特許第5679997号(P5679997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許567999711β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の環状阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5679997
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の環状阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 265/10 20060101AFI20150212BHJP
   C07D 417/10 20060101ALI20150212BHJP
   A61K 31/5355 20060101ALI20150212BHJP
   C07D 413/10 20060101ALI20150212BHJP
   A61K 31/535 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 3/12 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 5/28 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20150212BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20150212BHJP
   C07D 473/08 20060101ALI20150212BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
   C07D265/10
   C07D417/10CSP
   A61K31/5355
   C07D413/10
   A61K31/535
   A61P43/00 111
   A61P9/12
   A61P3/12
   A61P5/28
   A61P13/00
   A61P3/04
   A61P3/10
   A61P3/06
   C07D473/08
   A61K31/522
【請求項の数】22
【全頁数】93
(21)【出願番号】特願2011-548664(P2011-548664)
(86)(22)【出願日】2010年2月3日
(65)【公表番号】特表2012-516871(P2012-516871A)
(43)【公表日】2012年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2010051262
(87)【国際公開番号】WO2010089303
(87)【国際公開日】20100812
【審査請求日】2013年2月1日
(31)【優先権主張番号】61/206,818
(32)【優先日】2009年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100116919
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 房幸
(72)【発明者】
【氏名】エクハルト,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヒンメルスバッハ,フランク
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−520792(JP,A)
【文献】 特表2011−506615(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/106128(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/124337(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/081570(WO,A1)
【文献】 特表2010−534654(JP,A)
【文献】 特表2011−529029(JP,A)
【文献】 特表2011−512352(JP,A)
【文献】 特開2007−254409(JP,A)
【文献】 特表2012−525440(JP,A)
【文献】 特表2010−519304(JP,A)
【文献】 特表2009−534414(JP,A)
【文献】 特表2009−522292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化87】

[式中、
が、(a)存在しないか、又は(b)(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ若しくは(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルから選択され、そしてフッ素、シアノ、オキソ、R、RO−、(RN−、RC−、RS、RS(=O)−、RS(=O)−、RC(=O)NR−、(RNC(=O)−、(RNC(=O)O−、(RNC(=O)NR−、ROC(=O)NR−、(RNC(=NCN)NR−、(RO)P(=O)O−、(RO)P(=O)NR−、ROS(=O)NR−、(RNS(=O)O−、(RNS(=O)NR−、RS(=O)NR−、RS(=O)NHC(=O)−、RS(=O)NHC(=O)O−、RS(=O)NHC(=O)NR−、ROS(=O)NHC(=O)−、ROS(=O)NHC(=O)O−、ROS(=O)NHC(=O)NR−、(RNS(=O)NHC(=O)−、(RNS(=O)NHC(=O)O−、(RNS(=O)NHC(=O)NR−、RC(=O)NHS(=O)−、RC(=O)NHS(=O)O−、RC(=O)NHS(=O)NR−、ROC(=O)NHS(=O)−、ROC(=O)NHS(=O)O−、ROC(=O)NHS(=O)NR−、(RNC(=O)NHS(=O)−、(RNC(=O)NHS(=O)O−、(RNC(=O)NHS(=O)NR−、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールアミノ及びヘテロアリールアミノから独立して選択される、4個までの基で場合により置換されており;
が、(a)結合であるか、又は(b)(C−C)アルキレン、CHCHO(式中、酸素はCyに結合している)若しくはCHC(=O)(式中、カルボニル炭素はCyに結合している)であり;
Cyが、アリール、ヘテロアリール、単環式シクロアルキル又は単環式ヘテロシクリルであり、そしてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、オキソ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノスルホニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、シアノ(C−C)アルキル、アミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル(C−C)アルキル及びジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキルから独立して選択される、1〜4個の基で場合により置換されており;
Cyが、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル又は3,6−ジヒドロ−2H−ピラニルであり、そしてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、オキソ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノスルホニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、シアノ(C−C)アルキル、アミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル(C−C)アルキル及びジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキルから独立して選択される、1〜4個の基で場合により置換されており;
Eが、(a)結合であるか、又は(b)(C−C)アルキレン又は(C−C)アルキレニルオキシ(ここで、OはRに結合している)であり、これらのそれぞれは、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はオキソから独立して選択される、1〜4個の基で場合により置換されており;
が、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、そしてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、オキソ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノスルホニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、シアノ(C−C)アルキル、アミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル(C−C)アルキル及びジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキルから独立して選択される、最大4個の基で場合により置換されており;
が、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルから選択され、そしてフッ素、シアノ、オキソ、R、RO−、(RN−、RC−、RC(=O)O−、RS、RS(=O)−、RS(=O)−、RC(=O)NR−、(RNC(=O)−、(RNC(=O)O−、(RNC(=O)NR−、ROC(=O)NR−、(RNC(=NCN)NR−、(RO)P(=O)O−、(RO)P(=O)NR−、ROS(=O)NR−、(RNS(=O)O−、(RNS(=O)NR−、RS(=O)NR−、RS(=O)NHC(=O)−、RS(=O)NHC(=O)O−、RS(=O)NHC(=O)NR−、ROS(=O)NHC(=O)−、ROS(=O)NHC(=O)O−、ROS(=O)NHC(=O)NR−、(RNS(=O)NHC(=O)−、(RNS(=O)NHC(=O)O−、(RNS(=O)NHC(=O)NR−、RC(=O)NHS(=O)−、RC(=O)NHS(=O)O−、RC(=O)NHS(=O)NR−、ROC(=O)NHS(=O)−、ROC(=O)NHS(=O)O−、ROC(=O)NHS(=O)NR−、(RNC(=O)NHS(=O)−、(RNC(=O)NHS(=O)O−、(RNC(=O)NHS(=O)NR−、スピロシクロアルキル;ヘテロシクリル(アルキル、ハロアルキル、ハロゲン又はオキソで、場合により置換されていてもよい)、ヘテロアリール(アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、COH、CONH、N−モノアルキル置換アミド、N,N−ジアルキル置換アミド又はオキソで、場合により置換されていてもよい)、アリールアミノ(アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、COH、CONH、N−モノアルキル置換アミド又はN,N−ジアルキル置換アミドで、場合により置換されていてもよい)及びヘテロアリールアミノ(アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、COH、CONH、N−モノアルキル置換アミド、N,N−ジアルキル置換アミド又はオキソで、場合により置換されていてもよい)から独立して選択される、4個までの基で場合により置換されており;そして
が、H、(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル及び(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルから独立して選択される]
で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマー(但し、前記化合物は構造式PR−36、PR−215、PR−216、PR−249、PR−251、PR−254及びPR−689で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーではない)。
【請求項2】
化合物が、式(Ia)、(Ib)、(Ia)、(Ib)、(Ia)、(Ib)、(Ia)、(Ib)、(Ia)、(Ib)、(Ia)、(Ib)、(Ia11)、(Ib11)、(Ia14)、(Ib14)、(Ia16)、(Ib16)、(Ia17)、(Ib17)、(Ia19)又は(Ib19):
【化88】


で示されるうちの一つである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマー。
【請求項3】
化合物が、式(Ic):
【化90】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項4】
化合物が、式(Id):
【化91】

[式中、
が、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ又はニトロであり;
nが、0、1又は2であり;そして
2bが、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル又は(C−C)アルキルカルボニルアミノである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項5】
化合物が、式(Ic):
【化94】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項6】
化合物が、式(Id):
【化95】

[式中、
が、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ又はニトロであり;
nが、0、1又は2であり;そして
2bが、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル又は(C−C)アルキルカルボニルアミノである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項7】
化合物が、式(Ic):
【化98】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項8】
化合物が、式(Id):
【化99】

[式中、
が、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ又はニトロであり;
nが、0、1又は2であり;
2aが、水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル又は(C−C)ハロアルキルであり;そして
2bが、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル又は(C−C)アルキルカルボニルアミノである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項9】
化合物が、式(Ic):
【化102】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項10】
化合物が、式(Id):
【化103】

[式中、
が、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ又はニトロであり;
nが、0、1又は2であり;そして
2bが、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル又は(C−C)アルキルカルボニルアミノである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項11】
化合物が、式(Ic16):
【化106】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項12】
化合物が、式(Id):
【化107】

[式中、
が、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ又はニトロであり;
nが、0、1又は2であり;そして
2aが、水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル又は(C−C)ハロアルキルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項13】
化合物が、式(Ic17):
【化110】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項14】
化合物が、式(Id):
【化111】

[式中、
が、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ又はニトロであり;
nが、0、1又は2であり;そして
2bが、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル又は(C−C)アルキルカルボニルアミノである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項15】
化合物が、式(Ic)又は(Ic):
【化114】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項16】
化合物が、式(Ic)又は(Ic10):
【化118】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項17】
化合物が、式(Ic11)、(Ic12)又は(Ic13):
【化122】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項18】
化合物が、式(Ic14)又は(Ic15):
【化126】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項19】
化合物が、式(Ic19)又は(Ic20):
【化130】

[式中、
nが、0、1、2又は3であり;そして
が、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルキルカルボニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項20】
下記の構造式:
【化132】

の1つで示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項21】
11β−HSD1活性を阻害するための、請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを含む医薬組成物。
【請求項22】
i)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤及びii)請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1(11β−HSD1)の阻害剤、その医薬組成物及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コルチゾール(ヒドロコルチゾン)などのグルココルチコイドは脂質代謝、機能及び分布を調節するステロイドホルモンであり、そして糖質、タンパク質及び脂質代謝に関与している。グルココルチコイドは発生、神経生物学、炎症、血圧、代謝及びプログラム細胞死に関して生理作用を示すことも知られている。コルチゾール及び他のコルチコステロイドは、グルココルチコイド受容体(GR)及び鉱質コルチコイド受容体(MR)の両方に結合し、これらは核ホルモン受容体スーパーファミリーに属し、そしてin vivoでコルチゾール機能に関与することが示された。これらの受容体は、DNA結合亜鉛フィンガードメイン及び転写活性化ドメインを介して直接転写を調節する。
【0003】
最近まで、グルココルチコイド活性の主要な決定因子には3つの主な因子の関与が挙げられていた:(1)グルココルチコイドの循環レベル(視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸により主に誘起される);(2)循環グルココルチコイドのタンパク質結合;(3)標的組織内の細胞内受容体密度。最近、グルココルチコイド機能に関する第4の決定因子が確認された:グルココルチコイド活性化及び不活性化酵素による組織特異的プレレセプター代謝。これらの11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β−HSD)プレレセプター調節酵素は、グルココルチコイドホルモンを調節することによりGR及びMRの活性化を調節する。データによると、11β−HSDの2つの異なるアイソザイム、即ち、11β−HSD1(1型11β−HSD、11β−HSD1、HSD11B1、HDL及びHSD11Lとしても知られる)及び11β−HSD2がクローニングされ、特徴づけられた。11β−HSD1は不活性11−ケト型から活性コルチゾールを再生する二方向性オキシドレダクターゼであり、一方、11β−HSD2は生物活性コルチゾールをコルチゾンに変換して不活化する一方向性デヒドロゲナーゼである。
【0004】
2つのアイソフォームがその生理学的役割の違いに沿って異なる組織で特異的に発現している。11β−HSD1はラット及びヒト組織に広範に分布しており、その酵素及び対応するmRNAの発現がヒト肝臓、脂肪組織、肺、精巣、骨及び毛様体上皮で検出された。脂肪組織において、コルチゾール濃度の上昇は脂肪細胞分化を刺激し、内臓型肥満を増進する役割を果たす可能性がある。眼においては、11β−HSD1は眼内圧を調節し、緑内障に関与している可能性があり、11β−HSD1の阻害が高眼圧症患者の眼内圧低下を引き起こす可能性があることを示唆するデータもある(Kotelevstev et al. (1997), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94(26):14924-9)。11β−HSD1は11β−脱水素化及び反対の11−オキソ還元反応の両方を触媒するが、11β−HSD1は、無処理の細胞及び組織において、主にNADPH依存性オキソレダクターゼとして作用して、不活性コルチゾンから活性コルチゾールの生成を触媒する(Low et al. (1994) J. Mol. Endocrin. 13: 167-174)。対照的に、11β−HSD2の発現は、主に、腎臓(皮質及び髄質)、胎盤、S状結腸及び直腸結腸、唾液腺並びに結腸上皮細胞株などの鉱質コルチコイド標的組織に見られる。11β−HSD2は、コルチゾールのコルチゾンへの変換を不活化する過程を触媒するNAD依存性脱水素酵素として作用して(Albiston et al. (1994) Mol. Cell. Endocrin. 105: R11-R17)、MRをグルココルチコイド過剰から防御することが示された(例えば、高レベルの受容体活性コルチゾール)(Blum, et al. (2003) Prog. Nucl. Acid Res. Mol. Biol. 75:173-216)。
【0005】
11β−HSD1又は11β−HSD2遺伝子に変異が起こると、ヒトの病態を引き起こす。例えば、11β−HSD2に変異がある個体はこのコルチゾール不活化活性が欠損しており、結果として高血圧、低カリウム血症及びナトリウム貯留を特徴とする鉱質コルチコイド過剰(「SAME」とも呼ばれる)様症状を呈する(Edwards et al. (1988) Lancet 2: 986-989; Wilson et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. 95: 10200-10205)。同様に、11β−HSD1及び共局在化するNADPH生成酵素、ヘキソース6−リン酸デヒドロゲナーゼ(H6PD)をコードする遺伝子の変異は、コルチゾン還元酵素欠損(CRD)を引き起こす可能性があり、これらの個体はACTHが関与するアンドロゲン過剰(多毛症、生理不順、高アンドロゲン血症)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と類似の表現型を示す(Draper et al. (2003) Nat. Genet. 34: 434-439)。
【0006】
特に、欠乏若しくは過剰の分泌又は活性から生じるHPA軸における恒常性の崩壊は、それぞれクッシング症候群又はアジソン病を引き起こす(Miller and Chrousos (2001) Endocrinology and metabolism, eds. Felig and Frohman (McGraw-Hill, New York), 4th Ed.: 387-524)。クッシング症候群又はグルココルチコイド療法を受けている患者は可逆性内臓脂肪肥満を引き起こす。クッシング症候群患者の表現型は、リーベン代謝症候群(Reaven’s metabolic syndrome)(X症候群又はインスリン抵抗性症候群としても知られている)の表現型とよく似ており、その症状には内臓型肥満、耐糖能異常、インスリン耐性、高血圧、2型糖尿病及び高脂血症が見られる(Reaven (1993) Ann. Rev. Med. 44: 121-131)。ヒト肥満におけるグルココルチコイドの役割は十分に特徴付けられてはいないが、11β−HSD1活性が肥満及び代謝症候群において重要な役割を担っていることに関して多くの証拠がある(Bujalska et al. (1997) Lancet 349: 1210-1213);(Livingstone et al. (2000) Endocrinology 131: 560-563; Rask et al. (2001) J. Clin. Endocrinol. Metab. 86: 1418-1421; Lindsay et al. (2003) J. Clin. Endocrinol. Metab. 88: 2738-2744; Wake et al. (2003) J. Clin. Endocrinol. Metab. 88: 3983-3988)。
【0007】
マウストランスジェニックモデルの研究データは、脂肪細胞の11β−HSD1活性は内臓型肥満及び代謝症候群で中心的役割を担っているという仮説を裏付けている(Alberts et al. (2002) Diabetologia. 45(11): 1526-32)。トランスジェニックマウスのaP2プロモーターの制御下、脂肪組織の11β−HSD1過剰発現はヒト代謝症候群と非常によく似た表現型を示した(Masuzaki et al. (2001) Science 294: 2166-2170; Masuzaki et al. (2003) J. Clinical Invest. 112: 83-90)。さらに、これらのマウスの11β−HSD1活性の増加はヒト肥満で観察されたものと非常に似ている(Rask et al. (2001) J. Clin. Endocrinol. Metab. 86: 1418-1421)。また、相同組み換えで作製した11β−HSD1欠損マウスの研究データから、11β−HSD1の欠損は活性グルココルチコイドレベルが組織特異的に欠乏することによりインスリン感受性及び糖耐性の増加を招くことが示されている(Ko televstev et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94: 14924-14929; Morton et al. (2001) J. Biol. Chem. 276: 41293-41300; Morton et al. (2004) Diabetes 53: 931-938)。
【0008】
公開されたデータから11β−HSD1発現の増加が、脂肪組織においてコルチゾンのコルチゾールへの局所的な変換の増加に関係しており、そのため11β−HSD1はヒトの中心性肥満の病因や代謝症候群の発症の一因であるとされる仮説を裏付けている(Engeli, et al., (2004) Obes. Res. 12: 9-17)。従って、11β−HSD1は代謝症候群の処置のための医薬標的として期待されている(Masuzaki, et al., (2003) Curr. Drug Targets Immune Endocr. Metabol. Disord. 3: 255-62)。さらに、11β−HSD1活性の阻害が、多数のグルココルチコイド関連障害の処置に有益であることが証明することができる。例えば、11β−HSD1阻害剤は、肥満及び/又は耐糖能異常、インスリン耐性、高血糖、高血圧及び/又は高脂血症などの代謝症候群クラスター状態に対し効果的であった(Kotelevstev et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94: 14924-14929; Morton et al. (2001) J. Biol. Chem. 276: 41293-41300; Morton et al. (2004) Diabetes 53: 931-938)。さらに、11β−HSD1活性の阻害がグルコース刺激インスリン放出の向上など、膵臓において有益な効果を示す可能性がある(Billaudel and Sutter (1979) Horm. Metab. Res. 11: 555-560; Ogawa et al. (1992) J. Clin. Invest. 90: 497-504; Davani et al. (2000) J. Biol. Chem. 275: 34841-34844)。
【0009】
さらに、通常の認知機能の個体差はグルココルチコイドの長期的な曝露における変動に関係し(Lupien et al. (1998) Nat. Neurosci. 1: 69-73)、特定の脳亜領域において、過剰なグルココルチコイドへの慢性暴露を引き起こすこととなるHPA軸の調節異常が、認知機能の低下の一因であると理論付けたと仮定した場合(McEwen and Sapolsky (1995) Curr. Opin. Neurobiol. 5: 205-216)、11β−HSD1の阻害が、脳においてグルココルチコイドへの曝露を減少させ、それにより認知障害、認知症及び/又は鬱病などの神経機能に影響する有害なグルココルチコイド作用を防ぐことができることが予測される。なお、ストレス及びグルココルチコイドが認知機能に影響を及ぼすことが知られており(de Quervain et al. (1998) Nature 394: 787-790)、脳のグルココルチコイド作用の制御により、11β−HSD1が神経毒に効果を及ぼす可能性があることが示された(Rajan et al. (1996) Neuroscience 16: 65-70; Seckl (2000) Neuroendocrinol. 18:49-99)。
【0010】
また、グルココルチコイド及び11β−HSD1が眼内圧(IOP)の調節に関与していることを示す証拠がある(Stokes et al. (2000) Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 41: 1629-1683; Rauz et al. (2001) Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 42: 2037-2042);放置すれば、IOPの上昇は部分的な視野欠損を引き起こし、最終的に失明に至ることとなる。従って、眼における11β−HSD1阻害は局在グルココルチコイド濃度及びIOPを低下させることができ、それによって11β−HSD1を緑内障及び他の視力障害の処置に使用することができる可能性がある。
【0011】
トランスジェニックaP2−11βHSD1マウスは高い動脈圧を示し、そして食塩に対し高感受性を示す。さらに、トランスジェニックマウスの血漿アンギオテンシノーゲンレベルは、アンギオテンシンII及びアルドステロンと同様に上昇しており、アンギオテンシンIIアンタゴニストを用いてマウスを処置すると高血圧が緩和される(Masuzaki et al. (2003) J. Clinical Invest. 112: 83-90)。これにより、高血圧は11β−HSD1活性により引き起こされ、あるいは悪化する可能性があることが示唆される。従って、11β−HSD1阻害剤は高血圧及び高血圧関連心血管障害の処置に有用である可能性がある。また、11β−HSD1の阻害は、成熟脂肪細胞で、単独の心血管系リスク因子である1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI−1)の分泌を低下させることが期待される(Halleux et al. (1999) J. Clin. Endocrinol. Metabl. 84: 4097-4105)。
【0012】
グルココルチコイドは、骨格組織に有害作用を及ぶす可能性があり、中程度のグルココルチコイド曝露量でさえ長期に及ぶと骨粗しょう症をもたらす恐れがある(Cannalis (1996) J. Clin. Endocrinol. Metab. 81: 3441-3447)。さらに、11β−HSD1がヒト初代骨芽細胞培養物並びに成人の骨由来の細胞に存在することが示され(Cooper et al. (2000) Bone 27: 375-381)、そして11β−HSD1阻害剤カルベノキソロンが骨結節形成に及ぼすグルココルチコイドのネガティブな効果を低下させることが示された(Bellows et al. (1998) Bone 23: 119-125)。従って、11β−HSD1を阻害することにより骨芽細胞及び破骨細胞内の局所的グルココルチコイド濃度を減少させ、それによって、骨粗しょう症などの様々な形態の骨疾患に有益な効果をもたらすことが予想される。
【0013】
また、11β−HSD1阻害剤は免疫調節にも有用である可能性がある。グルココルチコイドには免疫系を抑制することが確認されているが、実際に、HPA軸と免疫系の間で複雑な動的相互作用がある(Rook (1999) Baillier's Clin. Endocrinol. Metabl. 13: 576-581)。グルココルチコイドは細胞性及び体液性免疫反応のバランスを調節する役割があり、通常、高グルココルチコイド活性は体液性応答反応に関連している。従って、11β−HSD1の阻害は、免疫反応を細胞性反応にシフトさせる手段として使うことができる。特定の疾患状態、例えば、結核、レプロシー(ハンセン病)及び乾癬は、体液性応答反応に偏った免疫反応を引き起こすが、より効果的な免疫反応は細胞性反応である。従って、11β−HSD1阻害剤はそのような疾患の処置に有用である可能性がある。
【0014】
グルココルチコイドは、特に潰瘍を有する糖尿病患者の創傷治癒を抑制することが報告されている(Bitar et al. (1999) J. Surg. Res. 82: 234-243; Bitar et al. (1999) Surgery 125: 594-601; Bitar (2000) Surgery 127: 687-695; Bitar (1998) Am. J. Pathol. 152: 547-554)。また、糖耐性障害及び/又は2型糖尿病の患者では創傷治癒障害がたびたび見られる。グルココルチコイドは感染リスクを増加させ、創傷治癒を遅延させることが明らかとなった(Anstead (1998) Adv. Wound Care 11:277-285)。さらに、創傷液のコルチゾールレベルの上昇と創傷が治癒しないことには相関関係がある(EP Patent App. No. 0 902 288)。最近公開の特許出願から特定の11β−HSD1阻害剤が創傷治癒の促進に有用である可能性を示すことが示唆された(PCT/US2006/043,951)。
【0015】
本明細書から明らかなように、11β−HSD1を阻害する新規で改善された薬剤が引き続き必要とされている。本発明の新規化合物は11β−HSD1の阻害に有効である。
【発明の概要】
【0016】
本明細書において、式Imで示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩は有効な11β−HSD1阻害剤であることが明らかとなった。
【0017】
本発明は、式I:
【0018】
【化1】

で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーである。
【0019】
本発明の第一の実施態様では、式I及びその構成部分は本明細書下記で定義するとおりである:
は、(a)存在しないか、又は(b)(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルから選択され、そしてフッ素、シアノ、オキソ、R、RO−、(RN−、RC−、RS、RS(=O)−、RS(=O)−、RC(=O)NR−、(RNC(=O)−、(RNC(=O)O−、(RNC(=O)NR−、ROC(=O)NR−、(RNC(=NCN)NR−、(RO)P(=O)O−、(RO)P(=O)NR−、ROS(=O)NR−、(RNS(=O)O−、(RNS(=O)NR−、RS(=O)NR−、RS(=O)NHC(=O)−、RS(=O)NHC(=O)O−、RS(=O)NHC(=O)NR−、ROS(=O)NHC(=O)−、ROS(=O)NHC(=O)O−、ROS(=O)NHC(=O)NR−、(RNS(=O)NHC(=O)−、(RNS(=O)NHC(=O)O−、(RNS(=O)NHC(=O)NR−、RC(=O)NHS(=O)−、RC(=O)NHS(=O)O−、RC(=O)NHS(=O)NR−、ROC(=O)NHS(=O)−、ROC(=O)NHS(=O)O−、ROC(=O)NHS(=O)NR−、(RNC(=O)NHS(=O)−、(RNC(=O)NHS(=O)O−、(RNC(=O)NHS(=O)NR−、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールアミノ及びヘテロアリールアミノから独立して選択される、4個までの基で場合により置換されており;
は、(a)結合であるか、又は(b)(C−C)アルキレン、CHCHO(式中、酸素はCyに結合している)若しくはCHC(=O)(式中、カルボニル炭素はCyに結合している)であり;
Cyは、アリール、ヘテロアリール、単環式シクロアルキル又は単環式ヘテロシクリルであり、そしてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、オキソ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノスルホニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、シアノ(C−C)アルキル、アミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル(C−C)アルキル及びジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキルから独立して選択される、1〜4個の基で場合により置換されており;
式IのCyは、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル又は3,6−ジヒドロ−2H−ピラニルであり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、オキソ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノスルホニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、シアノ(C−C)アルキル、アミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル(C−C)アルキル及びジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキルから独立して選択される、1〜4個の基で場合により置換されており;
Eは、(a)結合であるか、又は(b)(C−C)アルキレン若しくは(C−C)アルキレニルオキシ(式中、OはRに結合している)であり、それぞれメチル、エチル、トリフルオロメチル又はオキソから独立して選択される、1〜4個の基で場合により置換されており;
は、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、場合によりフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、オキソ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル、(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノスルホニル、ジ(C−C)シクロアルキルアミノスルホニル、シアノ(C−C)アルキル、アミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキル、{(C−C)シクロアルキル}{(C−C)アルキル}アミノカルボニル(C−C)アルキル及びジ(C−C)シクロアルキルアミノカルボニル(C−C)アルキルから独立して選択される、4個までの基で場合により置換されており;
は、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ又は(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルから選択され、そしてフッ素、シアノ、オキソ、R、RO−、(RN−、RC−、RC(=O)O−、RS、RS(=O)−、RS(=O)−、RC(=O)NR−、(RNC(=O)−、(RNC(=O)O−、(RNC(=O)NR−、ROC(=O)NR−、(RNC(=NCN)NR−、(RO)P(=O)O−、(RO)P(=O)NR−、ROS(=O)NR−、(RNS(=O)O−、(RNS(=O)NR−、RS(=O)NR−、RS(=O)NHC(=O)−、RS(=O)NHC(=O)O−、RS(=O)NHC(=O)NR−、ROS(=O)NHC(=O)−、ROS(=O)NHC(=O)O−、ROS(=O)NHC(=O)NR−、(RNS(=O)NHC(=O)−、(RNS(=O)NHC(=O)O−、(RNS(=O)NHC(=O)NR−、RC(=O)NHS(=O)−、RC(=O)NHS(=O)O−、RC(=O)NHS(=O)NR−、ROC(=O)NHS(=O)−、ROC(=O)NHS(=O)O−、ROC(=O)NHS(=O)NR−、(RNC(=O)NHS(=O)−、(RNC(=O)NHS(=O)O−、(RNC(=O)NHS(=O)NR−、スピロシクロアルキル;ヘテロシクリル(アルキル、ハロアルキル、ハロゲン又はオキソで、場合により置換されていてもよい)、ヘテロアリール(アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、COH、CONH、N−モノアルキル置換アミド、N,N−ジアルキル置換アミド又はオキソで、場合により置換されていてもよい)、アリールアミノ(アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、COH、CONH、N−モノアルキル置換アミド及びN,N−ジアルキル置換アミドで、場合により置換されていてもよい)及びヘテロアリールアミノ(アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、COH、CONH、N−モノアルキル置換アミド、N,N−ジアルキル置換アミド又はオキソで、場合により置換されていてもよい)から独立して選択される、4個までの基で場合により置換されており;
は、H、(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル及び(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルから独立して選択される。
【0020】
あるいは、上記第一の実施態様においては、構造式PR−36、PR−215、PR−216、PR−249、PR−251、PR−254及びPR−689で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを除外する。
【0021】
本発明の別の実施態様は、i)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤及びii)式I、Ia1−20、Ib1−20若しくはIc1−20で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを含む医薬組成物である。
【0022】
本発明の別の実施態様は、11β−HSD1活性を阻害する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に有効量の式I、Ia1−20、Ib1−20若しくはIc1−20で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを投与する工程を含む方法である。
【0023】
本発明の別の実施態様は、11β−HSD1の活性又は発現に関連する疾患を有する対象を処置する方法であって、前記対象に有効量の式I、Ia1−20、Ib1−20若しくはIc1−20で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを投与する工程を含む方法である。
【0024】
本発明の別の実施態様は、そのような処置を必要とする哺乳動物において、11β−HSD1活性を阻害するための医薬の製造のための式I、Ia1−20、Ib1−20若しくはIc1−20で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーの使用である。
【0025】
本発明の別の実施態様は、11β−HSD1の活性又は発現に関連する疾患を有する対象を処置するための医薬の製造のための、式I、Ia1−20、Ib1−20若しくはIc1−20で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーの使用である。
【0026】
本発明の別の実施態様は、そのような処置を必要とする哺乳動物において、11β−HSD1活性の阻害に使用するための、式I、Ia1−20、Ib1−20若しくはIc1−20で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーである。
【0027】
本発明の別の実施態様は、11β−HSD1の活性又は発現に関連する疾患を有する対象の処置に使用するための、式I、Ia1−20、Ib1−20若しくはIc1−20で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーである。
【0028】
発明の詳細な説明
本発明の別の実施態様は、式Ia1−20で示されるいずれか一つの化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーである:
【0029】
【化2】



式Ia1−20において、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環(即ち、式Ia1−20に示すように、Cyに直接結合する全ての単環式又は二環式部分構造)は、上述するように、4個までの置換基で場合により置換されている(水素に結合している環炭素及び水素原子に結合している環窒素原子での置換が包含される、即ち、「置換可能な環窒素原子」)。1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の適切な置換基並びにR、R、R、A、Cy及びEの適切な例は、上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、式Ia1−20におけるCy並びに1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の適切な置換基は、独立してフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ及び(C−C)アルキルカルボニルであり、R、R、R、A、Cy及びEの例は上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、Cyの適切な置換基には、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ及びニトロが挙げられ;式Ia及びIa16における1,2,4−トリアゾリル及びキサンチニル環の置換可能な環窒素原子の適切な置換基には、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル及び(C−C)ハロアルキルが挙げられ;式Ia1−20における1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の環炭素原子の適切な置換基には、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル及び(C−C)アルキルカルボニルアミノが挙げられ;R、R、R、A、Cy及びEの適切な例は上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、この段落の実施態様には下記の化合物は除外する:
【0030】
(R)−6−アリル−6−(4−フルオロフェニル)−3−((S)−1−(4−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル)エチル)−1,3−オキサジナン−2−オン
【0031】
【化3】
【0032】
(S)−6−(2−メチル−アリル)−3−{(S)−1−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【0033】
【化4】
【0034】
6−メチル−6−フェニル−3−(3−(チオフェン−2−イル)フェニル)−1,3−オキサジナン−2−オン
【0035】
【化5】
【0036】
(R)−6−(3−ヒドロキシプロピル)−6−フェニル−3−((S)−1−(4−(チオフェン−2−イル)フェニル)エチル)−1,3−オキサジナン−2−オン
【0037】
【化6】
【0038】
(6R)−3−((1S)−1−(4−(5−(1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル)フェニル)エチル)−6−(3−ヒドロキシプロピル)−6−フェニル−1,3−オキサジナン−2−オン
【0039】
【化7】
【0040】
(R)−3−((S)−1−(4−(5−アセチルチオフェン−2−イル)フェニル)エチル)−6−(3−ヒドロキシプロピル)−6−フェニル−1,3−オキサジナン−2−オン
【0041】
【化8】
【0042】
(6R)−3−((1S)−1−(4−(5−(1−アミノエチル)チオフェン−2−イル)フェニル)エチル)−6−(3−ヒドロキシプロピル)−6−フェニル−1,3−オキサジナン−2−オン
【0043】
【化9】

又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマー。
【0044】
上記段落に記載の各実施態様については、Rは好ましくはメチル又はエチルである。
【0045】
式Ia1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、MeSONHCHCHCH、HNC(=O)CHCH、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0046】
式Ia1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0047】
式Ia1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又はハロ、シアノ、CONH、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル及びSOMeから選択される、1、2又は3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;そしてRは、MeSONHCHCHCH、HNC(=O)CHCH、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0048】
式Ia1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、ハロ、シアノ、CONH、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル及びSOMeから選択される、1、2又は3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;そしてRは、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0049】
式Ia1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0050】
式Ia1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、フェニル又はフルオロフェニルであり;そしてRは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0051】
式Ia1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、フェニルであり;Rは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルであり;式Ia及びIa16における1,2,4−トリアゾリル及びキサンチニル環の置換可能な環窒素原子(1個又は複数)の置換基は、独立して(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル又は(C−C)ハロアルキルであり;式Ia1−20における1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の各置換可能な環炭素原子は、場合によりメチル又はエチルで置換されている。
【0052】
本発明の別の実施態様は、式Ib1−20で示されるいずれか一つの化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーである:
【0053】
【化10】



式Ib1−20において、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環(即ち、式Ia1−20に示すように、Cyに直接結合する全ての単環式又は二環式部分構造)は、Cyについて上述するように、4個までの置換基で場合により置換されている(水素に結合している環炭素及び水素原子に結合している窒素原子での置換が包含される、即ち、「置換可能な環窒素原子」)。1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の適切な置換基並びにR、R、R及びCyの適切な例は、上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、式Ib1−20におけるCy並びに1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の適切な置換基は、独立してフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ及び(C−C)アルキルカルボニルであり;R、R、R及びCyの例は上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、Cyの適切な置換基には、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ及びニトロが挙げられ;式Ia及びIa16における1,2,4−トリアゾリル及びキサンチニル環の置換可能な環窒素原子の適切な置換基には、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル及び(C−C)ハロアルキルが挙げられ;式Ib1−20における1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の環炭素原子の適切な置換基には、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル及び(C−C)アルキルカルボニルアミノが挙げられ;R、R、R及びCyの適切な例は上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、この段落に記載の実施態様では、構造式PR−36、PR−215、PR−216、PR−249、PR−251、PR−254及びPR−689で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを除外する。
【0054】
上記段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルである。
【0055】
式Ib1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、MeSONHCHCHCH、HNC(=O)CHCH、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0056】
式Ib1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0057】
式Ib1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又はハロ、シアノ、CONH、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル及びSOMeから選択される、1、2又は3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;そしてRは、MeSONHCHCHCH、HNC(=O)CHCH、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0058】
式Ib1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、ハロ、シアノ、CONH、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル及びSOMeから選択される、1、2又は3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;そしてRは、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0059】
式Ib1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0060】
式Ib1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、フェニル又はフルオロフェニルであり;そしてRは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0061】
式Ib1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、フェニルであり;Rは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルであり;式Ib及びIb16における1,2,4−トリアゾリル及びキサンチニル環の置換可能な環窒素原子(1個又は複数)の置換基は、独立して(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル又は(C−C)ハロアルキルであり;式Ib1−20における1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の各置換可能な環炭素原子は、場合によりメチル又はエチルで置換されている。
【0062】
本発明の別の実施態様は、式Ic1−20で示されるいずれか一つの化合物又はその薬学的に許容し得る塩である:
【0063】
【化11】




式Ic1−20において、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環(即ち、式Ia1−20に示すように、Cyに直接結合する全ての単環式又は二環式部分構造)は、上述の第一の実施態様のように、4個までの置換基で場合により置換されており(水素に結合している環炭素及び水素原子に結合している窒素原子での置換が包含される、即ち、「置換可能な環窒素原子」);Gの適切な例はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ及び(C−C)アルキルカルボニルであり;nは、0、1、2又は3であり;1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の適切な置換基並びにR、R及びRの適切な例は、上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、nは、0、1、2又は3であり;式Ic1−20におけるGの適切な例及び1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の置換基は、独立してフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルケニル、ハロ(C−C)アルケニル、ヒドロキシ(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキニル、ハロ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルコキシ、(C−C)シクロアルキルアルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルコキシ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)シクロアルキルチオ、(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、ハロ(C−C)アルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルチオ、ハロ(C−C)シクロアルキルアルキルチオ、(C−C)アルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルカンスルフィニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)アルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルフィニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルフィニル、(C−C)アルカンスルホニル、(C−C)シクロアルカンスルホニル、(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、ハロ(C−C)アルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルカンスルホニル、ハロ(C−C)シクロアルキルアルカンスルホニル、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、HNCO、HNSO、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、(C−C)アルキルアミノスルホニル、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、(C−C)アルキルカルボニルアミノ、(C−C)アルキルカルボニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニルアミノ、(C−C)アルキルスルホニルアミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヘテロアリール、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルコキシ及び(C−C)アルキルカルボニルであり;R、R及びRの例は、上記第一の実施態様に定義されている
とおりである。あるいは、nは、0、1、2又は3であり;Gの適切な例には、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ及びニトロが挙げられ;式Ic及びIc16における1,2,4−トリアゾリル及びキサンチニル環の置換可能な環窒素原子の適切な置換基には、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル及び(C−C)ハロアルキルが挙げられ;式Ic1−20におけるオキソジヒドロピリジル環の環炭素原子の適切な置換基には、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル及び(C−C)アルキルカルボニルアミノが挙げられ;R、R及びRの適切な例は、上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、この段落に記載の実施態様では、構造式PR−36、PR−215、PR−216、PR−249、PR−251、PR−254及びPR−689で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを除外する。
【0064】
上記段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルである。
【0065】
式Ic1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、MeSONHCHCHCH、HNC(=O)CHCH、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0066】
式Ic1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0067】
式Ic1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又はハロ、シアノ、CONH、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル及びSOMeから選択される、1、2又は3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;そしてRは、MeSONHCHCHCH、HNC(=O)CHCH、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0068】
式Ic1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、ハロ、シアノ、CONH、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル及びSOMeから選択される、1、2又は3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;そしてRは、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0069】
式Ic1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0070】
式Ic1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、フェニル又はフルオロフェニルであり;そしてRは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0071】
式Ic1−20の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、フェニルであり;Rは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルであり;式Ic及びIc16における1,2,4−トリアゾリル及びキサンチニル環の置換可能な環窒素原子(1個又は複数)の置換基は、独立して(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル又は(C−C)ハロアルキルであり;そして式Ic1−20における1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、キサンチニル、1,2−ジアザインドリジニル及び3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル環の各置換可能な環炭素原子は、メチル又はエチルで場合により置換されている。
【0072】
本発明の別の実施態様は、式Id1−6のいずれか一種で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩である:
【0073】
【化12】


式Id1−6において、Gは、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、(C−C)ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ又はニトロであり;nは、0、1又は2であり;G2aは、水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル又は(C−C)ハロアルキルであり;G2bは、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシ、CONH、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル又は(C−C)アルキルカルボニルアミノであり;そしてR、R及びRの適切な例は、上記第一の実施態様に定義されているとおりである。あるいは、この段落に記載の実施態様では、構造式PR−36、PR−215、PR−216、PR−249、PR−251、PR−254及びPR−689で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩、エナンチオマー若しくはジアステレオマーを除外する。
【0074】
上記段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルである。
【0075】
式Id1−6の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、MeSONHCHCHCH、HNC(=O)CHCH、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0076】
式Id1−6の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0077】
式Id1−6の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又はハロ、シアノ、CONH、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル及びSOMeから選択される、1、2又は3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;そしてRは、MeSONHCHCHCH、HNC(=O)CHCH、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0078】
式Id1−6の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、ハロ、シアノ、CONH、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル及びSOMeから選択される、1、2又は3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;そしてRは、HNC(=O)CMeCH、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、イソブチル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0079】
式Id1−6の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;そしてRは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0080】
式Id1−6の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、フェニル又はフルオロフェニルであり;そしてRは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル又は2−シアノ−2−メチルプロピルである。
【0081】
式Id1−6の直後の段落に記載の各実施態様については、Rは、好ましくはメチル又はエチルであり;Rは、フェニルであり;Rは、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルであり;置換基G2aは、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル及び(C−C)ハロアルキルから選択され;そしてG2bは、水素、メチル及びエチルから場合により選択される。
【0082】
また、本発明の化合物は2008年7月25日出願の米国仮出願第61/137,148号の1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの環状阻害剤;2008年7月25日出願の国際出願第PCT/US2008/009017号の1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの環状阻害剤に開示されており、これらの出願の全ての教示は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0083】
定義
用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐炭化水素基を意味し、これには、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが挙げられる。
【0084】
用語「シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子を有する単環式、二環式又は三環式の飽和炭化水素環を意味し、これには、例えば、シクロプロピル(c−Pr)、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、スピロ[4.4]ノナン、アダマンチルなどが挙げられる。
【0085】
用語「アリール」は、フェニル基、ナフチル基、インダニル基又はテトラヒドロナフタレン基である芳香族基を意味する。アリール基は場合により1〜4個の置換基で置換されている。置換基の例には、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、COH、CONH、N−モノアルキル置換アミド及びN,N−ジアルキル置換アミドが挙げられる。
【0086】
用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含有する飽和又は不飽和環に場合により縮合されていてもよい5及び6員ヘテロ芳香族基を意味し、これには、例えば、2又は3−チエニル、2又は3−フリル、2又は3−ピロリル、2、3又は4−ピリジル、2−ピラジニル、2、4又は5−ピリミジニル、3又は4−ピリダジニル、1H−インドール−6−イル、1H−インドール−5−イル、1H−ベンゾイミダゾール−6−イル、1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2、4、5、6、7又は8−キナゾリニル、2、3、5、6、7又は8−キノキサリニル、2、3、4、5、6、7又は8−キノリニル、1、3、4、5、6、7又は8−イソキノリニル、2、4又は5−チアゾリル、2、3、4又は5−ピラゾリル、2、3、4又は5−イミダゾリルであるヘテロ芳香族基が挙げられる。ヘテロアリールは場合により置換されている。置換基の例には、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、COH、CONH、N−モノアルキル置換アミド及びN,N−ジアルキル置換アミドが挙げられ、あるいはオキソによりN−オキシドが形成される。
【0087】
用語「ヘテロシクリル」は、N、O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、4、5、6及び7員飽和又は部分不飽和複素環を意味する。ヘテロシクリルの例には、ピロリジン、ピロリジン−2−オン、1−メチルピロリジン−2−オン、ピペリジン、ピペリジン−2−オン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペラジン、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン、1,2−ジヒドロ−2−オキソピリジン、1,4−ジヒドロ−4−オキソピリジン、ピペラジン−2−オン、3,4,5,6−テトラヒドロ−4−オキソピリミジン、3,4−ジヒドロ−4−オキソピリミジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、イソオキサゾリジン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジチアン、1,4−ジチアン、オキサゾリジン−2−オン、イミダゾリジン2−オン、イミダゾリジン2,4−ジオン、テトラヒドロピリミジン−2(1H)−オン、モルホリン、N−メチルモルホリン、モルホリン−3−オン、1,3−オキサジナン−2−オン、チオモルホリン、チオモルホリン1,1−ジオキシド、テトラヒドロ−1,2,5−チアオキサゾール1,1−ジオキシド、テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン1,1−ジオキシド、ヘキサヒドロ−1,2,6−チアジアジン1,1−ジオキシド、テトラヒドロ−1,2,5−チアジアゾール1,1−ジオキシド、イソチアゾリジン1,1−ジオキシド、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−4−イル、5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル及び5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルが挙げられる。ヘテロシクリルは、1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよい。置換基の例には、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン及びオキソが挙げられる。
【0088】
用語「スピロシクロアルキル」は、1個の環炭素を別のアルキル又はシクロアルキル基と共有するシクロアルキル基を意味する。
【0089】
本明細書で使用される用語「対象」及び「患者」は互換的に使用することができ、これは、処置を必要とする哺乳動物、例えば、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。典型的には、対象は処置を必要とするヒトである。
【0090】
特定の開示化合物は種々の立体異性体形態で存在していてもよい。立体異性体は空間的な配置のみが異なる化合物である。エナンチオマーはその鏡像が重なり合わない一対の立体異性体であり、これは通常、これらがキラル中心となる不斉置換炭素原子を含有するためである。「エナンチオマー」は、互いに鏡像であるが重なり合わない一対の分子の一方を意味する。ジアステレオマーは鏡像ではない立体異性体であり、これは通常、これらが2個以上の不斉置換炭素原子を含有するためである。構造式の記号「*」はキラル炭素中心の存在を示す。「R」及び「S」は1個以上のキラル炭素原子の周囲にある置換基の立体配置を示す。従って、「R*」及び「S*」は1個以上のキラル炭素原子の周囲にある置換基の相対立体配置を示す。
【0091】
「ラセミ」又は「ラセミ混合物」は、2つのエナンチオマーが等モル量存在する化合物種を意味し、このような混合物は光学活性を示さない、即ち、偏光面を回転させない。
【0092】
「幾何異性体」は、炭素−炭素二重結合、シクロアルキル環、又は架橋二環式系に対して置換基原子の配向が異なる異性体を意味する。炭素−炭素二重結合のそれぞれの端にある原子(H以外)により、E配置(各置換基が炭素−炭素二重結合を挟んで反対側にある)又はZ配置(各置換基が同じ側に配向している)をとることができる。
【0093】
「R」、「S」、「S*」、「R*」、「E」、「Z」、「cis」及び「trans」は、核となる分子に対する立体配置を示す。
【0094】
本発明の化合物を異性体特異的合成により個々の異性体として調製してもよいし、あるいは異性体混合物から分割してもよい。従来の分割技術には、光学活性な酸を用いて、異性体対の各異性体で遊離塩基の塩を形成すること(その後分別結晶及び遊離塩基の再生が続く)、光学活性なアミンを用いて、異性体対の各異性体で酸形態の塩を形成すること(その後分別結晶及び遊離塩基の再生が続く)、光学的に純粋な酸、アミン若しくはアルコールを用いて、異性体対の各異性体でエステル又はアミドを形成すること(その後クロマトグラフィー分離及びキラル補助剤の除去が続く)、あるいは様々な公知のクロマトグラフィー方法を用いて、出発物質又は最終生成物の異性体混合物を分割することが挙げられる。
【0095】
開示化合物の立体化学が構造式で命名又は表される場合、その命名又は表された立体異性体が他の立体異性体に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、99%又は99.9%(重量)の純度を示す。単一のエナンチオマーが構造式で命名又は表される場合、その命名又は表されたエナンチオマーは、少なくとも60%、70%、80%、90%、99%又は99.9%(重量)の光学純度を示す。光学純度の重量パーセントは、エナンチオマーの重量とその光学異性体の重量の合計に対するエナンチオマーの重量比である。
【0096】
開示化合物が、立体化学を明記しないで構造式で命名又は表され、さらにその化合物が少なくとも1個のキラル中心を有する場合、その命名又は構造には、対応する光学異性体を含まない一方のエナンチオマー化合物、化合物のラセミ混合物及び一方のエナンチオマーが対応する光学異性体より多く含まれる混合物が包含されることを理解されたい。
【0097】
開示化合物が、立体化学を明記しないで構造式で命名又は表され、さらにその化合物が少なくとも2個のキラル中心を有する場合、その命名又は構造には、他のジアステレオマーを含まないジアステレオマー、他のジアステレオマー対を含まないジアステレオマー対、ジアステレオマー混合物、ジアステレオマー対の混合物、1つのジアステレオマーが他のジアステレオマー(1つ又は複数)より多く含まれるジアステレオマー混合物及び1つのジアステレオマー対が他のジアステレオマー対(1つ又は複数)より多く含まれるジアステレオマー対の混合物が包含されることを理解されたい。
【0098】
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態であってもよい。医薬で使用するために、本発明の化合物の塩は、非毒性の「薬学的に許容し得る塩」を指す。薬学的に許容し得る塩の形態には薬学的に許容し得る酸性/アニオン性塩又は塩基性/カチオン性塩が含まれる。
【0099】
薬学的に許容し得る塩基性/カチオン性塩には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ジエタノールアミン塩、n−メチル−D−グルカミン塩、L−リシン塩、L−アルギニン塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、ピペラジン塩及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0100】
薬学的に許容し得る酸性/アニオン性塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物塩、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩及びトリエチルヨウ化物塩(triethiodide salt)が挙げられる。
【0101】
合成方法の概要
式Iで示される化合物はいくつかのプロセスで調製することができる。以下の考察では、A、Cy、Cy、E、R、R、R、Y及びnは、特に明記しない限り上述の意味を示す。以下に記載の式Iで示される合成中間体及び最終生成物が、所望の反応に干渉する可能性のある潜在的な反応性官能基、例えば、アミノ、ヒドロキシル、チオール及びカルボン酸基を含有する場合、その中間体を保護した形態で用いることが有利となる。保護基の選択、導入、その後の除去については、当該技術分野で公知である(例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts 「Protective Groups in Organic Synthesis」 John Wiley & Sons, Inc., New York 1999 参照)。このような保護基の操作は以下の考察で決めるが明確に記載してはいない。一般的に反応スキームの試薬は当モル量で使用するが、反応を完了させるために1つの試薬を過剰量使用することが有効な場合もある。これは、特に、過剰量の試薬を濃縮や抽出で容易に除去することができる場合である。
【0102】
式Iで示される化合物は、式IIで示されるケトカルバマート(式中、Rはメチル、t−ブチル又はベンジルなどのアルキル又はアリールアルキルである)を式IIIで示される有機金属試薬(式中、MにはMgCl、MgBr、MgI又はLiが挙げられるがこれらに限定されない)と反応させることにより調製することができる:
【0103】
【化13】
【0104】
具体例には、有機金属試薬IIIはアリルマグネシウムブロミド、アリル亜鉛ブロミド、(2−メチルアリル)マグネシウムクロリド又は(2−メトキシ−2−オキソエチル)亜鉛ブロミドである。MがMgCl、MgBr又はMgIである場合に、反応混合物にCeClを加えることが有利となる可能性がある。R及びR−Eの立場は反対であってもよい、即ち、Rが化合物IIの一部であり、R−Eが有機金属化合物IIIから導入されてもよい。中間体II及びIIIの接近のし易さに依存して、前者又は後者を優先して反応を進めることができる(以下に中間体IIの可能な合成のみを説明するが、R−Eの代わりにRを含む対応する中間体IIの合成についても同様に行うことができる)。
【0105】
式IIで示されるケトカルバマートは、式IVで示されるアミノケトンと式Vで示される中間体(式中、Rは塩素、スクシニルオキシ、イミダゾリル又はt−ブトキシカルボキシなどの脱離基である)を反応させることにより調製することができる:
【0106】
【化14】
【0107】
式IVで示されるアミノケトン(式中、nは0が好ましいが、必ずしもその必要はない)は、式VIで示されるα,β−不飽和ケトンと式VIIで示されるアミンを反応させることにより調製することができる:
【0108】
【化15】
【0109】
あるいは、式IVで示されるアミノケトンは、式VIIIで示されるケトン(式中、LGは塩素、臭素、ヨウ素、アルキルオキシ、ジアルキルアミノなどの脱離基であり、アルキルは好ましくはメチルを示す)と式VIIで示されるアミンを反応させることにより調製することができる:
【0110】
【化16】
【0111】
式VIIIで示されるケトンは、式VIで示されるα,β−不飽和ケトンへのHCl、HBr、HI、HOアルキル及びHN(アルキル)などの対応するLG−Hの形式的付加により調製することができる。中間体VIIIを調製する別の方法は有機化学の文献及び当業者に公知である。
【0112】
あるいは、式Iで示される化合物は、式Iで示される化合物に関して記載された同じ合成経路で得られる一般式I’で示される化合物とCy−Mから調製することができる。式中、LGはヨウ素、臭素、塩素及びトリフルオロメチルスルホニルオキシなどの脱離基であり、MはMgCl、MgBr、MgI、B(OH)、BFK、B(OCHCHO)、ZnCl、ZnBr、ZnI、SnMe又はSnBuなどの残基を含有する金属又は擬金属である。
【0113】
【化17】
【0114】
この変換は好ましくは、鈴木−宮浦カップリング反応、例えば、2007年7月26日出願の米国仮特許出願第60/962,058号の実施例111に記載のようにホウ素置換Cyを用いて実施する。この出願の全ての教示は参照することにより本明細書に組み込まれる。2つのカップリングパートナーの反応性パターンは反対であってもよい、即ち、Cyがホウ素(あるいは他の金属又は擬金属)残基を有する求核成分であり、Cyがハロゲン又は擬ハロゲン基を有する求電子パートナーであってもよく、同じ条件下、式Iで示されるカップリング生成物を生成する。あるいは、脱離基を有するCyを、遷移金属、好ましくはパラジウムを用いた触媒カップリング反応によりCy−M(式中、MはHを示す)と結合させることができる。このタイプの反応は、例えば、ChemSusChem 2008, 1, 404-407、Eur. J. Inorg. Chem. 2008, 2550-59、J. Am.Chem. Soc. 2008, 130, 15185-92及びその引用文献に詳述されているように、特にヘテロ芳香族Cy−Hに適している。
【0115】
また、式Iで示される化合物は塩基存在下、式IXで示されるハロ化合物(式中、Halは塩素又は臭素である)とイソシアネートを反応させることにより調製することができる:
【0116】
【化18】
【0117】
式IXで示されるハロ化合物は、式IXで示されるβ−ハロケトンと式IIIで示される有機金属試薬(式中、MはMgCl、MgBr、MgI又はLiなどの残基を含有する金属である)を反応させることにより調製することができる。この反応は場合により無水三塩化セリウムの存在下で実施する:
【0118】
【化19】
【0119】
これらの反応の具体的な条件は、2008年7月25日出願の米国仮出願第61/137,013号(Attorney Docket No. 4370.1001-000)の、1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β−HSD1)の阻害剤の合成に記載にされており、この出願の全ての教示は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0120】
中間体I
3−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミノ]−1−フェニル−プロパン−1−オン
【化20】

NEt(60mL)、続いて(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミン(20.5g)を3−クロロ−1−フェニル−プロパン−1−オン(23.2g)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液に添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。次に溶液を濃縮し、水(100mL)を残渣に添加して、得られた混合物をtert−ブチルメチルエーテルで抽出した。集めた有機抽出物を水及び食塩水で洗浄して乾燥させた(MgSO)。表記化合物を溶媒を除去して得た。
収量:38.0g(定量的);質量スペクトル(ESI):m/z=288/290(Cl)[M+H]
【0121】
下記の化合物を中間体Iと同様にして得た:
(1)3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチルアミノ]−1−フェニル−プロパン−1−オン
【化21】

質量スペクトル(ESI):m/z=332/334(Br)[M+H]
【0122】
中間体II
[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−(3−オキソ−3−フェニル−プロピル)カルバミン酸メチルエステル
【化22】

ジクロロメタン(100mL)に溶解させたクロロギ酸メチル(15.5mL)を、ジクロロメタン(100mL)及び水(100mL)の混合物中、溶液の温度が20〜26℃に維持されるような速度で、3−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミノ]−1−フェニル−プロパン−1−オン(38.0g)及びNaCO(23.5g)の混合物に添加した。添加が終了した後、溶液を周囲温度でさらに30分間撹拌した。次に、有機相を分離し、水相をジクロロメタンで一回抽出した。集めた有機相を食塩水で洗浄して、乾燥させた(MgSO)。次に、シリカゲル(20g)を添加し、得られた混合物を30分間激しく撹拌した。シリカゲルを濾過で分離し、ジクロロメタン(200mL)で洗浄した後、集めた濾液を減圧下で濃縮して油状物を得た。油状物をiPrO(150mL)で処理し、表記化合物を沈殿させた。これを濾過で分離し、石油エーテル(30mL)で洗浄して乾燥した。濾液を濃縮し、残渣を石油エーテル(60mL)に溶かした。撹拌後生じた沈殿物を濾過で分離し、石油エーテル(20mL)で洗浄、乾燥した後、以前に得た沈殿物と合わせた。
収量:38.2g(理論値の82%);質量スペクトル(ESI):m/z=346/348(Cl)[M+H]
【0123】
下記の化合物を中間体IIと同様にして得た:
(1)[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(3−オキソ−3−フェニル−プロピル)カルバミン酸メチルエステル
【化23】

質量スペクトル(ESI):m/z=390/392(Br)[M+H]
【0124】
中間体III
5−{[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メトキシカルボニル−アミノ}−3−ヒドロキシ−3−フェニル−ペンタン酸メチルエステル(2つのジアステレオマー混合物)
【化24】

EtZn(1Mヘキサン溶液、55mL)を、アルゴン雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(30mL)に溶解させた、[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−(3−オキソ−3−フェニル−プロピル)カルバミン酸メチルエステル(3.80g)に滴下し、0℃に冷却した。次に、(PhP)RhCl(0.50g)を添加した後、1,2−ジクロロエタン(10mL)に溶解させたブロモ酢酸メチル(1.0mL)を滴下した。得られた溶液を0〜5℃で1時間撹拌し、周囲温度でさらに1.5時間撹拌した。溶液を氷冷半飽和NHCl水溶液(150mL)に注いだ。ジクロロメタンを添加した後、混合物をセライトで濾過し、さらに別のジクロロメタンで抽出した。有機相を分離し、水で洗浄して乾燥させた(MgSO)。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 85:15→70:30)、表記化合物を2つのジアステレオマー混合物として得た。
収量:4.6g(定量的);質量スペクトル(ESI):m/z=420/422(Cl)[M+H]
【0125】
下記の化合物を中間体IIIと同様にして得た:
(1)5−{[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−メトキシカルボニル−アミノ}−3−ヒドロキシ−3−フェニル−ペンタン酸メチルエステル(2つのジアステレオマー混合物)
【化25】

質量スペクトル(ESI):m/z=464/466(Br)[M+H]
【0126】
中間体IV
[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−(3,5−ジヒドロキシ−5−メチル−3−フェニル−へキシル)カルバミン酸メチルエステル(2つのジアステレオマー混合物)
【化26】

テトラヒドロフラン(3mL)で希釈したMeLi(1.6MEtO溶液、5.1mL)を、アルゴン雰囲気下、−75℃に冷却した5−{[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メトキシカルボニル−アミノ}−3−ヒドロキシ−3−フェニル−ペンタン酸メチルエステル(中間体IIIでの生成物、1.10g)のテトラヒドロフラン(8mL)溶液に添加した。溶液を約−70℃で2.5時間撹拌した後、半飽和NHCl水溶液(150mL)に注いだ。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、集めた抽出物を食塩水で洗浄して乾燥させた(MgSO)。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 85:15→70:30)、表記化合物を2つのジアステレオマー混合物として得た。
収量:0.62g(理論値の56%);質量スペクトル(ESI):m/z=420/422(Cl)[M+H]
また、反応は上述するようにして、MeLiの代わりにMeMgClを用いて実施してもよい。
【0127】
下記の化合物を中間体IVと同様にして得た:
(1)[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(3,5−ジヒドロキシ−5−メチル−3−フェニル−へキシル)カルバミン酸メチルエステル(2つのジアステレオマー混合物)
【化27】

質量スペクトル(ESI):m/z=464/466(Br)[M+H]
【0128】
中間体V
3−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン及び3−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−(R)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化28】

NaH(60%鉱油、0.15g)を、アルゴン雰囲気下、[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−(3,5−ジヒドロキシ−5−メチル−3−フェニル−へキシル)カルバミン酸メチルエステル(中間体IVでの生成物、0.60g)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に添加した。得られた混合物を還流温度で2.5時間撹拌した。次に、NHCl水溶液を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させて(MgSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 60:40→0:100)、2つの表記化合物を分離した。
3−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン:収量:40mg(理論値の7%);質量スペクトル(ESI):m/z=388/390(Cl)[M+H] 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 0.80 (s, 3H), 1.18 (s, 3H), 1.41 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 2.01 (s, 2H), 2.08 (td, J = 11.5, 5.4 Hz, 1H), 2.37-2.51 (m, 2H), 2.95-3.02 (m, 1H), 4.23 (s, 1H), 5.38 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.14 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.27-7.39 (m, 5 H)
3−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−(R)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン:収量:93mg(理論値の17%);質量スペクトル(ESI):m/z=388/390(Cl)[M+H] 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 0.81 (s, 3H), 1.16 (s, 3H), 1.18 (d, J = 7.3 Hz, 3H), 2.03 (s, 2H), 2.31-2.41 (m, 2H), 2.51-2.59 (m, 1H), 2.64-2.71 (m, 1H), 4.20 (s, 1H), 5.31 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.28-7.35 (m, 3H), 7.37-7.43 (m, 4 H)
【0129】
下記の化合物を中間体Vと同様にして得た:
(1)3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化29】

化合物を[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(3,5−ジヒドロキシ−5−メチル−3−フェニル−へキシル)カルバミン酸メチルエステル(2つのジアステレオマー混合物)から、3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(R)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オンとの混合物で得て、上述するようにしてクロマトグラフィーで純粋なジアステレオマーに分割した。
【0130】
中間体VI
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−{(S)−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−エチル}−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化30】

撹拌子、3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(4.00g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(3.05g)、1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン(0.25g)、KOAc(3.18g)及びジメチルスルホキシド(30mL)を入れたフラスコをアルゴンで15分間スパージした。次に、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(0.38g)を添加し、得られた混合物を90℃に加熱してこの温度で一晩撹拌した。周囲温度に冷ました後、酢酸エチル(150mL)を添加し、混合物を水(3×50mL)及び食塩水(50mL)で洗浄して乾燥させた(MgSO)。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 33:66→0:100)、表記化合物を無色の固体として得た。
収量:3.50mg(理論値の79%);質量スペクトル(ESI):m/z=480[M+H]
【0131】
中間体VII
4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}安息香酸メチルエステル
【化31】

NEt(0.47mL)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(0.15g)を、3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(1.04g)のMeCN(2.5mL)、MeOH(20mL)及びジメチルホルムアミド(5mL)溶液に添加した。得られた混合物をアルゴンで5分間スパージした後、CO(5.5bar)を充填した圧力表示容器に移した。混合物を70℃に加熱し、この温度で18時間撹拌して、別の[1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(0.15g)を添加した。70℃でさらに4時間撹拌した後、混合物を周囲温度に冷まし、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、得られた混合物を水及び食塩水で洗浄して乾燥させた(MgSO)。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 40:60→0:100)、表記化合物を油状物として得た。
収量:0.73g(理論値の55%);質量スペクトル(ESI):m/z=456[M+HCOO]
【0132】
中間体VIII
4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}安息香酸
【化32】

1MのNaOH水溶液(5mL)を4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}安息香酸メチルエステル(0.73g)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。次に、溶液を濃縮し、残渣を水に溶かして濾過した。水性の濾液を1M塩酸で酸性にし、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた抽出物を食塩水で洗浄して乾燥させた(MgSO)。溶媒を除去して、表記化合物を泡様固体として得た。
収量:0.38g(理論値の72%);質量スペクトル(ESI):m/z=398[M+H]
【0133】
中間体IX
4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}安息香酸ヒドラジド
【化33】

TBTU[2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート](0.33g)を、ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解させた4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}安息香酸(0.37g)及びEtNiPr(0.41mL)に添加した。溶液を室温で10分間撹拌した後、ヒドラジン水和物(0.23mL)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌した後、水で希釈した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、集めた抽出物を食塩水で洗浄して乾燥させた(MgSO)。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 98:2→90:10)、表記化合物を無色の泡様固体として得た。
収量:0.19g(理論値の50%);質量スペクトル(ESI):m/z=410[M−H]
【0134】
中間体X
(S)−6−(2−メチル−アリル)−3−{(S)−1−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化34】

4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}安息香酸ヒドラジド(90mg)、トルエン−4−スルホン酸一水和物(10mg)及び1,1,1−トリメトキシ−エタン(1mL)の混合物を室温で1時間撹拌し、80℃で2時間撹拌した後、そして最後に還流温度で1.5時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、酢酸エチルを添加し、そして得られた混合物をNaHCO水溶液及び食塩水で洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 99:1→95:5)、表記化合物を二重結合異性体(S)−6−(2−メチル−アリル)−3−{(S)−1−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オンとの混合物(約64:36)で無色の樹脂様固体として得た。
収量:55mg(理論値の60%);質量スペクトル(ESI):m/z=418[M+H]
【0135】
中間体XI
4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}ベンゾニトリル
【化35】

テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.20g)を、アルゴン雰囲気下、シアン化銅(I)(0.87g)及び3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(4.00g)のジメチルホルムアミド(20mL)混合物に添加した。得られた混合物を還流温度に加熱し、この温度で9時間撹拌して、別のシアン化銅(I)(0.20g)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.10g)を添加した。混合物を還流温度でさらに一晩撹拌し、その後室温に冷却した。水及び酢酸エチルを添加し、得られた混合物をセライトで濾過した。濾液の有機部分を分離し、NaHCO水溶液及び食塩水で洗浄して乾燥させた(NaSO)。溶媒を濃縮した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 30:70→0:100)、表記化合物を固体として得た。
収量:2.18g(理論値の62%);質量スペクトル(ESI):m/z=379[M+H]
【0136】
中間体XII
N−ヒドロキシ−4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}ベンズアミジン
【化36】

4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}ベンゾニトリル(0.50g)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.18g)、NEt(0.43mL)及びメタノール(10mL)の混合物を還流温度で5時間撹拌した。室温に冷却した後、溶媒を蒸発させて、混合物を濃縮し、酢酸エチルを残渣に添加して、得られた混合物を水及び食塩水で洗浄した。有機溶液を乾燥(NaSO)、濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 98:2→93:7)、表記化合物を泡様固体として得た。
収量:0.28g(理論値の52%);質量スペクトル(ESI):m/z=412[M+H]
【0137】
実施例1
(S)−6−イソブチル−3−{1−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化37】

(S)−6−(2−メチル−アリル)−3−{(S)−1−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(48mg;中間体Xでの異性体混合物)及びパラジウム担持炭素(10mg)のテトラヒドロフラン(10mL)混合物を、水素雰囲気下(50psi)、室温で6時間振とうした。次に、混合物を濾過して濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 99:1→95:5)、表記化合物を無色の樹脂様固体として得た。
収量:11mg(理論値の23%);質量スペクトル(ESI):m/z=420[M+H]
【0138】
実施例2及び実施例3
3−{(S)−1−[4−(4,5−ジメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−エチル}−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(実施例2)及び
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−{(S)−1−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(実施例3)
【化38】

2,6−ルチジン(88μL)、その後オキサリルクロリド(32μL)を氷浴で冷却したN−メチル−アセトアミド(28mg)のジクロロメタン(3mL)溶液に添加した。溶液を15分間撹拌した後、4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}安息香酸ヒドラジド(154mg)を添加して、氷浴を取り除いた。溶液を1時間撹拌し、次に、飽和NaHCO水溶液を添加して中和した。得られた混合物をジクロロメタンで2回抽出し、集めた抽出物を乾燥させて(MgSO)、濃縮した。残渣を酢酸(1mL)に溶かし、120℃で2.5時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 98:2→95:5)、純粋な実施例3及び実施例2を含有する混合物を得た。実施例2は2回目のシリカゲルクロマトグラフィーで分離した(CHCl/MeOH 92:8)。
実施例2:収量:21mg(理論値の12%);質量スペクトル(ESI):m/z=449[M+H]
実施例3:収量:25mg(理論値の15%);質量スペクトル(ESI):m/z=436[M+H]
【0139】
実施例5
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−[(S)−1−(4−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−エチル]−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化39】

オルトギ酸トリエチル(2.5mL)に溶かした4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}安息香酸ヒドラジド(300mg)を90℃で3時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、混合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 99:1→97:3)、表記化合物を得た。
収量:60mg(理論値の20%);質量スペクトル(ESI):m/z=422[M+H]
【0140】
実施例6
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−{(S)−1−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化40】

1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(74mg)、トリエチルアミン(0.11mL)、N−ヒドロキシ−4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}ベンズアミジン(150mg)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(140mg)を、この順序で酢酸(21μL)及びジメチルホルムアミド(3mL)の溶液に室温で添加した。得られた混合物を70℃で1時間撹拌して、室温で一晩撹拌した。酢酸エチルを添加し、得られた混合物を水及び食塩水で洗浄して乾燥させた(NaSO)。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 98:2→94:6)、中間体を得て、これをエタノール(2mL)に溶かし、120℃で30分間マイクロ波照射しながら撹拌した。室温に冷却した後、溶媒を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 97:3)、表記化合物を得た。
収量:42mg(理論値の26%);質量スペクトル(ESI):m/z=436[M+H]
【0141】
実施例7及び実施例8
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−[(S)−1−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−エチル]−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(実施例7)及び4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}ベンズアミド(実施例8)
【化41】

ギ酸−酢酸無水物(70μL)[無水酢酸(0.91mL)及びギ酸(0.37mL)を60℃で1時間撹拌して調製した]を、氷浴で冷却したトリエチルアミン(0.22mL)及びN−ヒドロキシ−4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}ベンズアミジン(200mg)のジクロロメタン(5mL)溶液に添加した。冷却しながら1時間撹拌した後、溶液をジクロロメタンで希釈して水で洗浄した。溶液を乾燥させて(NaSO)、溶媒を濃縮した。残渣をエタノール(2mL)に溶かし、得られた溶液を110℃で15分間マイクロ波照射しながら撹拌した。室温に冷却した後、溶媒を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(CHCl/MeOH 97:3→85:15)、所望の化合物の実施例7及び副生成化合物の実施例8を分離分画として得た。
実施例7:収量:86mg(理論値の42%);質量スペクトル(ESI):m/z=422[M+H]
実施例8:収量:36mg(理論値の19%);質量スペクトル(ESI):m/z=441[M+HCOO]
【0142】
実施例9
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−チアゾール−5−イル−フェニル)−エチル]−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化42】

2MのNaCO水溶液(0.63mL)を、5−ブロモチアゾール(70μL)及び(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)エチル]−1,3−オキサジナン−2−オン(0.30g)のジメチルホルムアミド(3mL)溶液に添加した。得られた混合物をアルゴンで10分間スパージして、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(15mg)を添加した。混合物を90℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、水を添加して、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させて(MgSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 50:50→0:100)、表記化合物を固体として得た。
収量:0.19g(理論値の70%);質量スペクトル(ESI):m/z=437[M+H]
【0143】
下記の化合物を実施例9と同様にして得た:
【0144】
実施例10
3−{(S)−1−[4−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化43】

質量スペクトル(ESI):m/z=476[M+H]
3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン及び3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリルボロン酸をカップリングパートナーとして用いた。
【0145】
実施例11
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−チオフェン−3−イル−フェニル)−エチル]−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化44】

質量スペクトル(ESI):m/z=476[M+H]
3−ブロモ−チオフェンをカップリングパートナーとして用いた。
【0146】
実施例12
8−(4−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}−フェニル)−1,3,9−トリメチル−3,9−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン
【化45】

質量スペクトル(ESI):m/z=546[M+H]
8−ブロモ−1,3,9−トリメチル−3,9−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオンをカップリングパートナーとして用いた。
【0147】
実施例13
3−[(S)−1−(4−フラン−2−イル−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化46】

質量スペクトル(ESI):m/z=420[M+H]
2−ブロモ−フランをカップリングパートナーとして用いた。
【0148】
実施例14
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル−フェニル)−エチル]−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化47】

質量スペクトル(ESI):m/z=438[M+H]
2−ブロモ−[1,3,4]チアジアゾールをカップリングパートナーとして用いた。反応は上述のようにして、100℃で実施した。
【0149】
実施例15
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−チアゾール−2−イル−フェニル)−エチル]−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化48】

質量スペクトル(ESI):m/z=437[M+H]
2−ブロモ−チアゾールをカップリングパートナーとして用いた。
【0150】
実施例16
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−チアゾール−4−イル−フェニル)−エチル]−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化49】

質量スペクトル(ESI):m/z=437[M+H]
4−ブロモ−チアゾールをカップリングパートナーとして用いた。
【0151】
実施例17
3−{(S)−1−[4−(2,4−ジメチル−チアゾール−5−イル)−フェニル]−エチル}−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化50】

質量スペクトル(ESI):m/z=465[M+H]
5−ブロモ−2,4−ジメチル−チアゾールをカップリングパートナーとして用いた。
【0152】
実施例18
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−{(S)−1−[4−(5−メチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化51】

質量スペクトル(ESI):m/z=496[M+HCOO]
2−ブロモ−5−メチル−[1,3,4]チアジアゾールをカップリングパートナーとして用いた。
【0153】
実施例19
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−{(S)−1−[4−(1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化52】

質量スペクトル(ESI):m/z=462[M+H]
4−ブロモ−1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾールをカップリングパートナーとして用いた。
【0154】
実施例20
3−[(S)−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化53】

質量スペクトル(ESI):m/z=420[M+H]
3−ブロモ−フランをカップリングパートナーとして用いた。
【0155】
実施例21
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−{(S)−1−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化54】

質量スペクトル(ESI):m/z=434[M+H]
4−ブロモ−1−メチル−1H−ピラゾールをカップリングパートナーとして用いた。
【0156】
実施例22
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−{(S)−1−[(2−メチル−4−チアゾール−5−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化55】

撹拌子、3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(0.30g)、2−メチル−チアゾール(0.15g)、酢酸カリウム(0.15g)、酢酸パラジウム(II)(5mg)及びN,N−ジメチルアセトアミド(5mL)を入れたフラスコをアルゴンで10分間スパージした。次に、混合物を150℃に加熱し、この温度で一晩撹拌した。周囲温度に冷ました後、酢酸エチルを添加し、得られた混合物を水及び食塩水で洗浄した。次に、有機相を乾燥させて(NaSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 80:20→0:100)、表記化合物を得た。
収量:95mg(理論値の28%);質量スペクトル(ESI):m/z=451[M+H]
【0157】
下記の化合物を実施例22と同様にして得た:
【0158】
実施例23
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−[(S)−1−(4−オキサゾール−5−イル−フェニル)−エチル]−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化56】

質量スペクトル(ESI):m/z=421[M+H]
オキサゾールをカップリングパートナーとして用いた。
【0159】
生物学的試験実施例1
試験化合物による11β−HSD1のin vitro阻害を、HTRF(均一時間分解蛍光)技術(cisbio international, France)を用いてヒト肝臓ミクロソームでコルチステロンから生成するコルチゾールを検出し測定した。簡単に述べると、化合物をNADPH(200μM)及びコルチゾン(80nM)を含有するトリスバッファー(20mMトリス、5mMEDTA、pH6.0)中、37℃で1時間インキュベーションした。次に、この反応で生成するコルチゾールを2つのHTRFコンジュゲート、即ち、XL665結合コルチゾール及びユーロピウムクリプテート標識抗コルチゾール抗体を用いる競合免疫測定法で検出する。検出反応に必要なインキュベーション時間は通常2時間であった。コルチゾール量はウェルの時間分解蛍光を計測し決定する(Ex320/75nm;Em615/8.5nm及び665/7.5nm)。次に、2つの発光シグナルの比を算出する(Em665*10000/Em615)。各アッセイでは化合物の代わりに非阻害コルチゾール生成のためのコントロールとして溶剤コントロールを用いたインキュベーション(100%CTL;「高値」)及び完全阻害酵素及びコルチゾールバックグランドのためのコントロールとしてカルベノキソロンを用いたインキュベーション(0%CTL;「低値」)を行った。また、各アッセイでは蛍光データをコルチゾール濃度に変換するためのコルチゾールの検量線を作製した。各化合物の阻害率をカルベノキソロンシグナルに対して決定した。
【0160】
上記のように決定した11β−HSD1阻害活性を表1にまとめる。100%は非阻害を示し、0以下の値は完全阻害を示す。
【0161】
【表1】
【0162】
実施例B1
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−{(S)−1−[4’−(アルコキシ)−ビフェニル−4−イル]−エチル}−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化57】

2MのNaCO水溶液(1.3mL)を(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)エチル]−1,3−オキサジナン−2−オン(0.60g)及び(S)−3−(4−ブロモ−フェノキシ)アルキル(0.40g)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液に添加する。得られた混合物をアルゴンで10分間スパージし、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(0.10g)を添加する。混合物を100℃に加熱し、この温度で4時間撹拌する。次に、別の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(0.08g)を添加し、混合物をさらに100℃で一晩撹拌する。周囲温度に冷ました後、水を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出する。集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し(シクロヘキサン/酢酸エチル 25:75→0:100)、表記化合物を得る。
【0163】
下記の化合物を実施例B1と同様にして得た:
【0164】
実施例B2
(4’−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}−ビフェニル−4−イルオキシ)酢酸メチルエステル
【化58】

質量スペクトル(ESI):m/z=518[M+H]
【0165】
生物学的試験実施例B
試験化合物による11β−HSD1のin vitro阻害を、HTRF(均一時間分解蛍光)技術(cisbio international, France)を用いてヒト肝臓ミクロソームでコルチステロンから生成するコルチゾールを検出し測定した。簡単に述べると、化合物をNADPH(200μM)及びコルチゾン(80nM)を含有するトリスバッファー(20mMトリス、5mMEDTA、pH6.0)中、37℃で1時間インキュベーションした。次に、この反応で生成するコルチゾールを2つのHTRFコンジュゲート、即ちXL665結合コルチゾール及びユーロピウムクリプテート標識抗コルチゾール抗体を用いる競合免疫測定法で検出する。検出反応に必要なインキュベーション時間は通常2時間であった。コルチゾール量はウェルの時間分解蛍光を計測し決定する(Ex320/75nm;Em615/8.5nm及び665/7.5nm)。次に、2つの発光シグナルの比を算出する(Em665*10000/Em615)。各アッセイでは化合物の代わりに非阻害コルチゾール生成のためのコントロールとして溶剤コントロールを用いたインキュベーション(100%CTL;「高値」)及び完全阻害酵素及びコルチゾールバックグランドのためのコントロールとしてカルベノキソロンを用いたインキュベーション(0%CTL;「低値」)を行った。また、各アッセイでは蛍光データをコルチゾール濃度に変換するためのコルチゾールの検量線を作製した。各化合物の阻害率をカルベノキソロンシグナルに対して決定した。
【0166】
上記のように決定した11β−HSD1阻害活性を表1にまとめる。100%は非阻害を示し、0以下の値は完全阻害を示す。
【0167】
【表2】
【0168】
実施例C1
3−[(S)−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化59】

2MのNaCO水溶液(0.70mL)を、3−ブロモ−フラン(75μL)及び(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)エチル]−1,3−オキサジナン−2−オン(0.33g)のジメチルホルムアミド(3mL)溶液に添加した。得られた混合物をアルゴンで10分間スパージし、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(16mg)を添加した。混合物を90℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、水を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 80:20→0:100)、表記化合物を得た。
収量:0.20g(理論値の70%);質量スペクトル(ESI):m/z=420[M+H]
【0169】
下記の化合物を実施例C1と同様にして得た:
【0170】
実施例C2
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−{(S)−1−[4−(5−トリフルオロメチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化60】

質量スペクトル(ESI):m/z=550[M+HCOO]
2−クロロ−5−トリフルオロメチル−[1,3,4]チアジアゾールをカップリングパートナーとして用いた。この反応は上述のようにして、110℃で実施した。
【0171】
実施例C3
(S)−3−{1−[4−(4,5−ジメチル−チアゾール−2−イル)−フェニル]−エチル}−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化61】

撹拌子、3−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(0.32g)、4,5−ジメチル−チアゾール(0.20mL)、酢酸カリウム(0.16g)、酢酸パラジウム(II)(6mg)及びN,N−ジメチルアセトアミド(5mL)を入れたフラスコをアルゴンで10分間スパージした。次に、混合物を150℃に加熱し、この温度で一晩撹拌した。周囲温度に冷ました後、酢酸エチルを添加し、得られた混合物を水及び食塩水で洗浄した。次に、有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 80:20→0:100)、表記化合物を得た。
収量:35mg(理論値の11%);質量スペクトル(ESI):m/z=465[M+H]
【0172】
実施例C4
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−{(S)−1−[4−(テトラヒドロフラン−3−イル)−フェニル]−エチル}−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化62】

3−[(S)−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エチル]−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン(0.12g)、PtO(50mg)及びエタノール(15mL)の混合物を水素雰囲気下(3bar)、室温で4時間振とうした。次に、触媒を濾過で分離して、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 80:20→0:100)、表記化合物を得た。
収量:48mg(理論値の40%);質量スペクトル(ESI):m/z=424[M+H]
【0173】
生物学的試験実施例C
試験化合物による11β−HSD1のin vitro阻害を、HTRF(均一時間分解蛍光)技術(cisbio international, France)を用いてヒト肝臓ミクロソームでコルチステロンから生成するコルチゾールを検出し測定した。簡単に述べると、化合物をNADPH(200μM)及びコルチゾン(80nM)を含有するトリスバッファー(20mMトリス、5mMEDTA、pH6.0)中、37℃で1時間インキュベーションした。次に、この反応で生成するコルチゾールを2つのHTRFコンジュゲート、即ち、XL665結合コルチゾール及びユーロピウムクリプテート標識抗コルチゾール抗体を用いる競合免疫測定法で検出する。検出反応に必要なインキュベーション時間は通常2時間であった。コルチゾール量はウェルの時間分解蛍光を計測し決定する(Ex320/75nm;Em615/8.5nm及び665/7.5nm)。次に、2つの発光シグナルの比を算出する(Em665*10000/Em615)。各アッセイでは化合物の代わりに非阻害コルチゾール生成のためのコントロールとして溶剤コントロールを用いたインキュベーション(100%CTL;「高値」)及び完全阻害酵素及びコルチゾールバックグランドのためのコントロールとしてカルベノキソロンを用いたインキュベーション(0%CTL;「低値」)を行った。また、各アッセイでは蛍光データをコルチゾール濃度に変換するためのコルチゾールの検量線を作製した。各化合物の阻害率をカルベノキソロンシグナルに対して決定した。
【0174】
上記のように決定した11β−HSD1阻害活性を表1にまとめる。100%は非阻害を示し、0以下の値は完全阻害を示す。
【0175】
【表3】
【0176】
下記の化合物を実施例B1と同様にして得た:
【0177】
実施例D3
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−[(S)−1−(4’−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化63】

質量スペクトル(ESI):m/z=508[M+H]
【0178】
実施例D4
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−[(S)−1−(4’−メチルスルファニル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化64】

質量スペクトル(ESI):m/z=476[M+H]
【0179】
実施例D5
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−[(S)−1−(3’−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化65】

質量スペクトル(ESI):m/z=508[M+H]
【0180】
実施例D6
3−{(S)−1−[4’−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ビフェニル−4−イル]−エチル}−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化66】

1MのLiAlHのテトラヒドロフラン(0.15mL)溶液を、アルゴン雰囲気下、−10℃に冷却した(4’−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}−ビフェニル−4−イルオキシ)酢酸メチルエステル(125mg)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液に添加した。得られた混合物を−10℃で2時間撹拌し、室温で1時間撹拌して、別のLiAlH(1Mテトラヒドロフラン溶液、0.04mL)を−10℃で添加した。冷却浴を取り除き、溶液を室温でさらに4時間撹拌した。次に、水を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。残渣を逆相HPLCで精製して(アセトニトリル/水)、表記化合物を得た。
収量:69mg(理論値の58%);質量スペクトル(ESI):m/z=490[M+H]
【0181】
実施例D7
3−{(S)−1−[4’−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−ビフェニル−4−イル]−エチル}−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化67】

MeMgBr(1.4Mトルエン/テトラヒドロフラン溶液、1.1mL)を室温で、(4’−{(S)−1−[(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−3−イル]−エチル}−ビフェニル−4−イルオキシ)酢酸メチルエステル(100mg)のテトラヒドロフラン(1.5mL)溶液に添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、次にNHCl水溶液を添加してクエンチした。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、集めた有機抽出物を濃縮した。残渣をメタノール(2mL)に溶かし、1MのNaOH水溶液(1mL)で45℃、1時間処理して、残留出発物質をけん化した。次に、溶液を濃縮し、残渣を逆相HPLCで精製して(アセトニトリル/水)、表記化合物を得た。
収量:72mg(理論値の52%);質量スペクトル(ESI):m/z=518[M+H]
【0182】
生物学的試験実施例D
試験化合物による11β−HSD1のin vitro阻害をHTRF(均一時間分解蛍光)技術(cisbio international, France)を用いてヒト肝臓ミクロソームでコルチステロンから生成するコルチゾールを検出し測定した。簡単に述べると、化合物をNADPH(200μM)及びコルチゾン(80nM)を含有するトリスバッファー(20mMトリス、5mMEDTA、pH6.0)中、37℃で1時間インキュベーションした。次に、この反応で生成するコルチゾールを2つのHTRFコンジュゲート、即ち、XL665結合コルチゾール及びユーロピウムクリプテート標識抗コルチゾール抗体を用いる競合免疫測定法で検出する。検出反応に必要なインキュベーション時間は通常2時間であった。コルチゾール量はウェルの時間分解蛍光を計測し決定する(Ex320/75nm;Em615/8.5nm及び665/7.5nm)。次に、2つの発光シグナルの比を算出する(Em665*10000/Em615)。各アッセイでは化合物の代わりに非阻害コルチゾール生成のためのコントロールとして溶剤コントロールを用いたインキュベーション(100%CTL;「高値」)及び完全阻害酵素及びコルチゾールバックグランドのためのコントロールとしてカルベノキソロンを用いたインキュベーション(0%CTL;「低値」)を行った。また、各アッセイでは蛍光データをコルチゾール濃度に変換するためのコルチゾールの検量線を作製した。各化合物の阻害率をカルベノキソロンシグナルに対して決定した。
【0183】
上記のように決定した11β−HSD1阻害活性を表1にまとめる。100%は非阻害を示し、0以下の値は完全阻害を示す。
【0184】
【表4】
【0185】
中間体E−I及びE−II
4−ブロモ−1−[(S)−テトラヒドロ−フラン−3−イル]−1H−ピリジン−2−オン及び4−ブロモ−2−[(S)−テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシ]−ピリジン
【化68】

4−ブロモ−1H−ピリジン−2−オン(0.50g)、(R)−トルエン−4−スルホン酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(0.40g)及び炭酸カリウム(0.80g)のジメチルスルホキシド(5mL)混合物を80℃で一晩撹拌した。周囲温度に冷ました後、水を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。残渣を逆相HPLCで精製して(アセトニトリル/水)、表記化合物を分離分画で得た。
4−ブロモ−1−[(S)−テトラヒドロ−フラン−3−イル]−1H−ピリジン−2−オン:収量:0.11g(理論値の16%);質量スペクトル(ESI):m/z=244/246(Br)[M+H]
4−ブロモ−2−[(S)−テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシ]ピリジン:収量:0.36g(理論値の56%);質量スペクトル(ESI):m/z=244/246(Br)[M+H]
【0186】
下記の化合物を上記手順と同様にして得た:
【0187】
中間体E−III
4−ブロモ−1−[(R)−テトラヒドロ−フラン−3−イル]−1H−ピリジン−2−オン
【化69】

質量スペクトル(ESI):m/z=244/246(Br)[M+H]
【0188】
中間体E−IV
4−ブロモ−2−[(R)−テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシ]ピリジン
【化70】

質量スペクトル(ESI):m/z=244/246(Br)[M+H]
【0189】
中間体E−V
4−ブロモ−1−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−1H−ピリジン−2−オン
【化71】

4−ブロモ−1H−ピリジン−2−オン(0.25g)、2,2−ジメチル−オキシラン(0.26mL)及び炭酸カリウム(0.40g)のジメチルホルムアミド(2.5mL)混合物を、120℃で30分間マイクロ波照射しながら撹拌した。周囲温度に冷ました後、混合物を濃縮し、逆相HPLCで精製して(アセトニトリル/水)、表記化合物を得た。
収量:0.34g(理論値の96%);質量スペクトル(ESI):m/z=246/248(Br)[M+H]
【0190】
中間体E−VI及びE−VII
3−(4−ブロモ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル及び2−(4−ブロモ−ピリジン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル
【化72】

4−ブロモ−1H−ピリジン−2−オン(0.50g)、2−ブロモイソ酪酸メチル(0.45mL)及び炭酸カリウム(0.68g)のジメチルホルムアミド(5mL)混合物を60℃で3時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、水を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 70:30→50:50)、表記化合物を分離分画で得た。
3−(4−ブロモ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル:収量:0.53g(理論値の67%);質量スペクトル(ESI):m/z=274/276(Br)[M+H]
2−(4−ブロモ−ピリジン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル:収量:0.15g(理論値の19%);質量スペクトル(ESI):m/z=274/276(Br)[M+H]
【0191】
中間体E−VIII
4−ブロモ−1−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−1H−ピリジン−2−オン
【化73】

LiAlH(1Mテトラヒドロフラン溶液、1.16mL)を、氷浴で冷却した3−(4−ブロモ−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル(0.53g)のテトラヒドロフラン(6mL)溶液に添加した。溶液を冷却しながら2時間撹拌した後、別のLiAlH(1Mテトラヒドロフラン溶液、0.29mL)を添加した。冷却しながらさらに1時間撹拌した後、反応物に水を添加してクエンチした。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、集めた有機抽出物を食塩水で洗浄して、乾燥させた(MgSO)。溶媒を濃縮して、表記化合物を得た。
収量:0.37g(理論値の78%);質量スペクトル(ESI):m/z=246/248(Br)[M+H]
【0192】
中間体E−IX
4−ブロモ−1−(3−メトキシ−2−メチル−プロピル)−1H−ピリジン−2−オン
【化74】

NaH(60%鉱油、57mg)を、氷浴で冷却した4−ブロモ−1−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−1H−ピリジン−2−オン(0.53g)のジメチルホルムアミド(6mL)溶液に添加した。溶液を冷却しながら0.5時間撹拌した後、ヨウ化メチル(110μL)を添加した。冷却浴を取り除き、溶液を室温で一晩撹拌した。次に、溶液を減圧下で濃縮して、残渣を水で希釈した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、集めた有機抽出物を食塩水で洗浄して乾燥させた(MgSO)。溶媒を濃縮し、残渣を逆相HPLCで精製して(アセトニトリル/水)、表記化合物を油状物として得た。
収量:70mg(理論値の30%);質量スペクトル(ESI):m/z=260/262(Br)[M+H]
【0193】
下記の化合物を中間体E−IXと同様にして得た:
【0194】
中間体E−X
4−ブロモ−1−(2−メトキシ−2−メチル−プロピル)−1H−ピリジン−2−オン
【化75】

質量スペクトル(ESI):m/z=260/262(Br)[M+H]
【0195】
中間体E−XI
(4−ブロモ−ピリジン−2−イル)ヒドラジン
【化76】

フラスコに撹拌子、4−ブロモ−2−フルオロ−ピリジン(2.00g)及びヒドラジン水和物(5.5mL)を入れた。得られた混合物を室温で一晩激しく撹拌した。次に、4MのNaOH水溶液(5mL)及び水(10mL)を添加し、混合物をさらに10分間激しく撹拌した。沈殿物を濾過で分離して、水で洗浄した後、50℃で乾燥させた。表記化合物を無色の固体として単離した。
収量:1.57g(理論値の74%)
【0196】
中間体E−XII
7−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【化77】

(4−ブロモ−ピリジン−2−イル)ヒドラジン(0.50g)のギ酸(0.50mL)溶液を還流温度で一晩撹拌する。室温に冷却した後、溶液を減圧下で濃縮した。水を残渣に添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮して表記化合物を得た。
収量:0.52g(理論値の99%);質量スペクトル(ESI):m/z=198/200(Br)[M+H]
【0197】
下記の化合物を中間体XIIと同様にして得た:
【0198】
中間体E−XIII
7−ブロモ−3−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【化78】

質量スペクトル(ESI):m/z=212/214(Br)[M+H]
酢酸をギ酸の代わりに用いた。
【0199】
実施例E1
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−((S)−1−{4−[2−(アルコキシ)−ピリジン−4−イル]−フェニル}−エチル)−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化79】

2MのNaCO水溶液(1.25mL)を、(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)エチル]−1,3−オキサジナン−2−オン(0.60g)及び4−ブロモ−2−アルコキシ−ピリジン(0.34g)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液に添加する。得られた混合物をアルゴンで10分間スパージし、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(51mg)を添加する。混合物を100℃に加熱し、この温度で4時間撹拌する。周囲温度に冷ました後、溶液をセライトで濾過し、濾液に水を添加して、得られた混合物を酢酸エチルで抽出する。集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して(シクロヘキサン/酢酸エチル 25:75→0:100)、表記化合物を得た。
【0200】
下記の化合物を実施例E1と同様にして得た:
【0201】
実施例E4
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−((S)−1−{4−[1−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−4−イル]−フェニル}−エチル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化80】

質量スペクトル(ESI):m/z=519[M+H]
【0202】
実施例E6
3−{(S)−1−[4−(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−フェニル]−エチル}−(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化81】

質量スペクトル(ESI):m/z=436[M+H]
4−トリフルオロメタンスルホニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピランをカップリングパートナーとして用いた。
【0203】
実施例E7
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−((S)−1−{4−[1−(3−メトキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−4−イル]−フェニル}−エチル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化82】

質量スペクトル(ESI):m/z=533[M+H]
【0204】
実施例E8
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−{(S)−1−[4−(3−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−7−イル)−フェニル]−エチル}−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化83】

質量スペクトル(ESI):m/z=485[M+H]
【0205】
実施例E9
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−6−フェニル−3−[(S)−1−(4−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−7−イル−フェニル)−エチル]−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化84】

質量スペクトル(ESI):m/z=471[M+H]
【0206】
実施例E10
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−((S)−1−{4−[1−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−4−イル]−フェニル}−エチル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化85】

質量スペクトル(ESI):m/z=519[M+H]
【0207】
実施例E11
(S)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−3−(1−{4−[1−(2−メトキシ−2−メチル−プロピル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−4−イル]−フェニル}−エチル)−6−フェニル−[1,3]オキサジナン−2−オン
【化86】

質量スペクトル(ESI):m/z=533[M+H]
【0208】
生物学的試験実施例E
試験化合物による11β−HSD1のin vitro阻害を、HTRF(均一時間分解蛍光)技術(cisbio international, France)を用いてヒト肝臓ミクロソームでコルチステロンから生成するコルチゾールを検出し測定した。簡単に述べると、化合物をNADPH(200μM)及びコルチゾン(80nM)を含有するトリスバッファー(20mMトリス、5mMEDTA、pH6.0)中、37℃で1時間インキュベーションした。次に、この反応で生成するコルチゾールを2つのHTRFコンジュゲート、即ち、XL665結合コルチゾール及びユーロピウムクリプテート標識抗コルチゾール抗体を用いる競合免疫測定法で検出する。検出反応に必要なインキュベーション時間は通常2時間であった。コルチゾール量はウェルの時間分解蛍光を計測し決定する(Ex320/75nm;Em615/8.5nm及び665/7.5nm)。次に、2つの発光シグナルの比を算出する(Em665*10000/Em615)。各アッセイでは化合物の代わりに非阻害コルチゾール生成のためのコントロールとして溶剤コントロールを用いたインキュベーション(100%CTL;「高値」)及び完全阻害酵素及びコルチゾールバックグランドのためのコントロールとしてカルベノキソロンを用いたインキュベーション(0%CTL;「低値」)を行った。また、各アッセイでは蛍光データをコルチゾール濃度に変換するためのコルチゾールの検量線を作製した。各化合物の阻害率をカルベノキソロンシグナルに対して決定した。
【0209】
上記のように決定した11β−HSD1阻害活性を表1にまとめる。100%は非阻害を示し、0以下の値は完全阻害を示す。
【0210】
【表5】
【0211】
本発明の化合物は、コルチゾールレベルを減少させることが疾患状態の処置に有効である障害若しくは疾患の改善又は処置に有用である。従って、本発明の化合物は、糖尿病(例えば、II型糖尿病)、肥満、代謝症候群の症状、耐糖能異常、高血糖、高血圧、高脂血症、インスリン耐性、心血管疾患、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、リポジストロフィ、骨粗しょう症、緑内障、クッシング症候群、アジソン病、グルココルチコイド治療に伴う内臓脂肪肥満、鬱病、不安症、アルツハイマー病、認知症、認知低下(加齢関連認知低下も含む)、多嚢胞性卵巣症候群、不妊症及び性腺機能亢進症の治療又は予防に使用することができる。本発明の化合物は、アルコール性肝臓疾患を伴う偽クッシング症候群の治療薬として使用することができる。さらに、前記化合物は免疫系のB細胞及びT細胞の機能を調節するため、結核、ハンセン病及び乾癬などの疾患の処置に使用することができる。これらは、また、特に糖尿病患者での創傷治癒の促進に使用することができる。
【0212】
11β−HSD1活性に関連するさらなる疾患又は障害には、脂質疾患、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、血管再狭窄、膵臓炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎症、神経障害、糖尿病、冠動脈性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、クッシング症候群、高インスリン血症、ウイルス性疾患及びX症候群からなる群より選択される疾患又は障害が挙げられる。さらに、11β−HSD1活性に関連した疾患には、アルコール性肝臓疾患を伴う偽クッシング症候群がある。
【0213】
本発明の医薬組成物は、本発明の11β−HSD1阻害剤の代わりに又は追加して、本発明の11β−HSD1阻害剤の薬学的に許容し得る塩及びそのための一つ以上の薬学的に許容し得る担体を含むことができる。あるいは、本発明の医薬組成物は、その医薬組成物に唯一の薬学的に活性な薬剤として本発明の11β−HSD1阻害剤の化合物又はその薬学的塩を含むことができる。開示の11β−HSD1阻害剤は、糖尿病、脂質異常症、心血管疾患、高血圧、肥満、癌又は緑内障の処置に、単独で又は一つ以上の追加薬剤との併用療法で使用することができる。
【0214】
本発明の組成物は、11β−HSD1阻害剤である。前記組成物は、11β−HSD1に対して約1,000nM以下、好ましくは約100nM以下、より好ましくは約50nM以下、さらにより好ましくは約5nM以下、最も好ましくは約1nM以下の平均阻害定数(IC50)を示す化合物を含有する。
【0215】
本発明は、それを必要とする対象において、11β−HSD1が関与する障害を処置又は改善するための治療方法を含み、前記方法は、それを必要とする対象に有効量の本発明の11β−HSD1阻害剤又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、薬学的に許容し得る塩若しくはその組成物を投与することを含む。本明細書で使用する「処置する」又は「処置」は、治療又は予防的処置の両方を含む。治療的処置には、疾患又は病態に関連する症状を緩和すること及び/又は疾患又は病態を示す対象の延命を行うことが含まれる。予防的処置には、疾患又は病態を発症するリスクのある対象において疾患又は病態の発症を遅らせること又は疾患又は病態を発症するリスクのある対象において、対象が今後疾患又は病態を発症する可能性を低下させることが含まれる。
【0216】
本発明の実施態様は、糖尿病、脂質異常症、心血管疾患、高血圧、肥満、癌又は緑内障の処置のために、本発明の11β−HSD1阻害化合物又はその組成物を一つ以上の追加薬剤との併用療法で投与することを含む。糖尿病の処置ための薬剤には、インスリン、例えば、ヒューマリン(登録商標)(Eli Lilly)、ランタス(登録商標)(Sanofi Aventis)、ノボリン(Novo Nordisk)及びエクスベラ(登録商標)(Pfizer);PPARγアゴニスト、例えば、アバンディア(登録商標)(ロシグリタゾンマレイン酸塩、GSK)及びアクトス(登録商標)(ピオグリタゾン塩酸塩、Takeda/Eli Lilly);スルホニルウレア、例えば、アマリール(登録商標)(グリメピリド、Sanofi Aventis)、ディアベタ(登録商標)(グリブリド、Sanofi Aventis)、ミクロナーゼ(登録商標)/グリナーゼ(登録商標)(グリブリド、Pfizer)及びグルコトロール(登録商標)/グルコトロールXL(登録商標)(グリピジド、Pfizer);メグリチニド、例えば、プランジン(登録商標)/ノボノーム(登録商標)(レパグリニド、Novo Nordisk)、スターリックス(登録商標)(ナテグリニド、Novartis)及びグルファスト(登録商標)(ミチグリニド、Takeda);ビグアニド、例えば、グルコファーゼ(登録商標)/グルコファーゼXR(登録商標)(メトホルミンHCl、Bristol Myers Squibb)及びグルメツア(メトホルミンHCl、Depomed);チアゾリジンジオン;アミリンアナログ、GLP−1アナログ;DPP−IV阻害剤;PTB−1B阻害剤;プロテインキナーゼ阻害剤(AMP活性化プロテインキナーゼ阻害剤を含む);グルカゴンアンタゴニスト、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3β阻害剤;グルコース−6−ホスフアターゼ阻害剤;グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤;ナトリウム−グルコース共輸送体阻害剤及びα−グルコシダーゼ阻害剤、例えば、プレコース(登録商標)/グルコバイ(登録商標)/プランダーゼ(登録商標)/グルコール(登録商標)(アカルボーズ、Bayer)及びグリセット(登録商標)(ミグリトール、Pfizer)が挙げられる。脂質異常症及び心血管疾患の処置ための薬剤には、スタチン、フィブラート及びエゼチミブが挙げられる。高血圧の処置ための薬剤には、α−遮断薬、β−遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ACE及び中性エンドペプチダーゼ(NEP)の二重阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アルドステロンシンターゼ阻害剤、アルドステロン受容体アンタゴニスト又はエンドセリン受容体アンタゴニストが挙げられる。肥満の処置ための薬剤には、オルリスタット、フェンテルミン、シブトラミン及びリモナバントが挙げられる。
【0217】
本発明の実施態様は、本発明の11β−HSD1阻害化合物又はその組成物を一つ以上の他の11β−HSD1阻害剤との併用療法で、あるいはアバンダメット(登録商標)(メトホルミンHCl及びロシグリタゾンマレイン酸塩、GSK);アバンダリル(登録商標)(グリメピリド及びロシグリタゾンマレイン酸塩、GSK);メタグリップ(登録商標)(グリピジド及びメトホルミンHCl、Bristol Myers Squibb);及びグルコバンス(登録商標)(グリブリド及びメトホルミンHCl、Bristol Myers Squibb)などの併用製品と共に投与することを含む。
【0218】
本発明の化合物は、種々の経口及び非経口投与剤形で調製及び投与することができる。従って、本発明の化合物は注射、即ち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内又は腹腔内投与することができる。さらに、本発明の化合物は鼻腔内又は経皮投与することができる。下記の投与剤形には活性成分として、本発明の化合物又は本発明の化合物の対応する薬学的に許容し得る塩を含むことができることは当業者には明らかであろう。
【0219】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容し得る担体は固体又は液体であってもよい。固体製剤には粉剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤又は封入材料としても作用することができる一つ以上の物質とすることができる。
【0220】
粉剤では、担体は微粉化活性成分との混合物である微粉化固体である。錠剤では、活性成分を必要な結合特性を有する担体と適切な比率で混合し、所望の形状及びサイズに圧縮する。
【0221】
粉剤及び錠剤は、好ましくは約1〜約70%の活性成分を含有する。適切な担体は炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、ココアバターなどである。錠剤、粉剤、カシェ剤、トローチ剤、速溶解性のストリップ(fast-melt strips)、カプセル剤及び丸剤は、経口投与に適した活性成分を含有する固体投与剤形で使用することができる。
【0222】
坐剤を調製するために、脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ロウ又はココアバターを最初に溶融し、活性成分を撹拌しながら均一に分散させる。次に、溶融した均一混合物を適当なサイズの鋳型に注ぎ、冷却して固化させる。
【0223】
液体製剤には液剤、懸濁剤、停留かん腸剤及び乳剤、例えば、水又はプロピレングリコール水溶液が挙げられる。非経口注射のために、液体製剤はポリエチレングリコール水溶液に液体の形態で製剤化することができる。
【0224】
経口投与に適する水性液剤は、活性成分を水に溶解させて、必要であれば適切な着色剤、香味剤、安定剤及び増粘剤を添加して調製することができる。経口投与のための水性懸濁剤は、微粉化活性成分を、粘性物質、例えば、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び他の周知の懸濁剤と共に水に分散させて調製することができる。
【0225】
医薬組成物は好ましくは単回投与剤形である。そのような形態では、組成物は適切な量の活性成分を含有する単回容量に分割する。単回投与剤形は包装製剤とすることができ、その包装にはバイアル又はアンプル中、分割量の、例えば、錠剤、粉剤及びカプセル剤を含むものが挙げられる。また、単回投与剤形は錠剤、カシェ剤、カプセル剤又はトローチ剤それ自体とすることができ、あるいは包装形態にこれらのいずれかを適当量含むようにしてもよい。
【0226】
単回用量製剤の活性成分の量は、約0.1mg〜約1000.0mg、好ましくは約0.1mg〜約100mgで変更又は調整することができる。しかしながら、用量は患者、処置する病気の重症度及び使用する化合物の要件に基づき変更することが可能である。特定の状況における適切な用量の決定は当該技術分野の範囲内である。また、医薬組成物は必要があれば、他の適合可能な治療薬を含有することもできる。
【0227】
治療的処置において、又は11β−HSD1阻害剤若しくは細胞のコルチゾール産生の阻害剤としての使用方法として、活性成分は好ましくは、上記で開示したように、固体投与剤形で経口投与され、その用量が一日に一回以上投与される場合、一日あたり約0.1mg〜約100mgの用量で実施する。
【0228】
本明細書で言及する全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも、各々個別の刊行物、特許又は特許出願が参照により組み込まれたとして具体的及び個別に示される場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書の実施例及び実施態様は、説明の目的にのみ記載していることを理解されたい。そして、本発明は、添付の特許請求の範囲の適切な範囲又は公正な意味から逸脱することなく修正、変更および変化を実施できることは明らかであろう。
【0229】
本発明は特にその実施態様を参照して示され、そして記載されるが、添付の特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱することなく形態及び詳細の様々な変更が可能であることは当業者には明らかであろう。