLCDの輝度を低下させることができなかったものを、更に輝度を確実に下げることができ、例えば夜間のLCDモニタの輝度を更に下げることができ、例えば車両用モニタとして用いる時のまぶしさを確実に低減させることができるようになる。
【0047】
また同様の理由により従来の技術に於いては、PWMパルスの周波数を100Hzとして、最小点灯時間に対応するPWMパルス幅が例えば25μsecであったとき、調光制御をOFFして100%点灯にしたときのパルス幅の明るさが例えば1000cd/m2であると、その0.25%の2.5cd/m2にしか輝度を下げられなかったものを、0.1%、0.05%等と輝度を低下させることができ、高価な制御ICを使用しなくても充分輝度の低いLCDとすることができる。
【0048】
更に、最小の輝度を低くすることができるので、LCD画面において暗い部分と明るい部分のコントラストを上げることができ、暗い部分が多い時には消費電力を少なくすることもできる。また、同様の理由により調光率を細かく設定することができ、調光分解能を高くすることができるので、LCD画面できめの細かな表示を行うことが可能となる。
【0049】
また、本発明においては単に電流遮断調整器に安価なトランジスタを用いるのみであり、電流能力の高い素子の使用や、分解能の高い素子を用いる必要が無く、高価な制御ICを用いる必要がないため、安価なものとすることができる。
【0050】
更に本発明による電流遮断調整器を用いて定電流ドライバの作動をOFFすることは、前記のような最小点灯時間の制御に際して特に有効なものであるが、それ以外に通常のPWMパルス制御に際しても、LEDの希望点灯時間より幾分長くONするPWMパルスを出力するようにし、電流遮断調整器によって希望点灯時間に対応した時点で定電流ドライバをOFFするようにして実施することができ、その際には従来の技術より調光率を向上させ、調光分解能を高くしたLCDとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の実施例を機能ブロックと共に示す回路図である。
図2図1の(a)〜(d)の部分の波形図を従来例と共に示した図である。
図3】本発明の実施例においてLEDの最小点灯時間以下の点灯制御処理を行う作動フロー図である。
図4図3の作動フローで用いられる時刻及び時間を示した波形図である。
図5】本発明の点灯時間とLCD輝度の関係を示す図である。
図6】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の他の実施例を示す図である。
図7】従来例を示す図である。
図8】従来のLED点灯用PWMパルスの、LEDの定電流パルスの関係を示す図である。
図9】制御可能ICの最大可能電流と、それにより生じる最小点灯時間の関係を説明する図である。
図10】従来技術におけるLEDの点灯時間とLCDの輝度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0052】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明によるLED微少点灯時間制御回路の実施例であり、前記図7に示した従来技術を基本にして実施する時の例を示している。即ち図1に示す例に於いては、前記図7に示す従来例と同様に、昇圧定電流回路で、3直列2並列のLEDの点灯制御を行う例を示しており、バッテリ1からの電流をLED2に対して、FET3で制御を行いながら電流を供給している。
【0053】
図1の回路例では、このFET3はLED制御部4のFETドライバ5によって駆動制御している。このLED制御部4にはLED2に所定の電流が流れるように定電流ドライバ6を備え、図示する2並列の第1LED列11と第2LED列12について、それぞれ第1定電流ドライバ8と第2定電流ドライバ9によって、電流設定/PWM設定部10で設定されるPWMパルスにより、所定の設定電流が供給されるようにしている。
【0054】
ここでは第1LED列11と第2LED列12の各々について、誤差増幅器7によってそれぞれの誤差を検出、増幅し、それぞれが所定の電流となるように、FETドライバ5の設定の元で、PWM制御しながらフィードバック制御を行っている。この制御に際しては、バッテリ1の電圧を取り込んで、特に車両用バッテリで生じ易いLEDへの供給電圧の変動を監視し、また同じバッテリ1の電圧をマイコン用の電源回路13を介して取り込んでいるマイコン14が、LED制御回路4内の各部の検出値等を取り込んで、所定のソフトウェアによって制御を行っている。
【0055】
図1に示す実施例の回路に於いては、前記のような従来のLED点灯制御回路の構成を前提に、図7の従来例における第1定電流ドライバ58と第2定電流ドライバ59がそれぞれLED制御部54外に於いて直接接地していた部分に、電流遮断調整器15を設けている。
【0056】
図1に示す電流遮断調整器15に於いては、従来から用いられているLED制御部4の回路素子部分とは別に、その内部の第1定電流ドライバ8の接地部分に第1電流遮断調整トランジスタ16を設け、同様に第2定電流ドライバ9の接地部分に第2電流遮断調整トランジスタ17を設けている。なお、この電流遮断トランジスタは、広く用いているトランジスタ機能を行う素子であるならば、例えばFETを含め各種のものを用いることができる。
【0057】
これらの第1電流遮断調整トランジスタ16及び第2電流遮断調整トランジスタ17は、それぞれマイコン14により、後述するタイミングで駆動され、それぞれPWMパルスが最小点灯時間でON作動している時に各定電流ドライバが定電流を供給している時でも、強制的にOFFすることができるようにしている。
【0058】
上記回路構成で、各部の出力波形を従来のものと比較して示したものが図2の波形図である。同図の(1)は従来の波形であり、(2)は本発明の波形である。また、同図に於いて(a)は図1に示すようにマイコン14からLED制御部4の電流設定/PWM設定部10に入力するPWMパルスの電圧波形であり、(b)はマイコン14から電流遮断調整器15に入力するPWMパルスの電圧波形である。また、(c)は定電流ドライバ6によって定電流制御された波形であり、(d)はその定電流制御された波形が電流遮断調整器15によって遮断調整された波形である。
【0059】
図2に示す波形図から明らかなように、(a)に示すPWMパルスは前記のように25μsecと、(1)の従来のものと、(2)の本発明のものとは同一であり、それに対して(b)の電流遮断調整器における波形は(2)の本発明でのみ出力される。図2に示す電流遮断調整器のパルス波形に於いては、(a)のPWMパルスの波形のON時点よりも例えば10μsec等の所定時間早くONさせており、それによりその後にONするPWMパルスの作動に影響を与えないようにしている。
【0060】
図2の(b)に示す電流遮断調整器の作動パルスは、そのOFF時点に於いて定電流ドライバ6のトランジスタの接地を遮断することによって作動を停止するものであり、したがってそのOFF時点によってLEDの供給電流の調整が可能となる。したがって同図(c)に示すように、電流遮断調整器が存在しない従来のものに於いては、(1)のように前記従来技術で述べた最小点灯時間である12μsecより小さくできなかったのに対して、本発明に於いては同図(2)(c)に示すように、最小点灯時間の確保に必要なPWMパルスのパルス幅を狭くすることなく、最小点灯時間を12μsec以下の任意の点灯時間に制御可能となる。
【0061】
電流遮断調整器15におけるパルスは前記のような作動を行うため、その作動パルスのOFF時点は、最小点灯時間を従来のものよりも短時間にするためのパルスであることから、(a)のPWMパルスのOFF時点より早くOFFする時点の所望の時点に設定され、且つ、最小点灯時間を制御するものであることから、(c)の定電流ドライバで得られる12μsecの遅延時間、及び1μsecの立ち上がり時間後に定電流になる時点の後の時点に設定される。
【0062】
本発明における図1に示すようなLED点灯制御回路に於いて、図2に示すような電流遮断調整器による、従来の最小点灯時間よりも小さなLED点灯時間の制御を行うためには、例えば図3に示すような作動フローにより本発明を実施することができる。即ち、図3に示すLEDの最小点灯時間以下の点灯制御処理の例に於いては、最初LEDの点灯希望時間の入力から行っている(ステップS1)。
【0063】
この時の点灯希望時間については、このLEDが使用されるLCDに於いて、画面の状態により、更には周囲の明るさ等により画面全体、或いは画面の一部でバックライトの明るさを変更する時、その希望する明るさの指示を入力することとなる。したがって多くの場合はLCDの表示に対する利用者の指示、或いは各種の自動的な明るさ指示信号を入力することとなる。
【0064】
次いで点灯希望時間に応じたPWMパルス幅(Wa)を演算する(ステップS2)。この作動は使用しているLEDの特性も考慮して、従来から用いられている手法によって行われる。次いで図3の例では演算したPWMパルス幅(Wa)は予め設定されている最小点灯時間のパルス幅(Wm)より小さいか否かを判別している(ステップS3)。
【0065】
したがってこのステップS3に於いては、前記従来技術で述べたように、現在広く用いられている点灯制御用のICでは、前記のような理由により25μsec程度であるので、ここでは点灯希望時間に対応するパルス幅(Wa)が25μsecより小さいか否かの判別を行うこととなる。
【0066】
このステップS3に於いて、点灯希望時間のPWMパルス幅(Wa)が、予め設定されている最小点灯時間のPWMパルス幅(Wm)より小さくはない、と判別した時には、ステップS13に進んで、点灯希望時間に対応したPWMパルスを出力して、LEDを点灯制御し、以降はステップS1に戻って新たなLEDの点灯希望時間の入力を行い、前記作動を繰り返す。
【0067】
このステップS13の処理は従来の処理と同様の処理を行うものであるが、本発明においては、PWMパルスを希望点灯時間よりも充分大きなパルス幅で出力しておき、電流遮断調整器のOFF時刻を希望点灯時間に合わせるように出力することにより作動させることも可能であり、その際には通常のPWMパルスによる点灯制御を行う時においても、従来のものよりきめの細かな解像度の高い点灯時間制御が可能となる。
【0068】
ステップS3に於いて、点灯希望時間のPWMパルス幅(Wa)が、予め設定されている最小点灯時間のPWMパルス幅(Wm)より小さいと判別した時には、ステップS4に進んで、次に出力するPWMパルスを、設定された最小点灯時間に対応して出力するON時刻(tpn)とOFF時刻(tpf)を演算する。
【0069】
上記作動は図4に示すように、同図(a)のような最小点灯時間に対応したPWMパルスのパルス幅がWmであるとき、図2のステップS2で得られた点灯希望時間に対応するパルス幅が図4(b)のようにWaであり、それによりステップS3で、点灯希望時間のPWMパルス幅(Wa)が、予め設定されている最小点灯時間のPWMパルス幅(Wm)より小さいと判別され、その後ステップS4の作動に於いて、同図(c)に示すように、設定された最小点灯時間に対応して出力するPWMパルスのON時刻(tpn)とOFF時刻(tpf)を演算することとなる。この時のON時刻は、多くの場合PWMパルスの所定の周波数でパルスをONする時刻となり、OFFする時刻はその後最小点灯時間に対応したPWMパルス幅であるWm後の時刻となる。
【0070】
図3に於いてその後、演算したPWMパルスのON時刻(tpn)より所定時間(Wb)だけ前の、電流遮断調整器作動用パルスのON時刻(tsn)を演算する(ステップS5 。この作動は図4(d)に示すように、同図(c)のPWMパルスがONする時刻であるtpnよりも、例えば10μsec等の適宜設定した時間(Wb)だけ前の時刻であるtsnを電流遮断調整器の作動用パルスのON時刻とする。
【0071】
この時の適宜設定する時間(Wb)は、電流遮断調整器のON作動とPWMパルスのON作動が同時であることによる作動干渉を防止するものであり、したがってその観点から任意の時間を設定することができる。したがって、定電流ドライバ等の作動に影響を与えないときには同時にONするように設定することもできる。
【0072】
その後ステップS6に於いて、演算したPWMパルスのON時刻(tpn)から、点灯希望時間に応じたPWMパルス幅(Wa)でOFFする時刻に相当する、電流遮断調整器作動用パルスのOFF時刻(tsf)を演算する。この作動は図4(d)に示すように、前記PWMパルスのON時刻(tpn)から、点灯希望時間(Wa)に応じたPWMパルス幅(Wa)でOFFする時刻(tsf)を演算することによって行っている。
【0073】
次いで図3の例においては、ステップS7において、演算した電流遮断調整器の作動パルスのOFF時刻(tsf)は、PWMパルスのON時刻(tpn)から遅延して定電流になる定電流開始時刻(trn)より後か否かを判別している。この作動に際しては、図4(e)に示すように、定電流ドライバが時刻tpnからPWMパルスによって作動を開始し、その後定電流設定がなされ、次いで定電流ドライバーが作動し、電流引き込みが行われる一連の作動処理によって作動遅れが生じる。
【0074】
したがってこれらの処理による遅延時間は制御ICの特性によって異なるが、前記のように広く用いられている制御ICにおいては13μsec程度であり、これは予めわかっている値である。図示の例では時刻tpnから作動を開始し、予め設定される時間Wcの遅延時間後の、時刻trnに定電流になっていることを示している。
【0075】
したがって、前記ステップS7においては、図4(d)で得られた電流遮断調整器の作動パルスのOFF時刻(tsf)は、前記定電流開始時刻(trn)より後か否かを判別し、定電流開始時刻よりも前であった時には、希望点灯時間に対応した電流遮断調整器での最小点灯時間の制御を行うことができないため、その際は図3のステップS14に進み、電流遮断調整器作動用パルスのOFF時刻を、定電流ドライバでの最小定電流調整時間となる、定電流開始時刻(trn)に設定する。以降はステップS1に戻って前記作動を繰り返す。
【0076】
ステップS7 において、演算した電流遮断調整器の作動パルスのOFF時刻(tsf)は、PWMパルスのON時刻(tpn)から遅れて定電流になる定電流開始時刻(trn)より前であると判別した時には、ステップS8以降に於いて、前記演算した各時刻に対応した作動を順に行うこととなる。
【0077】
図3の例においてはステップS8において、図4に示すように時刻tsnになったとき、電流遮断調整器の作動をONする。次いで時刻tpnにおいて、PWMパルスをONして定電流ドライバの作動を開始する。但し定電流ドライバでは作動遅れ後に定電流制御がなされることは前記のとおりである。
【0078】
その後ステップS9で、時刻trnにおいて定電流ドライバが定電流となり、次いでステップS11において、時刻tsnで電流遮断調整器がOFF作動して、定電流ドライバがOFFする。その後ステップS12において、時刻tpfでPWMパルスがOFFになる、という一連の作動が行われ、以降はステップS1に戻って前記作動を繰り返す。この作動によって図4(f)に示すような、従来の最小点灯時間よりも小さなパルス幅で、正確な点灯作動の制御を行うことが可能となる。
【0079】
また、上記のような作動を行うことにより、図5に示すような点灯時間とLCD輝度の関係について、従来の最小点灯時間よりも小さな点灯時間にすることによる各制御IC特有の曲線での作動は本発明によって無くなり、最小点灯時間よりも小さな点灯時間においても両者の比例関係を維持することができる。
【0080】
本発明で用いている電流遮断調整器は、例えば図6に示すような種々の態様で実施することができる。即ち、同図(a)には前記図1の一部を省略した回路図を示しており、同図における電流遮断調整器15においては、定電流ドライバ6の第1定電流ドライバ8と第2定電流ドライバ9のLED制御部4外に引き出されるアース線部分を結合し、その結合部分から接地部分の間に1個の第1電流遮断調整トランジスタ16を設けて、これをマイコンにより制御することによっても実施することができる。それにより前記の図1に示す回路より電流遮断調整トランジスタを減らすことができ、安価なものとすることができる。
【0081】
また、図6(b)に示す実施例においては、電流遮断調整器15をLED制御部4内に組み込んでいる。同図の実施例においては、前記(a)の実施例と同様に、第1定電流ドライバ8と第2定電流ドライバ9のアース接続線部分をLED制御部4内で結合し、その結合部分以降に1個の第1電流遮断調整トランジスタ16を設けると共に、そのアース線をLED制御部4外に引き出して接地している。それにより、予めLED制御部4としての制御回路に組み込んでおくことができ、LED制御部4の定電流回路で安定して作動し、また安価なものとすることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 バッテリ
2 LED
3 FET
4 LED制御部
5 FETドライバ
6 定電流ドライバ
7 誤差増幅器
8 第1定電流ドライバ
9 第2定電流ドライバ
10 電流設定/PWM設定部
11 第1LED列
12 第2LED列
13 電源回路
14 マイコン
15 電流遮断調整器
16 第1電流遮断調整トランジスタ
17 第2電流遮断調整トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10