(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679991
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】扁桃摘出術およびアデノイド切除術のための電気外科用デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20150212BHJP
A61B 17/26 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
A61B17/39 310
A61B17/26
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-544421(P2011-544421)
(86)(22)【出願日】2009年1月6日
(65)【公表番号】特表2012-514490(P2012-514490A)
(43)【公表日】2012年6月28日
(86)【国際出願番号】US2009030180
(87)【国際公開番号】WO2010077373
(87)【国際公開日】20100708
【審査請求日】2011年12月28日
(31)【優先権主張番号】12/348,722
(32)【優先日】2009年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512306645
【氏名又は名称】メドトロニック・アドヴァンスド・エナジー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118083
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝美
(72)【発明者】
【氏名】マクナル, ラルフ アイ. ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ケイ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】デービソン, ポール オー.
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−158851(JP,A)
【文献】
特表2002−541904(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/057410(WO,A2)
【文献】
特表平6−508538(JP,A)
【文献】
特表2001−501513(JP,A)
【文献】
米国特許第6293945(US,B1)
【文献】
米国特許第6530924(US,B1)
【文献】
特開2006−6692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
A61B 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術デバイスであって、
a)近位端、遠位端を有する細長い本体であって、自身を通って延在する吸入を印加するための管腔を画定する本体と、
b)近位端、遠位端を有する先端であって、該細長い本体の該遠位端において該吸入管腔に流体的に接続される先端管腔を画定する先端と、
c)該先端の該遠位端に固定される筐体であって、該先端管腔に流体的に接続される開口を画定する筐体と、
d)該筐体の中にあり、前記筺体の前記開口を横に横断するように延びる切断縁部と凝固表面とを有する電極を備え、該電極が、パルス電気信号が該電極に印加されたとき該電極上に形成されたプラズマを有するように構成されている、ブレードアセンブリと
を備え、
前記デバイスは、該プラズマによって扁桃腺またはアデノイド組織を切断するか、または凝固させることによって該扁桃腺またはアデノイド組織を切除するように構成されており、
該ブレードアセンブリの前記切断縁部は、該筐体の該開口を有する吸入ポートを形成し、
前記ブレードアセンブリが前記筺体に組み込まれた後、前記切断縁部と前記筺体の前記開口とが、前記吸入ポートを画定する、デバイス。
【請求項2】
前記先端は、可鍛性である、請求項1に記載の電気手術デバイス。
【請求項3】
前記先端を前記細長い本体の前記遠位端に取外し可能に取り付けるために、該先端の前記近位端にコネクタをさらに備える、請求項1または2に記載の電気手術デバイス。
【請求項4】
前記コネクタは、該コネクタの周囲に位置する、圧縮性バレルと1つ以上のタブとを備える、請求項3に記載の電気手術デバイス。
【請求項5】
前記筐体は、上部分と下部分とを備えており、該上部分と下部分とは、相互に接合されたときに前記開口を画定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項6】
前記開口は、前記筐体の壁の中に位置している、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項7】
前記開口は楕円形である、請求項6に記載の電気手術デバイス。
【請求項8】
前記筐体は、透明材料を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項9】
前記透明材料は、ポリマーである、請求項8に記載の電気手術デバイス。
【請求項10】
前記ポリマーは、アクリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、およびスチレンアクリロニトリル(SAN)から成る群から選択される、請求項9に記載の電気手術デバイス。
【請求項11】
前記ポリマーは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)共重合体またはスチレンメチルメタクリレート(SMMA)共重合体である、請求項10に記載の電気手術デバイス。
【請求項12】
前記ブレードアセンブリは、自身を前記筐体に固定する複数のアームを備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項13】
前記複数のアームは、各々、第1の部分と第2の部分とを有し、該第1と第2の部分との間に約110°〜約140°の角度を有する、請求項12に記載の電気手術デバイス。
【請求項14】
前記活性電極は、モリブデン、ニッケル、プラチナ、ステンレス鋼、タンタル、チタン、タングステン、およびそれらの合金から成る群から選択される金属を含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、電気的に単極である、請求項1から14のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項16】
前記電極は、細長く、それの中央部分の中に前記吸入ポートを画定しており、該電極の切断部分は、該吸入ポートに隣接して位置し、細長く、それの遠位部分に向かって先細になっており、該遠位部分は、少なくとも20°の角度で該切断部分の近位部分によって画定される平面から離れて位置している、請求項1から11のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項17】
前記吸入ポートを介して前記組織に吸引を適用するようにさらに構成されている、請求項1から16のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項18】
前記電極の近位移動と同時に吸引を適用することにより、前記組織を吸引切断するようにさらに構成されている、請求項17に記載の電気手術デバイス。
【請求項19】
前記先端は、外科手術中に取り外され、第2の先端と交換されるように構成されている、請求項1から18のいずれか1項に記載の電気手術デバイス。
【請求項20】
a)請求項1に記載の電気手術デバイスと、
b)使用説明書と
を備える、キット。
【請求項21】
前記先端に連結可能である1つ以上の吸引ハンドルをさらに備える、請求項20に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第12/348,722号(2009年1月5日出願)の優先権を主張し、この出願の開示は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
当技術分野は、電気手術、具体的には、扁桃摘出術およびアデノイド切除術である。
【背景技術】
【0003】
扁桃腺およびアデノイドは、概して、ヒト(哺乳動物)の鼻および咽喉の後部に位置し、体内に入る細菌およびウイルスを抽出するリンパ系の一部である。いったん抽出されると、免疫系は、感染と闘う抗体を産生するように活性化される。細菌およびウイルスが扁桃腺およびアデノイドに捕捉されると、これらの組織は、それらの細胞壁を破壊し、断片を、断片に対してモデル化される抗体を産生する身体の領域に送達することが可能である。しかしながら、扁桃腺およびアデノイドの繰り返される炎症は、その中に取り込まれる細菌を破壊するそれらの能力を妨げ、これらの組織の細菌定着をもたらす。次いで、細菌コロニーは、繰り返される感染(例えば、扁桃炎または耳感染)の保有宿主としての役割を果たし得る。扁桃摘出術および/またはアデノイド切除術は、抗生物質治療が細菌保有宿主を除去することができない場合に指示され得る。扁桃腺組織はまた、いびきまたは睡眠時無呼吸として現れ得る気道閉塞を引き起こす程度にまで肥大した場合に、除去される必要があり得る。より閉塞を引き起こす傾向があるより大きい扁桃腺を持って生まれる個人もいる。アデノイド切除術はまた、耳痛が持続するとき、または鼻呼吸もしくは耳管の機能が損なわれるとき、アデノイド組織を除去するために必要とされ得る。
【0004】
扁桃摘出術およびアデノイド切除術に使用されるデバイスおよび技術は、通常、除去される組織の種類および量等の要因ならびに外科医の選好によって決まる。2つの手技は、通常、合わせて実施される。扁桃摘出術およびアデノイド切除術のための一般的な方法は、低温外科的切開を採用する。ここで、組織は、キュレットまたはパンチデバイス等の外科用メスまたは他の鋭利器具を使用して除去される。鋭的切開は、しばしば、大量出血をもたらし、それは、電気焼灼器で塞がれ得る。
【0005】
凝固に加えて、電気手術デバイス(例えば、先端に吸引が付いたブレード、または針先ボビー)はまた、扁桃腺またはアデノイド組織を切除するために採用されてもよい。先端に吸引が付いたボビーは、一般的には、手術野から血液、分泌物、および煙を吸引するための中空中心と、切断および凝固のための金属の周縁を有する。ブレードおよび針先ボビーが使用されるときに、別個の吸引器が使用される。ボビーの使用は、低温技術と比較して手術中に血液損失を低減するが、電気手術の熱(平均温度は、300℃を超える)からの熱傷の広がりによる術後疼痛の増加に関連する。それらの熱傷プロファイルの増加にもかかわらず、ボビーの使用は、その速度、利便性、汎用的な利用可能性、および外科医の該デバイスへの精通の理由から、依然として、米国において最も一般的な扁桃腺除去法のままである。
【0006】
熱傷を最小限に抑えるよう試みる、他のエネルギー型デバイスが商品化されてきた。これらには、Harmonic Scalpel(登録商標)システム(Ethicon Endo−Surgery,Cincinnati,OH)(超音波エネルギー)、レーザー(例えば、KTP、Nd:YAG、またはCO
2レーザー)、およびCoblation(登録商標)デバイス(Arthrocare,Austin,TX)(双極双極高周波アブレーション)が挙げられる。しかしながら、これらのデバイスにより提供される熱傷の減少は疑わしい。それらが実際に熱傷の減少をもたらすとしても、それは、出血および周囲組織外傷の制御の低下、より長い手術時間、または切断の正確さの低下によって相殺される。また、それらの大きいサイズに起因して、手術野を覆い操作が困難である器具もある。
【0007】
Coblation(登録商標)デバイスが採用されるとき、手技は、電気手術効果を達成するために、生理食塩水送達を必要とする。術前時間は、生理食塩水送達設定を含むので、長引く。Coblation(登録商標)デバイス吸入管腔はまた、手技中、定期的に詰まり、生理食塩水を患者の咽頭に貯留させる。次いで、貯留した生理食塩水は、別個の吸引器を使用して吸引されなければならない。さらに、Coblation(登録商標)デバイス管腔は、一般的には、手術を終了するために、手動で片付けられなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、扁桃腺およびアデノイド組織を切除するための新しいデバイスが有用であり得る。具体的には、出血および周囲組織外傷を効果的に制御すると同時に、扁桃腺およびアデノイド組織を正確に切断するデバイスが望ましくあり得る。扁桃腺およびアデノイドへのより容易なアクセス、ならびにそれらの組織のより容易な操作を提供するデバイスも、望ましくあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
副作用を最小限に抑えると同時に、扁桃摘出術またはアデノイド切除術の実施に必要な多くの機能を最適化する、電気的に「単極」の電気手術デバイスを本明細書に記載する(が、限定されない)(戻り電極が活性電極から離れて患者に印加される)。例えば、組織の正確な切断は、電極縁部を包囲するプラズマの薄層により提供される。場合によっては、プラズマは、組織がパルス間で冷却する時間を有するように、より低い範囲のデューティサイクルを有する、パルス高周波(RF)通電波形で形成される。大部分が絶縁された先端に連結されるこれは、電極から周囲組織への熱拡散の程度を制限することにより、熱損傷を低減するのに役立つ。連続的または100%デューティサイクル通電波形はまた、より速い切断が望ましい時に採用され得る。止血が必要とされるとき、吸引およびプラズマは、出血を機械的および電気的に止めるように、標的範囲に印加され得る。組織に対する電極表面の張力は、概して、吸引が電極を通して、または電極に非常に近接して印加される構成により最適化される。ブレードと密接に関連した吸入ポートは、「乾燥野」手術手技を可能にする。これは、凹形ブレードが湿潤野の場合とは異なり良好に機能することを可能にするので、この場合有利である。これは、電流が、組織が乾燥野と実際に接触しているブレードの部分のみを介して、ブレードから組織に流れるためである。さらに、吸引は、ブレードと接触している組織の幅を減少させ、さらに、接触面積を減少させ、また、組織も乾燥させる。扁桃腺およびアデノイドが位置する中咽頭および鼻咽頭の部分にアクセスすることが困難であり得ることを考慮すると、本明細書に記載するデバイスは、1つ以上の可鍛性部分を有して設計され得、それらは、これらの領域へのアクセスを改善するように、および/または患者の生体構造の変化に適応するように形状決定され得る。
【0010】
本明細書に記載するようなENT(耳鼻咽喉科)手術に対して、単極アプローチは、離れた戻り電極が良好な電気接触を保証するので、有利であることがわかっている。対照的に、そのような通電の本質を考慮すると、1つのシャフト上に両電極を有する双極デバイスは、戻り電極に対する良好な電気接触を困難にする。
【0011】
電気手術デバイスは、概して、近位端、遠位端、および自身を通って延在する吸入管腔を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に取外し可能に取り付けられる交換可能な先端と、切断および凝固のための制御装置が位置する細長い本体の近位端におけるハンドルとを含む。交換可能な先端は、一般的には、近位端、遠位端、および細長い本体の吸入管腔に流体的に接続される先端管腔も有する。交換可能な先端の遠位端に固定される筐体は、通常、開口、および活性電極を含む組込型ブレードアセンブリを有する。ブレードアセンブリまたはその一部は、筐体の開口を有する吸入ポートを形成し得る。
【0012】
該デバイスは、概して、交換可能な先端を細長い本体に取外し可能に取り付けるための、交換可能な先端の近位端におけるコネクタを含む。いくつかの変化形では、コネクタは、コネクタの周囲に位置する圧縮性バレルおよび1つ以上のタブを備える。圧縮性バレルは、構成要素間の摩擦嵌合を生成するために、かつそれによってそれらを相互に取外し可能に取り付けるために、細長い本体の遠位端に挿入されてもよい。1つ以上のタブは、人間工学的フィンガーグリップをコネクタに取り付けるために使用されてもよく、交換可能な先端の挿入および取外しをより容易にし得る。
【0013】
交換可能な先端は、特に、アデノイド切除術または扁桃摘出術のために構成されてもよい。例えば、アデノイド切除術が実施されるとき、該デバイスは、引っ掻き運動を使用して組織除去を最適化する、ブレードアセンブリを含んでもよい。ここで、ブレードアセンブリは、切断縁部および平坦な凝固表面を有する活性電極を含んでもよい。活性電極から延在する複数のアームは、活性電極を筐体に固定し得る。アームは、組織が容易かつ正確に吸入ポートへとかき出され削られることを可能にする態様で、組織に対して切断縁部を設置する角度を有してもよい。特定のアーム角度はまた、組織に対する凝固表面の設置を最適化することにより、止血の達成にも有用であり得る。
【0014】
扁桃摘出術が実施されるとき、該デバイスは、湾曲および先細の活性電極を有するブレードアセンブリを含んでもよい。この湾曲は、電極表面が扁桃腺組織の輪郭にほぼ一致するので、より正確な扁桃腺切除をもたらし得る。湾曲および先細電極はまた、そこを通る吸入ポートも画定し得る。ここで、該デバイスが凝固モードのとき、吸引が電極の吸入ポートを介して直接印加され得るので、出血は、より効果的に制御され得る。これは、止血を達成するために、プラズマ凝固と機械的圧力とを組み合わせ得る。
【0015】
交換可能な先端はまた、それらの形状が組織へのアクセスを誘導するか、または患者の生体構造の変化に適応するように適合され得るように、可鍛性になるように構成されてもよい。場合によっては、交換可能な先端は、使い捨て用に作製されてもよい。1つ以上の交換可能な先端を含むキットもまた考えられる。
【0016】
扁桃腺またはアデノイド組織を切除するための方法は、概して、活性電極上にプラズマを形成するために、本明細書に記載するデバイスの活性電極にパルス電気信号を印加するステップと、プラズマによって組織を切断するか、または凝固させるステップとを含んでもよい。いくつかの変化形では、組織を吸引切断するために、電極の近位移動と同時に、吸引が印加される。他の変化形では、組織は、吸引が同時に印加されている間に凝固させられる。さらに別の変化形では、該方法は、1つの交換可能な先端、例えば、扁桃摘出術用先端を、別の交換可能な先端、例えば、アデノイド切除術用先端と交換するステップを含む。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
電気手術デバイスであって、
a)近位端、遠位端を有する細長い本体であって、自身を通って延在する吸入を印加するための管腔を画定する本体と、
b)近位端、遠位端を有する先端であって、該細長い本体の該遠位端において該吸入管腔に流体的に接続される先端管腔を画定する先端と、
c)該先端の該遠位端に固定される筐体であって、該先端管腔に流体的に接続される開口を画定する筐体と、
d)該筐体の中にあり、電極を備えるブレードアセンブリと
を備え、
該ブレードアセンブリまたはそれの一部は、該筐体の該開口を有する吸入ポートを形成する、デバイス。
(項目2)
上記先端は、可鍛性である、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目3)
上記先端を上記細長い本体の上記遠位端に取外し可能に取り付けるために、該先端の上記近位端にコネクタをさらに備える、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目4)
上記コネクタは、該コネクタの周囲に位置する、圧縮性バレルと1つ以上のタブとを備える、項目3に記載の電気手術デバイス。
(項目5)
上記1つ以上のタブは、フィンガーグリップを上記コネクタに取り付ける、項目4に記載の電気手術デバイス。
(項目6)
上記筐体は、上部分と下部分とを備えており、該上部分と下部分とは、相互に接合されたときに上記開口を画定する、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目7)
上記開口は、上記筐体の壁の中に位置している、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目8)
上記開口は、球形または楕円形である、項目7に記載の電気手術デバイス。
(項目9)
上記開口は、それの主軸に沿って約0.4cm〜約1.5cmである、項目7に記載の電気手術デバイス。
(項目10)
上記開口は、それの短軸に沿って約0.4cm〜約1.0cmである、項目7に記載の電気手術デバイス。
(項目11)
上記筐体は、透明材料を含む、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目12)
上記透明材料は、ポリマーである、項目11に記載の電気手術デバイス。
(項目13)
上記ポリマーは、アクリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、およびスチレンアクリロニトリル(SAN)から成る群から選択される、項目12に記載の電気手術デバイス。
(項目14)
上記ポリマーは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)共重合体またはスチレンメチルメタクリレート(SMMA)共重合体である、項目13に記載の電気手術デバイス。
(項目15)
上記ブレードアセンブリは、自身を上記筐体に固定する複数のアームを備える、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目16)
上記複数のアームは、各々、第1の部分と第2の部分とを有し、該第1と第2の部分との間に約110°〜約140°の角度を有する、項目15に記載の電気手術デバイス。
(項目17)
上記電極は、切断縁部と、凝固表面とを備える、項目15に記載の電気手術デバイス。
(項目18)
上記切断縁部と筐体開口とは、上記吸入ポートを画定する、項目17に記載の電気手術デバイス。
(項目19)
上記電極は、上記筐体の残りの部分を越えて延在し、湾曲部分と、そこを通って画定される開口部とを有する、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目20)
上記開口部は、上記吸入ポートである、項目19に記載の電気手術デバイス。
(項目21)
上記活性電極は、モリブデン、ニッケル、プラチナ、ステンレス鋼、タンタル、チタン、タングステン、およびそれらの合金から成る群から選択される金属を含む、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目22)
上記デバイスは、電気的に単極である、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目23)
上記電極は、細長く、それの中央部分の中に上記吸入ポートを画定しており、該電極の切断部分は、該吸入ポートに隣接して位置し、細長く、それの遠位部分に向かって先細になっており、該遠位部分は、少なくとも20°の角度で該切断部分の近位部分によって画定される平面から離れて位置している、項目1に記載の電気手術デバイス。
(項目24)
項目1に記載のデバイスを使用して、扁桃腺またはアデノイド組織を切除する方法であって、
a)上記電極にパルス電気信号を印加することにより、それの上にプラズマを形成することと、
b)該プラズマによって該組織を切断するか、または凝固させることと
を含む、方法。
(項目25)
上記吸入ポートを介して上記組織に吸引を印加することをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
吸引は、上記電極の近位移動と同時に印加されることにより、上記組織を吸引切断する、項目25に記載の方法。
(項目27)
外科手術中に上記先端を取り外し、それを第2の先端と交換することをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目28)
a)1つ以上の先端であって、該先端は筐体を備えており、該筐体は、開口を画定し、電極を備えるブレードアセンブリを自身の中に有しており、該ブレードアセンブリまたはその一部は、該筐体の該開口を有する吸入ポートを形成する、先端と、
b)使用説明書と
を備える、キット。
(項目29)
上記先端に連結可能である1つ以上の吸引ハンドルをさらに備える、項目28に記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1Aは、アデノイド切除術用先端を有する、例示的な電気手術デバイスの側面図を示す。
【
図1D】
図1Dは、
図1Aおよび1Bの筐体の構成要素、ならびに
図1Cのブレードアセンブリを組み込むために、それらがどのように連結されているのかを示す。
【
図1F】
図1Fは、アデノイド切除術のための例示的な筐体およびブレードアセンブリの拡大下面図を示す。
【
図1G】
図1Gは、アデノイド切除術のためのブレードアセンブリで使用され得る、切断縁部の変化形を示す。
【
図2A】
図2Aは、扁桃摘出術のための例示的な筐体およびブレードアセンブリを示す。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aの筐体の構成要素、ならびに同様に
図2Aに示すブレードアセンブリを組み込むために、それらがどのように連結されているのかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
アデノイド切除術または扁桃摘出術のいずれかのためにカスタマイズされ得る電気手術デバイスを本明細書に記載する。カスタマイズは、該デバイスの細長い本体に取外し可能に取り付けられ得る交換可能な先端の使用によって提供され得る。具体的に、ブレードアセンブリの設計および吸引が印加される吸入ポートの位置が、手術を受ける組織の操作、切断、および止血を最適化するように変更され得る。
【0019】
本電気手術デバイスは、概して、双極ではなく単極である。両方の種類のデバイスは高周波交流電流および一対の電極を使用し、一方の電極は、活性電極に指定され、もう一方は、戻り電極である。しかしながら、これらの電極の配置には差異がある。単極デバイスでは、電流は、活性電極から患者の身体を通して、身体、通常は大腿部または肩上に配置される接地パッド(戻り電極)へと通される。単極デバイスは、身体との接触が保証されるので、扁桃腺およびアデノイド手術に特に有用であり得る。双極デバイスでは、活性および戻り電極は共に、電気手術の部位に、例えば、デバイスの同一のシャフト上に配置され、電気手術は、戻り電極に戻る導電路が存在する場合、活性電極上の組織においてのみ生じる。
【0020】
該デバイスは、概して、近位端と、遠位端と、自身を通って延在する吸入管腔とを有する細長い本体を含む。使用する材料に応じて、細長い本体の全部または一部は、剛性、可撓性、または可鍛性になるように形成され得る。細長い本体を作製するための例示的な材料としては、フッ素重合体;ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ナイロン等の熱可塑性プラスチック;ならびにシリコーンが挙げられるがこれに限定されない。
【0021】
細長い本体は、約5.0cm〜約20cmの間の長さであってもよい。例えば、細長い本体は、約5.0cm〜約15cmの間、約5.0cm〜約10cmの間、または約5.0cm〜約8.0cmの間の長さであってもよい。場合によっては、細長い本体は、約8.0cmの長さであってもよい。他の場合においては、該デバイスは、細長い本体を欠いており、交換可能な先端がハンドルに直接接続される。
【0022】
いくつかの変化形では、細長い本体は、手技中の粘膜とデバイスとの間の摩擦を低減するために、潤滑性ポリマーで被覆される。潤滑性ポリマーは、当該技術分野でよく知られており、一般的には、親水性である。潤滑性コーティングとして使用され得る例示的な親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、セルロース性ポリマー、およびポリエチレンオキシドが挙げられるがこれに限定されない。
【0023】
ハンドルは通常、細長い本体の近位端に連結され、外科医が該デバイスを保持することを可能にする。ハンドルは、底部にハンドグリップ、および頂部に少なくとも2つの制御ボタンを有するパッドを含んでもよい。制御ボタンは、切断または凝固レジームを作動させるための電気スイッチを作動させるように押し下げられてもよい。ボタンパッドおよびハンドグリップは、バネクリップまたは他のよく知られている取付具、およびオーバーモールド等の従来の技術を使用して、ハンドルに組み込まれる。標準的な電気コネクタおよびケーブルが、導線を発電機に接続するために、ハンドルと共に使用されてもよい。ハンドルは、約5.0cm〜約30cmの間、約5.0cm〜約25cmの間、約5.0〜約20cmの間、または約5.0cm〜約15cmの間の長さであってもよい。一変化形では、ハンドルは、約20cmの長さである。
【0024】
細長い本体の吸入管腔は、ハンドルを通して吸引コネクタに続き、吸引コネクタは、チューブを収集キャニスタに接続する。ハンドルの寸法は、扁桃摘出術およびアデノイド切除術中に、それが手の中で楽に保持され、それでもなお操作されることが可能であるように、変更されてもよい。いくつかの変化形では、ハンドルは、使い捨て用に作製されてもよい。本明細書で使用する「吸引ハンドル」という用語は、細長い本体に連結される場合のハンドルを指すものとする。
【0025】
以下にさらに記載する交換可能な先端は、細長い本体の遠位端に取外し可能に取り付けられてもよい。交換可能な先端は、一般的には、近位端と、遠位端と、手術野から離れる流体、組織、煙等の連続流を可能にするように、吸入管腔に流体的に接続される先端管腔とを有する。交換可能な先端の長さは異なるが、約1.0cm〜約15cmであってもよい。例えば、アデノイド切除術用先端は、約5.0cm〜約10cmの間であってもよく、扁桃摘出術用先端は、約1.5cm〜約5.0cmであってもよい。一変化形では、アデノイド切除術用先端は、約9.0cmである。別の変化形では、扁桃摘出術用先端は、約2.5cmである。細長い本体を作製するために使用する材料はまた、交換可能な先端の形成に採用されてもよい。
【0026】
一変化形では、交換可能な先端は可鍛性である。可鍛性は、細長い本体を折り曲げることにより形状決定されることが可能である細長い本体の壁を通るワイヤにより提供されてもよい。例えば、ワイヤは、ステンレス鋼またはその合金、ニッケル−チタン合金等から作製されてもよい。可鍛性はまた、形状決定され得る金属またはポリマーで、細長い本体またはその複数の部分を形成することにより、提供されてもよい。いくつかの変化形では、ジョイントまたはヒンジが含まれる。交換可能な先端の形状を操作する能力を有することにより、デバイスによる扁桃腺およびアデノイドへのアクセスがより容易かつ迅速になり、該領域の身体構造上の変化に適応することがより容易になり得る。交換可能な先端は、直接、例えば、指操作により、または操作可能なカテーテルで一般的に採用される機構を使用したケーブルもしくはワイヤを通して、遠隔で、曲げられてもよい。交換可能な先端は、使い捨て用に設計されてもよい。
【0027】
該デバイスは、概して、交換可能な先端を細長い本体に取外し可能に取り付けるための、交換可能な先端の近位端におけるコネクタを含む。人間工学的フィンガーグリップがコネクタ上で使用されてもよく、交換可能な先端の挿入および取外しを容易にし得る。いくつかの変化形では、交換可能な先端は、コネクタの周りを回転するように構成されてもよい。コネクタは、摩擦嵌合機構によって細長い本体に取外し可能に取り付けられるように構成されてもよい。例えば、それらは、細長い本体に接続されていないときにより大きい直径を有する圧縮性構成要素を含んでもよい。構成要素の圧縮は、一般的には、構成要素が細長い本体と摺動係合されることを可能にし、それにより、構成要素は、細長い本体の内壁に対してその非圧縮の直径まで膨張することが可能である。一変化形では、コネクタは、コネクタの周囲に位置する圧縮性バレルと1つ以上のタブとを備える。圧縮性バレルは、構成要素間の摩擦嵌合を生成するために、かつそれによって、それらを相互に取外し可能に取り付けるために、細長い本体の遠位端に挿入されてもよい。1つ以上のタブは、人間工学的フィンガーグリップをコネクタに取り付けるために使用されてもよく、交換可能な先端の挿入および取外しをより容易にし得る。
【0028】
細長い本体と交換可能な先端との間の接続はまた、係止−非係止機構によって提供されてもよい。例えば、交換可能な先端は、細長い本体上のピンまたは他の突起部を受容する際に、交換可能な先端が適所に係止されるように回転され得るように構成される、その壁の中の溝またはチャネル、例えば、L字型チャネルを含んでもよい。押し下げ可能なピンまたはタブを含む、他のさねはぎ型の係止および機構もまた企図される。
【0029】
本明細書に記載する電気手術デバイスはまた、概して、そこにブレードアセンブリを保持および固定するための、交換可能な先端の遠位端における筐体を含む。筐体は、単一のユニット構成要素であるか、または複数の構成要素から作製されてもよい。例えば、筐体は、2つの構成要素、上部分と下部分とを合わせて圧縮することによって作製されてもよい。いくつかの変化形では、筐体は、鈍頭先端を有して構成される。他の変化形では、筐体は、テーパー部を有して設計される。
【0030】
筐体は、吸引が組織に印加され得る開口を含んでもよい。開口は、それが煙、組織、流体等の吸入のための開口部を提供する限り、任意の形状およびサイズであってもよい。例えば、開口は、球形、楕円形、卵形、長方形、三角形、菱形、またはハート形であってもよい。これらの形状は、限定的であることを意図されていない。組織が吸引されるとき、開口は、従来の吸引開口部よりも大きくてもよい。例えば、開口は、約0.1cm〜約1.0cmの直径を有してもよい。いくつかの変化形では、開口直径は、約0.4cmまたは約0.5cmよりも大きい。
【0031】
さらに、筐体は、手術野において、可視化を補助するために、または電極位置表示器を提供するために、透明材料から作製されるか、またはマーカを含んでもよい。好適な透明性を有する材料は、一般的には、アクリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、およびスチレンアクリロニトリル(SAN)等のポリマーである。特に有用であり得るアクリル共重合体としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)共重合体およびスチレンメチルメタクリレート(SMMA)共重合体(例えば、Zylar 631(登録商標)アクリル共重合体)が挙げられるがこれに限定されない。
【0032】
ブレードアセンブリは、筐体内に組み込まれてもよく、概して、活性電極を含む。活性電極は、一般的には、切断縁部を画定する。しかしながら、該縁部は、切断される組織への機械的適用を介してのみ切断を行う通常のメスの縁部とは異なる。代わりに、ここでは、電極の縁部は、印加された電気信号によって誘導される電場を集束させる。縁部で集中させられるこの電場は、局部プラズマ放電を生成する。場合によっては、縁部は、金属箔の上張りにより形成される。組織切断は、従来の切断にあるように、電極の縁部によって供給される機械力、または吸引の印加によって補助されてもよい。
【0033】
活性電極は、好適な電気特性を有する任意の材料から作製されてもよい。例えば、活性電極としては、モリブデン、ニッケル、プラチナ、ステンレス鋼、タンタル、チタン、タングステン、およびそれらの合金等の金属が挙げられるがこれに限定されない。活性電極の厚さは、約10μm〜約70μmの厚さの縁部を有する、約0.1mm〜約1.0mmの厚さであってもよい。一変化形では、活性電極の厚さは、約0.25mm(0.01インチ)である。活性電極は、硬度のために焼鈍された大型の金属シートから、エッチング、またはスタンピング、または機械加工されてもよい。
【0034】
電気絶縁層が、活性電極を大部分被覆するが、切断または凝固のために使用され得る露出された縁部または表面は残すように、活性電極上に敷かれてもよい。絶縁は、一般的には、約0.005mm〜0.5mmの厚さ、場合によっては、約0.01mm〜0.2mmの厚さのガラスまたはセラミックのコーティングである。ガラス絶縁が使用される場合、液状(溶融)ガラスに組み立て前の各関連構成要素を浸漬し、次いで、ガラスを焼鈍する、従来のプロセスによって塗布されてもよい。
【0035】
ブレードアセンブリの構成は、電極の使用目的に応じて異なり得る。例えば、アデノイド組織の除去を強化する技術的特徴は、扁桃摘出術において対象となる他の特徴とは異なり得る。これらの設計特徴は、以下でさらに説明される。
【0036】
(アデノイド切除術用先端)
鼻/咽頭の後部に位置するアデノイド組織は、口腔または鼻を通して除去され得るが、一般的には、全身麻酔下で口腔を通して除去され得る。したがって、アデノイドに到達するのが困難であるだけでなく、気管内チューブの存在が、すでに制限されている手術野をさらに制約する。本明細書に記載するアデノイド用先端は、アデノイド切除術のこれらの問題の多くに対処するように特に構成される交換可能な先端である。
【0037】
一変化形では、
図1Aに示すように、電気手術デバイス(100)は、近位端(104)および遠位端(106)を有する、細長い本体(102)を含む。近位端(104)は、フィンガーグリップ(110)および一対の制御ボタン(112)が位置する、ハンドル(108)に連結される。アデノイド用先端(114)もまた、近位端(116)および遠位端(118)を有し、細長い本体の遠位端(106)に設置されるコネクタ(120)により、細長い本体の遠位端(106)に取外し可能に取り付けられる。ここで、コネクタ(120)は、押し下げられ、細長い本体の遠位端の中に摺動させられ得、次いで、膨張し、細長い本体の内壁に対して摩擦嵌合を生成するために減圧する圧縮性バスケット(121)を含む(
図1B)。細長い本体(102)は、ハンドル(108)に永久的または取外し可能に取り付けられてもよいが、一般的には、永久的に取り付けられる。アデノイド用先端(114)は、可鍛性であり、
図1Aに示すように屈曲してもよい。ここで、アデノイドチューブ(122)は、ポリウレタン等の可撓性材料を含み、その壁内に2つの管腔(図示せず)を含み、屈曲可能なワイヤ(図示せず)が、アデノイド用先端の遠位端(118)と近位端(116)との間を縦方向に伸びる。所望に応じて、追加の管腔およびワイヤが採用されてもよい。
【0038】
上向きに屈曲した状態で示されているが、アデノイド用先端は、デバイス材料または機能性が損なわれない限り、他の方向に屈曲していてもよい。例えば、アデノイド用先端は、細長い本体の水平軸に対して最大で約45°、最大で約60°、もしくは最大で約90°、またはそれ以上の、細長い本体との角度を形成するように屈曲していてもよい。アデノイド用先端(114)はまた、コネクタ(120)の軸の周りで、任意の角度に回転させられてもよい。先に述べたように、アデノイド用先端の屈曲可能な性質は、アデノイドへのより容易なアクセスを可能にする。また、活性電極のより正確な設置も提供する。
【0039】
アデノイド用遠位先端はまた、ブレードアセンブリを保持するための筐体も含む。
図1Bおよび1Dに示すように、筐体(124)は、両方の部分が接合されるときにブレードアセンブリ(130)を組み込む、上部分(126)および下部分(128)から成る。上部分(126)および下部分(128)は、スナップ嵌合、接着剤、溶接等により接合されてもよい。下部分(128)は、ブレードアセンブリ(130)が筐体(124)に組み込まれるときに、吸入ポート(152)を画定する、開口(132)を有してもよい。いくつかの変化形では、筐体は、複数の構成要素の代わりに、単一構成要素を使用して形成されてもよい。
【0040】
図1Fの拡大した筐体−ブレードアセンブリに示すように、筐体(124)および組込型ブレードアセンブリ(130)は、上記に説明するように、吸入ポート(152)を画定してもよく、そこを通して、流体および煙を吸引するために、吸引が印加される。しかしながら、吸入ポート(152)はまた、概して、該デバイスがポートを通して組織を吸引することが可能であるように寸法決定される。そのような場合、ポートの断面は、球形、楕円形、卵形、長方形、三角形、菱形、またはハート形であってもよく、したがって、従来の吸引開口部よりも幅広である。ここで、吸入ポートは、その主軸に沿って約0.1cm〜約1.5cmであり、その短軸に沿って約0.1cm〜約1.0cmである。これらの寸法は例示的であり、限定的ではないことが理解される。
【0041】
上下の筐体部分を、その間のブレードアセンブリと合わせることにより、ブレードアセンブリを筐体に組み込む。ここで、筐体は、アデノイド用先端の遠位端(118)における可視化を遮らないように、Zylar 631(登録商標)アクリル共重合体(SMMA共重合体)等の透明ポリマーから作製される。ここには図示しないが、下にあるブレード位置を表示するために、上部筐体部分(126)の表面上に、マーカも含まれ得る。
【0042】
図1Cを参照すると、ブレードアセンブリ(130)は、切断縁部(138)および凝固表面(140)を有する、活性電極(136)を含む。第1の部分(144)および第2の部分(146)を有する複数のアーム(142)は、活性電極(134)を筐体(124)に固定する。アームは、シアノアクリレートまたはエポキシ接着剤等の医療グレードの接着剤、およびよく知られている他の接着剤で筐体に固定されてもよい。
図1Eを参照すると、第1(144)および第2(146)のアーム部分は、約110°〜約140°の角度(148)を形成する。一変化形では、第1(144)および第2(146)の部分の間に、120°の角度が画定される。この角度は、止血を効果的に達成するために、組織への凝固表面(140)の対置を最適化し得る。さらに、該角度(148)は、吸入ポートの詰まりを最小限に抑えながら、組織のより正確な切断ならびに切除をもたらすために、切断縁部(138)からの組織へのプラズマの接触点を最適化し得る。
【0043】
別の変化形では、
図1Gに示すように、切断縁部(138)は、誘導縁部(154)を含むように形状決定されてもよい。誘導縁部は、プラズマ切断の開始を補助し、アデノイド組織をより効果的に除去し得る。いくつかの変化形では、誘導縁部は、切断縁部から約0.2mm〜約2.0mm延在してもよい。
【0044】
ブレードアセンブリが筐体に組み込まれた後、切断縁部(138)は、開口(132)と吸入ポート(152)を画定する。このアデノイド用先端構成により、切断されたアデノイド組織は、直接かつ即座に吸入ポートに吸引される。したがって、吸引を維持すると同時のアデノイド用先端の近位移動(操作者に向かう運動)は、組織片の切削をもたらし得る。
【0045】
(扁桃摘出術用先端)
扁桃腺は、咽頭の両側に位置し、全身麻酔下で除去される。この手技において、扁桃腺の結合されていない端部は、通常、鉗子で把持され、同時に、咽頭から扁桃腺を除去するために、もう一方の端部で切断が行われる。したがって、アデノイド切除術と同様に、アクセスが困難であり、手術野は制約される。本明細書に記載する扁桃摘出術用先端は、扁桃摘出術のこれらの問題の多くに対処するように特に構成される、交換可能な先端である。
【0046】
吸引ハンドル(細長い本体が取り付けられたハンドル)およびコネクタは、概して、アデノイド切除術用先端に関して記載されるものと同一の構成であり、同一の材料から作製される。扁桃摘出術用先端はまた、可鍛性であってもよく、上記と同一の利点を提供する。さらに、筐体、ブレードアセンブリ、および活性電極は、一般的には、同一の材料で作製される。しかしながら、それらの構成は異なる。
【0047】
一変化形では、
図2Aに示すように、扁桃摘出術用先端は、先細になっている筐体(200)を有する。ブレードアセンブリ(202)は、筐体(200)内に組み込まれる。活性電極(204)における開口部は、上記に説明するように、吸引が組織表面、通常、扁桃床に印加され得る吸入ポート(206)を画定する。約0.5mm〜約3.0mmの周縁厚さ(205)を有する活性電極の周縁がもたらされる。周縁は、外縁部(209)に沿って伸びる約5mm〜約20mmの部分以外、絶縁されている。約2mm〜約15mmの露出された(非絶縁)部分もまた、内縁部(207)に沿って伸びていてもよい。通電電気信号(波形)の印加時に、組織を切断するか、または凝固させるために、パルスまたは連続的プラズマが、周縁の内縁部(207)および/または外縁部(209)に沿って形成されてもよい。先に述べたように、切断の正確さは、一般的には、電極縁部の鋭さの程度の結果ではなく、この場合もそうではない。しかしながら、いくつかの変化形では、活性電極の1つ以上の側面が、約10°〜40°の縁部を形成するように尖らせられてもよい。
【0048】
図2Aおよび2Bにおいて三角形の開口部として示されるが、吸入ポート(206)は、種々の他の形状をとってもよい。吸入ポートの三角形構成は、組織切開の正確さを損なうことなく、デバイスの先端における吸引を最適化し得る。
【0049】
活性電極は、約0.1cm〜約1.5cmの長さを有してもよい。一変化形では、活性電極は、約0.4cmの長さを有する。そのもっとも幅の広い部分において、活性電極は、約0.1cm〜約1.0cmの幅を有する。場合によっては、活性電極は、0.4cmの幅を有する。活性電極はまた、それが扁桃腺の湾曲(例えば、口蓋扁桃腺)にほぼ一致するように、上向きの湾曲を有して構成されてもよい。活性電極のこの上向きの角度は、任意の度であってもよい。例えば、上向きの角度は、約5°〜約60°であってもよい。いくつかの変化形では、上向きの角度は、約30°である。
【0050】
図2Aの筐体とブレードアセンブリ構成要素との間の関係を、
図2Bにさらに詳細に示す。
図2Bでは、筐体(200)は、上部分(208)と下部分(210)とから形成されるように示されている。上部分(208)の内面から下方に延在するピン(212)は、ブレードアセンブリ(214)を筐体(200)内に組み込むために、ブレードアセンブリ(214)の穴(216)に通される。筐体およびブレードアセンブリ構成要素を相互に固定するために、接着剤がさらに使用されてもよい。
【0051】
図2A〜2Bの筐体は、先細になるように示されるが、そうである必要はない。この変化形では、上部分(208)は、底部分(210)よりも長い。上部分(208)は、概して、約0.3cm〜約3.0の長さである。底部分(210)も、概して、約0.3cm〜約3.0cmの長さである。上部分と下部分との間の長さの差は、活性電極(204)の頂部上では、吸入ポート(206)の完全な被覆をもたらすが、活性電極(204)の底部では、吸入ポート(206)の部分的な被覆をもたらす。この構成では、吸引は、活性電極の下面を通して提供され得る。吸入ポート(206)は、約0.03cm〜約0.5cmの幅、および約0.03cm〜約1.0cmの長さであってもよい。一変化形では、吸入ポートは、約0.17cmの幅、および約0.5cmの長さである。組込型筐体およびブレードアセンブリが先端管腔に取り付けられることを可能にする接続部品(218)もまた
図2Bに示す。
【0052】
本明細書に記載する扁桃摘出術用先端は、特殊な吸引電極設計により、より正確な切断および凝固を提供し得る。ここで、吸入ポートが、可視化を改善するために術野から煙および流体を吸引するだけではなく、吸引および凝固は、扁桃腺組織が切除される扁桃床上に、直接かつ即座に配置されることが可能である。これは、身体から除去される扁桃腺自体上ではなく、止血がもっとも必要とされるむきだしの表面である。活性電極周縁はまた、出血をより効果的に制御するために、組織全体にわたって掃引され得る、より大きい表面を提供する。
【0053】
さらに、本明細書に記載する扁桃腺用デバイスの使用は、熱傷の低下をもたらし得る。以下の一つの実施例においてさらに詳述されるように、熱傷の深度は、扁桃腺組織上で、ボビー針と比較して、本扁桃腺用デバイスを採用したときに小さいことがわかった(0.26mm対0.77mm)。熱傷は、切断設定を使用したときに66%だけ、および凝固設定を使用したときに73%だけ低減された。
【0054】
プラズマを生成するための電気信号(この場合、高周波)は、当該技術分野でよく知られている種類の発電機および電気回路によって、または参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、係属中の共同所有の第11/982,734号および第12/126,683号に記載される発電機および電気回路によって提供されてもよい。電気信号は、電気手術デバイスを通って延在し、ここには図示されない導体によって、電極に従来通りに印加される。先に述べたように、プラズマは、電極への電気信号の印加により、活性電極の縁部に沿って形成される。熱の蓄積および関連する付随的な組織損傷をさらに低減するために、低いデューティサイクル波形が使用されてもよい。よく知られているように、デューティサイクルとは、電気エネルギーが実際に印加されている時間の割合を指す。ここでの低いデューティサイクルとは、一般的には、例えば、1%以下または0.1%以下であってもよい、10%未満のデューティサイクルを指す。場合によっては、低いデューティサイクルとは、活性電極に印加されるパルス電圧レジームを指す。例えば、パルス低デューティサイクル信号は、2つ以上のミリ秒によって分離される複数のパルスバーストを含んでもよく(例えば、1KHz未満の周波数を有する)、各バーストは、1ミリ秒よりも短い。パルスのバーストは、二相性である(例えば、交互極性の)パルスを含んでもよく、パルスは、異なるピーク電圧を有してもよい。この場合もやはり、これらのうちの1つも限定されない。低いデューティサイクルは、組織の焦げまたは焼けを含む熱傷の広がりを最小に抑えることを目的とする。しかしながら、場合によっては、本明細書に記載するデバイスは、約50%よりも大きい、または約75%よりも大きい、連続波形またはデューティサイクルを採用してもよい。
【0055】
切断または凝固は、概して、各外科的機能に対して、好適な電気信号(一般的には、異なる周波数、デューティサイクル等の)を有する通電活性電極によって得られる。例えば、切断が望ましい場合、印加される信号は、100KHz〜10MHzの範囲の周波数を有するRF(高周波)信号である。このエネルギーは、パルスのバーストの形態で印加されてもよい。各バーストは、一般的には、10マイクロ秒〜1.0ミリ秒の範囲の継続時間を有する。各バーストにおける個々のパルスは、一般的には、各々、0.1〜10マイクロ秒のそれらの間の間隔を有して、0.1〜10マイクロ秒の継続期間を有する。実際のパルスは、一般的には、方形波かつ二相性であり、すなわち、交互の正負振幅である。概して、パルス間の間隔は、各パルスバースト中に空洞およびプラズマレジームを維持するために、プラズマ蒸気空洞の寿命よりも短くなくてはならない。一変化形では、バーストは、各々、少なくとも1ミリ秒の継続時間によって分離される。一般的には、パルスバースト間の時間は、デューティサイクルが上記に説明するように比較的低くなるような十分な時間である。これは、望ましくない加熱効果を最小限に抑える。凝固は、同一の方法であるが、該デバイスの出力を増加させることによって達成され得る。
【0056】
電気手術デバイスに関連する発電機もまた、切断および凝固の異なる程度を可能にし得る。例えば、該デバイスがオンにされるときの初期電力設定に加えて、該デバイスが調節され得る他の設定が提供される。これは、場合によっては、切断時により高度な止血を提供する。
【0057】
本明細書に記載する電気手術デバイスは、使い捨て用であり、扁桃摘出術、アデノイド切除術、または複合手技で採用され得る。使用中、扁桃腺および/またはアデノイドは、アクセスされ、パルス電気信号が、プラズマを形成するように交換可能な先端の活性電極に印加される。次いで、組織は、プラズマで切断されるか、または凝固させられる。切断または凝固時に、吸引が使用されても、されなくてもよい。場合によっては、吸引は、組織を吸引切断するために、該デバイスの近位移動(引っ張り)と同時に印加される。他の場合においては、吸引は、上記のように、活性電極を介して印加される。
【0058】
本明細書に記載する電気手術デバイスはまた、例えば、活性および戻り電極の間のエネルギーの伝導を補助するために、ならびに/または電極に冷却効果を提供するために、手術野に添加される導電性流体が存在しない「乾燥野」外科手術に有用であり得る。乾燥野アプローチが採用される場合、エネルギーは、一般的に、組織に接触する活性電極の部分によってのみ伝達される。この場合、エネルギーは、それが望ましい領域に選択的に提供され得る。組織への吸入の印加は、組織接触をさらに容易にするために、その領域に自然に存在し得る体液をさらに除去し得る。
【0059】
対照的に、湿潤野において(例えば、活性および/または戻り電極が、体外から提供される電導性流体に浸漬されるか、または沈められる場合)、電導性流体と接触している活性電極の全ての部分が、エネルギーを提供する。結果として、必要とされるよりも多くのエネルギーが、概して、組織に伝達されて正確さが低減する。
【0060】
さらに、凹形ブレードは、反対方向に向いているブレードの電場の成分が相殺するので、湿潤野(導電媒質)において、良好に動作しないことがわかっている。このことは、電流(エネルギー)が組織と直接接触しているブレードの部分からだけ組織に流動するので、乾燥野においては生じない。したがって、乾燥野アプローチは、この場合に有利であり、そのため、本明細書に記載するような吸入の使用は、乾燥野を作成することに有益である。さらに、ブレードの中心から向けられるこの場合の吸引(吸入)は、組織を吸入ポートに引き込み、それにより、ブレードに接触する組織の幅をさらに減少させ、該領域をさらに乾燥した状態にし、それにより、上記の電流フローの正確さおよび電場効果をさらに改善する。
【0061】
交換可能な先端は、手技中の任意の時点においても、別の先端と交換され得る。したがって、吸引ハンドルおよびブレードアセンブリを有する交換可能な先端をキットの中に提供することが有用であり得る。該デバイスが使い捨て用である場合、1つ以上の吸引ハンドルは、ブレードアセンブリを有する1つ以上の交換可能な先端とパッケージ化され得る。交換可能な先端は、同一種類、例えば、全てアデノイド切除術用先端、もしくは全てアデノイド切除術用先端、または2つの種類の混合であり得る。他の場合では、キットは、吸引ハンドルを伴わずに、複数の交換可能な先端を含んでもよい。交換可能な先端および吸引ハンドルはまた、個々にパッケージ化されてもよい。
【0062】
キットはまた、概して、使用説明書を含有する。説明書は、該デバイスをどのように開始、操作、および終了するのかに関する指示、ならびに電力レベル設定をどのように調節するのかに関する指示を含んでもよい。1つの交換可能な先端を別の先端に、例えば、アデノイド切除術用先端を扁桃摘出術用先端に交換するためのステップもまた、提供されてもよい。
【0063】
本明細書に記載する発明は、以下の非限定的な実施例によりさらに理解される。
【0064】
(実施例:熱傷に関する比較データ)
切除したヒト口蓋扁桃に、30Wの切断および30Wの凝固の設定で、従来の「ボビー」針先を使用した一連の外科的切開を行った。切断に対して切断5(20Wの出力)および凝固に対して凝固6(30Wの出力)の設定で、本明細書に記載する電気手術扁桃摘出術デバイス(「扁桃腺用ブレード」)を使用して、追加の切開を行った。切開の直後に組織学的試料を採取し、顕微鏡を使用して残りの熱傷に関して評価した。熱傷深度(mm)および熱傷の減少の割合の比較を表1に提供する。