特許第5680211号(P5680211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5680211封止層被覆半導体素子および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5680211
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】封止層被覆半導体素子および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20150212BHJP
【FI】
   H01L21/56 R
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-534090(P2013-534090)
(86)(22)【出願日】2013年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2013069373
(87)【国際公開番号】WO2014014007
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2013年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-158945(P2012-158945)
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】三谷 宗久
(72)【発明者】
【氏名】江部 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】大薮 恭也
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−049298(JP,A)
【文献】 特開2010−109383(JP,A)
【文献】 特開2012−012563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を支持台の上に配置する配置工程、
剥離層と、前記剥離層の下に積層され、熱硬化性樹脂からなる完全硬化前の封止層とを備える封止シートの前記封止層によって、前記半導体素子を埋設して封止する封止工程、および、
前記封止工程の後に、前記封止層を加熱して硬化させる加熱工程を備え、
前記加熱工程は、
前記封止シートを、前記支持台に向けて、機械加圧しながら、第1温度で加熱する第1加熱工程、および、
前記第1加熱工程の後に、前記封止シートを、前記第1温度より高温の第2温度で加熱する第2加熱工程を備え
前記第1加熱工程の後の前記封止層の23℃における圧縮弾性率が、1.20MPa以上であることを特徴とする、封止層被覆半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記第2加熱工程では、前記封止シートを加圧することなく加熱することを特徴とする、請求項1に記載の封止層被覆半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記封止工程における前記封止層が、2段階熱硬化性樹脂組成物のBステージであることを特徴とする、請求項1に記載の封止層被覆半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1温度は、温度が前記第2温度まで上昇する昇温温度範囲を有することを特徴とする、請求項1に記載の封止層被覆半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記支持台が、基板であり、
前記配置工程では、前記半導体素子を前記基板に実装することを特徴とする、請求項1に記載の封止層被覆半導体素子の製造方法。
【請求項6】
封止層被覆半導体素子を製造する工程、および、
前記封止層被覆半導体素子を基板に実装する工程を備え、
前記封止層被覆半導体素子は、
半導体素子を支持台の上に配置する配置工程、
剥離層と、前記剥離層の下に積層され、熱硬化性樹脂からなる完全硬化前の封止層とを備える封止シートの前記封止層によって、前記半導体素子を埋設して封止する封止工程、および、
前記封止工程の後に、前記封止層を加熱して硬化させる加熱工程を備える封止層被覆半導体装置の製造方法によって製造され、
前記加熱工程は、
前記封止シートを、前記支持台に向けて、機械加圧しながら、第1温度で加熱する第1加熱工程、および、
前記第1加熱工程の後に、前記封止シートを、前記第1温度より高温の第2温度で加熱する第2加熱工程を備え
前記第1加熱工程の後の前記封止層の23℃における圧縮弾性率が、1.20MPa以上であることを特徴とする、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止層被覆半導体素子および半導体装置の製造方法、詳しくは、封止層被覆半導体素子の製造方法、および、それにより得られる封止層被覆半導体素子を用いる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオードなどの半導体素子を、樹脂で封止することが知られている。
【0003】
例えば、発光ダイオードを実装する基板の上に、基材シートと、基材シートの下に積層されるシリコーン樹脂層とを有する封止用シートを設置し、次いで、シリコーン樹脂層によって発光ダイオードを埋設して封止する。その後、封止用シートを120〜250℃で加熱して、シリコーン樹脂層(封止層)を硬化させ、続いて、基材シートを封止層から剥離して、光半導体装置を製造する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−095809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の方法では、加熱中に、封止層が変形するという不具合がある。また、加熱中に、基材シートも変形することから、かかる基材シートの変形に伴って、封止層がさらに変形するという不具合がある。
【0006】
本発明の目的は、剥離層の変形を防止しながら、封止層の変形を抑制することのできる封止層被覆半導体素子および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明の封止層被覆半導体素子の製造方法は、半導体素子を支持台の上に配置する配置工程、剥離層と、前記剥離層の下に積層され、熱硬化性樹脂からなる完全硬化前の封止層とを備える封止シートの前記封止層によって、前記半導体素子を埋設して封止する封止工程、および、前記封止工程の後に、前記封止層を加熱して硬化させる加熱工程を備え、前記加熱工程は、前記封止シートを、前記支持台に向けて、機械加圧しながら、第1温度で加熱する第1加熱工程、および、前記第1加熱工程の後に、前記封止シートを、前記第1温度より高温の第2温度で加熱する第2加熱工程を備えることを特徴としている。
【0008】
この方法によれば、第1加熱工程は、封止シートを比較的低温の第1温度で加熱するので、封止層は、剥離層に密着しながら保形されるため、封止層の変形を抑制することができる。
【0009】
さらに、第1加熱工程において、封止シートを機械加圧するので、剥離層の変形を防止でき、ひいては、剥離層に追従する封止層の変形を防止することができる。
【0010】
その後、第2加熱工程において、封止シートを、比較的高温の第2温度で加熱しても、封止層の変形を抑制しながら、封止層を確実に完全硬化させることができる。
【0011】
また、本発明の封止層被覆半導体素子の製造方法では、前記第1加熱工程の後の前記封止層の23℃における圧縮弾性率が、1.20MPa以上であることが好適である。
【0012】
この方法によれば、第1加熱工程の後の封止層の23℃における圧縮弾性率が、1.20MPa以上であるので、第1加熱工程によって、封止層を、第2加熱工程で変形しにくくすることができる。
【0013】
また、本発明の封止層被覆半導体素子の製造方法では、前記封止工程における前記封止層が、2段階熱硬化性樹脂組成物のBステージであることが好適である。
【0014】
この方法によれば、封止工程における封止層が、2段階熱硬化性樹脂組成物のBステージであるので、封止工程において、封止層を確実に保形することができる。そのため、封止層を保形しながら、半導体素子を確実に埋設して封止することができる。
【0015】
また、本発明の封止層被覆半導体素子の製造方法では、前記第1温度は、温度が前記第2温度まで上昇する昇温温度範囲を有することが好適である。
【0016】
この方法によれば、封止層の変形を抑制しつつ、封止層被覆半導体素子の製造効率を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の封止層被覆半導体素子の製造方法では、前記支持台が、基板であり、前記配置工程では、前記半導体素子を前記基板に実装することが好適である。
【0018】
この方法によれば、封止層の変形が抑制され、完全硬化した封止層を基板に実装することができるので、信頼性に優れる封止層被覆半導体素子を製造することができる。
【0019】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、封止層被覆半導体素子を製造する工程、および、前記封止層被覆半導体素子を基板に実装する工程を備え、前記封止層被覆半導体素子は、半導体素子を支持台の上に配置する配置工程、剥離層と、前記剥離層の下に積層され、熱硬化性樹脂からなる完全硬化前の封止層とを備える封止シートの前記封止層によって、前記半導体素子を埋設して封止する封止工程、および、前記封止工程の後に、前記封止層を加熱して硬化させる加熱工程を備える半導体装置の製造方法によって製造され、前記加熱工程は、前記封止シートを、前記支持台に向けて、機械加圧しながら、第1温度で加熱する第1加熱工程、および、前記第1加熱工程の後に、前記封止シートを、前記第1温度より高温の第2温度で加熱する第2加熱工程を備えることを特徴としている。
【0020】
この方法によれば、変形が抑制され、完全硬化した封止層を備える封止層被覆半導体素子を基板に実装することができるので、信頼性に優れる半導体装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の封止層被覆半導体素子の製造方法によれば、封止層の変形を抑制することができる。
【0022】
本発明の半導体装置の製造方法は、変形が抑制され、完全硬化した封止層を備える封止層被覆半導体素子を基板に実装することができるので、信頼性に優れる半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の半導体装置の製造方法の第1実施形態の製造工程図であり、図1Aは、配置工程、図1Bは、封止工程を示す。
図2図2は、図1に引き続き、本発明の半導体装置の製造方法の第1実施形態の製造工程図であり、図2Cは、加熱工程、図2Dは、剥離工程を示す。
図3図3は、本発明の半導体装置の製造方法の第2実施形態の製造工程図であり、図3Aは、LED剥離工程、図3Bは、実装工程を示す。
図4図4は、本発明の半導体装置の製造方法の第3実施形態の製造工程図であり、図4Aは、配置工程、図4Bは、圧接工程、図4Cは、大気解放工程を示す。
図5図5は、本発明の半導体装置の製造方法の第3実施形態の製造工程図であり、図5Dは、加熱工程、図3Eは、剥離工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1において、紙面上側を上側(第1方向一方側、厚み方向一方側)、紙面下側を下側(第1方向他方側、厚み方向他方側)、紙面左側を左側(第1方向に直交する第2方向一方側)、紙面右側を右側(第2方向他方側)、紙面手前側を前側(第1方向および第2方向に直交する第3方向一方側)、紙面奥側を後側(第3方向他方側)とする。具体的には、図1に記載された方向を基準とする。図2以降の図面の方向は、図1の方向に準じる。
【0025】
本発明の封止層被覆半導体素子の製造方法の第1実施形態であるLED装置1の製造方法は、配置工程(図1A参照)、封止工程(図1B参照)および加熱工程(図2C参照)を備える。以下、各工程を詳述する。
【0026】
[配置工程]
配置工程では、半導体素子としてのLED2を支持台としての基板3の上に配置する。具体的には、LED2を基板3の上面に実装する。
【0027】
図1Aに示すように、基板3は、面方向(前後方向および左右方向)に延びる平面視略矩形の平板形状に形成されている。基板3は、例えば、アルミニウムなどの金属材料、例えば、アルミナなどのセラミック材料、例えば、ポリイミドなどの樹脂材料など、LED装置1の基板として一般に用いられる材料から形成されている。基板3の上面には、LED2の端子(図示せず)と電気的に接続するための電極(図示せず)と、それに連続する配線とを備える導体パターン(図示せず)が形成されている。導体パターンは、例えば、金、銅、銀、ニッケルなどの導体から形成されている。基板3の1辺の長さは、例えば、1mm以上であり、また、例えば、1000mm以下である。基板3の厚みは、例えば、0.7mm以上、好ましくは、0.9mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0028】
LED2は、平面視略矩形の平板形状に形成されており、上面または下面に端子(図示せず)を備えている。LED2の1辺の長さは、例えば、0.05mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。LED2の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下である。
【0029】
LED2を基板3に実装する方法として、例えば、フリップチップ実装が採用される。また、LED2の端子を基板3の電極とワイヤボンディング接続することもできる。
【0030】
また、複数のLED2を、基板3に実装する。LED2は、面方向に互いに間隔を隔てて基板3の上面に実装される。LED2の前後方向および左右方向における間隔は、例えば、0.1mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0031】
[封止工程]
封止工程では、図1Aに示すように、まず、封止シート4を用意し、その後、図1Bに示すように、封止シート4によって、LED2を封止する。
【0032】
封止シート4は、図1Aに示すように、剥離層5と、剥離層5の下に積層される封止層6とを備える。
【0033】
剥離層5は、封止シート4において、封止層6を支持する層であり、使用後には、封止層6から剥離される層である。剥離層5としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム(PETフィルムなど)などのポリマーフィルム、例えば、セラミクスシート、例えば、金属箔などが挙げられる。好ましくは、ポリマーフィルムが挙げられる。また、剥離層5の表面(上面および下面)には、フッ素処理などの剥離処理を施すこともできる。剥離層5は、ポリマーフィルムである場合の線膨張係数が、例えば、70×10−6−1以上、好ましくは、80×10−6−1以上であり、また、例えば、140×10−6−1以下、好ましくは、120×10−6−1以下である。剥離層5の厚みは、例えば、25μm以上、好ましくは、38μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0034】
封止層6は、封止樹脂を含有する封止樹脂組成物からシート状に形成されている。
【0035】
封止樹脂としては、加熱により硬化する熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0036】
熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0037】
熱硬化性樹脂としては、例えば、2段階熱硬化性樹脂組成物、1段階熱硬化性樹脂組成物などが挙げられ、好ましくは、2段階熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。
【0038】
また、2段階熱硬化性樹脂組成物は、2段階の反応機構を有しており、1段階目の反応でBステージ化(半硬化)し、2段階目の反応でCステージ化(最終硬化)する。一方、1段階熱硬化性樹脂組成物は、1段階の反応機構を有しており、1段階目の反応で完全硬化する。また、Bステージは、熱硬化性樹脂が、液状であるAステージと、完全硬化したCステージとの間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、圧縮弾性率がCステージの弾性率よりも小さい状態である。
【0039】
2段階熱硬化性樹脂組成物の未硬化体(1段階目の硬化前)としては、例えば、2段階硬化性シリコーン樹脂組成物の未硬化体が挙げられ、好ましくは、縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0040】
縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、加熱によって、縮合反応および付加反応することができる熱硬化性シリコーン樹脂組成物であって、より具体的には、加熱によって、縮合反応して、Bステージ(半硬化)となることができ、次いで、さらなる加熱によって、付加反応(具体的には、例えば、ヒドロシリル化反応)して、Cステージ(最終硬化)となることができる熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
【0041】
このような縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物としては、例えば、シラノール両末端ポリシロキサン、アルケニル基含有トリアルコキシシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第1の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒および付加触媒を含有する第2の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物、例えば、両末端シラノール型シリコーンオイル、アルケニル基含有ジアルコキシアルキルシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第3の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物、例えば、1分子中に少なくとも2個のアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサン、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒および硬化遅延剤を含有する第4の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物、例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和炭化水素基と少なくとも2つのヒドロシリル基とを1分子中に併有する第1オルガノポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有する第2オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒およびヒドロシリル化抑制剤を含有する第5の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物、例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和炭化水素基と少なくとも2つのシラノール基とを1分子中に併有する第1オルガノポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有する第2オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化抑制剤、および、ヒドロシリル化触媒を含有する第6の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物、例えば、ケイ素化合物、および、ホウ素化合物またはアルミニウム化合物を含有する第7の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物、例えば、ポリアルミノシロキサンおよびシランカップリング剤を含有する第8の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
【0042】
これら縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0043】
縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物として、好ましくは、第4の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0044】
第4の縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、特開2011−219597号公報などに記載され、例えば、ジメチルビニルシリル末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシリル末端ジメチルシロキサン−メチルヒドロシロキサン共重合体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体および水酸化テトラメチルアンモニウムなどを含有する。
【0045】
一方、1段階硬化性シリコーン樹脂組成物とは、1段階の反応機構を有しており、1段階目の反応で最終硬化する熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
【0046】
1段階硬化性シリコーン樹脂組成物としては、例えば、付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
【0047】
付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、例えば、主剤となるエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンと、架橋剤となるオルガノハイドロジェンシロキサンとを含有する。
【0048】
エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとしては、例えば、アルケニル基含有ポリジメチルシロキサン、アルケニル基含有ポリメチルフェニルシロキサン、アルケニル基含有ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0049】
付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物では、通常、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンと、オルガノハイドロジェンシロキサンとが、別々のパッケージで提供される。具体的には、主剤(エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサン)を含有するA液と、架橋剤(オルガノハイドロジェンシロキサン)を含有するB液との2液として提供される。なお、両者の付加反応に必要な公知の触媒は、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンに添加されている。
【0050】
このような付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物は、主剤(A液)と架橋剤(B液)とを混合して混合液を調製し、混合液から上記した封止層6の形状に成形する工程において、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとオルガノハイドロジェンシロキサンとが付加反応して、付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物が硬化して、シリコーンエラストマー(硬化体)を形成する。
【0051】
このような封止樹脂の配合割合は、封止樹脂組成物100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、99.9質量部以下、好ましくは、99.5質量部以下である。
【0052】
また、封止樹脂組成物には、必要により、蛍光体、充填剤を含有させることができる。
【0053】
蛍光体としては、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体などが挙げられる。そのような蛍光体としては、例えば、複合金属酸化物や金属硫化物などに、例えば、セリウム(Ce)やユウロピウム(Eu)などの金属原子がドープされた蛍光体が挙げられる。
【0054】
具体的には、蛍光体としては、例えば、YAl12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、(Y,Gd)Al12:Ce、TbAl12:Ce、CaScSi12:Ce、LuCaMg(Si,Ge)12:Ceなどのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、(Sr,Ba)SiO:Eu、CaSiOCl:Eu、SrSiO:Eu、LiSrSiO:Eu、CaSi:Euなどのシリケート蛍光体、例えば、CaAl1219:Mn、SrAl:Euなどのアルミネート蛍光体、例えば、ZnS:Cu,Al、CaS:Eu、CaGa:Eu、SrGa:Euなどの硫化物蛍光体、例えば、CaSi:Eu、SrSi:Eu、BaSi:Eu、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体、例えば、CaAlSiN:Eu、CaSi:Euなどの窒化物蛍光体、例えば、KSiF:Mn、KTiF:Mnなどのフッ化物系蛍光体などが挙げられる。好ましくは、ガーネット型蛍光体、さらに好ましくは、YAl12:Ceが挙げられる。蛍光体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0055】
蛍光体の形状としては、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。好ましくは、流動性の観点から、球状が挙げられる。
【0056】
蛍光体の最大長さの平均値(球状である場合には、平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0057】
蛍光体の配合割合は、封止樹脂組成物100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、50質量部以下である。
【0058】
充填剤としては、例えば、シリコーン微粒子、ガラス、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、タルク、クレー、硫酸バリウムなどが挙げられ、これら充填剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。好ましくは、シリコーン微粒子、シリカが挙げられる。
【0059】
充填剤の配合割合は、封止樹脂組成物100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、80質量部以下、好ましくは、50質量部以下である。
【0060】
なお、封止樹脂組成物には、例えば、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加物を適宜の割合で添加することができる。
【0061】
封止層6は、2段階熱硬化性樹脂組成物からなる場合には、2段階熱硬化性樹脂組成物の1段階硬化体からなり、また、1段階熱硬化性樹脂組成物からなる場合には、1段階熱硬化性樹脂組成物の未硬化体(硬化前)からなる。
【0062】
とりわけ好ましくは、封止層6は、2段階硬化性シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体である。つまり、とりわけ好ましくは、封止層6は、2段階熱硬化性樹脂組成物のBステージである。
【0063】
封止層6を形成するには、例えば、上記した封止樹脂組成物(必要により蛍光体や充填剤などを含有する)を、剥離層5の上に、例えば、キャスティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの方法により適当な厚みに塗工し、必要により加熱する。これにより、シート状の封止層6を剥離層5の上に形成する。
【0064】
この封止層6の23℃における圧縮弾性率は、例えば、0.15MPa以下、好ましくは、0.12MPa以下、より好ましくは、0.1MPa以下であって、また、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.04MPa以上である。
【0065】
封止層6の圧縮弾性率が上記上限以下であれば、封止層6の柔軟性を担保することができる。一方、封止層6の圧縮弾性率が下限以上であれば、封止層6の保形性を確保しつつ、かかる封止層6によってLED2を埋設することができる。
【0066】
封止層6は、図1Aが参照されるように、平面視矩形のシート状に形成されている。また、封止層6の大きさは、複数のLED2を一括して封止可能なサイズに調節されている。封止層6の厚みは、例えば、100μm以上、好ましくは、300μm以上、より好ましくは、400μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下である。
【0067】
これにより、剥離層5および封止層6を備える封止シート4を用意する。
【0068】
その後、図1Bに示すように、封止シート4によって、LED2を封止する。具体的には、封止シート4の封止層6によって、LED2を、埋設して封止する。
【0069】
具体的には、図1Aに示すように、まず、封止シート4を、封止層6が下を向くように、基板3の上側に配置し、次いで、図1Bに示すように、プレス機などにより、封止層6を基板3に圧接させる。
【0070】
好ましくは、封止シート4および基板3を、互いに対向配置して、真空プレス機などの真空チャンバー内に投入する。次いで、真空チャンバー内を減圧する。具体的には、真空チャンバー内を真空ポンプ(減圧ポンプ)などにより排気する。その後、真空チャンバー内を減圧雰囲気にしながら、真空プレス機のプレス機などにより、封止層6を基板3に圧接させる。減圧雰囲気は、例えば、300Pa以下、好ましくは、100Pa以下、とりわけ好ましくは、50Pa以下である。その後、基板3と封止層6とを大気圧雰囲気下に解放する。
【0071】
封止工程の温度は、封止層6が完全硬化しない温度であって、具体的には、封止層6がBステージである場合には、Bステージが維持される温度に調整される。封止工程の温度は、例えば、0℃以上、好ましくは、15℃以上であり、また、例えば、40℃以下、好ましくは、35℃以下であり、具体的には、常温(具体的には、20〜25℃)である。
【0072】
これにより、封止層6によって、LED2を、常温で埋設して封止する。
【0073】
つまり、各LED2の上面および側面(左面、右面、前面および後面)と、LED2から露出する基板3の上面とが、封止層6によって被覆される。
【0074】
[加熱工程]
加熱工程は、封止工程の後に、封止層6を加熱して硬化させる工程である。加熱工程は、図2Cに示すように、封止シート4を、基板3に向けて、機械加圧しながら、第1温度で加熱する第1加熱工程、および、第1加熱工程の後に、封止シート4を、第1温度より高温の第2温度で加熱する第2加熱工程を備える。つまり、加熱工程は、異なる温度で封止シート4を2段階で加熱する2段階加熱工程である。
【0075】
(第1加熱工程)
封止シート4を、基板3に向けて、機械加圧しながら、第1温度で加熱するには、図2Cの実線で示すように、例えば、ヒータ16が装備された平板9を備える熱プレス装置10(つまり、機械加熱−機械加圧装置10)、あるいは、平板9を備えるプレス装置10が装備されたプレス装置付乾燥機13(仮想線、流体加熱−機械加圧装置13)などの加熱−機械加圧装置が用いられる。なお、加熱−機械加圧装置は、封止層6を、静圧によって加圧するオートクレーブと異なり、物理的な接触によって、封止層6を加圧する加圧装置である。
【0076】
平板9は、上下方向に間隔を隔てて対向配置されている。2つの平板9のうち、下側の平板9は、基板3を載置可能に構成されており、また、上側の平板9は、剥離層5と接触して加圧可能に構成されている。
【0077】
機械加熱−機械加圧装置10を用いる場合には、封止シート4を、ヒータ16によって第1温度に予め設定された平板9により挟持することにより、機械加圧する。
【0078】
第1温度およびその加熱時間は、第1加熱工程後における封止層6の23℃における圧縮弾性率が、例えば、1.20MPa以上、好ましくは、1.40MPa以上となるように、設定される。圧縮弾性率が上記下限以上であれば、第2加熱工程における変形を有効に防止することのできる硬化状態の封止層6(具体的には、封止層6が2段階熱硬化性樹脂組成物からなる場合には、封止工程直後のBステージ状態からさらに硬化が進行したBステージ状態の封止層6)を確実に調製することができる。
【0079】
第1温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、また、例えば、180℃未満、好ましくは、160℃未満である。
【0080】
また、第1温度は、上記した範囲から、定温(一定温度)として選択される。
【0081】
また、第1温度での加熱時間は、例えば、5分以上、好ましくは、10分以上であり、また、例えば、2時間以下、1時間以下、好ましくは、45分以下である。第1温度での加熱時間が上記上限以下であれば、第1加熱工程の時間を短くして、LED装置1の製造コストを低減することができる。一方、第1温度での加熱時間が上記下限以上であれば、封止層6の23℃における圧力弾性率を上記した所望の範囲に設定することができる。
【0082】
機械加圧における圧力は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、0.2MPa以上、より好ましくは、0.3MPa以上であり、また、例えば、2.0MPa以下、好ましくは、1.0MPa以下、より好ましくは、0.75MPa以下である。圧力が上記下限以上であれば、剥離層5の変更を有効に抑制することができる。圧力が上記上限以下であれば、LED2の損傷を防止することができる。
【0083】
第1加熱工程によって、封止層6は、完全硬化前の状態を保つ一方、封止工程直後のBステージ状態からさらに硬化が進行する。とりわけ、封止層6がBステージである場合には、第1加熱工程によって、封止層6は、Bステージ状態を保つ一方、ある程度硬化(具体的には、封止層6が縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物を含有する場合には、縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物の付加反応)が進行する。
【0084】
(第2加熱工程)
第2加熱工程では、例えば、(1)封止シート4を、例えば、上記した基板3に向けて、機械加圧しながら、第2温度で加熱する。(1)の方法には、上記した機械加圧装置が用いられる。好ましくは、製造コストを削減するメリットから、第1加熱工程と同一の加熱−機械加圧装置(具体的には、機械加熱−機械加圧装置10や流体加熱−機械加圧装置13)によって、第2加熱工程を第1加熱工程に連続して実施することができる。
【0085】
また、第2加熱工程では、(2)封止シート4を、オートクレーブ(流体加熱−流体加圧装置)などで、静圧で、加圧しながら、第2温度で加熱することもできる。
【0086】
さらに、第2加熱工程では、(3)封止シート4を、加圧することなく、つまり、常圧雰囲気下において、例えば、乾燥炉(加熱炉)やホットプレートによって、封止シート4を無負荷で加熱することもできる。
【0087】
好ましくは、上記した(2)や(3)の方法、より好ましくは、(3)の方法が採用される。
【0088】
上記した(2)や(3)の方法であれば、第2加熱工程において、長時間にわたって、機械加圧装置を使用する必要がない。そのため、加熱−機械加圧装置を用いて、多くの封止シート4、基板3およびLED2を第1加熱工程に供することができながら、同時に、上記した加熱−機械加圧装置と異なる加熱装置、すなわち、(2)の方法のオートクレーブ、(3)の方法の乾燥炉やホットプレートなどによって、多くの封止シート4、基板3およびLED2を第2加熱工程に供することができる。
【0089】
とりわけ、(3)の方法によれば、(1)の方法で例示した加熱−機械加圧装置や、(2)の方法で例示したオートクレーブなどの特別な加熱装置が不要であり、乾燥炉やホットプレートなどの簡易な加熱装置によって、多くの封止シート4を第2加熱工程に供することができる。
【0090】
なお、(1)の機械加圧における圧力は、第1加熱工程における圧力と同様である。(2)の流体加圧における圧力は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、0.2MPa以上であり、また、例えば、1.0MPa以下、好ましくは、0.75MPa以下である。なお、圧力を、定圧に設定することができ、あるいは、変圧、具体的には、昇圧または降圧することもできる。
【0091】
第2加熱工程における第2温度は、封止層6が完全硬化する温度である。第1加熱工程後の封止層6がBステージである場合には、第2温度は、封止層6がCステージ化する温度である。封止層6が縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物を含有する場合には、縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物の付加反応が実質的に終了(完了)できる温度である。具体的には、第2温度は、例えば、135℃以上、好ましくは、150℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。
【0092】
第2温度での加熱時間は、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上であり、また、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
【0093】
第2加熱工程によって、封止層6は、完全硬化する。例えば、第1加熱工程においてBステージであった封止層6は、第2加熱工程によって、Cステージとなる。封止層6が縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物を含有する場合には、縮合反応・付加反応硬化性シリコーン樹脂組成物の付加反応が実質的に終了(完了)する。
【0094】
第2加熱工程後における硬化(完全硬化)した封止層6の23℃における圧縮弾性率が、例えば、1.2MPaを超過し、好ましく、1.4MPaを超過し、また、例えば、15MPa以下、好ましくは、10MPa以下である。
【0095】
このようにして、図2Cに示すように、基板3、複数のLED2および封止シート4を備えるLED装置1を製造する。
【0096】
また、このLED装置1には、基板3の上において、LED2と、LED2を被覆する封止層6とを備える、封止層被覆半導体素子としての封止層被覆LED11が構成される。つまり、LED装置1では、封止層被覆LED11が、基板3に実装されている。
【0097】
[剥離工程]
その後、LED装置1を、上記した加熱装置((1)の場合には、機械加圧装置、(2)の場合には、流体加熱−流体加圧装置、)から取り出し、続いて、LED装置1を常温まで冷却した後、剥離層5を封止層6から剥離する。
【0098】
[作用効果]
この方法によれば、第1加熱工程は、封止シート4を比較的低温の第1温度で加熱するので、封止層6は、剥離層5に密着しながら保形されるため、封止層6の変形を抑制することができる。
【0099】
さらに、第1加熱工程において、封止シート4を機械加圧するので、剥離層5の変形を防止できる。具体的には、封止シート4を機械加圧するので、剥離層5が上側から加圧される。そのため、例えば、周端部(左右方向両端部および前後方向両端部が浮き上がる)が浮き上がって、剥離層5が湾曲するような反りを防止できる。そのため、剥離層5に追従する封止層6の変形も防止することができる。
【0100】
その結果、その後の第2加熱工程において、封止シート4を、比較的高温の第2温度で加熱しても、封止層6の保形を確保しながら、封止層6を確実に完全硬化させることができる。
【0101】
また、この方法によれば、第1加熱工程の後の封止層の23℃における圧縮弾性率が、1.20MPa以上であれば、第1加熱工程によって、封止層6を、第2加熱工程で変形しにくい硬化状態に調整することができる。
【0102】
換言すれば、第1加熱工程の後の封止層の23℃における圧縮弾性率が、上記下限に満たなければ、かかる封止層6を第2加熱工程に供したときに、封止層6に硬化に伴う変形を生じる場合がある。つまり、第1加熱工程の後の封止層6が過度に柔軟であるため、第2加熱工程において、封止シート4の封止層6の上記した変形を防止することができない場合がある。
【0103】
一方、第1加熱工程の後の封止層の23℃における圧縮弾性率が、上記下限以上であれば、かかる封止層6を第2加熱工程に供しても、封止層6における硬化に伴う変形を防止することができる。つまり、第1加熱工程の後の封止層6が十分に硬いため、第2加熱工程においても、封止層6の上記した変形を防止することができる。
【0104】
また、この方法によれば、封止工程における封止層6が、2段階熱硬化性樹脂組成物のBステージであれば、封止工程において、封止層6を確実に保形することができる。そのため、封止層6を保形しながら、LED2を確実に埋設して封止することができる。
【0105】
また、この方法では、封止層6の変形が防止され、完全硬化した封止層6を基板に実装することができるので、信頼性に優れる封止層被覆LED11、ひいては、LED装置1を製造することができる。
【0106】
[変形例]
上記した第1実施形態では、図2Dに示すように、剥離層5を、第2加熱工程の後に、剥離しているが、例えば、図示しないが、剥離層5を、第1加熱工程と第2加熱工程との間、つまり、第1加熱工程の後で、第2加熱工程の前に、剥離することもできる。
【0107】
また、上記した第1実施形態では、複数のLED2を基板3に配置しているが、図示しないが、例えば、単数のLED2を基板3に配置することもできる。
【0108】
また、上記した第1実施形態では、本発明における半導体素子としての光半導体素子であるLED2を一例として説明しているが、例えば、図示しないが、それらを、電子素子とすることもできる。
【0109】
電子素子は、電気エネルギーを、光以外のエネルギー、具体的には、信号エネルギーなどに変換する半導体素子であって、具体的には、トランジスタ、ダイオードなどが挙げられる。電子素子のサイズは、用途および目的によって適宜選択される。
【0110】
この場合、封止層6は、封止樹脂を必須成分として含有し、充填剤を任意成分として含有する。充填剤としては、さらに、カーボンブラックなどの黒色顔料などが挙げられる。充填剤の配合割合は、封止樹脂100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、99質量部以下、好ましくは、95質量部以下である。
【0111】
また、封止層6の物性(具体的には、圧縮弾性率など)は、上記した第1実施形態のそれと同一である。
【0112】
[第1温度]
上記した第1実施形態では、第1温度を定温に設定しているが、これに限定されず、例えば、第1温度が、温度範囲を有してもよく、具体的には、第1温度が、第2温度まで上昇する昇温温度範囲を有することもできる。
【0113】
具体的には、第1温度は、例えば、20℃以上、さらには、25℃以上であり、また、第2温度未満の温度範囲である。第1温度における昇温速度は、例えば、1℃/分以上、好ましくは、2℃/分以上であり、また、例えば、30℃/分以下、好ましくは、20℃/分以下である。また、第1温度における昇温時間は、例えば、4分以上、好ましくは、5分以上であり、また、例えば、120分以下、好ましくは、60分以下である。
【0114】
第1加熱工程で加熱−機械加圧装置が用いられるときに、例えば、封止シート4を、温度が室温(20〜25℃程度)である加熱−機械加圧装置にセットし、続いて、ヒータ16の温度が第2温度に到達するように、ヒータ16を昇温する。
【0115】
あるいは、第1加熱工程で加熱−機械加圧装置が用いられるときに、封止シート4を、上記した第1実施形態における定温、具体的には、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、また、例えば、180℃未満、好ましくは、160℃未満から選択される定温に設定されたヒータ16を有する加熱−機械加圧装置に投入して、所定時間、定温を維持した後、ヒータ16の温度が第2温度に到達するように、ヒータ16を昇温することもできる。定温を維持する時間は、例えば、3分以上、好ましくは、5分以上であり、また、例えば、300分以下、好ましくは、180分以下である。また、昇温速度は、例えば、1℃/分以上、好ましくは、2℃/分以上であり、また、例えば、30℃/分以下、好ましくは、20℃/分以下である。昇温時間は、例えば、1分以上、好ましくは、2分以上であり、また、例えば、120分以下、好ましくは、60分以下である。
【0116】
第1温度が、第2温度まで上昇する昇温温度範囲を有することにより、生産効率を向上させることができる。
【0117】
<第2実施形態>
第2実施形態において、第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0118】
第1実施形態では、本発明の支持台を基板3として説明しているが、例えば、図1の仮想線で示すように、支持シート12とすることもできる。
【0119】
第2実施形態は、配置工程(図1A参照)、封止工程(図1B参照)、加熱工程(図2C参照)および実装工程(図3Aおよび図3B参照)を備える。以下、各工程を詳述する。
【0120】
[配置工程]
配置工程では、図1Aに示すように、LED2を支持台としての支持シート12の上に配置する。
【0121】
具体的には、まず、支持シート12を用意する。
【0122】
支持シート12は、第1実施形態の基板3と同一の平面形状に形成されており、図1Aの仮想線で示すように、支持板10と、支持板10の上面に積層される粘着層15とを備える。
【0123】
支持板10は、面方向に延びる板形状をなし、支持シート12における下部に設けられており、支持シート12と平面視略同一形状に形成されている。支持板10は、面方向に延伸不能な硬質の材料からなり、具体的には、そのような材料として、例えば、酸化ケイ素(石英など)、アルミナなどの酸化物、例えば、ステンレスなどの金属、例えば、シリコンなどが挙げられる。支持板10の23℃におけるヤング率は、例えば、10Pa以上、好ましくは、10Pa以上、より好ましくは、10Pa以上であり、また、例えば、1012Pa以下である。支持板10のヤング率が上記した下限以上であれば、支持板10の硬質を担保して、LED4をより一層確実に支持することができる。なお、支持板10のヤング率は、例えば、JIS H 7902:2008の圧縮弾性率などから求められる。支持板10の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.3mm以上であり、また、例えば、5mm以下、好ましくは、2mm以下である。
【0124】
粘着層15は、支持板10の上面全面に形成されている。粘着層15を形成する粘着材料としては、例えば、アクリル系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤などの感圧接着剤が挙げられる。また、粘着層15を、例えば、活性エネルギー線の照射によって粘着力が低下する活性エネルギー線照射剥離シート(具体的には、特開2005−286003号公報などに記載される活性エネルギー線照射剥離シート)などから形成することもできる。粘着層15の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.2mm以上であり、また、1mm以下、好ましくは、0.5mm以下である。
【0125】
支持シート12を用意するには、例えば、支持板10と粘着層15とを貼り合わせる。なお、まず、支持板10を用意し、次いで、上記した粘着材料および必要により配合される溶媒から調製されるワニスを支持板10に塗布し、その後、必要により、溶媒を留去する塗布方法などによって、粘着層15を支持板10に直接積層することもできる。
【0126】
支持シート12の厚みは、例えば、0.2mm以上、好ましくは、0.5mm以上であり、また、6mm以下、好ましくは、2.5mm以下である。
【0127】
次に、複数のLED2を、支持シート12に対して積層する。具体的には、各LED2の下面を、粘着層15の上面に接触させる。
【0128】
これにより、複数のLED2を、支持シート12に配置する。
【0129】
[封止工程]
封止工程では、図1Aに示すように、まず、封止シート4を用意し、その後、図1Bに示すように、第1実施形態と同様にして、封止シート4によって、LED2を封止する。
【0130】
[加熱工程]
第1実施形態と同様にして、図2Cに示すように、封止シート4を加熱する(2段階加熱工程)。
【0131】
なお、第1加熱工程における第1温度および第2温度の上限値は、支持シート12の耐熱性を考慮して設定される。
【0132】
加熱工程によって、支持シート12の上において、複数のLED2が封止層6によって被覆された封止層被覆LED11を得る。
【0133】
その後、図2Dに示すように、剥離層5を封止シート4から剥離する(剥離工程)。
【0134】
[実装工程]
実装工程では、まず、図3Aの破線で示すように、封止層6を、LED2に対応して切断する。具体的には、封止層6を、厚み方向に沿って切断する。続いて、封止層被覆LED11を、粘着層15の上面から剥離する(LED剥離工程)。具体的には、粘着層15が活性エネルギー線照射剥離シートである場合には、活性エネルギー線を粘着層15に照射する。これによって、封止層被覆LED11を、LED2に対応して個片化する。
【0135】
その後、個片化した封止層被覆LED11を発光波長や発光効率に応じて選別した後、図3Bに示すように、封止層被覆LED11を、基板3に実装する。具体的には、LED2の下面に設けられる端子を基板3の電極とを接続して、封止層被覆LED11を基板3にフリップチップ実装する。
【0136】
これによって、基板3、単数のLED2および封止シート4を備えるLED装置1を製造する。
【0137】
[作用効果]
この方法では、変形が防止され、完全硬化した封止層6を備える封止層被覆LED11を基板3に実装することができるので、信頼性に優れるLED装置1を製造することができる。
【0138】
とりわけ、第2実施形態では、LED2は、支持シート12(図1Aの仮想線参照)に配置されており、LED2は、支持シート12によって、第1実施形態におけるLED2の基板3(図1Aの実線参照)に対する支持力に比べて、小さい支持力で支持されている。そのため、第2実施形態のLED2は、第1実施形態のLED2に対して、面方向にシフト(位置ずれ)し易い。
【0139】
しかしながら、この第2実施形態では、第1加熱工程を、封止シート4を比較的低温の第1温度で加熱しながら機械加圧するので、LED2の位置ずれ(チップシフト)を防止することができる。
【0140】
<第3実施形態>
第3実施形態において、第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0141】
図1Aに示す第1実施形態では、基板3を平板形状に形成しているが、例えば、図4Aに示すように、基板3に凹部7を形成することもできる。
【0142】
第3実施形態は、配置工程(図4A参照)、封止工程(図4Bおよび図4C参照)および加熱工程(図5D参照)を備える。以下、各工程を詳述する。
【0143】
[配置工程]
図4Aに示すように、凹部7は、基板3の上面において、平面視矩形状に下方に向かって窪むように形成され、凹部7の周辺における基板3の凹部7以外の部分(周辺)によって四方(前後左右方向)を隙間なく取り囲まれている。
【0144】
凹部7の1辺の長さは、例えば、0.8mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、300mm以下、好ましくは、100mm以下である。
【0145】
凹部7の深さH1(上下方向において、凹部7の周辺の上面(以下、周辺上面21とする。)から凹部7の上面(以下、凹部上面14とする。)までの長さ)は、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下、より好ましくは、200μm以下、とりわけ好ましくは、170μm以下であり、また、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上である。
【0146】
また、凹部7の深さH1は、基板3の厚みH2に対して、例えば、90%以下、好ましくは、80%以下であり、また、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上である。
【0147】
そして、複数のLED4を、凹部7に配置する。LED4の厚みは、凹部7の深さH1に対し、例えば、90%以下、好ましくは、80%以下である。
【0148】
[封止工程]
封止工程は、圧接工程(図4B参照)と、大気解放工程(図4C参照)とを備える。
【0149】
(圧接工程)
圧接工程では、まず、封止シート4を用意する。封止層6の厚みH3は、図4Aに示すように、凹部7の深さH1に対して、例えば、50%以上、好ましくは、80%以上、より好ましくは、100%以上であり、また、例えば、900%以下、好ましくは、700%以下、より好ましくは、400%以下である。
【0150】
圧接工程では、次いで、用意した封止シート4を、基板3の上側に間隔を隔てて対向配置させて、真空プレス機などの真空チャンバー内に投入する。
【0151】
次いで、真空チャンバー内を減圧する。具体的には、真空チャンバー内を真空ポンプ(減圧ポンプ)などにより排気する。
【0152】
そして、図4Bに示すように、真空チャンバー内を減圧雰囲気にしながら、真空プレス機のプレス機などにより、封止シート4の封止層6を基板3に圧接させる。
【0153】
圧接工程における減圧雰囲気は、例えば、300Pa以下、好ましくは、100Pa以下、とりわけ好ましくは、50Pa以下である。
【0154】
また、圧接工程における圧接では、封止層6が基板3側(下側)へ押し込まれる(圧接される)量(以下、押し込み量とする)を制御する。
【0155】
押し込み量の制御により、封止層6の下面が、周辺上面21とは密着し、かつ、凹部上面14とは離間するように調整する。
【0156】
具体的には、封止層6を、下記式により示される押し込み量がマイナスであって、押し込み量の絶対値が、凹部7の深さH1よりも小さくなるように調整する。
【0157】
押し込み量=(基板3の底面を基準とする凹部上面14の高さH2+圧接工程前の封止層6の厚みH3)−圧接工程後における基板3の底面を基準とする封止層6の上面の高さH4
押し込み量がプラスであると、圧接工程後の封止層6の厚み(H4−H2)が、圧接工程前の封止層6の厚みH3より薄くなるまで、封止層6が過度に押圧され、封止層6が凹部上面14と密着する。これに対し、押し込み量がマイナスであると、封止層6が、凹部上面14とは離間するように調整される。
【0158】
押し込み量の絶対値が、凹部7の深さH1よりも大きいと、封止層6の下面が、周辺上面21と密着せず、封止層6で凹部7を閉塞することができない。これに対し、押し込み量の絶対値が、凹部7の深さH1よりも小さいと、封止層6が、周辺上面21と密着するように調整される。
【0159】
また、押し込み量(H2+H3−H4)の絶対値は、凹部7の深さH1に対して、例えば、100%未満、好ましくは、95%以下であり、また、例えば、0%超過、好ましくは、10%以上である。
【0160】
圧接工程の温度は、例えば、0℃以上、好ましくは、15℃以上であり、また、例えば、60℃以下、好ましくは、35℃以下である。
【0161】
また、圧接工程では、必要により、封止シート4を押し下げた(押し込んだ)状態で保持する。
【0162】
保持時間は、例えば、5秒以上、好ましくは10秒以上であり、また、10分以下、好ましくは、5分以下である。
【0163】
圧接工程によって、図4Bに示すように、凹部7において基板3と封止層6とに区画される密閉された減圧空間8が形成される。
【0164】
圧接工程は、例えば、第1実施形態の封止工程と同様の温度で、好ましくは、常温で実施される。
【0165】
(大気解放工程)
大気解放工程は、図4Cに示すように、基板3と封止シート4とを大気圧雰囲気下に解放する工程である。
【0166】
圧接工程の後、大気解放工程により、封止層6を、凹部7の形状に追従するように密着させる。
【0167】
具体的には、真空ポンプの運転を停止させて、真空チャンバー内を大気解放する。
【0168】
すると、減圧空間8と大気圧との差圧により、封止層6の上面が下方に向かって押圧され、封止層6の下面は、凹部7の形状に追従するように変形し、凹部7の上面に密着する。
【0169】
大気圧解放工程によって、封止層6が凹部7に密着するようにLED4を封止する。
【0170】
[加熱工程]
図5Dに示すように、第1実施形態と同様に、2段階加熱工程を実施する。
【0171】
その後、図5Eに示すように、剥離層5を封止層6から剥離する。
【0172】
これにより、LED装置1を得る。
【0173】
[作用効果]
このLED装置1の製造方法によれば、圧接工程において、封止層6は、凹部上面14と離間するように圧接される。そのため、LED2の周囲の部材、具体的には、LED2が基板3にワイヤボンディング接続される場合には、封止層6が圧接されるときのワイヤに対する応力を低減することができる。
【0174】
一方で、圧接工程において、封止層6は、減圧雰囲気下で周辺上面21を閉塞するため、凹部7には、基板3と封止層6とに区画される密閉された減圧空間8が形成される。
【0175】
大気圧解放工程において、大気圧が解放されると、減圧空間8と大気圧との差圧により、凹部7に封止層6が隙間なく充填される。そのため、基板3と封止層6との間におけるボイドの発生を抑制することができる。
【0176】
その結果、LED2が基板3にワイヤボンディング接続される場合には、ワイヤ(図示せず)の変形を低減しながら、ボイドの発生を抑制することができる。
【実施例】
【0177】
以下に示す実施例等の数値は、上記の実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
【0178】
実施例1
[配置工程]
複数のLEDを基板の上に配置した。LEDの厚みは、330μm、各LED間の間隔は、1.5mmであった。
[封止工程]
封止シートを用意した。
【0179】
具体的には、ジメチルビニルシリル末端ポリジメチルシロキサン(ビニルシリル基当量0.071mmol/g)20g(1.4mmolビニルシリル基)、トリメチルシリル末端ジメチルシロキサン−メチルヒドロシロキサン共重合体(ヒドロシリル基当量4.1mmol/g)0.40g(1.6mmolヒドロシリル基)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(ヒドロシリル化触媒)のキシレン溶液(白金濃度2質量%)0.036mL(1.9μmol)、および、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH、硬化遅延剤)のメタノール溶液(10質量%)0.063mL(57μmol)を混合し、20℃で10分攪拌し、その混合物100質量部に対して、シリコーン微粒子(トスパール2000B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社社製)を30質量部配合して、均一に攪拌混合することにより、2段階硬化性シリコーン樹脂組成物を得た。
【0180】
続いて、2段階硬化性シリコーン樹脂組成物を、剥離処理したPETフィルムからなる剥離層(厚み50μm、線膨張係数:90×10−6−1)の上に塗工して、塗膜を調製した。
【0181】
次いで、塗膜を、135℃で15分加熱して、厚み1000μmの半硬化(Bステージ状態)の2段階硬化性シリコーン樹脂組成物からなる封止層を作製した。これによって、剥離層と、封止層とを備える封止シートを作製した(図1A参照)。
【0182】
[封止工程]
LEDが実装された基板と、封止シートの封止層とが、厚み方向に対向するように配置し、真空プレス機(型番CV200、ニチゴーモートン社製)の真空チャンバー内に投入した。
【0183】
真空ポンプ(減圧ポンプ)(型番E2M80、エドワーズ社製)で真空チャンバー内を排気し、真空チャンバー内を、常温で、50Paになるまで減圧した。
【0184】
減圧雰囲気下において、真空プレス機により、基板と封止シートとを圧接し、そのまま20℃で、3分保持した。その後、真空ポンプを停止し、真空チャンバー内を大気解放した。
【0185】
このようにして、封止層によって、LEDを封止した(図1B参照)。
【0186】
[加熱工程]
(第1加熱工程)
封止層によって封止されたLEDが実装された基板を、ヒータが装備された平板を備える熱プレス装置に設置した。予めヒータの温度を135℃(第1温度)に設定しており、平板によって、圧力0.5MPaで、10分、封止シートを下側に機械加圧しながら、封止シートを加熱した。
【0187】
(第2加熱工程)
その後、封止シートおよび基板を熱プレス装置から取り出し、次いで、封止シートおよび基板を、乾燥炉に投入した。具体的には、乾燥炉の温度を150℃(第2温度)に予め設定しており、封止シートを2時間加熱した。これによって、封止層をCステージ化、つまり、完全硬化させた。
【0188】
これによって、基板、複数のLEDおよび封止シートを備えるLED装置を製造した。その後、LED装置を、機械加圧装置から取り出して、冷却した後、剥離層を封止層から剥離した。
【0189】
実施例2
第1加熱工程における加熱時間(機械加圧時間)を10分から20分に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、LED装置を製造した。
【0190】
実施例3
第1加熱工程における加熱時間(機械加圧時間)を10分から60分に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、LED装置を製造した。
【0191】
参考例
第1加熱工程における加熱時間(機械加圧時間)を10分から5分に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、LED装置を製造した。
【0192】
比較例1
加熱工程において、2段階加熱工程に代えて、150℃の1段階加熱工程を実施し、また、1段階加熱工程を常圧で実施した以外は、実施例1と同様に処理して、LED装置を製造した。具体的には、乾燥炉を用い、乾燥炉内の温度を150℃に予め設定し、加熱時間を2時間10分(130分)に設定して、封止シートを無負荷で加熱した。
【0193】
比較例2
加熱工程において、2段階加熱工程に代えて、135℃の1段階加熱工程を実施し、また、1段階加熱工程を常圧で実施した以外は、実施例1と同様に処理して、LED装置を製造した。具体的には、乾燥炉を用い、乾燥炉内の温度を135℃に予め設定し、加熱時間を2時間10分(130分)に設定して、封止シートを無負荷で加熱した。
【0194】
(評価)
(圧縮弾性率)
実施例および比較例において、封止工程後、第1加熱工程後、および、第2加熱工程後の封止層の23℃における圧縮弾性率のそれぞれを測定した。圧縮弾性率は、JIS H 7902:2008の記載に準拠して測定される。
【0195】
(封止層および剥離層の変形)
実施例および比較例において、得られたLED装置の封止層および剥離層における反りの有無を目視によって観察した。その結果を表1に示す。
【0196】
(封止層の硬化状態)
実施例および比較例において、得られたLED装置の封止層の硬化状態を圧縮弾性率によって評価した。
【0197】
【表1】
【0198】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0199】
封止層被覆半導体素子および半導体装置の製造方法により得られる封止層被覆半導体素子および半導体装置は、各種半導体用途に用いられる。
図1
図2
図3
図4
図5