(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好適な実施形態を
図1〜
図14を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0013】
図1は、遊技機の代表例であるパチンコ機10の正面図であり、いわゆるカード式パチンコ機と呼ばれるものである。前記パチンコ機10は、遊技店の遊技機設置島に設置固定するための外枠11にヒンジ機構12を上下に設け、内枠40を開閉可能に軸着している。また、内枠40の前面からは遊技盤14の遊技領域を透視するためのガラスを装備したガラス枠15が開閉可能に螺着されている。
【0014】
ガラス枠15の下方には、遊技球を整列流下させながら発射装置に誘導するための上皿16が配設されている。また、上皿16には、CRユニット36を操作するための球貸ボタン17a、返却ボタン17b、カード残金表示部17cを備えた精算表示装置17が設けられている。さらに上皿16の上部には、遊技中の演出時などに用いられる演出ボタン65が設けられている。
【0015】
上皿16の下方には、下皿18が配設されており、前記下皿18には、上皿16からオーバーフローしてきた賞球、あるいは貸球が流出する流出口18aおよび貯留された遊技球を球箱等に排出するための下皿球抜きレバー18bを有している。そして、下皿18の右端部には、発射レバー19を有した発射ハンドル20が装着されており、前記発射レバー19を遊技者が回転操作することで遊技球を遊技盤14の任意の位置に発射することができる。
【0016】
パチンコ機10の左一側にはCRユニット36が縦長状に取付けられている。前記CRユニット36は、カード挿入口37と表示ランプ38とを有し、カード挿入口37にカードを挿入すれば、表示ランプ38が点灯すると共に、上皿16に配設されている清算表示装置17のカード残金表示部17cに残金が表示される。そして、残金が表示されていれば、球貸ボタン17aを押すことにより上皿16にある流出口から所定数の貸球が排出される。また、返却ボタン17bを押すことにより残金を記録済みのカードがカード挿入口37から返却されるようになっている。
【0017】
図2に示す遊技盤14は、周囲をガイドレール21により円形状に外囲され、前記ガイドレール21に囲まれた領域が遊技領域22となる。なお、遊技領域22には、複数の誘導釘がほぼ全域にわたって設けられており、前記誘導釘によって遊技領域22に発射された遊技球を任意の位置に誘導する。遊技領域22の略中央部にはセンター役物23が装着されている。前記センター役物23の中央部には、演出図柄表示装置24が装着されており、演出図柄表示装置24の上部には4個のLEDからなる普通図柄保留数表示装置35aが設置され、下部にはそれぞれ4個のLEDからなる第1保留数表示装置34aおよび第2保留数表示装置34bが設置されている。
【0018】
また、センター役物23の周囲には風車26、普通図柄始動用ゲート27、サイドランプ28、センター役物の下部には第1始動口29と第2始動口30、そしてガイドレール21の最下部にはアウト口25が配設されている。
右側のサイドランプ28の下方には第1特別図柄表示装置33a、第2特別図柄表示装置33b、普通図柄表示装置35が配置されている。
【0019】
第1始動口29は常時入球可能な始動入賞口である。第2始動口30は、普通電動役物13を備え、一対の羽根が開放することで入球可能な始動入賞口である。普通電動役物13が閉鎖状態のときは、第2始動口30へは遊技球が入球しない。しかし、遊技球が普通図柄始動用ゲート27を通過すると普通図柄の当否抽選が行われ、当選すると普通図柄表示装置35に当たりを示す普通図柄の確定表示が行われ、普通電動役物13が開放されて入球しやすくなる。普通図柄の変動中に遊技球が普通図柄始動用ゲート27を通過した場合、普通図柄保留数表示装置35aへ最大で4個の保留が行われる。
【0020】
第1始動口29および第2始動口30に入球すると主制御装置44内(
図3、
図4参照)にある主制御部に搭載されたCPUが当否抽選を行う。当否抽選の結果に基づき、第1特別図柄表示装置33aおよび第2特別図柄表示装置33bへ変動時間や表示形態の指示が送信される。第1特別図柄表示装置33aおよび第2特別図柄表示装置33bは主制御部からの指示に従って図柄が作動し、あらかじめ定められた表示形態を表示する。この第1特別図柄表示装置33aおよび第2特別図柄表示装置33bの変動時間や表示形態に連動して、遊技機に備わっている複数の装置によるさまざまな演出効果を行う。演出図柄表示装置24では、第1特別図柄や第2特別図柄に連動した複数の図柄やキャラクタを表示し、演出効果を高める。同様に各種LED、ランプ62による光の演出、スピーカ32からは演出状況に応じた音を出力することによって演出効果を高める。
【0021】
次に、
図3のパチンコ機10の裏面図を用いて、パチンコ機10の裏面の構成について説明する。
図3に示すように、パチンコ機10の裏面には、内枠40が装着されており、該内枠40には、遊技盤14が着脱自在に装着される。前記内枠40の上部には、賞球あるいは貸球として排出するための遊技球を貯留する球タンク41が設けられ、パチンコ機10が遊技機設置島に設置された状態でその上方から遊技球が球タンク41に供給される。そして、球タンク41の下方には、賞球用樋と貸球用樋が形成され、それらの樋に遊技球を分流しながら流下させるタンクレール43が設けられており、タンクレール43の下流端はカーブ樋を介して払出機構部42内により上皿16に排出することができる。
【0022】
内枠40の略中央部には、遊技制御用のCPU等が搭載された主制御装置44が、基板ケース45に収納された状態で配設されている。また、基板ケース45の下方には、賞球あるいは球貸の排出の制御を行う払出制御装置46が配設されている。前記基板ケース45の左方には、スピーカ32からの音声発生を制御するための音制御基板73、遊技効果を高めるための各種LEDやランプ等の点灯方法を制御するランプ制御基板74が備わっているサブ統合制御装置70が設けられている。また、主制御装置44の上部には、演出図柄制御装置48が設けられている。
【0023】
内枠40の下部右側には、外部から供給される電力から複数の直流電圧を生成する電源回路が搭載された電源基板49が設けられ、電源基板49の左方には、遊技球を発射するための発射装置を制御する発射制御装置50が払出制御装置46と隣接した位置に設けられている。また、内枠40の右上隅部には、遊技に関する各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた外部接続端子板78が設置されている。
【0024】
このパチンコ機10の電気的構成は、
図4のブロック図に示すとおり、主制御装置44を中心にして構成されている。なお、このブロック図には電源回路は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置44、払出制御装置46、演出図柄制御装置48、サブ統合制御装置70のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置50、電源基板49にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置50にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0025】
主制御装置44には、第1始動口29に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ29a、第2始動口30に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ30a、普通図柄始動用ゲート27に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ27a、大入賞口31に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ31a、第1左入賞口52および第2左入賞口53に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ52a、第1右入賞口54および第2右入賞口55に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ54aなどの検出信号が遊技盤中継端子板39を介して入力される。
【0026】
主制御装置44は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置46及びサブ統合制御装置70に出力する。
また主制御装置44は、図柄表示装置中継端子板80を介して接続されている第1特別図柄表示装置33a、第2特別図柄表示装置33b及び普通図柄表示装置35の表示、第1保留記憶表示装置34a、第2保留記憶表示装置34b及び普通図柄保留数表示装置35aの点灯を制御する。
更に、主制御装置44は、遊技盤中継端子板39を介して大入賞口ソレノイド31bを制御することで大入賞口31の開閉を制御し、普電役物ソレノイド13aを制御することで第2始動口30の開閉を制御する。なお、普電役物とは普通電動役物を示す。
主制御装置44からの出力信号は、上記のほかにも試験信号端子や、図柄変動や大当たり等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールコンピュータ79に送られる。
【0027】
主制御装置44と払出制御装置46とは双方向通信が可能である。
払出制御装置46は、主制御装置44から送られてくるコマンドに応じて払出モータ57を稼働させて賞球を払い出させる。また、本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ58の検出信号は払出制御装置46に入力され、払出制御装置46で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置44と払出制御装置46に払出スイッチ58の検出信号が入力され、主制御装置44と払出制御装置46の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置46は満杯スイッチ59、球切れスイッチ56からの信号が入力される構成で、満杯スイッチ59により下皿18が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ56により球タンク41に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ57を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ59、球切れスイッチ56も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置46は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ57の駆動を再開させる。
また、払出制御装置46はCRユニット端子板61を介してCRユニット36と交信することで払出モータ57を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ58に検出され、検出信号は払出制御装置46に入力される。なお、CRユニット端子板61は精算表示装置17とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置17には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ63、精算を要求するための返却スイッチ64が接続されている。
【0028】
また、払出制御装置46は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠40、ガラス枠15)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ79に送信するほか、発射制御装置50に対して発射停止信号を送信する。
発射制御装置50は発射モータ50cを制御して、遊技球を遊技領域22に遊技球を発射させる。
なお、発射制御装置50には払出制御装置46以外に発射ハンドル20からの回動量信号、タッチスイッチ50bからのタッチ信号、発射停止スイッチ50aから発射停止スイッチ信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射レバー19を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル20を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ50aを押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置50に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル20を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
【0029】
サブ統合制御装置70は、主制御装置44から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置48に送信し、音制御用及びランプ制御用のコマンドは自身に含まれている各制御部位(音制御基板73およびランプ制御基板74)に分配する。そして、音声制御基板73は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ32からの音声出力を制御し、ランプ制御基板74はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LEDや各種ランプを制御する。
また、サブ統合制御装置70には、演出ボタン65が接続されており、遊技者が演出ボタン65を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置70に入力される。
【0030】
サブ統合制御装置70と演出図柄制御装置48とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置48は、サブ統合制御装置70から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置44から送信されてきたものとサブ統合制御装置70が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置24を制御して、疑似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置24の表示面に表示させる。
【0031】
図5に示すのは主制御装置44のCPUが実行するメインルーチンのフローチャートである。
主制御装置44は、CPUが行う4ms毎の割り込みを実行し、まず当該割り込み処理が正常か否かを判断し(S1)、正常割り込みなら(S1:YES)、大当たり判定乱数の初期値を決定するための初期値乱数更新処理(S2)を行う。乱数の大きさは3967で、値は0〜3966をとる。
次に大当たり判定用乱数更新処理(S3)を行う。乱数の大きさは3967で、値は0〜3966をとる。1回の割り込み毎にインクリメントされ、周期が1周すると、初期値乱数更新処理による初期値を参照し、その初期値を起点として更新が行われる。
続けて大当たり図柄の大当たり図柄決定用乱数更新処理(S4)が行われ、大当たりした場合の停止図柄が決定される。その後、普通図柄の当否抽選を行うための普通図柄決定用乱数更新処理(S5)、リーチ判定用乱数更新処理(S6)、変動パターン決定用乱数更新処理(S7)、入賞確認処理(S8)、当否判定処理(S9)及び各入出力処理(S10)を順次行い、その後次回の割り込み処理が発生するまでの残余時間は初期値用乱数更新処理(S11)を繰り返す。
【0032】
入賞確認処理(S8)では、上述した第1始動口スイッチ29a、第2始動口スイッチ30a、カウントスイッチ31aなどの検出信号を入力し、また入力の種類によっては(例えば第1始動口スイッチ29a、第2始動口スイッチ30aの検出信号等)、対応する乱数の読み込みや記憶(保留記憶)が行われる。
入賞確認処理(S8)の一部である始動入賞確認処理及び当否判定処理(S9)については、詳細を後述する。
各入出力処理(S10)では、入賞確認処理(S8)は入力される以外のスイッチ類の信号入力、入賞確認処理(S8)や当否判定処理(S9)で生成したコマンドの出力、大入賞口31を開閉させるための大入賞口ソレノイド31b、第2始動口30の羽根の開放を行うための普通電役ソレノイド13a、第1特別図柄表示装置33a、第2特別図柄表示装置33b、普通図柄表示装置35、第1保留数表示装置34a、第2保留数表示装置34b、普通図柄保留数表示装置35a等の動作を制御するための出力等が行われる。
正常割り込みでなければ(S1:NO)、初期設定(S12)を行い、S2〜S10を行うことなく初期値用乱数更新処理(S11)に移行する。
【0033】
図6に示すのは始動入賞確認処理のフローチャートである。
この処理では、主制御装置44は、第1始動口スイッチ29aまたは第2始動口スイッチ30aの検出信号に基づいて、第1始動口29または第2始動口30に遊技球が入賞したか否かを判断する。
第1始動口29への球の入球を検知すると(S100:YES)、第1保留の数が上限値であるかないかを確認する(S101)。上限値(たとえば4個)の場合は(S101:YES)、それ以上の第1保留への記憶を行わない。上限値未満の場合は(S101:NO)、第1保留の数がインクリメントされ(S102)、取得した乱数値を記憶する。第1始動口29への球の入球を検知しなければ(S100:NO)、第1保留の数は変化しない。
第2始動口30への球の入球を検知すると(S103:YES)、第2保留の数が上限値であるかないかを確認する(S104)。上限値(たとえば4個)の場合は(S104:YES)、それ以上の第2保留への記憶を行わない。上限値未満の場合は(S104:NO)、第2保留の数がインクリメントされ(S105)、取得した乱数値を記憶する。第2始動口30への球の入球を検知しなければ(S103:NO)、第2保留の数は変化しない。
【0034】
次に第2図柄を優先的に実行させるために、第2保留内に保留数があるかないかを確認し(S106)、ある場合は(S106:YES)、特
図2の処理へ移行する(S107)。特
図2の処理とは、第2保留内に記憶されている乱数値のうち最も古くに取得されたものを、続く当否判定処理に使用するために乱数値を格納するエリアから、大当り判定を行うエリアにセットし、残りの第2保留内の乱数値をシフト(結果として、第2保留の数がデクリメントされる。)する処理である。
【0035】
第2保留の保留数がない場合(S106:NO)、まず第1保留内の保留数があるかないかを確認し(S108)、なければそのまま当否判定処理へ移行する(S108:NO)。第1保留内に保留数があれば(S108:YES)、特
図1の処理へ移行する(S109)。特
図1の処理とは、前記の特
図2の処理と同様で、第1保留内に記憶されている乱数値のうち最も古くに取得されたものを、続く当否判定処理に使用するために乱数値を格納するエリアから、大当り判定を行うエリアにセットし、残りの第1保留内の乱数値をシフトする処理である。
【0036】
図7〜
図8に示す当否判定処理について説明する。
主制御装置44は、条件装置の作動中か否かを判断し(S21)、肯定判断であれば特別遊技処理へ移行する(S21:YES)。
否定判断で、特別図柄の変動中でなく(S22:NO)、確定図柄の表示中でもなければ(S23:NO)、S110またはS112の処理における特
図1の乱数値または特
図2の乱数値がセットされているかを判断する(S24)。
いずれかの乱数がセットされていれば(S24:YES)、次は確変フラグが立っているか(高確率状態か)否かを判定する(S25)。
確変フラグが立っていなければ(S25:NO)、セットされている大当たり判定用乱数を通常テーブルに記録されている当たり値と照合する(S26)。
確変フラグが立っていれば(S25:YES)、セットされている大当たり判定用乱数を確変テーブルに記録されている当たり値と照合する(S27)。
【0037】
本実施例の場合、大当たり判定用乱数は0〜3966の整数値のいずれかであり、通常テーブルに記録されている当たり値は20個、確変テーブルに記録されている当たり値は200個であるから、大当たり判定用乱数が当たり値のいずれかと一致する確率、すなわち大当たりの確率は通常テーブル使用(S26)なら20/3967、確変テーブル使用(S27)なら200/3967である。
【0038】
S26またはS27の判定で当たりなら(S28:YES)、大当たり図柄決定用乱数によって大当たり図柄を決定し(S29)、続けてラウンド数を決定する(S30)。
大当たり図柄には、第1特別図柄表示装置33aに示される特別図柄(EL、EP、FE、FH、HF)と、第2特別図柄表示装置33bに示される特別図柄(HP、LF、PE、PL、LH)とがあり、大当たり図柄決定用乱数に基づいてこれらのいずれか1つが選択される。
ラウンド数は第1保留または第2保留のいずれかによる大当りかによって選択率が異なるように設定されており、第2保留による大当りのほうが平均ラウンド数が多くなり、結果として遊技者にとって有利に働くように設定されている。
【0039】
次に変動パターンテーブルを決定する処理(S31)が行われる(変動パターンテーブル決定処理については後述する)。変動パターンテーブルが決定したら、該テーブルの中のいずれかの変動パターンが決定(S32)される。ここでは大当り時の変動パターンテーブルが選択されているので、必ずリーチ(演出的に非リーチであっても、最終的に大当りを示す変動を含む)が発生し、大当りを示す変動パターンが選択される。
【0040】
一方、外れのときは(S28:NO)、はずれの特別図柄が−−(バー、バー)の1種類だけであるために特別図柄の選択処理は必要としない。このため、変動パターンテーブル決定処理(S33)と、続けて変動パターンの決定(S34)が行われる。リーチの有無は選択された変動パターンに依存するが、はずれ時なので当然大当りを示す変動パターンは存在しない。
【0041】
演出図柄表示装置24には特別図柄の結果に連動した擬似図柄が表示される。特別図柄が大当たり図柄で停止するとき、擬似図柄は、それぞれ000、777等というように同一図柄が揃って停止表示される。特別図柄がはずれを示す場合には、大当たり図柄に対応する図柄揃い以外の疑似図柄が表示される。なお、擬似図柄は必ずしも同一図柄が揃うことで大当りを示す必要はなく、キャラクタが勝負に勝つ、課題を成功させるといった勝ちをイメージするような結果を表示することで示してもよい。もちろんこの場合、キャラクタが勝負に負ける、課題を失敗することがはずれに対応している。
【0042】
S32またはS34に続いては、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には、大当たり、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置70に出力する(S35)。また図柄表示装置中継端子板80を介して第1特別図柄表示装置33aまたは第2特別図柄表示装置33bを制御して特別図柄の変動表示を開始させる。従って、変動開始コマンドに基づけば大当たり図柄または外れ図柄(以下、まとめて確定図柄)、リーチの有無及び変動時間を判別できる。
【0043】
ここで変動パターンテーブル決定処理について
図10を用いて説明する。まず変動パターンテーブルとは、どのような変動パターンが選択されるかを決定づけるテーブルで、テーブルの種類には変動時間の長い変動パターンが選ばれやすいものや、はずれ時においてリーチとなる割合が高いものなどが存在する(詳細は後述する)。
まず、確率変動中や時短遊技中といった普通電動役物13の開放延長機能が作動する特定遊技中であるかを判断し(S80)、否定判断すなわち通常遊技中であれば(S80:NO)、第1保留と第2保留の合算値を参照する。合算値が規定値以上(当実施例では3個以上)であれば(S81:YES)、短縮テーブルを選択する(S84)。短縮テーブルとは、短い変動パターンを選択しやすいテーブルであり、主にはずれ時の非リーチ時の変動において大幅に時間が短縮される。合算値が規定値以下であれば(S81:NO)、第1保留または第2保留の保留数を参照し(S82)、該保留数と特定遊技中でないという条件に従って変動パターンテーブルが決定される(S83)。
特定遊技中であれば(S80:YES)、第1保留または第2保留の保留数を参照し(S85)、該保留数と特定遊技中であるという条件に従って変動パターンテーブルが決定される(S86)。
なお、S82およびS85において第1保留と第2保留のどちらを参照するかは、S107またはS109にて処理された乱数値のセットされた保留球が第1保留であれば第1保留の数を参照し、また第2保留であれば第2保留の数を参照する。
【0044】
主制御装置44は、特別図柄の変動中であれば(S22:YES)、図柄変動時間(S31またはS32の変動パターンに基づく)を経過したか否かを判断する(S41)。
肯定判断なら図柄停止コマンドをサブ統合制御装置70に出力し、演出図柄表示装置24に確定図柄を確定表示させる(S42)。
図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置70は変動パターンから演出内容を確定させ、演出図柄制御装置48に演出内容を送信、音制御基板73、ランプ制御基板74は、特別図柄の変動表示に呼応した音声及び各種LEDやランプ等の演出を終了させる。演出図柄制御装置48は、演出内容を受信すると、演出図柄表示装置24を制御して、変動開始コマンドに従って決定された疑似図柄を確定表示させる。
主制御装置44は、確定表示させた特別図柄が大当たりになる組合せであれば(S43:YES)、確定図柄表示設定(S44)を行い、条件装置作動開始処理(S45)により、大当たりフラグをセットする。
【0045】
続いて、確変フラグがセットされているか否かを判定し(S46)、肯定判断なら確変フラグをクリアする(S47)。否定判断なら、時短フラグがセットされているか(時間短縮状態か)否かを判定し(S48)、肯定判断なら時短フラグをクリアし(S49)、時短回数カウンタの値を0にする(S50)。
確定表示させた特別図柄が大当たりにならない組み合わせのときは(S43:NO)、はずれを確定させるための確定図柄表示設定(S51)を行う。
確変フラグがセットされておらず(S52:NO)、時短フラグがセットされている(時間短縮状態)ときは(S53:YES)、時短回数カウンタを−1して(S54)、このカウンタの値が0になったなら(S55:YES)、時短フラグをクリアして(S56)、特別遊技処理に進む。確変フラグがセットされておらず(S52:NO)、時短フラグがセットされていない場合(S53:NO)は通常遊技として特別遊技処理へ進む。
時短回数カウンタの値が1以上のとき(S55:NO)は時短遊技が継続され、特別遊技処理に進む。
【0046】
S23で確定図柄の表示中であれば(S23:YES)、確定図柄表示設定(S44またはS51)で設定された確定図柄表示時間を経過したか否かを判断し(S57)、経過していれば(S57:YES)、確定図柄表示終了処理(S58)により第1特別図柄表示装置33aまたは第2特別図柄表示装置33bを制御して特別図柄の確定表示を終了させ、またサブ統合制御装置70に指示して、演出図柄制御装置48における疑似図柄の確定表示を終了させる。
【0047】
図9に示す特別遊技処理では、主制御装置44は、条件装置の作動中か否かを大当たりフラグに基づいて判断する(S61)。
条件装置の作動中なら(S61:YES)、大入賞口31が開放中か否かを判断する(S62)。
大入賞口31の開放中でなく(S62:NO)、大当たり開始演出中でなく(S63:NO)、インターバル中でもなく(S64:NO)、大当たり終了演出中でもなければ(S65:NO)、大当たり開始演出処理(S66)により、サブ統合制御装置70に大当り開始を示すコマンドを送信し、演出図柄制御装置48、音制御基板73、ランプ制御基板74は大当りを示す演出が開始される。それとほぼ同時にして大入賞口31を開放する。
【0048】
S63、S64またはS65で肯定判断のときはリターンする。
S62で肯定判断のときは大入賞口31への入賞球が規定入賞個数(たとえば10個)になったか否かをカウントスイッチ31aの検出信号に基づいて判断し(S67)、否定判断なら大入賞口開放時間の終了か否かを判断する(S68)。S68で否定判断ならリターンし、S67またはS68で肯定判断なら大入賞口31を閉鎖させる(S69)。
続いて、最終ラウンドであったか否かを判断する(S70)。
S70で否定判断なら大当たりインターバル処理(S71)により、サブ統合制御装置70を介して演出図柄制御装置48、音制御基板73、ランプ制御基板74にインターバルコマンドを送信し、インターバル中の演出処理を行ったあと、ふたたび大入賞口31を開放すべく処理に移行する。
S70で肯定判断のときは大当たり作動は継続しないので、大当たり終了演出処理(S72)を実行してから、条件装置停止処理(S73)により条件装置を停止させる(大当たりフラグをクリアする)。
そして、S44で第1特別図柄表示装置33aまたは第2特別図柄表示装置33bに確定表示させた図柄が確変図柄であれば(S74:YES)、確変フラグ・時短フラグ作動処理(S75)を行い、確変フラグと時短フラグをセットする。
確変図柄でないときは(S74:NO)、時短フラグ作動処理(S76)により時短フラグをセットし(時間短縮状態の開始)、時短回数カウンタを100にセットする。
【0049】
変動パターンを選択するテーブルについて
図11を用いて説明する。変動パターンとは、リーチにならない通常変動や各種リーチのパターンのすべてであり、それぞれが番号で管理されている。テーブルとは、変動パターンのどのパターンをどのくらいの割合で出現させるかを決定するためのものである。
【0050】
図11(a)は通常時における第1保留、および第2保留の変動パターン選択テーブルの振分表である。テーブルAは、非リーチ時の変動時間が平均12.0秒であり、リーチの発生確率は8分の1である。そしてリーチ時の時間を含めた総合平均変動時間が23.2秒と設定されている。同様にテーブルB、C、D、Sとあり、それぞれ変動パターンの選択における設定が異なる。この
図11(a)によれば、通常時は第1保留、第2保留とも保留3個以上はリーチの発生確率が下がり、かつ非リーチ時の変動時間が短くなることがわかる。ただし、
図10のフローチャートにおけるS84に記載のとおり、第1保留と第2保留の合算数が規定値を超えると、短縮テーブルが選択される。そのときの変動パターン選択テーブルの振分表が
図11(b)である。つまり短縮テーブル選択時は必ずテーブルSが選択され、結果として短い変動時間となる。
【0051】
図11(c)および
図11(d)は、第2始動口30に備えられた普通電動役物13の開放延長機能が作動する特定遊技時における第1保留および第2保留の変動パターン選択テーブルの振分表である。特定遊技時は短縮テーブルが選択されることはないので、各々の保留球数のみでテーブルが決定される。特定遊技時の特徴として、第2保留は保留2個以上の場合は短い変動時間が選択されやすく、保留1個の場合は長い変動時間が選択される。理由としては極力第2保留が0個にならないようにするためである。同様の理由により、第1保留はすべて平均変動時間が長くなるように設定されている。
【0052】
図12〜
図14は演出図柄表示装置上における第2図柄の優先変動消化を遊技者へ視覚的に伝えるための演出の一例である。
図12は第1特別図柄と第2特別図柄の抽選結果を演出図柄表示装置上のひとつの擬似図柄で表示している。尚、本実施例では中央の3桁の数字が擬似図柄、第1始動口29への入球による第1保留球を星形、第2始動口30への入球による第2保留球を六角形で表現している。
図12(a)は保留球のない状態、すなわち変動が行われていない状態である。この状態から第1始動口29へ4個立て続けに入球した状態が(b)である。最初の入球による擬似図柄の変動が開始され、残り3個の第1保留球が表示されている。この状態からさらに第2始動口30へ2個入球した状態が
図12(c)であり、該変動が停止した状態が
図12(d)である。ここで、先に入球している星形の第1保留が消化されずに、
図12(e)に示すように後から入球した六角形の第2保留が消化される。なお
図12(f)は第2保留による変動が開始された状態で、
図12(g)は
図12(f)の状態でさらに第1始動口29へ1個入球した状態である。
図12(f)の状態から変動停止した状態が
図12(h)である。
このように第1保留は常に第2保留より上へ表示されることで、遊技者は第2保留を優先的に消化するということが視覚的に理解できる。
【0053】
類似例ではあるが、
図13は第1特別図柄に対応する擬似図柄と、第2特別図柄に対応する擬似図柄を各々表示した例である。下部を第1特別図柄対応の擬似図柄と第1保留、上部を第2特別図柄対応の擬似図柄と第2保留とし、変動中の擬似図柄を拡大、変動を行っていない擬似図柄を縮小している。このように表示することで、視覚的な保留球の優先消化順位の伝達力は弱まるが、第1、第2どちらの保留球による変動なのかを明確に伝えることが可能となる。
図13(a)は、保留球が無く変動が行われていない状態で、第1特別図柄、第2特別図柄に対応する擬似図柄は停止している。
図13(b)は第1始動口29、第2始動口30にある程度の入球が行われた状態で、第2保留のある状態では第1保留による変動は行われない。
図13(c)は第2保留球による変動がすべて終了した状態で、第2保留に対応する擬似図柄が拡大され、
図13(d)のように変動が開始される。このような表示を行うことで、第1保留と第2保留の球における変動を明確に伝えることが出来る。
【0054】
次に、異なる始動口の入球による保留球の球数の合算値により変動時間短縮を行う際の表示例を
図14に示す。
図14(a)は通常遊技時における第1保留、第2保留の合算した保留球数が規定値未満(ここでは規定値を3個とする)の場合の表示例で、
図14(b)は規定値以上となった場合の表示例である。通常遊技時に第1保留、第2保留の合算した保留球数が規定値を超えると、変動時間短縮機能が作動する。その際に規定値以上の保留球の表示領域に視覚的な差異を設ける規定値設定処理を行うことで、遊技者にとって視覚的に理解が容易になる。
図14(b)の斜線部が規定値設定処理を行っている部位で、かつ左下のツボ形のキャラクタが激しく振動するアクションをすることでより明確化している。なお、確率変動時など、変動時間短縮機能が第1保留、第2保留の合算した保留球数に影響しない状態時には、
図14(a)のように該規定値設定処理を行わないことで、遊技状態毎における変動時間短縮機能の作動条件が遊技者に明確に伝えられる。
【0055】
また、
図14(c)は類似例であるが、保留球数の表示領域の下部に、第1保留、第2保留の合算した保留球数が視覚的にわかるように保留球合算値表示領域を設けている。このように第1保留と第2保留の領域が分断されて表示される場合は、保留球の合算値が明確にわかる合算値専用の表示領域を設けるとよい。本例では、スピードメータの目盛が保留球の合算値を表しており、規定値以上の領域には
図14(b)と同様に視覚的な差異を設けた規定値設定処理を行っている。
図14(d)は保留球の合算値が規定値以上となった場合の表示例である。規定値設定処理により合算値が規定値を超えた旨を明示するための演出表示が行われている。なお、この類似例も前例と同様に変動短縮機能の作動契機が第1保留、第2保留の合算した保留球数に影響しない状態時には、該合算値専用の表示領域を表示しない、または作動させなければ、遊技者が混乱を起こす心配もない。
【0056】
以上のように 異なる抽選機構を備えた第1始動口と第2始動口とからなり、第1始動口と比較して遊技者にとって有利度の高い大当りを期待できる第2始動口における保留球の優先消化が可能である遊技機において、開放延長機能の作動時、非作動時における変動パターンを選択するテーブル決定を各々適宜に行うことで、各々における最良の動作制御を行うことが可能となる。