(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5682158
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】料金式精米設備
(51)【国際特許分類】
B02B 7/00 20060101AFI20150219BHJP
B02B 7/02 20060101ALI20150219BHJP
【FI】
B02B7/00 101Z
B02B7/00 Q
B02B7/00 104Z
B02B7/02 109
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-147887(P2010-147887)
(22)【出願日】2010年6月29日
(65)【公開番号】特開2012-11277(P2012-11277A)
(43)【公開日】2012年1月19日
【審査請求日】2013年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 努
(72)【発明者】
【氏名】加茂 吉博
(72)【発明者】
【氏名】川端 英臣
(72)【発明者】
【氏名】越智 輝久
(72)【発明者】
【氏名】森 泰一
【審査官】
居島 一仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−102723(JP,A)
【文献】
特開2010−012380(JP,A)
【文献】
実開平08−001063(JP,U)
【文献】
特開2007−203124(JP,A)
【文献】
特開2007−117943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B1/00−7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入ホッパ(1)に投入された玄米を揺動選別盤(3)からなる石抜機(4)に供給して石抜き作業行い、この石抜選別後の玄米を精米機(6)へ供給して精米処理する料金式精米設備において、
石抜機(4)を迂回して精米機(6)へ供給可能の切替手段(8)を設け、
ユーザーの投入した玄米の量の多寡を判定する玄米量判定手段(7)を投入ホッパ(1)に設け、
運転開始時に投入ホッパ(1)内の玄米量が所定量以上の場合には、石抜機(4)を経て精米機(6)で精米処理し、
運転開始時に投入ホッパ(1)内の玄米量が所定量以下の場合には、石抜機(4)を迂回して精米機(6)で精米処理するべく切替手段(8)を切り替えることを特徴とする料金式精米設備。
【請求項2】
料金を投入し、精白度選択スイッチ(32)を操作することで運転を開始し、投入ホッパ(1)に投入された玄米を揺動選別盤(3)からなる石抜機(4)に供給して石抜き作業行い、この石抜選別後の玄米を精米機(6)へ供給して精米処理する料金式精米設備において、
石抜機(4)を迂回して精米機(6)へ供給可能の切替手段(8)を設け、
運転開始時に投入料金が最低料金より多い金額の場合には、石抜機(4)を経て精米機(6)で精米処理し、
運転開始時に投入料金が最低料金の場合には、石抜機(4)を迂回して精米機(6)で精米処理するべく切替手段(8)を切り替えることを特徴とする料金式精米設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が持参した籾や玄米等の穀物を精米処理する料金式精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、石抜装置を備える料金式精米設備にあって、作業の終了工程時に精米機への玄米供給量が少なくなったことを検知した場合に、石抜装置の石抜作業を続けながら石抜装置の異物排出口を開けて一定時間のみ石を排出し、その後引き続いて残留玄米を精米機に供給する石抜き残米処理工程が記載されている。
【0003】
しかしながら、石抜装置は斜め上下に揺動駆動され通気孔を有する揺動選別盤により比重選別を行う構成のため、この選別作業には所定の穀粒層が必要であるが、作業の終了工程にあってはこの穀粒層が十分確保されないため選別精度が悪いばかりか長い作業時間が必要である。この時間短縮のため、又、石等の異物混入防止のため余裕をもって残米処理工程が設定されており、石抜機から排出される異物のなかには少量の玄米、例えば30kgの玄米の精米時には約500gが含まれており、2〜3kgの玄米の精米作業時にはユーザーが受取る白米量目減り感が否めない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3454649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上記の如き従来技術の欠点を解決し、更に効率的な料金式精米設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、かかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を構じた。
請求項1記載の発明は、投入ホッパ(1)に投入された玄米を揺動選別盤(3)からなる石抜機(4)に供給して石抜き作業行い、この石抜選別後の玄米を精米機(6)へ供給して精米処理する
料金式精米設備において、
石抜機(4)を迂回して精米機(6)へ供給可能の切替手段(8)を設け、
ユーザーの投入した玄米の量の多寡を判定する玄米量判定手段(7)を投入ホッパ(1)に設け、
運転開始時に投入ホッパ(1)内の玄米量が所定量以上の場合には、石抜機(4)を経て精米機(6)で精米処理し、
運転開始時に投入ホッパ(1)内の玄米量が所定量以下の場合には、石抜機(4)を迂回して精米機(6)で精米処理するべく切替手段(8)を切り替えることを特徴としたものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、
料金を投入し、精白度選択スイッチ(32)を操作することで運転を開始し、投入ホッパ(1)に投入された玄米を揺動選別盤(3)からなる石抜機(4)に供給して石抜き作業行い、この石抜選別後の玄米を精米機(6)へ供給して精米処理する料金式精米設備において、
石抜機(4)を迂回して精米機(6)へ供給可能の切替手段(8)を設け、
運転開始時に投入料金が最低料金より多い金額の場合には、石抜機(4)を経て精米機(6)で精米処理し、
運転開始時に投入料金が最低料金の場合には、石抜機(4)を迂回して精米機(6)で精米処理するべく切替手段(8)を切り替えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明においては、石抜き、精米作業の作業運転開始時に
投入ホッパ1にユーザーの投入した玄米量の多寡を玄米量判定手段7により判定し、投入玄米量が所定量以下の場合に石抜機4を迂回して精米機6へ供給可能に構成するものであるから、極少量の玄米、例えば1〜2kgといった量を精米処理する場合にあっては、石抜機4を通さないで精米機6で精米処理するため、従来の如き石抜き作業時に発生していた異物と共に混入する玄米を排出する玄米の目減りを防止しユーザーが受け取る精米量に目減り感を与えることを防止できる。更に、石抜機4による残米処理時間等が不要となり作業時間を短縮できるものである。
【0009】
請求項2記載の発明では、
石抜き、精米作業の作業運転開始時にユーザーの投入した玄米量の多寡を投入料金により判定し、投入料金が最低料金の場合に石抜機4を迂回して精米機6へ供給可能に構成するものであるから、極少量の玄米、例えば1〜2kgといった量を精米処理する場合にあっては、石抜機4を通さないで精米機6で精米処理するため、従来の如き石抜き作業時に発生していた異物と共に混入する玄米を排出する玄米の目減りを防止しユーザーが受け取る精米量に目減り感を与えることを防止できる。更に、石抜機4による残米処理時間等が不要となり作業時間を短縮できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
第一図は料金式精米設備の工程図を示すものであって、投入ホッパ1内に投入される玄米は、第1ロータリバルブ9によって第1昇降機2に繰り出され、この第1昇降機2から石抜装置4に供給されて処理されるようになっている。そして、石抜装置4で石抜き処理されたものは、玄米通路10及び残米通路11を経て第2昇降機5に供給され、第2昇降機5にて貯留ホッパ(玄米タンク)12に搬送される。貯留ホッパ12に貯留される玄米は、第2ロータリバルブ13によって順次精米機6に繰出供給され該精米機6によって精白処理がなされて、白米タンク14に排出されるようになっている。
【0012】
前記投入ホッパ1内下部には、投入される穀粒(玄米)の有無を検出する穀粒有無検出センサ15が設けられる。また、この若干上方の投入ホッパ1内には運転開始時に投入される穀粒量が所定量以下か否かを判定する玄米量判定手段である穀粒量センサ7を設けてある。該穀粒量センサ7は、具体的には感圧式の穀粒有無センサであって投入ホッパ1内の容量2kg対応高さ位置に設けてある。
【0013】
第1昇降機2から石抜機4への搬送径路には、供給切替手段となる切替弁8をもうけてあり、第1昇降機2から排出される玄米を石抜機4へ供給する通路16と第2昇降機5へ供給する通路18とに切り替え可能に構成してある。
【0014】
石抜機4は、
図4に示す如く揺動駆動装置19により駆動され通気孔を形成する揺動選別盤3を一方側を高く傾斜して架設し、上方から供給される玄米を揺上げながら比重選別するものである。この揺動作用により石等比重の重いものは下方に沈み揺動選別盤3の上方に送り上げられ異物排出路21へ排出され、又、比重の軽い玄米は下方に流下してホッパ22へ排出され玄米通路10を経て第2昇降機5へ供給される。異物排出路21は一方側に傾斜しその終端にソレノイド23によって駆動される弁を設けてあり、異物を下方の排出路24へ排出可能に構成してある。この排出路24には切替弁25を設けてあり、機外と前述の残米通路11へ切替排出可能に構成してある。又、20は送風ファン、26は石抜機4の受入ホッパであり、該ホッパ26に着脱自在に設ける点検用の蓋27には、混入する金属を取除く為のマグネットセパレーター28を取付てある。該マグネットセパレーター28は玄米の流下方向と直行方向に取り付けることにより、金属の除去率を向上させることができ、また、受入ホッパ26の一側29を開口させておけばマグネットセパレーター28に金属が多く付着しても玄米の流下が円滑である。また、受入ホッパ26下方に位置し、直接玄米が落下する揺動選別盤3対応部分の通気孔をなくしおけば藁屑等が詰まることもない。
【0015】
なお、
図1において投入ホッパ1と白米タンク14との間には操作部30設けてあり、31はユーザー用の操作手順表、32は精白度選択スイッチ、33は料金投入口である・
図2で示すように該料金式精米設備は、ユーザーが作業を行う客室34と各作業機を設置する機械室35とに仕切壁36で分離してある。
【0016】
次に、
図5、
図6に基づき作業工程について説明すると、ユーザーは、手順表31の指示に従って料金を投入し、次に玄米を投入ホッパ1に投入するとともに、精白度選択スイッチ32を設定する。
【0017】
穀粒有無検出センサ15と、穀粒量センサ7が共に穀粒を検知した場合には、投入穀粒量が所定量、即ち、2kg以上と玄米量判定手段7により判断され、通常の石抜き作業と精米作業が行われる。即ち、上記両センサ7,15と料金の投入等により前記第1ロータリバルブ9、第1昇降機2、石抜装置4及び第2昇降機5、第2ロータリバルブ13、精米機4が夫々所定のタイミングで駆動を開始され石抜き作業と精米作業がおこなわれる。この時、切替弁8は通路16側へ玄米を供給可能に位置させる。
【0018】
次に下方の穀粒有無センサ15がOFFで穀粒無しを検出すると、終了動作工程に移り所定時間経過後、第1ロータリバルブ9と、第1昇降機2が停止する。次に、ソレノイド23を作動させて異物排出路21内の異物を下方の排出路24から機外へ排出する。又、所定時間後、排出路24の切替弁25を切替え残米通路11を介して残米を精米機4へ還元することより玄米の回収率を高めている。次に、所定のタイミングをおいて、石抜装置4、第2昇降機5、精米機6等の各部の駆動を停止し作業を終了する。
【0019】
穀粒有無検出センサ15が穀粒を検知し、穀粒量センサ7が穀粒を検知しない場合には、投入穀粒量が所定量、即ち、2kg以下と玄米量判定手段7により判断される。この場合には、切替弁8が切替えられ、第1昇降機2から供給される玄米を通路18へ案内し、石抜機4を迂回し第2昇降機5を介して直接精米機6へ供給する形態に切替わる。
【0020】
この状態で各部が駆動され、精米作業がおこなわれる。即ち、投入ホッパ1内の玄米はロータリバルブ9によって第1昇降機2に供給され、更に、切替弁8により通路18側へ案内され第2昇降機5、ホッパ12、第2ロータリバルブ13を介して精米機6へ送られ精米作業がおこなわれる。
【0021】
このように、玄米量判定手段7により投入穀粒(玄米)量が極めて少量と判断された場合には、石抜機4を迂回して精米機6へ供給することにより、通常の石抜き工程及び残米処理工程を省略し、それらの工程により発生する長時間作業や玄米の目減りを低減し、ユーザーが受取る白米の目減り感をなくすることができる。
【0022】
なお、玄米量判定手段は、穀粒量センサに替えて投入料金による判断、すなわち、最低料金(100円)を投入したときに石抜き処理をしないようにすることも可能であり、又、投入ホッパ1に重量計を設けて投入玄米量を判定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0023】
1 ホッパ
2 第1昇降機
3 揺動選別盤
4 石抜き機
5 第2昇降機
6 精米機
7 玄米量判定手段(穀粒量センサ)
8 供給切替手段