(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の従来例においては、複数の車両を同時に充電する充電スケジュールではなく、複数の車両を1台ずつ充電する充電スケジュールであるため、充電の順番が遅い車両の充電量が極端に不足してしまう場合が有る。そうすると、各車両の使用者が車両の充電量に対して不満感を抱くことになる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、契約電力の増加や主幹ブレーカのトリップなどを防ぎつつ、複数の車両を同時に充電するとともに使用者の不満感を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充電制御装置は、それぞれに蓄電池を搭載した複数の車両の前記蓄電池を、電力系統から建物に供給される電力を利用して充電する際の充電量を制御する充電制御装置であって、
前記複数の車両の蓄電池を充電するためのスケジュールを生成するスケジュール生成部と、当該スケジュール生成部で生成された前記スケジュールに従い、前記複数の車両の全部又は一部の車両への充電経路を開閉して前記各車両の充電を入・切する制御部とを備え、前記スケジュール生成部は、
前記各車両に配分する
ことにおいて、前記各車両毎の目標充電量から
、当該目標充電量に対する不足分である余裕量を差し引いた充電量まで充電するための前記スケジュールを生成することを特徴とする。
この充電制御装置において、前記車両以外の負荷機器で消費される電力量を計測する電力計測部をさらに備え、前記スケジュール生成部は、前記電力系統から受電可能な最大電力と前記電力計測部で計測される電力との差分を時間帯別に前記各車両に配分するための前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0009】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記全ての車両における前記余裕量を等しい値に設定することが好ましい。
【0010】
この充電制御装置において、前記車両から当該車両の蓄電池の残量に関する情報を取得する残量情報取得部を備え、前記スケジュール生成部は、前記情報に基づく前記各車両毎の蓄電池の残量と前記目標充電量との差分に対して前記余裕量を一定の割合に設定することが好ましい。
【0011】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記各車両毎の前記目標充電量に対して前記余裕量を一定の割合に設定することが好ましい。
【0012】
この充電制御装置において、前記車両を使用する使用者の操作入力を受け付ける操作入力受付部を備え、前記スケジュール生成部は、前記操作入力受付部で受け付ける操作入力に基づいて前記目標充電量を設定することが好ましい。
【0013】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記各車両の蓄電池の充電容量をそれぞれの車両毎の前記目標充電量とすることが好ましい。
【0014】
この充電制御装置において、前記各車両毎の前記目標充電量を記憶する記憶部を備え、前記スケジュール生成部は、前記記憶部に記憶した前記目標充電量を用いて前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0015】
この充電制御装置において、前記各車両毎に過去の充電量の実績を記憶する記憶部を備え、前記スケジュール生成部は、前記記憶部に記憶した前記過去の充電量の実績に基づいて前記目標充電量を設定することが好ましい。
【0016】
この充電制御装置において、前記各車両毎に割り当てられた優先順位を記憶する記憶部を備え、前記スケジュール生成部は、前記記憶部に記憶された前記優先順位に基づいて前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0017】
この充電制御装置において、前記記憶部は、各車両毎に割り当てられた複数種類の優先順位を記憶し、前記スケジュール生成部は、前記記憶部に記憶された前記複数種類の優先順位に基づいて前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0018】
この充電制御装置において、前記車両を使用する使用者の操作入力を受け付ける操作入力受付部と、前記各車両毎に過去の充電量の実績を記憶する記憶部と、前記使用者に情報を提示する情報提示部とを備え、前記スケジュール生成部は、前記操作入力受付部で受け付ける操作入力に基づいて前記目標充電量を設定するとともに、当該目標充電量から前記余裕量を差し引いた充電量と前記目標充電量との割合を推定し、当該割合を前記情報提示部に提示させることが好ましい。
【0019】
この充電制御装置において、前記車両を使用する使用者に情報を提示する情報提示部を備え、前記スケジュール生成部は、前記使用者からの要求に応じて、前記スケジュールに関する情報を前記情報提示部に提示させることが好ましい。
【0020】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記目標充電量から前記余裕量を差し引いた前記各車両毎の充電量を一括りにして
、充電開始された前記車両には、連続して充電を行うように、前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0021】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、
前記車両の充電に配分可能な時間帯が複数存在する場合、前記差分を相対的に早い時間帯で前記各車両に配分した前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0022】
この充電制御装置において、前記各車両毎に割り当てられた優先順位を記憶する記憶部を備え、前記スケジュール生成部は、前記電力計測部で計測される電力が増加したために既に生成した前記スケジュールを変更する場合、前記記憶部に記憶された前記優先順位が相対的に低い前記車両の充電を後回にするように前記スケジュールを変更することが好ましい。
【0023】
この充電制御装置において、前記各車両毎に割り当てられた優先順位を記憶する記憶部を備え、前記スケジュール生成部は、前記電力計測部で計測される電力が減少したために既に生成した前記スケジュールを変更する場合、前記記憶部に記憶された前記優先順位が相対的に高い前記車両の充電を先に行うように前記スケジュールを変更することが好ましい。
【0024】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記優先順位が相対的に高い前記車両のうちで、前記目標充電量が相対的に低い前記車両を優先的に充電するように前記スケジュールを変更することが好ましい。
【0025】
この充電制御装置において、前記各車両が複数のグループに割り振られるとともに当該複数のグループ毎に割り当てられた優先順位を記憶する記憶部を備え、前記スケジュール生成部は、前記各車両毎の実際の充電量の実績に基づき、同一のグループに属する前記車両のうちで前記充電量の実績が低い前記車両に優先的に充電するように前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0026】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記車両の何れかが充電できないために既に生成した前記スケジュールが実行できないと予測される場合、前記車両を除く他の車両を充電するためのスケジュールを再生成することが好ましい。
【0027】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記スケジュールを再生成する場合、当該再生成の時点で充電中の前記車両を継続して充電するように前記スケジュールを再生成することが好ましい。
【0028】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記スケジュールを再生成する場合、充電できなくなった前記車両以外の車両の前記充電量を変更しないように前記スケジュールを再生成することが好ましい。
【0029】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記車両からの要求に応じて、当該車両が前記充電量まで充電された後も継続して給電されるように前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0030】
この充電制御装置において、前記スケジュール生成部は、前記車両から許可された時間帯で当該車両を充電するように前記スケジュールを生成することが好ましい。
【0031】
この充電制御装置において、前記制御部が実際に前記充電経路を開閉した回数を記憶する記憶部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の充電制御装置は、契約電力の増加や主幹ブレーカのトリップなどを防ぎつつ、複数の車両を同時に充電するとともに使用者の不満感を抑えることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施形態1)
本実施形態の充電制御装置CTを含む充電システムのシステム構成を
図1(a)に示す。この充電システムは、集合住宅や事業所などの建物BDにおいて、複数台の車両(電気自動車やプラグインハイブリッド自動車など)EVにそれぞれ搭載されている蓄電池(図示せず)を充電するためのものである。
【0035】
建物BDにおいては、商用の交流電力系統ACから交流電力が供給される電灯線が主分電盤MB並びに副分電盤SBでそれぞれ分岐されている。図示は省略しているが、主分電盤MBのボックスには主幹ブレーカや多数の分岐ブレーカが収納されており、各分岐ブレーカで分岐された電灯線を介して建物BD内の負荷機器(照明器具や空調機器など)に電力が供給される。同様に、副分電盤SBのボックスにも主幹ブレーカや多数の分岐ブレーカが収納されている。副分電盤SBの分岐ブレーカは遠隔制御が可能なリモコンブレーカRBi(i=1,2,…,n)からなり、これら複数のリモコンブレーカRBiを介して複数のコンセントCSi(i=1,2,…,n)にそれぞれ交流電力が供給される。そして、これら複数のコンセントCSiには、後述するように車両EVへの給電路となる充電ケーブルLxが挿抜自在に接続される。
【0036】
充電制御装置CTは、
図1(b)に示すようにスケジュール生成部1、制御部2、電力計測部3、記憶部4、操作入力受付部5、情報提示部6を備えている。電力計測部3は、主分電盤MBを通じて建物BD内の負荷機器で消費される電力(使用電力)と、副分電盤SBを通じて車両EVに充電される電力(充電電力)とを各別に計測する。但し、電力計測部3の計測結果はスケジュール生成部1を通じて記憶部4に記憶される。
【0037】
記憶部4は、フラッシュメモリなどの電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリからなり、上記電力計測部3の計測結果の他にも、後述するスケジュールや車両EVに関する種々の情報などを記憶している。操作入力受付部5は、キーボードやタッチパネル、あるいはICカードリーダなどの入力デバイスを有し、当該入力デバイスによって入力される種々の操作入力を受け付けてスケジュール生成部1に渡すものである。情報提示部6は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスを有し、文字や画像などを表示デバイスに表示することで種々の情報を使用者に提示するものである。但し、情報提示部6がスピーカを具備し、スピーカから音声を鳴動することで情報を提示しても構わない。
【0038】
スケジュール生成部1は、複数の車両EVの蓄電池を充電するためのスケジュールを生成する。制御部2は、スケジュール生成部1で生成されたスケジュールに従い、副分電盤SBのリモコンブレーカRBiを制御線L2を介して遠隔制御することにより、各車両EVへの充電経路を個別に開閉して各車両EVの充電を入・切する。また制御部2は、各コンセントCSiと充電ケーブルLxとの接続状態を検出する機能も有しており、各コンセントCSi毎の接続状態の検出結果をスケジュール生成部1に渡している。さらに、各車両EVを使用する使用者に固有の識別符号(使用者ID)が割り当てられ、スケジュール生成部1は、使用者IDによって各車両EVを識別する。使用者IDのID番号(1,2,…,M)は充電制御装置CTの記憶部4に記憶(登録)されている。なお、スケジュール生成部1と制御部2と電力計測部3は、CPU(中央演算処理装置)やメモリなどのハードウェアと、各部1〜3の処理を行うためのソフトウェア(プログラム)とで構成されている。
【0039】
従来技術で説明したように、建物BDの主分電盤MB並びに副分電盤SBで受電可能な最大電力は、通常、電力会社との契約電力によって決まる。但し、建物BDに太陽光発電システムや燃料電池システムなどの発電設備が設置されている場合、電力会社との契約電力に発電設備で発電された電力を加算した電力によって最大電力が決まる。そして、建物BDの最大電力の情報(最大電力値)は充電制御装置CTの記憶部4に記憶される。
【0040】
スケジュール生成部1では、
図3に示すように昼の12時を起点とした24時間を1時間毎の時間帯(時間枠)に分割し、合計24個の時間枠に1番から24番までの枠番号を割り当てるとともに(
図3(a)参照)、それぞれの時間枠における最大電力を複数のマス(図示例では縦の8マス)に区切っている。但し、本来は30分以下(望ましくは10分)単位で時間枠を分割することが望ましいが、本実施形態では説明を簡単にするために1時間単位で時間枠を分割している。また本実施形態では、1マスの電力量が2[kWh]に相当する。
図3(b)においては、主分電盤MBを通じて建物BD内の負荷機器に供給される電力量に対応するマスがハッチングされている。したがって、
図3(b)においてハッチングされていない空白のマスが、副分電盤SBを通じて車両EVの充電に使用可能な電力量に相当する。例えば、
図3(b)に示すように12時から13時の1時間の時間帯(枠番号が1番の時間枠)においては、6マス分の電力量(=2×6=12[kWh])が負荷機器で消費され、残り2マス分の電力量(=2×2=4[kWh])が、最大電力を超えない範囲で車両EVの充電に使用可能な電力量となる。但し、スケジュールの生成時点以降の使用電力は本来不明であるので、スケジュール生成部1は、使用電力の過去の実績や季節、天候などに基づいて各時間帯(時間枠)における使用電力を予測し、その予測結果を用いてスケジュールを生成する。
【0041】
ここで、
図2(a)に示すように各車両EVに搭載されている蓄電池の残量をA[kWh]、目標充電量をB[kWh]、充電容量をC[kWh]、余裕量をE[kWh]とすると、スケジュール生成部1は、最大電力と使用電力との差分(
図3(b)においてハッチングされていないマス)を時間帯別に各車両EVに配分するとともに、各車両EV毎の目標充電量Bから所定の余裕量Eを差し引いた充電量(=B-E)まで充電するためのスケジュールを生成する。本来ならば、全ての車両EVの蓄電池を充電容量Cまで満充電することが望ましいが、車両EVの台数と最大電力並びに充電時間との関係で難しい。一方、従来例のように個々の車両EVを順番に充電したのでは、遅い順番の車両EVの充電量が大きく不足して利用者が不満感を抱くことになる。そこで、なるべく多くの台数の車両EVを同時に充電しつつ、満充電できない場合においても使用者の不満感を抑えるため、各車両EVの使用者が要求する目標充電量Bから所定の余裕量Eを差し引いた分(差分)まで充電し、目標充電量Bに対する不足分を各使用者に公平に分けるようにしている。例えば、本実施形態では全ての車両EVにおける余裕量Eを等しい値に設定している(
図2(b)参照)。
【0042】
次に、スケジュール生成部1によるスケジュール生成の手順について説明する。
【0043】
車両EVが建物BDに帰着すると、使用者により車両EVとコンセントCSiが充電ケーブルLxで接続される。この使用者は、充電制御装置CTの操作入力受付部5を用いて、自己のID番号、出発時刻(予定時刻)、目標充電量Bをそれぞれ入力する。操作入力受付部5は、ID番号、出発時刻、目標充電量Bの操作入力を受け付けてスケジュール生成部1に渡す。なお、目標充電量Bについては、次回の走行予定距離[km]を入力し、スケジュール生成部1にて当該車両EVの燃費[km/kWh]と走行予定距離[km]とに基づいて、目標充電量B[kWh]を算出することも可能である。
【0044】
一方、制御部2は、コンセントCSiに充電ケーブルLxが接続されたことを検出してスケジュール生成部1に通知する。そして、スケジュール生成部1は、操作入力受付部5から受け取ったID番号に対して、制御部2から通知された時刻(帰着時刻)、出発時刻、目標充電量Bを対応付けて記憶部4に記憶させる(
図4(a)参照)。ここで、車両EVと制御部2との間で充電ケーブルLxを介したデータ伝送を行い、車両EVに搭載されている蓄電池の残量に関する情報(残量A)を制御部2で取得することができる。よって、スケジュール生成部1は、制御部2が車両EVから取得した蓄電池の残量AもID番号と対応付けて記憶部4に記憶させる。なお、記憶部4では、
図4(a)に示すように各使用者のID番号とそれぞれの使用者が使用する車両EVの帰着時刻、出発時刻、目標充電量B、残量Aの情報(以下、「充電予約情報」と呼ぶ。)をデータテーブルに記憶している。
【0045】
スケジュール生成部1は、帰着時刻と出発時刻を時間枠の枠番号(1〜24)に置き換えるとともに目標充電量Bと残量Aを電力量に対応するマスの個数に置き換えることにより、
図4(b)に示すように記憶部4の充電予約情報を変換する。例えば、1番のID番号の変換前の充電予約情報における帰着時刻が18時0分、出発時刻が翌日の7時0分、目標充電量Bが20[kWh]、残量Aが8[kWh]であれば、変換後の充電予約情報における帰着時刻及び出発時刻の枠番号がそれぞれ7及び20、目標充電量B'及び残量A'のマス個数がそれぞれ10及び4となる。
【0046】
さらにスケジュール生成部1は、変換後の充電予約情報と上述した使用電力の予測結果とに基づいて、余裕量Eをできるだけ少なくし且つ全ての使用者(車両EV)で余裕量Eが均一(望ましくは同一)となるように、制御部2に各リモコンブレーカRBiをオン・オフさせるためのスケジュールを生成する。
【0047】
具体的には、
図5に示すように所定の制約条件の元で目的関数(全ての車両EVにおける余裕量Eの総和)を最小とする最適解を求める、すなわち、最適化問題の解析法を利用することができる。但し、このような最適化問題の解析法は従来周知であるから、詳細な説明を省略する。
【0048】
そして、スケジュール生成部1は、目標充電量Bから余裕量Eを差し引くことで各車両EVの充電量を決定し、当該充電量を満たすように、それぞれの時間帯枠で充電に使用可能な電力のマスを各車両EVに割り当てたスケジュールを生成する。
【0049】
上述のように本実施形態の充電制御装置CTでは、電力系統ACから受電可能な最大電力と電力計測部3で計測される電力との差分を時間帯別に各車両EVに配分するとともに、各車両EV毎の目標充電量Bから所定の余裕量Eを差し引いた充電量まで充電するためのスケジュールをスケジュール生成部1で生成しているので、契約電力の増加や主幹ブレーカのトリップなどを防ぎつつ、複数の車両EVを同時に充電するとともに使用者の不満感を抑えることができる。特に、要求された充電量(目標充電量B)に対する不足分(余裕量E)が全ての車両EVで同等であるため、各車両EVの使用者の不満感を抑えることができる。
【0050】
ところで、必ずしも全ての車両EV(使用者)における余裕量Eを等しい値に設定する必要は無い。例えば、各車両EV毎の蓄電池の残量Aと目標充電量Bとの差分(=B-A)に対して余裕量Eを一定の割合に設定しても構わない。そうすれば、実際に必要な充電量(=B-A)が少ない車両EVほど余裕量Eも少なくなるため、使用者の不満をさらに和らげることができる。この場合、
図6に示すように、
図5に示した制限条件の一部を変更して求めた最適解を用いて、スケジュール生成部1がスケジュールを生成すればよい。
【0051】
あるいは、目標充電量Bに対して余裕量Eを一定の割合に設定しても構わない。そうすれば、要求量(目標充電量B)が少ない車両EVほど余裕量Eも少なくなるため、使用者の不満をさらに和らげることができる。この場合、
図6に示した制限条件における残量A'をゼロとして最適解を求めればよい。
【0052】
また、使用者の入力忘れ等が原因で、充電制御装置CTが目標充電量Bを取得できないことが想定される。このような場合、目標充電量Bの代わりに各車両EVの充電容量Cを用いて余裕量Eを設定すればよい。但し、余裕量Eの設定及びスケジュールの生成については、上述した何れかの制限条件における目標充電量B'を充電容量C'に置き換えて最適解を求めればよい。
【0053】
ここで、車種によっては、充電制御装置CTの制御部2が蓄電池の残量Aの情報を車両EVから取得できないことがある。このような場合、残量Aをゼロとみなして余裕量Eを設定すればよい。但し、余裕量Eの設定及びスケジュールの生成については、上述した何れかの制限条件における残量A'をゼロとして最適解を求めればよい。なお、本実施形態の充電制御装置CTでは、制御部2がスケジュールに従って充電経路を入・切するだけであるから、蓄電池の残量Aが多い車両EVほど満充電(充電容量C)まで充電される可能性が高くなる。
【0054】
ところで、使用者の入力忘れ等が原因で、充電制御装置CTが出発時刻、目標充電量B、残量Aの情報を取得できないことが想定される。あるいは、使用者の使用形態(出発時刻、帰着時刻、走行距離など)がほぼ決まっている場合、使用者が目標充電量Bなどの情報を毎回(毎日)入力すると非常に手間がかかるので、それらの情報入力を省略できることが望ましい。そこで、予め各使用者が自己の使用形態(出発時刻、帰着時刻、走行距離など)の情報を充電制御装置CTに登録しておき、スケジュール生成部1は、予め登録されている使用形態の情報に基づいてスケジュールを生成すればよい。あるいは、使用者が自己の使用形態の情報を登録する代わりに、記憶部4に記憶している使用者の使用形態(出発時刻、帰着時刻、目標充電量など)の実績(履歴)に基づいて、スケジュール生成部1がスケジュールを生成してもよい。例えば、過去の出発時刻、帰着時刻、目標充電量などの平均値を求め、当該平均値を用いればよい。
【0055】
ここで、スケジュール生成部1が、操作入力受付部5で受け付ける操作入力に基づいて目標充電量Bを設定するとともに目標充電量Bから余裕量Eを差し引いた充電量(=B-E)と目標充電量Bとの割合(達成率:(B-E)/B×100[%])を推定し、推定した達成率を情報提示部6に提示させることが望ましい。つまり、使用者が目標充電量Bを入力した時点で、実際にどの程度まで充電されるかという目安(達成率)が情報提示部6から使用者に提示されるので、使用者が目標充電量Bを見直したり、事前に達成率を知ることにより、使用者の不満を和らげることができる。
【0056】
また、制御部2がスケジュールに従ってリモコンブレーカRBiの制御を行っている間、スケジュール生成部1がスケジュールに関する情報、例えば、各車両EVの充電量(残量)や充電終了の予想時刻、充電の異常、過去の充電実績などを情報提示部6から使用者に適宜提示させることが望ましい。これにより、使用者にとっての利便性が向上する。
【0057】
ところで、主分電盤MBの分岐ブレーカのうちで副分電盤SBに接続されている分岐ブレーカのトリップを防ぐため、例えば、副分電盤SBの主幹ブレーカに流れる電流を計測し、前記分岐ブレーカの定格容量と当該電流計測値との差分に基づいて、充電に使用可能な電力を算出しても構わない。
【0058】
(実施形態2)
本実施形態の充電制御装置CT並びに充電システムの構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0059】
本実施形態の充電制御装置CTは、各車両EV毎(実際はそれぞれの車両EVの使用者毎)に割り当てられた優先順位を記憶部4に記憶し、記憶部4に記憶された優先順位に基づいて、スケジュール生成部1がスケジュールを生成する点に特徴がある。
【0060】
例えば、車両EVの蓄電池を充電するために要した電力の電気料金が各使用者毎に課金され、且つ基本料金並びに単価が異なる複数通りの課金条件が設定されているとしたとき、各車両EV(使用者)に対して、
図7(a)に示すような課金条件に応じた優先順位が設定される。図示例では、基本料金並びに単価の高い順に3通りの課金条件S1,S2,S3があり、これら3通りの課金条件S1,S2,S3に対して1番から3番までの優先順位が割り当てられている(
図7(b)参照)。
【0061】
スケジュール生成部1は、
図7(c)に示すように使用者全員の優先順位の数値の合計を分母とし、各使用者毎の優先順位の数値を分子とする係数を、使用者全員の余裕量の合計E'に乗算する。故に、優先順位が高い(数値が小さい)使用者の車両EVほど、余裕量が少なくなって充電量が増えることになる。
【0062】
また、課金条件だけでなく、帰着時刻に基づく優先順位も考慮してスケジュールを生成しても構わない。このとき、課金条件と帰着時刻の2種類の優先順位に対して重み付け(優先割合)を設定してもよく、例えば、
図8(a)に示すように課金条件の優先割合を0.6、帰着時刻に基づく優先順位の優先割合を0.4とする。但し、各種類の優先割合の合計値を1とする。
【0063】
例えば、使用者ID番号が1番,2番,3番の使用者の各車両EVがそれぞれ7番目,8番目,9番目の時間枠で帰着し、各使用者の課金条件がそれぞれS1,S3,S3であると仮定する。このとき、スケジュール生成部1は、
図8(b)に示すように課金条件に対する使用者全員の優先順位の数値の合計を分母とし、各使用者毎の優先順位の数値を分子とする係数に優先割合の0.4を掛けた値と、使用者全員の帰着時刻の時間枠の数値の合計を分母とし、各使用者毎の帰着時刻の時間枠の数値を分子とする係数に優先割合の0.6を掛けた値との和を、使用者全員の余裕量の合計E'に乗算する。故に、課金条件の優先順位が高く且つ帰着時刻の早い使用者の車両EVほど、余裕量が少なくなって充電量が増えることになる。
【0064】
上述のように、スケジュール生成部1が1乃至複数種類の優先順位に基づいてスケジュールを生成すれば、使用者の不満をより一増和らげることができる。
【0065】
(実施形態3)
上述したように充電制御装置CTは、自らが生成したスケジュールに従ってリモコンブレーカRBiを開閉することで各車両EVの充電を入・切している。例えば、
図9(a)に示すように使用者ID番号が1番,2番,3番の使用者の各車両EVがそれぞれ1〜7番目の時間枠で充電されるスケジュールが生成されているものとする。なお、
図9では充電予定のある時間枠がハッチングされ、充電予定のない時間枠が空白となっている。
【0066】
図9(a)のスケジュールでは、1番目の時間枠で使用者ID番号が1番と2番の使用者の各車両EVが充電され、2番目の時間枠で使用者ID番号が2番と3番の使用者の各車両EVが充電され、3番目の時間枠で使用者ID番号が1番と3番の使用者の各車両EVが充電される。そして、使用者ID番号が1番の使用者の車両EVであれば、1番目の時間枠と2番目の時間枠、2番目の時間枠と3番目の時間枠、4番目の時間枠と5番目の時間枠、5番目の時間枠と6番目の時間枠のそれぞれの切り換わりの時点でリモコンブレーカRBiが切り換えられる。つまり、1〜7番目の時間枠の合計時間の間にリモコンブレーカRBiが4回切り換えられることになり、リモコンブレーカRBiの寿命が短くなってしまう虞がある。特に、時間枠が短くなればなるほど、1日当たりの切換回数も増加することになるので、ますます寿命が短くなる可能性が高い。
【0067】
そこで本実施形態の充電制御装置CTでは、目標充電量Bから余裕量Eを差し引いた各車両EV毎の充電量を一括りにして、スケジュール生成部1がスケジュールを生成するようにしている。つまり、一旦充電が開始された車両EVには、可能な限り連続して充電を行うようにスケジュールが生成されれば、リモコンブレーカRBiの切換回数を減らして寿命の短縮化を抑制することができる。
【0068】
例えば、
図9(b)に示すスケジュールでは、使用者ID番号が1番の使用者の車両EVが1〜4番目の時間枠で連続して充電され、使用者ID番号が2番の使用者の車両EVが1〜5番目の時間枠で連続して充電され、使用者ID番号が3番の使用者の車両EVが5〜7番目の時間枠で連続して充電される。この場合、
図9(a)に示すスケジュールと比較して、使用者ID番号が3番の使用者の車両EVの時間枠が1つ減っているが、他の2台の車両EVの時間枠が何れも5つずつで変わらない。よって、
図9(a)のスケジュールと
図9(b)のスケジュールを比較した場合、ID番号が3番の使用者が若干の不満を抱く可能性があるが、ID番号が1番と2番の使用者が不満を抱く可能性は低いと考えられる。
【0069】
次に、本実施形態におけるスケジュール生成部1の具体的なスケジュール生成の手順を説明する。ただし、以下の説明において、iは使用者ID番号、jは時間枠の番号、r
iは各使用者ID番号毎の保証割合、α
iは各使用者ID番号毎の充電時の電力、D
iは各使用者ID番号毎の要求充電時間(時間枠の個数)、Q
iは各使用者ID番号毎の充電達成率、Lは契約電力、S
iは各使用者ID番号毎の充電枠数、Ecom
jは時間枠jにおいて車両EVの充電以外で使用される電力(以下、「共用部電力」と呼ぶ。)、T
in,i、T
out,iは各使用者ID番号毎の帰着時刻及び出発時刻、P
iは各使用者ID番号毎の優先度を示す定数である。また、x
ijは各使用者ID番号毎の時間枠jにおける充電状態、t
iは各使用者ID番号毎の要求量(目標充電量B)に対する不足量、Vは第2段階においてスケジュールの実行可能性を確認するための変数である。
【0070】
まず第1段階として、
図10(a)に示すように各車両EV(使用者)毎の充電達成率(=充電量/要求量<目標充電量B>)の総和の最大化を目的関数とし、所定の制約条件の元で当該目的関数を最大とする最適解が求められる。すなわち、使用者の要求量(目標充電量B)に対して、r
i分の充電要求が達成できるような各使用者ID番号毎の充電時間(時間枠の個数)を見積もる。解(充電時間)を導出した結果、r
i分の充電要求が達成できない場合、各使用者ID番号の充電達成率を減少させたときの充電時間を達成するまで解の導出を繰り返す。このようにして決定されたr
i分の充電要求が最低条件として保証される。
【0071】
次に第2段階として、各使用者ID番号毎の充電時間を一括りとして、すなわち、各使用者ID番号毎の充電時間を連続させるものとして、
図10(b)に示すように目的関数である変数Vが最小となるの最適解を求めることでスケジュールが生成される。このとき、各使用者ID番号毎の充電時間を連続させることができないならば、各使用者ID番号毎の充電時間(時間枠)を一つずつ減少させながら、実行可能な解(変数V)が得られるまで解の導出を繰り返す。
【0072】
上述のように本実施形態によれば、各使用者ID番号毎の充電時間を一括りとして、すなわち、各使用者ID番号毎の充電時間を連続させるようなスケジュールが生成されるので、リモコンブレーカRBiの切換回数を減らし、リモコンブレーカRBiの寿命短縮を抑制することができる。また、第2段階で各使用者ID番号毎の充電時間を連続させることができないために充電時間(時間枠)を減少させた場合、一括りのスケジュールが生成された後に空きの時間枠に割り当て、第1段階で決定したri分の充電を保証することが望ましい。
【0073】
ところで、
図9(b)に示したスケジュールにおいて、ID番号が3番の使用者の車両EVは、ID番号が1番,2番の使用者の車両EVよりも充電が後回しにされている。このとき、3番のID番号の使用者の車両EVが予定の出発時刻よりも早く出発することになったとすると、変更後の出発時刻においては目標充電量Bに達していないため、使用者が不満を抱く可能性が高い。
【0074】
そこで、上述のように使用者ID番号がi番の使用者の出発時刻T
out,iが早くなった場合、第3段階として、スケジュール生成部1は、当該使用者の車両EVの充電状態x
ijに時刻j毎に傾斜を付けた重みを与えてスケジュールを生成する(
図11参照)。このように生成されるスケジュールによれば、出発時刻T
out,iが早くなった車両EVが優先的に充電され、使用者の不満を抑えることができる。
【0075】
ここで、制御部2が実際に充電経路(リモコンブレーカRBi)を開閉した回数を記憶部4に記憶しておいても構わない。そして、記憶部4に記憶される開閉回数が、リモコンブレーカRBiの寿命(例えば、仕様で保証されている開閉回数)を過ぎた場合、リモコンブレーカRBiの故障時期の予測や交換時期の通知などが情報提示部6に提示されるようにしてもよい。
【0076】
(実施形態4)
上述したように、スケジュール生成部1は、使用電力の過去の実績や季節、天候などに基づいて各時間帯(時間枠)における使用電力を予測し、その予測結果を用いてスケジュールを生成している。しかしながら、実際の使用電力が予測結果に一致するとは限らず、予測結果よりも実際の使用電力が増えることもあれば、減ることもある。
【0077】
実際の使用電力が予測結果よりも増えた場合、当初のスケジュール通りに車両EVを充電すると、契約電力を超えてしまったり、主幹ブレーカがトリップしてしまう虞がある。したがって、このような場合には、当初のスケジュールを変更し、充電される予定であった車両EVのうちの何れかの充電を中止することが望ましい。
【0078】
例えば、当初のスケジュールでは、
図12(a)に示すように1〜7番目の時間枠における利用可能な電力がそれぞれ2マス分ずつあると予測され、使用者ID番号が1番の使用者の車両EVが2〜5番目の時間枠で充電され、使用者ID番号が2番の使用者の車両EVが3〜6番目の時間枠で充電され、使用者ID番号が3番の使用者の車両EVが7番目の時間枠で充電されるものであったとする。そして、実際の充電時において、3番目の時間枠が終了する直前又は終了直後に使用電力が増加して利用可能な電力が2マス分から1マス分に減ったとする。このときスケジュール生成部1は、4番目の時間枠で充電する予定であった2台の車両EVのうちで優先順が低い方の車両EV、例えば、使用者ID番号が1番の使用者の車両EVの充電を中止し、代わりに6番目の時間枠で使用者ID番号が1番の使用者の車両EVを充電するようにスケジュールを変更する(
図12(b)参照)。したがって、変更後のスケジュールでは、4番目の時間枠で充電される車両EVが当初の2台から1台に減少するので、契約電力を超えてしまったり、主幹ブレーカがトリップしてしまう虞がなくなる。
【0079】
一方、
図13(a)に示すように、当初のスケジュールでは1〜3番目の時間枠における利用可能な電力がそれぞれ1マス分ずつあり、4〜7番目の時間枠における利用可能な電力がそれぞれ2マス分ずつあると予測され、使用者ID番号が1番の使用者の車両EVが1〜4番目の時間枠で充電され、使用者ID番号が2番の使用者の車両EVが4〜7番目の時間枠で充電され、使用者ID番号が3番の使用者の車両EVが5〜7番目の時間枠で充電されるものであったとする。そして、実際の充電時において、2番目の時間枠が終了する直前又は終了直後に使用電力が減少して利用可能な電力が1マス分から2マス分に増えたとする。このときスケジュール生成部1は、3番目の時間枠では充電する予定のなかった2台の車両EVのうちで優先順が高い方の車両EV、例えば、使用者ID番号が2番の使用者の車両EVを3番目の時間枠で充電するようにスケジュールを変更する(
図13(b)参照)。したがって、変更後のスケジュールでは、3番目の時間枠で充電される車両EVが当初の1台から2台に増加しているので、各車両EVを効率よく充電することができる。
【0080】
ここで、利用可能な電力の増加分が割り当てられる車両EVは、必ずしも優先順位が高い方の車両EVである必要は無い。例えば、
図13(a)に示した当初のスケジュールにおいて、使用者ID番号が2番の車両EVは4〜7番目の時間枠で充電されることにより充電達成率が100%になっていたと仮定する。この場合、使用者ID番号が2番の車両EVに割り当てられている7番目の時間枠を3番目の時間枠に変更するよりも、当該車両EVより優先順位が低い方の車両EV、すなわち、使用者ID番号が3番の車両EVに3番目の時間枠を割り当てることが好ましい。このように、スケジュール生成部1が、優先順位が相対的に高い車両EVのうちで、目標充電量B(充電達成率)が相対的に低い車両EVを優先的に充電するようにスケジュールを変更すれば、後者の車両EVの充電達成率が向上するとともに前者の車両EVに対するスケジュールの変更を回避することができる。
【0081】
(実施形態5)
実施形態1や実施形態2で説明したように、各車両EV毎(実際は各車両EVの使用者毎)に優先順位が割り当てられて充電制御装置の記憶部4に記憶されている。ただし、各車両EVに異なる優先順位が割り当てられるのではなく、例えば、1番〜3番の優先順位が各車両EVに割り当てられる。つまり、全ての車両EVは、優先順位が1番のグループと、優先順位が2番のグループと、優先順位が3番のグループとに振り分けられる。さらに、同一のグループに属する複数台の車両EVには、当該グループ内における順位(優先度)が割り当てられている。
【0082】
ここで、同一のグループに属する車両EVであっても、帰着時刻及び出発時刻については各車両EV毎に異なっている。したがって、グループ内の順位が高い車両EVであっても、例えば、帰着時刻が早い車両EVに比べて、帰着時刻が遅い車両EVの方が充電量(充電達成率)が低くなる傾向にある。
【0083】
そこで、本実施形態におけるスケジュール生成部1では、各車両EV毎の実際の充電量(充電達成率)の実績に基づき、同一のグループに属する車両EVのうちで充電量(充電達成率)の実績が低い車両EVに優先的に充電するようにスケジュールを生成している。例えば、同一グループに属する3台の車両EVについて、各車両EVの充電達成率の過去の実績(平均値)が40%、45%、35%であったと仮定する。このとき、過去の実績が最も低い数値(35%)であった車両EVが優先的に充電されるように、スケジュール生成部1が次回のスケジュールを生成することにより、当該車両EVの使用者が不満を抱く可能性を減らすことができる。
【0084】
(実施形態6)
既に説明したように、充電制御装置のスケジュール生成部1は、各使用者のID番号とそれぞれの使用者が使用する車両EVの充電予約情報に基づいてスケジュールを生成している。しかしながら、充電予約情報の内容(例えば、帰着時刻や出発時刻など)が変更されたり、予約されていた帰着時刻に車両EVが帰着していないために、当初のスケジュール通りに充電が実行できない場合がある。このように、何れかの車両EVが充電できないために既に生成したスケジュールが実行できないと予測される場合、スケジュール生成部1が前記車両EVを除く他の車両EVを充電するためのスケジュールを再生成することが好ましい。
【0085】
ここで、再生成されたスケジュールにおいて、当初のスケジュール通りに充電されていた車両EVの充電が停止されてしまい、当初のスケジュールと比較してリモコンブレーカRBiの開閉回数が増加する虞がある。
【0086】
そこで本実施形態では、スケジュール生成部1がスケジュールを再生成する場合、再生成の時点で充電中の車両EVを継続して充電するようにスケジュールを再生成するようにしている。すなわち、実施形態3で説明したように、決定変数となるx
ij(各使用者ID番号毎の時間枠jにおける充電状態)は、帰着時刻T
in,i以前及び出発時刻T
out,i以降ではゼロ(充電オフ)、帰着時刻T
in,iから出発時刻T
out,iまでの期間ではゼロまたは1(充電オン又はオフ)の値をとる。したがって、スケジュール生成部1がスケジュールを再生成する際、その時点で充電オンである使用者ID番号について、決定変数x
ijに1を与えて最適解を求めれば、再生成の時点で充電中の車両EVを継続して充電するようにスケジュールを再生成することができる(
図10(a)参照)。
【0087】
例えば、当初のスケジュールでは、
図14(a)に示すように1〜7番目の時間枠における利用可能な電力がそれぞれ2マス分ずつあると予測され、使用者ID番号が1番の使用者の車両EVが2〜5番目の時間枠で充電され、使用者ID番号が2番の使用者の車両EVが3〜6番目の時間枠で充電され、使用者ID番号が3番の使用者の車両EVが6〜7番目の時間枠で充電され、使用者ID番号が4番の使用者の車両EVが7番目の時間枠で充電されるものであったとする。そして、使用者ID番号が2番の使用者の車両EVが予定の帰着時刻(2番目の時間枠の開始時刻)までに帰着しなかった場合、スケジュール生成部1がスケジュールを再生成する。この場合、再生成されたスケジュールでは、
図14(b)に示すように2番目の時間枠で充電中であった車両EV(使用者ID番号が1番の使用者の車両)が3番目の時間枠でも引き続き充電される。仮に、使用者ID番号が1番の使用者の車両EVが3番目の時間枠で充電オフされるとした場合、3番目の時間枠において、使用者ID番号が3番,4番の使用者の車両EVが充電されるようなスケジュールが再生成される可能性が高い。その結果、使用者ID番号が1番の使用者の車両EVに接続されているリモコンブレーカRBiの開閉回数が増加してしまうことになる。なお、使用者ID番号が2番の使用者の車両EVの帰着時刻は、スケジュール生成部1によって任意に定めることができる。
【0088】
また、上述のようにして再生成されるスケジュールにおいて、充電予約情報を変更していない使用者の車両EVや予定通りに帰着している車両EVの充電量(あるいは充電達成率)が低下してしまう可能性がある。そこで、
図10(b)に示した第2段階の処理において、スケジュール生成部1が、使用者ID番号毎の充電枠数S
iを、充電予約情報の変更や帰着時刻の遅延等があった使用者ID番号以外の使用者ID番号については当初のスケジュールから変更せずにスケジュールを再生成することが好ましい。これにより、再生成されるスケジュールにおいて、充電予約情報を変更していない使用者の車両EVや予定通りに帰着している車両EVの充電量(あるいは充電達成率)の低下を抑制することができる。ただし、上述のように制約条件を変更したことで最適解が得られない場合、スケジュール生成部1は、充電予約情報の変更や帰着時刻の遅延等があった使用者に対して、要求量(目標充電量B)等の条件を見直す必要がある旨を情報提示部6に提示することが好ましい。
【0089】
(実施形態7)
一部の電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む。以下、同じ。)には、照光装置(ヘッドライト)や空調機器(エアコンディショナ)などの車載機器の電源と、走行用のモータの電源とを1つの蓄電池で兼用しているものがある。そして、このような電気自動車には、家庭用のエアコンディショナと同様に、予め設定された時刻に空調機器を運転させる機能(プレ空調機能と呼ばれる。)が搭載されている。プレ空調が行われる場合、電気自動車への給電路(充電経路)が開成されていると、蓄電池の電力が消費されて目標充電量Bを下回ってしまうことになる。
【0090】
そこで本実施形態では、プレ空調の実行が設定されている車両EVについて、プレ空調が実行される時間帯に充電経路を開成しない、すなわち、充電が行われるようなスケジュールがスケジュール生成部1で生成されるようにしている。
【0091】
例えば、使用者が次回の充電予約を行う際、出発時刻の30分前よりプレ空調を行うという設定入力が操作入力受付部5で受け付けられ、当該プレ空調の設定(プレ空調が実行される時間帯)が他の充電予約情報とともに記憶部4に記憶される。そして、記憶部4に記憶されている充電予約情報にプレ空調の実行時間帯が含まれている場合、スケジュール生成部1が、当該実行時間帯における決定変数x
ijに1を与えて最適解を求めれば、当該実行時間帯における当該使用者の車両EVへの充電を行うスケジュールが生成できる。ただし、プレ空調の実行時間帯における充電オン制御は、蓄電池の充電のためではなくプレ空調のための充電(給電)であるから、当該実行時間帯は充電達成率に影響を与えないものとする。
【0092】
ここで、プレ空調のための給電(充電)により、プレ空調を行っている車両EV及びその他の車両EVの充電時間が短縮される事態を回避することが好ましい。そのためには、スケジュール生成部1がプレ空調の実行時間帯を考慮せずにスケジュールを生成した後、各使用者の充電枠数S
iを変更せずに、実行時間帯における決定変数x
ijに1を与えて最適解を求め直すことでスケジュールを再生成すればよい。
【0093】
上述のように、車両EVからの要求(プレ空調の実行)に応じて、当該車両EVが目標充電量Bまで充電された後も継続して給電されるように、スケジュール生成部1がスケジュールを生成することにより、各車両EVの充電に影響を与えず且つ既に充電された電力が消費されることを抑えることができる。
【0094】
ただし、上述の手順で最適解が求められない場合、スケジュール生成部1が、プレ空調の実行を予約した使用者に対して、蓄電池に充電された電力を消費してでもプレ空調を実行するか否かを確認するためのメッセージを情報提示部6に提示させることが好ましい。
【0095】
(実施形態8)
一部の電気自動車には、電気料金が昼間よりも安価である深夜の時間帯に充電が行われるように充電を制御する機能(充電タイマ機能)が搭載されている。そして、充電タイマ機能が設定されている車両EVではタイマ設定されている充電時間帯以外では充電されないため、充電制御装置によって充電経路が閉成されても充電されないことになる。したがって、充電タイマ機能が設定されている車両EVには充電時間帯の範囲内で充電経路が閉成されるように、スケジュール生成部1がスケジュールを生成する必要がある。
【0096】
例えば、使用者が次回の充電予約を行う際、車両EVにタイマ設定されている充電時間帯が操作入力受付部5で受け付けられ、当該タイマ設定(充電時間帯)が他の充電予約情報とともに記憶部4に記憶される。そして、記憶部4に記憶されている充電予約情報に充電時間帯が含まれている場合、スケジュール生成部1が、当該充電予約情報における帰着時刻T
in,iと出発時刻T
out,iをそれぞれ充電時間帯の開始時刻と終了時刻に設定して最適解を求める。これにより、充電タイマ機能が設定されている車両EVには充電時間帯のみで充電されるようなスケジュールが生成される。