特許第5683166号(P5683166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5683166自動通信バインディングを用いた遠隔ディスプレイを有するデジタルマルチメータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5683166
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】自動通信バインディングを用いた遠隔ディスプレイを有するデジタルマルチメータ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/12 20060101AFI20150219BHJP
【FI】
   G01R15/12 Z
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-179421(P2010-179421)
(22)【出願日】2010年8月10日
(65)【公開番号】特開2011-64675(P2011-64675A)
(43)【公開日】2011年3月31日
【審査請求日】2013年5月2日
(31)【優先権主張番号】12/563,004
(32)【優先日】2009年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー シー.ハドソン
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル ジェイ.ウェッツェル
(72)【発明者】
【氏名】グレン ハワード フェッター
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−156723(JP,A)
【文献】 特開2004−069641(JP,A)
【文献】 特開2006−186418(JP,A)
【文献】 特開2008−131633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R15/12
H04B7/24−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信アドレスを有するベースユニットと、
前記ベースユニットから分離する遠隔ディスプレイユニットであって、第2の通信アドレスを有する、遠隔ディスプレイユニットと、
前記第1の通信アドレスおよび前記第2の通信アドレスに基づいて、バインドした通信ペアとして前記ベースユニットと前記遠隔ディスプレイユニットの間で第1のRFモードの電気通信を行うように動作する通信回路とを備える電気試験器において、
前記通信回路は、第2の安全な通信モードで選択的に動作するようにさらに動作し、前記第1の通信アドレスおよび前記第2の通信アドレスを前記第2の安全な通信モードで交換して、前記第1のRFモードの次の通信のために前記バインドした通信ペアを確立することを特徴とする電気試験器。
【請求項2】
前記第2の通信モードは、光通信モードであることを特徴とする請求項1に記載の電気試験器。
【請求項3】
前記光通信モードは、赤外線通信モードであることを特徴とする請求項2に記載の電気試験器。
【請求項4】
前記遠隔ディスプレイユニットは、前記ベースユニットに対合可能であることを特徴とする請求項1に記載の電気試験器。
【請求項5】
前記通信回路は、前記遠隔ディスプレイユニットが、前記ベースユニットに対合されると、前記第2の安全な通信モードに自動的に切り替わることを特徴とする請求項4に記載の電気試験器。
【請求項6】
前記通信回路は、前記ベースユニットおよび前記遠隔ディスプレイユニットが、離間しているときに前記第1のRFモードで電気通信を行い、前記ベースユニットおよび前記遠隔ディスプレイユニットが、互いに隣接すると前記第2の安全な通信モードで電気通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の電気試験器。
【請求項7】
前記第2の安全な通信モードは、赤外線通信モードであることを特徴とする請求項6に記載の電気試験器。
【請求項8】
前記通信回路は、前記ベースユニットからの通信を前記赤外線通信モードで確立しようと試み、次いで赤外線通信が不成功の場合にはRF通信モードに切り替わることを特徴とする請求項7に記載の電気試験器。
【請求項9】
マルチメータであることを特徴とする請求項1に記載の電気試験器。
【請求項10】
前記ベースユニットは、回転セレクタノブと、複数のテストリード差込み口とを備えることを特徴とする請求項9に記載の電気試験器。
【請求項11】
RF通信のために第1のデバイスおよび第2のデバイスを自動的にバインドする方法であって
(a)前記第1のデバイスと前記第2のデバイスの間で安全な非RF通信モードを確立するステップと、
(b)前記安全な非RF通信モードでそれぞれが前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスを識別する第1の通信アドレスおよび第2の通信アドレスを交換し、それによって前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスは、互いを通信相手として認識することになるステップと、
(c)前記安全な非RF通信モードを終了するステップと、
(d)第1のバインドしたペアとして前記第1のデバイスと前記第2のデバイスの間でRF通信モードを確立するステップとを含む方法において、
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスは、電気試験器の分離可能なユニットであり、
前記第1のデバイスは、前記電気試験器のベースユニットであり、前記第2のデバイスは、前記電気試験器の遠隔ディスプレイユニットであることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記安全な非RF通信モードは、赤外線通信モードであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記安全な非RF通信モードは、前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスが、互いに隣接して位置すると、自動的に確立されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスは、互いに物理的に対合可能であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電気試験器がマルチメータであることを特徴とする請求項11に記載の方法
【請求項16】
(e)前記第1のデバイスと第3のデバイスの間で安全な非RF通信モードを確立するステップと、
(f)前記安全な非RF通信モードでそれぞれが前記第1のデバイスおよび前記第3のデバイスを識別する前記第1の通信アドレスおよび第3の通信アドレスを交換し、それによって前記第1のデバイスおよび前記第3のデバイスは、互いを通信相手として認識することになるステップと、
(g)前記第1のデバイスと前記第3のデバイスの間の前記安全な非RF通信モードを終了するステップと、
(h)第2のバインドしたペアとして前記第1のデバイスと前記第3のデバイスの間で前記RF通信モードを確立するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第3のデバイスが前記ベースユニットと共に使用可能な遠隔ディスプレイユニットであることを特徴とする請求項11に記載の方法
【請求項18】
制御回路、赤外線インタフェース回路、およびRF送受信機回路をそれぞれ有する第1のデバイスおよび第2のデバイスであって、前記制御回路は、現在のRF通信相手のアドレスを記憶するために関連したメモリを有する、第1のデバイスおよび第2のデバイスを備える装置において、
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスは、RF通信のために第1のアドレスおよび第2のアドレスをそれぞれ有し、
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスは、前記赤外線インタフェース回路を介して前記第1のアドレスおよび前記第2のアドレスを互いに交換し、それによって前記第1のデバイスは、前記第2のデバイスを前記第1のデバイスのRF通信相手として認識することになり、前記第2のデバイスは、前記第1のデバイスを前記第2のデバイスのRF通信相手として認識することになり、
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスは、前記RF送受信機回路を介して通信するように動作し、
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスは、電気試験器の分離可能なユニットであり、
前記第1のデバイスは、前記電気試験器のベースユニットであり、前記第2のデバイスは、前記電気試験器の遠隔ディスプレイユニットであることを特徴とする装置。
【請求項19】
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスは、互いに対合可能であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記制御回路は、前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスが、互いに対合されると、前記赤外線インタフェース回路を介して自動的に通信を生じさせることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記制御回路は、前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスが、互いから分離されると、前記RFインタフェース回路を介して自動的に通信を試みることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記電気試験器がマルチメータであることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項23】
通信ペアのペアをなすデバイスとのRF通信を確立できるデバイスにおいて、
赤外線インタフェース回路と、
RF送受信機回路と、
現在のRF通信相手の相手アドレスを記憶するために関連したメモリを有する制御回路とを備え、
前記制御回路は、赤外線通信モードで前記赤外線インタフェース回路を介して前記相手アドレスを受信するように動作し、
前記制御回路は、前記相手アドレスを利用して前記ペアをなすデバイスとRF通信モードで通信し、
前記デバイスが電気試験器のベースユニット又は遠隔ディスプレイユニットのいずれか一方であり、前記ペアをなすデバイスが電気試験器のベースユニット又は遠隔ディスプレイユニットの他方であることを特徴とするデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動通信バインディングを用いた遠隔ディスプレイを有するデジタルマルチメータに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般に、デジタルマルチメータに関する。より具体的には、本発明は、通信のためにベースユニットに自動的にバインドする遠隔ディスプレイユニットを有するデジタルマルチメータに関する。
【0003】
デジタルマルチメータ(DMM:digital multimeter)は、点検、トラブルシューティング、保守に必要とされるいくつかの電気的パラメータを測定するように機能する。そのようなパラメータには、交流電圧および交流電流、直流電圧および直流電流、抵抗、ならびに導通が含まれ得る。場合によっては、DMMは、キャパシタンスや温度などの他のパラメータを測定してもよい。
【0004】
DMMは、回転ノブを有するハンドヘルド式ユニットとしてしばしば構成されることになり、この回転ノブによって様々な機能を選択する。複数のリード差込み口が、テストリードを接続するためにユニットのケース(すなわち、ハウジング)に設けられる。使用される特定の差込み口は、選択した機能によって決まり得る。LCDディスプレイは、試験を受けるパラメータの読取り値を与える。マルチメータの構成および動作に関しての詳細は、特許文献1、特許文献2、および特許文献3から理解することができ、各特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
一般に、測定を行っているときは、DMMを棚などの平面に配置することが望ましい。しかし、棚はしばしば、LCDディスプレイを眺めるのを困難にさせる位置にあり得る。このような状態では、ユーザは、測定の読取り値を見るために測定点から目をそらすことが求められる場合がある。DMMから分離するが、DMMに通信によってリンク(link)される遠隔ディスプレイを用いて、この問題を少なくすることができる。遠隔ディスプレイの例は、Holzelの特許文献4、およびPlatheの特許文献5に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,034,517号明細書
【特許文献2】米国特許第6,466,003号明細書
【特許文献3】米国特許第6,043,640号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0137310号明細書
【特許文献5】米国特許第7,304,618号明細書
【特許文献6】同時継続出願第12/356,885号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遠隔ディスプレイは、RF(ラジオ周波数)を用いてDMMと通信するようにつなぐことができる。しかし、状況によっては、2つ以上のDMMが、遠隔ディスプレイの範囲内にある可能性がある。このことが生じた場合、遠隔ディスプレイは、ユーザが操作するものとは異なるDMMからの結果を望ましくなく示す可能性があり得る。したがって、遠隔ディスプレイおよびDMMが、アドレシング技術(addressing technique)によって通信するためにバインドされることが望ましく、このアドレシング技術によって各遠隔ディスプレイは、その関連したDMMのアドレスを「知り」、およびその逆も同様である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、本発明は、第1の通信アドレスを有するベースユニットを備える電気試験器を提供する。ベースユニットから分離し、第2の通信アドレスを有する遠隔ディスプレイユニットも提供される。通信回路は、第1の通信アドレスおよび第2の通信アドレスに基づいて、バインドした通信ペアとしてベースユニットと遠隔ディスプレイユニットの間で第1のRFモードの電気通信を行うように動作する。この通信回路は、第2の安全な通信モードで選択的に動作するようにさらに動作する。第1の通信アドレスおよび第2の通信アドレスを第2の安全な通信モードで交換して、第1のRFモードの次の通信のためにバインドした通信ペアを確立する。いくつかの典型的な実施形態では、第2の通信モードは、光通信モード(例えば、赤外線通信モード)である。
【0009】
しばしば、遠隔ディスプレイユニットは、ベースユニットに対合可能であることが望ましいものであり得る。そのような実施形態では、通信回路は、遠隔ディスプレイユニットが、ベースユニットに対合されると、第2の安全な通信モードに自動的に切り替わることができる。例えば、この通信回路は、ベースユニットおよび遠隔ディスプレイユニットが、離間しているときに第1のRFモードで電気通信を行い、ベースユニットおよび遠隔ディスプレイユニットが、互いに隣接すると第2の安全な通信モードで電気通信を行うことができる。この点について、この通信回路は、ベースユニットからの通信を赤外線通信モードで確立しようと試み、次いで赤外線通信が不成功の場合にはRF通信モードに切り替わることができる。
【0010】
本発明の別の態様は、RF通信のために第1のデバイスおよび第2のデバイスを自動的にバインドする方法を提供する。この方法の一ステップは、第1のデバイスと第2のデバイスの間で安全な非RF通信モードを確立するステップを含む。別のステップによれば、第1のデバイスおよび第2のデバイスをそれぞれ識別する第1の通信アドレスおよび第2の通信アドレスを安全な非RF通信モードで交換し、それによって第1のデバイスおよび第2のデバイスは、互いを通信相手として認識することになる。次いで、安全な非RF通信モードを終了し、第1のバインドしたペアとして第1のデバイスと第2のデバイスの間でRF通信モードを確立する。
【0011】
この方法のさらなるステップは、第1のデバイスと第3のデバイスの間で安全な非RF通信モードを次に確立するステップを含んでもよい。第1のデバイスおよび第3のデバイスをそれぞれ識別する第1の通信アドレスおよび第3の通信アドレスが安全な非RF通信モードで交換され、それにより第1のデバイスおよび第3のデバイスが、互いを通信相手として認識することになる。次いで、第1のデバイスと第3のデバイスの間の安全な非RF通信モードを終了し、第2のバインドしたペアとして第1のデバイスと第3のデバイスの間でRF通信モードを確立する。
【0012】
本発明の一層さらなる態様は、制御回路、赤外線インタフェース回路、およびRF送受信機回路をそれぞれ有する第1のデバイスおよび第2のデバイスを提供する。この制御回路は、現在のRF通信相手のアドレスを記憶するために関連したメモリを有する。第1のデバイスおよび第2のデバイスは、RF通信のために第1のアドレスおよび第2のアドレスをそれぞれ有する。さらに、第1のデバイスおよび第2のデバイスは、赤外線インタフェース回路を介して第1のアドレスおよび第2のアドレスを互いに交換し、それによって第1のデバイスは、第2のデバイスを第1のデバイスのRF通信相手として認識することになり、第2のデバイスは、第1のデバイスを第2のデバイスのRF通信相手として認識することになる。次いで、第1のデバイスおよび第2のデバイスは、RF送受信機回路を介して通信するように動作する。
【0013】
本発明の追加の態様は、通信ペアのペアをなすデバイスとのRF通信を確立できるデバイスを提供する。このデバイスは、赤外線インタフェース回路と、RF送受信機回路とを備える。現在のRF通信相手の相手アドレスを記憶するために関連したメモリを有する制御回路も提供される。この制御回路は、赤外線通信モードで赤外線インタフェース回路を介して相手アドレスを受信するように動作する。加えて、この制御回路は、相手アドレスを利用してペアをなすデバイスとRF通信モードで通信する。
【0014】
本発明の他の目的、特徴、および態様は、開示した要素の様々なコンビネーションおよびサブコンビネーション、ならびにそれを実施する方法によって与えられ、それらについて以下より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
当業者への本発明の最良の形態を含め、本発明の十分かつ可能な開示を、本明細書の残りにおいて、添付図面の参照を含め、より具体的に説明する。
図1】本発明の実施形態によって構成されるDMMの斜視図である。
図2】遠隔ディスプレイユニットの分離を示す図1のDMMの斜視図である。
図3】被試験回路に接続されたDMMのテストリードを示す模式図である。
図4】遠隔ディスプレイユニットが、ベースユニットに対合されるときの遠隔ディスプレイユニットとベースユニットの間の通信を示す模式図である。
図5】ベースユニットおよび遠隔ディスプレイユニットが、通信モードを自動的に選択するやり方を示す流れ図である。
図6】ベースユニットおよび遠隔ディスプレイユニットが、通信モードを自動的に選択するやり方を示す流れ図である。
図7A】本発明によるベースユニットと各遠隔ディスプレイユニットの間の自動通信バインディングを示す模式図である。
図7B】本発明によるベースユニットと各遠隔ディスプレイユニットの間の自動通信バインディングを示す模式図である。
図7C】本発明によるベースユニットと各遠隔ディスプレイユニットの間の自動通信バインディングを示す模式図である。
図8】本発明による自動通信バインディングの追加の詳細を示す流れ図である。
【0016】
本明細書および図面において参照符号を繰り返して使用することは、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本記述は、典型的な実施形態の説明に過ぎず、本発明のより幅広い態様を限定するものではなく、そうしたより幅広い態様は、典型的な構成の中に具体化されていることが当業者には理解されよう。
【0018】
図1は、本発明の実施形態によって構成されるデジタルマルチメータ(DMM)10を示す。マルチメータ10は、ベースユニット12、および遠隔ディスプレイユニット14を備える。ベースユニット12のハウジングは、内部空洞を画定し、この内部空洞内には様々な内部構成部品が配置される。好ましくは、本実施形態では、2つ以上のハウジング部材を有するベースユニット12のハウジングが形成され、これらハウジング部材は、内部空間を形成するように共に組み立てられる。好ましくは、これらのハウジング部材は、耐衝撃性硬質プラスチック材料(high impact rigid plastic material)でモールドされてもよい。場合によっては、グリッパビリティ(gripability)およびユーザの快適性を向上させるために、より柔軟な高分子材料を、硬質プラスチック材料の少なくとも一部の上に外側被覆することが望ましい場合がある。
【0019】
この場合、遠隔ディスプレイユニット14は、そのディスプレイ16が、DMM全般に関する従来の位置に配置されることになるように、ベースユニット12に対合される。ディスプレイ16は、典型的には透明窓の裏に配置されるLCDディスプレイであり、ユーザが関心をもつ種々の情報を示す。好ましくは、ディスプレイ16は、低光量のコンディションでの使用を容易にすることが望まれるときに起動されてもよいバックライトを含むことになる。数字と記号文字が共に、DMMの動作モードおよび他の要因に応じてディスプレイ16に表示できる。例えば、4桁7セグメント(segment)の数字ディスプレイが、一次のアイコンとして役割を果たし得る。
【0020】
本実施形態では、ベースユニット12は、回転セレクタノブ(rotary selector knob)18を含み、この回転セレクタノブ18により、ユーザは、マルチメータの特定の機能を選択することができる。例えば、5〜10個のそのような機能が、ノブの回転の各停止位置によって示されてもよい。当業者が理解するように、典型的には、適当なグラフィックスが、各機能を示すために、ベースユニットのハウジングの上面に印刷されることになる。
【0021】
ベースユニット12は、各テストリードを接続するための複数の差込み口20a〜20cも含む。具体的には、2本のテストリードを、試験するパラメータに応じてリード差込み口20a〜20cのうちの2つにそれぞれ接続する。この点について、図3は、被試験回路26に接続された一対のテストリード22および24を示す。
【0022】
再び図1を参照して、次に、DMM10のいくらかの追加の特徴を説明することにする。この点について、DMM10は、ベースユニット12に配置したシフトキー28を含んでもよい。シフトキー28により、ユーザは、セレクタノブ18の各位置に対する代替的機能を選択することができる。高電圧表示灯30は、テストリードが高電圧の状況に遭遇したことを(ベースユニット12から分離したときに)遠隔ディスプレイユニット14を眺めていることができないユーザに警告する。
【0023】
本実施形態では、いくつかの機能ボタンが、遠隔ディスプレイユニット14上に設けられる。典型的には、これらのボタンは、DMM10の動作パラメータではなくディスプレイを直接扱う機能に関係することになる。例示の実施形態では、例えば、計4個の機能ボタンが、遠隔ディスプレイユニット14上に設けられている。すなわち、ホールドボタン32、最小/最大ボタン34、レンジボタン(range button)36、およびバックライトボタン38である。その名が示唆するように、バックライトボタン38は、LCDディスプレイを照明するために用いられる内部光を起動する。
【0024】
図2は、例示の実施形態における、遠隔ディスプレイユニット14をベースユニット12から取り外すやり方を示す。この場合、ベースユニット12は、遠隔ディスプレイユニット14をスライド可能に対合する受容部40を画定する。受容部40は、凹部46の両側に配置される一対の横レール42および44を定める。遠隔ディスプレイユニット14の後部は、受容部40の構成に全体的に相補的である。
【0025】
好ましくは、適切なラッチ機構が、遠隔ディスプレイユニット14をベースユニット12に対して留めるために設けられる。ベースユニット12から遠隔ユニットを分離することが望まれるときには、このラッチ機構は、ユーザによって容易に解除可能である。本実施形態では、例えば、レール42および44は、レールの長さに沿って途中に延在する各フランジ48および50を含む。具体的には、フランジ48および50は、各隙間54および56を画定するようにベースユニット12の壁52に達する前に末端をなす。ばね荷重アームの端部の突出は、遠隔ディスプレイユニット14をベースユニット12に対合すると、フランジ48または50にそれぞれ係合するように、各隙間54または56内に受容される。これらのアームは、遠隔ディスプレイユニット12を取り外すことが望まれるときには、ボタン58などの遠隔ディスプレイユニット12の側面の関連したボタンを中に押すことによって解除される。次いで、ユーザは、遠隔ディスプレイユニット14を単にスライドさせ、そうして遠隔ディスプレイユニット14をベースユニット12から完全に分離することができる。
【0026】
次に説明するように、好ましくは、遠隔ディスプレイユニット14は、2つのユニットが、互いから分離されると、RF通信を用いてベースユニット12と通信することになる。RF通信は、ベースユニット12と遠隔ディスプレイユニット14の間に真っ直ぐな見通し線を必要としないので、有利である。しかし、遠隔ディスプレイユニット14が、ベースユニット12に取り付けられているときは、通信に関する第2のモードを利用する。本実施形態では、例えば、DMM10は、RFモードよりバッテリの電力を少なく消費するように遠隔ディスプレイユニット14を対合しているときに赤外線通信を利用する。しかし、当業者が理解するように、代替の方法として直接の電気接続が、遠隔ディスプレイユニット14を合体しているときに用いられてもよい。しかし、一般的には、露出した金属導体の必要をなくすために、2つのユニットが対合しているときでも無線通信を利用することが好ましいであろう。好ましくは、RF通信と赤外線通信の間の切り替えは、遠隔ディスプレイユニット14を、ベースユニット12に対合またはベースユニット12から分離するときに自動的に生じる。
【0027】
次に図4を参照すると、遠隔ディスプレイユニット14は、制御回路60を備えており、制御回路60は、ボタン62からの入力を受信し、情報をディスプレイ64に与える。制御回路60は、RF送受信機66を介してベースユニット12と通信するか、赤外線インタフェース68を介してベースユニット12と通信するかについても選択する。RF送受信機66は、ベースユニット12とのRF通信を行うために必要な任意の回路構成部品を含んでもよい。回路構成部品には、デジタル/アナログ変換器、周波数発生器、変調器、およびアンテナが含まれ得る。同様に、赤外線インタフェース68は、赤外線LEDや光検出器などの赤外線通信に必要な構成部品を含むことになる。当業者が理解するように、制御回路60は、必要または要望に応じてハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実行することができる。
【0028】
同じように、ベースユニット12は、遠隔ディスプレイユニット14との通信に用いられる回路要素を含むことになる。例えば、(ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せとして実行することができる)制御回路70は、RF送受信機72および赤外線インタフェース74と電気的に通信している。制御回路70は、遠隔ディスプレイユニット14との通信が、RF送受信機72によって生じるべきか、赤外線インタフェース74によって生じるべきか決定する。好ましくは、ベースユニット12および遠隔ディスプレイユニット14は共に、ベースユニット12の窓76などの赤外線透過窓(図2)を備えており、ベースユニット12および遠隔ディスプレイユニット14は、(図4中の78で示すように)赤外線インタフェース68と赤外線インタフェース74の間に所望の見通し線を与えるために遠隔ディスプレイユニット14を対合するときに位置合わせされる。
【0029】
図5および図6は、上記のようにRFモードと赤外線モードの間の通信を切り替えるために、制御回路70および制御回路60によって実施することができる各プロセスを示す。まず図5を参照すると、制御回路70によって実行されるプロセスは、80で示すように開始する。(82で示すように)当初、「ラジオ(radio)」は、オフとなり、この時点としてはRF通信が存在しないことを意味する。84で示すように、次にベースユニット12は、赤外線インタフェースを介して遠隔ディスプレイユニット14に「ピング(ping)」する。次いで、86で示すように、制御回路60は、所定の期間の間、遠隔ディスプレイユニット14からの応答を待つ。遠隔ディスプレイユニット14が応答する場合、88で示すように、RF通信ではなく赤外線通信を利用することになる。一方、遠隔ディスプレイユニット14が、「ピング」に応答しない場合、遠隔ディスプレイユニット14は、ベースユニット12から分離していると考えられる。この場合、90で示すように、赤外線通信ではなくRF通信を利用することになる。
【0030】
次に具体的に図6を参照すると、同様のプロセスが、遠隔ディスプレイユニット14の制御回路60で生じる。このプロセスは、92で示すように開始する。当初、このプロセスは、(94で示すように)通信がRFを介して生じることを意味する「ラジオオン(radio on)」のコンディションを想定する。それでも、このプロセスは、96で示すように、赤外線を介して「ピング」を継続的に聞くことになる。決定ブロック98は、ピングが「聞こえる」かどうか尋ねる。ピングが聞こえる場合、100に示すように、RF通信のスイッチを切り、赤外線通信を利用することになる。一方、ピングが聞こえない場合、102で示すように、ラジオ(radio)は、オンのままとなり、RF通信を利用することになる。
【0031】
前述の図面を参照して説明したように、RFモードと赤外線モードの間の自動通信切り替えは、2009年1月21日に出願した特許文献6に開示されており、それは、全ての目的のために開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。通信目的のために、RFモードでは、ベースユニット12およびディスプレイ14は、互いに「バインドされる」ことが望ましい。言い換えると、特定のベースユニット12は、特定のベースユニット12が通信し得る特定の遠隔ディスプレイユニット14の身元を「知る」。同様に、特定の遠隔ディスプレイユニット14は、それがバインドされる特定のベースユニット12の身元を「知る」。他のペアの構成要素との通信は、妨げられる。
【0032】
ベースユニット12または遠隔ディスプレイユニット14の身元は、一般的に、工場内でユニットの通信ID、または「アドレス」を確立することによって設定される。例えば、アドレスは、ユニットを製造するときにハードプログラムされる(hard−programmed)8桁の数字とすることができる。通信目的のためにこのユニットがバインドされる他のユニットのアドレスも、工場でハードプログラムできる。ベースユニット12およびそのバインドした遠隔ディスプレイユニット14が、一緒のままである限り、そのような技術はよく働く。しかし、後になって2つのユニットのうちの一方を交換する必要がある場合に問題が発生する。例えば、遠隔ディスプレイユニットを交換する必要がある場合、この状況においては、ベースユニットとの通信を生じることができる前に、当初の遠隔ディスプレイユニットのアドレスを知り、そのアドレスを交換用の遠隔ディスプレイユニットにハードプログラムすることが必要である。
【0033】
また、同一のDMMが2つ以上、互いにごく近接して用いられる状況も発生し得る。そのような場合に、測定セッションの終わりに一方のそのようなDMMの遠隔ディスプレイユニット14を他方のDMMのベースユニット12に対合する場合、問題が発生し得る。この組合せを用いる試みが、後でなされるときには、RF通信が、ベースユニット12と遠隔ディスプレイユニット14の間に生じることはない。ユーザは、この状況におそらく大変いらだたしく感じるであろう。
【0034】
次に、本発明の実施形態によりこれらの問題を克服するやり方を、図7Aから図7Cを参照して説明することにする。この点について、図7Aは、ベースユニット12a〜12bおよび遠隔ディスプレイユニット14a〜14bをそれぞれ有する一対のDMMを示す。図から分かるように、ベースユニット12aは、通信目的のための例示的なIDアドレス「00140186」を有する。遠隔ディスプレイユニット14aは、通信目的のための例示的なIDアドレス「00001512」を有する。ベースユニット12aは、それがバインドした通信ペアの他の構成要素が、「00001512」であることをメモリ104(図4)に記憶する。同様に、遠隔ディスプレイユニット14aは、それがバインドした通信ペアの他の構成要素が、「00140186」であることをメモリ106(図4)に記憶する。結果として、ベースユニット12aおよび遠隔ディスプレイユニット14aは、互いから分離されるとRFを介して通信することになる。
【0035】
同様に、ベースユニット12bは、遠隔ディスプレイユニット14bに知られている例示的なIDアドレス「76096583」を有する。同じように、遠隔ディスプレイユニット14bは、ベースユニット12bに知られている例示的なIDアドレス「04685127」を有する。したがって、これら2つのユニットは、バインドしたペアとしてRFを介して通信することができる。他のバインドしたペアの構成要素とのRF通信は、妨げられる。
【0036】
本発明は、「安全な通信」のために接続するときに、ベースユニットおよび遠隔ディスプレイユニットが、IDアドレスを互いに交換することができる(すなわち、それらのIDアドレスを他方に知らせることができる)ことを考慮している。例えば、第2の通信モードは、ごく近接している別のDMMから干渉を受けにくいので、2つのユニットを対合するときに生じる第2の通信モードは、「安全」であるとみなされる。第2の通信モードが有線技術または光無線技術のどちらで行われるにしろ、ベースユニットが通信している特定の遠隔ディスプレイユニットは、高い確度で知られる。
【0037】
この点について、図7Bは、遠隔ディスプレイユニット14bがベースユニット12aに対合されている場合の状況を示す。上記の通り、そのような状況は、複数の同様のDMMを互いにごく近接して用いた場合に意図せず生じる可能性がある。あるいは、図7Bに提示したシナリオは、何らかの理由で遠隔ディスプレイユニット14aを交換することが必要となった場合に生じ得る。このように2つのユニットを対合するときに、2つのユニットは、IDアドレスを互いに交換して、新しいバインドしたペアを形成する。したがって、後で分離したときに、(IDアドレス00140186を有する)ベースユニット12aは、(IDアドレス04685127を有する)遠隔ディスプレイユニット14bと通信することになり、(IDアドレス00001512を有する)遠隔ディスプレイユニット14aとは通信しない。
【0038】
図7C図7Aと同様であるが、本発明に従ってバインドしたペアが入れ替わっているという点で異なっている。図示の通り、ここでベースユニット12aは、通信目的のために遠隔ディスプレイユニット14bにバインドされる。同様に、ベースユニット12bは、通信目的のために遠隔ディスプレイユニット14aにバインドされる。
【0039】
図8は、ベースユニットおよび遠隔ディスプレイユニットによるIDアドレスの交換を可能にするための本発明による好ましい方法論を示す流れ図である。この場合、(ステップ108で示すように)ペアは、プロセスの初めにはバインドされていない。結果として、RF通信は、2つのユニット同士の間で生じ得ない。次に、ステップ110で示すように、ベースユニットおよび遠隔ディスプレイユニットを対合する(すなわち、上記のように遠隔ディスプレイユニットをベースユニットに合体する)。これにより、RFを介して通信しようと試みるのを止め、第2の通信モードを用いて2つの間で安全な通信を確立する。
【0040】
図5および図6を参照して述べた通り、好ましくは、第2の通信モードは、2つのユニットの間の「ピング(ping)」および応答によって確立される。再び図8を参照すると、この場合、ピングおよび応答は、互いのIDアドレスを交換するさらなる働きをする。この点について、ステップ112は、ベースユニットが、ピングの一部としてそのIDアドレスを送信することを示す。ステップ114に示すように、遠隔ディスプレイユニットは、ピングを確認(acknowledge)し、それ自体のアドレスをベースユニットに返信する。(ステップ116で示すように)次いで、ベースユニットおよび対合した遠隔ディスプレイユニットのアドレスは、他方によって記憶されて、バインドしたペアを確立する。ステップ118で示すように、次いでRF通信は、ユニットが互いから分離されると生じることができる。
【0041】
したがって、本発明は、第1のRF無線デバイスおよび第2のRF無線デバイスが、安全な通信のために接続された後に次のRF通信のために自動的にバインドできる技術を提供することが理解できよう。本発明によれば、一次のデバイスは、そのアドレスを二次のデバイスに自動的に転送し、次いで二次のデバイスは、それ自体のアドレスで応答する。この交換は、2つの無線デバイスを対合するときに自動的に行われる。この一次のデバイスに、(それ自体が固有のアドレスを有する)新しい二次のデバイスが対合される場合、それらは、互いにバインドし、元の二次のデバイスは、もはや一次のデバイスにバインドされない。
【0042】
このようにして、DMMという背景において説明したが、当業者は、本発明の原理が、バインドしたペアのRF通信が望まれる場合に他のタイプのデバイスに適用できることを認識するはずである。本発明は、これまでに必要とされてきた可能性のある複雑なセットアップルーチン(set−up routine)の必要がない。加えて、安全な通信モードは、ごく近接し得る同様のデバイスからの干渉を避ける。
【0043】
本発明の好ましい実施形態を図示および説明してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく当業者はそれらに対する修正形態および変形形態を作製することができる。加えて、様々な実施形態の態様は、全体または一部において共に置き換えることができることを理解されたい。さらに、当業者には、前述の説明は、一例に過ぎず、添付の特許請求の範囲にさらに記載するように本発明を限定するものではないことが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8