(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679975
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】建築フレームのシャーラグ
(51)【国際特許分類】
E04B 1/41 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
E04B1/41 502A
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-534774(P2011-534774)
(86)(22)【出願日】2009年10月29日
(65)【公表番号】特表2012-507650(P2012-507650A)
(43)【公表日】2012年3月29日
(86)【国際出願番号】US2009062596
(87)【国際公開番号】WO2010051379
(87)【国際公開日】20100506
【審査請求日】2012年10月25日
(31)【優先権主張番号】12/262,754
(32)【優先日】2008年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506244375
【氏名又は名称】シンプソン ストロング タイ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンタギュー エモリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】マッケンティー ポール
【審査官】
土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−299788(JP,A)
【文献】
特開平11−181883(JP,A)
【文献】
特開平10−325193(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02412927(GB,A)
【文献】
特開2007−032168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/41
E04B 1/58 − 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎内の固定アセンブリであって、前記固定アセンブリは構造要素を支持するとともに、
第1及び第2のアンカーロッドであって、前記基礎から外に延びる各アンカーロッドの一部と共に前記基礎に取り付けられた前記第1及び第2のアンカーロッドと、
シャーラグであって、
第1の構成要素と、
前記第1の構成要素から前記基礎の内側に向かって下方に延びている第2の構成要素と、
第3の構成要素と、
前記第3の構成要素から前記基礎の内側に向かって下方に延びている第4の構成要素と、を有する前記シャーラグと、
を含み、
前記第1の構成要素は、前記第1のアンカーロッドを直接前記シャーラグに装着するために前記第1のアンカーロッドを受け入れるための穴を含むとともに、第1のエッジと、前記第1のエッジとは反対の第2のエッジと、を有しており、
前記第2の構成要素は、前記第1の構成要素の前記第1のエッジと前記第2のエッジのうちの一方のみと隣接して前記第1の構成要素から延びており、
前記第3の構成要素は、前記第2のアンカーロッドを直接前記シャーラグに装着するために前記第2のアンカーロッドを受け入れるための穴を含むとともに、第3のエッジと、前記第3のエッジとは反対の第4のエッジと、を有しており、
前記第4の構成要素は、前記第3の構成要素の前記第3のエッジと前記第4のエッジのうちの一方のみと隣接して前記第1の構成要素から延びており、
前記第2の構成要素と前記第4の構成要素は、互いに平行に配置されているとともに、背中合わせに取り付けられており、かつ、前記構造要素によって前記第1及び第2のアンカーロッドに作用する剪断力を前記基礎に伝達する、
固定アセンブリ。
【請求項2】
前記第2の構成要素が、前記基礎内にほぼ垂直に設けられる、請求項1に記載の固定アセンブリ。
【請求項3】
前記第2の構成要素は、前記第1の構成要素と一体化して形成されている、請求項1に記載の固定アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の構成要素が、前記基礎の上面とほぼ面一の表面を含む、請求項3に記載の固定アセンブリ。
【請求項5】
前記固定アセンブリを前記基礎内に位置決めするためのテンプレートであって、前記第1の構成要素の上面の上に配置されたテンプレートをさらに含む、請求項3に記載の固定アセンブリ。
【請求項6】
前記テンプレートが、前記基礎の上面とほぼ面一の表面を含む、請求項5に記載の固定アセンブリ。
【請求項7】
穴及びアンカーロッドの数が2である、請求項3に記載の固定アセンブリ。
【請求項8】
前記基礎がコンクリートである、請求項1に記載の固定アセンブリ。
【請求項9】
前記シャーラグがASTM A36鋼である、請求項1に記載の固定アセンブリ。
【請求項10】
基礎に装着されたフレーム部材であって、
前記基礎上に支持され、前記基礎に対して垂直に延びている構造部材と、
第1及び第2のアンカーロッドであって、前記基礎から外に延びる各アンカーロッドの一部と共に前記基礎に取り付けられた前記第1及び第2のアンカーロッドであって、前記構造部材が、前記1以上のアンカーロッドに直接装着される、前記第1及び第2のアンカーロッドと、
シャーラグであって、
第1の構成要素と、
前記第1の構成要素にある角度で設けられた第2の構成要素と、
第3の構成要素と、
前記第3の構成要素にある角度で設けられた第4の構成要素と、を有する前記シャーラグと、を含み、
前記第1の構成要素は、前記第1のアンカーロッドを直接前記シャーラグに装着するために前記第1のアンカーロッドを受け入れる1以上の穴を含み、
前記第2の構成要素は、前記基礎に埋め込まれ、かつ前記基礎と接触している第1の表面を有するとともに、前記第1及び第2のアンカーロッドとは接触せず、
前記第3の構成要素は、前記第2のアンカーロッドを直接前記シャーラグに装着するために前記第2のアンカーロッドを受け入れる1以上の穴を含み、
前記第4の構成要素は、前記基礎に埋め込まれ、かつ前記基礎と接触している第2の表面を有するとともに、前記第1及び第2のアンカーロッドとは接触せず、
前記第2の構成要素及び前記第4の構成要素は、互いに平行に配置されているとともに、背中合わせに取り付けられており、かつ、前記シャーラグは、前記構造部材によって前記第1及び第2のアンカーロッドに作用する剪断力を前記基礎に伝達可能である、
フレーム部材。
【請求項11】
前記第1及び前記第2の構成要素が、互いにほぼ直角である、請求項10に記載のフレーム部材。
【請求項12】
前記第1及び前記第2の構成要素が、それらの端面で一体となる、請求項10に記載のフレーム部材。
【請求項13】
前記第1の構成要素における穴の数が2である、請求項12に記載のフレーム部材。
【請求項14】
前記第2の構成要素が、前記第1の構成要素の中央部から下に延びる、請求項10に記載のフレーム部材。
【請求項15】
前記第1の構成要素が、前記基礎の上面とほぼ面一の表面を含む、請求項10に記載のフレーム部材。
【請求項16】
前記基礎がコンクリートである、請求項10に記載のフレーム部材。
【請求項17】
前記シャーラグがASTM A36鋼である、請求項10に記載のフレーム部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の建築における耐荷重性に関し、特に、フレーム要素から、当該フレーム要素を支持する基礎に剪断力を伝達するシャーラグに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば軽量建築で用いられるフレーム要素は、様々な力に耐えるように基礎に取り付けられる。基礎22に取り付けられたフレーム要素20の例が、先行技術の
図1に示されている。横荷重Lは、例えば地震活動又は風によってフレーム要素20に作用する可能性がある。図示のような横荷重Lは、図示のようなフレーム要素20のそれぞれの柱24に対して張力T及び圧縮荷重Cを生成する。柱24から基礎22へ張力を伝達するために、アンカーロッド30が、柱脚にボルトで留められ、かつ柱脚を通ってコンクリート基礎の中へと下に延びる。
【0003】
張力及び圧縮力に加えて、横荷重はまた、柱脚において、柱の長さを横断する剪断力Sを生成する可能性がある。いくつかの建築物では、フレーム柱に対する軸圧縮荷重によって生成された摩擦力は、剪断力に対抗するのに十分である。しかしながら、より大きな剪断力を負う建築物用に、これらの剪断力を基礎に伝達するための様々な構造及び方法が知られている。かかる構造及び方法には、柱自体を基礎に埋め込むこと、及び剪断力に耐えるクランプ力を提供するアンカーボルトを設けることが含まれる。
【0004】
第3の選択肢は、フレーム柱の脚に取り付けられるシャーラグを設けることである。先行技術の
図2は、柱24の底板42に取り付けられ、かつ基礎22に配置されたシャーラグ40を示す。シャーラグ40は、一般に、底板42の底部に垂直に溶接されたプレート又はフィンである。実際には、底板及びシャーラグは、最初に柱の底部にボルトで留められる。次に、シャーラグの高さ及び幅より大きな深さ及び幅を有するトレンチ又はキー46が、基礎に形成される。次に、底板は、基礎の頂上に配置され、シャーラグは、キー内に配置される。グラウト層48が、底板と基礎との間のキー及びスペースを満たすために提供される。この構造を用いれば、剪断力は、柱脚から、底板及びシャーラグを通して、グラウト及び基礎に伝達されるが、シャーラグは、剪断力を基礎へと下に伝達する片持ち梁として働く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来の方法におけるシャーラグの使用には、ある欠点がある。例えば、基礎に予め形成されたキーにシャーラグを取り付けることによって、基礎は脆弱になり、また、印加された剪断力を吸収する基礎の能力が低下する。時には、特に柱及びシャーラグが基礎のエッジに接近している場合には、基礎のウェッジが剪断される可能性がある。さらに、底板へのシャーラグの溶接部は、高い応力を受けやすく、時には高い剪断力の下で機能しなくなる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、フレーム要素における柱などの構造要素から、フレーム要素を支持する基礎へと、下方に剪断応力を伝達するためのシャーラグに関する。シャーラグは、最初から構造要素に装着されるものではない。その代わりに、シャーラグは、固定アセンブリのアンカーロッドに装着され、コンクリート基礎が注ぎ込まれるときに固定アセンブリと共に基礎に取り付けられる。構造要素は、続いてアンカーロッドに装着され、その結果、剪断力は、構造要素から、アンカーロッドを通ってシャーラグに伝達され、シャーラグは、剪断力を基礎へと効果的に放散する。
【0007】
本発明の実施形態によるシャーラグは、従来のシャーラグより効果的に、構造要素から基礎に剪断荷重を分配する。特に、本シャーラグが、基礎が注ぎ込まれるときに基礎内に取り付けられ、続いて構造要素に装着されるので、シャーラグが基礎を破損する可能性が低減される。さらに、本シャーラグが、底板上に溶接されるフィンとは反対に、単一の角度のある鋼片で形成されるので、溶接破損の問題が軽減される。
【0008】
シャーラグの第1の実施形態には、水平脚部と、水平脚部に対してある角度で下へ延びる垂直脚部と、が含まれる。水平部材は、水平部を通るアンカーロッドのペアを受け入れるための穴のペアを含む。より大きな剪断力及び/又は張力を受ける構造用に、本発明の第2の実施形態には、4つのアンカーロッドと、4つのアンカーロッドを受け入れるための4つの穴を含むシャーラグとを有する固定アセンブリを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】張力、圧縮力及び剪断力を受けるフレーム要素における先行技術の正面図。
【
図2】柱脚と基礎との間に配置された従来のシャーラグにおける先行技術の断面図。
【
図3】本発明の実施形態におけるシャーラグの平面図。
【
図4】本発明の実施形態におけるシャーラグの正面図。
【
図5】本発明の実施形態におけるシャーラグの側面図。
【
図6】本システムの実施形態における基礎に取り付けられたシャーラグを含むアンカーボルトアセンブリの側面図。
【
図7】本システムの実施形態における基礎に取り付けられたシャーラグを含むアンカーボルトアセンブリの正面図。
【
図8】本発明の実施形態における基礎に柱を取り付けるシャーラグ及びアンカーボルトアセンブリの正面図。
【
図10】本発明の他の実施形態における基礎に柱を取り付けるシャーラグの平面図。
【
図11】本発明の他の実施形態における基礎に柱を取り付けるシャーラグの側面図。
【
図12】
図10、
図11の実施形態に従って基礎に取り付けられたシャーラグを含むアンカーボルトアセンブリの側面図。
【
図13】
図10、
図11の実施形態に従って基礎に取り付けられたシャーラグを含むアンカーボルトアセンブリの正面図。
【
図14】
図10、
図11の実施形態に従って基礎に柱を取り付けるシャーラグ及びアンカーボルトアセンブリの正面図。
【
図16】本発明の実施形態におけるシャーラグを含むフレーム要素の正面図。
【
図17】本発明のさらに他の実施形態におけるシャーラグの正面図。
【
図18】本発明のさらに他の実施形態におけるシャーラグの端面図。
【
図19】本発明のさらに他の実施形態におけるシャーラグの正面図。
【
図20】本発明のさらに他の実施形態におけるシャーラグの端面図。
【
図21】本発明のさらに他の実施形態におけるシャーラグの端面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、
図3〜
図21を参照して本発明を説明する。これらの図は、実施形態において、フレーム部材から、フレーム部材を支持する基礎に剪断荷重を伝達するためのシャーラグに関する。本発明は、多くの異なる形態で具体化可能であり、本明細書で述べられる実施形態に限定されるように解釈すべきではないことが理解されよう。より正確には、これらの実施形態は、この開示が包括的で完成しており、かつ本発明を当業者に十分に伝えるように、提供される。実際には、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲及び趣旨内に含まれる、これらの実施形態の代替、修正及び均等物をカバーするように意図されている。さらに、本発明の下記の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が述べられる。しかしながら、本発明が、かかる特定の詳細なしに実行可能であることが、当業者には明らかであろう。
【0011】
図3〜
図21を参照して本発明の実施形態を説明する。
図3〜
図9は、アンカーロッドのペアと共に動作するシャーラグの第1の実施形態を示し、
図10〜
図16は、4つのアンカーロッドと共に動作するシャーラグの他の実施形態を示し、
図17〜
図21は、本発明によるシャーラグのさらに他の実施形態を示す。最初に
図3〜
図5を参照すると、アンカーロッドのペアと共に動作するためのシャーラグ100の平面図、正面図及び側面図がそれぞれ示されている。実施形態において、シャーラグ100は、水平脚部102及び垂直脚部104を含む鋼の直角片であってもよい。他の実施形態では、水平及び垂直脚部は、互いに溶接されていてもよい。別個の断片から形成される場合には、垂直脚部は、水平脚部の端部から、又は(
図10〜
図16を参照して以下で説明するシャーラグ200と類似の)脚部の中央部から下に延びてもよい。本明細書における垂直及び水平への言及は、取り付けられたシャーラグに関連しており、これらの用語は、本発明に対して限定的であると考えるべきではない。
【0012】
実施形態において、水平及び垂直脚部102、104のそれぞれは、長さLが約5インチ、幅Wが約3インチ、厚さが0.5インチであってもよい。水平脚部102は、以下で説明するようにアンカーロッドを受け入れるための穴108のペアを含む。穴108は、水平脚部102の幅寸法を基準にして中央に位置決めしてもよく、かつ各穴は、水平脚部の長さを基準にして、水平脚部のエッジから内部に1インチで離間配置してもよい。穴108の直径は、約0.7インチであってもよい。本発明の他の実施形態では、上記の寸法のそれぞれは、互いに対して比例して又は偏って変化してもよいことが理解されよう。シャーラグ100は、ASTM A36鋼で形成してもよいが、しかし、本発明の他の実施形態では、シャーラグ100は他の材料で形成してもよいことが理解されよう。
【0013】
図6及び
図7は、本発明の実施形態によるシャーラグ100を含む固定アセンブリ110の側面図及び正面図をそれぞれ示す。
図3〜
図9の実施形態において、固定アセンブリ110は、シャーラグ100の水平脚部102における穴108内にぴったりと入る直径を有するアンカーロッド112のペアを含む。アンカーロッド112は、アンカーロッドに通され、かつシャーラグ100の水平脚部102における上面及び底面を留める六角ナット114のペアによって、シャーラグ100に対して固定される。さらに、テンプレート116が、上部六角ナット114と水平脚部102の上面との間に留められるが、このテンプレートの目的は、以下で説明するように、コンクリート基礎に対して固定アセンブリ110を位置決めすることである。
【0014】
実施形態において、各アンカーロッド112は、5/8インチの直径、及び14インチから36インチまでの長さを有してもよい。他の実施形態では、ロッド112の直径及びロッド112の長さが、これらの寸法の上又は下へ変化してもよいことが理解されよう。実施形態において、六角ナット114は、アンカーロッドが水平脚部102の上面の約4.5インチ上に延びるように、シャーラグ100をアンカーロッド112上に固定する。脚部102の上面の上に延びるロッド112の長さが、本発明のさらなる実施形態において、4.5インチより長くても又は短くてもよいことが理解されよう。ベアリングプレート120が、各ロッドにおける六角ナット122のペアを介してアンカーロッド112の底部に固定されてもよい。ベアリングプレート120は、以下で説明するように、固定アセンブリ110が内部に埋め込まれる基礎に、アンカーロッド112上の引張荷重を伝達するために設けられる。
【0015】
図8は、固定アセンブリ110を介して基礎132に取り付けられた構造要素130の正面図である。
図9は、
図8におけるライン9−9を通る構造要素の断面上面図である。構造要素130は、例えば、構造フレームの一部として含まれる柱であってもよい。構造要素130の配置の前に、固定アセンブリ110は、コンクリート基礎132が注ぎ込まれるときにコンクリート基礎132内に配置される。特に、コンクリート基礎を設けるために、型枠(典型的には合板シート(図示せず))が、コンクリートで満たされるエリアの側面及び上面の回りに配置される。テンプレート116は、これに固定アセンブリ110が装着されるが、基礎132の上面134を画定するために用いられる型枠の底面と面一に取り付けられる。実施形態において、テンプレートは、型枠に釘付けしてもよい。従って、コンクリート基礎132が硬化し、型枠が除去された後で、テンプレート116は、基礎132の上面134と面一である。このように、アンカーロッド112及びシャーラグ100は、基礎132内に埋め込まれて適切に配置される。基礎132は、注ぎ込まれて固定アセンブリ110の回りで硬化する、コンクリート以外の材料で形成してもよいことが理解されよう。
【0016】
その後、構造要素130を固定アセンブリ110に取り付けてもよい。構造要素130は、
図8の図面に垂直な平面に整列された、
図16に示すようなフレームの一部であってもよい。構造要素130は、例えば、Pleasanton、CaliforniaのSimpson Strong−Tie Co.,Inc.によって製造された商品名「Strong Frame(商標)」という通常のモーメントフレームの一部であってもよい。しかしながら、構造要素130は、種々様々な他のタイプの構造フレームの一部であってもよい。構造要素130はフレームの一部として形成する必要がないこともまた考慮される。実施形態において、構造要素130は、自身の基礎で剪断力にさらされる建築物に用いられる任意の構造要素であってもよい。
【0017】
構造要素130には、要素130の底部に溶接又は他の方法で装着された底板138が含まれる。
図8の実施形態において、底板138には穴のペアが含まれるが、これらの穴を通してアンカーロッド112が基礎132の上に延びる。構造要素130がアンカーロッド112上に装着される場合には、底板138の下のスペースは、グラウト層136で満たしてもよい。次に、構造要素130を適所に固定するために、底板と面一にアンカーロッド112上で六角ナット142のペアを固定してもよい。
【0018】
図3〜
図9の実施形態におけるシャーラグ100は、従来のシャーラグよりも、構造要素130から基礎132に剪断荷重をより効果的に分配する。特に、シャーラグ100が、基礎が注ぎ込まれるときに基礎132内に取り付けられるとともに、続いて構造要素130に装着されるので、シャーラグ100が基礎132を破損する可能性は低減される。これは、一つには、基礎が硬化する前にシャーラグ100が基礎内に配置されるので、基礎が、垂直に向けられた脚部104の第1及び第2の表面と直接接触しているという事実のためである。さらに、底板上に溶接されるフィンとは対照的に、実施形態では、シャーラグ100が、単一の角度のある鋼片で形成されるので、溶接破損の問題が軽減される。上記のように、さらなる実施形態において、シャーラグは、一緒に溶接された構成要素で形成してもよい。
【0019】
作動中、構造要素130に作用する剪断力は、基礎132における表面134の上のアンカーロッド112の部分へ、及びアンカーロッドのこの部分からシャーラグ100へと下方に伝達され、シャーラグ100は、剪断力を基礎へと分配する。実施形態では、アンカーロッド112は、構造要素130からシャーラグ100に剪断力を伝達する十分な強度を提供される。これは、高強度鋼のアンカーロッド112を形成すること、及び/又はアンカーロッド112用に十分に大きな直径を用いることによって達成することが可能である。アンカーロッドが負う剪断力の量を最小化するために、シャーラグ100を基礎の上面と略面一にすることが望ましいであろうが、本発明の他の実施形態において、シャーラグ100を基礎内により深く(すなわち、テンプレート116から間隔をあけて)埋め込んでもよいことが理解される。
【0020】
図3〜
図9に関連して上記した実施形態において、シャーラグ100は、2つのアンカーロッド112を受け入れるための2つの穴108を含んでいた。しかしながら、構造要素130は、幅がより広く、かつ/又は、より大きな、剪断力及び/若しくは張力にさらされ得る。従って、本発明のさらなる実施形態では、4つのアンカーロッドと、4つのアンカーロッドを受け入れるための4つの穴を含むシャーラグとを有する固定アセンブリを含んでもよい。かかる実施形態を、
図10〜
図16のそれぞれに図示して説明する。
図10及び
図11は、上部の水平部202と下に延びる垂直部204とを含むシャーラグ200のそれぞれ平面図及び側面図である。実施形態において、シャーラグ200は、
図3〜
図9に示すシャーラグ100のペアであってもよいが、この場合に、垂直脚部104は、背中合わせに一緒に溶接されて、シャーラグ200を形成する。他の実施形態において、シャーラグ200は、水平部202と、水平部202の中央セクションから下に延びる垂直部204とを含む単一の鋼片であってもよい。
【0021】
穴208が、シャーラグ200の水平部202に設けられる。実施形態において、シャーラグ200は、長さLが6インチ、幅Wが5インチであってもよい。穴208は、長さ寸法に沿って水平部のエッジから1.5インチに位置する中心点を有してもよく、かつ穴208は、幅寸法に沿って水平部202のエッジから1インチに位置する中心点を有してもよい。水平部202の厚さは、約1.5インチでもよく、垂直部204の厚さは、約1.5インチ〜1インチの間であってもよい。他の実施形態では、シャーラグ200の上記の寸法のそれぞれは、互いに対して比例しても偏っても変化してよいことが理解されよう。シャーラグ200は、ASTM A36鋼で形成してもよいが、しかしシャーラグ200は、他の実施形態では、代替材料で形成してもよいことが理解されよう。
【0022】
図12及び
図13は、シャーラグ200及び4つのアンカーロッド212を含む固定アセンブリ210の側面図及び正面図をそれぞれ示す(
図12及び
図13のそれぞれにおいては、2つのアンカーロッド212が示され、2つのアンカーロッドは隠れている)。
図10〜
図16の実施形態において、固定アセンブリ210には、シャーラグ200の水平部202におけるそれぞれの穴208内にぴったりと入る直径を有する4つのアンカーロッド212を含む。アンカーロッド212のそれぞれは、アンカーロッドに通され、かつシャーラグ200の水平部202における上面及び底面を留める六角ナット214のペアによって、シャーラグ200に対して固定される。さらに、テンプレート216が、コンクリート基礎に対して固定アセンブリ210を位置決めするために、上部六角ナット214と水平部202の上面との間に留められる。
【0023】
実施形態において、各アンカーロッド212は、5/8インチの直径、及び18インチから36インチまでの長さを有してもよい。他の実施形態では、ロッド212の直径及びロッド212の長さが、これらの寸法の上又は下へ変化してもよいことが理解されよう。実施形態において、六角ナット214は、アンカーロッドが、水平部202の上面の約4.5インチ上に延びるように、シャーラグ200をアンカーロッド212上に固定する。シャーラグ200の上面の上に延びるロッド212の長さが、本発明のさらなる実施形態において4.5インチより多いか又は少なくてもよいことが理解されよう。各ロッド上の六角ナット222のペアを介して、ベアリングプレート220をアンカーロッド212の底部に固定してもよい。上記の実施形態におけるように、ベアリングプレート220は、アンカーロッド212上の引張荷重を基礎に伝達するために設けられる。
【0024】
図14は、固定アセンブリ210を介して基礎232に取り付けられた構造要素230の正面図である。
図15は、
図14のライン15−15における構造要素の断面平面図である。構造要素230は、例えば
図16に示し、かつ以下で説明するように、例えば構造フレーム250の一部として含まれる柱であってもよい。構造要素230の配置の前に、固定アセンブリ210は、コンクリート基礎232が注ぎ込まれるときにコンクリート基礎232内に配置される。テンプレート216は、それに固定アセンブリ210が装着されるが、基礎232の上面を画定するために用いられる型枠の底面と面一に取り付けられる。従って、コンクリート基礎232が硬化し、型枠が除去された後で、テンプレート216は、基礎232の上面234と面一である。このように、アンカーロッド212及びシャーラグは200は、基礎132内に埋め込まれて適切に配置される。
【0025】
その後、構造要素230は、固定アセンブリ210に取り付けてもよい。フレーム要素130と同様に、要素230は、Pleasanton、CaliforniaのSimpson Strong−Tie Co.,Inc.によって製造された商品名「Strong Frame(商標)」という通常のモーメントフレームにおける柱、又は種々様々な他の構造フレームの一部であってもよい。他の実施形態において、構造要素230は、自身の基礎で剪断力にさらされる建築物に用いられる任意の構造要素であってもよい。
【0026】
構造要素230には、要素230の底部に溶接又は他の方法で装着される底板238が含まれる。
図14及び
図15の実施形態において、底板238には4つの穴が含まれるが、これらの穴を通して4つのアンカーロッド212が基礎232の上に延びる。構造要素230がアンカーロッド212上に装着される場合には、底板238の下の任意のスペースは、グラウト層236で満たしてもよい。次に、構造要素230を適所に固定するために、底板と面一にアンカーロッド212上で六角ナット242のペアを固定してもよい。
【0027】
図3〜
図9を参照して説明した実施形態は、例えば、幅が6インチの構造要素130と共に用いてもよいのに対して、
図10〜
図15を参照して説明した実施形態は、例えば、幅が9〜15インチである構造部材と共に用いてもよい。
図3〜
図9の実施形態が、4つのアンカーロッド構成で動作可能であること、及び
図10〜
図15の実施形態が、他の実施形態において、2つのアンカーロッド構成で動作可能であることが理解されよう。
図3〜
図9及び
図10〜
図15のそれぞれの実施形態は、本発明のさらに他の実施形態において、上記の幅を超えるか又は下回る幅を有する構造部材と共に用いてもよい。本発明のさらなる実施形態において、1つの穴又は4つを超える穴を有し、かつ同数のアンカーロッドで動作するシャーラグを固定アセンブリに設けてもよいことが理解されよう。
【0028】
図16は、シャーラグ200を含むフレーム250を示す。フレーム250は、代替としてシャーラグ100を用いて形成してもよい。
図16に示すシャーラグ200は、構造要素230から基礎へと下方に剪断力Sを伝達する。剪断力が、図示の方向又は反対方向に生成され得るので、基礎232の両方のエッジ252及び254からできるだけ遠くまで下へ延びるシャーラグ200の部分を有することが望ましい。さらなる実施形態において、シャーラグ200の下に延びる部分が、他方のエッジより一方のエッジ252/254により近くてもよいことが理解されよう。実施形態において、本発明のシャーラグにおける性能の向上が与えられたとすると、構造要素130は、基礎のまさにエッジ252及び/又はエッジ254に配置してもよい。
【0029】
図17〜
図21は、本発明に従って使用可能なシャーラグのさらに他の実施形態を示す。
図17及び
図18は、以下のことを除いて、シャーラグ100と同じでもよいシャーラグ300の正面図及び側面図をそれぞれ示す。すなわち、単にL字型の部材である代わりに、シャーラグ300には、シャーラグの水平脚部及び垂直脚部の両方に係合するほぼ矩形の部材でもよいエンドキャップ302が含まれることを除いて同じでもよい。
図17に示すように、エンドキャップ302は、シャーラグの両端に配置してもよい。これらのエンドキャップに加えて、又はこれらのエンドキャップの代わりに、類似形状の部材302を、
図17の中央部材302において破線で示すようにシャーラグの中央部に装着してもよい。
【0030】
さらに他の実施形態が、
図19及び
図20の側面図及び端面図にそれぞれ示されている。
図19及び
図20において、シャーラグ310には、下に延びる脚部312のペア及び水平脚部314を含むU字型チャネルが含まれる。上記のように、アンカーロッドを受け入れるために穴316を水平部に設けてもよい。
【0031】
図21は、シャーラグ320のさらに他の実施形態の端面図を示す。シャーラグ320は、2つの異なるセクション間の角度が90度以外のある角度であることを除いて、
図3〜
図9に示すシャーラグ100と同一である。
図21では90度より大きいように示されているが、さらなる実施形態において、角度が90度未満であってもよいことが考えられる。
【0032】
本発明の前述の詳細な説明は、例示及び説明ために提示された。それは、網羅的であるようにも、開示された形態に本発明を厳密に限定するようにも意図されていない。上記の教示に照らして多くの修正及び変更が可能である。説明した実施形態は、本発明の原理及びその実際的な適用を最も良く説明するために選択され、それによって、他の当業者が、様々な実施形態において、考えられる特定の使用法に適した様々な修正と共に本発明を最も良く利用できるようにする。本発明の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義されることが意図されている。