(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る活物質、活物質の製造方法、リチウムイオン二次電池について説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
(活物質)
本実施形態の活物質は、層状構造を有し、
フッ素及びリンが活物質中に均一に分布し、下記組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物である。
Li
yNi
aCo
bMn
cM
dO
xF
z1P
z2 (1)
上記式(1)中、元素MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,Ba及びVから
なる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.
1、1.0≦y≦1.3、0<a≦0.3、0≦b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0
≦d≦0.1、0.07≦z1≦0.15、0.01≦z2≦0.1、1.9≦(x+z
1)≦2.1。
【0018】
ここでいう層状構造とは一般的にLiAO
2(Aは、Co、Ni、Mnなどの遷移金属)と表され、リチウム層、遷移金属層、酸素層が一軸方向に積層した構造である。代表的なものとしてLiCoO
2、LiNiO
2のようなα−NaFeO
2型に属するものがあり、これらは菱面体晶系であり、その対称性から空間群R(-3)mに帰属される。またLiMnO
2は斜方晶系であり、その対称性から空間群Pm2mに帰属され、Li
2MnO
3は、Li[Li
1/3Mn
2/3]O
2とも表記でき、単斜晶系の空間群C2/mに帰属されるが、Li層と[Li
1/3Mn
2/3]層および酸素層が積層した層状化合物である。本実施形態の活物質は、LiAO
2で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の固溶体であって、遷移金属サイトを占める金属元素としてLiをも許容する系である。なお、「固溶体」とは、化合物の混合物とは区別される。例えばLiNi
0.5Mn
0.5O
2粉末やLiNi
0.33Co
0.33Mn
0.34O
2粉末等の混合物は、見かけ上、組成式(1)を満たすものとなったとしても、「固溶体」には含まれない。単なる混合物であれば、X線回折測定を行った場合に観察される各格子常数に対応するピーク位置がそれぞれ異なるため、1本のピークが2本又は3本にスプリットする。一方、「固溶体」では、1本のピークがスプリットしていない。したがって、X線回折測定のピークのスプリットの有無をもって、「固溶体」と混合物を識別できる。以下では、活物質が菱面体晶系の空間群R(-3)m構造を有する場合について説明する。
【0019】
上記組成式(1)で表わされる活物質は、P及びFを含有し、その層状構造の内部にまでP及びFが拡散している。そのため、本実施形態に係る活物質は、LiBF
4,LiAsF
6又はLiPF
6のようなFを含む非水電解質塩が溶解した電解質溶液と高電位で反応し難く、劣化し難い。したがって、本実施形態に係る活物質と非水電解質溶液とを用いたリチウムイオン二次電池は高容量を有し、且つ充放電サイクル耐久性に優れる。
【0020】
(活物質の製造方法)
活物質の製造では、まず活物質の前駆体(第一前駆体)を調製する。前駆体は、下記組成式(2)に対応する組成を有する。
Li
yNi
aCo
bMn
cM
dO
x (2)
上記式(2)中、元素MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0≦y≦1.3、0<a≦0.3、0≦b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.90≦x≦2.05。
【0021】
本実施形態の前駆体は、例えば、Li,Ni,Co,Mn,M及びOを含み、上記組成式(2)と同様に、Li,Ni,Co,Mn,M及びOのモル比がy:a:b:c:d:xである物質である。前駆体の具体例としては、Li,Ni,Co,Mn,Mそれぞれの化合物(例えば塩)及びOを含む化合物を上記のモル比を満たすように配合し、必要に応じて加熱をして得られる混合物である。また、前駆体が含む化合物の一つが、Li,Ni,Co,Mn,M及びOからなる群より選ばれる複数の元素から構成されていてもよい。なお、前駆体の焼成条件(たとえば雰囲気、温度等)により前駆体におけるOのモル比が変化するため、前駆体におけるOのモル比は上記xの数値範囲外であってもよい。
【0022】
前駆体は、下記の化合物を上記組成式(2)に示すモル比を満たすように配合することにより得られる。具体的には、粉砕・混合、熱的な分解混合、沈殿反応、または加水分解等の方法により、下記化合物から前駆体を製造することができる。特に、Mn化合物、Ni化合物及びCo化合物とLi化合物とを水などの溶媒に溶解した液状の原料を混合・撹拌、熱処理する方法が好ましい。これを乾燥することにより、前駆体として、均一な組成を有し、低温で結晶化し易い複合酸化物(第一前駆体)を作製し易くなる。
【0023】
Li化合物:水酸化リチウム一水和物、炭酸リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム等。
Ni化合物:硫酸ニッケル六水和物、硝酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物等。
Co化合物:硫酸コバルト七水和物、硝酸コバルト六水和物、塩化コバルト六水和物等。
Mn化合物:硫酸マンガン五水和物、硝酸マンガン六水和物、塩化マンガン四水和物、酢酸マンガン四水和物等。
M化合物:Al源、Si源、Zr源、Ti源、Fe源、Mg源、Nb源、Ba源、V源(酸化物、フッ化物等)。例えば、硝酸アルミニウム九水和物、フッ化アルミニウム、硫酸鉄七水和物、二酸化けい素、硝酸酸化ジルコニウム二水和物、硫酸チタン水和物、硝酸マグネシウム六水和物、酸化ニオブ、炭酸バリウム、酸化バナジウム等。
【0024】
上記化合物を溶解した溶媒に糖を加えて調製した原料混合物を、さらに混合・撹拌、熱処理してもよい。また、必要に応じて、pHを調整するために、酸を原料混合物に加えても良い。糖の種類は問わないが、入手のしやすさやコストを考えると、グルコース、フルクトース、スクロースなどが好ましい。また糖酸を加えてもよい。糖酸の種類は問わないが、入手のしやすさやコストを考えると、アスコルビン酸、グルクロン酸などが好ましい。糖と糖酸を同時に加えてもよい。さらに、ポリビニルアルコールのように、温水に可溶な合成樹脂を加えてもよい。
【0025】
本実施形態では、第一前駆体の原料混合物中の糖及び糖酸の含有量の合計値(Ms)を、第一前駆体から得られる活物質のモル数に対して、0.08〜2.20モル%に調整することが好ましい。すなわち、第一前駆体中の糖及び糖酸の含有量の合計値は、第一前駆体から得られる活物質のモル数に対して、0.08〜2.20モル%であることが好ましい。第一前駆体の原料混合物中に加えた糖が、酸によって糖酸となり、第一前駆体の原料混合物中の金属イオンとの錯体を形成する。また、糖酸そのものを加えた場合も、糖酸が金属イオンとの錯体を形成する。糖又は糖酸を添加した原料混合物を加熱・攪拌することにより、各金属イオンが原料混合物中に均一に分散する。これを乾燥することにより、均一な組成分布を有する第一前駆体を得易くなる。Msが0.05%より小さい場合、第一前駆体の組成分布を均一にする効果が小さくなる傾向がある。Msが2.20%より大きい場合、糖又は糖酸の添加量に見合っただけの効果が得難くなる。よって、Msが大きい場合、単なる生産コストの増加を引き起こす。
【0026】
第一前駆体の比表面積は0.5〜6.0m
2/gであることが好ましい。これにより、第一前駆体の結晶化(焼結)が進行し易くなり、充放電サイクル耐久性が向上し易くなる。前駆体の比表面積が0.5m
2/gより小さい場合、焼成後の第一前駆体の粒径(リチウム化合物の粒径)が大きくなり、最終的に得られる活物質の組成分布が不均一になる傾向がある。また第一前駆体の比表面積が6.0m
2/gより大きい場合、第一前駆体の吸水量が多くなり、焼成工程が困難になる。第一前駆体の吸水量が多い場合、ドライ環境整備が必要となり、活物質製造のコストが増加する。なお、比表面積は、公知のBET式粉体比表面積測定装置によって測定できる。第一前駆体の比表面積が上記の範囲外である場合、第一前駆体が結晶化する温度が高くなる傾向がある。なお、第一前駆体の比表面積は、粉砕方法、粉砕用メディア、粉砕時間等により調整できる。
【0027】
上記の方法で製造した第一前駆体を焼成する。第一前駆体の焼成によって、層状構造を有し、下記記組成式(2)で表されるリチウム化合物の固溶体(第二前駆体)を得ることができる。なお、下記記組成式(2)で表されるリチウム化合物は、リチウムイオン二次電池の正極活物質として機能するが、P及びFを含む本発明に係る活物質とは異なる。
Li
yNi
aCo
bMn
cM
dO
x (2)
上記式(2)中、元素MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0≦y≦1.3、0<a≦0.3、0≦b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.90≦x≦2.05。
【0028】
第一前駆体の焼成温度は、好ましくは500〜1000℃、より好ましくは700〜980℃である。第一前駆体の焼成温度が500℃未満であると、第一前駆体の焼結反応が十分進行せず、得られるリチウム化合物の結晶性が低くなるから、好ましくない。第一前駆体の焼成温度が1000℃を超えると、焼結体からのLiの蒸発量が大きくなる。その結果、リチウムが欠損した組成のリチウム化合物が生成し易くなる傾向があり、好ましくない。
【0029】
第一前駆体の焼成雰囲気としては、酸素を含む雰囲気が好ましい。具体的な雰囲気としては、不活性ガスと酸素との混合気体、空気等の酸素を含む雰囲気を挙げることができる。第一前駆体の焼成時間は、30分以上であることが好ましく、1時間以上であることがさらに好ましい。
【0030】
リチウム化合物(第二前駆体)を、リチウムイオン二次電池の正極表面に塗布して、リ
チウム化合物の層を形成する。リチウムイオン二次電池は、電解質塩として1M〜1.5MのLiPF
6を溶解させた非水電解質を備える。このリチウムイオン二次電池を1回以上充
電電圧4.6Vまで充電した後、放電させる。この充放電工程により、上記組成式(2)で表されるリチウム化合物(第二前駆体)の結晶構造の内部に、LiPF
6に由来するP及びFが拡散する。その結果、層状構造を有し、
フッ素及びリンが活物質中に均一に分布し、下記組成式(1)で表される本実施形態の活物質が得られる。つまり、上記組成式(2)で表される第二前駆体の層を備えるリチウムイオン二次電池に対して1回以上充放電工程を実施することにより、下記組成式(1)で表される活物質の層(正極活物質層)を備えるリチウムイオン二次電池が完成する。
Li
yNi
aCo
bMn
cM
dO
xF
z1P
z2 (1)
上記式(1)中、元素MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,Ba及びVから
なる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.
1、1.0≦y≦1.3、0<a≦0.3、0≦b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0
≦d≦0.1、0.07≦z1≦0.15、0.01≦z2≦0.1、1.9≦(x+z
1)≦2.1。
【0031】
活物質中のF及びPの含有率は、非水電解質中のLiPF
6の濃度又は充放電の回数によって調整すればよい。非水電解質中のLiPF
6の濃度は、例えば、0.1〜5モル%程度であればよい。充放電回数は1〜5回程度であればよい。
【0032】
上記の充放電工程では、リチウムイオン二次電池の温度を0〜40℃に維持することが好ましい。電池の温度が0℃未満である場合、リチウム化合物内部へのP及びFの拡散が十分に進まない傾向がある。電池の温度が40℃よりも高い場合、過度のP及びFがリチウム化合物内部へ拡散する傾向がある。いずれの場合も、電池の容量及び充放電サイクル特性が向上し難くなる。ただし、充放電時の電池の温度が上記の数値範囲外であっても、本発明の活物質を得ることは可能である。
【0033】
活物質の粉体(正極材料及び負極材料)の平均粒子径は100μμm以下であることが好ましい。特に、正極活物質の粉体の平均粒子径は10μm以下であることが好ましい。このような微小な正極活物質を用いた非水電解質電池では、高出力特性が向上する。
【0034】
所望の粒子径及び形状を有する活物質の粉体を得るためには、粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には、水又はヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、ふるいや風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
【0035】
(リチウムイオン二次電池)
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、互いに対向する板状の負極20及び板状の正極10と、負極20と正極10との間に隣接して配置される板状のセパレータ18と、を備える発電要素30と、リチウムイオンを含む電解質溶液と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、負極20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される負極リード62と、正極10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される正極リード60とを備える。
【0036】
負極20は、負極集電体22と、負極集電体22上に形成された負極活物質層24と、を有する。また、正極10は、正極集電体12と、正極集電体12上に形成された正極活物質層14と、を有する。セパレータ18は、負極活物質層24と正極活物質層14との間に位置している。
【0037】
正極活物質層14が含有する正極活物質は、層状構造を有し、上記組成式(1)で表される。
【0038】
非水電解質電池の負極に用いる負極活物質材料としては、リチウムイオンを析出又は吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li
1/3Ti
5/3]O
4に代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
【0039】
正極活物質層14及び負極活物質層24には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
【0040】
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料が挙げられる。これらの導電剤を単独で用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。
【0041】
特に、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが好ましい。導電剤の添加量は、正極活物質層または負極活物質層の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、0.5重量%〜30重量%がより好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると、必要炭素量を削減できるため好ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
【0042】
結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極活物質層または負極活物質層の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、2〜30重量%がより好ましい。
【0043】
増粘剤としては、通常、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する官能基を有する増粘剤は、例えばメチル化等によりその官能基を失活させておくことが好ましい。増粘剤の添加量は、正極活物質層または負極活物質層の総重量に対して0.5〜10重量%が好ましく、1〜2重量%がより好ましい。
【0044】
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極活物質層または負極活物質層の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
【0045】
正極活物質層または負極活物質層は、主要構成成分およびその他の材料を混練して合剤とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0046】
電極の集電体としては、鉄、銅、ステンレス、ニッケルおよびアルミを用いることができる。また、その形状として、シート、発泡体、メッシュ、多孔体およびエキスパンド格子などを用いることができる。さらに、集電体には任意の形状で穴を開けて用いることができる。
【0047】
非水電解質は、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
さらに、電解液と固体電解質とを組み合わせて使用することができる。固体電解質として、結晶質または非晶質の無機固体電解質を用いることができる。結晶質の無機固体電解質としては、LiI、Li
3N、Li
1+xM
xTi
2−x(PO
4)
3(M=Al、Sc、Y、La)、Li
0.5−3xR
0.5+xTiO
3(R=La、Pr、Nd、Sm)、またはLi
4−xGe
1−xP
xS
4に代表されるチオLISICONを用いることができる。非晶質の無機固体電解質としては、LiI−Li
2O−B
2O
5系、Li
2O−SiO
2系、LiI−Li
2S−B
2S
3系、LiI−Li
2S−SiS
2系、Li
2S−SiS
2−Li
3PO
4系などを用いることができる。
【0049】
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO
4,LiBF
4,LiAsF
6,LiPF
6,LiSCN,LiBr,LiI,Li
2SO
4,Li
2B
10Cl
10,NaClO
4,NaI,NaSCN,NaBr,KClO
4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCF
3SO
3,LiN(CF
3SO
2)
2,LiN(C
2F
5SO
2)
2,LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2),LiC(CF
3SO
2)
3,LiC(C
2F
5SO
2)
3,(CH
3)
4NBF
4,(CH
3)
4NBr,(C
2H
5)
4NClO
4,(C
2H
5)
4NI,(C
3H
7)
4NBr,(n−C
4H
9)
4NClO
4,(n−C
4H
9)
4NI,(C
2H
5)
4N−maleate,(C
2H
5)
4N−benzoate,(C
2H
5)
4N−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられる。これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。特に、本実施形態の活物質は、LiBF
4,LiAsF
6,LiPF
6のようなFを含む電解質塩と化学反応し難く、耐久性が高い。
【0050】
さらに、LiPF
6とLiN(C
2F
5SO
2)
2のようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることが好ましい。これにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また自己放電を抑制することができる。
【0051】
非水電解質には常温溶融塩あるいはイオン液体を用いてもよい。
【0052】
非水電解質における電解質塩の濃度としては、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、0.5mol/l〜2.5mol/lがさらに好ましい。これにより、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得ることができる。
【0053】
非水電解質電池用セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
【0054】
非水電解質電池用セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
【0055】
非水電解質電池用セパレータとしては、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ゲル状態の非水電解質を用いると、漏液を防止する効果がある。
【0056】
以上、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0057】
例えば、非水電解質二次電池の形状は、
図1に示すものに限定されない。例えば、非水電解質二次電池の形状が角形、楕円形、コイン形、ボタン形、シート形等であってもよい。
【0058】
本実施形態の活物質は、リチウムイオン二次電池以外の電気化学素子の電極材料としても用いることができる。このような、電気化学素子としては、金属リチウム二次電池(本発明により得られた活物質を含む電極を正極として用い、金属リチウムを負極として用いたもの)等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池や、リチウムキャパシタ等の電気化学キャパシタ等が挙げられる。これらの電気化学素子は、自走式のマイクロマシン、ICカードなどの電源や、プリント基板上又はプリント基板内に配置される分散電源の用途に使用することが可能である。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
[第一前駆体の作製]
硝酸リチウム12.80g、硝酸コバルト六水和物3.50g、硝酸マンガン六水和物24.20g、硝酸ニッケル六水和物7.55gを蒸留水に溶解させた第一前駆体の原料混合物に、グルコース0.3g及び硝酸1mlを加え、さらにポリビニルアルコール(1wt%水溶液)15mlを加えた。この原料混合物を200℃に加熱したホットプレート上で、蒸留水が蒸発するまで攪拌することにより、黒色の粉末(実施例1の第一前駆体)が得られた。つまり、原料混合物の蒸発乾固により、実施例1の第一前駆体を得た。なお、原料混合物における硝酸リチウム、硝酸ニッケル六水和物、硝酸コバルト及び硝酸マンガン六水和物の配合量の調整により、第一前駆体が含有するLi,Ni,Co及びMnのモル数を、0.15molのLi
1.2Ni
0.17Co
0.08Mn
0.55O
2に相当するように調整した。つまり、実施例1の第一前駆体から、0.15molのLi
1.2Ni
0.17Co
0.08Mn
0.55O
2が生成するように、原料混合物中の各元素のモル数を調整した。原料混合物に添加したグルコース0.3g(0.00167mol)は、実施例1の第一前駆体から得られる活物質のモル数0.15molに対して、1.11モル%とした。
【0061】
[第二前駆体の作製]
第一前駆体を乳鉢で10分程度粉砕した後、900℃で10時間大気中において焼成して、実施例1のリチウム化合物(第二前駆体)を得た。実施例1のリチウム化合物の結晶構造を粉体X線回折法により解析した。実施例2の活物質は、菱面体晶系の空間群R(-3)m構造の主相を有することが確認された。また、実施例2の活物質のX線回折パターンにおいて2θが20〜25°付近に、Li
2MnO
3型の単斜晶系の空間群C2/m構造に特有の回折ピークが観察された。
【0062】
誘導結合プラズマ法(ICP法)による組成分析の結果、実施例1のリチウム化合物(第二前駆体)の組成は、Li
1.2Ni
0.17Co
0.08Mn
0.55O
2であることが確認された。実施例1の第二前駆体中の各金属元素のモル比は、実施例1の第一前駆体における各金属元素のモル比に一致していることが確認された。つまり、第一前駆体中の金属元素のモル比の調整により、第一前駆体から得られるリチウム化合物(第二前駆体)の組成が正確に制御できることが確認された。
【0063】
[正極の作製]
実施例1のリチウム化合物(第二前駆体)と、導電助剤と、バインダーを含む溶媒とを混合して、正極用塗料を調製した。正極用塗料を正極集電体であるアルミニウム箔(厚み20μm)にドクターブレード法で塗布後、100℃で乾燥し、圧延した。これにより、リチウム化合物(第二前駆体)の層及び正極集電体から構成される正極を得た。導電助剤としては、カーボンブラック(電気化学工業(株)製、DAB50)及び黒鉛(ティムカル(株)製、KS−6)を用いた。バインダーを含む溶媒としては、PVDFを溶解したN−メチル−2−ピロリジノン(呉羽化学工業(株)製、KF7305)を用いた。
【0064】
[負極の作製]
実施例1の第二前駆体の代わりに天然黒鉛を用い、導電助剤としてカーボンブラックだけを用いたこと以外は、正極用塗料と同様の方法で、負極用塗料を調製した。負極用塗料を負極集電体である銅箔(厚み16μm)にドクターブレード法で塗布後、100℃で乾燥し、圧延した。これにより、負極活物質層及び負極集電体から構成される負極を得た。
【0065】
[リチウムイオン二次電池の作製]
上で作製した正極、負極とセパレータ(ポリオレフィン製の微多孔質膜)を所定の寸法に切断した。正極、負極には、外部引き出し端子を溶接するために電極用塗料を塗布しない部分を設けておいた。正極、負極、セパレータをこの順序で積層した。積層するときには、正極、負極、セパレータがずれないようにホットメルト接着剤(エチレン−メタアクリル酸共重合体、EMAA)を少量塗布し固定した。正極、負極には、それぞれ、外部引き出し端子としてアルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)を超音波溶接した。この外部引き出し端子に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)を巻き付け熱接着させた。これは外部端子と外装体とのシール性を向上させるためである。正極、負極、セパレータを積層した電池要素を封入する電池外装体として、PET層、Al層及びPP層から構成されるアルミニウムラミネート材料を用いた。PET層の厚さは12μmであった。Al層の厚さは40μmであった。PP層の厚さは50μmであった。なお、PETはポリエチレンテレフタレート、PPはポリプロピレンである。電池外装体を作製では、PP層を外装体の内側に配置させた。この外装体の中に電池要素を入れ電解液を適当量添加し、外装体を真空密封した。これにより、実施例1のリチウム化合物を用いたリチウムイオン二次電池を作製した。なお、電解液としては、エチレンカーボンネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒にLiPF
6を濃度1M(1mol/L)で溶解させたものを用いた。混合溶媒におけるECとDMCとの体積比は、EC:DMC=30:70とした。
【0066】
[活物質の作製]
上記の電池を、電流値30mA/gで4.6Vまで定電流で充電した後、電流値30mA/gで2.0Vまで定電流放電した。充放電工程における電池の温度を25℃に調整した。充放電工程後、正極集電体の表面に形成された活物質に対して、ICP分析及び蛍光X線分析を行った。分析の結果、充放電工程後の正極集電体の表面には、Li
1.2Ni
0.17Co
0.08Mn
0.55O
1.9F
0.08P
0.08で表される実施例1の活物質が形成されていることが確認された。つまり、充放電工程により、実施例1のリチウム化合物(第二前駆体)内に、電解質中のP及びFが導入されることにより、実施例1の活物質が形成されたことが確認された。
【0067】
[電気特性の測定]
上記の充放電工程後の実施例1の電池を、電流値30mA/gで4.6Vまで定電流で充電した後、電流値30mA/gで2.0Vまで定電流放電した。実施例1の放電容量は230mAh/gであった。この充放電サイクルを100サイクル繰返すサイクル試験を行った。試験は25℃で行った。実施例1の電池の初期放電容量を100%とすると、100サイクル後の放電容量は92%であった。以下では、初期放電容量を100%としたときの、100サイクル後の放電容量の割合をサイクル特性という。サイクル特性が高いことは、電池が充放電サイクル耐久性に優れていることを示す。
【0068】
(実施例2〜16,29,30、比較例1,3及び17)
実施例2〜16,29,30、比較例1,3及び17では、第一前駆体の原料混合物の組成を調整することにより、下記表1〜3に示す組成式(2)で表される各リチウム化合物(第二前駆体)を作製した。
【0069】
実施例2では、充放電工程前に、リチウムイオン二次電池が備える電解液中のLiPF
6の濃度を1.5Mに調整した。
【0070】
実施例3では、充放電工程前に、リチウムイオン二次電池が備える電解質として、ECとDMCの混合溶媒にLiPF
6を濃度1M(1mol/L)で溶解させたもの(電解液A)と、ECとDMCの混合溶媒にLiBF
4を濃度1M(1mol/L)で溶解させたもの(電解液B)とを、電解液A:電解液B=70:30の体積比で配合したものを調製した。
【0071】
比較例1では、充放電工程前に、リチウムイオン二次電池が備える電解質として、ECとDMCの混合溶媒にLiPF
6を濃度1M(1mol/L)で溶解させたもの(電解液A)と、ECとDMCの混合溶媒にLiBF
4を濃度1M(1mol/L)で溶解させたもの(電解液B)と、ECとDMCの混合溶媒にLiClO
4を濃度1M(1mol/L)で溶解させたもの(電解液C)とを、電解液A:電解液B:電解液C=40:30:30の体積比で配合したものを調製した。
【0072】
実施例4では、第一前駆体の原料混合物にAl源として硝酸アルミ九水和物を用いた。実施例5では、第一前駆体の原料混合物にSi源として二酸化けい素を用いた。実施例6では、第一前駆体の原料混合物にZr源として硝酸酸化ジルコニウム二水和物を用いた。実施例7では、第一前駆体の原料混合物にTi源として硫酸チタン水和物を用いた。実施例8では、第一前駆体の原料混合物にMg源として硝酸マグネシウム六水和物を用いた。実施例9では、第一前駆体の原料混合物にNb源として酸化ニオブを用いた。実施例10では、第一前駆体の原料混合物にBa源として炭酸バリウムを用いた。実施例11では、第一前駆体の原料混合物にV源として酸化バナジウムを用いた。実施例30では、前駆体の原料混合物にFe源として硫酸鉄七水和物を用いた。
【0073】
以上の事項以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2〜16,29,30、比較例1,3及び17の第一前駆体、リチウム化合物(第二前駆体)、活物質及びリチウムイオン二次電池を作製した。
【0074】
実施例1と同様の方法で、実施例2〜16,29,30、比較例1,3及び17の第二前駆体及び活物質の組成及び結晶構造を分析した。実施例1と同様の方法で、実施例2〜16,29,30、比較例1,3及び17の電池の放電容量及びサイクル特性を評価した。結果を表1〜3に示す。下記の表において、容量が215mAh/g以上であり、且つサイクル特性が88%以上である電池を「A」と評価する。容量が215mAh/g未満である電池、又はサイクル特性が88%未満である電池を「F」と評価する。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
(実施例19〜24)
実施例19〜24では、リチウム化合物(第二前駆体)にP及びFを導入するための充放電工程において、電池の温度を表4に示す値に調整した。この事項以外は、実施例1と同様の方法で、実施例19〜24の第一前駆体、リチウム化合物(第二前駆体)、活物質及びリチウムイオン二次電池を作製した。
【0079】
実施例1と同様の方法で、実施例19〜24の第二前駆体及び活物質の組成及び結晶構造を分析した。実施例1と同様の方法で、実施例19〜24の電池の放電容量及びサイクル特性を評価した。結果を表4に示す。
【0080】
【表4】
【0081】
表1〜4に示す各実施例の第二前駆体の組成及び活物質の組成は、表1〜4に示すものであることが確認された。各実施例の第二前駆体の組成はいずれも、下記組成式(2)の範囲内であることが確認された。各実施例の活物質の組成はいずれも、下記組成式(1)の範囲内であることが確認された。各実施例の第二前駆体及び活物質はいずれも層状構造を有することが確認された。
【0082】
Li
yNi
aCo
bMn
cM
dO
x (2)
[上記式(2)中、元素MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0≦y≦1.3、0<a≦0.3、0≦b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.90≦x≦2.05。]
【0083】
Li
yNi
aCo
bMn
cM
dO
xF
z1P
z2 (1)
[上記式(1)中、元素MはAl,Si,Zr,Ti,Fe,Mg,Nb,Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0≦y≦1.3、0<a≦0.3、0≦b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、0.07≦z1≦0.15、0.01≦z2≦0.1、1.9≦(x+z1)≦2.1。]
【0084】
いずれの実施例の電池でも、放電容量が215mAh/g以上であり、且つサイクル特性が88%以上であることが確認された。
【0085】
各比較例の第二前駆体及び活物質はいずれも層状構造を有することが確認された。しかし、各比較例の活物質の組成はいずれも上記組成式(1)の範囲を外れていることが確認された。その結果、比較例の電池のいずれも、容量が215mAh/g未満であるか、又はサイクル特性が88%未満であることが確認された。
【0086】
表4の実施例19〜22と実施例23,24の比較から、充放電工程における電池の温度を0〜40℃に維持することにより、電池の容量及びサイクル特性が向上することが確認された。