(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記近位外側要素が、前記近位外側要素を前記近位内側要素に取り付けるべく前記近位内側要素の上に載置するための係合面を有する請求項6又は7に記載のアクセス装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点の少なくとも一部を解決する手術器具を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、創傷内部に挿入するための遠位アンカー部材と、
前記遠位アンカー部材から近位側に延長して、創傷開口の側部を横方向へ開創する細形部材と、
創傷内部にアクセスするべく延長する器具を通す器具作業用チャネルとを備える器具アクセス装置が提供される。
【0007】
本発明のある実施例では、前記装置が、創傷開口の外側に配置するための近位部材を有する。前記近位部材は、リング部材から構成することができる。前記近位部材は近位内側要素と近位外側要素とから構成することができる。前記細形部材は、前記近位内側要素と前記近位外側要素との間に案内される。前記近位内側要素及び/又は前記近位外側要素はリング要素から構成することができる。前記近位外側要素は、前記近位内側要素に取り付けることができる。前記近位外側要素は、前記近位内側要素から取り外すことができる。
【0008】
ある場合には、前記近位外側要素が、前記近位外側要素を前記近位内側要素に取り付けるべく前記近位内側要素の上に載置するための係合面を有する。前記係合面は湾曲面から構成することができる。前記係合面は断面において概ね1/4回転分延長させることができる。前記係合面は、前記近位内側要素の近位側に係合するように形成することができる。
【0009】
別の場合には、前記装置が前記器具作業用チャネルを所定位置に締め付けるためのクランプを有する。前記クランプは、前記細型部材を前記器具作業用チャネルに締め付けるように形成することができる。前記クランプは近位クランプから構成することができる。前記クランプは前記近位外側要素と前記近位内側要素によって画定することができる。前記近位外側要素は近位外側リングから構成することができる。前記近位内側要素は近位内側リングから構成することができる。前記近位内側要素は前記器具作業用チャネルの一部分によって画定することができる。
【0010】
別の実施例では、前記装置が少なくとも1つの器具用シール又はバルブを有する。前記シール又はバルブはゼラチンエラストマ材料から構成することができる。前記シール又はバルブは、その中を延長する少なくとも1つの開口を有し、その中を通して器具を延長させることができる。前記開口は閉じ形状に向けて付勢することができる。前記開口はピンホール開口から構成することができる。
【0011】
ある場合には、前記シール又はバルブが、それを貫通して延長する少なくとも1つの開口を形成するように穿孔可能で、該開口を通して器具を延長させることができる。前記シール又はバルブは、器具が該器具を通す開口を作ることによって穿孔可能にすることができる。
【0012】
別の場合には、前記シール又はバルブがその中を延長する吹送ルーメンを有する。前記吹送ルーメンの長手方向軸は、前記装置の長手方向軸と概ね平行にすることができる。
【0013】
別の実施例では、前記装置が器具用シール又はバルブのためのハウジングを有する。前記ハウジングは、器具用シール又はバルブを受け入れるための受け入れ空間を備えることができる。前記受け入れ空間は入口を有し、それを通して器具用シール又はバルブを前記受け入れ空間内に配置することができる。前記入口は近位側に面するようにすることができる。
【0014】
ある場合には、前記ハウジングが、器具用シール又はバルブを前記受け入れ空間内に保定する保定具を有する。前記保定具は、少なくとも部分的に前記入口を閉じるためのキャップから構成することができる。前記保定具は、器具用シール又はバルブの前記受け入れ空間へのアクセスを容易にする開口を備えることができる。前記保定具は実質的に環状の形状を有することができる。
【0015】
別の場合には、前記ハウジングがシール又はバルブを前記受け入れ空間内に配置することを補助するロケータを備える。前記ロケータは、少なくとも1つの対応する雌型部材と協働する少なくとも1つの雄型部材から構成することができる。
【0016】
ある実施例では、前記ハウジングがその中を延長する吹送ルーメンを有する。前記吹送ルーメンの長手方向軸は、前記装置の長手方向軸と実質的に平行にすることができる。前記ハウジングの吹送ルーメンは、器具用シール又はバルブの吹送ルーメンと位置を整合させることができる。前記装置は、前記吹送ルーメンのための吹送シール又はバルブを備えることができる。前記吹送シール又はバルブは、前記吹送ルーメンの近位端部に設けることができる。前記吹送シール又はバルブは吹送チューブによって穿孔可能にすることができる。
【0017】
ある場合には、前記アクセス装置が、前記吹送ルーメンを吹送チューブと連通させる中間コネクタを有する。前記中間コネクタは、吹送チューブの長手方向軸を該吹送チューブの遠位端部において前記吹送ルーメンの長手方向軸に関して傾けて、前記吹送チューブを前記吹送ルーメンと連通させるように形成することができる。前記中間コネクタは、吹送チューブの長手方向軸を該吹送チューブの遠位端部において前記吹送ルーメンの長手方向軸と直交させて、前記吹送チューブを前記吹送ルーメンに連通させるように形成することができる。
【0018】
更に別の場合には、前記ハウジングを前記近位部材に取り付ける。前記ハウジングは前記近位内側要素に取り付けることができる。前記ハウジングは前記近位内側要素の遠位側に延長させることができる。前記ハウジングは、前記近位内側要素の放射方向内側に配置することができる。前記ハウジングは前記近位内側要素から取り外し可能にすることができる。
【0019】
ある場合には、前記装置が前記近位内側要素を横断するシールを有する。前記シールは、前記ハウジングを前記近位内側要素に取り付ける際に前記器具作業用チャネルによって及び/又は前記ハウジングによって穿孔可能にすることができる。
【0020】
更に別の実施例では、前記ハウジングが前記近位内側要素と一体に形成される。
【0021】
前記ハウジングは前記近位内側要素を画定することができる。
【0022】
ある場合には、前記装置が、前記近位内側要素から前記ハウジングまで延長するスリーブを有する。前記スリーブは前記細形部材と一体に形成することができる。
【0023】
ある実施例では、前記ハウジングによって少なくとも部分的に前記器具作業用チャネルが画定される。前記器具作業用チャネルは前記ハウジングに取り付けることができる。前記器具作業用チャネルは前記ハウジングから取り外し可能にすることができる。ある場合には、前記器具作業用チャネルが前記ハウジングと一体に形成される。
【0024】
ある実施例では、前記器具作業用チャネルが筒状部材によって画定される。前記筒状部材は、その長さの少なくとも一部分について実質的に硬質にすることができる。前記筒状部材によってその中を延長するルーメンが画定され、その中を通して器具を延長させることができる。前記筒状部材は、該筒状部材の遠位端部に遠位開口を有することができる。前記遠位開口は、前記筒状部材の長手方向軸に関して傾けることができる。前記遠位開口の平面は、前記筒状部材の長手方向軸に関して傾けることができる。前記筒状部材は低い形状の前縁端部を有することができる。前記前縁端部は先細にすることができる。前記前縁端部は先細に先端を尖らせることができる。前記筒状部材の遠位端部は削られた形にすることができる。
【0025】
別の実施例では、前記器具作業用チャネルが前記近位部材に取り付けられる。前記器具作業用チャネルは、前記近位部材に関して動きを制御するように取り付けることができる。前記装置は、前記器具作業用チャネルと前記近位部材との間を延長して、前記器具作業用チャネルを前記近位部材に取り付けるスリーブから構成することができる。
【0026】
ある場合には、前記細形部材がスリーブからなる。前記スリーブの少なくとも一部分は2つの材料層から構成することができる。前記スリーブは、前記遠位アンカー部材の周りに巻き付けることができる。前記スリーブは前記遠位アンカー部材に関して滑らせて動くようにすることができる。前記スリーブは単一の材料層から構成することができる。前記スリーブの端部は前記遠位アンカー部材に固定することができる。
【0027】
更に別の場合には、前記細形部材は前記遠位アンカー部材から少なくとも前記近位部材まで延長する。前記細形部材は、前記近位部材の少なくとも一部分の上を滑らせて動くようにすることができる。前記細形部材は、前記近位内側部材の上を滑らせて動くようにすることができる。前記細形部材の端部は前記近位部材に固定することができる。前記細形部材の端部は前記ハウジングに固定することができる。前記細形部材は、一方の端部で前記近位部材に固定され、前記近位部材から前記遠位アンカー部材まで延長して内側材料層を画定し、かつ前記遠位リングアンカー部材から前記近位部材まで延長して外側材料層を画定させることができる。
【0028】
ある場合には、前記遠位アンカー部材が遠位リングを有する。前記遠位リングはエラストマ材料から形成することができる。
【0029】
前記装置は、該装置を現場で操作するための少なくとも1つの近位ハンドルを備えることができる。
【0030】
本発明の別の側面では、遠位リングと、
近位リングと、
前記遠位リングと前記近位リングとの間で2つの材料層を有する部分を有するスリーブと、
前記近位リングに取り付けられた器具用シール又はバルブとを備える器具アクセス装置が提供される。
【0031】
ある実施例では、前記スリーブが一方の端部で前記近位リングに固定され、前記スリーブが前記近位リングから前記遠位リングまで延長して内側材料層を画定し、かつ前記スリーブが前記遠位リングから前記近位リングまで延長して外側材料層を画定している。前記スリーブは前記近位リングの上に滑らせて受けることができる。
【0032】
ある場合には、前記近位リングが内側近位リング部材と外側近位リング部材とを有し、それらの間に前記スリーブを案内される。
【0033】
また、本発明によれば、別の側面において、
遠位リングと、
近位リングと、
前記遠位リングと前記近位リングとの間の部分を有するスリーブと、
器具を受け入れるためのゼラチンエラストマ材料からなる器具用シール又はバルブとを備える器具アクセス装置が提供される。
【0034】
前記ゼラチンエラストマ材料は、器具を受け入れるピンホールを備えることができる。
【0035】
更に別の側面では、本発明により、
創傷の内部に挿入するための遠位アンカー部材と、
創傷開口の外側に配置するための近位部材と、
少なくとも前記遠位アンカー部材と前記近位部材との間を2層で延長するスリーブと、
器具を受け入れるためのゼラチンエラストマ材料からなる器具用シール又はバルブとを備える器具アクセス装置が提供される。
【0036】
また、本発明によれば、別の側面において、
創傷内部に挿入するための遠位アンカー部材と、
創傷開口の外側に配置するための近位部材と、
少なくとも前記遠位アンカー部材と前記近位部外との間を延長する細形部材とを備え、
前記近位部材が近位内側要素と近位外側要素とからなり、それらの間に前記細形部材を案内するようになっており、かつ
前記近位内側要素に取り付けられた器具用シール又はバルブを備える器具アクセス装置が提供される。
【0037】
本発明の更に別の側面によれば、創傷内部に器具をアクセスするための方法であって、
細形部材を取り付けた遠位アンカー部材を切開創を通して挿入する過程と、
器具作業用チャネル部材を前記切開創に向ける過程と、
前記細形部材を前記器具作業用チャネル部材に関して上向きに引っ張って、少なくとも部分的に前記器具作業用チャネル部材を前記切開創内に挿入する過程と、
前記切開創を通して器具を挿入する過程とからなる方法が提供される。
【0038】
ある実施例では、前記細形部材を少なくとも部分的に前記器具作業用チャネル部材と前記切開創の壁部との間に置く。
【0039】
ある場合には、前記切開創が腹腔鏡検査用切開創である。前記切開創の側部は40mm未満の直径まで開創することができる。前記切開創の側部は3mm乃至35mmの直径まで開創することができる。前記切開創の側部は5mm乃至12mmの直径まで開創することができる。
【0040】
別の場合には、前記切開創の側部が、前記器具作業用チャネル部材の直径と等しい直径まで開創される。
【0041】
前記切開創の側部は、前記器具作業用チャネル部材の前記切開創への挿入によって少なくとも部分的に開創することができる。前記切開創の側部は、前記細形部材を前記器具作業用チャネル部材に関して上方へ引っ張ることによって少なくとも部分的に開創することができる。
【0042】
ある場合には、前記器具が腹腔鏡検査用器具である。前記器具の直径は40mm未満とすることができる。前記器具の直径は3mm乃至35mmにすることができる。前記器具の直径は5mm乃至12mmとすることができる。
【0043】
ある場合には、前記器具作業用チャネル部材の前記切開創への挿入後に、前記器具作業用チャネル部材の遠位端部を前記創傷内部に前記切開創の遠位側に配置する。別の場合には、前記器具作業用チャネル部材の前記切開創への挿入後に、前記器具作業用チャネル部材の遠位端部を前記切開創内に前記創傷内部の近位側に配置する。
【0044】
ある実施例では、前記器具作業用チャネル部材の前縁端部が前記切開創内に案内される。前記器具作業用チャネル部材は、前記前縁端部を前記切開創内に自動的に案内するように形成することができる。
【0045】
前記方法は前記切開創をシールする過程を有することができる。前記方法は、前記創傷内部を吹送する過程を備えることができる。前記創傷内部は、前記器具作業用チャネル部材の前記切開創への挿入後に吹送することができる。
【0046】
別の側面では、本発明によって、創傷開口を開創する方法であって、
創傷開口を通して創傷内部に遠位アンカー部材を挿入する過程と、
細形部材を少なくとも前記遠位アンカー部材と前記近位部材との間に延長させて、近位部材を前記創傷開口の外側に配置する過程と、
前記創傷開口の外側にガイド部材を配置する過程と、
前記ガイド部材及び前記近位部材を前記細形部材に関して動かし、前記創傷開口の側部を横方向に開創する過程と、
前記遠位アンカー部材、前記近位部材及び前記細形部材が前記創傷開口を開創する位置にある間に前記ガイド部材を取り外す過程とからなる方法が提供される。
【0047】
ある場合には、前記細形部材が前記近位部材と前記ガイド部材との間を案内される。
【0048】
前記細形部材は、前記近位部材と前記遠位アンカー部材との間で2層で延長させることができる。
【0049】
別の場合には、前記近位部材が、該近位部材に係合する前記ガイド部材を押すことによって動かされる。
【0050】
また、本発明によれば、更に別の側面において、創傷開口を開創する方法であって、
創傷開口を通して創傷内部に遠位アンカー部材を挿入する過程と、
細形部材を少なくとも前記遠位アンカー部材と前記近位部材との間に延長させて、前記創傷開口の外側に近位部材を配置する過程と、
前記近位部材を前記先細部材に関して動かして、前記創傷開口の側部を横方向に開創する過程と、
第1シール又はバルブを前記近位部材に取り付ける過程とからなる方法が提供される。
【0051】
ある実施例では、前記第1シール又はバルブが、前記創傷開口の開創後に前記近位部材に取り付けられる。前記第1シール又はバルブは、前記創傷開口の開創前に前記近位部材に取り付けることができる。
【0052】
ある場合には、前記方法が第2シールを穿孔する過程を有する。前記第2シールは、前記第1シール又はバルブの前記近位部材への取り付け時に穿孔することができる。
【0053】
本発明の更に別の側面では、創傷開口を開創する方法であって、
創傷開口を通して創傷内部に遠位アンカー部材を挿入する過程と、
細形部材を少なくとも前記遠位アンカー部材と前記近位部材との間に延長させて、前記創傷開口の外側に近位部材を配置する過程と、
単一の作業過程によって、前記近位部材を前記細形部材に関して動かして、前記創傷開口の側部を横方向に開創する過程とからなる方法が提供される。
【0054】
ある実施例では、前記近位部材の周囲全体を前記細形部材の周囲全体に関して一緒に動かす。
【0055】
前記近位部材は前記細形部材に関して遠位側に押すことができる。前記細形部材は、前記近位部材に関して近位側に引っ張ることができる。前記近位部材は、前記細形部材に関して単一の方向に動かすことができる。前記近位部材は、前記細形部材に関して前記創傷開口の長手方向軸と実質的に平行な向きに動かすことができる。
【0056】
ある場合には、前記方法が前記近位部材を掴む過程を有する。前記近位部材は使用者の片方の手で掴むことができる。前記近位部材の両側は使用者の片方の手で掴むことができる。前記方法は前記細形部材を掴む過程を備えることができる。前記細形部材は使用者の片方の手で掴むことができる。前記細形部材の周縁全体は使用者の片方の手で掴むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
本発明は、添付図面を参照しつつ、単なる実施例として以下に記載される幾つかの実施態様の詳細な説明からより明確に理解することができる。
【0059】
添付図面を参照すると、例えば腹壁における切開創1のための本発明の様々な器具アクセス装置が示されている。各構成要素の構造及びそれらの特性について以下に詳細に説明する。幾つかの場合には、前記器具アクセス装置は、従来の硬質の筒状カニューレの代替品として使用される。本発明の器具アクセス装置は、器具3によって腹腔へのアクセスを提供するために用いることができ、この場合、器具3は、柔軟なシャフト5の遠位端に取り付けられた手術用ステープラ等の手術用器具4を有する。
【0060】
前記装置は、特に切開創1の内部に関して非常に低い外形形状を有することに注目されたい。この装置は、引き抜く力に対抗して切開創1に積極的に保持される。この低い外形の形状のために、器具3の柔軟なシャフト5は、腹腔に入った直後に曲がり始めることができる。器具3を操作するのに必要な自由空間の広さは最小になる。この点は、カニューレの硬質な管が腹部内にかなりの長さを延長して、腹部に固定された形で保持されることを確実にしており、そのようにしないとガス圧で脱落してしまう虞のある従来型のカニューレとは対照的である。従来のシステムでは、カニューレが腹部内にかなりの長さを延長しているために、器具の3のシャフト5は、操作可能な部分がカニューレから出るまでは操作することができない。従って、従来のカニューレを用いたこのようなの器具の使用にはかなりの制約が存在する。これらの問題は、本発明のアクセスポートを用いることにより少なくとも部分的に解決される。
【0061】
最初に
図1及び
図2を参照すると、前記アクセス装置のライナ部分10が示されている。ライナ部分10は、遠位アンカ部材11と該遠位アンカ部材11の近位側に延長する細形部材12とを有する。
【0062】
この場合、前記細形部材は、使用時に創傷開口13の側部を覆う柔軟なポリマー膜材料のスリーブの形態で提供される。遠位アンカー部材11は、ここでは弾力的なOリングからなる。
【0063】
この場合、器具作業用チャネルが筒状部材15によって画定され、該筒状部材はその長さの少なくとも一部分に沿って実質的に硬質とすることができる。
【0064】
使用時には、比較的小さい切開創1が腹壁2に作られて創傷開口13を形成する。切開創1の一般的な長さは12〜30mmである。次に、弾力的な遠位Oリング11を操作して、遠位Oリング11をつぶすことによって細長い楕円形にし、遠位側Oリング11が完全に腹腔内に配置されてスリーブ12が創傷開口13を覆うまで、創傷開口13を通した遠位側Oリング11の挿入を容易にする。次に、筒状部材15をスリーブ12の創傷開口13に向ける。次に、スリーブ4を筒状部材15に関して上側に引いて、筒状部材15を創傷開口13に入れさせ、かつ遠位側Oリング11を腹壁の内面に係合させる。
【0065】
前記筒状部材15を、近位クランプ17のような適当なクランプによってスリーブ12に締め付け又は固定する。
【0066】
筒状部材15を用いることによって、創傷開口13を通る器具作業用チャネルが強化される。これは、創傷開口13の側部が崩れることを防止するのに役立つ。器具3を挿入しかつ操作する際に摩擦が少ない。重要なことは、筒状部材15は、非常に低い外形形状を有し、その結果外科医の動作の自由度を最大にするという利点を有する装置を提供するのに役立っている。
【0067】
あらゆる適当なバルブ又はシール若しくはバルブ及び/又はシールの組み合わせを器具のために提供することができる。このようなバルブ又はシールは添付図面において総称的にX又は参照符号20で示されている。ある構成では(
図6乃至
図9)、バルブ20がスリーブ12の近位端部に設けられる。別の構成では、バルブ20が筒状部材15の近位端部に設けられる(
図10及び
図11)。実際、バルブ20はスリーブ2及び筒状部材15の双方について設けることができる。
【0068】
スリーブ12は、単一層のスリーブとすることができ、又は少なくとも前記創傷開口13を覆う部分において2つの層を有することができる。このような1つの構成例が
図12に示されており、スリーブ12が遠位リング11の周りを巻いて、創傷開口13を覆う外側層22と内側層23とを有する。この場合、クランプは外側近位リング部材24と内側近位リング部材25とからなる近位クランプであり、それらの間をスリーブ12が延長する。この場合、前記内側近位クランプはバルブ20のためのハウジング27に取り付けられ、又はその一部分によって提供される。スリーブ12は一端においてリング部材25又はハウジング27に取り付けられ、かつ延長して内側層23を形成し、遠位リング11の周りを巻いて延長して外側層22を形成する。スリーブ12は、内側近位クランプリング25の少なくとも一部分の上を滑らせることができ、各スリーブ12は遠位リング11に関して滑らせることができる。スリーブ12を上方へ引っ張ると、創傷開口13が開創される。前記スリーブの通路によってスリーブ12の自由端部がバルブ20の外側に位置し、かつ必要に応じて容易に取り外すことができる。この場合、近位リング部材25はハウジング27と一体に形成される。
【0069】
次に
図13乃至
図16を参照すると、バルブハウジング27と、バルブハウジング27から創傷開口13内に延長する筒状部材又はスタブ40によって画定される器具作業用チャネルとを有する器具アクセス装置が示されている。筒状部材40は必ずしも完全に創傷開口内に延長させる必要はない。
図13の構成では、創傷開口の中を部分的にのみ延長する様子が示されているが、
図14乃至
図16では、筒状部材40が腹腔の厚さを完全に延長している。また、バルブハウジング27は、この場合に水層ポート42を有する。この場合、筒状部材40はハウジング27と一体に形成される。
【0070】
筒状部材40は、特に
図17乃至
図25に示すように、バルブハウジング27と取り外し可能に取り付けることができる。このようにして、前記アクセス装置は、様々なサイズの腹部や外科医が必要とするアクセスの程度に依存した様々な状況に適応させることができる。筒状部材40は、図示するように様々な長さとすることができる。筒状部材40とバルブハウジング27との間には、接着剤、しまりばめ、差し口とソケット、ねじ込み形又は差し込み形の取り付け具のようなあらゆる適当な取り付け手段を設けることができる。
【0071】
図24及び
図25を参照すると、前記外側近位クランプリング部材は、組み立て及び分解を容易にするために、部分24a、24bに分割することができる。リング部分24a、24bは、接着剤又はその類似物のようなあらゆる適当な手段を用いて組み立てかつ固定することができる。
【0072】
図26乃至
図28を参照すると、本発明による更に別の器具アクセス装置が示されている。この場合、フィルム材料のシート50の形態をなすシールが内側近位リング20を横断して延長し、気腹を維持している。筒状部材40は、
図27に示すように、フィルム50を突き抜くことを容易にする先細遠位端部55を有する。この場合、バルブハウジング27は、バルブハウジング27の開創部ベース部分への組み立てのために、外側近位リング24の上にスナップ留めするように符号56の部分が形成されている。前記アクセス装置は
図28に使用状態が示されている。
【0073】
図29及び
図30を参照すると、この場合には、アクセス装置が、アンカーアイ57及び引き上げワイヤ58によって提供されるつかみ具又はハンドルを有する。引き上げワイヤ58を
図30に矢印で示すように上方へ引っ張ると、前記装置を容易に傾けて腹部のより広い領域へのアクセスをより容易に得ることができる。引き上げワイヤ58にかける力を変化させて、角度αを増減し、更に望まれるアクセスを得ることができる。
【0074】
図31及び
図32を参照すると、上述したものに類似する別の器具アクセス装置が示されており、類似部分には同じ参照符号が付されている。この場合、筒状部材40は取り外し可能であり、かつ適当な筒状部材40を、患者に配置する前に、バルブハウジング27に取り付ける。
【0075】
図33乃至
図37を参照すると、
図31及び
図32の装置のような装置を用いる方法が示されている。最初に、外科医が、例えば腹壁の厚さに基づいて所望の長さを有する取り外し可能な筒状部材40を選択する。筒状部材40を取り付ける(
図34)ことによって、前記装置は使用可能な状態となる。遠位リング11を、上述したように腹腔内に配置する。スリーブ12を、矢印Aの向きに上方へ引っ張りつつ、近位リング24を矢印Bの向きに押し下げる。切開創1の開創が開始され、筒状部材40が切開創1の縁に入り始める(
図36)。引っ張り及び押し下げ作用を続けると、筒状部材40は完全に配置されて、創傷開口13に器具作業用チャネルを
創成する(
図37)。前記装置は極めて低い外形形状をなし、容易に配置することができ、かつ器具の操作に最大の柔軟性を付与する優れた作業用チャネルを作り出す。
【0076】
図38及び
図39を参照すると、上述したものに類似する別の器具アクセス装置が示されており、類似部分には同じ参照符号が付されている。この場合、バルブハウジング27を、柔軟なスリーブ又は波形チューブ60のような適当な連結手段によって内側近位リング25に結合する。使用時には、筒状部材40が近位アンカー(固定具)に関して柔軟であり、これは引きずり/摩擦を減らす上で有利な場合がある。
【0077】
本発明の別のアクセス装置が
図40に示されている。この場合には、スリーブ12の自由端部が、柔軟な連結スリーブ75によって内側近位リング25に結合されたリップシールバルブ70のようなバルブの外側に位置する。前記開創器は、配置のために嵌められるスリーブ12の自由端部を容易にアクセスすることができるので、容易に配置される。この装置の操作が
図41及び
図42に示されている。連結手段75の柔軟性から見て、器具を傾斜させることが漏れ通路を生じさせないことに注目されたい。この構成は、
図43に示すように、あらゆる適当なバルブ及び/又はシール20を用いることができる。
【0078】
図40乃至
図42に類似の別のアクセス装置が
図44乃至
図46に示されている。この場合、柔軟な連結部材が波形チューブ80によって提供される。
【0079】
本発明の更に別のアクセス装置が
図47乃至
図49に示されている。これらの場合、近位内側リング85は外側近位リング86の受けに関して寸法が小さいことに注目されたい。
図49に示すように、器具3をその垂直軸から傾けた時、この隙間によって、リップシール70と器具30との間のシールを損なうことなく、バルブハウジング27を動かすことができる。このように、器具3へのシールを損なうことなく、軸を外した動作を適応させる。
【0080】
図50乃至
図55を参照すると、上述したタイプのセルフロック式開創器が、この場合には内側近位リング25を横切って延長するように簡単に図示されるゼラチンエラストマ材料体90によって提供されるバルブ/シールを有する。ゼラチンエラストマ材料体90は、器具3の挿入を容易にするためにピンホール91を有する。ゲル90は、器具3を挿入する際に変形する。前もって形成されたピンホール91がある場合には、これが挿入を容易にする。ピンホールが無い場合には、器具3の前縁部が結局のところ前記材料を穿孔することになる。使用時には、ゲル90が器具の軸5の周囲をシールする。器具3を引き抜く際に、ゲル90の孔91が自分でシールして閉じた状態となる。
【0081】
図56乃至
図58は、上述したタイプのバルブハウジング96を有する
図50乃至
図55に関連して上述したゼラチンエラストマシール/バルブ95の使用を示している。
【0082】
図58(a)(i)乃至
図58(c)(iii)を参照すると、
図56乃至
図58の器具アクセス装置に類似する本発明による別の器具アクセス装置500が示されており、
図58(a)(i)乃至
図58(c)(iii)の類似要素には同じ参照符号が付されている。
【0083】
この場合には、装置500のシール/バルブハウジングがハウジング本体300及びハウジングキャップ301を有する。
【0084】
ハウジング本体300は、その中を延長するピンホール開口303を有するゼラチンエラストマシール302を受けるための受け入れ空間305を有する。
図58(a)(ii)に示すように、受け入れ空間305は入口として機能する開放された近位端部を有し、それを通してシール302を受け入れ空間305内に配置することができる。ハウジング本体300は複数の垂直な雄型ピン304を有し、これをシール302内の対応する雌型開口306と協働させて、シール302の受け入れ空間305内への配置を制御することができる。
【0085】
この場合には、シール302はハウジング本体300とは別個に形成される。例えば、シール302はキャスト加工によって形成することができる。
【0086】
ハウジング本体300は、スナップ留め構造で近位リング部材25に取り付けられる(
図58(c)(i))。近位リング部材25に取り付けると、ハウジング本体300の遠位端部は近位リング部材25の遠位側に延長し、ハウジング本体300が近位リング部材25の放射方向内側に配置される。
【0087】
ハウジングキャップ301がスナップ留め構造でハウジング本体300に取り付けられて、受け入れ空間305の近位端部入口を部分的に閉じる。このようにしてハウジングキャップ301がシール302を受け入れ空間305内の所定位置に保持する。ハウジングキャップ301は実質的に環状形状を有し、中央の開口が受け入れ空間305内のシール302へのアクセスを容易にする。
【0088】
ハウジング本体300は、創傷開口の開創前又は後に近位リング部材25に取り付けることができる。
【0089】
使用時には、創傷開口13が腹壁2に作られ、かつ遠位Oリング11が創傷開口13を通して創傷内部に挿入される。前記シールハウジング及び近位リング部材24、25を創傷開口13の外側に配置する(
図58(c)(ii))。前記シールハウジングは、創傷開口13を通して遠位Oリング11を挿入する前又は後に内側近位リング部材25に取り付けることができる。
【0090】
創傷開口13の側部を横方向に開創するために、外側近位リング部材24を遠位側に押し、それによって内側近位リング部材25及びシールハウジングを遠位側に動かしつつ、スリーブ12の近位自由端部を近位側に引っ張る(
図58(c)(iii))。ここで、器具をシール302のピンホール開口303を通して挿入し、密封状態で創傷内部にアクセスさせることができる。
【0091】
スリーブ12の余分な近位部分は、
図58(c)(iii)に示すように、創傷開口13の開創後に、例えば切り取ることによって、取り除くことができる。
【0092】
別の実施例では、スリーブ12の余分な近位部分を、例えばクランプを用いて外側近位リング部材24又はハウジング本体300にシールして、器具アクセス装置500のシール作用を強化することができる。
【0093】
上述したように、器具アクセス装置500は、比較的小さな創傷開口、例えば3mm乃至35mm、一般には5mm乃至15mmのような40mm未満の直径を有する創傷開口を開創するために特に適している。このように、器具アクセス装置500は、比較的小さな腹腔鏡検査用器具、例えば3mm乃至35mm、一般には5mm乃至15mmのような40mm未満の直径を有する器具のアクセスを容易にするのに適している。
【0094】
器具アクセス装置500が比較的小さい寸法のため、創傷開口13は、スリーブ12を近位リング部材24、25に関して単一の作動過程で動かすことによって開創することができる。特に、スリーブ12の周囲全体を利用者の片方の手で掴むことができ、かつ外側近位リング部材24の両側を使用者の反対側の手で掴むことができる。この時、スリーブ12を近位側に引っ張りながら、外側近位リング部材24を遠位側に押して、創傷開口13を単一の作動過程で開創することができる。
【0095】
シール302を貫通して延長する複数の開口を設けることができることが理解される。例えば、
シール302を貫通して延長するピンホール開口を
2つ互いに離隔して
設けることができる。この場合、
シール302の各開口に1つの器具を貫通させて延長させることによって、
複数の器具で創傷内部へのアクセスを得ることができる。
【0096】
図58(
d)及び
図58(e)は、
図58(a)(i)乃至
図58(c)のシール/バルブハウジングに類似する本発明による別の器具アクセス装置のシール/バルブハウジングを示しており、
図58(
d)及び
図58(e)の類似要素には同じ参照符号が付されている。
【0097】
この場合、ハウジング本体300は、その中を延長する吹送ルーメン313を有し、シール302はその中を延長する吹送ルーメン312を有し、かつハウジングキャップ301はその中を延長する吹送ルーメン311を有する。
図58(e)に示すように、3つの吹送ルーメン313、312、311は位置が整合し、かつ各吹送ルーメン313、312、311の長手方向軸は前記器具アクセス装置の長手方向軸と平行である。ハウジングキャップ301の吹送ルーメン311内に吹送チューブ310を挿入し、創傷内部を吹送することができる(
図58(e))。
【0098】
図58(f)及び
図58(g)には、
図58(d)及び
図58(e)のシール/バルブハウジングに類似するシール/バルブハウジングからなる本発明による別の器具アクセス装置320が示され、
図58(f)及び
図58(g)の類似要素には同じ参照符号が付されている。
【0099】
この場合、器具アクセス装置320は、ハウジングキャップ吹送ルーメン311の近位端部においてハウジングキャップ301に固定された一時的吹送シール321を有する。シール321は吹送ルーメン311、312、313をシールして、吹送された創傷内部からのガスの放出を防止する。シール321は、例えば創傷内部を更に吹送することが必要な場合に、創傷チューブ310の尖った遠位端部で穿孔することができる。
【0100】
アクセス装置320が一旦作動を開始し、かつ余分なスリーブ12を取り除くと、吹送チューブ310は、気腹を維持する一時的シール321を穿孔することによって結合することができる。
【0101】
装置320の遠位リング11は、開創前に創傷開口13を通して遠位リング11を挿入することを容易にするのに十分な柔軟性を有するように形成される。また、遠位リング11は、創傷開口13を開創する際に、装置320を創傷開口13の所定位置に固定するのに十分な硬さを有するように形成される。スリーブ12は、創傷開口13を開創するのに必要な開創力の伝達を容易にするのに十分な強度を有する。
【0102】
前記遠位リングは、開創前に創傷開口13を通した挿入を容易にするためのあらゆる適当な形態で提供し得ることが理解される。例えば、遠位リング11の少なくとも一部分は、ニチノールのような形状記憶材料の形で提供することができる。
【0103】
図58(h)及び
図58(i)を参照すると、
図58(f)及び
図58(g)の器具アクセス装置320に類似する本発明による更に別の器具アクセス装置330が示され、かつ
図58(h)及び
図58(i)の類似要素には同じ参照符号が付されている。
【0104】
この場合、器具アクセス装置330は、吹送チューブ310を吹送ルーメン311、312,313と連通させる中間コネクタ331を有する。図示するように、中間コネクタ331は実質的にL字形状を有する。このようにして、吹送チューブ310は、吹送チューブ310の遠位端部における吹送チューブ310の長手方向軸A−Aを吹送ルーメン311、312、313の長手方向軸B−Bと概ね直交させて、吹送ルーメン311、312、313と連通させることができる。
【0105】
アクセス装置330は、別の実施例では、角度をつけたチューブ331及びバルブコネクタの形態をなす吹送結合手段を有する。前記バルブコネクタは、吹送源310に結合されていない場合に閉じることができる(
図58(h))。
【0106】
図59乃至
図61は、本発明の更に別の器具アクセス装置を示しており、この場合、内側近位リング25を横断して延長するフィルム材料100のシートを有する。バルブハウジング101は、例えばスナップ留めによって外側近位リング104に取り付けられ、かつゼラチンエラストマシール100が、使用時にゲル102及び近位フィルム104を貫通する穴を開ける器具3に対してシールする。
【0107】
図62乃至
図64を参照すると、バルブ20を有する別の器具アクセス装置が示されている。同様に、上述したいくつかの実施例のように、配置時にスリーブ13を上方へ引き上げて、バルブ20をスリーブ材料が無い状態にする。
【0108】
図65乃至
図70を参照すると、
図13乃至
図16及び
図56乃至
図58の装置に類似する本発明による別の器具アクセス装置200が示され、
図65乃至
図70の類似要素には同じ参照符号が付されている。この場合、スリーブ12が一端で内側近位リング25に固着され、第1層で遠位側に遠位リング11まで延長し、遠位リング11に巻き付けられ、第2層で近位側に近位リング25、24まで延長し、かつ内側近位リング25と外側近位リング24との間を近位側に通過している。
【0109】
筒状部材40はハウジング27と一体に形成され、かつハウジング27は内側近位リング25に取り付けられる。
【0110】
シール/バルブ95は、ハウジング27に取り付けられたゼラチンエラストマ材料の形態で提供される。シール/バルブ95は、それを貫通して延長するピンホール開口196を有し、それを通して器具3を延長させることができる。開口196は、閉じた形状に向けて付勢されている。
【0111】
ルーメン150が筒状部材40の中を延長し、その中を通して器具3を延長させることができる。筒状部材40は、筒状部材40の遠位端部に遠位開口142を有する。
【0112】
この場合に、筒状部材40は削られた遠位端部141を有する。特に遠位開口142の平面は、筒状部材40の長手方向軸に関して傾いており、例えば45°の角度で傾いている。この形状の結果、筒状部材40について、尖った先端143まで先細にした、低い外形形状で先細の前縁端部が得られる。
【0113】
筒状部材を切頭した/削ったことの利点は、切頭部材40の前縁端部の先端143によって、切開創1の狭い未開創の穴がより容易に見つかることである。下向きに進むに連れて、先細部141が徐々に切開創1を拡げて開く。
【0114】
筒状部材40の遠位端部141は、例えば45°の角度で切頭されている。これによって、筒状部材40に狭い前縁端部143が付与されこれによって、既に遠位リング11及びスリーブ12が通っている切開創1をより簡単に探し当てられる。更に、前記先細形状が、下向きに進むに連れて切開創1の開創を補助する。
【0115】
腹壁の厚さに関する筒状部材40の長さは様々に変えることができる。
【0116】
スリーブ12を近位側に引き上げかつ筒状部材40を遠位側に押し下げると、切開創1が、
図69に示すように、筒状部材40の削られた遠位端部141が切開創1の側部を離れさせる作用と、スリーブ12の切開創1の側部を横方向に押す作用との組合せによって開創される。筒状部材40の削られた遠位端部141が、その後に筒状部材40を切開創1の中に進ませるために、未開創の切開創11に筒状部材40の先端143を案内するのに役立つ。
【0117】
筒状部材40の切開創1内への挿入後に、筒状部材40の先端143を創傷内部に切開創1の遠位側に配置する。しかしながら、筒状部材40の長さを患者の解剖学的構造に適するようにかつ/または外科医の好みや選択に適するように調整し得ることが理解される。一定の場合には、筒状部材40の切開創1内への挿入後に、筒状部材40の遠位端部を切開創1内に創傷開口の近位側に配置することができる。
【0118】
図70(a)乃至
図70(f)は、
図65乃至
図70の器具アクセス装置200に類似する本発明による別の器具アクセス装置400を示しており、
図70(a)乃至
図70(f)の類似要素2は同じ参照符号がされている。
【0119】
この場合、内側近位リング25は、内側近位リング25を横断して延長するシール401を有する。シール401によって、創傷開口が開創された時に、吹送した創傷内部からのガスの漏れが防止される(
図70(b))。
【0120】
ハウジング27は、スナップ留め構造の内側近位リング25に取り付け可能かつそれから取り外し可能である(
図70(e)及び
図70(f))。創傷開口が開創された後にハウジング27を内側近位リング25に取り付けると、筒状部材40の尖った先端143がシール401を穿孔する(
図70(d)及び
図70(e))。
【0121】
ハウジング27の内側近位リング25への取り付けは、
図26乃至
図28に関連して上述した手法と同様にして行われる。
【0122】
図70(a)乃至
図70(f)はモジュラ型器具アクセス装置400を示している。ゲルバルブ95は開創器ベース部分25から分離されている。このようにカニュレーテッドゲルハウジング27を切開創内に導入することは、これを開創段階と同時に行おうとすることに比べてより容易である。
図70(a)は、気腹を維持するべく近位Oリング25に取り付けられた平円形のフィルム401を示している。気腹が確立されると、フィルム401が圧力の喪失を防止する。
図70(d)は、切頭化したカニューレ40の前縁先端部143が平円形のフィルム401を穿孔し始める様子を示している。
図70(a)において、平円形のフィルム401が穿孔されている。
図70(f)は、開創器400のゲルハウジング27と近位Oリング25との間におけるスナップ留め結合を示している。
【0123】
図70(g)乃至
図70(i)を参照すると、
図70(a)乃至
図70(f)の器具アクセス装置400に類似する本発明による別の器具アクセス装置410が示されており、
図70(g)乃至
図70(i)の類似要素には同じ参照符号がされている。
【0124】
この場合、スリーブ12は、内側近位リング25から遠位側に遠位リング11まで延長し、遠位リング11に巻きつけられ、遠位リング11から近位側に近位リング24、25まで延長し、内側近位リング25と外側近位リング24との間を延長し、かつスリーブ12が固着されたハウジング27まで近位側に延長している。ハウジング27を内側近位リング25に取り付ける前に、創傷内部から開創された創傷開口を通って漏れた全てのガスがスリーブ12内に収容され、かつ従って気腹が維持される(
図70(h))。この場合に、内側近位リング25を横断して延長するシールは設けられていない。
【0125】
図70(g)乃至
図70(i)は別のモジュラ型器具アクセス装置を示しており、カニューレ40を有するゲルハウジング27がスリーブ12の近位端部に固定されている。スナップ留め結合を用いて、ゲルハウジング27が開創器410の近位Oリング25に固定される。
【0126】
図71乃至
図73には、
図65乃至
図70の近位アクセス装置200に類似する本発明による別の器具アクセス装置340が示されており、
図71乃至
図73の類似要素には同じ参照符号が付されている。
【0127】
この場合、ハウジング27から遠位側に延長する筒状部材は設けられていない。
【0128】
この場合、外側近位リング341は内側近位リング25に取り外し可能に取り付けられる。特に、外側近位リング341は、
図71及び
図72に示すように、断面で1/4回転延長する湾曲した係合面を有する。この湾曲した係合面が内側近位リング25の近位側に再置されて、スリーブ25が内側近位リング25と外側近位リング341との間を延長した状態で、外側近位リング341を内側近位リング25に取り付ける。この構成によって、外側近位リング341を創傷開口の開創後に取り外すことが可能になる(
図73)。
【0129】
使用時には、遠位リング11を創傷開口を通して創傷内部に挿入し、かつ内側近位リング25を、スリーブ12が2重層構造で近位リング11から内側近位リング25まで延長した状態で、創傷開口の外側に配置する。次に、外側近位リング341を内側近位リング25に、それらの間をスリーブ12が延長する状態で取り付ける(
図71)。
【0130】
次に、スリーブ12を近位側に引っ張りつつ、外側近位リング341を遠位側に押す。外側近位リング341が内側近位リング45に係合し、かつ従ってハウジング27,内側近位リング25及び外側近位リング341の全てが遠位側に動いて、創傷開口の側部を横方向に開創する(
図72)。
【0131】
創傷開口の開創後に、外側近位リング341を、遠位リング11、内側近位リング25及びスリーブ12が創傷開口を開創する所定位置にある状態で、取り外すことができる(
図73)。
【0132】
外側近位リング341は、内側近位リング25のスリーブ12に関する動きを案内するガイドとして機能する。この場合、外側近位リング341は、開創された創傷でスリーブ12を固定するロック機構として機能するものではない。
【0133】
図71乃至
図73は、器具アクセス装置340の作動を開始する際に支持するために、どうして半分だけの外側近位リング341が必要であるかを示している。装置340は、外側近位リング341無しで創傷開口を開創する機能を有する(
図73)。
【0134】
本発明のアクセスポートは、様々な方法で使用できる。或る方法では、開創器を前に説明したように用いて、遠位内側リング11を切開創1に挿入し、外側リングを摺動させて切開創1を制御可能な形で径方向に拡げる。次に、開創器をその位置に固定することができる。必要ならば、外側リングを更に下側に動かして、より大きい切開創を形成することができる。
【0135】
ある形態では、手術器具を体外で手で曲げて、曲げられた器具をアクセスポートを通して導入して容易に手術部位にアクセスすることができる。
【0136】
さらに別の実施形態では、手術器具をアクセスポートに挿入してから外科医が腹壁自体を利用してその器具を曲げ、曲げた部分を更に腹部に挿入する。
【0137】
本発明の器具アクセス装置は、ゼラチンエラストマ材料の形態をなす、または例えばリップシールなどのあらゆる他の適当な形態をなすバルブまたはシールを有することができることが理解される。
【0138】
本発明のアクセスポートは以下に挙げる利点の少なくとも一部を有する。
【0139】
制御された径方向の拡張
1.より小さい切開創を用いてより広範囲のアクセスが得られる。
2.必要に応じて切開創の大きさを変えることができる(例えば、腹腔鏡下胆嚢摘出術の際の試料の取り出し、等)。
【0140】
密封能力の向上
1.開創創の縁からのガス漏れが生じない。
2.切開創から誤って脱落することがない。
3.あらゆる切開創をシールでき、二次的なシール方法(縫合、ハッサンポート(Hassan port)等)が不要となる。
【0141】
腹部のプロファイリングが不要
1.腹部におけるより広い作業スペース(骨盤手術において重要)が確保される。
2.前立腺全摘出術等の手術のための会陰アクセスが可能となる。
【0142】
切開創の感染及び発ガンからの保護
1.「組合せ煙突」効果の影響なく気密状態の確保が可能となる。
2.取り除く際に汚染される可能性のある全ての領域が切開創から離れた位置となる。
【0143】
追加の腹部のプロファイリングの必要性の低減
1.手術器具の有効長が長くなる。
2.腹部の外部でより多くの作業を行える。
【0144】
従来型の腹腔鏡外科手術器具の動きの自由度の向上。
本発明の器具アクセス装置によって、外科医は、創傷内部における切開創の大きさを最小にして術後のヘルニアの可能性を最小にしつつ、器具を用いて創傷内部へのアクセスを得ることが可能になる。
【0145】
本発明の開創器は、以下に説明するように腹壁を通して挿入することができる。初めの小さい切開創を腹壁に形成し、開創器の内側遠位リングを挿入器具に取り付けることができる。前記リングは柔軟で、切開創を通しての挿入を容易にするために伸ばしたり曲げたりすることができる。
【0146】
或る場合には、前記リングは丸先の閉塞具を用いて切開創を通して挿入することができる。
【0147】
別の実施例では、前記リングは、切開刃を備えた閉塞具/套管針を用いて挿入することができる。この場合には、器具自体が腹壁に切開創を形成して、開創器の遠位リングの導入・配置を可能にする。
【0148】
本発明の器具アクセス装置を創傷開口内に導入するのに適し、または本発明の器具アクセス装置を創傷開口から引き出すのに適した別の手段や方法が、国際公開番号WO2004/026153、WO2004/030537,WO2004/054456,及びWO2005/009257で公開された国際出願に記載されており、それらの関連する記載事項はこれらを参照することにより本願明細書に含まれるものとする。
【0149】
本発明は添付図面に関連して上述した実施例に限定されるものでなく、その構成及び詳細な部分において様々に変更することができる。