特許第5683148号(P5683148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5683148
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】ボイラ用蒸気負荷分析装置
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/38 20060101AFI20150219BHJP
【FI】
   F22B37/38 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-145726(P2010-145726)
(22)【出願日】2010年6月28日
(65)【公開番号】特開2012-7846(P2012-7846A)
(43)【公開日】2012年1月12日
【審査請求日】2013年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154668
【氏名又は名称】株式会社ヒラカワ
(74)【代理人】
【識別番号】100100000
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
(72)【発明者】
【氏名】林 義夫
(72)【発明者】
【氏名】今里 悦博
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−292269(JP,A)
【文献】 特開2002−130185(JP,A)
【文献】 特開平08−184615(JP,A)
【文献】 特開平01−317503(JP,A)
【文献】 特開2010−139207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ缶内に空気を送り込み燃料を燃焼させる燃焼用ファンの駆動モータの電気配線挟み込まれて供給される電流値を検出する燃焼用ファンテスタと、
ボイラ缶のエア抜き弁に螺合されてボイラ缶内の圧力を検出する圧力センサと、
燃焼用ファンテスタが検出した燃焼用ファンの駆動モータの電流値と圧力センサが検出したボイラ缶内の圧力とによってボイラの使用蒸気量を演算する診断手段とを備えたボイラ用蒸気負荷分析装置。
【請求項2】
燃焼用ファンテスタは、燃焼用ファンの駆動モータへ電力を供給する電気配線を挟むことによって電流値を検出するクランプ式のテスタであることを特徴とする請求項1に記載のボイラ用蒸気負荷分析装置。
【請求項3】
圧力センサは、ボイラのエア抜き弁に取り付けられるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のボイラ用蒸気負荷分析装置。
【請求項4】
ボイラの使用蒸気量の演算を、ボイラの缶内圧力が一定の場合にはバーナ蒸発量を用いて行い、ボイラの缶内圧力が変動する場合にはバーナ蒸発量に自己蒸発量を加算して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のボイラ用蒸気負荷分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラにおける蒸気使用量を演算するボイラ用蒸気負荷分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場やビルなどでは、ボイラで発生した蒸気を加熱手段あるいは暖房手段として用いているが、ボイラの稼動状況は、一般に熱管理機器と呼ばれる蒸気流量計,燃料流量計,給水流量計,ブロー流量計などから各数値を読み取り記録することによって把握される。蒸気や温水を供給するエネルギーセンターなどのエネルギー管理指定工場にはこれらの機器が設置されており、正確な稼動状況を把握することができるが、蒸気流量計等は高価なため一般の工場,ホテルまたは個人商店などでは設置されていない場合が多く、蒸気流量計などから各数値を読み取ることができない。また刻一刻と変化する稼動状況を人の手によって記録することはできないので、1時間毎の給水流量,燃料流量などを記録してそのデータから蒸気使用量の平均値を算出している。
【0003】
ボイラを増設し、あるいは更新するときには、最高蒸気使用量,時間的負荷変動を知りたい場合があるが、1時間毎の給水流量,燃料流量などから蒸気使用量の平均値を算出する方法では最高蒸気使用量,時間的負荷変動などの正確な値を求めることができない。
【0004】
特許文献1には、蒸気流量計を用いることなく蒸気使用量を出力するボイラ用蒸気負荷分析装置が記載されている。このボイラ用蒸気負荷分析装置は、ボイラに接続された燃料供給ラインの燃料流量を計測する燃料流量計と、ボイラの缶内圧力を測定する圧力センサと、燃料流量計からの信号により蒸気使用量を演算する負荷分析器とを備える。
【0005】
燃料供給ラインに挿設される燃料流量計として回転積算型のものが用いられ、燃料流量計の回転軸には円板が取り付けられる。この円板の外縁近傍部分には、1回転分を1/20〜1/100 程度に等分割した識別片が設けられており、サンプリング時間にセンサを横切った識別片の個数を積算して燃料流量の変化量が測定される。
【0006】
ボイラ用蒸気負荷分析装置は、圧力センサが蒸気圧力下降を検出した時に、圧力降下に対応する自己蒸発量を加算して蒸気使用量を計算し、圧力センサが蒸気圧力上昇を検出した時には、圧力上昇に対応するボイラ保有水量分のエンタルピー上昇に必要な熱量に相当する蒸気量を差し引いて蒸気使用量を計算する。蒸気使用量は、燃料流量と蒸気圧力のデータに基づいて算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−119602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されるボイラ用蒸気負荷分析装置では、燃料流量の変化量を測定するために、燃料流量計の回転軸に識別片を備えた円板を取り付け、さらに識別片に近接して光電センサ等を設置するが、これらの機器はボイラの稼動を停止した状態で設置しなければならず、ボイラ用蒸気負荷分析装置を設置する作業に手間が掛かりコスト高になるという問題がある。
【0009】
本発明の目的はこのような課題を解決するもので、容易に短時間で設置することができ、蒸気流量計を用いることなく蒸気使用量を出力することができるボイラ用蒸気負荷分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明のボイラ用蒸気負荷分析装置は、ボイラ缶内に空気を送り込み燃料を燃焼させる燃焼用ファンの駆動モータの電気配線挟み込まれて供給される電流値を検出する燃焼用ファンテスタと、ボイラ缶のエア抜き弁に螺合されてボイラ缶内の圧力を検出する圧力センサと、燃焼用ファンテスタが検出した燃焼用ファンの駆動モータの電流値と圧力センサが検出したボイラ缶内の圧力とによってボイラの使用蒸気量を演算する診断手段とを備える。また、燃焼用ファンテスタが、燃焼用ファンの駆動モータへ電力を供給する電気配線を挟むことによって電流値を検出するクランプ式のテスタであっても良いまた、圧力センサが、ボイラのエア抜き弁に取り付けられるものであっても良い
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、蒸気流量計を用いることなく蒸気使用量を出力することができ、しかもボイラ缶内に空気を送り込む燃焼用ファンの駆動モータの電気配線をクランプ式のテスタで挟んで燃焼用ファンに供給される電流値を検出し、ボイラ停止時にボイラの内圧を下げるエア抜き弁に圧力センサを取り付けてボイラ缶内の圧力を検出するので、ボイラの稼動を停止することなくボイラ用蒸気負荷分析装置を短時間で容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概略を示す説明図である。
図2】蒸気負荷分析装置1の構成を示す概略図である。
図3】圧力センサ3の取り付け状態を示す外観図である。
図4】燃焼用ファンクランプメータ4の取り付け状態を示す外観図である。
図5】燃焼信号用クランプメータ5の取り付け状態を示す外観図である。
図6】診断装置2による分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図1図3に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシステムの概略を示す説明図である。図2は、ボイラ用蒸気負荷分析装置1の構成を示す概略図である。ボイラ用蒸気負荷分析装置1は、診断手段である診断装置2と、圧力センサ3と、燃焼用ファンテスタである燃焼用ファンクランプメータ4と、燃焼信号用クランプメータ5とを備える。圧力センサ3,燃焼用ファンクランプメータ4および燃焼信号用クランプメータ5は、各々信号線18で診断装置2に接続されている。ボイラ6には、燃料供給ライン7、給水ライン8および蒸気ライン9が接続されており、さらにボイラ6の本体には、燃料供給ライン7から供給される燃料を燃焼させるバーナ11と、ボイラ6停止時に開放してボイラ6の内圧を下げるエア抜き弁10とが設けられ、燃料供給ライン7には燃料流量を制御する燃料用電磁弁13が設けられる。
【0014】
図3は、圧力センサ3の取り付け状態を示す外観図である。圧力センサ3は、たとえば長野計器社製KH‐15が用いられ、ボイラ6の缶内の圧力を検出する。ボイラ6の最高使用圧力が0.98MPa未満の場合には、圧力センサ3は、銅管17を介してエア抜き弁10に螺合して接続される。このように圧力センサ3は、ボイラ6が稼動している状態で、容易に閉状態のエア抜き弁10に取り付けることができる。なお図示しないが最高使用圧力が0.98MPa以上の場合には、ボイラによって圧力センサ3が、銅管17を介してエア抜き弁10にフランジ接続されるものもある。圧力センサ3の計測範囲は0〜2MPaである。
【0015】
図4は、燃焼用ファンクランプメータ4の取り付け状態を示す外観図である。燃焼用ファンクランプメータ4として、たとえば日置電機社製クランプメータ3283型が用いられる。バーナ11にはボイラ6の缶内に空気を送り込む燃焼用ファン12が設けられており、燃焼用ファンクランプメータ4は、燃焼用ファン12の駆動モータのための電気配線14を挟み込む。たとえばボイラ制御盤15内に設置された燃焼用ファン12の電気配線14を挟み込み、燃焼用ファン12に供給される電流値を容易に計測することができる。
【0016】
図5は、燃焼信号用クランプメータ5の取り付け状態を示す外観図である。燃焼信号用クランプメータ5として、たとえば燃焼用ファンクランプメータ4と同様に日置電機社製クランプメータ3283型が用いられる。燃焼信号用クランプメータ5は、燃料用電磁弁13の電気配線16を挟み込む。たとえばボイラ制御盤15内に設置された燃料用電磁弁13の電気配線16を挟み込み、燃料用電磁弁13に供給される電流値を容易に計測することができる。これによって燃料用電磁弁13が開いておりボイラ6が燃焼状態であることを確認することができる。
【0017】
次に圧力センサ3から得られたボイラ缶内圧力のデータと、燃焼用ファンクランプメータ4から得られた燃焼用ファン12に供給される電流値のデータとに基づいて使用蒸気量を算出する方法について説明する。なおデータのサンプリング時間は5秒毎とする。
【0018】
ボイラ6の缶内圧力が一定の場合には、ボイラ6に入ってくる熱量のすべてが蒸気を発生させるために費やされるので、使用蒸気量としてバーナ蒸発量を用いることができる。
バーナ蒸発量(kg/h)=(負荷率(%)×換算蒸発量(kg/h)×100℃の蒸気エンタルピー(kcal/kg))÷(蒸気エンタルピー(kcal/kg)−給水エンタルピー(kcal/kg))
ここで、
負荷率(%)=1−(1−(計測電流値(A)÷定格電流値(A)−0.4)÷0.6)÷負荷補正率
計測電流値および定格電流値は、燃焼用ファン12の計測電流値および定格電流値である。バーナ蒸発量は、ボイラ6の缶内に供給される過剰空気量に比例し、過剰空気量は燃焼用ファン12の駆動モータの電流値に比例するので、過剰空気を送り込む燃焼用ファン12の電流値を用いてバーナ蒸発量を算出することができる。負荷補正率とは、ボイラ6毎の最低燃焼量によって変化させる値で、通常は0.9である。
【0019】
ボイラ6の缶内圧力が変動する場合には、使用蒸気量は、バーナ蒸発量に自己蒸発量が加算された蒸発量となる。
自己蒸発量(kg/h)=(飽和水エンタルピー(kcal/kg)−5秒後の飽和水エンタルピー(kcal/kg))×保有水量(m)÷比容積(m/kg))÷((蒸気エンタルピー(kcal/kg)−5秒後の飽和水エンタルピー(kcal/kg))÷2−5秒後の飽和水エンタルピー(kcal/kg))×60×12
使用蒸気量(kg/h)=自己蒸発量(kg/h)+バーナ蒸発量(kg/h)
平均蒸発量(kg/h)=計測ポイントの前後15分間における使用蒸気量(kg/h)の平均値
診断装置2は、燃焼用ファン12の電流値のデータとボイラ6の缶内圧力のデータとに基づいて、5秒毎に使用蒸気量を算出し、さらに計測時刻の前後各15分間の使用蒸気量に基づいて平均蒸発量を算出する。
【0020】
【表1】
たとえば表1に示すように、炉筒1号,炉筒2号,貫流1号〜貫流3号の5基の蒸気ボイラが用いられる。1号ボイラと2号ボイラとは炉筒煙管ボイラであり、3号ボイラ〜5号ボイラは貫流ボイラである。1号ボイラ〜5号ボイラの最高使用圧力は、0.98MPaであり、常用圧力は、0・49MPa〜0.59MPaである。燃料としてA重油が使用される。
【0021】
図6は、診断装置2による分析結果を示す図である。データ収集は9日間行われ、図6はデータ収集開始から6日目の診断装置2による分析結果の一部を示す。図中のL1は、1号ボイラ〜5号ボイラの各々の使用蒸気量を加えたトータル蒸発量を示し、L2は、1号ボイラ〜5号ボイラの各々の使用蒸気量を加えたトータルの蒸発量の、前後15分間における平均値を示す。L2は、なだらかな曲線となる。L3,L4,L5,L6およびL7は、圧力センサ3が検出した1号ボイラ〜5号ボイラの缶内圧力である。L2に示す各ボイラの使用蒸気量を加えたトータル蒸発量の平均値は、7時20分〜7時30分の間で出力された9214kg/hが最大であった。
【0022】
【表2】
分析結果を表2に示す。上述するように各ボイラの使用蒸気量を加えたトータル蒸発量の平均値の最大値は9214kg/hであり、測定期間中の各ボイラの使用蒸気量を加えたトータル蒸発量の平均値は5036kg/hであった。なお、測定期間中の負荷率の平均値である平均負荷率は39%であり、測定期間中の入出熱法によるボイラ効率は84%であった。
【0023】
このように、ボイラ6の缶内に空気を送り込み燃料を燃焼させる燃焼用ファン12の駆動モータの電気配線を挟み燃焼用ファン12の駆動モータに供給される電流値を検出する燃焼用ファンクランプメータ4と、ボイラ6停止時にボイラ6の内圧を下げるエア抜き弁10に螺合されボイラ6の缶内の圧力を検出する圧力センサ3と、燃焼用ファンクランプメータ4が検出した燃焼用ファン12の電流値と圧力センサ3が検出したボイラ3缶内の圧力とによって使用蒸気量を演算する診断手段である診断装置2とを備えるので、ボイラの稼動を停止することなく、蒸気負荷分析装置1を容易に短時間で設置することができ、ボイラ6の缶内に空気を送り込む燃焼用ファン12の電気配線を燃焼用ファンクランプメータ4で挟んで燃焼用ファン12に供給される電流値を検出し、圧力センサ3をエア抜き弁10に螺合してボイラ6の缶内の圧力を検出して、蒸気流量計を用いることなく蒸気使用量を出力することができる。
【0024】
なお、蒸気使用量を算出する場合にボイラ6の構造の違いは問題にならない。炉筒煙管ボイラ,水管ボイラ,貫流ボイラなどのいずれの構造のものであっても負荷補正率を変更して蒸気使用量を算出することができる。またデータのサンプリング時間は5秒毎に設定したが、これに限定されるものではなく5秒毎以外のものでもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 蒸気負荷分析装置
2 診断装置
3 圧力センサ
4 燃焼用ファンクランプメータ
5 燃焼信号用クランプメータ
6 ボイラ
7 燃料供給ライン
8 給水ライン
9 蒸気ライン
10 エア抜き弁
11 バーナ
12 燃焼用ファン
13 燃料用電磁弁
14,16 電気配線
15 ボイラ制御盤
17 銅管
18 信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6