【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1〜
図6は本発明の複合高架橋の施工の各工程を示す模式図であり、
図1(a)〜
図6(a)は正面図、
図1(b)〜
図6(b)は側面図である。
【0021】
図1〜
図6において、1は作業規制区域、2は車両、3は高架橋施工予定位置に設置されるCFT(Concrete Filled Tubular)柱、4はCFT柱3上に構築される合成梁である。
【0022】
そこで、高架橋の施工は以下のような手順により行われる。
【0023】
(1)まず、
図1に示すように、車両2の走行領域等を含む作業規制区域1を避けるようにして作業領域を設定する。
【0024】
(2)
図2に示すように、作業機械(図示なし)により高架橋施工予定位置にCFT柱3の建て込みを一部行う。
【0025】
(3)
図3に示すように、CFT柱3上に合成梁4を作業機械(図示なし)により構築する。
【0026】
(4)次いで、
図4に示すように、上記(2)でCFT柱3の建て込みを行っていない位置まで作業機械(図示なし)を移動させ、CFT柱3の建て込みを行う。
【0027】
(5)
図5に示すように、上記(4)で建て込んだCFT柱3上に作業機械(図示なし)により合成梁4を構築する。
【0028】
(6)
図6に示すように、車両2の線路を構築した高架橋上に切り替える。
【0029】
図7は本発明の実施例を示す複合高架橋の側面図、
図8はその複合高架橋の正面図、
図9は本発明の実施例を示す複合高架橋のCFT柱の先端部の斜視図である。
【0030】
これらの図において、11は高架橋、12はCFT柱であり、このCFT柱12は、
図9に示すように、コンクリート12Aを充填した鋼管12Bからなり、高い剛性を持ち、急速施工が可能である。13はCFT柱12上に構築される上層梁鋼箱
桁、14は合成梁床版(RC)であり、この上層梁鋼箱
桁13と合成梁床版14によって
図6に示す合成梁4を形成している。15は高架橋11上を走行する車両、16はCFT柱接合部である。
【0031】
本発明に用いるCFT柱12は、上記したように、コンクリート12Aを充填した鋼管12Bからなり、高い剛性を有しており、かつ従来のRC柱に比べて強度が高く、したがって、設置する本数を減少させることができる。例えば、従来のRC柱を6本で構成していたところを、CFT柱4本に代えることができる。
【0032】
このように、CFT柱を活用することにより、柱・基礎の数を減少させることができ、コストの低減を図ることができる。
【0033】
また、本発明のCFT柱を用いた複合高架橋の施工方法では、急速施工が可能である。すなわち、従来のRC柱を用いた高架橋の施工方法では、RC柱を打設後コンクリートが固化するまでに1週間程度を要し、その間はRC柱に荷重をかけることができないため、コンクリートが固化するまで作業を中断せざるを得なかった。一方、本発明のCFT柱を用いた複合高架橋の施工方法では、鋼管を使用し、その鋼管は溶接やボルトを使用して接合することができるため、コンクリートの固化を待たずにCFT柱に荷重をかけることができ、作業を中断する必要がない。そのため、柱建て込みからの大幅な作業時間の短縮が可能になる。
【0034】
次に、上記
図1〜6で説明した複合高架橋の施工方法における、CFT柱とその上に構築される合成梁との接続について説明する。
【0035】
図10〜
図14は本発明の第1実施例を示す複合高架橋のCFT柱接合部の施工方法(鉄骨差し込み方式)の説明図である。
【0036】
(1)まず、
図10に示すように、CFT柱21の建て込みを行う。つまり、工場において上端にアンカーフレーム22を設けた鋼管を、現場に搬入し、コンクリートを打設する。
【0037】
(2)
図11に示すように、CFT柱21のアンカーフレーム22上に上層梁鋼箱桁23Aを載せる。この上層梁鋼箱桁23Aは、
図11(a)に示すような長尺状の鋼箱桁として形成されており、その断面は、
図11(b)に示すような四角形状に形成されている。この上層梁鋼箱桁23AをCFT柱21のアンカーフレーム22上で水平移動させ、アンカーフレーム22と位置合わせする。
【0038】
(3)
図12に示すように、差し込み鉄骨24を、アンカーフレーム22と上層梁鋼箱桁23Aと
CFT柱21上端部に装着することにより、上層梁鋼箱
桁23
Aの設置を完了する。この差し込み鉄骨24は、
図12(b)(側面図)と
図12(c)(平面図)に示すように、断面十字形状の縦長の板24Aの各先端部に直交する縦長の板24Bが組み合わされた形状をしている。なお、上層梁鋼箱桁23Aの上面には開口部が設けられ、その開口部から差し込み鉄骨24を挿入するようにしている。
【0039】
(4)
図13に示すように、アンカーフレーム22および上層梁鋼箱桁23Aと差し込み鉄骨2
4との空隙にコンクリート25を充填して差し込み鉄骨24を固定する。
【0040】
(5)そして、
図14に示すように、上層梁鋼箱
桁23
Aに合成梁床版26を施工して、合成梁を完成させる。
【0041】
図15〜
図18は本発明の第2実施例を示す複合高架橋のCFT柱接合部
の施工方法(鉄骨差し込み方式)の説明図である。
【0042】
(1)まず、上記した
図10から
図12に示す第1工程から第3工程を施工する。
【0043】
(2)次いで、
図15に示すように、上層梁鋼箱
桁23A内にリング状のコンクリートブロック31を配置する。
【0044】
(3)次に、
図16に示すように、リング状のコンクリートブロック31とアンカーフレーム22とをアンカーボルト32によって固定する。
【0045】
(4)次に、
図17に示すように、上層梁鋼箱桁23A内の空隙にコンクリート33を充填することによって差し込み鉄骨24を固定する。
【0046】
(5)そして、
図18に示すように、上層梁鋼箱
桁23
Aに合成梁床版34を施工して、合成梁を完成させる。
【0047】
このように構成することにより、CFT柱に対して上層梁鋼箱
桁と合成梁床版とからなる合成梁を強固に固定することができる。
【0048】
図19は本発明の実施例を示す複合高架橋の施工時の模式図であり、
図19(a)はその平面図、
図19(b)はその上層梁鋼箱桁の右方の断面図、
図19(c)は上層梁鋼箱桁の分岐部の断面の一例を示す図である。
【0049】
CFT柱21へ差し込み鉄骨24を用いて接合された上層梁鋼箱桁23Aは、添接継手41で互いに接続される。この添接継手41は、添接板42,43およびボルト44,45からなる。また、上層梁鋼箱桁23Aの分岐部と、上層梁横桁23Bとが添接板46とボルト47からなる添接継手によって接続される。
【0050】
このように、本発明ではCFT柱と合成梁を強固に固定し、堅牢な複合高架橋を構築することができる。また、本発明は狭隘な箇所での施工が可能であり、施工期間の短縮とコストの縮減を図ることができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。