【実施例】
【0044】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
【0045】
実施例1
活性ハロゲン含有アクリルゴム(ユニマテック社製品ノックスタイトPA404K)100重量部、FEFカーボンブラック(東海カーボン社製品シーストSO、窒素吸着比表面積:42m
2/g、DBP吸収量(A法):115cm
3/100g)60重量部、表面処理天然シリカ(ホフマンミネラル社製品アクチジルVM56)20重量部、アミン系老化防止剤(大内新興社製品ノックラックCD)2重量部、ワックス系加工助剤(精工化学社製品サンタイトR)1重量部、2,4,6−トリメルカプトトリアジン(大内新興社製品ノクセラーTCA)0.5重量部、水酸化カルシウム(近江化学社製品カルディック#1000)1重量部を含むハロゲン含有アクリルゴム組成物の各成分をオープンロールで混練し、180℃、5分間のプレス加硫および175℃、15時間のオーブン加硫を行い、試験片(22.5mm×12.5mm×2.0mm)を作製した。
【0046】
<評価>
以下の評価方法に基づき評価した結果を表1に示す。
【0047】
1.常態物性の測定
(1)ゴム硬度Hs;JIS K6253に準拠し、タイプAデュロメーターで測定した。
(2)引張強さTB(MPa);JIS K6251に準拠。
(3)伸びEB(%);JIS K6251に準拠。
【0048】
2.圧縮永久歪(CS)
上記の試験片(22.5mm×12.5mm×2.0mm)について、JIS K 6262に準拠して150℃×70時間(25%圧縮)後の圧縮永久歪(CS)(%)を評価した。圧縮永久歪(CS)(%)が30%未満であれば、圧縮永久歪(CS)特性が優れていることを示している。
【0049】
3.加硫速度特性(T90)
上記のハロゲン含有アクリルゴム組成物について、JIS K6300−2に準拠して、ロータレスレオメーターを用いて180℃の加硫速度を測定し、加硫曲線から最低トルクMLおよび最高トルクMHを求め、T90(最大トルク値の90%トルク値に到達する迄の時間(分))を求めた。T90が7分未満であれば本発明の範囲であり、5分未満であればさらに好ましい範囲であることを示している。
評価基準
◎:5分未満
○:7分未満
△:10分未満
×:10分以上
【0050】
4.スコーチ安定性(T5)
上記のハロゲン含有アクリルゴム組成物について、JIS K6300に準拠して、125℃でムーニー粘度計(Lローター)を用いてムーニー粘度計の最低値から5ポイント(T5)増加するまでの時間(分)を測定した。
評価基準
○:4分以上
△:3〜4分
×:3分未満
【0051】
5.N−ニトロソアミンの検出
N−ニトロソアミンの検出は、上記試験片から10mm×10mm×0.5mmのゴムシートを作成し、そのシートから放出されるN−ニトロソアミンガスを吸着材に吸着させ、ガスクロマトグラフィーで検出した。N−ニトロソアミンが検出されなかったものを「−」、検出されたものを「×」とした。
【0052】
実施例2
実施例1において、水酸化カルシウムの配合量を3重量部に代えた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0053】
実施例3
実施例1において、水酸化カルシウムの配合量を5重量部に代えた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0054】
実施例4
実施例2において、FEFカーボン(東海カーボン社製品シーストSO)に代えて、FEFカーボン対比で粒子径の小さな特殊カーボン(旭カーボン社製品旭#50H、窒素吸着比表面積:20m
2/g、DBP吸収量(A法):110cm
3/100g)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0055】
比較例1
実施例1において、水酸化カルシウムを用いない以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0056】
比較例2
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興社製品ノクセラーEZ)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0057】
比較例3
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興社製品ノクセラーZTC)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0058】
比較例4
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、テトラベンジルチウラムジスルフィド(大内新興社製品ノクセラーTBZTD)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0059】
比較例5
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(大内新興社製品ノクセラーTOT−N)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0060】
比較例6
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、水酸化マグネシウムを用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0061】
比較例7
実施例1において、加硫剤を2,4,6−トリメルカプトトリアジンに代えて硫黄(コロイド硫黄)を用い、水酸化カルシウムに代えてアルカリ石鹸(ステアリン酸ナトリウム)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0062】
比較例8
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、アルカリ石鹸(ステアリン酸カリウム)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0063】
比較例9
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、アルカリ石鹸(ステアリン酸ナトリウム)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0064】
比較例10
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、アルカリ石鹸(ステアリン酸カルシウム)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0065】
比較例11
実施例1において、加硫剤である2,4,6−トリメルカプトトリアジンの代わりに硫黄(コロイド硫黄)を用いた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0066】
比較例12
実施例1において、加硫剤として、2,4,6−トリメルカプトトリアジン単独に代えて、2,4,6−トリメルカプトトリアジン0.45重量部と硫黄(コロイド硫黄)0.05重量部を併用添加した以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0067】
比較例13
実施例1において、水酸化カルシウムの配合量を10重量部に代えた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
なお、表1において、比較例1、6は、加硫不足で一部測定不可、比較例8は、加硫時の発泡発生により一部測定不可であった。
【0070】
(評価)
2,4,6−トリメルカプトトリアジンを加硫剤としたハロゲン含有アクリルゴムを加硫させる場合、ニトロソアミンの発生を防ぎ、且つスコーチ安定性を保ちながら十分な加硫速度を得るためには、水酸化カルシウムの配合が優れていることがわかる。
【0071】
比較例11の結果より、2,4,6−トリメルカプトトリアジンの代わりに硫黄を用いた場合は、加硫速度及び圧縮永久歪(CS)(%)が劣ることから、本発明には使用できない。
【0072】
また、比較例12の結果より、硫黄と2,4,6−トリメルカプトトリアジンを併用した場合は、硫黄の配合量が0.05重量部の場合には、やはり加硫速度及び圧縮永久歪(CS)(%)が劣り、本発明では使用できない。なお、本発明者の追加実験によると、硫黄の配合量が、0.05重量部以上であると、0.05重量部の場合と同様に加硫速度及び圧縮永久歪(CS)(%)が劣り、本発明では使用できないことが確認され、また0.03重量以下では本発明の効果を発揮する可能性があることが確認された。