特許第5681161号(P5681161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5681161ゲームシステム、並びにそのプレイ補償制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5681161
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】ゲームシステム、並びにそのプレイ補償制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/493 20140101AFI20150212BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20150212BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20150212BHJP
【FI】
   A63F13/493
   A63F13/79
   A63F13/30
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-260872(P2012-260872)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-104252(P2014-104252A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2013年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(72)【発明者】
【氏名】小西 和馬
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 俊
(72)【発明者】
【氏名】北川 祐希
【審査官】 荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−168080(JP,A)
【文献】 特開2010−227455(JP,A)
【文献】 特開2002−055904(JP,A)
【文献】 特開2007−151602(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/010839(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00−13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置とサーバ装置とがネットワークを介して接続された状態でユーザに前記端末装置を利用してゲームをプレイさせるように構成され、かつ、所定の条件が満たされた場合には、前記ゲームの少なくとも一部として設定された特定範囲のプレイを開始させ、前記特定範囲のプレイ中に前記端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じた場合には前記特定範囲のプレイを終了させるゲーム制御手段を備えたゲームシステムであって、
前記ゲーム制御手段には、前記特定範囲のプレイの開始に対応して第1の通知を生成し、前記特定範囲のプレイが所定の段階まで進んだ場合には前記第1の通知と対をなすべき第2の通知を生成する通知生成手段が設けられ、
前記サーバ装置には、前記ユーザに関連付けられた情報として、前記第1の通知及び前記第2の通知のそれぞれを当該サーバ装置の記憶手段に記録する通知記録手段が設けられ、
さらに、前記ゲーム制御手段には、前記ユーザに関する情報として前記第1の通知が記録される一方で、当該第1の通知と対をなすべき前記第2の通知が記録されていない特定範囲が存在するか否かを判別し、存在する場合には、前記所定の条件が満たされていなくとも当該特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供する補償手段が設けられているゲームシステム。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記ユーザが保有する遊技価値を所定量消費した場合に満たされるように設定され、
前記補償手段は、前記第1の通知が記録される一方で前記第2の通知が記録されていない特定範囲が存在する場合、前記遊技価値を前記所定量消費することなく前記特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供する請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記ユーザが所定額のプレイ料金を支払った場合に満たされるように設定され、
前記補償手段は、前記第1の通知が記録される一方で前記第2の通知が記録されていない特定範囲が存在する場合、前記所定額のプレイ料金の支払いを要することなく前記特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供する請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記ゲーム制御手段の少なくとも一部が前記サーバ装置側に設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記ゲーム制御手段が前記サーバ装置側に設けられ、前記端末装置は前記ゲーム制御手段に対する遠隔入出力装置として利用される請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記端末装置がユーザの個人用途に供されるユーザ端末装置である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記補償手段が提供する機会を通じてユーザが前記特定範囲をプレイした履歴をユーザに対応付けて前記サーバ装置の前記記憶手段に記録する補償履歴記録手段をさらに具備し、
前記補償手段は、前記履歴が所定の限度を超えているユーザに対しては前記プレイする機会の提供に対して所定の制限を設定する請求項1〜6のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項8】
端末装置及びサーバ装置としてそれぞれ機能するコンピュータ装置がネットワークを介して接続された状態でユーザに前記端末装置を利用してゲームをプレイさせるように構成され、かつ、所定の条件が満たされた場合には、前記ゲームの少なくとも一部として設定された特定範囲のプレイを開始させ、前記特定範囲のプレイ中に前記端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じた場合には前記特定範囲のプレイを終了させるゲーム制御手段を備えたゲームシステムに適用されるプレイ補償制御方法であって、前記ゲームシステムのいずれかのコンピュータ装置により、
前記特定範囲のプレイの開始に対応して前記ゲーム制御手段に第1の通知を生成させる手順と、
前記特定範囲のプレイが所定の段階まで進んだ場合、前記ゲーム制御手段に前記第1の通知と対をなすべき第2の通知を生成させる手順と、
前記ユーザに関連付けられた情報として、前記第1の通知及び前記第2の通知のそれぞれを前記サーバ装置の記憶手段に記録する手順と、
前記ユーザに関する情報として前記第1の通知が記録される一方で、当該第1の通知と対をなすべき前記第2の通知が記録されていない特定範囲が存在するか否かを判別し、存在する場合には、前記所定の条件が満たされていなくとも当該特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供する手順と、
実行するゲームシステムのプレイ補償制御方法。
【請求項9】
端末装置及びサーバ装置としてそれぞれ機能する複数のコンピュータ装置がネットワークを介して接続された状態でユーザに前記端末装置を利用してゲームをプレイさせるように構成されたゲームシステムに適用されるコンピュータプログラムであって、
いずれかのコンピュータ装置を、所定の条件が満たされた場合には、前記ゲームの少なくとも一部として設定された特定範囲のプレイを開始させ、前記特定範囲のプレイ中に前記端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じた場合には前記特定範囲のプレイを終了させるゲーム制御手段として機能させるとともに、該前記ゲーム制御手段を、前記特定範囲のプレイの開始に対応して第1の通知を生成し、前記特定範囲のプレイが所定の段階まで進んだ場合には前記第1の通知と対をなすべき第2の通知を生成する通知生成手段として機能させ、
前記サーバ装置として機能するコンピュータ装置を、前記ユーザに関連付けられた情報として、前記第1の通知及び前記第2の通知のそれぞれを当該サーバ装置の記憶手段に記録する通知記録手段として機能させ、
さらに、前記ゲーム制御手段を、前記ユーザに関する情報として前記第1の通知が記録される一方で、当該第1の通知と対をなすべき前記第2の通知が記録されていない特定範囲が存在するか否かを判別し、存在する場合には、前記所定の条件が満たされていなくとも当該特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供する補償手段として機能させる、
ように構成されている、ゲームシステムのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置とサーバ装置とがネットワークを介して接続された状態で端末装置のユーザにゲームをプレイさせるタイプのゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して接続された端末装置とサーバ装置との間でゲームの操作情報や演算処理結果等を通信しつつゲームを進行させるタイプのゲームシステムにおいては、接続に異常が発生するとゲームの進行に大きな影響が生じるため、接続に異常が生じた場合の対策を予め講じておくことが必要不可欠である。例えば、複数のゲーム機から選択されたいずれかのゲーム機をホスト装置として機能させつつそれらのゲーム機間で通信を利用してゲームを進めるゲームシステムにおいて、ホスト装置としてのゲーム機の接続に異常が生じた場合、管理サーバ装置の制御下で別のゲーム機をホスト装置として指定し、以降はそのホスト装置のゲーム機の管理下でゲームを進めるように構成されたゲームシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−254946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゲームシステムでは、接続異常が生じた端末装置をオンラインで進行しているゲームから切り離し、残された端末装置間でゲームを続行させる一方で、切り離された端末装置では、ゲームを強制的に終了させるか、あるいは、オフライン状態でコンピュータが対戦相手に成り代わってゲームが進められるといった例が大半である。しかしながら、そのような仕組みでは、ネットワークから切り離された端末装置のユーザに対して看過できない不利益が生じるおそれがある。例えば、ユーザがゲームを有償でプレイしている途中で接続に異常が生じた場合、ゲームを強制的に終了させると、ユーザに看過できない経済的損失が発生する。あるいは、オフラインでゲームが進められたとしても、オンラインゲームそれ自体は強制的に打ち切られていることに代わりがなく、ユーザが料金に見合った満足感を得られないおそれがある。プレイ料金の問題ばかりでなく、ゲームにて所定の条件が満たされたことに対する特典としてボーナスゲームをプレイする機会をユーザが獲得し、そのボーナスゲームの途中で接続に異常が生じてプレイが強制終了した場合にもユーザに看過できない不利益が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は端末装置とサーバ装置との間の接続に異常が生じた場合におけるユーザの不利益を適切に補うことが可能なゲームシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、端末装置(4)とサーバ装置(2)とがネットワーク(5)を介して接続された状態でユーザに前記端末装置を利用してゲームをプレイさせるように構成され、かつ、所定の条件(一例としてプレイ料金の支払い。)が満たされた場合には前記ゲームの少なくとも一部として設定された特定範囲(一例として図2の各モード)のプレイを開始させ、前記特定範囲のプレイ中に前記端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じた場合には当該特定範囲のプレイを終了させるゲーム制御手段(23)を備えたゲームシステム(1)であって、前記ゲーム制御手段には、前記特定範囲のプレイの開始に対応して第1の通知(Ns1〜Ns3)を生成し、前記特定範囲のプレイが前記所定の段階まで進んだ場合には前記第1の通知と対をなすべき第2の通知(Ne1〜Ne3)を生成する通知生成手段(23、S1、S5)が設けられ、前記サーバ装置には、前記ユーザに関連付けられた情報として、前記第1の通知及び前記第2の通知のそれぞれを当該サーバ装置の記憶手段(22)に記録する通知記録手段(21、S11、S12)が設けられ、さらに、前記ゲーム制御手段には、前記ユーザに関する情報として前記第1の通知が記録される一方で、当該第1の通知と対をなすべき前記第2の通知が記録されていない特定範囲(図2のモード1、3)が存在するか否かを判別し、存在する場合には、前記所定の条件が満たされていなくとも当該特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供する補償手段(23、S21、S22、S26、S27)が設けられたものである。
【0007】
また、本発明のゲームシステムにおけるプレイ補償制御方法は、端末装置(4)及びサーバ装置(2)としてそれぞれ機能するコンピュータ装置がネットワーク(5)を介して接続された状態でユーザに前記端末装置を利用してゲームをプレイさせるように構成され、かつ、所定の条件が満たされた場合には、前記ゲームの少なくとも一部として設定された特定範囲(一例として図2の各モード)のプレイを開始させ、前記特定範囲のプレイ中に前記端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じた場合には前記特定範囲のプレイを終了させるゲーム制御手段(23)を備えたゲームシステム(1)に適用されるプレイ補償制御方法であって、前記ゲームシステムのいずれかのコンピュータ装置により、前記特定範囲のプレイの開始に対応して前記ゲーム制御手段に第1の通知(Ns1〜Ns3)を生成させる手順(S1)と、前記特定範囲のプレイが所定の段階まで進んだ場合、前記ゲーム制御手段に前記第1の通知と対をなすべき第2の通知(Ne1〜Ne3)を生成させる手順(S5)と、前記ユーザに関連付けられた情報として、前記第1の通知及び前記第2の通知のそれぞれを前記サーバ装置の記憶手段(22)に記録する手順(S11、S12)と、前記ユーザに関する情報として前記第1の通知が記録される一方で、当該第1の通知と対をなすべき前記第2の通知が記録されていない特定範囲が存在するか否かを判別し、存在する場合には、前記所定の条件が満たされていなくとも当該特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供する手順(S21、S22、S26、S27)と、を実行するものである。
【0008】
さらに、本発明のコンピュータプログラムは、端末装置(4)及びサーバ装置(2)としてそれぞれ機能する複数のコンピュータ装置がネットワーク(5)を介して接続された状態でユーザに前記端末装置を利用してゲームをプレイさせるように構成されたゲームシステム(1)に適用されるコンピュータプログラムであって、いずれかのコンピュータ装置を、所定の条件(一例としてプレイ料金の支払い。)が満たされた場合には前記ゲームの少なくとも一部として設定された特定範囲(一例として図2の各モード)のプレイを開始させ、前記特定範囲のプレイ中に前記端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じた場合には当該特定範囲のプレイを終了させるゲーム制御手段(23)として機能させるとともに、前記ゲーム制御手段を、前記特定範囲のプレイの開始に対応して第1の通知(Ns1〜Ns3)を生成し、前記特定範囲のプレイが前記所定の段階まで進んだ場合には前記第1の通知と対をなすべき第2の通知(Ne1〜Ne3)を生成する通知生成手段(23、S1、S5)として機能させ、前記サーバ装置として機能するコンピュータ装置を、前記ユーザに関連付けられた情報として、前記第1の通知及び前記第2の通知のそれぞれを当該サーバ装置の記憶手段(22)に記録する通知記録手段(21、S11、S12)として機能させ、さらに、前記ゲーム制御手段を、前記ユーザに関する情報として前記第1の通知が記録される一方で、当該第1の通知と対をなすべき前記第2の通知が記録されていない特定範囲(図2のモード1、3)が存在するか否かを判別し、存在する場合には、前記所定の条件が満たされていなくとも当該特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供する補償手段(23、S21、S22、S26、S27)として機能させる、ように構成されたものである。
【0009】
本発明によれば、所定の条件が満たされて特定範囲のプレイが開始されると、これに対応して第1の通知が生成され、その第1の通知がサーバ装置の記憶手段に記録される。特定範囲のプレイが所定の段階まで進めば第2の通知が生成され、その第2の通知もサーバ装置の記憶手段に記録される。特定範囲のプレイが所定の段階まで進む以前に、端末装置とサーバ装置との間の接続に異常が生じると、ゲーム制御手段はゲームを終了させる。その場合、通知生成手段は第2の通知を生成しない。したがって、サーバ装置の記憶手段には、その特定範囲に関して、第1の通知が記録される一方でその第1の通知と対をなすべき第2の通知が記録されていない状態が生じる。このような状態が生じていれば、接続の異常によって特定範囲のプレイを所定の段階まで進めることができなかったものと判断することができる。その場合、補償手段は、所定の条件が満たされなくとも特定範囲をプレイする機会をユーザに提供する。第2の通知が生成される条件は、接続の異常によってユーザが被った不利益を補償する必要があるか否かの観点から適宜に設定することができる。それにより、接続の異常に起因してユーザが特定範囲を十分にプレイできなかった場合でも、ユーザが被る不利益を適切に補うことができる。
【0010】
本発明の一形態において、前記所定の条件は、前記ユーザが保有する遊技価値を所定量消費した場合に満たされるように設定され、前記補償手段は、前記第1の通知が記録される一方で前記第2の通知が記録されていない特定範囲が存在する場合、前記遊技価値を前記所定量消費することなく前記特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供するものとしてもよい。これによれば、ユーザが遊技価値を消費して特定範囲をプレイしている途中で接続に異常が生じた場合、その後に遊技価値の消費を免除又は軽減して特定範囲をプレイさせることにより、遊技価値の損失を適切に補うことができる。なお、「遊技価値」とは、ゲームのプレイと交換することが可能な価値を意味する。「遊技価値」は、一例として、現金あるいは仮想通貨によって表現される金銭的価値と引き換えにユーザに付与される価値であってもよいし、ゲームの成績に応じた報償としてユーザに付与される価値、あるいは各種のサービスの利用に対する特典として付与される価値であってもよい。
【0011】
本発明の一形態において、前記所定の条件は、前記ユーザが所定額のプレイ料金を支払った場合に満たされるように設定され、前記補償手段は、前記第1の通知が記録される一方で前記第2の通知が記録されていない特定範囲が存在する場合、前記所定額のプレイ料金の支払いを要することなく前記特定範囲をプレイする機会を前記ユーザに提供するものとしてもよい。これによれば、ユーザがプレイ料金を支払って特定範囲をプレイしている途中で接続に異常が生じた場合、その後にプレイ料金の支払いを免除又は軽減して特定範囲をプレイさせることにより、プレイ料金の損失を適切に補うことができる。
【0012】
本発明の一形態においては、前記ゲーム制御手段の少なくとも一部が前記サーバ装置側に設けられてもよい。さらに、前記ゲーム制御手段が前記サーバ装置側に設けられ、前記端末装置は前記ゲーム制御手段に対する遠隔入出力装置として利用されてもよい。ゲーム制御手段の少なくとも一部がサーバ装置側に存在する場合、端末装置とサーバ装置との間の接続に異常が生じればゲームの進行に直ちに影響が生じ、特定範囲のプレイを続けることができない。このような場合に、本発明を適用することによって接続異常時の損失を適切に補うことができる。特に、端末装置がユーザの個人用途に供されるユーザ端末装置の場合には、端末装置とサーバ装置との接続形態が多様化し、接続が不安定となったり、十分な通信帯域が確保できない、といった状態が生じ得る。そのような場合に本発明を適用することにより、接続の異常に対して適切に対処し得るゲームシステムを実現することができる。
【0013】
本発明の一形態において、ゲームシステムは、前記補償手段が提供する機会を通じてユーザが前記特定範囲をプレイした履歴をユーザに対応付けて前記サーバ装置の前記記憶手段に記録する補償履歴記録手段(23、S32)をさらに具備し、前記補償手段(23)は、前記履歴が所定の限度を超えているユーザに対しては前記プレイする機会の提供に対して所定の制限を設定してもよい(S31)。これによれば、接続の異常が頻繁に生じる場合の無制限の補償に歯止めをかけ、補償の仕組みを適切に運用することができる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上に説明したように、本発明によれば、特定範囲のプレイ開始に対応してゲーム制御手段により第1の通知を生成してサーバ装置に記録し、特定範囲のプレイが所定の段階まで進んだ場合にゲーム制御手段より第2の通知を生成してサーバ装置に記録するようにしたので、第1の通知及び第2の通知の記録状態を手掛かりとして、ユーザが特定範囲のプレイを所定の段階まで進められなかったことを判別し、所定の条件が満たされなくともその特定範囲をプレイする機会をユーザに提供することができる。したがって、接続の異常に起因してユーザが特定範囲を十分にプレイできなかった場合でも、ユーザが被る不利益を適切に補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るゲームシステムの全体構成を示す図。
図2】ゲームの有料モードのプレイ中に回線が切断された場合にそのプレイを補償する仕組みを示す概念図。
図3図1のゲームシステムの制御系における補償に関連した要部の機能ブロック図。
図4】仮想ゲーム機制御部が実行するプレイ監視処理、及び当該処理に関連してゲームサービス管理部が実行する通知記録処理のそれぞれの手順を示すフローチャート。
図5】仮想ゲーム機制御部が実行するモード選択処理の手順を示すフローチャート。
図6図5の変形例に係るフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一形態に係るゲームシステムを説明する。まず、図1を参照して、ゲームシステムの全体構成を説明する。ゲームシステム1は、サーバ群2と、サーバ群2に所定のネットワーク5を介して接続可能な多数のゲーム機3と、同じくサーバ群2にネットワーク5を介して接続可能な多数のユーザ端末装置4とを含む。サーバ群2は本発明のサーバ装置として機能するコンピュータ装置の集合である。そのサーバ群2には、ゲーム機3やユーザ端末装置4に対して提供すべき機能に応じて、ゲーム管理サーバ部2A、仮想ゲーム機サーバ部2B等といった各種のサーバ部が含まれている。サーバ部2A、2Bが提供する機能については後述する。なお、サーバ部2A、2B…のそれぞれは、単一の物理的なサーバユニットによって構成されてもよいし、複数の物理的なサーバユニットを組み合せた論理的な装置として構成されてもよい。
【0018】
ゲーム機3は、所定のプレイ料金の支払いと引き換えに、そのプレイ料金に対応した範囲でユーザにゲームをプレイさせる商業用(業務用)のゲーム機として構成されている。この種のゲーム機3は、アーケードゲーム機と呼ばれることがある。ゲーム機3は、多数のユーザにゲームを繰り返しプレイさせて収益を上げることを主たる目的として店舗6等の所定の施設に設置されるコンピュータ装置である。なお、店舗6には一以上の適宜数のゲーム機3が設置される。図1では、ゲーム機3を区別せずに描いているが、そのハードウエア構成やゲームの内容は適宜に選択されてよい。ゲーム機3は、特定のゲームに適合する物理的構成(例えば操作部等)を備えた専用機として構成されてもよいし、ソフトウエアの書き換えにより種々のゲームに対応可能な汎用機として構成されてもよい。
【0019】
一方、ユーザ端末装置4は、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供されるコンピュータ装置である。例えば、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ(以下、PCと表記する。)4a、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)のようなモバイル端末装置4bがユーザ端末装置4として利用される。その他にも、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末装置といった、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供される各種のコンピュータ装置がユーザ端末装置4として利用されてよい。ユーザ端末装置4は、各種のコンピュータソフトウエアを実装することにより、サーバ群2が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。
【0020】
ネットワーク5は、サーバ群2の各サーバ部2A、2B…に対してゲーム機3及びユーザ端末装置4をそれぞれ接続させることができる限り、適宜に構成されてよい。一例として、ネットワーク5は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成される。典型的には、WANとしてのインターネット5Aと、サーバ群2及びゲーム機3のそれぞれとインターネット5Aとを接続するLAN5B、5Cとがルータ5Dを介して接続されることにより構築される。ユーザ端末装置4も適宜の構成によりインターネット5Aに接続される。なお、ゲーム機3と店舗6のルータ5Dとの間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機3がサーバ群2と通信可能に接続されてもよい。サーバ群2のサーバ部2A、2B…は、LAN5Cに代えて、又は加えてWAN5Aにより、相互に接続されてもよい。
【0021】
ゲーム管理サーバ部2Aは、ゲーム機3及びユーザ端末装置4のそれぞれのユーザに対して、所定のゲームをプレイするために必要な各種のサービスを提供する。例えば、ゲーム管理サーバ部2Aは、ゲーム機3等からユーザの識別情報を受け取ってそのユーザを識別するサービス、ユーザがゲームをプレイした結果(進行状況、成績、スコア、獲得アイテム等)を記録したプレイデータをゲーム機3から受け取って保存し、あるいはゲーム機3のユーザに提供するサービス、ネットワーク5を介して複数のユーザが共通のゲームをプレイする際にユーザ同士をマッチングさせるサービス、ネットワーク5を介してゲーム機3のプログラムあるいはデータを更新するサービス等を提供することができる。なお、ユーザの識別情報は、ユーザを一意に識別できるものであればよい。例えば、ユーザ毎にユニークに設定されるユーザID、ユーザが所持するカード等の記憶媒体に記録された媒体ID等がユーザの識別情報として利用される。
【0022】
一方、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、ゲーム機3にてプレイ可能なゲームと同一のゲームをユーザ端末装置4のユーザにプレイさせるサービスを提供する。そのサービスの実現のため、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、サーバ用のオペレーティングシステム上にゲーム機3と同一のアプリケーション動作環境を構築し、その動作環境にてゲーム機3と同一のゲームを実行するためのアプリケーションプログラムを動作させる。アプリケーションの動作により、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、ユーザ端末装置4からユーザの入力操作の情報を受け取り、その情報を参照しつつゲームの進行に必要な演算処理を実行する。さらに、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、演算処理の結果として得られたゲーム画像や音声のデータをユーザ端末装置4に送信し、ユーザ端末装置4の表示装置や音声再生装置にゲーム画像やゲーム音声を出力させる。つまり、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、ユーザ端末装置4を遠隔入出力端末として利用しつつ、ゲーム機3と同様の仮想的なゲーム機を論理的装置として生成し、その仮想的なゲーム機の制御の下でユーザ端末装置4のユーザにゲーム機3と同様のゲームをプレイさせる機能を備えている。ユーザ端末装置4のユーザは、仮想ゲーム機サーバ部2Bによって生成される仮想ゲーム機を介して、ゲーム機3と同様にゲーム管理サーバ部2Aが提供する上述したサービスを享受することができる。
【0023】
さらに、図示を省略したが、サーバ群2には、ユーザ端末装置4からアクセスするユーザに対して各種のWebサービスを提供するサーバ部、ユーザに対して、有償サービスを提供する対価としての料金を徴収するサービスを提供するサーバ部も設けられている。Webサービスとしては、例えば、Webサイトを通じてゲームに関する各種の情報をユーザに提供するゲーム情報サービス、ユーザによる情報発信、交換、共有といった交流の場を提供するコミュニティサービスといったサービスがある。また、課金サービスは、例えば、ユーザ毎の仮想通貨の口座をサーバ群2上に開設し、ユーザが現金やクレジットカード等の決済手段を利用して所定の代金を支払うと、その代金に相当する量の仮想通貨をそのユーザの口座に加算される。一方、ユーザが有償サービスを利用する場合には、そのユーザの口座から利用料金に相当する量の仮想通貨を消費する、といった手法により実現される。ゲームのプレイ料金もその利用料金の一種に含まれている。したがって、ユーザは自己の口座に保持されている仮想通貨を消費させることによりゲームのプレイ料金を支払うことが可能である。
【0024】
上述したゲームシステム1においては、サーバ群2と、ゲーム機3あるいはユーザ端末装置4との間の接続に異常が生じると、ゲームの進行に不都合が生じることがある。その典型例として、ゲームのプレイ中にユーザ端末装置4と仮想ゲーム機サーバ部2Bとの間の接続が絶たれた場合(以下、そのような状態を回線の切断と呼ぶことがある。)の問題がある。その場合、仮想ゲーム機サーバ部2Bはユーザの操作情報を取得できず、またユーザ端末装置4は仮想ゲーム機サーバ部2Bからの映像データ等を取得できないため、ゲームを続けることができない。ゲームの少なくとも一部が、プレイ料金の支払いを条件としてプレイ可能となる有料範囲が含まれている場合、その有料範囲のプレイ中に回線が切断すれば、ユーザに損失が発生する。そこで、ゲームシステム1では、有料範囲のプレイ中に回線が切断された場合、次回以降のプレイ機会にてその有料範囲のプレイを補償する(つまり、ユーザに無償でプレイさせる)ための仕組みが実装されている。以下、図2を参照してその一例を説明する。
【0025】
図2では、ユーザ端末装置4のユーザが仮想ゲーム機サーバ部2Bの機能を利用してゲームのモード1、モード2及びモード3をそれぞれプレイした例を示している。「モード」はゲームの構成要素であって、ユーザにはモードの内容に応じたプレイ料金がモード毎に課金される。つまり、各モードはゲームにおける有料範囲に相当する。図2の例においては、ユーザがまず所定のプレイ料金を支払ってモード1のプレイを時刻t1に開始し、そのモード1の中で、ユーザがさらなるプレイ料金を支払ってモード2及びモード3を順次プレイする場合が想定されている。例えばモード1はゲームの基本プレイであり、モード2及びモード3はその基本プレイ中に追加的に発生するプレイである。モード1は、本来であれば時刻t2までプレイ可能であるものの、その途中の時刻txで回線が切断された場合を考える。そして、モード2は時刻txよりも前に終了し、モード3は時刻txにてまだ途中であったとする。この場合、モード2についてはユーザがその全範囲をプレイできたことになる。一方、回線の切断によりモード1、3は途中で終了し、ユーザはモード1及びモード3を最後までプレイすることができなかったことになる。したがって、モード1及びモード3については次回以降のプレイ機会にてユーザに補償すべき場合がある。
【0026】
補償の要否を判断するため、ゲームの制御主体である仮想ゲーム機サーバ部2Bは、有料範囲であるモード1〜3の開始に伴って開始通知(第1の通知)Ns1〜Ns3を生成し、それらの通知Ns1〜Ns3をゲーム管理サーバ2Aに送信する。開始通知Ns1〜Ns3を受け取ったゲーム管理サーバ部2Aは、開始通知Ns1〜Ns3があったことを示す情報をモード1〜3と対応付けて進行管理データD1に記録する。一例として、通知がない状態ではフラグの値を“0”に保持し、通知があった場合にはフラグの値に“1”をセットすることにより、開始通知Ns1〜Ns3があったことを記録する。
【0027】
また、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、ゲームのモード1〜3が所定の段階まで進んだ場合には終了通知Ne1〜Ne3を生成し、それらの通知Ne1〜Ne3をゲーム管理サーバ2Aに送信する。終了通知Ne1〜Ne3を受け取ったゲーム管理サーバ部2Aは、終了通知Ne1〜Ne3があったことを示す情報(一例としてフラグ“1”)をモード1〜3と対応付けて進行管理データD1に記録する。進行管理データD1はユーザとの対応関係を判別するためにユーザの識別情報と対応付けて記録されるが、図2ではその対応関係の図示を省略している。
【0028】
終了通知Ne1〜Ne3を生成する基準となる所定の段階は、補償の要否の観点、言い換えれば、ユーザがプレイ料金に見合った程度までモードをプレイできたか否かの観点から適宜に定めることができる。例えば、モードが完全に終了した時点で終了通知Ne1〜Ne3が生成されてもよい。モードと関連付けられた特定の条件が満たされた場合、そのモードが「所定の段階」まで進んだものとして終了通知Ne1〜Ne3が生成されてもよい。特定の条件としては、モードの成績が所定レベル未満まで低下した場合に満たされるよう設定されてもよい。あるいは、モードをクリアできないことが判明した場合、つまりモードに応じて定められた成績を残せないことが判明した時点で特定の条件が満たされたものとされてもよい。
【0029】
図2に示した例では、モード1及びモード3に関して、終了通知Ne1、Ne3が生成される段階よりも前に回線が切断されているため、それらのモード1、3に対応する終了通知Ne1、Ne3は生成されず、進行管理データD1にも終了通知Ne1、Ne3が記録されない。一方、モード2に関しては、回線の切断前に終了通知Ne2が生成されてゲーム管理サーバ部2Aに送信され、進行管理データD1にその終了通知Ne2が記録される。したがって、進行管理データD1において、モード1及びモード3は、開始通知Ns1、Ns3が記録されていても、それらに対応する終了通知Ne1、Ne3が記録されていないモードであり、モード2は開始通知Ns2及び終了通知Ne2が対をなして記録されているモードであることが把握できる。よって、次回以降に同一ユーザがゲームをプレイする際に進行管理データD1を参照して開始通知と終了通知との対応状況を判別すれば、モード1及びモード3については補償対象であり、モード2については補償対象外であると判断することができる。
【0030】
次に、図3を参照して、上述したプレイの補償を実現するためのゲームシステム1の制御系の要部を説明する。図3に示すように、ゲーム管理サーバ部2Aには、ゲームサービス管理部21及び記憶部22が設けられている。ゲームサービス管理部21は、ゲーム管理サーバ部2Aのコンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)と所定のサーバ用コンピュータプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。ゲームサービス管理部21は上述した各種のゲームサービス(ユーザの認証やマッチング等のサービス)をゲーム機3及びユーザ端末装置4のユーザに対して提供する。また、ゲームサービス管理部21は、仮想ゲーム機サーバ部2Bから送信される開始通知及び終了通知を受け取って進行管理データD1に記録する処理も担当する。
【0031】
記憶部22はハードディスクアレイ等の記憶ユニットによって実現される外部記憶装置である。記憶部22は、一の記憶ユニット上に全てのデータを保持するように構成されてもよいし、複数の記憶ユニットにデータを分散して記憶するように構成されてもよい。記憶部22には各種のデータが記録されるが、図3では上述した進行管理データD1のみが示されている。なお、進行管理データD1はユーザ毎に作成されるが、図3では一人のユーザに対応する進行管理データD1が示されている。記憶部22には、各ユーザのゲームのプレイ状況(履歴、進度、結果、成績等を含む。)を保存したユーザ毎のプレイデータ等も保存されるが、図3では図示を省略した。なお、進行管理データD1はプレイデータとは別のデータとして存在してもよいし、プレイデータの一部として構成されてもよい。
【0032】
一方、仮想ゲーム機サーバ部2Bには、仮想ゲーム機制御部23が設けられている。仮想ゲーム機制御部23は、仮想ゲーム機サーバ部2Bのコンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)と所定のサーバ用コンピュータプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。仮想ゲーム機制御部23は、上述したように、ゲーム機3と同様の仮想的なゲーム機を生成し、ユーザ端末装置4から取得したユーザの操作情報に従って仮想ゲーム機を動作させてゲームに必要な演算制御等を実行する。また、仮想ゲーム機制御部23は、ゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービスをユーザ端末装置4のユーザに提供するために、ゲーム機3と同様にゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービス管理部21に適宜にアクセスする。さらに、仮想ゲーム機制御部23は、自らが実行するゲームの進行を監視し、有料範囲として設定されたいずれかのモードの開始通知及び終了通知を生成してゲーム管理サーバ部2Aに送信する処理も担当する。
【0033】
なお、ゲーム機3には、コンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)と所定のゲーム用アプリケーションプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置としてゲーム制御部31が設けられる。ゲーム制御部31は、ゲーム機3にてユーザにゲームをプレイさせるために必要な各種の演算処理を実行するとともに、必要に応じてゲームサービス管理部21にアクセスしてプレイデータの送受信等を実行する。一方、ユーザ端末装置4には、ゲーム入出力制御部(図ではゲームIO制御部と表記する。)41が設けられる。ゲーム入出力制御部41は、ユーザ端末装置4のコンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)と所定のアプリケーションプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。ゲーム入出力制御部41は、ユーザ端末装置4を仮想ゲーム機制御部23に対する入出力端末装置として動作させるために必要な処理を実行する。
【0034】
次に、図4及び図5を参照して、ゲームの有料範囲に関する補償を制御するためにゲームシステム1にて実行される処理を説明する。図4は、ユーザ端末装置4のユーザが有料範囲のモードをプレイする際に仮想ゲーム機制御部23が実行するプレイ監視処理と、その処理に対応してゲームサービス管理部21が実行する通知記録処理とを示している。なお、ユーザがユーザ端末装置4を介して仮想ゲーム機サーバ部2Bにゲームの開始を指示すると、仮想ゲーム機サーバ部2Bはそのユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23を生成して仮想ゲーム機によるゲームの制御を開始させる。ゲームの開始時点には、ユーザの認証、すなわち、ユーザの識別情報とパスワードとをゲームサービス管理部21に通知してユーザのプレイデータ等を仮想ゲーム機上に呼び込むといった処理が行われる。
【0035】
ゲームにおける有料範囲として設定されているモードのプレイをユーザが要求すると、仮想ゲーム機制御部23はユーザに対してプレイ料金の支払いを要求し、そのプレイ料金をユーザが支払うと、ユーザが要求したモードのプレイを開始させる。なお、ユーザ端末装置4のユーザによるプレイ料金の支払いは、仮想ゲーム機制御部23が不図示の課金処理用のサーバ部にアクセスすることによって実現されるが、その処理は公知の電子的決済方法を適宜に利用すれば足り、課金処理の詳細な説明は省略する。
【0036】
有料範囲のモードのプレイ開始に伴って、仮想ゲーム機制御部23は図4のプレイ監視処理を開始する。プレイ監視処理において、仮想ゲーム機制御部23はまず開始通知を生成し、これをゲーム管理サーバ部2Aに送信する(ステップS1)。この際、ユーザの識別情報、ユーザが選択したモードを識別する情報等も必要に応じて送信される。開始通知の送信を受けて、ゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービス管理部21は通知記録処理を開始し、ユーザの識別情報と対応付けられた進行管理データD1に、ユーザが選択したモードの開始通知があったことを示す情報を記録する(ステップS11)。
【0037】
一方、仮想ゲーム機制御部23は、開始通知の送信後、ユーザ端末装置4と仮想ゲーム機サーバ部2Bとの間にて回線が切断されたか否かを判別する(ステップS2)。回線が切断されている場合、仮想ゲーム機制御部23はユーザが選択したモードのプレイを強制的に終了させ(ステップS3)、その後プレイ監視処理を終える。一方、回線が切断されていない場合、仮想ゲーム機制御部23は所定の終了通知条件が満たされたか否かを判別する(ステップS4)。終了通知条件は、有料範囲としてのモードのプレイが所定の段階まで進んだ場合に満たされるように設定される。所定の段階の設定については上述した通りである。終了通知条件が満たされない場合、仮想ゲーム機制御部23はステップS2の処理に戻る。
【0038】
終了通知条件が満たされた場合、仮想ゲーム機制御部23は終了通知を生成し、これを
ゲーム管理サーバ部2Aに送信する(ステップS5)。この場合も、ユーザの識別情報、ユーザが選択したモードを識別する情報等が必要に応じて送信される。終了通知の送信を受けて、ゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービス管理部21は通知記録処理を開始し、ユーザの識別情報と対応付けられた進行管理データD1に、ユーザが選択したモードの終了通知があったことを示す情報を記録する(ステップS12)。ステップS5にて終了通知を送信すると、仮想ゲーム機制御部23はプレイ監視処理を終える。
【0039】
以上の処理によれば、ユーザが有料範囲としてのいずれかのモードのプレイを開始すると、ゲーム処理の制御主体である仮想ゲーム機制御部23からゲーム管理サーバ部2Aに開始通知が送信されて進行管理データD1に記録され、そのモードが終了通知条件を満たす段階まで進めば終了通知が進行管理データD1に対をなすように記録される。終了通知条件が満たされる以前の段階で回線に切断が生じれば、仮想ゲーム機制御部23がプレイを強制的に終了させ、その場合にはステップS5の処理がスキップされるために終了通知が送信されず、そのモードに関する進行管理データD1には開始通知のみが記録され、対応する終了通知が記録されない。したがって、補償の要否を判別するための進行管理データD1を好適に作成することができる。
【0040】
上記の処理によって作成される進行管理データD1は、ゲーム管理サーバ部2Aの記憶部22にユーザ識別情報と対応付けて保持される。保存された進行管理データD1は、次回以降にユーザがユーザ端末装置4を利用してユーザ認証を済ませ、ゲームを開始する際に仮想ゲーム機制御部23に読み込まれ、モードの補償の要否を判別するために利用される。図5は、ユーザ端末装置4のユーザがゲームのモードを選択する際に仮想ゲーム機制御部23が実行するモード選択処理を示す。モード選択処理において、仮想ゲーム機制御部23は、まずゲーム管理サーバ部2Aから取得したユーザの進行管理データD1をチェックし(ステップS21)、補償対象のモードが存在するか否かを判別する(ステップS22)。補償対象のモードは、上述したように進行管理データD1にて開始通知が記録されている一方で、その開始通知に対応する終了通知が記録されていない状態にあるモードである。
【0041】
補償対象のモードが存在しない場合、仮想ゲーム機制御部23はユーザにモードを選択させ(ステップS23)、そのモードに対応するプレイ料金を課金する(ステップS24)。その後、課金されたプレイ料金が支払われたことを条件として、仮想ゲーム機制御部23はユーザが選択したモードのプレイを開始させ(ステップS25)、その後モード選択処理を終える。ステップS22にて補償対象のモードが存在すると判断された場合、仮想ゲーム機制御部23は補償対象のモードのプレイを希望するか否かをユーザに選択させる(ステップS26)。ユーザが要求しない場合、仮想ゲーム機制御部23はステップS23の処理へ進む。一方、ユーザが補償対象のモードのプレイを要求する場合、仮想ゲーム機制御部23は補償対象のモードのプレイを無償、つまりプレイ料金を課金することなく開始させる(ステップS27)。その後、モード選択処理を終える。なお、複数の補償対象のモードが存在する場合には、ユーザにいずれのモードをプレイするかを選択させてもよい。モード間の相互の関係によっては、補償するモードの順序を仮想ゲーム機制御部23が自動的に決定してもよい。例えば、図2の例では、モード1をまず補償対象としてそのプレイを開始させ、そのプレイの途中でさらにモード3を補償対象としてプレイさせてもよい。
【0042】
以上の形態においては、仮想ゲーム機制御部23が本発明におけるゲーム制御手段に相当し、仮想ゲーム機制御部23は、図4のステップS1及びS5の処理を実行することにより本発明の通知生成手段として機能する。また、ゲームサービス管理部21は図4のステップS11及びS12の処理を実行することにより本発明の通知記録手段として機能する。さらに、仮想ゲーム機制御部23は、図5のステップS21、S22、S26、S27の処理を実行することにより本発明の補償手段として機能する。
【0043】
図6は、図5に示したモード選択処理の変形例を示している。図6のモード選択処理は、接続の異常が頻繁に発生して補償が繰り返される状態に一定の制限を課すために、図5のモード選択処理に対して、ステップS31及びステップS32の処理を追加したものである。まず、ステップS32に関して説明すると、仮想ゲーム機制御部23は、ユーザが補償対象モードのプレイを介した場合、補償履歴を後に解析するための補償履歴情報として、補償したモード、プレイの日付等を記録する。その情報は、仮想ゲーム機制御部23に呼び込まれているユーザのプレイデータ等に記録してもよいし、ゲームサービス管理部21を介して記憶部22に記録してもよい。一方、ステップS31において、仮想ゲーム機制御部23は、ユーザが補償を要求した場合、前回までのステップS32の処理によって記録されている補償履歴情報を参照して補償の回数、頻度等が所定の許容範囲内か否かを判別する。そして、仮想許容範囲内であれば仮想ゲーム機制御部23はステップS27に進んで補償対象モードのプレイを開始させ、許容範囲外であれば補償することなくステップS23へと進む。このような処理を追加することにより、例えば有料プレイの進行が芳しくない場合に意図的に回線を切断してリスタートを図る、といった行為に対して一定の歯止めをかけることができる。なお、図6のステップS32の処理を実行することにより、仮想ゲーム機制御部23は本発明の補償履歴記録手段として機能する。また、仮想ゲーム機制御部23は、ステップS31を否定判断してステップS23へと処理を進めることにより、補償に対して所定の制限を設定するよう動作する。
【0044】
本発明は、上述した形態に限らず、適宜の形態にて実施することができる。例えば、上記の形態では、接続に異常が生じた場合の一例として、接続が絶たれた場合について説明したが、接続の異常はこれに限らない。例えば、端末装置とサーバ装置との間の帯域(通信速度)がゲームの進行に支障が生じるほど低下した場合、接続に異常が生じたと判断して上記の形態と同様の処理を行ってもよい。上記の形態では有料のモードをプレイ料金なし、つまり無料でプレイさせることにより補償を実現したが、補償の形態はこれに限るものではなく、本来のプレイ料金を軽減することによりプレイを補償してもよい。第2の通知を多段階で生成し、モードの終了に近い段階ほど補償時のプレイ料金をより大きく減額する、といった変形も可能である。
【0045】
上記の形態では、ゲームにおける有料範囲として設定された各モードが本発明の特定範囲に相当し、ユーザによるプレイ料金の支払いが特定範囲のプレイに対応する所定の条件に相当する。現金又は仮想通貨(電子通貨)によるプレイ料金の支払いは遊技価値の消費の一形態であり、本発明における遊技価値の消費は、プレイ料金の支払いによる例に限らない。例えば、遊技価値の量が、メダルその他の物理的な遊技媒体の数によって表現される場合には、その遊技媒体の消費数が遊技価値の消費量に相当する。遊技価値の量は、ポイント、クレジットといった通貨単位以外の単位を利用して定量的に表現されてもよい。その場合にはユーザが消費したポイント数等が遊技価値の消費量に相当する。
【0046】
さらに、ゲームにおける特定範囲は遊技価値の消費を条件としてプレイが可能となる例に限らない。例えば、ユーザがゲーム中に所定の賞を引き当てたことを条件としてユーザに特定範囲としてのボーナスゲームをプレイさせるといった場合でも本発明は適用可能である。すなわち、ボーナスゲームのプレイ開始に伴って第1の通知を生成、記録し、ボーナスゲームが所定の段階まで進んだ時点で第2の通知を生成、記録すれば、ボーナスゲームの途中での接続異常に対して、その後にボーナスゲームを無条件で、あるいはユーザにより有利な条件でプレイさせるといった補償も可能である。
【0047】
上記の形態では、ゲーム制御手段がサーバ装置側に設けられ、端末装置が遠隔入出力端末装置として利用される例を説明したが、本発明はそのような例に限らない。例えば、端末装置とサーバ装置とが協働することによりゲーム制御手段が構成される場合、あるいはゲーム制御手段の全部が端末装置側に設けられている場合であっても本発明は適用可能である。本発明における端末装置は、ユーザの個人用途に供されるユーザ端末装置に限定されず、サーバ装置にネットワークを介して接続され、かつユーザがゲームをプレイする際の入力装置及び出力装置として利用される限りにおいて各種のコンピュータ装置を含み得る。例えば図1のゲーム機3を端末装置として本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ゲームシステム、
2 サーバ群(サーバ装置)
2A ゲーム管理サーバ部
2B 仮想ゲーム機サーバ部
3 ゲーム機
4 ユーザ端末装置
5 ネットワーク
21 ゲームサービス管理部(通知記録手段)
22 記憶部(記憶手段)
23 仮想ゲーム機制御部(ゲーム制御手段、通知生成手段、補償手段、補償履歴記録)
図1
図2
図3
図4
図5
図6